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明細書 :癌細胞領域抽出装置、方法、及びプログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5995215号 (P5995215)
公開番号 特開2013-238459 (P2013-238459A)
登録日 平成28年9月2日(2016.9.2)
発行日 平成28年9月21日(2016.9.21)
公開日 平成25年11月28日(2013.11.28)
発明の名称または考案の名称 癌細胞領域抽出装置、方法、及びプログラム
国際特許分類 G01N  33/48        (2006.01)
G01N  33/483       (2006.01)
G01N  21/27        (2006.01)
FI G01N 33/48 M
G01N 33/483 C
G01N 33/483 Z
G01N 21/27 A
請求項の数または発明の数 8
全頁数 24
出願番号 特願2012-110839 (P2012-110839)
出願日 平成24年5月14日(2012.5.14)
審査請求日 平成27年1月23日(2015.1.23)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000125370
【氏名又は名称】学校法人東京理科大学
発明者または考案者 【氏名】竹村 裕
【氏名】高橋 潤子
個別代理人の代理人 【識別番号】100079049、【弁理士】、【氏名又は名称】中島 淳
【識別番号】100084995、【弁理士】、【氏名又は名称】加藤 和詳
【識別番号】100099025、【弁理士】、【氏名又は名称】福田 浩志
審査官 【審査官】草川 貴史
参考文献・文献 特開2010-281636(JP,A)
特表2006-511794(JP,A)
特開2004-286666(JP,A)
特開2010-203949(JP,A)
特開2012-055493(JP,A)
特開2006-153742(JP,A)
特開2009-210409(JP,A)
特開2008-216066(JP,A)
国際公開第2010/041423(WO,A1)
米国特許出願公開第2010/0040276(US,A1)
調査した分野 G01N 33/48-33/98
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
特許請求の範囲 【請求項1】
HSV色空間において生体標本の背景領域と背景以外の背景外領域とが区別できるように、生体標本を撮像した生検画像を二値化した第1の二値化画像を生成する第1の画像生成手段と、
RGB色空間において細胞質領域及び赤血球領域と細胞質領域及び赤血球領域以外の細胞質等外領域とが区別できるように前記生検画像を二値化した第2の二値化画像を生成する第2の画像生成手段と、
前記第1の二値化画像と前記第2の二値化画像とを用いて、前記背景外領域と前記細胞質等外領域とを含む領域を細胞核領域として、該細胞核領域が前記背景領域と前記細胞質領域及び赤血球領域とから区別できるようにした第3の二値化画像を生成する第3の画像生成手段と、
前記第3の二値化画像における細胞核領域において癌細胞に該当しない正常細胞核の領域を示す第1の正常細胞核領域画像を生成する第4の画像生成手段と、
YCbCr色空間において癌細胞に該当しない正常細胞核の領域と正常細胞核以外の領域とが区別できるように前記生検画像を二値化した第2の正常細胞核領域画像を生成する第5の画像生成手段と、
前記第1の正常細胞核領域画像と前記第2の正常細胞核領域画像のいずれにおいても正常細胞核の領域とされていない領域を、癌細胞核からなる領域とした癌細胞領域画像を生成する第6の画像生成手段と、
を備えた癌細胞領域抽出装置。
【請求項2】
前記第1の画像生成手段は、HSV色空間における彩度を用いて予め定められた背景領域用の閾値に基づいて前記生検画像を二値化し、
前記第2の画像生成手段は、前記生検画像のピクセル毎にRGB色空間における青色を赤色で除算した後、予め定められたスケーリング補正値に基づいてスケーリングしてグレースケール画像を生成し、生成したグレースケール画像を、RGB色空間において予め定められた細胞質領域及び赤血球領域用の閾値に基づいて前記生検画像を二値化し、
前記第5の画像生成手段は、予め定められたスケーリング補正値に基づいてスケーリングしてグレースケール画像を生成し、生成したグレースケール画像を、YCbCr色空間における色差Crを色差Cbで除算して前記生検画像を二値化する
請求項1記載の癌細胞領域抽出装置。
【請求項3】
前記第5の画像生成手段で用いる前記スケーリング補正値は、
前記第1の画像生成手段で生成された前記第2の二値化画像における前記背景領域以外の前記生検画像における領域を対象としてHSV色空間における彩度で濃度平均を算出した値xを用いた式「300-x/3」で算出する
請求項2記載の癌細胞領域抽出装置。
【請求項4】
前記第4の画像生成手段は、予め定められた細胞核サイズ閾値以下の大きさの細胞核を含む領域を前記正常細胞核の領域とする
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の癌細胞領域抽出装置。
【請求項5】
前記第4の画像生成手段は、サポートベクターマシンを用いて前記正常細胞核を特定する
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の癌細胞領域抽出装置。
【請求項6】
前記第4の画像生成手段は、前記サポートベクターマシンにおいて、高次局所自己相関特徴量を用いたパターン識別を行い、前記サポートベクターマシンは、前記第3の画像生成手段により生成された第3の二値化画像の細胞核領域から算出された高次局所自己相関特徴量を用いてパターン識別を行い前記正常細胞核を特定する
請求項5記載の癌細胞領域抽出装置。
【請求項7】
HSV色空間において生体標本の背景領域と背景以外の背景外領域とが区別できるように、生体標本を撮像した生検画像を二値化した第1の二値化画像を生成する第1の画像生成手順と、
RGB色空間において細胞質領域及び赤血球領域と細胞質領域及び赤血球領域以外の細胞質等外領域とが区別できるように前記生検画像を二値化した第2の二値化画像を生成する第2の画像生成手順と、
前記第1の二値化画像と前記第2の二値化画像とを用いて、前記背景外領域と前記細胞質等外領域とを含む領域を細胞核領域として、該細胞核領域が前記背景領域と前記細胞質領域及び赤血球領域とから区別できるようにした第3の二値化画像を生成する第3の画像生成手順と、
前記第3の二値化画像における細胞核領域において癌細胞に該当しない正常細胞核の領域を示す第1の正常細胞核領域画像を生成する第4の画像生成手順と、
YCbCr色空間において癌細胞に該当しない正常細胞核の領域と正常細胞核以外の領域とが区別できるように前記生検画像を二値化した第2の正常細胞核領域画像を生成する第5の画像生成手順と、
前記第1の正常細胞核領域画像と前記第2の正常細胞核領域画像のいずれにおいても正常細胞核の領域とされていない領域を、癌細胞核からなる領域とした癌細胞領域画像を生成する第6の画像生成手順と、
を含む癌細胞領域抽出方法。
【請求項8】
コンピュータを、請求項1乃至請求項の何れか1項に記載の癌細胞領域抽出装置として機能させるためのプログラム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、癌細胞領域抽出装置、方法、及びプログラムに係り、特に、癌細胞領域の特定に好適な癌細胞領域抽出装置、方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像された病理組織標本画像(以下、生検画像ともいう)に対してコンピュータによる画像処理を行なうことで病理診断を支援する技術が種々提案されている。例えば、特許文献1の技術では、正常部位と癌部位をそれぞれ選択的に染色するような2種類の染料で病理標本を染色し、更にスペクトル画像からランベルト・ベールの法則を用いて染色濃度を評価し、癌細胞の有無を判定している。
【0003】
また、特許文献2では、病理標本画像から細胞核(以下単に核ともいう)と腔を抽出し、核同士の重なりや腔同士の距離を評価し、患部が良性であるか悪性であるかを判断している。
【0004】
また、特許文献3では、病理組織標本画像を画像処理することで、核と細胞質の分布を定量的に求め、求めた核と細胞質の正確な分布に基づいて病理診断を行う技術が記載されている。
【0005】
また、特許文献4においては、生検画像から間質領域、腺管領域、及び細胞核領域を分割する際に、各領域の形状に依存することなく、各領域の色情報および相対的な位置関係に基づいて、領域分割を自動的に行えるようにした技術が開示されている。
【0006】
また、非特許文献1の技術では、HE染色(ヘマトキシリン・エオジン染色)された病理標本のスペクトル画像を用い、各染料の染色濃度をランベルト・ベールの法則に従って、赤血球等の異物も考慮した上で定量的に評価している。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特表2001-525580号公報
【特許文献2】特開2001-59842号公報
【特許文献3】特開2004-286666号公報
【特許文献4】特開2009-210409号公報
【0008】

【非特許文献1】「分光透過率を用いた組織標本の分析-染色状態の定量化手法の検討」(藤井他、第3回デジタル生体医用画像の「色」シンポジウム)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
病理医は、上述のような病理診断支援技術の出力結果をもとに、病理標本の画像から対象となる領域を特定し、特定した領域において目視による癌細胞の診断を行なう。かかる診断は、画像上の微細の変異を見逃さないように病理医に対して長時間の集中を強いるため、病理標本における目的とする癌細胞の領域の特性精度を高める病理診断支援技術が求められている。
【0010】
しかしながら、生体組織は個体差が大きく、さらに、染色条件や観察条件の変動も考慮に入れる必要があり、病理組織標本画像から目的の領域を精度良く特定することは単純な画像処理では困難である。特に、癌細胞の部位では核のコントラストが低下することに加え、膨張した核同士が3次元的に重なり合って観察される為、癌細胞核を精度良く認識して癌細胞領域を特定することはさらに困難である。
【0011】
例えば、特許文献1では、癌部位と正常部位とを選択的に染色する染料の使用を前提とした癌部位判定方法を提供するが、病理学の領域で広く用いられているHE染色は単に核と細胞質を選択的に染色するのみであり、癌部位と正常部位とを選択できない。従って、癌部位に対する選択性を持つ染色を別途施す必要がある。
【0012】
また、非特許文献1では、単に、染色状態の良否判定や補正を目的として、HE染色標本のスペクトル画像にランベルト・ベールの法則を適用し、ヘマトキシリンとエオジンそれぞれの染色濃度を定量的に評価する技術が記載されているだけで、病理学的診断に関しての技術は開示されていない。
【0013】
また、特許文献2では、核および腔の形状や分布を用いて診断を行うことが記載されているが、核や腔を具体的にどのように特定するかは開示されていない。
【0014】
また、特許文献4では、生検画像から間質領域、腺管領域、細胞核領域などを分割することはできるが、生検画像における癌細胞領域を特定することはできない。
【0015】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、染色された生検標本のカラー生検画像から癌細胞核領域を精度良く特定することが可能な癌細胞領域抽出装置、方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明の癌細胞領域抽出装置は、HSV色空間において背景領域と背景以外の背景外領域とが区別できるように生検画像を二値化した第1の二値化画像を生成する第1の画像生成手段と、RGB色空間において細胞質領域及び赤血球領域と細胞質領域及び赤血球領域以外の細胞質等外領域とが区別できるように前記生検画像を二値化した第2の二値化画像を生成する第2の画像生成手段と、前記第1の二値化画像と前記第2の二値化画像とを用いて、前記背景外領域と前記細胞質等外領域とを含む領域を細胞核領域として、該細胞核領域が前記背景領域と前記細胞質領域及び赤血球領域とから区別できるようにした第3の二値化画像を生成する第3の画像生成手段と、前記第3の二値化画像における細胞核領域において癌細胞に該当しない正常細胞核の領域を示す第1の正常細胞核領域画像を生成する第4の画像生成手段と、YCbCr色空間において癌細胞に該当しない正常細胞核の領域と正常細胞核以外の領域とが区別できるように前記生検画像を二値化した第2の正常細胞核領域画像を生成する第5の画像生成手段と、前記第1の正常細胞核領域画像と前記第2の正常細胞核領域画像のいずれにおいても正常細胞核の領域とされていない領域を、癌細胞核からなる領域とした癌細胞領域画像を生成する第6の画像生成手段と、を備えている。
【0017】
このように、前記第4の画像生成手段と前記第5の画像生成手段の、各々異なる画像処理によって生成された第1の正常細胞核領域画像と第2の正常細胞核領域画像を用いて、それらのいずれにおいても正常な細胞核の領域として抽出されていない領域を癌細胞核からなる領域として抽出しているので、各々の画像処理で誤って抽出した正常な細胞領域を除去した上で、癌細胞領域を抽出することができる。
【0018】
なお、前記第1の画像生成手段は、HSV色空間における彩度を用いて予め定められた背景領域用の閾値に基づいて前記生検画像を二値化し、前記第2の画像生成手段は、前記カラー生検画像のピクセル毎にRGB色空間における青色を赤色で除算した後、予め定められたスケーリング補正値に基づいてスケーリングしてグレースケール画像を生成し、生成したグレースケール画像を、RGB色空間において予め定められた細胞質領域及び赤血球領域用の閾値に基づいて前記生検画像を二値化し、前記第5の画像生成手段は、予め定められたスケーリング補正値に基づいてスケーリングしてグレースケール画像を生成し、生成したグレースケール画像を、YCbCr色空間における色差Crを色差Cbで除算して前記生検画像を二値化する。
【0019】
また、前記第5の画像生成手段で用いる前記スケーリング補正値は、前記第1の画像生成手段で生成された前記第2の二値化画像における前記背景領域以外の前記生検画像における領域を対象としてHSV色空間における彩度で濃度平均を算出した値xを用いた式「300-x/3」で算出する。
【0020】
また、前記第4の画像生成手段は、予め定められた細胞核サイズ閾値以下の大きさの細胞核を含む領域を前記正常な細胞核の領域とする。
【0021】
また、前記第4の画像生成手段は、サポートベクターマシンを用いて前記正常な細胞核を特定する。
【0022】
また、前記第4の画像生成手段は、前記サポートベクターマシンにおいて、高次局所自己相関特徴量を用いたパターン識別を行い、前記サポートベクターマシンは、前記第3の画像生成手段により生成された第3の二値化画像の細胞核領域から算出された高次局所自己相関特徴量を用いてパターン識別を行い前記正常な細胞核を特定する。
【0023】
さらに、上記目的を達成するために、本発明の癌細胞領域抽出装置は、生検画像から癌細胞に該当しない正常細胞核の領域を示す第1の正常細胞核領域画像を生成する第1の正常細胞核領域画像生成手段と、YCbCr色空間において前記癌細胞に該当しない正常細胞核の領域と正常細胞核以外の領域とが区別できるように前記生検画像を二値化した第2の正常細胞核領域画像を生成する第2の正常細胞核領域画像生成手段と、前記第1の正常細胞核領域画像と前記第2の正常細胞核領域画像のいずれにおいても正常細胞核の領域とされていない領域を、癌細胞核からなる領域とした癌細胞領域画像を生成する癌細胞領域画像生成手段と、を備えている。
【0024】
なお、前記第2の正常細胞核領域画像生成手段は、予め定められたスケーリング補正値に基づいてスケーリングしてグレースケール画像を生成し、生成したグレースケール画像を、YCbCr色空間における色差Crを色差Cbで除算して前記生検画像を二値化する。
【0025】
また、前記第1の正常細胞核領域画像生成手段は、サポートベクターマシンを用いて、高次局所自己相関特徴量を用いたパターン識別を行い前記正常な細胞核を特定する。
【0026】
一方、上記目的を達成するために、本発明の癌細胞領域抽出方法は、HSV色空間において背景領域と背景以外の背景外領域とが区別できるように生検画像を二値化した第1の二値化画像を生成する第1の画像生成手順と、RGB色空間において細胞質領域及び赤血球領域と細胞質領域及び赤血球領域以外の細胞質等外領域とが区別できるように前記生検画像を二値化した第2の二値化画像を生成する第2の画像生成手順と、前記第1の二値化画像と前記第2の二値化画像とを用いて、前記背景外領域と前記細胞質等外領域とを含む領域を細胞核領域として、該細胞核領域が前記背景領域と前記細胞質領域及び赤血球領域とから区別できるようにした第3の二値化画像を生成する第3の画像生成手順と、前記第3の二値化画像における細胞核領域において癌細胞に該当しない正常細胞核の領域を示す第1の正常細胞核領域画像を生成する第4の画像生成手順と、YCbCr色空間において癌細胞に該当しない正常細胞核の領域と正常細胞核以外の領域とが区別できるように前記生検画像を二値化した第2の正常細胞核領域画像を生成する第5の画像生成手順と、前記第1の正常細胞核領域画像と前記第2の正常細胞核領域画像のいずれにおいても正常細胞核の領域とされていない領域を、癌細胞核からなる領域とした癌細胞領域画像を生成する第6の画像生成手順と、を含む。
【0027】
このように、前記第4の画像生成手順と前記第5の画像生成手順の、各々異なる画像処理によって生成された第1の正常細胞核領域画像と第2の正常細胞核領域画像を用いて、それらのいずれにおいても正常な細胞核の領域として抽出されていない領域を癌細胞核からなる領域として抽出しているので、各々の画像処理で誤って抽出した正常な細胞領域を除去した上で、癌細胞領域を抽出することができる。
【0028】
さらに、上記目的を達成するために、本発明の癌細胞領域抽出方法は、生検画像から癌細胞に該当しない正常細胞核の領域を示す第1の正常細胞核領域画像を生成する第1の正常細胞核領域画像生成手順と、YCbCr色空間において前記癌細胞に該当しない正常細胞核の領域と正常細胞核以外の領域とが区別できるように前記生検画像を二値化した第2の正常細胞核領域画像を生成する第2の正常細胞核領域画像生成手順と、前記第1の正常細胞核領域画像と前記第2の正常細胞核領域画像のいずれにおいても正常細胞核の領域とされていない領域を、癌細胞核からなる領域とした癌細胞領域画像を生成する癌細胞領域画像生成手順と、を含む。
【0029】
一方、上記目的を達成するために、本発明のプログラムは、コンピュータを、前記癌細胞領域抽出装置として機能させるためのプログラムであり、このプログラムをコンピュータに実行させることにより、各々異なる画像処理で誤って抽出した正常な細胞領域を除去した上で、癌細胞領域を抽出することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、各々異なる画像処理によって生成された第1の正常細胞核領域画像と第2の正常細胞核領域画像を用いて、それらのいずれにおいても正常な細胞核の領域とされていない領域を癌細胞核からなる領域としているので、各々の画像処理で誤って特定した正常な細胞領域を除去した上で、癌細胞領域を特定することができる。このように、本発明は、診断支援の段階で特定する癌細胞領域を小さく見積もることを防止してグレーゾーンを残せるため、病理医の診断前に断定的な癌細胞領域の特定を行わず、常に安全側の処理をすることできる。そして、これにより、染色された生検標本のカラー生検画像から癌細胞核領域を精度良く特定して病理医に提供することができるので、病理医の目視による癌細胞の診断の迅速化及び負荷を軽減させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】実施の形態に係る癌細胞領域抽出装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態に係る癌細胞領域抽出装置のコンピュータ構成例を示すブロック図である。
【図3】実施の形態に係る癌細胞領域抽出装置の処理対象となる全体の生検画像例を示す説明図である。
【図4】実施の形態に係る癌細胞領域抽出装置の処理対象となる癌細胞核を含む生検画像例を示す説明図である。
【図5】実施の形態に係る癌細胞領域抽出装置の処理対象となる小領域の生検画像例を示す説明図である。
【図6】実施の形態に係る癌細胞領域抽出装置における背景領域画像生成部で生成された2値化画像例を示す説明図である。
【図7】実施の形態に係る癌細胞領域抽出装置における細胞質・赤血球領域画像生成部で生成された2値化画像例を示す説明図である。
【図8】実施の形態に係る癌細胞領域抽出装置における細胞核領域画像生成部で生成された2値化画像例を示す説明図である。
【図9】実施の形態に係る癌細胞領域抽出装置における第1の正常細胞核領域画像生成部の処理対象となる生検画像例を示す説明図である。
【図10】実施の形態に係る癌細胞領域抽出装置における第1の正常細胞核領域画像生成部の処理結果で得られた生検画像例を示す説明図である。
【図11】実施の形態に係る癌細胞領域抽出装置における第2の正常細胞核領域画像生成部で生成された2値化画像例を示す説明図である。
【図12】実施の形態に係る癌細胞領域抽出装置による癌細胞領域特定手順例を示す説明図である。
【図13】実施の形態に係る癌細胞領域抽出装置の他の構成を示すブロック図である。
【図14】図13に示す癌細胞領域抽出装置における第1の正常細胞核領域画像生成部で学習用に用いるサンプルデータとしての生検画像例を示す説明図である。
【図15】図13に示す癌細胞領域抽出装置における第1の正常細胞核領域画像生成部のSVMによる処理結果で得られた生検画像例を示す説明図である。
【図16】図13に示す癌細胞領域抽出装置による癌領域マスクの生成手順例を示す説明図である。
【図17】図13に示す癌細胞領域抽出装置による癌細胞領域特定結果例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。本実施の形態に係る癌細胞領域抽出装置10は、図1に示される機能ブロックで表すことができる。また、これらの機能ブロックは、図2に示されるコンピュータのハードウェア構成により実現することができる。図2を参照してコンピュータの構成を説明する。

【0033】
図2に示す本実施の形態に係る癌細胞領域抽出装置10は、プログラムに基づき癌細胞領域抽出装置10の本実施の形態に係る処理を行うCPU(Central Processing Unit;中央処理装置)21と、CPU21による各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられるRAM(Random Access Memory)22と、各種制御プログラムや各種パラメータ等が予め記憶された記録媒体であるROM(Read Only Memory)23と、各種情報を記憶するために用いられるハードディスク24(図中「HDD」と記載)と、キーボードやマウス等からなる入力装置25と、ディスプレイ等からなる表示装置26と、LAN(Local Area Network)等を用いて通信を行う通信装置27と、外部に接続された画像情報提供装置20との間の各種情報の授受を司る外部インターフェイス部(図中、「外部IF」と記載)28と、を備えており、これらがシステムバスBUS29により相互に接続されて構成されている。

【0034】
CPU21は、RAM22、ROM23、及びハードディスク24に対するアクセス、入力装置25を介した各種情報の取得、表示装置26に対する各種情報の表示、通信装置27を用いた各種情報の通信処理、及び外部インターフェイス部28に接続された画像情報提供装置20を含む外部装置からの情報の入力等を、各々行うことができる。

【0035】
CPU21が、ハードディスク24に記憶された本実施形態に係る処理を制御するプログラムを、RAM22に読み込み実行することにより、図1に示す本実施の形態に係る癌細胞領域抽出装置10における、図1に示す各処理部の機能が実行される。

【0036】
このようなコンピュータ構成により、図1に示す本実施の形態に係る癌細胞領域抽出装置10が構成されている。なお、図1は機能ブロックとなる構成を表し、一方、図2はデバイス等の接続状態を表すものである。前記したように、機能ブロックとデバイス等とは有機的、かつ相互に関連して癌細胞領域抽出装置10を構成するものであり、以下、図1について詳細に説明する。

【0037】
癌細胞領域抽出装置10は、図2に示したコンピュータのハードウェアおよび制御プログラムを含むソフトウェアを利用して構成される機能として、色空間変換部11、背景領域画像生成部1、細胞質・赤血球領域画像生成部2、細胞核領域画像生成部3、第1の正常細胞核領域画像生成部4、第2の正常細胞核領域画像生成部5、及び癌細胞領域画像生成部6を備えている。なお、各部の処理状態は適宜に表示装置26に表示される。

【0038】
画像情報提供装置20には、染色された生検標本のカラーの生検画像が記憶されており、癌細胞領域抽出装置10は、外部インターフェイス部28を介して、画像情報提供装置20から、染色された生検標本のカラー生検画像を読み込み、当該生検画像から癌細胞核領域を特定する処理を行なう。

【0039】
癌細胞領域抽出装置10では、図3に例示する、病理標本を撮影して得られた生検画像30に対して、色空間変換部11において複数の色空間に変換し、これらの複数の色空間を用いた領域分割処理を行なうことで、癌細胞核領域を特定する。なお、複数の色空間は、HSV色空間変換部11a、RGB色空間変換部11b、及び、YCbCr色空間変換部11cを備えている。

【0040】
背景領域画像生成部1は、色相(H)、彩度(S)、及び明度(V)からなるHSV色空間において、彩度(S)を用いて生検画像30を二値化して、生検画像30における背景領域とその他の領域とが区別できるようにした二値化画像(以下背景領域画像ともいう)を生成する。

【0041】
細胞質・赤血球領域画像生成部2は、赤色(R)、緑色(G)、及び青色(B)からなるRGB色空間において、青色(B)を赤色(R)で除算して、生検画像30を二値化して、生検画像30における細胞質・赤血球領域とその他の領域とが区別できるようにした二値化画像(以下、細胞質・赤血球領域画像ともいう)を生成する。

【0042】
細胞核領域画像生成部3は、背景領域画像生成部1で生成された背景領域とその他の領域とを区別可能な二値化画像(背景領域画像)と、細胞質・赤血球領域画像生成部2で生成された細胞質・赤血球領域とその他の領域とを区別可能な二値化画像(細胞質・赤血球領域画像)とを、例えば重ね合わせることにより、生検画像30における細胞核領域からなる細胞核領域画像を生成する。なお、この際、背景領域と細胞質・赤血球領域とは同じ二値化の値、例えば、双方共に白とする。

【0043】
第1の正常細胞核領域画像生成部4は、生検画像30における、細胞核領域画像生成部3により生成された細胞核領域画像におけるその他の領域に対応する細胞核領域に対して、所定領域毎に、ラベリングやパターン識別等により正常な細胞核を識別する。例えば、64×64ピクセル領域毎に、ラベリングやパターン識別等により正常な細胞核を識別して、生検画像30における正常な細胞核を含む第1の正常細胞核領域を示す第1の正常細胞核領域画像を生成する。

【0044】
なお、第1の正常細胞核領域画像生成部4は、例えば、ラベリングにより、細胞核領域の生検画像30における各細胞核の大きさを求め、予め定められた細胞核サイズ閾値に基づいて、細胞核サイズ閾値以下の大きさの細胞核を正常な細胞核として識別する。

【0045】
あるいは、第1の正常細胞核領域画像生成部4は、高次局所自己相関特徴(HLAC)を用いたサポートベクターマシンによるパターン認識によって、生検画像30における正常な細胞核を識別する。

【0046】
第2の正常細胞核領域画像生成部5は、輝度信号と2つの色差信号からなるYCbCr色空間において、色差Crを他の色差Cbで除算して、生検画像30を二値化して、生検画像30における正常な細胞核領域としての第2の正常細胞核領域とその他の細胞核領域とを区別できるようにした二値化画像(以下、第2の正常細胞核領域画像ともいう)を生成する。

【0047】
そして、癌細胞領域画像生成部6は、第2の正常細胞核領域画像生成部5により生成された第2の正常細胞核領域画像と、第1の正常細胞核領域画像生成部4により生成された第1の正常細胞核領域画像とのいずれにおいても正常な細胞核の領域とされていない領域を癌細胞からなる癌細胞領域として特定し、生検画像30における癌細胞核領域画像を生成する。

【0048】
癌細胞領域抽出装置10は、このようにして癌細胞領域画像生成部6により生成された第3の癌細胞核領域画像を、生検画像30における最終的な癌細胞核領域を示す画像とし、当該画像を生検画像30に重ねて表示装置26で表示する。

【0049】
以下、各図を用いて、癌細胞領域抽出装置10の動作を詳細に説明する。

【0050】
図3に示す生検画像30は、胃リンパ節の病理画像であり、以下、癌細胞領域抽出装置10により、この生検画像30における癌細胞領域を特定する例を説明する。

【0051】
癌は、遺伝子が傷つくことで発生し、細胞の増殖、周囲にしみ出るように広がる浸潤、血管・リンパ管を通って身体中に広がる転移を伴う。図3の生検画像30は胃リンパ節で採集されたものであり、この生検画像30における癌細胞の有無により、どのリンパ節まで転移しているかを判別することができる。

【0052】
癌細胞は、細胞核が大きく、形が歪んでおり、かつ配列が不規則である等の特徴を有している。本例では、図4の高倍率で拡大した生検画像40に示すように、癌細胞の細胞核が正常細胞の細胞核より大きいことを利用して、癌細胞領域の特定を行なう。

【0053】
図4に示すように、癌細胞の核40aのサイズは、正常な細胞の核40bに比べて大きいという特徴を有することを利用して、本例の癌細胞領域抽出装置10では、癌細胞の核を含む領域と、正常な細胞の核を含む領域とに分割して、癌細胞の核を含む領域(癌細胞核領域)を特定する。

【0054】
以下、背景領域画像生成部1による背景領域とその他の領域との分割処理、細胞質・赤血球領域画像生成部2による細胞質・赤血球領域とその他の領域との分割処理について説明する。

【0055】
生検画像30,40は、胃リンパ節の顕微鏡写真であり、ヘマトキシリン・エオジン染色(以下HE染色ともいう)したリンパ節の細胞を撮影した画像である。このように細胞をHE染色した場合、例えば前述の特許文献4においても記載されているように、HSV色空間において、画像の彩度(S)に着目することにより背景領域と背景領域以外のその他の領域に区別した二値化画像を得ることができる。

【0056】
そこで、癌細胞領域抽出装置10では、例えば、図3における生検画像30の小領域を拡大した図5に示す生検画像50が外部インターフェイス部28を介して入力されると、図示していない記憶装置に一時記憶した後、読出し、色空間変換部11のHSV色空間変換部11aにおいて、生検画像50の色空間をHSV色空間に変換して、色変換した画像を背景領域画像生成部1に入力する。

【0057】
背景領域画像生成部1では、HSV色空間に変換された生検画像の彩度(S)成分に着目して予め定められた背景閾値に基づいて、閾値以上の領域の画素値を白(255)、閾値未満の画素値を0とすることにより、当該画像を二値化して、背景領域とその他の領域とを区別できるようした二値化画像(背景領域画像)を生成する。

【0058】
なお、本例では、例えば前述の特許文献4においても記載されている「大津の判別分析法(大津展之,“判別および最小2条基準に基づく自動しきい値設定方,”電子通信学会論文誌,Vol.63-D,no.4,pp.349-356,1980.)を利用して、閾値を固定値(30)として二値化する。

【0059】
このようにして、背景領域画像生成部1で二値化された画像の一例を図6に示す。図6の画像60の例では、背景領域60aの画素値が白色に変換されている。このようにして、背景領域60aが取得される。

【0060】
次に、癌細胞領域抽出装置10は、色空間変換部11のRGB色空間変換部11bにより生検画像50の色空間を赤色、緑色、及び青色からなるRGB色空間に変換して、細胞質・赤血球領域画像生成部2に入力する。細胞質・赤血球領域画像生成部2は、RGB色空間の青色(B)と赤色(R)をベースに細胞質・赤血球の領域と細胞核の領域の分割を行なう。

【0061】
すなわち、HE染色された生検画像50においては、細胞核は青紫、細胞質・赤血球は赤紫に染色されており、この色差に基づいて、細胞質・赤血球の領域と細胞核の領域の分割を行なう。

【0062】
本例では、まず、細胞質・赤血球領域画像生成部2は、RGB色空間において、スケーリング補正値として最大値、例えば255を固定値として用いて、スケーリングしてグレースケール画像を生成する。

【0063】
なお、このスケーリングに用いるパラメータは経験的に求められたものを用いる。また、RGB画像からのグレースケール化は、中間値法(middle value;R、G、Bの3つのうちの、最大値と最小値の2つを足して2で割ったものを利用してグレースケール化する)や、中央値法(median value method;R,G,Bのうち、最大でも最小でもない真中の大きさの値を選ぶ方法)などの公知技術があり、ここでの詳細な説明は行なわない。

【0064】
その後、生検画像50のピクセル毎に青色(B)を赤色(R)で除算して二値化(局所二値化)することで、細胞質・赤血球領域とその他の領域とを区別できるようにした二値化画像(細胞質・赤血球領域画像)を生成する。なお、ここでは、上述の「大津の判別分析法」を用いて、生成したグレースケール画像を、予め定められた細胞質・赤血球閾値に基づき二値化(局所二値化)することで、細胞質・赤血球領域とその他の領域とが区別できるようにした二値化画像(細胞質・赤血球領域画像)を生成する。

【0065】
このようにして、細胞質・赤血球領域画像生成部2で二値化された画像の一例を図7に示す。図7の画像70の例では、細胞質・赤血球領域70aの画素値が白色に変換され、その他の領域70bの画素値が黒色に変換されている。このようにして、細胞質・赤血球領域70aとその他の領域70bに分割される。

【0066】
そして、癌細胞領域抽出装置10は、細胞核領域画像生成部3により、背景領域画像生成部1で生成された画像60、及び細胞質・赤血球領域画像生成部2で生成された画像70を用いて、全ての細胞核が存在する領域を表す画像を生成する。

【0067】
例えば、背景領域画像生成部1で分割された画像60における背景領域60aを除いた画像と、細胞質・赤血球領域画像生成部2で分割された画像70における細胞質・赤血球領域70aを除いた細胞核領域70bからなる画像とを重ね合わせることで、全ての細胞核が存在する領域を表す二値化画像を生成する。

【0068】
図8においては、画像60と画像70とを重ね合わせることで得られた、全ての細胞核が存在する領域を表す画像80を示している。画像80においては、細胞核の領域80aが白色で示され、図6,7では白色であった背景領域と細胞質・赤血球の領域80bが黒色で示されている。

【0069】
この画像80においては、正常な細胞核と癌細胞核が含まれており、以下、画像80を用いて、正常な細胞核の領域と癌細胞核の領域とを分割する処理について説明する。

【0070】
このように、画像80を用いて、正常細胞核領域と癌細胞核領域とを分割する処理は、図1における第1の正常細胞核領域画像生成部4による処理であり、以下、第1の正常細胞核領域画像生成部4により、画像80を用いて、正常細胞核領域と癌細胞核領域とを区別できるように分割する処理を説明する。

【0071】
第1の正常細胞核領域画像生成部4では、図8の画像80において白色で示される細胞核の領域80aに対応する図5の生検画像50における領域内にある各細胞核を対象に、例えばラベリング処理により各細胞核の大きさを求め、予め定められた細胞核サイズ閾値以下の大きさの細胞核を正常な細胞核として特定し、特定した正常な細胞核を含む領域とその他の領域(癌細胞核領域)とが区別できるようにした第1の正常細胞核領域画像を生成し、生成した第1の正常細胞核領域画像を癌細胞領域画像生成部6に入力する。

【0072】
図9(a)及び図9(b)においては、第1の正常細胞核領域画像生成部4による正常な細胞核とその他の領域(癌細胞核領域)との識別処理動作を示しており、図9(a)においては、細胞核サイズ閾値以上の大きさの細胞核9aをその他の細胞核(癌細胞核)として識別し、図9(b)における細胞核サイズ閾値以下の大きさの細胞核9bを正常な細胞核として識別する。

【0073】
図10においては、図9(a)及び図9(b)で示した第1の正常細胞核領域画像生成部4により識別したその他の細胞核(癌細胞核)を含む領域を、生検画像に重ねて表示した画像例を示しており、図10においては、四角で囲まれた領域が、その他の細胞核(癌細胞核)を含む領域である。

【0074】
また、第1の正常細胞核領域画像生成部4では、図8における画像80を用いて、SVM(Support Vector Machine、サポートベクターマシン)のパターン識別により、正常細胞核領域と癌細胞核領域とを分割した画像を生成することでも良い。

【0075】
SVMは,V. Vapnik などによって提案されたパターン識別手法であり、「Corinna Cortes and Vladimir Vapnik. Support-Vector Networks. Machine Learning, Vol. 20,No. 3, pp. 273-297, 1995.」、「N. Cristianini and J. Shawe-Taylor. An introduction to Support Vector Machines. Cambridge University Press, 2000.」等において記載された公知の技術であり、ここでの詳細な説明はしない。

【0076】
なお、第1の正常細胞核領域画像生成部4では、SVMの処理において、HLAC(Higher-order Local Auto-Correlation、高次局所自己相関特徴)で算出される特徴量(高次局所自己相関特徴量)を用いたパターン識別を行い、その際、細胞核領域画像生成部3により生成された細胞核領域画像から高次局所自己相関特徴量を算出し、算出した高次局所自己相関特徴量を用いてSVMによるパターン識別を行い、正常な細胞核を特定する。

【0077】
なお、HLACは,コンピュータに画像をパターン(類型)として認識させ、当該パターンから外れている画像データを正常でないものとして検出する画像処理技術において用いられる公知の技術であり、HLACを用いた癌細胞の検出が行なわれている。

【0078】
このHLACでは、予め用意された多数の正常な細胞組織の並びパターンに対してHLACの特徴ベクトルを算出し、この特徴ベクトルを、細胞組織の正常であることの性質を表す特徴量として抽出する。そして、検査用の生件画像から抽出したHLAC特徴量と、予め抽出した正常であることを示す特徴量との逸脱量に基づき、正常な細胞を検出する。

【0079】
次に、第2の正常細胞核領域画像生成部5により、他の画像処理によって正常な細胞を含む領域を検出する処理について説明する。

【0080】
癌細胞領域抽出装置10は、図5における生検画像50が外部インターフェイス部28を介して入力されると、図示していない記憶装置に一時記憶した後に読出し、色空間変換部11のYCbCr色空間変換部11cにおいて、生検画像50の色空間を、輝度信号と2つの色差信号からなるYCbCr色空間に変換して、第2の正常細胞核領域画像生成部5に入力する。

【0081】
第2の正常細胞核領域画像生成部5は、生検画像50のYCbCr色空間において、色差Crを他の色差Cbで除算して、生検画像50における正常な細胞核領域とその他の細胞核領域とが区別できるように二値化して、正常な細胞核を含む領域を第2の正常細胞核領域とした第2の正常細胞核領域画像を生成して、生成した第2の正常細胞核領域画像を癌細胞領域画像生成部6に入力する。

【0082】
その際、第2の正常細胞核領域画像生成部5は、第2の正常細胞核領域画像に対して、例えば64×64ピクセルの小領域に分割して、各領域で平均をとり、平均が大きい領域を正常な細胞領域とする。

【0083】
なお、生検画像50を二値化する際、第2の正常細胞核領域画像生成部5は、生検画像50を予め定められたスケーリング補正値に基づいてスケーリングしてグレースケール画像を生成し、生成したグレースケール画像を閾値に基づいて二値化する。

【0084】
この第2の正常細胞核領域画像生成部5で用いるスケーリング補正値(Y)は、背景領域画像生成部1で生成された画像における背景領域以外の生検画像50における領域を対象としてHSV色空間における彩度(S)で濃度平均を算出した値xを用いた式「Y=300-x/3」により算出する。

【0085】
このようにして、スケーリング補正値を求める式「Y=300-x/3」において用いる値「x」を求めるのは、生検画像50のYCbCr色空間において、色差Crを他の色差Cbで除算した場合、生検画像50の染色濃度によって閾値が異なるためである。

【0086】
そこで、本例では、濃度の差が同様にしてでるHSV色空間の彩度(S)で濃度平均を求める。そして、この際、生検画像50に背景が多く含まれているか否かによって平均が大きく異なってくるので、生検画像50における背景以外の領域の濃度平均を「x」として求める。

【0087】
第2の正常細胞核領域画像生成部5における生検画像50の二値化処理は、細胞質・赤血球領域画像生成部2での二値化処理と同様に、上述の「大津の判別分析法」を用いて行なう。

【0088】
図11においては、第2の正常細胞核領域画像生成部5で生成された第2の正常細胞核領域画像を示しており、第2の正常細胞核領域画像生成部5で生成された第2の正常細胞核領域画像では、正常な細胞核のみが白い画像となる。なお、図11に示す第2の正常細胞核領域画像は、ガウシアンフィルタを施した画像である。

【0089】
このようにして第2の正常細胞核領域画像生成部5で生成された第2の正常細胞核領域画像は、癌細胞領域画像生成部6に入力される。

【0090】
癌細胞領域画像生成部6は、第1の正常細胞核領域画像生成部4で生成され入力された第1の正常細胞核領域画像と、第2の正常細胞核領域画像生成部5で生成され入力された第2の正常細胞核領域画像とを用いて、癌細胞領域画像を生成する。

【0091】
その際、癌細胞領域画像生成部6は、第1の正常細胞核領域画像と第2の正常細胞核領域画像の各々から、第1の正常領域マスクと第2の正常領域マスクを生成し、生成した第1の正常領域マスクと第2の正常領域マスクを重ね合わせることにより、最終的な正常領域マスクを生成し、そして、生成した最終的な正常領域マスクの領域以外の領域を癌細胞領域マスクとして生成する。

【0092】
このようにして生成された癌細胞領域マスクを生検画像50に重ねることにより、癌細胞領域マスクで覆われた領域が生検画像50における癌細胞領域として表示される。

【0093】
次に、図12を用いて、このような癌細胞領域抽出装置10の処理手順例を説明する。

【0094】
図12で示す癌細胞領域抽出装置10の処理は、図2におけるCPU21によりHDD24等に記憶されたプログラムに基づき行なわれるものである。

【0095】
ステップ1201では、開始する処理が、図1における背景領域画像生成部1、細胞質・赤血球領域画像生成部2、及び第2の正常細胞核領域画像生成部5のいずれの処理であるかを判別する。

【0096】
背景領域画像生成部1の処理であれば、ステップ1202,1203で、背景領域画像生成部1による生検画像からの背景領域画像の生成処理を行なう。

【0097】
細胞質・赤血球領域画像生成部2の処理であれば、ステップ1202,1204,1205で、細胞質・赤血球領域画像生成部2による生検画像からの細胞質・赤血球領域画像の生成処理を行なう。

【0098】
第2の正常細胞核領域画像生成部5の処理であれば、ステップ1202,1204,1206,1207で、第2の正常細胞核領域画像生成部5による生検画像からの第2の正常細胞核領域画像の生成処理を行なう。

【0099】
ステップ1208,1209では、背景領域画像生成部1の処理と細胞質・赤血球領域画像生成部2の処理が完了するのを待ち、ステップ1210では、図1における細胞核領域画像生成部3による細胞核領域画像の生成処理を行なう。

【0100】
ステップ1211,1212では、細胞核領域画像生成部3による処理が完了するのを待って、ステップ1213では、図1における第1の正常細胞核領域画像生成部4による第1の正常細胞核領域画像の生成処理を行なう。

【0101】
ステップ1214,1215では、第1の正常細胞核領域画像生成部4と第2の正常細胞核領域画像生成部5の処理が完了するのを待って、ステップ1216では、図1における癌細胞領域画像生成部6による癌細胞領域画像の生成処理を行ない、処理を終了する。

【0102】
このように、癌細胞領域抽出装置10では、第1の正常細胞核領域画像生成部4と第2の正常細胞核領域画像生成部5の、各々異なる画像処理によって生成された第1の正常細胞核領域画像と第2の正常細胞核領域画像を用いて、それらのいずれにおいても正常な細胞核の領域として抽出されていない領域を癌細胞核からなる領域として抽出している。このことにより、各々の画像処理で誤って抽出した正常な細胞領域を除去した上で、癌細胞領域を抽出することができる。

【0103】
次に、図13から図16を用いて、実施の形態に係る他の癌細胞領域抽出装置について説明する。

【0104】
図13に示す癌細胞領域抽出装置10aは、図1に示す癌細胞領域抽出装置10と同様に、図2に示すコンピュータ構成により構成されており、癌細胞領域抽出装置10aは、図2に示したコンピュータのハードウェアおよび制御プログラムを含むソフトウェアを利用して構成される機能として、色空間変換部11d、第1の正常細胞核領域画像生成部4a、第2の正常細胞核領域画像生成部5a、及び癌細胞領域画像生成部6aを備えている。なお、各部の処理状態は適宜に図2における表示装置26に表示される。

【0105】
画像情報提供装置20aには、図5に示す染色された生検標本のカラーの生検画像50が記憶されており、癌細胞領域抽出装置10aは、図2の外部インターフェイス部28を介して、画像情報提供装置20aから、染色された生検標本のカラー生検画像を読み込み、当該生検画像から癌細胞核領域を特定する処理を行なう。

【0106】
癌細胞領域抽出装置10aは、画像情報提供装置20aから、図5における生検画像50が外部インターフェイス部28を介して入力されると、図示していない記憶装置に一時記憶した後に読出し、第1の正常細胞核領域画像生成部4a及び色空間変換部11dに入力する。

【0107】
第1の正常細胞核領域画像生成部4aは、入力された生検画像50から癌細胞に該当しない正常細胞核の領域を示す第1の正常細胞核領域画像を生成し、生成した第1の正常細胞核領域画像を癌細胞領域画像生成部6aに入力する。

【0108】
なお、第1の正常細胞核領域画像を生成する際、第1の正常細胞核領域画像生成部4aは、上述したSVM(サポートベクターマシン)を用いて、高次局所自己相関特徴量(HLAC)を用いたパターン識別を行い正常な細胞核を特定する。

【0109】
色空間変換部11dは、YCbCr色空間変換部11eを備えており、YCbCr色空間変換部11eにおいて、生検画像50の色空間を、輝度信号と2つの色差信号からなるYCbCr色空間に変換して、第2の正常細胞核領域画像生成部5aに入力する。

【0110】
第2の正常細胞核領域画像生成部5aは、生検画像50のYCbCr色空間において、色差Crを他の色差Cbで除算して、生検画像50における正常な細胞核領域とその他の細胞核領域とが区別できるように二値化して、正常な細胞核を含む領域を第2の正常細胞核領域とした第2の正常細胞核領域画像を生成して、生成した第2の正常細胞核領域画像を癌細胞領域画像生成部6aに入力する。

【0111】
その際、第2の正常細胞核領域画像生成部5aは、第2の正常細胞核領域画像に対して、例えば64×64ピクセルの小領域に分割して、各領域で平均をとり、平均が大きい領域を正常な細胞領域とする。

【0112】
なお、生検画像50を二値化する際、第2の正常細胞核領域画像生成部5aは、生検画像50を予め定められたスケーリング補正値に基づいてスケーリングしてグレースケール画像を生成し、生成したグレースケール画像を閾値に基づいて二値化する。

【0113】
この第2の正常細胞核領域画像生成部5aで用いるスケーリング補正値(Y)は、図1における第2の正常細胞核領域画像生成部5と同様、図1の背景領域画像生成部1で生成された画像における背景領域以外の生検画像50における領域を対象としてHSV色空間における彩度(S)で濃度平均を算出した値xを用いた式「Y=300-x/3」により算出する。

【0114】
上述したように、このようにして、スケーリング補正値を求める式「Y=300-x/3」において用いる値「x」を求めるのは、生検画像50のYCbCr色空間において、色差Crを他の色差Cbで除算した場合、生検画像50の染色濃度によって閾値が異なるためである。

【0115】
そのため、本例においても、濃度の差が同様にしてでるHSV色空間の彩度(S)で濃度平均を求める。そして、この際、生検画像50に背景が多く含まれているか否かによって平均が大きく異なってくるので、生検画像50における背景以外の領域の濃度平均を「x」として求める。

【0116】
このような第2の正常細胞核領域画像生成部5aにおける生検画像50の二値化処理は、図1における第2の正常細胞核領域画像生成部5と同様に、上述の「大津の判別分析法」を用いて行なう。

【0117】
このようにして第2の正常細胞核領域画像生成部5aで生成された第2の正常細胞核領域画像は、癌細胞領域画像生成部6aに入力される。

【0118】
癌細胞領域画像生成部6aは、第1の正常細胞核領域画像生成部4aで生成され入力された第1の正常細胞核領域画像と、第2の正常細胞核領域画像生成部5aで生成され入力された第2の正常細胞核領域画像とを用いて、癌細胞領域画像を生成する。

【0119】
その際、癌細胞領域画像生成部6aは、第1の正常細胞核領域画像と第2の正常細胞核領域画像の各々から、第1の正常領域マスクと第2の正常領域マスクを生成し、生成した第1の正常領域マスクと第2の正常領域マスクを重ね合わせることにより、最終的な正常領域マスクを生成し、そして、生成した最終的な正常領域マスクの領域以外の領域を癌細胞領域マスクとして生成する。

【0120】
このようにして生成された癌細胞領域マスクを生検画像50に重ねることにより、癌細胞領域マスクで覆われた領域が生検画像50における癌細胞領域として表示される。

【0121】
図14において、第1の正常細胞核領域画像生成部4aにおいてSVMの学習に用いたサンプルデータ(学習用画像データ)例を示す。学習用画像データは,生検画像より識別対象を含んだ領域を摘出した画像と,その画像から識別器が識別すべき領域をマーキングしたものを一つの学習セットとして用いる。

【0122】
図15(a)及び図15(b)においては、これらのサンプルデータで学習したSVMによる、生検画像の判別結果を示している。図15(a)では、生検画像150aにおいて、正常細胞核領域150bと癌細胞核領域150cとが区別できるようにされている様子が示され、図15(b)では、生検画像150dにおいて、正常細胞核領域150eと癌細胞核領域150fとが区別されている様子が示されている。

【0123】
図16では、第1の正常細胞核領域画像生成部4a、第2の正常細胞核領域画像生成部5a、及び癌細胞領域画像生成部6aによるマスクの生成手順例を示しており、生検画像160aを用いて第2の正常細胞核領域画像生成部5aにより生成された画像に対して生成した正常領域マスク160b、及び生検画像160aを用いて第1の正常細胞核領域画像生成部4aにより生成された画像に対して生成した正常領域マスク160cから、癌領域マスク160dを生成して、生検画像160aと重ねて表示している。

【0124】
このようにして表示された画像により、病理医は、生検画像160aにおける癌細胞領域を容易に特定することができる。

【0125】
図17は、従来の技術による癌細部領域及び正常細胞領域の各々の検出結果と、癌細胞領域抽出装置10aによる検出結果とを示したものである。ここでは、293枚の生検画像を用いての、HLACのみによる癌細胞領域の特定結果及び組織別抽出法による癌細胞領域の特定結果と、癌細胞領域抽出装置10aによる癌細胞領域の特定結果とを比較した例を示している。

【0126】
図17に示すように、HLACによる癌細胞領域の特定結果(図中、「gray-HLAC」と記載)では、癌領域を正しく検出できた検出率(癌細胞領域検出率)は94.4%、正常な細胞領域を正しく検出できた検出率(正常領域検出率)は70.6%であった。また、組織別抽出法による癌細胞領域の特定結果による癌細胞領域の特定結果(図中、「組織別中抽出」と記載)では、癌細胞領域検出率は99.9%で高い検出率であるが、正常領域検出率は52.1%でかなり低い検出率であった。

【0127】
これに対して、癌細胞領域抽出装置10aでは、各々異なる画像処理によって生成された第1の正常細胞核領域画像と第2の正常細胞核領域画像を用いて、それらのいずれにおいても正常な細胞核の領域として抽出されていない領域を癌細胞核からなる領域として抽出しており、その結果、癌細胞領域の特定結果では、図中の丸付きの3で示すように、癌細胞領域検出率は94.4%で、HLACによる癌細胞領域の特定結果と同じであるが、正常領域検出率は82.0%と高い検出率を得ることができた。

【0128】
以上、例えば図1を用いて説明したように、癌細胞領域抽出装置10では、プログラムされたコンピュータ処理を実行することで実現される機能として、背景領域画像生成部1(第1の画像生成手段)、細胞質・赤血球領域画像生成部2(第2の画像生成手段)、細胞核領域画像生成部3(第3の画像生成手段)、第1の正常細胞核領域画像生成部4(第4の画像生成手段)、第2の正常細胞核領域画像生成部5(第5の画像生成手段)、及び、癌細胞領域画像生成部6(第6の画像生成手段)を備えている。

【0129】
そして、背景領域画像生成部1(第1の画像生成手段)により、染色された生検標本のカラー生検画像をHSV色空間において背景領域と背景領域以外の領域とが区別できるように生検画像を二値化した背景領域画像(第1の二値化画像)を生成し、細胞質・赤血球領域画像生成部2(第2の画像生成手段)により、RGB色空間において細胞質領域及び赤血球領域と細胞質領域及び赤血球領域以外の領域とが区別できるように生検画像を二値化した細胞質領域及び赤血球領域画像(第2の二値化画像)を生成する。

【0130】
また、細胞核領域画像生成部3(第3の画像生成手段)により、背景領域画像生成部1により生成された背景領域画像と細胞質・赤血球領域画像生成部2により生成された細胞質領域及び赤血球領域画像とを用いて、背景領域と細胞質領域及び赤血球領域を除去した、すなわち、背景領域以外の領域と細胞質領域及び赤血球領域以外の領域とからなる領域を細胞核領域として、細胞核領域が背景領域と細胞質領域及び赤血球領域から区別できるようにした細胞核領域画像(第3の二値化画像)を生成する。

【0131】
また、第1の正常細胞核領域画像生成部4(第4の画像生成手段)により、細胞核領域画像生成部3により生成された細胞核領域画像における細胞核領域に対応する生検画像の領域において正常な細胞核の領域を示す第1の正常細胞核領域画像を生成する。

【0132】
また、第2の正常細胞核領域画像生成部5(第5の画像生成手段)により、カラー生検画像をYCbCr色空間において正常な細胞核の領域と正常な細胞核以外の領域とが区別できるように生検画像を二値化した第2の正常細胞核領域画像を生成する。

【0133】
そして、癌細胞領域画像生成部6(第6の画像生成手段)により、第1の正常細胞核領域画像生成部4により生成された第1の正常細胞核領域画像と第2の正常細胞核領域画像生成部5により生成された第2の正常細胞核領域画像のいずれにおいても正常な細胞核の領域とされていない領域を、癌細胞核からなる領域とした癌細胞領域画像を生成する。

【0134】
また、例えば図13を用いて説明したように、癌細胞領域抽出装置10aでは、プログラムされたコンピュータ処理を実行することで実現される機能として、第1の正常細胞核領域画像生成部4a、第2の正常細胞核領域画像生成部5a、及び、癌細胞領域画像生成部6aを備えている。

【0135】
そして、第1の正常細胞核領域画像生成部4aにより、生検画像の領域において癌細胞に該当しない正常な細胞核の領域を示す第1の正常細胞核領域画像を生成する。

【0136】
また、第2の正常細胞核領域画像生成部5aにより、カラー生検画像をYCbCr色空間において癌細胞に該当しない正常な細胞核の領域と正常な細胞核以外の領域とが区別できるように生検画像を二値化した第2の正常細胞核領域画像を生成する。

【0137】
そして、癌細胞領域画像生成部6aにより、第1の正常細胞核領域画像生成部4aにより生成された第1の正常細胞核領域画像と第2の正常細胞核領域画像生成部5aにより生成された第2の正常細胞核領域画像のいずれにおいても正常な細胞核の領域とされていない領域を、癌細胞核からなる領域とした癌細胞領域画像を生成する。

【0138】
このように、癌細胞領域抽出装置10,10aでは、各々異なる画像処理によって生成された第1の正常細胞核領域画像と第2の正常細胞核領域画像を用いて、それらのいずれにおいても正常な細胞核の領域として抽出されていない領域を癌細胞核からなる領域として抽出しるので、各々の画像処理で誤って抽出した正常な細胞領域を除去した上で、癌細胞領域の抽出を行なうことができる。

【0139】
これにより、癌細胞領域抽出装置10,10aによれば、染色された生検標本を撮影して得られたレアカラー生検画像から癌細胞核領域を精度良く抽出して病理医に提供することができ、病理医の目視による癌細胞の診断の迅速化及び負荷を軽減させることが可能となる。

【0140】
なお、本発明は、上述した例に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。

【0141】
例えば、本実施形態においては、癌細胞領域抽出装置10,10aを個別の装置として構成した例を示しているが、生体標本を撮影して生検画像を生成する画像処理装置に癌細胞領域抽出装置10,10aを搭載する構成することでも良い。この場合、画像情報提供装置20も同じ装置内に搭載される。

【0142】
また、図2に示したコンピュータ構成において、本発明に係る各処理部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、各構成による処理が実行されても良いし、図示されていない通信機能を用いて、当該プログラムを読み込ませることでも良い。

【0143】
なお、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。

【0144】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されても良い。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。

【0145】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能を、コンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。

【0146】
また、本実施の形態に係る癌細胞領域抽出装置10,10aの図1に示した各処理部を、プログラムにより各機能の実行が可能なコンピュータで構成するものとしているが、論理素子回路からなるハードウェア構成とすることでも良い。

【0147】
また、癌細胞領域抽出装置10,10aのコンピュータ構成に関しても適宜にその構成内容を変更しても良い。

【0148】
このように、本発明を実施する形態例を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施の形態例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0149】
1 背景領域画像生成部
2 細胞質・赤血球領域画像生成部
3 細胞核領域画像生成部
4,4a 第1の正常細胞核領域画像生成部
5,5a 第2の正常細胞核領域画像生成部
6,6a 癌細胞領域画像生成部
10,10a 癌細胞領域抽出装置
11,11d 色空間変換部
11a HSV色空間変換部
11b RGB色空間変換部
11c,11e YCbCr色空間変換部
20,20a 画像情報提供装置
21 CPU
22 RAM
23 ROM
24 ハードディスク24(HDD)
25 入力装置
26 表示装置
27 通信装置
28 入出力インターフェイス部
29 システムバスBUS
30 生検画像
40 生検画像
40a 癌細胞の核
40b 正常な細胞の核
50 生検画像
60 画像(二値化画像)
60a 背景領域
70 画像(二値化画像)
70a 細胞質・赤血球領域
70b その他の領域
80 画像(二値化画像)
80a 細胞核の領域
80b 背景領域と細胞質・赤血球の領域
9a 細胞核サイズ閾値以上の大きさの細胞核
9b 細胞核サイズ閾値以下の大きさの細胞核
150a 生検画像
150b 正常細胞核領域
150c 癌細胞核領域
150d 生検画像
150e 正常細胞核領域
150f 癌細胞核領域
160a 生検画像
160b 第2の正常領域マスク
160c 第1の正常領域マスク
160d 癌領域マスク
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図6】
2
【図7】
3
【図8】
4
【図11】
5
【図12】
6
【図13】
7
【図17】
8
【図3】
9
【図4】
10
【図5】
11
【図9】
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【図10】
13
【図14】
14
【図15】
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【図16】
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