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明細書 :市街地評価装置、市街地評価方法、プログラム及び記憶媒体

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5818157号 (P5818157)
公開番号 特開2013-142857 (P2013-142857A)
登録日 平成27年10月9日(2015.10.9)
発行日 平成27年11月18日(2015.11.18)
公開日 平成25年7月22日(2013.7.22)
発明の名称または考案の名称 市街地評価装置、市街地評価方法、プログラム及び記憶媒体
国際特許分類 G09B  29/00        (2006.01)
FI G09B 29/00 F
請求項の数または発明の数 7
全頁数 13
出願番号 特願2012-004006 (P2012-004006)
出願日 平成24年1月12日(2012.1.12)
審査請求日 平成26年7月7日(2014.7.7)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504258527
【氏名又は名称】国立大学法人 鹿児島大学
発明者または考案者 【氏名】鹿嶋 雅之
【氏名】佐藤 公則
【氏名】渡邉 誠彌
個別代理人の代理人 【識別番号】100090273、【弁理士】、【氏名又は名称】國分 孝悦
審査官 【審査官】柴田 和雄
参考文献・文献 特開2010-072429(JP,A)
米国特許出願公開第2011/0169838(US,A1)
池崎雅樹、鏡味洋史,地震時の地域分断を想定した医療施設配置のボロノイ図による表か,日本建築学会技術報告集,一般社団法人日本建築学会,2005年 6月,第21巻,411-414頁
小林 景、杉原厚吉,乗法重みつき結晶成長ボロノイ図の近似構成法とその応用,電子情報通信学会論文誌,一般社団法人電子情報通信学会,2000年12月25日,第J83-A巻第12号,1495-1504頁
調査した分野 G09B 29/00
特許請求の範囲 【請求項1】
所定の領域における地図データ、前記所定の領域内における複数の施設の情報、及びユーザの嗜好に関する情報を入力する入力手段と、
前記入力手段によって入力された前記所定の領域内における複数の施設の情報に基づいて、前記複数の施設の中から経路を考慮すべき施設の数を示す2以上の数値である位数を決定する位数決定手段と、
前記所定の領域における地図データ、前記複数の施設の情報、及び前記ユーザの嗜好に関する情報に基づいて、前記位数決定手段によって決定された位数までの順位であって施設からの到達時間の順位を領域で区分けした位数領域図を作成する位数領域図作成手段と、
前記位数領域図作成手段によって作成された位数領域図に基づいて、前記位数決定手段によって決定された位数の高位結晶成長ボロノイ図を作成する高位結晶成長ボロノイ図作成手段と、
前記高位結晶成長ボロノイ図作成手段によって作成された高位結晶成長ボロノイ図に基づいて、前記所定の領域内のそれぞれの地点における評価値を示す市街地評価地図を作成する市街地評価地図作成手段とを有することを特徴とする市街地評価装置。
【請求項2】
前記位数領域図作成手段は、施設を母点として障害物を迂回して仮想的に結晶成長させることによって前記位数領域図を作成することを特徴とする請求項1に記載の市街地評価装置。
【請求項3】
前記結晶成長の成長速度は、前記所定の領域における人口密度、及び前記ユーザの嗜好に応じた速度であることを特徴とする請求項2に記載の市街地評価装置。
【請求項4】
前記市街地評価地図作成手段は、施設の種類によって比重が異なる評価値を示す市街地評価地図を作成することを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の市街地評価装置。
【請求項5】
所定の領域における地図データ、前記所定の領域内における複数の施設の情報、及びユーザの嗜好に関する情報を入力する入力手段を有する市街地評価装置が行う市街地評価方法であって、
位数決定手段が、前記入力手段によって入力された前記所定の領域内における複数の施設の情報に基づいて、前記複数の施設の中から経路を考慮すべき施設の数を示す2以上の数値である位数を決定する位数決定工程と、
位数領域図作成手段が、前記所定の領域における地図データ、前記複数の施設の情報、及び前記ユーザの嗜好に関する情報に基づいて、前記位数決定工程において決定された位数までの順位であって施設からの到達時間の順位を領域で区分けした位数領域図を作成する位数領域図作成工程と、
高位結晶成長ボロノイ図作成手段が、前記位数領域図作成工程において作成された位数領域図に基づいて、前記位数決定工程において決定された位数の高位結晶成長ボロノイ図を作成する高位結晶成長ボロノイ図作成工程と、
市街地評価地図作成手段が、前記高位結晶成長ボロノイ図作成工程において作成された高位結晶成長ボロノイ図に基づいて、前記所定の領域内のそれぞれの地点における評価値を示す市街地評価地図を作成する市街地評価地図作成工程とを有することを特徴とする市街地評価方法。
【請求項6】
請求項5に記載の市街地評価方法の各工程をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項7】
請求項6に記載のプログラムを記憶したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、地図上の施設の価値を評価するために用いて好適な市街地評価装置、市街地評価方法、そのプログラム及び当該プログラムを記憶した記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、施設の価値を評価するために、市街地評価地図が用いられている。例えば、その施設の価値は、病院やコンビニエンスストア、電車の駅などからの距離によって変動するものであり、市街地評価地図を用いて施設の価値(評価値)が算出される。また、都市計画により病院などの重要な施設を効率良く配置するためにも、市街地評価地図を用いて配置を決定することが行われている。
【0003】
市街地には、病院やコンビニエンスストアなど複数の施設が存在することから、これらの施設を考慮して評価値を算出する必要がある。そこで、例えば非特許文献1に開示されている高位離散ボロノイ図を応用することにより、複数の施設に対応した評価値を算出することができる。
【先行技術文献】
【0004】

【非特許文献1】渕田孝康,村島定行,渡邊貴史,森邦彦,栗園貢,"2次元離散画面上の高次のボロノイ図作成について",電子情報通信学会論文誌, J82-A(2), 283-288, 1999-02-25
【非特許文献2】小林 景,杉原 厚吉,"乗法重みつき結晶成長ボロノイ図の近似構成法とその応用",電子情報通信学会論文誌, J83-A(12), 1495-1504, 2000-12-25
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、市街地における経路は、道路や橋の状況によって決定されることから、単純に病院等の重要施設からの距離によって評価値を算出すると、適正な評価値が得られない場合がある。例えば、病院が川の反対側に存在し、距離としては100m程度しかないような場合であっても、橋までの距離が長いような場合は、実際に病院へたどり付くまで多くの時間がかかり、評価値が低くなる。従来の市街地評価地図では、単純に施設までの距離を基に作成されているため、評価値の信頼度が不十分であった。
【0006】
そこで、例えば非特許文献2に開示されている高速前進法を用いて、川などの障害物を迂回して最短距離を算出する結晶成長ボロノイ図を用いて評価値を算出することが考えられる。ところが、非特許文献2に記載の方法は、最も近い母点のみが考慮された方法であり、施設を母点とした場合に複数の施設を考慮して評価値を算出することができない。
【0007】
また、非特許文献1に記載の方法は、距離表を参照しながら母点を中心に同心円状に領域を拡大しているため、障害物を迂回するような場合には距離表を用いることができず、評価値を算出することができない。したがって、これらの2つの方法を組み合わせようとすると計算量が膨大となり、実現が困難である。
【0008】
本発明は前述の問題点に鑑み、評価値の信頼度の高い市街地評価地図を簡単に作成できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の市街地評価装置は、所定の領域における地図データ、前記所定の領域内における複数の施設の情報、及びユーザの嗜好に関する情報を入力する入力手段と、前記入力手段によって入力された前記所定の領域内における複数の施設の情報に基づいて、前記複数の施設の中から経路を考慮すべき施設の数を示す2以上の数値である位数を決定する位数決定手段と、前記所定の領域における地図データ、前記複数の施設の情報、及び前記ユーザの嗜好に関する情報に基づいて、前記位数決定手段によって決定された位数までの順位であって施設からの到達時間の順位を領域で区分けした位数領域図を作成する位数領域図作成手段と、前記位数領域図作成手段によって作成された位数領域図に基づいて、前記位数決定手段によって決定された位数の高位結晶成長ボロノイ図を作成する高位結晶成長ボロノイ図作成手段と、前記高位結晶成長ボロノイ図作成手段によって作成された高位結晶成長ボロノイ図に基づいて、前記所定の領域内のそれぞれの地点における評価値を示す市街地評価地図を作成する市街地評価地図作成手段とを有することを特徴とする。
【0010】
本発明の市街地評価方法は、所定の領域における地図データ、前記所定の領域内における複数の施設の情報、及びユーザの嗜好に関する情報を入力する入力手段を有する市街地評価装置が行う市街地評価方法であって、位数決定手段が、前記入力手段によって入力された前記所定の領域内における複数の施設の情報に基づいて、前記複数の施設の中から経路を考慮すべき施設の数を示す2以上の数値である位数を決定する位数決定工程と、位数領域図作成手段が、前記所定の領域における地図データ、前記複数の施設の情報、及び前記ユーザの嗜好に関する情報に基づいて、前記位数決定工程において決定された位数までの順位であって施設からの到達時間の順位を領域で区分けした位数領域図を作成する位数領域図作成工程と、高位結晶成長ボロノイ図作成手段が、前記位数領域図作成工程において作成された位数領域図に基づいて、前記位数決定工程において決定された位数の高位結晶成長ボロノイ図を作成する高位結晶成長ボロノイ図作成工程と、市街地評価地図作成手段が、前記高位結晶成長ボロノイ図作成工程において作成された高位結晶成長ボロノイ図に基づいて、前記所定の領域内のそれぞれの地点における評価値を示す市街地評価地図を作成する市街地評価地図作成工程とを有することを特徴とする。
【0011】
本発明のプログラムは、前記市街地評価方法の各工程をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0012】
本発明の記憶媒体は、前記プログラムを記憶したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、簡単に高位結晶成長ボロノイ図を作成することができ、評価値の信頼度の高い市街地評価地図を簡単に作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態における市街地評価装置の機能構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る市街地評価装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係る市街地評価装置による市街地評価地図の作成手順の一例を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態において、施設(母点)ごとに1位~3位の領域を算出した位数領域図の一例を説明する図である。
【図5】本発明の実施形態において、同種の複数の施設が存在する場合の1位~3位の各母点の領域を示す図である。
【図6】本発明の実施形態において、高位結晶成長ボロノイ図の一例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態において、コンビニエンスストアに関する評価地図の一例を示す図である。
【図8】本発明の実施形態において、病院とコンビニエンスストアとの比重を同じにした場合の市街地評価地図の一例を示す図である。
【図9】本発明の実施形態において、病院とコンビニエンスストアとの比重が異なる場合の市街地評価地図の一例を示す図である。
【図10】本発明の実施形態において、具体的に道路のみを通行可能とした場合の市街地評価地図の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図2は、本実施形態に係る市街地評価装置100のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図2において、CPU201は、例えば、ROM202に記憶されたプログラムやデータを用いて、市街地評価装置100全体の制御を行う。

【0016】
ROM202には、変更を必要としない後述する処理を行うためのプログラムや各種のパラメータ等の情報などが格納されている。RAM203は、SDRAM、DRAMなどによって構成され、ROM202からロードされたプログラムやデータを一時的に記憶するエリアを備えるとともに、CPU201が各種の処理を行うために必要とするワークエリアを備える。

【0017】
表示装置204は、例えば、市街地評価装置100により作成された評価地図を表示したり、その他の情報を表示したりする装置であり、CPU201の制御に基づいて、各種のデータや各種の情報が出力される。通信I/F205は、市街地評価装置100と外部装置との間で行われる、各種のデータや各種の情報の送受信を司るものである。

【0018】
入力デバイス206は、例えば、マウスやキーボード等であり、例えばユーザが市街地評価装置100に対して各種の指示を行う際に操作され、当該指示をCPU201等に入力する。バス207は、CPU201、ROM202、RAM203、表示装置204、通信I/F205及び入力デバイス206を相互に通信可能に接続する。

【0019】
図1は、本実施形態における市街地評価装置100の機能構成例を示すブロック図である。以下、図3に示すフローチャートに従い、本実施形態に係る市街地評価装置100による市街地評価地図の作成手順について説明する。
図1において、本実施形態に係る市街地評価装置100は、入力部101、位数決定部102、位数領域図作成部103、高位結晶成長ボロノイ図作成部104、評価地図作成部105及び出力部106から構成されている。

【0020】
まず、ステップS301において、入力部101は、通信I/F205または入力デバイス206を介して、市街地評価地図を作成したい領域の地図データと、病院やコンビニエンスストアなどの施設情報と、その領域における人口分布及びユーザの嗜好に関する情報とを入力する。

【0021】
次に、ステップS302において、位数決定部102は、対象とする地図の領域、施設間の距離を考慮して、後述する高位結晶成長ボロノイ図の位数を決定する。対象とする施設の数がN箇所存在する場合には、1位~N位の高位結晶成長ボロノイ図を作成することができるが、全ての順位の高位結晶成長ボロノイ図を作成すると、処理に多くの時間がかかってしまう。例えば、対象としている地図の領域に、コンビニエンスストアが10店舗存在する場合には、ある地点から最も遠いコンビニエンスストアを利用することは稀であり、比較的近いコンビニエンスストアを利用するのが一般的である。このことを考慮し、3番目に近い施設までは利用する可能性があると仮定して、以下の説明では、位数を3に決定し、それ以下の高位結晶成長ボロノイ図を作成しないものとして説明する。

【0022】
次に、ステップS303において、位数領域図作成部103は、施設の種類ごとに、施設の位置を母点として結晶成長させ、位数ごとの領域を示す位数領域図を作成する。ここで、例えば川や大型施設など通行できない領域が存在する場合には、これらの障害物を迂回するように仮想的に結晶成長させて、母点からの領域を拡大する。具体的な作成方法としては、高速前進法、全探索法などを用いることができるが、本実施形態においては、例えば非特許文献2に記載されている高速前進法により結晶成長させるものとする。非特許文献2に記載されている高速前進法では、領域を拡大する過程で隣接する領域と衝突した場合は、それ以上に領域は拡大されないが、本実施形態では、結晶成長により境界部分で衝突した後は、2位以下の領域として結晶成長させる。これにより本実施形態では、図4に示すように、施設(母点)ごとに1位~3位の領域を算出した位数領域図401を作成する。順位の決定方法としては、同種の施設の中で、結晶成長によってその地点に到達した順序により決定される。

【0023】
ここで、結晶の成長速度については、施設の重要度及び対象としている領域の人口分布に基づいて設定する。施設の重要度は、入力されたユーザの嗜好に関する情報が考慮される。例えば、通院者の場合は、病院までの距離が近ければ近いほど好ましいことから、病院の重要度は高くなる。また、一般の通勤サラリーマンの場合は、電車の駅までの距離が近ければ近いほど好ましいことから、駅の重要度は高くなる。このように、ユーザの嗜好に基づいて施設の重要度をランク付けし、そのランクに従い結晶の成長速度を変化させる。例えば、ランク3の施設はランク1の施設に比べて3倍の成長速度に設定される。

【0024】
また、人口密度が高ければ高いほど、1つの施設でカバーできる範囲が狭くなることから、人口密度が高いほど成長速度を小さく設定し、人口密度に対応させる。ある施設を母点(i,j)とした場合のその施設の成長速度vijは、以下の式(1)により算出される。

【0025】
【数1】
JP0005818157B2_000002t.gif

【0026】
なお、式(1)中のPijは、規格化された人口密度(0≦Pij≦1)を表し、v0は、人口密度が0の場合の成長速度を表している。また、kは、最速に対する最遅の速度比(0<k≦1)を表している。

【0027】
高位結晶成長ボロノイ図において、各々の母点の領域は、対象とする空間全体に領域を拡大し得る。そのため、一般的な手法に基づいて高位結晶成長ボロノイ図を作成するためには、各々の母点について、拡大可能な全領域を求める必要がある。これに対して本実施形態では、位数領域図を用いることにより、その位数までの位数領域図があれば良く、拡大可能な全領域を求める必要はない。例えば3位の高位結晶成長ボロノイ図を求める際には、3位までの位数領域図があれば十分である。

【0028】
また、高位結晶成長ボロノイ図において、より高位の空間に領域を拡大する際、領域拡大が可能か否かを判定する必要がある。一般的には、K位の空間に拡大する際には、K-1~1位の空間上の対象とする点をすべて調べる必要がある。これに対し、位数領域図を用いた場合、確認作業は空間の位数に限らず対象とする点に関しては、1回で済む。

【0029】
次に、ステップS304において、高位結晶成長ボロノイ図作成部104は、位数領域図作成部103により作成された位数領域図を用いて高位結晶成長ボロノイ図を作成する。

【0030】
図5は、同種の複数の施設が存在する場合の1位~3位の各母点の領域を示す図であり、すべての施設(母点)に対する位数領域図を作成すると、順位ごとに領域を区分けすることができる。図5(a)には、1位の空間を示しており、結晶成長ボロノイ図と同様の分布となる。なお、図5に示す領域500は通行不可領域である。

【0031】
図5(b)は、2位の空間を示している。例えば、領域504は、母点501の2位の空間を示している。すなわち、領域504は、母点502の1位の空間であり、母点501の2位の空間である。同様に、領域503は、母点502の2位の空間であり、母点501の1位の空間でもある。

【0032】
図5(c)は、3位の空間を示している。例えば、領域506は、母点501の3位の空間を示しており、母点505の2位の空間でもあり、母点502の1位の空間でもある。

【0033】
高位結晶成長ボロノイ図作成部104は、これらの1位~3位の空間を用いて、例えば図6に示すように、母点601~605をそれぞれ1~5とした場合の3位の高位結晶成長ボロノイ図を施設の種類ごとに作成する。

【0034】
次に、ステップS305において、評価地図作成部105は、作成した高位結晶成長ボロノイ図を用いて、対象とする地図の全領域における評価値を算出し、順位による評価値の変化を反映させた評価地図を施設の種類ごとに作成する。評価値の算出方法としては、まず、対象とする地図内における任意の地点(x,y)の評価値val(x,y)を以下の式(2)より算出する。

【0035】
【数2】
JP0005818157B2_000003t.gif

【0036】
なお、式(2)中のtimeは、施設(母点)からの到達時間を示すものであり、成長速度から算出される。また、dは位数を示しており、本実施形態では1~3の何れかである。さらに、aはガウス関数の広がり易さを示し、bは評価の比重を示している。比重bについては、最も近い施設のみを重視する場合に比重bを大きくし、複数の施設を考慮する場合には比重bを小さくし、最小を1とする。

【0037】
図7は、コンビニエンスストアに関する評価地図の一例を示す図である。
図7(a)には、比重を設けない場合(比重b=1)の評価地図の一例を示しており、評価地図の右下側には施設(コンビニエンスストア)が複数並んでいるため、評価地図の右下側へ向かうに従って評価値が高くなる傾向にある。

【0038】
一方、図7(b)には、位数による比重を設けた場合(比重b=4)の評価地図の一例を示しており、図7(a)に示した例よりも、施設(コンビニエンスストア)に近いほど評価値は高くなる。例えば、図7(a)の丸印701に示す領域は、3番目に近い施設からの距離も十分に考慮されているため、評価値は比較的高くなるが、図7(b)に示す例では、最も近い施設まである程度の距離があるため、評価値は低くなる。また、図7(a)の丸印702に示す領域は、2番目及び3番目に近い施設からかなりの距離があるため、評価値が低くなるが、図7(b)に示す例では、最も近い施設が近傍にあるため、評価値はより高くなる。

【0039】
次に、ステップS306において、評価地図作成部105は、これらの施設ごとの評価地図を合成し、施設によって比重を設けた市街地評価地図を作成する。市街地評価地図を作成する方法としては、まず、式(2)により算出された施設の種類ごとの評価値val(x,y)に比重を設け、以下の式(3)より総合評価値V(x,y)を算出する。

【0040】
【数3】
JP0005818157B2_000004t.gif

【0041】
なお、式(3)中のvaliは、i番目の種類の施設の評価値val(x,y)を示し、比重rは、各施設の評価の重さを示している。ここで、比重rは、入力部101に入力されたユーザの嗜好の情報に基づいて決定される。図8には、病院とコンビニエンスストアとの比重を同じにした場合の市街地評価地図の一例を示している。また、図9(a)には、病院:コンビニエンスストア=4:1に設定した場合の市街地評価地図の一例を示している。さらに、図9(b)には、病院:コンビニエンスストア=1:4に設定した場合の市街地評価地図の一例を示している。

【0042】
図10は、具体的に道路のみを通行可能とした場合の市街地評価地図の一例を示す図である。図10に示す市街地評価地図では、病院とコンビニエンスストアとの比重を同じにした場合の例を示しており、総合評価値の低いエリアでは、総合評価値の高いエリアよりも不動産の価値が下がるなど、不動産の購入の際にユーザはより精密な市街地評価地図を参照することができる。また、例えば、病院の重要度を高くした市街地評価地図を作成した場合には、総合評価値の低いエリアに新たに病院を設けるなど、より効率の良い都市計画を立てることが可能になる。

【0043】
最後に、ステップS307において、出力部106は、作成した市街地評価地図のデータを表示装置204または通信I/F205を介して外部装置へ出力し、処理を終了する。

【0044】
以上のように本実施形態によれば、川や施設などの通行不可の領域を迂回することを考慮した市街地評価地図を作成することができる。これにより、施設をより高精度に評価することができ、不動産業界や都市計画などで有効に活用することができる。

【0045】
(本発明に係る他の実施形態)
前述した本発明の実施形態における市街地評価装置を構成する各手段、並びに市街地評価方法の各工程は、コンピュータのRAMやROMなどに記憶されたプログラムが動作することによって実現できる。このプログラム及び前記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は本発明に含まれる。

【0046】
また、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体等としての実施形態も可能であり、具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用してもよいし、また、一つの機器からなる装置に適用してもよい。

【0047】
なお、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラム(実施形態では図3に示すフローチャートに対応したプログラム)を、システムまたは装置に直接、または遠隔から供給する場合も含む。そして、そのシステムまたは装置のコンピュータが前記供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合を含む。

【0048】
したがって、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、前記コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。

【0049】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であってもよい。

【0050】
プログラムを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスクなどがある。さらに、MO、CD-ROM、CD-R、CD-RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD-ROM、DVD-R)などもある。

【0051】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続する方法がある。そして、前記ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、もしくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記憶媒体にダウンロードすることによっても供給できる。

【0052】
また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。

【0053】
また、その他の方法として、本発明のプログラムを暗号化してCD-ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせる。そして、その鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。

【0054】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される。さらに、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部または全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。

【0055】
さらに、その他の方法として、まず記憶媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。そして、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。
【符号の説明】
【0056】
101 入力部
102 位数決定部
103 位数領域図作成部
104 高位結晶成長ボロノイ図作成部
105 評価地図作成部
106 出力部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9