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明細書 :コンビナトリアル合成を行うための反応装置、コンビナトリアル合成システム、及びコンビナトリアル合成方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2013-240758 (P2013-240758A)
公開日 平成25年12月5日(2013.12.5)
発明の名称または考案の名称 コンビナトリアル合成を行うための反応装置、コンビナトリアル合成システム、及びコンビナトリアル合成方法
国際特許分類 B01J  19/00        (2006.01)
B01J   3/00        (2006.01)
B01J   3/04        (2006.01)
C01F   7/16        (2006.01)
C40B  40/18        (2006.01)
FI B01J 19/00 321
B01J 3/00 B
B01J 3/04 Z
C01F 7/16
C40B 40/18
請求項の数または発明の数 3
出願形態 OL
全頁数 8
出願番号 特願2012-115675 (P2012-115675)
出願日 平成24年5月21日(2012.5.21)
発明者または考案者 【氏名】藤本 憲次郎
【氏名】伊藤 滋
【氏名】森田 弘樹
出願人 【識別番号】803000115
【氏名又は名称】学校法人東京理科大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100106002、【弁理士】、【氏名又は名称】正林 真之
審査請求 未請求
テーマコード 4G075
4G076
Fターム 4G075AA23
4G075AA39
4G075BA02
4G075CA02
4G075CA65
4G075CA66
4G075DA02
4G075EA06
4G075EB13
4G075FB02
4G075FB04
4G075FC06
4G075FC09
4G075FC10
4G075FC17
4G076AA02
4G076AA18
4G076AB06
4G076BA38
4G076BA50
4G076BD04
4G076BH01
要約 【課題】加熱加圧条件下でコンビナトリアル合成を行うための反応装置、コンビナトリアル合成システム、及びコンビナトリアル合成方法を提供する。
【解決手段】試料が充填される複数の凹部が設けられた耐圧性の反応容器と、上記複数の凹部の開口部を塞ぐ蓋部と、上記反応容器に対して上記蓋部を固定するための固定手段と、を備え、上記固定手段によって上記反応容器と上記蓋部とが固定された状態で加圧することにより、上記凹部上に位置する部分の上記蓋部が上記凹部側に変形するよう構成されている反応装置を用いる。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
加熱加圧条件下でコンビナトリアル合成を行うための反応装置であって、
試料が充填される複数の凹部が設けられた耐圧性の反応容器と、
前記複数の凹部の開口部を塞ぐ蓋部と、
前記反応容器に対して前記蓋部を固定するための固定手段と、を備え、
前記固定手段によって前記反応容器と前記蓋部とが固定された状態で加圧することにより、前記凹部上に位置する部分の前記蓋部が前記凹部側に変形するよう構成されている反応装置。
【請求項2】
請求項1記載の反応装置と、加熱手段と、加圧手段とを備えるコンビナトリアル合成システム。
【請求項3】
請求項2記載のコンビナトリアル合成システムを用いたコンビナトリアル合成方法であって、
耐圧性の反応容器に設けられた複数の凹部に試料を充填し、前記複数の凹部の開口部を蓋部で塞ぐ工程と、
固定手段によって前記反応容器と前記蓋部とを固定する工程と、
前記凹部上に位置する部分の前記蓋部が前記凹部側に変形するまで加圧するとともに加熱する工程と、を含むコンビナトリアル合成方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、コンビナトリアル合成を行うための反応装置、コンビナトリアル合成システム、及びコンビナトリアル合成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンビナトリアル合成は、医薬等の有機材料の探索や、合金、超伝導体、誘電体等の無機材料の探索において、短時間に多数の材料探索ができる方法として有用である。この方法では、複数の反応を同時に行うことのできる容器が必要である。例えば、複数の凹部を有する樹脂製プレートにフィルムやガラスをカバーしたもの(特許文献1)やガラス製の試験管を複数の凹部を有するベースプレートに配置したもの(特許文献2)等が提案されている。従来行われているコンビナトリアル合成は、大気圧下又は真空下での反応を行うものであった。
【0003】
ところで、無機材料の分野においては、セラミックスや金属の粉末を高温高圧下で処理して高密度の焼結体を製造する方法や、高温高圧下で2種類以上の材料を拡散接合する方法等が開発されている。高温高圧下で処理する方法としては、熱間静水圧加圧法(HIP法)や温間静水圧加圧法(WIP法)が注目され、これらの処理を行うための容器も開発されている。例えば、HIP処理用に金属箔を重ね溶接したカプセルが提案されている(特許文献3)。しかし、この容器では、HIP処理後、容器を切断、解体しないと試料を取り出すことができないため、一度に複数の試料を入れると、反応後に容器を解体する作業が煩雑であった。また、一度に複数の異なる試料を入れて材料探索を行うには適していなかった。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2004-154648号公報
【特許文献2】特開2003-135977号公報
【特許文献3】特開平9-77566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高温高圧処理を利用した材料開発においても、コンビナトリアル合成を利用して、網羅的探索を行うことができれば、新材料の開発を効率的に行うことができる。そのためには、加熱加圧条件下でコンビナトリアル合成を行うための反応装置が必要である。
【0006】
本発明は、加熱加圧条件下でコンビナトリアル合成を行うための反応装置、コンビナトリアル合成システム、及びコンビナトリアル合成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ね、以下のような本発明を完成するに至った。
【0008】
(1)加熱加圧条件下でコンビナトリアル合成を行うための反応装置であって、試料が充填される複数の凹部が設けられた耐圧性の反応容器と、上記複数の凹部の開口部を塞ぐ蓋部と、上記反応容器に対して上記蓋部を固定するための固定手段と、を備え、上記固定手段によって上記反応容器と上記蓋部とが固定された状態で加圧することにより、上記凹部上に位置する部分の上記蓋部が上記凹部側に変形するよう構成されている反応装置。
【0009】
(2)(1)記載の反応装置と、加熱手段と、加圧手段とを備えるコンビナトリアル合成システム。
【0010】
(3)(2)記載のコンビナトリアル合成システムを用いたコンビナトリアル合成方法であって、耐圧性の反応容器に設けられた複数の凹部に試料を充填し、上記複数の凹部の開口部を蓋部で塞ぐ工程と、固定手段によって上記反応容器と上記蓋部とを固定する工程と、上記凹部上に位置する部分の上記蓋部が上記凹部側に変形するまで加圧するとともに加熱する工程と、を含むコンビナトリアル合成方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、加熱加圧条件下でコンビナトリアル合成を行うための反応装置、コンビナトリアル合成システムを提供することができる。また、本発明のコンビナトリアル合成システムを用いて、材料の合成をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】反応装置の一実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】固定治具を示す図であり、(a)は固定治具固定部の底面図と側断面図を示し、(b)は固定治具基台の平面図と側断面図を示す図である。
【図3】図1の反応装置を組み立てた側断面図である。
【図4】Mg(OH)とAl(OH)との反応物のX線回折スペクトルを示す図である。
【図5】Mg(OH)とAlOOHとの反応物のX線回折スペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
<反応装置>
図1は反応装置の一実施形態を示す分解斜視図である。図1において、反応装置10は、反応容器20と、金属箔30と、固定治具固定部40aと、固定治具基台40bと、を備える。
反応容器20は同じ大きさ、形状の複数の凹部21を有する。凹部21の数はコンビナトリアル合成で一度に行うことのできる反応の数に対応する。凹部21は、反応容器20の一つの面に均等に配置されることが好ましい。反応容器20は耐圧性、耐熱性、耐薬品性のある材料で作製され、真鍮、SUS316、白金等の金属類や、ジルコニア等のセラミックスが用いられる。

【0014】
金属箔30は、反応容器20の上面と同じ大きさ、形状のものであり、反応容器20の凹部21の開口部をすべて塞ぐものである。金属箔30の厚みは、30~300μmであり、好ましくは50~150μmであり、より好ましくは70~100μmである。金属箔は、耐薬品性、耐熱性があり、加圧によって、伸長する材料で作製され、SUS304、インコロイ800、ハステロイX等が用いられる。

【0015】
図2(a)には、図1の反応装置で用いる固定治具固定部40aについて、上に底面図、下に側断面図を示す。図2(b)には、固定治具基台40bについて、上に平面図、下に側断面図を示す。固定治具固定部40aと固定治具基台40bとは、同じ大きさ、形状を有する肉厚の金属板からなる。固定治具基台40bは片面に反応容器20の底面と略同寸の凹部42を有する。固定治具固定部40aは、中央に空洞43を有している。空洞43は、すべての凹部21が隠れない程度に反応容器20の外郭よりも一回り小さく開いている。固定治具固定部40aの底面には、空洞43の周囲に四角枠型の凸部44を有する。固定治具は、固定治具基台40bの凹部42よりも中心から離れた位置と、固定治具固定部40aの凸部よりも中心から離れた位置とに、同じ大きさ、同じ数のキリ穴41を有する。キリ穴41は市販のボルトを通すことのできる径を有し、固定治具固定部40aと固定治具基台40bとを重ね合わせたとき、同じ位置になるようにキリ穴が開いている。固定治具に用いられる金属板は、耐圧性、耐熱性を有する材料であれば特に限定されず、ステンレス鋼等が用いられる。

【0016】
図3は、図1の反応装置を組み立てた側断面図である。固定治具基台40bの凹部42に反応容器20を設置する。凹部21に秤量した試料を充填し、その上に金属箔30を反応容器20の上面の角と合わせてかぶせる。次いで、固定治具固定部40aの凸部44がある側を、金属箔と接する向きでのせる。このとき、凸部44が、反応容器20の外郭に合うようにし、更に固定治具基台40bのキリ穴41と固定治具固定部40bのキリ穴が垂直方向にそろうようにのせる。キリ穴41にボルト50を通し、ワッシャー51、ナット52を用いて締め付ける。このようにして反応装置10を組み立てる。

【0017】
なお、反応装置10は、図1~3で説明したものに限定されるものではない。例えば、金属箔は反応容器の上面と同じ大きさで同じ形状のものに限らず、反応容器の凹部を塞ぐことのできる形状であれば、反応容器よりも大きくても小さくてもよい。また、例えば、金属箔と反応容器を固定する方法は、固定治具固定部と固定治具基台との組み合わせに限らず、金属箔と反応容器とを直接ボルトやUバンド等で固定してもよい。

【0018】
<コンビナトリアル合成システム及びコンビナトリアル合成方法>
コンビナトリアル合成システムの一実施形態は、上記の反応装置10と、HIP装置とを備える。HIP装置は、200MPaまでの圧力と、2000℃までの温度を加えられる加熱加圧装置である。

【0019】
コンビナトリアル合成は、上記の反応装置10の固定治具基台40bを底側にして、HIP装置に設置し、加圧、加熱することによって行うことができる。上記反応装置10をHIP装置に設置して加圧すると、金属箔30は凹部21側に変形し、一つ一つの凹部21が個々の密閉容器の役割を果たすようになる。加圧とともに加熱を行うと、凹部21内に充填された試料が反応する。

【0020】
加圧加熱して反応を行った後、反応装置10を常温常圧の状態まで戻し、固定治具固定部40aをはずすと、金属箔30は容易に反応容器10から剥がれる。反応容器10を固定治具基台40bからはずし、コンビナトリアルX線回折装置等のコンビナトリアル物性評価装置の試料台に設置し、試料の移し変えを行うことなく、全試料の物性評価を行う。

【0021】
なお、反応装置10を加熱加圧する装置は、HIP装置に限らず、一般に用いられる熱源機器と加圧設備を備えたものであればよく、例えば、電気炉を備えたオートクレーブ等であってもよい。あるいは、窒化ホウ素等の媒体を介在させれば、ホットプレス等の一軸加圧装置を用いることもできる。
【実施例】
【0022】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0023】
[試験例1]
外形が縦35mm×横35mm×高さ5mmであり、直径4mm、深さ0.3mmの円柱形の凹部を、縦6列×横6列の36個有する真鍮製の反応容器を、図2(b)のように、35.05mm×35.05mmの凹部を有する固定治具基台に設置した。反応容器の凹部のうち、縦3列×横6列の18個には、Mg(OH):Al(OH)=1:2(モル比)の混合物を、残りの18個の凹部には、Mg(OH):AlOOH=1:2(モル比)の混合物を、各凹部に充填した。蓋部として縦35mm×横35mm×厚さ0.08mmのSUS304製の金属箔を反応容器の上に角を合わせてのせた。図2(a)のように、金属箔の周縁を押さえる2mm幅の凸面を有する固定治具固定部を、凸面の角と金属箔の角を合わせるようにのせた。図2(a)及び(b)に示した8つのキリ穴にボルトを入れ、ワッシャーとナットを用いて固定し、図3のような反応装置とした。
【実施例】
【0024】
上記の反応装置をHIP装置に設置し、Arガスで置換後、最高圧力200MPa、最高温度500℃まで、1時間かけて昇温、昇圧した。その後、1時間保持した後、冷却し、常温常圧に戻した。
反応容器と金属箔とを固定治具から取り出し、金属箔を反応容器から剥がしたところ、容易に剥がすことができた。反応生成物を反応容器の凹部に入れたまま、コンビナトリアル粉末X線回折装置に設置した。管球にCoを用い、加速電圧40kV、管電流200mA、走査範囲20~110°(2θ)、X線照射時間1分/1試料で測定した。
【実施例】
【0025】
Mg(OH)とAl(OH)との反応物のX線回折スペクトルを図4に、Mg(OH)とAlOOHとの反応物のX線回折スペクトルを図5に示した。いずれの試料でもMgAlに特徴的な回折ピークが観察され、36個のすべての凹部でMgAlが合成されたことが確認できた。図4(a)-8、13、図5(b)-5、6には、伸銅と見られる回折ピークも観察され、反応容器の真鍮中の銅に由来するものと考えられた。
【実施例】
【0026】
[参考例1]
秤量したMg(OH)とAl(OH)との混合物、Mg(OH)とAlOOHとの混合物を0.1Torr、120℃で4時間減圧乾燥した。それぞれ乾燥した混合物を厚さ0.01mmのSUS304箔に包み、SUS304製カプセルにいれ、TIG溶接して密封反応器とした。これをHIP装置に設置し、試験例1と同様に、200MPa、500℃で反応を行い、反応終了後、反応器を切断して、反応物を取り出した。試験例1と同様の条件でX線回折を行うと、反応物は、MgAlに特徴的な回折ピークを示した(日本セラミックス協会2011年年会 講演予稿集 2H04を参照)。
【符号の説明】
【0027】
10:反応装置
20:反応容器
21:凹部
30:金属箔
40a:固定治具固定部
40b:固定治具基台
41:キリ穴
42:凹部
43:空洞
44:凸部
50:ボルト
51:ワッシャー
52:ナット
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4