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明細書 :高分子担持ホウ素触媒及びこの触媒を用いたマイケル付加反応生成物の製法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5544415号 (P5544415)
登録日 平成26年5月16日(2014.5.16)
発行日 平成26年7月9日(2014.7.9)
発明の名称または考案の名称 高分子担持ホウ素触媒及びこの触媒を用いたマイケル付加反応生成物の製法
国際特許分類 C07C  45/69        (2006.01)
C07C  69/738       (2006.01)
C07C  67/347       (2006.01)
C07C  49/12        (2006.01)
C07C  69/757       (2006.01)
C07C 205/45        (2006.01)
C07C 201/12        (2006.01)
C07C 255/17        (2006.01)
C07C 253/30        (2006.01)
B01J  31/06        (2006.01)
B01J  31/28        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI C07C 45/69
C07C 69/738 Z
C07C 67/347
C07C 49/12
C07C 69/757 B
C07C 205/45
C07C 201/12
C07C 255/17
C07C 253/30
B01J 31/06 Z
B01J 31/28 Z
C07B 61/00 300
請求項の数または発明の数 10
全頁数 16
出願番号 特願2012-504368 (P2012-504368)
出願日 平成23年2月9日(2011.2.9)
国際出願番号 PCT/JP2011/052731
国際公開番号 WO2011/111460
国際公開日 平成23年9月15日(2011.9.15)
優先権出願番号 2010053976
優先日 平成22年3月11日(2010.3.11)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成24年8月20日(2012.8.20)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】小林 修
【氏名】宮村 浩之
【氏名】ユー ウージン
個別代理人の代理人 【識別番号】100110249、【弁理士】、【氏名又は名称】下田 昭
【識別番号】100113022、【弁理士】、【氏名又は名称】赤尾 謙一郎
審査官 【審査官】前田 憲彦
参考文献・文献 特開2007-237116(JP,A)
国際公開第2005/085307(WO,A1)
特開2004-261749(JP,A)
特開2002-308818(JP,A)
調査した分野 C07C 45/00
C07C 49/00
C07C 67/00
C07C 69/00
C07C 205/00
C07C 253/00
C07C 255/00
CAplus/REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
液相で、高分子担持ホウ素触媒の存在下で、
(a)CH(R(R3-m(式中、Rは、それぞれ独立して、COR、COOR、-NO又は-CNを表し(式中、R及びRは、それぞれ、炭化水素基を表す。)、Rは、それぞれ独立して、水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、mは1又は2を表す。)で表される求核剤と、
(b)CR=C(R(R2-n(式中、Rは、それぞれ独立して、COR、COOR10、-NO又は-CNを表し(式中、R及びR10は、それぞれ、炭化水素基を表す。)を表し、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、nは1又は2を表す。)で表されるビニル化合物とから、マイケル付加反応により、
C(R(R3-m-CR-CH(R(R2-n
(式中、R~R、m、nは上記と同様を表す。)で表される付加生成物を製造する方法であって、該高分子担持ホウ素触媒が、XBH(式中、Xは、アルカリ金属又は4級アンモニウムイオンを表す。)で表されるホウ素化合物を下式(化1)
【化1】
JP0005544415B2_000021t.gif
(式中、x、y及びzは構成モノマーのモル比を表し、(x+y+z)に対してyは0~60%、zは10~60%、xは0であってもよい残部を表し、oは0~5の整数、pは0~6の整数を表す。)で表されるスチレン系高分子に担持させて成る、マイケル付加反応生成物の製法。
【請求項2】
液相で、高分子担持ホウ素触媒の存在下で、
(a)CH(R(R3-m(式中、Rは、それぞれ独立して、COR、COOR、-NO又は-CNを表し(式中、R及びRは、それぞれ、炭化水素基を表す。)、Rは、それぞれ独立して、水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、mは1又は2を表す。)で表される求核剤と、
(b')CR=C(R11(R2-n(式中、R11はCH(OH)R(式中、Rは、炭化水素基を表す。)を表し、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、nは1又は2を表す。)で表されるビニル化合物とから、マイケル付加反応により、
C(R(R3-m-CR-CH(COR(R2-n
(式中、R~R、R、R、m、nは上記と同様を表す。)で表される付加生成物を製造する方法であって、該高分子担持ホウ素触媒が、XBH(式中、Xは、アルカリ金属又は4級アンモニウムイオンを表す。)で表されるホウ素化合物を水酸基を有するスチレン系高分子に担持させて成る、マイケル付加反応生成物の製法。
【請求項3】
前記高分子担持ホウ素触媒が、更にケッチェンブラックを含む請求項1又は2に記載の製法。
【請求項4】
mが2である請求項1~のいずれか一項に記載の製法。
【請求項5】
nが1である請求項1~のいずれか一項に記載の製法。
【請求項6】
が水素原子である請求項1~のいずれか一項に記載の製法。
【請求項7】
及びRが水素原子である請求項1~のいずれか一項に記載の製法。
【請求項8】
が水素原子である請求項1~のいずれか一項に記載の製法。
【請求項9】
XBH(式中、Xは、アルカリ金属又は4級アンモニウムイオンを表す。)で表されるホウ素化合物を下式(化1)
【化1】
JP0005544415B2_000022t.gif
(式中、x、y及びzは構成モノマーのモル比を表し、(x+y+z)に対してyは0~60%、zは10~60%、xは0であってもよい残部を表し、oは0~5の整数、pは0~6の整数を表す。)で表されるスチレン系高分子に担持させて成るマイケル付加反応用高分子担持ホウ素触媒。
【請求項10】
更にケッチェンブラックを含む請求項に記載の触媒。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、高分子担持ホウ素触媒を用いたマイケル付加反応により炭素-炭素付加生成物を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
α,β-不飽和カルボニル化合物に求核剤を付加させるマイケル付加反応は、炭素-炭素結合反応として様々な物質の合成に利用されている。
本願発明のように固定化されていないホウ素試薬を触媒として用いてマイケル付加反応を行なうことができることが報告されているが(非特許文献1)、副反応が起きやすい、触媒の回収や再使用ができないなどの欠点がある。
一方、ホウ素を高分子等に固定化した合成反応用触媒は、触媒を回収及び再使用することができるため望ましいが、その調製は一般に困難が伴う(非特許文献2)。
本発明者らは既に、アルドール反応用高分子固定化ホウ素触媒を開発している(特許文献1)。
また、本発明者らは、高分子に金クラスターを担持させた高分子担持金クラスター触媒が酸化反応用等に有効であることを報告している(特許文献2等)。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2004-261749
【特許文献2】特開2007-237116
【0004】

【非特許文献1】J. Org. Chem. 2007, 72, 8127
【非特許文献2】Coor. Chem. Rev. 2006, 250, 1107
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明は、マイケル付加反応へ応用することのできるホウ素を高分子に固定化した高分子担持ホウ素触媒及びこの高分子担持ホウ素触媒を用いてマイケル付加反応により炭素-炭素付加生成物を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは新規に高分子担持ホウ素触媒を開発し、液相で、この高分子担持ホウ素触媒の存在下で、求核剤と特定のビニル化合物とを反応させると、炭素-炭素付加生成物が生成することを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、液相で、高分子担持ホウ素触媒の存在下で、
(a)CH(R(R3-m(式中、Rは、それぞれ独立して、COR、COOR、-NO又は-CNを表し(式中、R及びRは、それぞれ、炭化水素基を表す。)、Rは、それぞれ独立して、水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、mは1又は2を表す。)で表される求核剤と、
(b)CR=C(R(R2-n(式中、Rは、それぞれ独立して、COR、COOR10、-NO又は-CNを表し(式中、R及びR10は、それぞれ、炭化水素基を表す。)を表し、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、nは1又は2を表す。)で表されるビニル化合物とから、マイケル付加反応により、
C(R(R3-m-CR-CH(R(R2-n
(式中、R~R、m、nは上記と同様を表す。)で表される付加生成物を製造する方法であって、該高分子担持ホウ素触媒が、XBH(式中、Xは、アルカリ金属又は4級アンモニウムイオンを表す。)で表されるホウ素化合物を水酸基を有するスチレン系高分子に担持させて成る、マイケル付加反応生成物の製法である。
【0007】
また本発明は、XBH(式中、Xは、アルカリ金属又は4級アンモニウムイオンを表す。)で表されるホウ素化合物を下式(化1)
【化1】
JP0005544415B2_000002t.gif
(式中、x、y及びzは構成モノマーのモル比を表し、(x+y+z)に対してyは0~60%、zは10~60%、xは0であってもよい残部を表し、oは0~5の整数、pは0~6の整数を表す。)で表されるスチレン系高分子に担持させて成るマイケル付加反応用高分子担持ホウ素触媒である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明で用いる高分子担持ホウ素触媒は、XBHで表されるホウ素化合物をスチレン系高分子に担持させて成る。
式中、Xは、アルカリ金属イオン又は4級アンモニウムイオンを表す。アルカリ金属としてはNa又はKが挙げられる。4級アンモニウムイオンとしてはN(R(式中、Rは、ぞれぞれ独立して、アルキル基、好ましくは炭素数が1~6のアルキル基を表す。)が挙げられる。
本願発明の触媒は更に、Pd、Au、Pt,Ru,Co,Ni,Cu,Rh,Feの金属を含有してもよい。これらの金属は、触媒調整時に、1価2価3価又は4価の金属化合物などの前駆体として加えられる。このような金属化合物として、酢酸パラジウム、ハロゲン化金、ハロゲン化金のトリフェニルホスフィン錯体、ソジウムヘキサクロロ白金、パラシメンジクロロルテニウムダイマー、塩化コバルト、ビストリフェニルホスフィンジクロロニッケル、酢酸銅、塩化鉄が挙げられる。ハロゲン化金のトリフェニルホスフィン錯体として、AuCl(PPh)が挙げられる
このホウ素化合物等をスチレン系高分子に担持させる方法としては、特に限定されないが、適当な溶媒中でこれらを混合することにより行うことができる。
溶媒としては、ジグライム、THF、DME、DCM等が挙げられる。
温度は0~50℃程度である。
【0009】
本発明で用いるスチレン系高分子はスチレンモノマーをベースとした高分子であり、水酸基を必須に有する。このスチレン系高分子は、その主鎖又はベンゼン環に水酸基を有する親水性側鎖を有するものが好ましい。
また、このスチレン系高分子は、更にエポキシ基などの架橋性官能基を有していてもよい。このエポキシ基などの架橋性官能基もまた、スチレン系高分子の主鎖又はベンゼン環上の親水性側鎖に結合したものでもよい。
親水性側鎖の主鎖としては、比較的短いアルキル基、例えば、炭素数が1~6程度のアルキレン基であってもよいが、ポリオキシアルキレン鎖でもよい。ポリオキシアルキレン鎖としては、-CH(OC-や-CO(OC-等が挙げられる。
【0010】
このようなスチレン系高分子として、例えば、下式(化2)
【化2】
JP0005544415B2_000003t.gif
(式中、Xはアルキレン基又はエーテル結合を含むアルキレン基を表す。)又は下式(化3)
【化3】
JP0005544415B2_000004t.gif
(式中、Xはアルキレン基又はエーテル結合を含むアルキレン基を表す。)で表される構造を有するモノマーを全モノマー中に10~60%含む。
【0011】
このスチレン系高分子は、更に任意に、下式(化4)
【化4】
JP0005544415B2_000005t.gif
(式中、Xはアルキレン基又はエーテル結合を含むアルキレン基を表す。)又は下式(化5)
【化5】
JP0005544415B2_000006t.gif
(式中、Xはアルキレン基又はエーテル結合を含むアルキレン基を表す。)で表される構造を有するモノマーを全モノマー中に0~60%含み、かつこれらの合計が100%以下となるように含んでもよい。
これらの合計が100%未満の場合には残部としてスチレンモノマーを含んでもよい。これらモノマー混合物を共重合してスチレン系高分子を得ることができる。
【0012】
本発明で用いるスチレン系高分子として、下記の高分子が挙げられる。
【化1】
JP0005544415B2_000007t.gif
式中、x、y及びzは構成モノマーのモル比を表し、(x+y+z)に対して、yは0~60%、好ましくは10~50%、zは10~60%、好ましくは20~50%であり、ただし、y+zは100%以下である。xは0であってもよい残部である。oは0~5の整数、pは0~6の整数を表す。
【0013】
この触媒に、更にケッチェンブラックを含有させてもよい。ケッチェンブラックは導電性カーボンブラックで、性能の優秀さ、品質の安定性で優れている。プラスチック・ゴムなどに混練りすることで、従来のカーボンブラックに比べ少量の添加量で同等の導電性を付与することと併せて高い評価を得ている活性炭であり、またケッチェンブラックは他のカーボンブラックと異なり、中空シェル状の構造を持っているため、特異的な性能を発揮する活性炭である。
このケッチェンブラックは上記高分子内に分散しホウ素等の金属の担体として機能すると考えられ、触媒活性を更に高める効果を有している(後記の実施例参照)。
このケッチェンブラックは触媒(又は高分子)に対して好ましくは30~1000重量%、より好ましくは50~200重量%加える。
【0014】
ホウ素化合物を担持した高分子は、エポキシ基などの架橋性官能基を含む場合、架橋することができる。特に、水酸基とエポキシ基を含む場合にはこれらが反応するので好ましい。
架橋することによりホウ素化合物は安定化すると共に種々の溶剤に対して不溶化し、担持したホウ素化合物の漏れを防止することができる。
架橋反応により、ホウ素化合物を担持した高分子鎖同士を結合させることや、架橋基を有する材料など適当な担体に結合させることもできる。
架橋反応は、加熱や紫外線照射、好ましくは加熱により架橋性官能基を反応させることにより行う。架橋反応は、これらの方法以外にも、使用する直鎖型有機高分子化合物を架橋するための従来公知の方法である、例えば架橋剤を用いる方法、過酸化物やアゾ化合物等のラジカル重合触媒を用いる方法、酸又は塩基を添加して加熱する方法、例えばカルボジイミド類のような脱水縮合剤と適当な架橋剤を組み合わせて反応させる方法等に準じても行うことができる。
架橋性官能基を加熱により架橋させる際の温度は、通常50~200℃、好ましくは70~180℃、より好ましくは100~170℃である。
加熱架橋反応させる際の反応時間は、通常0.1~100時間、好ましくは1~50時間、より好ましくは2~10時間である。
【0015】
本発明においては、液相で、この高分子担持ホウ素触媒の存在下で、求核剤と特定のビニル化合物とを反応させる。
本願発明で用いる求核剤は、炭素が一つの水素原子を有し、かつ少なくとも一つの電子求引性基(R)を有することが必須の条件である。
即ち、この求核剤は次式で表される。
(a)CH(R(R3-m
は、電子求引性基である。この電子求引性基としては如何なる基を用いることもできるが、例えば、それぞれ独立して、好ましくは同じであって、COR、COOR、-NO又は-CNである。
及びRは特に制限は無く、それぞれ、置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。この炭化水素にも特に制限は無いが、例えば、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アラルキル基が挙げられる。置換基にも特に制限は無いが、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、上記の電子求引性基などが挙げられる。
一方、Rには特に制限は無く、それぞれ独立して、水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。この炭化水素にも特に制限は無いが、例えば、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アラルキル基が挙げられる。置換基にも特に制限は無いが、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、上記の電子求引性基などが挙げられる。 mは1又は2、好ましくは2を表す。
mが2の場合には、各Rは異なってもよい。
またmが1の場合には、2つのRはそれぞれが結合する炭素原子と共に脂肪族の5~7員環を形成してもよい。
【0016】
もう一方の反応基質であるビニル化合物は求電子剤としての役割があるため、ビニル基の一端に少なくとも一つの電子求引性基(R)を有し、次式で表される。
(b)CR=C(R(R2-n
は、電子求引性基である。この電子求引性基としては如何なる基を用いることもできるが、例えば、それぞれ独立して、COR、COOR10、-NO又は-CN、好ましくはCORである。
及びR10は特に制限は無く、それぞれ、置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。この炭化水素にも特に制限は無いが、例えば、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アラルキル基が挙げられる。置換基にも特に制限は無いが、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、上記の電子求引性基などが挙げられる。
一方、R、R及びRには特に制限は無く、それぞれ独立して、水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。この炭化水素にも特に制限は無いが、例えば、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アラルキル基が挙げられる。置換基にも特に制限は無いが、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、上記の電子求引性基などが挙げられる。
nは1又は2、好ましくは1を表す。
【0017】
また上記(b)ビニル化合物の代わりに下記(b’)ビニル化合物を用いてもよい。
(b’)CR=C(R11(R2-n
11はCH(OH)Rを表す。
、R、R及びRは、上記と同様に定義される。
このような水酸基を有するビニル化合物は、上記(b)ビニル化合物(RがCORである場合)の前駆体と考えられる。この水酸基を有する(b’)ビニル化合物から1段階でマイケル反応付加生成物を合成するほうが、水酸基を有する(b’)ビニル化合物から一旦(b)ビニル化合物を合成して、この(b)ビニル化合物からマイケル反応付加生成物を合成する2段階の合成方法に比べて、効率的であり、収率も高い(後記の実施例参照)。
【0018】
この反応は液相で行なわれる。
反応溶媒として、ジクロロメタン、アセトニトリル、THF、トルエン、ジグライム、ジメチルエチレングリコール、ジオキサン、HMPAなどを用いることができる。
基質の濃度は、通常0.05~5 mmol/ml、好ましくは0.1~2 mmol/mlである。
触媒の基質に対する当量は、通常0.1~10 mol%、好ましくは1~5 mol%である。
またこの反応温度は、室温で行なうことができるが、0~100℃の範囲であってもよい。
反応時間は、0.3~72時間である。
【0019】
その結果、次式で表される付加生成物が合成される。
C(R(R3-m-CR-CH(R(R2-n
(式中、R~Rは上記と同様を表す。)
なお、Rが水素原子の場合には、(Rの電子求引性の程度によって、更に反応が進んで、次式で表される付加生成物が合成される場合がある。
C(R(H)3-m-o-(CR-CH(R(R2-n1+o
(式中、R~R、m、nは上記と同様を表す。oは1以上かつ3-m以下である。)

【実施例】
【0020】
以下、実施例にて本発明を例証するが本発明を限定することを意図するものではない。
1H NMRと13C NMRは JEOL JNM-ECX-400, JNM-ECX-500又は、JNM-ECX-600を使用し CDCl3 を溶媒とし、テトラメチルシラン(δ=0、1H NMR)又はCDCl3(δ=77.0、13C NMR)を内部標準物質として測定した。高分解能質量分析 (HR-ESIMS) はBRUKER DALTONICS BioTOF II mass spectrometer 及び JEOL JMS-T100TD AccuTOF TLCにて測定した。ガスクロマトグラフィー分析は Shimadzu GC-2010 apparatusにて測定した。ICP分析はShimadzu ICPS-7510にて測定した。カラムクロマトグラフィーには Silica gel 60 (Merck) を調整用薄層クロマトグラフィーにはWakogel B-5F(和光純薬工業(株))を使用した。溶媒は定法に従い蒸留したものを使用した。ICPのサンプルは10-20 mgを硫酸(東京化成工業株式会社)及び硝酸(東京化成工業株式会社)の混合液中で、200℃で3時間加熱し、室温に戻してから王水を加えることで調整した。
【0021】
製造例1
150 mLのTHFにソジウムハイドライド(60% in mineral oil、5.2g)を加え、0℃にてその反応液にテトラエチレングリコール(25.4 g、131 mmol)を加えた。室温で1時間撹拌した後 1-クロロメチル-4-ビニルベンゼン(13.3 g、87.1 mmol)を加え、さらに12時間撹拌を続けた。0℃に冷却しジエチルエーテルを加え、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、反応を停止した。水相をエーテルで抽出した後、併せた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧下留去した。得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、2-(2-(2-(2-(4-vinylbenzyloxy)ethoxy)ethoxy)ethoxy)ethanolを得た(20.6 g、66.2 mmol、76%)。
1H NMR (CDCl3) δ 2.55-2.59 (m, 1H), 3.59-3.73 (m, 16H), 4.55 (s, 2H), 5.25 (d, 1H, J = 6.4 Hz), 5.53 (d, 1H, J = 18 Hz), 6.71 (dd, 1H, J = 11.0, 17.9 Hz), 7.22-7.27 (m, 3H), 7.31-7.39 (m, 2H); 13C NMR δ 61.8, 69.5, 70.5, 70.69, 70.74, 72.6, 73.0, 113.8, 126.3, 128.0, 136.0, 137.1, 138.0.
【0022】
製造例2
スチレン(2.6g、25mmol)、4-ビニルベンジルグリシジルエーテル(国際公開WO2005/085307に記載の方法に従って合成したもの)(4.75g、25mmol)、製造例1で得た2-(2-(2-(2-(4-vinylbenzyloxy)ethoxy)ethoxy)ethoxy)ethanol(7.67g、25mmol)、及び重合開始剤(和光純薬工業社製V-70、308mg、1mmol)をクロロホルム(15ml)に溶解させ、脱気操作後アルゴン中で室温、72時間攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、THF100mlを加えた反応液をジエチルエーテル1l中に室温にてゆっくりと滴下し、得られた沈殿物を濾過分取した後、ジエチルエーテルにて十分に洗浄した。その後、室温にて減圧乾燥させ透明ガム状固体として下式のスチレン系高分子(高分子1)(8.98g、x:y:z=29:35:36)を得た。コポリマーのモノマー成分の比は1H-NMRにより決定した。
【化6】
JP0005544415B2_000008t.gif

【0023】
実施例1
製造例2で得た高分子1(0.8695 g)をジグライム(12 mL, 和光純薬工業(株))に溶解させ、ジグライム(4 mL、和光純薬工業(株))に溶解させたNaBH4(57.0 mg、和光純薬工業(株))を加えた後、室温で四時間攪拌した。そののちジエチルエーテル(40 mL、和光純薬工業(株))を滴下した。ボロン固定化ポリマーをジエチルエーテル(20 mL)で3回洗浄し、室温で乾燥させた。乾燥させた固体を150℃で6時間無溶媒条件で加熱した。架橋したポリマーをジクロロメタン(20 mL、和光純薬工業(株))、水(20 mL)で洗浄し、乳鉢と乳棒にて粉砕し170℃無溶媒条件で6時間加熱した。このようにして淡黄色固体(784.9 mg、B loading 0.909 mmol/g)を得た。このようにして得た触媒を以下「PI-B」という。
【0024】
実施例2
この実施例では下式のマイケル反応を行った。
【化7】
JP0005544415B2_000009t.gif
Ethyl benzoylacetate (87.0μL、0.502 mmol,東京化成)、3-ブテン-2-オン(61.0μL、0.752 mmol、東京化成)、PI-B (0.9009 mmol/g、0.050 mmol、10.0 mol%)、と ジクロロメタン(0.5 mL、東京化成) をスクリューキャップバイアルにいれ、室温で18-20 時間攪拌した。PI-Bを濾過にて除去し、ジクロロメタンで触媒を洗浄し、濾液と混合した。濾液の溶媒を減圧留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー (EtOAc:hexane = 1:4) で精製しマイケル付加生成物 (125.0 mg、0.477 mmol、95%) を透明なオイルとして得た。以下生成物(Ethyl 2-benzoyl-5-oxohexanoate.)の分析結果を示す。
1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ8.00-7.91 (m, 2H), 7.53-7.50 (m, 1H), 7.43-7.40 (m, 2H), 4.37 (dd, J = 6.3, 6.2 Hz, 1H), 4.10-4.04 (m, 2H), 2.58-2.47 (m, 2H), 2.21-2.10 (m, 2H), 2.06 (s, 3H), 1.09 (t, J = 7.4 Hz, 3H); 13C NMR (CDCl3, 125 MHz) δ207.8, 195.2, 169.7, 135.8, 133.6, 128.7, 128.6, 61.3, 52.5, 40.4, 29.9, 22.6 13.9.
【0025】
実施例3
この実施例では下式のマイケル反応を行った。
【化8】
JP0005544415B2_000010t.gif
2,4-ペンタンジオン(51.0μL、0.497 mmol、東京化成)、3-ブテン-2-オン(61.0μL、0.752 mmol、東京化成)、PI-B (0.9009 mmol/g、0.050 mmol、10.0 mol%)、とジクロロメタン(0.5 mL、東京化成)をスクリューキャップバイアルにいれ、室温で18-20 時間攪拌した。PI-Bを濾過にて除去し、ジクロロメタンで触媒を洗浄し、濾液と混合した。濾液の溶媒を減圧留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー (EtOAc:hexane = 2:3) で精製しマイケル付加生成物(68.2 mg、0.401 mmol、81%)を透明なオイルとして得た。以下生成物(3-Acetylhepta-2,6-dione)の分析結果を示す。
1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ3.62 (t, J = 6.8 Hz, 1H), 2.38 (t, J = 6.8 Hz, 2H), 2.13 (s, 6H), 2.07 (s, 3H), 2.01 (q, J = 6.8 Hz, 2H); 13C NMR (CDCl3, 125 MHz) δ207.4, 204.1, 66.7, 40.4, 30.0, 29.9, 21.3.
【0026】
実施例4
この実施例では下式のマイケル反応を行った。
【化9】
JP0005544415B2_000011t.gif
Ethyl 2-oxocyclopentanecaboxylate (76.0μL、0.487 mmol、東京化成)、3-ブテン-2-オン(59.0μL、0.727 mmol、東京化成)、PI-B (0.9009 mmol/g、0.050 mmol、10.0 mol%)、とジクロロメタン(0.5 mL、東京化成) をスクリューキャップバイアルにいれ、室温で18-20 時間攪拌した。PI-Bを濾過にて除去し、ジクロロメタンで触媒を洗浄し、濾液と混合した。濾液の溶媒を減圧留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー (EtOAc:hexane = 1:4) で精製しマイケル付加生成物(117.0 mg、0.517 mmol、99%)を透明なオイルとして得た。以下生成物(Ethyl 2-oxo-1-(3-oxobutyl) cyclopentane carboxylate)の分析結果を示す。
1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ4.10 (q, J = 6.8 Hz, 2H), 2.67-2.60 (m, 1H), 2.43-2.19 (m, 4H), 2.07-1.80 (m, 8H), 1.18 (t, J = 7.4 Hz, 3H); 13C NMR (CDCl3, 125 MHz) δ214.9, 207.7, 171.3, 61.3, 58.8, 38.7, 37.9, 34.2, 29.8, 26.8, 19.5, 13.9.
【0027】
実施例5
この実施例では下式のマイケル反応を行った。
【化10】
JP0005544415B2_000012t.gif
ニトロエタン(36.0μL、0.501 mmol、東京化成)、3-ブテン-2-オン(61.0μL、0.752 mmol、東京化成)、PI-B (0.9009 mmol/g、0.050 mmol、10.0 mol%)、とジクロロメタン(0.5 mL、東京化成) をスクリューキャップバイアルにいれ、室温で18-20 時間攪拌した。PI-Bを濾過にて除去し、ジクロロメタンで触媒を洗浄し、濾液と混合した。濾液の溶媒を減圧留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー (EtOAc:hexane = 1:4) で精製しマイケル付加生成物(15.5 mg、0.107 mmol、21%)を透明なオイルとして得た。以下生成物(5-Nitrohexane-2-one)の分析結果を示す。
1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ4.57-4.51 (m, 1H), 2.48-2.44 (m, 2H), 2.13-2.00 (m, 5H), 1.48 (d, J = 6.8 Hz, 3H); 13C NMR (CDCl3, 125 MHz) δ206.5, 82.5, 39.0, 30.0, 28.6, 19.4.
【0028】
実施例6
この実施例では下式のマイケル反応を行った。
【化11】
JP0005544415B2_000013t.gif
Malononitrile (31.0μL、0.492 mmol、東京化成), 3-buten-2-one (60.0μL、0.738 mmol、東京化成)、PI-B (0.9009 mmol/g、0.050 mmol、10.0 mol%)、とジクロロメタン(0.5 mL、東京化成) をスクリューキャップバイアルにいれ、室温で18-20時間攪拌した。PI-Bを濾過にて除去し、ジクロロメタンで触媒を洗浄し、濾液と混合した。濾液の溶媒を減圧留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー (EtOAc:hexane = 1:4) で精製しマイケル付加生成物(26.8 mg、0.197 mmol、40%)、ダブルマイケル付加生成物(37.7 mg、0.183 mmol、37%)をそれぞれ透明なオイルとして得た。以下生成物(2-(3-oxobutyl)malononitrile及び2,2-bis(3-oxobutyl)malononitrile)の分析結果を示す。
2-(3-oxobutyl)malononitrile:1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ4.05 (t, J = 7.4 Hz, 1H), 2.74 (t, J = 6.8 Hz, 2H), 2.25-2.14 (m, 5H); 13C NMR (CDCl3, 125 Hz) δ205.8, 112.3, 38.5, 29.9, 24.9, 21.4.
2,2-bis(3-oxobutyl)malononitrile:1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ2.78 (t, J = 7.9 Hz, 4H), 2.23-2.15 (m, 10H); 13C NMR (CDCl3, 125 MHz) δ204.4, 114.8, 39.1, 36.1, 31.5, 30.0.
【0029】
実施例7
製造例2で得た高分子1(0.1563 g)をジグライム(3.9 mL, 和光純薬工業(株))に40℃で溶解させ、ケッチェンブラック(0.1573 g, ライオン(株))を加え15分撹拌した。ジグライム(1.6 mL、和光純薬工業(株))に溶解させたNaBH4(17.7 mg、和光純薬工業(株))を加えた後、室温で四時間攪拌した。そののちジエチルエーテル(40 mL、和光純薬工業(株))を滴下した。ボロン固定化ポリマー被覆カーボンをジエチルエーテル(20 mL)で3回洗浄し、室温で乾燥させた。乾燥させた固体を170℃で4時間無溶媒条件で加熱した。架橋したポリマーをジクロロメタン(20 mL、和光純薬工業(株))で洗浄し、乳鉢と乳棒にて粉砕し黒色固体(0.3312 g、B loading 0.9624 mmol/g)を得た。このようにして得た触媒を以下「PI/CB-B」という。
【0030】
実施例8
製造例2で得た高分子1(0.1448 g)をジグライム(9.6 mL, 和光純薬工業(株))に溶解させ、ケッチェンブラック(0.1458 g, ライオン(株))を加え0℃にした。ジグライム(2.2 mL、和光純薬工業(株))に溶解させたNaBH4(46.0 mg、和光純薬工業(株))を加えた後、室温で15分間攪拌した。この混合溶液にジグライム(5.8 mL, 和光純薬工業(株))に溶解させた、塩化トリフェニルホスフィン金(I)(AuClPPh3)(40.2 mg、Strem社)および酢酸パラジウム(II) (Pd(OAc)2)(18.2 mg、和光純薬工業(株))を滴下し4時間撹拌した。そののちジエチルエーテル(80 mL、和光純薬工業(株))を滴下した。金、パラジウム、ホウ素固定化ポリマー被覆カーボンをジエチルエーテル(20 mL)で3回洗浄し、室温で乾燥させた。乾燥させた固体を170℃で4時間無溶媒条件で加熱した。架橋したポリマーをジクロロメタン(20 mL、和光純薬工業(株))で洗浄し、乳鉢と乳棒にて粉砕し黒色固体(0.4035 g、Au loading 0.2007 mmol/g 、Pd loading 0.2183 mmol/g、 B loading 2.456 mmol/g)を得た。このようにして得た触媒を以下「PI/CB-Au/Pd/B」という。
【0031】
実施例9
この実施例では下式のマイケル反応を行った。
【化12】
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Ethyl benzoylacetate (87.0μL、0.502 mmol,東京化成)、3-ブテン-1-オール(65.0μL、0.752 mmol、東京化成)、PI/CB-Au/Pd/B (0.0250 g, 5.02 μmol, 1 mol% with respect to Au)、と テトラヒドロフラン(0.5 mL、東京化成) をスクリューキャップバイアルにいれ、30℃で20 時間攪拌した。PI/CB-Au/Pd/Bを濾過にて除去し、ジクロロメタンで触媒を洗浄し、濾液と混合した。濾液の溶媒を減圧留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー (EtOAc:hexane = 1:4) で精製しマイケル付加生成物 (125.3 mg、0.478 mmol、95%) を透明なオイルとして得た。以下生成物(Ethyl 2-benzoyl-5-oxohexanoate.)の分析結果を示す。
濾過にて回収した触媒は減圧下乾燥を行い、再利用に用いた。
1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ8.00-7.91 (m, 2H), 7.53-7.50 (m, 1H), 7.43-7.40 (m, 2H), 4.37 (dd, J = 6.3, 6.2 Hz, 1H), 4.10-4.04 (m, 2H), 2.58-2.47 (m, 2H), 2.21-2.10 (m, 2H), 2.06 (s, 3H), 1.09 (t, J = 7.4 Hz, 3H); 13C NMR (CDCl3, 125 MHz) δ207.8, 195.2, 169.7, 135.8, 133.6, 128.7, 128.6, 61.3, 52.5, 40.4, 29.9, 22.6 13.9.
【0032】
実施例10
この実施例では下式のマイケル反応を行った。
【化13】
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Ethyl benzoylacetate (87.0μL、0.502 mmol,東京化成)、1-フェニル-3-ブテン-1-オール(73.0μL、0.555 mmol、東京化成)、PI/CB-Au/Pd/B (0.0250 g, 5.02μmol, 1 mol% with respect to Au)、と テトラヒドロフラン(0.5 mL、東京化成) をスクリューキャップバイアルにいれ、60℃で22 時間攪拌した。PI/CB-Au/Pd/Bを濾過にて除去し、ジクロロメタンで触媒を洗浄し、濾液と混合した。濾液の溶媒を減圧留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー (EtOAc:hexane = 1:4) で精製しマイケル付加生成物 (154.4 mg、0.476 mmol、95%) を透明なオイルとして得た。
以下生成物(Ethyl 2-benzoyl-5-oxo-5-phenylhexanoate.)の分析結果を示す。
IR (neat, NaCl): 3064 (m), 2981 (s), 2937 (s), 1974 (w), 1913 (w), 1734 (s), 1686 (s), 1596 (m), 1448 (s), 1221 (s), 974 (s) cm-1; 1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ 8.07 (d, J = 7.9 Hz, 2H), 7.95 (d, J = 7.4 Hz, 2H), 7.59-7.53 (m, 2H), 7.50-7.43 (m, 4H), 4.57 (dd, J = 7.9, 6.2 Hz, 1H), 4.19-4.10 (m, 2H), 3.22-3.16 (m, 1H), 3.12-3.06 (m, 1H), 2.49-2.36 (m, 2H), 1.15 (t, J = 7.4 Hz, 3H); 13C NMR (CDCl3, 125 MHz) δ 199.2, 195.3, 169.8, 136.6, 135.9, 133.6, 133.1, 128.71, 128.70, 128.6, 128.0, 61.4, 52.8, 35.6, 23.2, 13.9; ESI-HRMS (m/z) calcd. for C20H20O4 [(M+H)+]: 325.14398, found: 325.14334.
【0033】
上記の反応の反応時間ごとのマイケル付加生成物と生成が予想された中間体(1-フェニル-3-ブテン-1-オン)の収率を下表に示す。
【表1】
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原料のビニル化合物としてカルボニル化合物の代わりにその前駆体であるアルコール化合物を用いて、1段階で反応させても、その中間体と考えられるカルボニル化合物(1-フェニル-3-ブテン-1-オン)は検出されなかった(ND)。
【0034】
参考例1
この実施例では下式の酸化反応を行った。
【化14】
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1-フェニル-3-ペンテン-1-オール(66.0μL、0.502 mmol、東京化成)、PI/CB-Au/Pd/B (0.0282 g, 5.02μmol, 1 mol% with respect to Au)、メシチレン(66.0μL、0.173 mmol、東京化成)と テトラヒドロフランd8(0.5 mL、東京化成) をスクリューキャップバイアルにいれ、60℃で22 時間攪拌した。少量の反応溶液を重クロロホルムで薄め、1H NMRで観測しメシチレンを内部標準として収率を算出した。結果を下表に示す。
【表2】
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この表に示すように、本願発明の触媒を使った場合、アルコール化合物からカルボニル化合物への変換率は60%を超えなかった。このことは、原料としてアルコール化合物を用いて2段階でマイケル反応を行った場合には、実施例2の収率(95%)からかなり下がった収率しか得られないことを示している。即ち、本願発明のマイケル反応の出発物質としてカルボニル化合物の代わりにその前駆体であるアルコール化合物を用いたほうが効率的であることが示唆される。
【0035】
実施例11
この実施例では下式のマイケル反応を行った。
【化15】
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Ethyl benzoylacetate (87.0μL、0.502 mmol、東京化成)、2-プロペン-1-オール(32.0μL、0.765 mmol、東京化成)、PI/CB-Au/Pd/B (0.0250 g, 5.02μmol, 1 mol% with respect to Au)、と テトラヒドロフラン(0.5 mL、東京化成) をスクリューキャップバイアルにいれ、30℃で20 時間攪拌した。PI/CB-Au/Pd/Bを濾過にて除去し、ジクロロメタンで触媒を洗浄し、濾液と混合した。濾液の溶媒を減圧留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー (EtOAc:hexane = 1:4) で精製しマイケル付加生成物 (102.9 mg、0.414 mmol、83%) を透明なオイルとして得た。以下生成物(Ethyl 2-benzoyl-5-oxohexanoate.)の分析結果を示す。
1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ 9.77 (s, 1H), 8.01-8.00 (m, 2H), 7.60-7.57 (m, 1H), 7.48 (t, J = 7.9 Hz, 2H), 4.44-4.41 (m, 1H), 4.16-4.10 (m, 2H), 2.68-2.55 (m, 2H), 2.35-2.22 (m, 2H), 1.15 (t, J = 7.4 Hz, 3H); 13C NMR (CDCl3, 125 MHz) δ 201.1, 194.8, 169.5, 135.8, 133.7, 128.8, 128.6, 61.5, 52.6, 41.1, 21.1, 13.9.
【0036】
実施例12
この実施例では下式のマイケル反応を行った。
【化16】
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Ethyl benzoylacetate (87.0μL、0.502 mmol、東京化成)、ビニルアルデヒド(51.0μL、0.763 mmol、東京化成)、PI/CB-B (0.0260 g、0.0251 mmol、5.0 mol%)、と テトラヒドロフラン(0.5 mL、東京化成) をスクリューキャップバイアルにいれ、-20℃で20 時間攪拌した。PI/CB- Bを濾過にて除去し、ジクロロメタンで触媒を洗浄し、濾液と混合した。濾液の溶媒を減圧留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー (EtOAc:hexane = 1:4) で精製しマイケル付加生成物 (88.5 mg、0.356 mmol、71%) を透明なオイルとして得た。以下生成物(Ethyl 2-benzoyl-5-oxohexanoate.)の分析結果を示す。
1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ 9.77 (s, 1H), 8.01-8.00 (m, 2H), 7.60-7.57 (m, 1H), 7.48 (t, J = 7.9 Hz, 2H), 4.44-4.41 (m, 1H), 4.16-4.10 (m, 2H), 2.68-2.55 (m, 2H), 2.35-2.22 (m, 2H), 1.15 (t, J = 7.4 Hz, 3H); 13C NMR (CDCl3, 125 MHz) δ 201.1, 194.8, 169.5, 135.8, 133.7, 128.8, 128.6, 61.5, 52.6, 41.1, 21.1, 13.9.