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明細書 :半導体装置の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2014-045024 (P2014-045024A)
公開日 平成26年3月13日(2014.3.13)
発明の名称または考案の名称 半導体装置の製造方法
国際特許分類 H01L  29/06        (2006.01)
H01L  21/203       (2006.01)
FI H01L 29/06 601D
H01L 21/203 M
請求項の数または発明の数 7
出願形態 OL
全頁数 31
出願番号 特願2012-185660 (P2012-185660)
出願日 平成24年8月24日(2012.8.24)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用申請有り 平成24年2月29日発行 公益社団法人応用物理学会発行の「2012年春季第59回応用物理学関係連合講演会[講演予稿集]」に発表
発明者または考案者 【氏名】原 紳介
【氏名】藤代 博記
【氏名】三木 裕文
【氏名】色川 勝己
出願人 【識別番号】803000115
【氏名又は名称】学校法人東京理科大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100079049、【弁理士】、【氏名又は名称】中島 淳
【識別番号】100084995、【弁理士】、【氏名又は名称】加藤 和詳
【識別番号】100099025、【弁理士】、【氏名又は名称】福田 浩志
審査請求 未請求
テーマコード 5F103
Fターム 5F103AA04
5F103BB04
5F103BB42
5F103DD01
5F103GG01
5F103GG10
5F103HH03
5F103PP03
要約 【課題】高密度に量子ドットを形成できる半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体単結晶基板上にGa等のIII族元素層を形成する工程と、その後、Ga等のIII族元素およびSb等のV族元素を照射してIII族元素層が形成された半導体単結晶基板上にGaSb等のIII—V族量子ドットを形成する工程と、を備える。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
半導体単結晶基板上にIII族元素層を形成する工程と、
その後、III族元素およびV族元素を照射して前記III族元素層が形成された半導体単結晶基板上にIII—V族量子ドットを形成する工程と、を備える半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記III族元素はGaであり、前記V族元素はSbである請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記半導体単結晶基板はSi基板である請求項2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記量子ドットを形成する面は(111)面である請求項3記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記Ga層は1/3原子層形成する請求項4記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記Ga層は√3×√3構造である請求項4記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
量子ドットを形成する工程は、350℃以上、400℃以下の温度で行う請求項4~6のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置の製造方法に関し、特に、量子ドットを備える半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体単結晶基板上にGaSb等の量子ドットを形成する研究が盛んに行われている(特許文献1参照)。しかしながら、従来は形成される量子ドットの密度が小さく、より高密度に量子ドットを形成できる方法が望まれていた。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2005-33129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の主な目的は、高密度に量子ドットを形成できる半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、
半導体単結晶基板上にIII族元素層を形成する工程と、
その後、III族元素およびV族元素を照射して前記III族元素層が形成された半導体単結晶基板上にIII—V族量子ドットを形成する工程と、を備える半導体装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、高密度に量子ドットを形成できる半導体装置の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、Si基板上にGa層を形成し、その後、第1層のGaSb層を形成した状態を説明するための概略断面図である。
【図2】図2は、Si基板上にGa層を形成し、その後、第1層のGaSb層を形成したときの、超高真空走査型トンネル顕微鏡による観察結果を示す図である。
【図3】図3は、Si基板上にGa層を形成し、その後、第1層のGaSb層を形成した後に、第2層以降のGaSb層を形成したときの、超高真空走査型トンネル顕微鏡による観察結果を示す図である。
【図4】図4は、Si基板上にGa層を形成し、その後、第1層のGaSb層を形成した後に、第2層以降のGaSb層を形成した状態を説明するための概略断面図である。
【図5】図5は、Si基板上にGa層を形成せずに、Si基板上に直接、第1層のGaSb層を形成した状態を説明するための概略断面図である。
【図6】図6は、Si基板上にGa層を形成せずに、Si基板上に直接、第1層のGaSb層を形成したときの、超高真空走査型トンネル顕微鏡による観察結果を示す図である。
【図7】図7は、Si基板上にGa層を形成し、その後、Si基板100を300℃としてGaSb層を形成したときの、超高真空走査型トンネル顕微鏡による観察結果を示す図である。
【図8】図8は、Si基板上にGa層を形成し、その後、Si基板100を300℃としてGaSb層を形成したときの、超高真空走査型トンネル顕微鏡による観察結果を模式的に示した概略断面図である。
【図9】図9は、Si基板上にGa層を形成し、その後、Si基板100を350℃としてGaSb層を形成したときの、超高真空走査型トンネル顕微鏡による観察結果を示す図である。
【図10】図10は、Si基板上にGa層を形成し、その後、Si基板100を350℃としてGaSb層を形成したときの、超高真空走査型トンネル顕微鏡による観察結果を模式的に示した概略断面図である。
【図11】図11は、Si基板上にGa層を形成し、その後、Si基板の温度を300℃として、Ga原子およびSb原子を同時に堆積させたものを原子間力顕微鏡で観察した結果を示す図である。
【図12】図12は、Si基板上にGa層を形成し、その後、Si基板の温度を350℃として、Ga原子およびSb原子を同時に堆積させたものを原子間力顕微鏡で観察した結果を示す図である。
【図13】図13は、Si基板上にGa層を形成し、その後、Si基板の温度を400℃として、Ga原子およびSb原子を同時に堆積させたものを原子間力顕微鏡で観察した結果を示す図である。
【図14】図14は、Si基板上にGa層を形成し、その後、Si基板の温度を450℃として、Ga原子およびSb原子を同時に堆積させたものを原子間力顕微鏡で観察した結果を示す図である。
【図15】図15は、Si基板上にGa層を形成しないで、Si基板の温度を300℃として、Si基板上に直接Ga原子およびSb原子を同時に堆積させたものを原子間力顕微鏡で観察した結果を示す図である。
【図16】図16は、Si基板上にGa層を形成しないで、Si基板の温度を350℃として、Si基板上に直接Ga原子およびSb原子を同時に堆積させたものを原子間力顕微鏡で観察した結果を示す図である。
【図17】図17は、Si基板上にGa層を形成しないで、Si基板の温度を400℃として、Si基板上に直接Ga原子およびSb原子を同時に堆積させたものを原子間力顕微鏡で観察した結果を示す図である。
【図18】図18は、Si基板上にGa層を形成しないで、Si基板の温度を450℃として、Si基板上に直接Ga原子およびSb原子を同時に堆積させたものを原子間力顕微鏡で観察した結果を示す図である。
【図19】図19は、Si基板上にGa層を形成し、その後、Si基板の温度を400℃として、Ga原子およびSb原子を同時に堆積させたものを原子間力顕微鏡で観察した結果を示す図である。
【図20】図20は、Si基板上にGa層を形成し、その後、Si基板の温度を400℃として、Ga原子およびSb原子を同時に堆積させたものを原子間力顕微鏡で観察したときに観察された切頂ピラミッド型の島状のドットを説明するための概略図である。
【図21】図21は、Si基板上にGa層を形成し、その後、Si基板の温度を400℃として、Ga原子およびSb原子を同時に堆積させたものを原子間力顕微鏡で観察したときに観察されたピラミッド型の島状のドットを説明するための概略図である。
【図22】図22は、Si基板上にGa層を形成し、その後、Si基板の温度を400℃として、Ga原子およびSb原子を同時に堆積させたものを原子間力顕微鏡で観察したときに観察されたピラミッド型の島状のドットを説明するための概略図である。
【図23】図23は、GaSb島(ドット)の形成温度と密度との関係を示すグラフである。
【図24】図24は、GaSb島(ドット)の形成温度と高さとの関係を示すグラフである。
【図25】図25は、GaSb島(ドット)の形成温度と大きさとの関係を示すグラフである。
【図26】図26は、Si基板上にGa層を形成し、その後、Si基板の温度を400℃とし、Sb原子とGa原子の比Sb/Gaを6.0として、Ga原子およびSb原子を同時に堆積させたものを原子間力顕微鏡で観察した結果を示す図である。
【図27】図27は、Si基板上にGa層を形成し、その後、Si基板の温度を400℃とし、Sb原子とGa原子の比Sb/Gaを9.0として、Ga原子およびSb原子を同時に堆積させたものを原子間力顕微鏡で観察した結果を示す図である。
【図28】図28は、Si基板上にGa層を形成し、その後、Si基板の温度を400℃とし、Sb原子とGa原子の比Sb/Gaを12.0として、Ga原子およびSb原子を同時に堆積させたものを原子間力顕微鏡で観察した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態を説明する。

【0009】
Ga用のクヌーセンセル(Knudsen-Cell)とSb用のクヌーセンセルとを備えた結晶成長用超高真空容器内に、Si(111)基板を設置した。結晶成長用超高真空容器内を超高真空(10-9Torr以下)にした状態で、以下の処理を行った。

【0010】
図1(A)に示すように、Si基板100を加熱してSi(111)清浄表面を形成した。その後、Si基板100を550℃にして、Ga用のクヌーセンセルのシャッターを開け、Ga原子を堆積させ、Ga層102を形成した。この状態を超高真空走査型トンネル顕微鏡(STM:Scanning Tunneling Microscope)で観察した。STM観察は、電解研磨タングステン探針を使用して室温で行った。以下のSTM観察も、全て電解研磨タングステン探針を使用して室温で行った。観察結果を図2(A)に示す。1/3原子層のGa層が形成されていた。Ga層は√3×√3構造であった。

【0011】
その後、図1(B)に示すように、Si基板100を300℃にして、Ga用のクヌーセンセルのシャッターとSb用のクヌーセンセルのシャッターとを開け、Ga原子およびSb原子を同時に堆積させた。Sb原子とGa原子の比Sb/Gaは4.4とした。このようにして、第1層のGaSb層111を形成した。この状態をSTMで観察した。観察結果を図2(B)に示す。GaSb層111は表面全面に形成されていた。第1層のGaSb層111は3×3構造であった。

【0012】
その後、Si基板100を300℃とし、Ga用のクヌーセンセルのシャッターとSb用のクヌーセンセルのシャッターとを開けて、Ga原子およびSb原子を同時に堆積させ、GaSb層の成長を続けた。Sb原子とGa原子の比Sb/Gaは4.4とした。成長後の状態をSTMで観察した。観察結果を図3(A)~3(C)に示す。また、図3(B)の状態を模式的に図4に示す。

【0013】
図3(A)、図4に示すように、第1層のGaSb層111上に第2層のGaSb層112が2次元核成長した。第2層のGaSb層112は3×3構造であった。さらに成長を続けると、図3(B)、図4に示すように、第2層のGaSb層112上に第3層のGaSb層113が2次元核成長した。第2層のGaSb層113は、Siの格子定数と一致しない、多少歪んだ2×2構造であった。さらに成長を続けると、図3(C)に示すように、ドーム状のGaSbドットが形成された。

【0014】
比較のために、図5(A)、図6(A)に示すように、Si基板100を加熱してSi(111)清浄表面を形成した。その後、Ga層を形成することなく、Si基板100を300℃にして、Ga用のクヌーセンセルのシャッターとSb用のクヌーセンセルのシャッターとを開け、Ga原子およびSb原子を同時に堆積させた。Sb原子とGa原子の比Sb/Gaは4.4とした。この状態をSTMで観察した。観察結果を図5(B)、図6(B)に示す。Si基板100の表面に第1層のGaSb層151が形成されていたが、その周囲には、Sb層152が形成されていた。

【0015】
図7(A)~7(E)は、上記と同じ条件でSi(111)上にGa層を形成し、その後、Si基板100を300℃とし、上記と同じ条件で、Ga原子およびSb原子を同時に堆積させ、STMで観察した結果を示した図である。図8(A)~8(E)は、図7(A)~7(E)の観察結果を模式的に示した図である。

【0016】
図7(A)、図8(A)に示すように、Si基板100上にGa層102を形成した。Ga層102は、1/3原子層が形成されていた。Ga層102は√3×√3構造であった。図7(B)、図8(B)に示すように、その後成長した1層目のGaSb層111は表面全面に形成されていた。図7(C)、図8(C)に示すように、その後、第1層のGaSb層111上に第2層のGaSb層112が島状に成長した。さらに成長を続けると、図7(D)、図8(D)に示すように、第2層のGaSb層112上に第3層のGaSb層113が島状に成長した。さらに成長を続けると、図7(E)、図8(E)に示すように、ドーム状のGaSbドット140が形成された。

【0017】
図9(A)~9(E)は、上記と同じ条件でSi(111)上にGa層を形成し、その後、Si基板100を350℃とし、Sb原子とGa原子の比Sb/Gaを9.3とし、それ以外は上記と同じ条件で、Ga原子およびSb原子を同時に堆積させ、STMで観察した結果を示した図である。図10(A)~10(E)は、図9(A)~9(E)の観察結果を模式的に示した図である。

【0018】
図9(A)、図10(A)に示すように、Si基板100上にGa層102を形成した。Ga層102は、1/3原子層が形成されていた。Ga層102は√3×√3構造であった。図9(B)、図10(B)に示すように、その後成長した1層目のGaSb層111は表面全面に形成されていた。図9(C)、図10(C)に示すように、その後、第1層のGaSb層111上に第2層のGaSb層122が島状に成長し、ある割合の第2層のGaSb層122上に第3層のGaSb層123が島状に成長した。さらに成長を続けると、図9(D)、図10(D)に示すように、第2層のGaSb層122上に第3層のGaSb層123が島状に成長し、ある割合の第3層のGaSb層123上に第4層のGaSb層124が島状に成長した。さらに成長を続けると、図9(E)、図10(E)に示すように、第3層のGaSb層123上に第4層のGaSb層124が島状に成長し、ある割合の第4層のGaSb層124上に第5層のGaSb層125が島状に成長し、GaSb層122~124からなるドット140およびGaSb層122~125からなるドット141を形成した。

【0019】
Si基板100の温度が300℃では、4層目からドーム状のGaSbドット140が形成された。ドーム状のGaSbドット140は結晶面が表れておらず、結晶性は悪いと考えられる。これに対して、Si基板100の温度が350℃では、4層目以上も層状に成長しており、形成されたドット140、141は、安定なファセット面が形成されており、頂部が切れた(切頂)ピラミッド形状となっており、Si基板100と配向した結晶性のよいドットが形成されている。このように、350℃以上で成長形態が変化していることがわかった。

【0020】
次に、Si(111)上にGa層を形成し、その後、Ga原子およびSb原子を同時に堆積させた場合と、次に、Si(111)上にGa層を形成しないで、Si(111)上に直接Ga原子およびSb原子を同時に堆積させた場合と、を比較する。Si基板の温度をそれぞれ300℃、350℃、400℃、450℃とし、Sb原子とGa原子の比Sb/Gaを9.3とした。

【0021】
図11~14は、Si(111)上にGa層を形成し、その後、Si基板の温度をそれぞれ300℃、350℃、400℃、450℃として、Ga原子およびSb原子を同時に堆積させたものを原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscopy)で観察した結果をそれぞれ示している。図15~18は、Si(111)上にGa層を形成しないで、Si基板の温度をそれぞれ300℃、350℃、400℃、450℃として、Si(111)上に直接Ga原子およびSb原子を同時に堆積させたものをAFMで観察した結果をそれぞれ示している。

【0022】
Si基板の温度が300℃では、Ga層を形成したもの(図11参照)も、Ga層を形成しなかったもの(図15参照)も、GaSbはアモルファス状に成長してしまい、結晶性は悪かった。

【0023】
Si基板の温度が350℃では、Ga層を形成したもの(図12参照)では、規則的に比較的形状の整った量子ドットが形成されている。Ga層を形成しなかったもの(図16参照)では、密度的にはGa層を形成したものに比べて少し少ない程度であるが、形状は非常に乱雑で、高い山があったり、低い山があったりし、ドーム状の量子ドットが多く形成されている。

【0024】
Si基板の温度が400℃では、Ga層を形成したもの(図13参照)では、結晶性がいいと考えられるピラミッドの量子ドットが高密度に成長している。Ga層を形成しなかったもの(図17参照)では、ドーム状のドットが疎に形成されている。

【0025】
Si基板の温度が450℃では、Ga層を形成したもの(図14参照)も、Ga層を形成しなかったもの(図18参照)も、ドーム状ドットが疎に形成されているのみである。

【0026】
以上より、Si基板の温度が350~400℃では、Ga層を形成したもの(図12参照)では、比較的形状の整った量子ドットが規則的に高密度に形成されていることがわかる。

【0027】
図19は、Si(111)上にGa層を形成し、その後、Si基板の温度を400℃として、Ga原子およびSb原子を同時に堆積させたものをAFMで観察した結果を示している。400℃で形成されているドットとしては、図20に示すように、(頂点が削られた)切頂ピラミッド型の島状のドットが多い。なお、図21、22に示すように、頂点が削られていない、ピラミッド形状のドットも存在する。また、ファセット面も統一性がよく、かつ結晶性がいいものができていることがわかる。

【0028】
図23は、Si(111)上にGa層を形成し、その後、Si基板の温度をそれぞれ300℃、350℃、400℃、450℃として、Ga原子およびSb原子を同時に堆積させたものをSTMで観察した結果から得られたGaSb島(ドット)の密度(実線)と、Si(111)上にGa層を形成しないで、Si基板の温度をそれぞれ300℃、350℃、400℃、450℃として、Si(111)上に直接Ga原子およびSb原子を同時に堆積させたものをAFMで観察した結果から得られたGaSb島(ドット)の密度(破線)と、を示すグラフである。先にSi(111)上にGa層を形成した場合(実線)には、特に、350℃~400℃で高密度にGaSb島(ドット)が形成されていることがわかる。

【0029】
図24は、Si(111)上にGa層を形成し、その後、Si基板の温度をそれぞれ300℃、350℃、400℃、450℃として、Ga原子およびSb原子を同時に堆積させたものをAFMで観察した結果から得られたGaSb島(ドット)の高さ(実線)と、Si(111)上にGa層を形成しないで、Si基板の温度をそれぞれ300℃、350℃、400℃、450℃として、Si(111)上に直接Ga原子およびSb原子を同時に堆積させたものをAFMで観察した結果から得られたGaSb島(ドット)の高さ(破線)と、を示すグラフである。先にSi(111)上にGa層を形成した場合(実線)の方が、高さのバラツキが少なく、均一な高さのGaSb島(ドット)が形成されており、特に、350℃~400℃で、高さのバラツキが少ないことがわかる。

【0030】
図25は、Si(111)上にGa層を形成し、その後、Si基板の温度をそれぞれ300℃、350℃、400℃、450℃として、Ga原子およびSb原子を同時に堆積させたものをSTMで観察した結果から得られたGaSb島(ドット)の大きさ(実線)と、Si(111)上にGa層を形成しないで、Si基板の温度をそれぞれ300℃、350℃、400℃、450℃として、Si(111)上に直接Ga原子およびSb原子を同時に堆積させたものをAFMで観察した結果から得られたGaSb島(ドット)の大きさ(破線)と、を示すグラフである。先にSi(111)上にGa層を形成した場合(実線)の方が、大きさのバラツキが少なく、均一な大きさのGaSb島(ドット)が形成されており、特に、350℃~400℃で、大きさのバラツキが少ないことがわかる。

【0031】
次に、Si(111)上にGa層を形成し、その後、Si基板の温度を400℃とし、Sb原子とGa原子の比Sb/Gaをそれぞれ6.0、9.0、12.0として、Ga原子およびSb原子を同時に堆積させたものをAFMで観察した。図26は、Sb/Gaを6.0とした場合、図27は、Sb/Gaを9.0とした場合、図28は、Sb/Gaを12.0とした場合を示している。Sbの比を上げていく程、より高密度なGaSb島(ドット)が形成されていることがわかる。なお、温度が400℃なので、凝集して大きいドットが少しできてしまう(白く大きいドット)が、いずれの場合も、その下には3角形状のドットが高密度に形成されていることがわかる。

【0032】
以上のように、Si(111)上にGa層を形成し、その後、Ga原子およびSb原子を同時に堆積させると、GaSbの量子ドットが高密度に形成されることがわかる。特に、GaSb量子ドットの形成時のSi基板の温度が350℃~400℃では、高密度かつ大きさ、形状が揃った、しかも結晶性優れたGaSb量子ドットが形成されていることがわかる。

【0033】
このように、Si基板上にGaSb等のIII—V族化合物半導体の量子ドットを高密度に形成できれば、量子ドットを利用して発光素子や受光素子を形成する際の発光特性を向上させ、発光強度を向上させ、受光素子の感度を向上させることができる。また、Si基板と一体化することにより、Si基板に形成したIC等と発光素子や受光素子を一体化できる。

【0034】
上記のように、Si基板上にGa層を形成し、その後、Ga原子およびSb原子を同時に堆積させると、Si基板上に均一なGaSb単原子層膜が形成され(図1、2参照)、このGaSb単原子層膜がStranski-Krastanov(S-K)成長モードにおけるぬれ層としての役割を果たしている。S-K成長モードは、二次元的構造(ぬれ層)から三次元的構造(島状構造)に変化する結晶成長モードであり、この成長モードは、基板(Si)と成長層(GaSb)の格子定数不整合が大きい(SiとGaSbでは10%程度と大きい)ときに多く見られるモードである。これに対して、Ga層を形成せずにGaSbを成長した場合、Si基板上からぬれ層なしで三次元核が成長するVolmer-Weber(V-W)成長モードとなる(図3、4参照)。Ga層を形成することによって、結晶成長様式をV-WモードからS-Kモードへ移行させていると考えられる。

【0035】
なお、上記実施の形態または実施例では、III族元素としてGaを用いたが、これに限定されることなく、Al等のIII族元素を用いてもよい。また、V族元素としてSbを用いたが、これに限定されることなく、As等のV族元素を用いてもよい。

【0036】
また、上記実施の形態または実施例では、Si(111)面を用いたが、これに限定されることなく、Si(100)面やSi(113)面等の安定面を用いてもよい。Si(100)面を用いた場合には、この(100)面上に形成するGa層等のIII族元素層は2×2構造となる。また、上記実施の形態または実施例では、Si(111)面上にGa層を1/3原子層形成したが、1原子層以下でもよい。

【0037】
以上、本発明の種々の典型的な実施の形態および実施例を説明してきたが、本発明はそれらの実施の形態および実施例に限定されない。従って、本発明の範囲は、次の特許請求の範囲によってのみ限定されるものである。
図面
【図1】
0
【図4】
1
【図5】
2
【図8】
3
【図10】
4
【図23】
5
【図24】
6
【図25】
7
【図2】
8
【図3】
9
【図6】
10
【図7】
11
【図9】
12
【図11】
13
【図12】
14
【図13】
15
【図14】
16
【図15】
17
【図16】
18
【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
27