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明細書 :有機太陽電池及びその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2014-157872 (P2014-157872A)
公開日 平成26年8月28日(2014.8.28)
発明の名称または考案の名称 有機太陽電池及びその製造方法
国際特許分類 H01L  51/42        (2006.01)
FI H01L 31/04 D
請求項の数または発明の数 2
出願形態 OL
全頁数 19
出願番号 特願2013-026847 (P2013-026847)
出願日 平成25年2月14日(2013.2.14)
発明者または考案者 【氏名】堀田 収
【氏名】山雄 健史
【氏名】岩本 尚樹
【氏名】大賀 健司
【氏名】中村 昌
【氏名】中川 貴雄
【氏名】荻野 賢治
出願人 【識別番号】504255685
【氏名又は名称】国立大学法人京都工芸繊維大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100100158、【弁理士】、【氏名又は名称】鮫島 睦
【識別番号】100068526、【弁理士】、【氏名又は名称】田村 恭生
【識別番号】100132252、【弁理士】、【氏名又は名称】吉田 環
【識別番号】100138885、【弁理士】、【氏名又は名称】福政 充睦
審査請求 未請求
テーマコード 5F151
Fターム 5F151AA11
5F151CB14
5F151FA04
5F151FA06
5F151GA03
要約 【課題】簡便な製造方法で、容易に簡単に製造することができ、構造が単純な新たな有機太陽電池及びその製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも一方が透明電極層4である二枚の電極層3,4及びそれらの間に配置された(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー層1を有機光電変換層として含み、(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー層1は、10nm~225nmの厚さを有する。(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー層1と接し、二枚の電極層3,4の間に配置されたC60層2を、更に含む場合、変換効率がより向上する。
【選択図】図9
特許請求の範囲 【請求項1】
少なくとも一方が透明電極層である二枚の電極層;及び
それらの間に配置された(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー層を有機光電変換層として含む有機太陽電池であって、
(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー層は、10nm~225nmの厚さを有する、有機太陽電池。
【請求項2】
(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー層と接し、二枚の電極層の間に配置されたC60層を、更に含む請求項1に記載の有機太陽電池。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、有機太陽電池及びその製造方法に関する。特に、本発明は、(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー層を有する有機太陽電池及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境保護の観点から、再生可能エネルギーが注目されており、太陽電池はその一つである。シリコン等の無機物を使用した太陽電池と比較して、小型軽量、柔軟性、大面積製膜容易性等の点から、有機物を使用する有機太陽電池は期待され、種々の研究が行われている。
【0003】
有機太陽電池を形成するための有機材料として、有機光電変換層に、ポルフィリンやフタロシアニン等を含む層が検討されることが多い。ポルフィリンやフタロシアニン等を使用すると、一定の太陽電池を形成することができる。しかし、その有機層に特殊な構造を持たせることが必要である、又は光電変換層と無関係の組成物を共蒸着後除去することが必要であるなど(特許文献1~2、非特許文献1第3321頁右欄第14行~第18行及び第22行~第28行参照)、煩雑である。
【0004】
従って、簡便な製造方法で、容易に簡単に製造することができる有機太陽電池が求められている。得られた太陽電池の構造は、単純であることが要求される。そのような新たな有機太陽電池が得られるか否かは、学術的にも商業的にも興味深い。
【0005】
そこで、新たな有機半導体材料を使用した有機太陽電池の検討が求められている。
荻野他は、250nmの厚さを有する(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー層を光電変換層として使用した太陽電池を報告したが、その変換効率は、0.000061%と極めて低かった(非特許文献2参照)。
(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーは、有機発光トランジスターとして注目されていることを考慮すると(特許文献3参照)、(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーは、たとえ起電力が発生したとしても、発光してしまい、太陽電池として使用することは困難と考えられた。
【0006】
尚、(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーを太陽電池の構成材料の一部として用いる試みは報告されている。(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーは、フタロシアニン等の有機光電変換層の結晶性及び平滑性を高めることを主な目的として使用されており、(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーを電極と有機光電変換層との間に介在させる構成のみが開示されている(非特許文献3、4参照)。変換効率のわずかの向上が報告されているが、(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーを積極的に光電変換層に用いておらず、太陽電池の構成はより複雑である。
非特許文献3及び4では、(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーの1種であるBP2Tが用いられており、その膜厚は8nmであることも開示されている。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特開2005-236278号公報
【特許文献2】特開2012-160677号公報
【特許文献3】PTC/JP2011/052760
【0008】

【非特許文献1】T. Kaji et. al, Adv. Mater., 2011, 23, 3320-3325.
【非特許文献2】荻野賢治、京都工芸繊維大学、平成22年度高分子機能工学課程卒業論文
【非特許文献3】W. Chen et. al, Appl. Phys. Lett., 2012, 100, 133302 (全4ページ).
【非特許文献4】B. Yu et. al, Adv. Mater., 2010, 22, 1017-1020.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、かかる課題を解決するためになされたもので、その課題は、簡便な製造方法で、容易に簡単に製造することができ、構造が単純な新たな有機太陽電池及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、驚くべきことに、(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー層の厚さを特定の厚さに制御することで、簡便な製造方法で、容易に簡単に製造することができ、構造が単純な新たな有機太陽電池が得られることを見い出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
即ち、本発明は、1の要旨において、
少なくとも一方が透明電極層である二枚の電極層及びそれらの間に配置された(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー層を有機光電変換層として含む有機太陽電池であって、
(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー層は、10nm~225nmの厚さを有する、有機太陽電池を提供する。
【0012】
本発明は、好ましい態様において、(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー層と接し、二枚の電極層の間に配置されたC60層を、更に含む有機太陽電池を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る有機太陽電池は、二枚の電極層及びそれらの間に配置された(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー層を有機光電変換層として含み、
(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー層は、10nm~225nmの厚さを有するので、簡便な製造方法で、容易に簡単に製造することができ、単純な構造を有する。
【0014】
更に、本発明の有機太陽電池は、(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー層と接し、二枚の電極層の間に配置されたC60層を更に含む場合、変換効率がより向上する。
以下、添付した図面を参照しながら、本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明に係る1の形態の有機太陽電池の断面模式図である。
【図2】図2は、15mm×15mmの大きさの透明基板上での、2mm×2mm、および6.5mm×2mmの透明電極の配置を模式的に示した図である。
【図3】図3は、図2の透明電極付透明基板上に(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー層を蒸着した後の配置を模式的に示した図である。
【図4】図4は、図1に記載した有機太陽電池を金属電極側から見た模式図である。
【図5】図5は、石英基板上に蒸着されたP6T薄膜の光吸収スペクトルである。
【図6】図6は、石英基板上に蒸着されたP6T薄膜のX線回折像である。
【図7】図7は、太陽電池に入射した水銀ランプのスペクトルである。
【図8】図8Aは、実施例1の有機太陽電池の電流-電圧特性である。図8Bは、図8Aの第四象限の原点付近の拡大図である。
【図9】図9は、本発明に係る好ましい形態の有機太陽電池の断面模式図である。
【図10】図10は、石英基板上に蒸着されたC60薄膜の光吸収スペクトルである。
【図11】図11Aは、実施例2の有機太陽電池の電流-電圧特性である。図11Bは、図11Aの第四象限の原点付近の拡大図である。
【図12】図12Aは、実施例3の有機太陽電池の電流-電圧特性である。図12Bは、図12Aの第四象限の原点付近の拡大図である。
【図13】図13は、石英基板上に蒸着されたBP2T-OMe薄膜の光吸収スペクトルである。
【図14】図14Aは、実施例4の有機太陽電池の電流-電圧特性である。図14Bは、図14Aの第四象限の原点付近の拡大図である。
【図15】図15Aは、比較例1の有機太陽電池の電流-電圧特性である。図15Bは、図15Aの第四象限の原点付近の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る有機太陽電池は、二つの電極層の間に配置された10nm~225nmの厚さを有する(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー層を含む。
「(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー」とは、通常、「(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー」と考えられる化合物であって、本発明に係る有機太陽電池を得ることができる限り、特に限定されない。より具体的には、下記式(I)で示される化合物を示すことができる。

【0017】
式(I):(X)-(Y)
[ここで、
Xは、チオフェン環であり、Yは、ベンゼン環である。
XとYは、各々独立して、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等)、ハロゲン、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基等)、アルケニル基(例えば、エテニル基等)、シアノ基、フッ素化アルキル基(例えば、トリフルオロメチル基等)等の置換基を有してよい。
mは、1~12が好ましく、2~8がより好ましく、3~6が特に好ましい。nは、1~6が好ましく、1~4がより好ましく、1~2が特に好ましい。
XとYは、ブロックで結合しても、ランダムに結合しても、交互に結合してもよい。
XとYは、単結合で結合している。]
を例示することができる。
(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーは、上記XおよびYがブロック、ランダムあるいは交互に結合する結合様式に応じて、擬直線状、直線状、折れ曲がり状及びジグザグ状等の様々な分子形状を取ることが出来る。

【0018】
(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーの一形態として、式(I)において、下記擬直線状の形状を有するコオリゴマーを例示できる。
【化1】
JP2014157872A_000003t.gif

【0019】
(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーの一形態として、式(I)において、下記直線状の形状を有するコオリゴマーを例示できる。
【化2】
JP2014157872A_000004t.gif

【0020】
(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーの一形態として、式(I)において、下記折れ曲がり状の形状を有するコオリゴマーを例示できる。
【化3】
JP2014157872A_000005t.gif

【0021】
(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーの一形態として、式(I)において、下記ジグザグ状の形状を有するコオリゴマーを例示できる。
【化4】
JP2014157872A_000006t.gif

【0022】
尚、上記例示したコオリゴマーは、置換基を有してよく、そのようなコオリゴマーとして、下記のコオリゴマー等を例示できる。
【化5】
JP2014157872A_000007t.gif

【0023】
(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーは、層状の形状を有し、10nm~225nmの厚さを有する。層厚が10nm未満の場合、十分な光電変換が達成されず、層厚が225nmを超える場合、却って光電変換の効率が低下する。層厚は20nm~150nmであることが好ましく、30nm~100nmであることがより好ましい。

【0024】
本明細書において、層の厚さとは、平らな基板の表面上の一部に配置された層状の形状を有する物体に対し、基板の表面とそれに平行な物体の表面との距離を、アルバック(ULVAC, Inc.)社製の触針式表面形状測定器DEKTAK-3ST(商品名)を用いて測定した値をいう。測定は、先端にダイヤモンドのついた触針の下の試料を移動させて、電気的及び機械的に行った。測定条件は、試料を考慮して適切に決めた。精密試料台にのせた、触針の下の試料を、50~15000μmの測定距離、1~5000μm/秒の速度及び1~30mgの針圧で、移動させた。測定は、常温(10~30℃)、常圧下で、行った。測定中の試料は、35~200倍のビデオカメラで観察した。より具体的な測定方法は、実施例に記載した。

【0025】
このような(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーは、通常、(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーを製造することができる方法を用いて製造することができ、その製造方法は、本発明が目的とする有機太陽電池を得ることができる限り特に制限されることはない。

【0026】
更に、そのコオリゴマーの層は、通常、(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーの層を製造することができる方法であれば、本発明が目的とする有機太陽電池を得ることができる限り特に制限されることはない。

【0027】
本発明にかかる有機太陽電池は、10nm~225nmの厚さを有する(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー層を含む。必要に応じて他の層を含んでよいが、一般的に、二つの電極層を有し、一つの基板を有し得る。二つの電極層の間に上記コオリゴマー層が配置され、一つの電極が基板上に接して配置される。従って、一般的には、本発明の有機太陽電池は、基板上に一つの電極層、その上に上記コオリゴマー層、その上にもう一つの電極層を有する。尚、コオリゴマー層に光を照射することが必要なので、基板及びそれに接する電極層、又は基板に接しない電極層の少なくとも一方は、透明であることが必要である。二つの電極層のうち、少なくとも一つが十分な機械的な強度を有する場合、電極が基板を兼ねてもよい(この場合、基板は必要ではない)。

【0028】
本発明に係る「基板」として、通常有機太陽電池に用いられる基板であれば、本発明が目的とする有機太陽電池を得ることができる限り特に制限されることはない。そのような基板として、例えば、酸化ケイ素、石英、ソーダガラス、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、パリレン等を例示することができるが、不透明でも良い場合、さらにシリコン、酸化膜付シリコン、ポリイミド、テフロン(登録商標)、KBr、グラファイト、絶縁性のフォトレジスト等を例示することができる。

【0029】
本発明に係る「透明電極層」として、通常有機太陽電池に用いられる透明電極層であれば、本発明が目的とする有機太陽電池を得ることができる限り特に制限されることはない。そのような透明電極層として、例えば、インジウム酸化物(In)、スズ酸化物(SnO)、亜鉛酸化物(ZnO)、インジウム-スズ酸化物(ITO)、アルミニウムやガリウム、インジウムをドープした亜鉛酸化物(AZO、GZO、IZO)等を例示することができ、また層厚が十分薄く半透明な、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、マグネシウム-金合金(MgAu)、マグネシウム-銀合金(MgAg)、アルミニウム-リチウム合金(AlLi)、カルシウム(Ca)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、シリコン(Si)等を例示することができる。

【0030】
本発明に係る「電極層(不透明でよい)」として、通常有機太陽電池に用いられる電極層であれば、本発明が目的とする有機太陽電池を得ることができる限り特に制限されることはない。そのような電極層として、例えば、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、マグネシウム-金合金(MgAu)、マグネシウム-銀合金(MgAg)、アルミニウム-リチウム合金(AlLi)、カルシウム(Ca)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、シリコン(Si)、インジウム酸化物(In)、スズ酸化物(SnO)、亜鉛酸化物(ZnO)、インジウム-スズ酸化物(ITO)、アルミニウムやガリウム、インジウムをドープした亜鉛酸化物(AZO、GZO、IZO)等を例示することができる。

【0031】
本発明に係る「基板」、「透明電極層」及び「電極層(不透明でよい)」の製造方法は、通常それらの製造に用いられる方法であれば、本発明が目的とする有機太陽電池を得ることができる限り特に制限されることはない。

【0032】
このような、本発明に係る有機太陽電池の具体的な1例を、図1に示す。
図1の有機太陽電池10は、ガラスでできた透明基板5、透明基板5の表面の一部に設置されたインジウム-スズ酸化物(以下「ITO」)でできた透明電極層4、透明電極層4を覆い透明基板5の一部を覆う(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー層1、(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー層1上に配置されたアルミニウムでできた金属電極層3で構成されている。
透明電極層4と透明基板5とは一体となって、透明電極付透明基板6を形成する。
この本発明に係る太陽電池の構成は、極めて簡単で単純であるので、製造も簡単で容易であるという特徴を有する。

【0033】
本発明に係る有機太陽電池は、(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー層と接し、二枚の電極層の間に配置されたC60層を更に有することが好ましい。即ち、(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー層とC60層は、一緒に有機光電変換層として作用する。
非特許文献3及び4は、(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー層とC60層の両者を有するが、コオリゴマー層とC60層は、接触することを何ら開示も教示もしていない。非特許文献3及び4は、コオリゴマー層を有機光電変換層として使用していないからである。このことは、背景技術の欄で説明した。

【0034】
本発明において、「C60」とは、通常C60とされている化合物であり、「フラーレン」ともよばれる。本発明が目的とする有機太陽電池を得ることができる限り特に制限されることはなく、適宜、置換基等を有してよい。従って、本発明に係る「C60」は、「C60」の誘導体も含む。そのような「C60」の誘導体として、例えば、置換基を有するフェニルC61酪酸メチルエステル(PCBM)、フェニル-C61酪酸ブチルエステル(PCBB)、フェニル-C61酪酸オクチルエステル(PCBO)、チエニル-C61酪酸メチルエステル(ThCBM)等を例示することができる。C60及びC60の誘導体は、単独又は組み合わせて使用することができる。

【0035】
60は、通常それらの製造に用いられる製造方法を用いて製造することができ、本発明が目的とする有機太陽電池を得ることができる限り特に制限されることはない。市販品を使用することができる。そのようなC60として、例えば、シグマ・アルドリッチ社製のFullerene-C60(商品名)、フロンティアカーボン株式会社製のnanom purple SUH(商品名)、関東化学株式会社製のCarbon cluster C60,ST(商品名)等を例示できる。

【0036】
「C60層」は、そのようなC60を用いて、通常使用される方法を使用して、C60層を製造することができる。本発明が目的とする有機太陽電池を得ることができる限り、その方法は、特に制限されることはない。
60層の厚さは、本発明が目的とする有機太陽電池を得ることができる限り特に制限されることはないが、1~225nmであることが好ましく、2~150nmであることがより好ましく、5~100nmであることが特に好ましい。層厚の測定方法は、コオリゴマー層の層厚の測定方法と同様である。

【0037】
60層は、コオリゴマー層と接触し、二つの電極間に存するように配置される。このようにC60層を配置することで、(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー層が、p-型有機半導体層となり、C60層がn-型有機半導体層となって、より変換効率が向上し、好ましい。

【0038】
そのような好ましい本発明に係る有機太陽電池の1例を、図9を参照しながら説明する。図9の有機太陽電池10は、ガラスでできた透明基板5、透明基板5の表面の一部に設置されたITOでできた透明電極層4、透明電極層4を覆い透明基板5の一部を覆う(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー層1、(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー層1上に重なるように覆うC60層2、C60層2に配置されたアルミニウムでできた金属電極層3で構成されている。
この本発明に係る太陽電池の構成は、C60層が増えているが、C60層は、(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー層と一緒に有機光電変換層を形成しているので、基本的な構成は、極めて簡単で単純であり、製造も簡単で容易であるという特徴を有する。

【0039】
本発明に係る有機太陽電池は、本発明が目的とする有機太陽電池を得ることができる限り特に制限されることなく、必要に応じて、他の層を有してよい。そのような他の層として、電荷(ホール及び電子)の電荷輸送を円滑にする層、あるいは逆にホールや電子をブロックする層、もしくは酸素や水分等の侵入を防ぐバリア層等を例示することができる。これらの層は、通常使用される製造方法で、製造することができる。

【0040】
本発明に係る有機太陽電池は、上述のような特徴を有するので、有機太陽電池として、優れた変換効率を示しながら、極めて構成が簡単であり、簡単に容易に製造することができるとの優れた効果を奏する。
本願発明が優れた効果を奏する理由は、以下の通りと考えられる。
(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー層の層厚に好ましい範囲が存在することは、以下のように解釈できる。即ち、層厚が10nm以下の場合、デバイスの単位面積あたりに換算すると、(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー層内に発生する励起子の数が少なく、有効な光電変換が達成できないと考えられる。一方、層厚が225nm以上の場合、たとえ多くの励起子が発生しても、励起子が電極または(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー層とC60層との間の界面に到達するために移動する距離が大きくなり、励起子の失活を招きやすくするので、やはり有効な光電変換が達成できないと考えられる。

【0041】
これらのことは、光照射の結果、(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー層に発生した励起子が解離して生じた電荷についても当てはまることが予想される。
60層は、(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー層の内部に発生する励起子の解離を促進してホール及び電子に電荷分離することを促進する作用をもつと考えられる。層厚が1nm以下の場合は、この作用が十分でなく、225nm以上の場合は、C60層の内部に発生した電子を電極に輸送する距離が大きくなり、有効な光電変換が達成できないと考えられる。
【実施例】
【0042】
以下、本発明を実施例及び比較例を用いて説明するが、これらの例は、本発明を説明するためのものであり、本発明を何ら限定するものではない。
【実施例】
【0043】
実施例1
実施例1の有機太陽電池
本発明に係る1の態様の太陽電池の断面模式図である図1を参照しながら、実施例1の有機太陽電池及びその製造方法を説明する。図1の有機太陽電池の構成は、上述した。
実施例1の有機太陽電池は、以下のようにして製造した。
【実施例】
【0044】
ITO層のエッチング
厚さ150nmのITOが表面に付いた厚さ0.7mmのガラス基板を、寸法15mm×15mmの中に、6.5mm×2mmおよび2mm×2mmのITO層が各4個ずつ、図2に示す配置で残るようにエッチングした。その後15mm×15mmの寸法に切断した。以上のように、透明電極付透明基板6を準備した。
【実施例】
【0045】
基板の洗浄
透明電極付透明基板6を順番にアセトン、2-プロパノール、エタノール、蒸留水で各10分間ずつ大気中にて超音波洗浄した後、基板に残った蒸留水を窒素ブローで除去した。その後、紫外線ランプによるオゾン洗浄を10分間施し、基板の表面を清浄にした。
【実施例】
【0046】
有機層の蒸着
4.1mm×4.6mmの長方形の4つの穴の開いた蒸着用のマスクを、基板表面の6.5mm×2mmの大きさのITOの基板中央寄りの一端がマスクの長方形の穴の中心になるように、ITO付ガラス基板に被せた。その後、ITO面が蒸着源に向くように基板を真空蒸着装置に設置した。真空度約10-3Paで、(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー層1として化1で示されるP6Tを、厚さ約80nmだけ、マスクの上から基板に蒸着した後、基板を大気暴露して取り出した。
P6Tの蒸着源にはタングステン製の蒸着ボートを用いた。この蒸着ボートは、3つの部品からなる。下部の部品には凹みがあり、そこに蒸着材料を入れる。中央に挿入する板に二つの穴が開き、上部の蓋に一つの穴が開いている。
蒸着後、P6T層は、6.5mm×2mmの大きさのITO層の一部を覆っていた。
図3は、透明電極付透明基板6に蒸着された(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー層1の配置を模式的に表す。
【実施例】
【0047】
金属電極の蒸着
P6T蒸着層の上に、2mm×7mmの長方形の4つの穴の開いた蒸着用のマスクを、P6T蒸着層の一部と、2mm×2mmのITO層が長方形の穴から見えるようにITO付ガラス基板に被せた後、P6T層が蒸着源に向くように基板を真空蒸着装置に設置した。真空度約10-3Paで、マスクの上から金属電極層3としてアルミニウムを厚さ約100nm蒸着した後、基板を大気暴露して取り出した。
図4に、完成した有機太陽電池10を金属電極層3側から見た模式図を示す。実施例1の有機太陽電池は、(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー層1であるP6Tを金属電極層3であるアルミニウムと透明電極層4であるITOで挟んだ構造を有する。
尚、実施例1の有機太陽電池のP6T層の層厚は、上にアルミニウムが蒸着されてなく、ガラス基板のITOの無い部分に直接乗ったP6T層の一部分を、アルバック社の触針式表面形状測定器DEKTAK-3STを用いて、常温、常圧で、測定した。精密試料台にのせた、触針の下の試料を、1000~2000μmの測定距離、20~667μm/秒の速度及び1~30mgの針圧で、移動させた。測定中の試料は、35倍のビデオカメラで観察した。
【実施例】
【0048】
図5は、石英基板に厚さ約60nmのP6Tのみを蒸着した試料の光吸収スペクトルを示す。390nmにピークがある300nmから580nmの範囲のブロードな吸収をもつ。
図6は、図5と同じ試料のX線回折像を示す。2.74度と5.40度に明確にピークが見られた。図5から求まる面間隔は32.5Åであり、P6T結晶のc軸の長さ61.88Å(非特許文献5参照)の半分とほぼ一致する。
非特許文献5:S. Hotta et. al, Chem. Mater., 2004, 16, 237-241.
【実施例】
【0049】
このようにして得られた実施例1の有機太陽電池の暗時下、および水銀ランプの照射下における電流-電圧特性を、真空中(約10-3Pa)で測定した。
太陽電池に照射した水銀ランプのスペクトルを図7に示す。
図8Aは、アルミニウム電極を接地し、ITO電極に-3Vから3Vまでの直流電圧を印加したときに太陽電池を流れる電流を測定した結果を示す。水銀ランプの照射強度は20.1mW/cmであり、水銀ランプは透明基板側より基板に垂直に照射された。暗時下において、-3Vの時-0.297μAの電流が流れ、3Vの時7.71mAの電流が観測された。整流比は26000であった。
図8Bは、図8Aの第四象限を原点付近で拡大した拡大図を示す。
20.1mW/cmの強度の水銀ランプ照射下における開放電圧は0.29V、短絡電流は4.43μAであった。
【実施例】
【0050】
水銀ランプの照射強度が10.6、20.1、48.3、109mW/cmのときの開放電圧、短絡電流、最大電力、フィルファクター、変換効率を表1に示す。
最大照射強度109mW/cmのときの変換効率は3.95×10-4%であった。
【実施例】
【0051】
【表1】
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【実施例】
【0052】
実施例2
実施例2の有機太陽電池
本発明に係る好ましい態様の有機太陽電池の断面模式図である図9を参照しながら、実施例2の有機太陽電池及びその製造方法を説明する。図9の有機太陽電池の構成は、上述した。
実施例2の有機太陽電池は、以下のようにして製造した。
【実施例】
【0053】
実施例1と同様に透明電極付透明基板6としてパターニングされたITOを有するガラス基板を準備した。その後、実施例1と同様の方法を用いて、透明電極付透明基板6を洗浄した。
【実施例】
【0054】
有機層の蒸着
実施例1の方法と同様に、厚さ約60nmのP6TをITOガラス基板に蒸着した後、基板を大気暴露した。その後、基板に対しP6Tを蒸着した時と同じマスクを同じ配置で用い、マスクの上からシグマアルドリッチ社製のフラーレン-C60(純度:99.9%)からなるC60層2を厚さ約100nm蒸着した。その後、基板を大気暴露して取り出した。C60の蒸着源には、P6Tと同じ形状のタングステンボートを用いた。
【実施例】
【0055】
金属電極の蒸着
実施例1の方法と同様に、C60層2の上に金属電極層3としてアルミニウムを厚さ約100nm蒸着した後、基板を大気暴露して取り出した。
実施例2の有機太陽電池は、C60層と(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー層1であるP6Tを、金属電極層3であるアルミニウムと透明電極層4であるITOで挟んだ構造である。
尚、実施例2の有機太陽電池のP6T層とC60層の層厚は、それぞれ、実施例2の有機太陽電池のP6T層とC60層を蒸着する際、別途、真空蒸着装置に設置した実施例2の有機太陽電池の近くに、何も蒸着されていない酸化膜付シリコン基板を設置し、その酸化膜付シリコン基板上に蒸着されたP6T層とC60層を、DEKTAK-3STを使用して、実施例1に記載した方法と同様の方法を用いて測定して決めた。
【実施例】
【0056】
図10は、石英基板に厚さ約100nmのC60を蒸着した試料の光吸収スペクトルである。波長400nm以下に強い吸収が見られる。
この試料では、X線回折のピークは観測されなかった。
【実施例】
【0057】
このようにして得られた実施例2の有機太陽電池の暗時下、および水銀ランプの照射下における電流-電圧特性、を真空中(約10-3Pa)で測定した。
図11Aは、アルミニウム電極を接地し、ITO電極に-3Vから3Vまでの直流電圧を印加したときに太陽電池を流れる電流を測定した結果を示す。水銀ランプの照射強度は261mW/cmであり、水銀ランプは透明基板側より基板に垂直に照射された。暗時下において、-3Vの時-1.43μAの電流が流れ、3Vの時2.37mAの電流が観測された。整流比は1660であった。
図11Bは、図11Aの第四象限を原点付近で拡大した拡大図を示す。
261mW/cmの強度の水銀ランプ照射下における開放電圧は0.35V、短絡電流は0.313mAであった。
【実施例】
【0058】
水銀ランプの照射強度が65.2、131、261mW/cmのときの開放電圧、短絡電流、最大電力、フィルファクター、変換効率を表2に示す。
最大照射強度261mW/cmのときの変換効率は0.183%であった。
【実施例】
【0059】
【表2】
JP2014157872A_000009t.gif
【実施例】
【0060】
実施例3
実施例3の有機太陽電池
本発明に係る好ましい態様の有機太陽電池の断面模式図である図9を参照しながら、実施例3の有機太陽電池及びその製造方法を説明する。図9の有機太陽電池の構成は、上述した。実施例3の有機太陽電池は、以下のようにして製造した。
【実施例】
【0061】
実施例1の方法と同様に透明電極付透明基板6としてパターニングされたITOを有するガラス基板を準備した。その後、実施例1と同様の方法を用いて、透明電極付透明基板6を洗浄した。
【実施例】
【0062】
有機層の蒸着
(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー層1として、厚さ約70nmのP6Tを用いたこと、C60の厚さが約5nmであること、P6TとC60の蒸着を大気暴露を経ることなく一貫した真空下で連続的に行ったことを除き、実施例2の方法と同様にして有機層を蒸着した。
【実施例】
【0063】
金属電極の蒸着
実施例2の方法と同様に、シグマアルドリッチ社製のフラーレン-C60(純度:99.9%)からなるC60層2の上に金属電極層3としてアルミニウムを厚さ約150nm蒸着した後、基板を大気暴露して取り出した。
実施例3の有機太陽電池は、C60層2と(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー層1であるP6Tを、金属電極層3であるアルミニウムと透明電極層4であるITOで挟んだ構造である。
尚、実施例3の有機太陽電池のP6T層とC60層の層厚は以下のように決めた。まず真空蒸着装置に何も蒸着されていない酸化膜付シリコン基板を設置し、その基板上にP6T層もしくはC60層を蒸着した。蒸着の際、材料の蒸着量を測定する水晶振動子式膜厚モニターで最終的な蒸着量(蒸着の間の振動数変化から割り出される値)を確認し、記録した。P6T層もしくはC60層が蒸着された基板における、P6T層もしくはC60層の実際の層厚を、DEKTAK-3STを使用して、実施例1に記載した方法と同様の方法を用いて測定した。P6T層もしくはC60層の実際の層厚と膜厚モニターの蒸着量の換算比率を算出した。実施例3の有機太陽電池のP6T層およびC60層を蒸着する際、P6T層およびC60層の所望の層厚に対する膜厚モニターの蒸着量を換算比率から割り出し、膜厚モニターの蒸着量がその値になるまで、P6T層およびC60層を蒸着した。
【実施例】
【0064】
このようにして得られた実施例3の有機太陽電池の暗時下、および水銀ランプの照射下における電流-電圧特性を、真空中(約10-3Pa)で測定した。
図12Aは、アルミニウム電極を接地し、ITO電極に-3Vから3Vまでの直流電圧を印加したときに太陽電池を流れる電流を測定したものである。水銀ランプの照射強度は109mW/cmであり、水銀ランプは透明基板側より基板に垂直に照射された。暗時下において、-3Vの時-1.21μAの電流が流れ、3Vの時10.2mAの電流が観測された。整流比は8480であった。
図12Bは、図12Aの第四象限を原点付近で拡大した拡大図である。
109mW/cmの強度の水銀ランプ照射下における開放電圧は0.17V、短絡電流は2.40μAであった。
【実施例】
【0065】
水銀ランプの照射強度が20.1、48.3、109mW/cmのときの開放電圧、短絡電流、最大電力、フィルファクター、変換効率を表3に示す。
実施例3の有機太陽電池は、照射強度の増加に伴い変換効率が上昇し、最大照射強度109mW/cmのときの変換効率は2.01×10-3%であった。
【実施例】
【0066】
【表3】
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【実施例】
【0067】
実施例4
実施例4の有機太陽電池
本発明に係る好ましい態様の有機太陽電池の断面模式図である図9を参照しながら、実施例4の有機太陽電池及びその製造方法を説明する。図9の有機太陽電池の構成は、上述した。実施例4の有機太陽電池は、以下のようにして製造した。
【実施例】
【0068】
実施例1の方法と同様に透明電極付透明基板6としてパターニングされたITOを有するガラス基板を準備した。その後、実施例1と同様の方法を用いて、透明電極付透明基板6を洗浄した。
【実施例】
【0069】
有機層の蒸着
(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー層1として、化1で示されるP6Tの代わりに化5で示される厚さ約50nmのBP2T-OMeを用いたこと、BP2T-OMeとC60の蒸着を大気暴露を経ることなく一貫した真空下で連続的に行ったこと、C60の厚さが約70nmであることを除き、実施例2の方法と同様にして有機層を蒸着した。ただし、シグマアルドリッチ社製のフラーレン-C60(純度:98%)をC60層2として用いた。C60層2の蒸着の後大気暴露した。なお、C60は、層厚2nmまでは0.01nm/s、2nm~23nmまでは0.02~0.40nm/s、それ以降は0.01nm/sの速さで蒸着した
【実施例】
【0070】
金属電極の蒸着
実施例2の方法と同様に、C60層2の上に金属電極層3としてアルミニウムを厚さ約150nm蒸着した後、基板を大気暴露して取り出した。
実施例4の有機太陽電池は、C60層2と(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー層1であるBP2T-OMeを、金属電極層3であるアルミニウムと透明電極層4であるITOで挟んだ構造である。
尚、実施例4の有機太陽電池のBP2T-OMe層とC60層の層厚は、実施例3の方法と同様に決定した。
【実施例】
【0071】
図13は、石英基板に厚さ約250nmのBP2T-OMeを蒸着した試料の光吸収スペクトルである。波長345nmにピークがあり、310nmから490nmの範囲にブロードな吸収が見られる。
【実施例】
【0072】
このようにして得られた実施例4の有機太陽電池の暗時下、および水銀ランプの照射下における電流-電圧特性を、真空中(約10-3Pa)で測定した。
図14Aは、アルミニウム電極を接地し、ITO電極に-2Vから2Vまでの直流電圧を印加したときに太陽電池を流れる電流を測定したものである。水銀ランプの照射強度は105mW/cmであり、水銀ランプは透明基板側より基板に垂直に照射された。暗時下において、-2Vの時-1.50μAの電流が流れ、2Vの時4.29mAの電流が観測された。整流比は2860であった。
図14Bは、図14Aの第四象限を原点付近で拡大した拡大図である。
105mW/cmの強度の水銀ランプ照射下における開放電圧は0.64V、短絡電流は0.171mAであった。
【実施例】
【0073】
水銀ランプの照射強度が9.4、18.5、44.5、105mW/cmのときの開放電圧、短絡電流、最大電力、フィルファクター、変換効率を表4に示す。
最大照射強度105mW/cmのときの変換効率は1.20%であった。
【実施例】
【0074】
【表4】
JP2014157872A_000011t.gif
実施例2~4に見られように、(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー層1とC60層2とを組み合わせた場合、(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー層1のみを用いる場合と比べて、強い強度の照射光を照射した場合に変換効率の低下が少ないか、むしろ向上するという優れた作用がある。この原因は定かでないものの、C60層2の内部に、強い照射光によって多量に発生した電子が有効に電極に捕捉されることが考えられる。
【実施例】
【0075】
比較例1
比較例1の有機太陽電池(非特許文献2参照)
比較例1の有機太陽電池は、BP2T-OMeとC60の蒸着に石英セルにヒーター線を巻いた蒸着源を用いたこと、BP2T-OMeを蒸着した後、C60を蒸着する前に基板を大気暴露していること、BP2T-OMeとC60の層厚が250nmであること、アルミニウムの層厚が100nmであることを除き、実施例4と同様の方法で作製した。
尚、比較例1の有機太陽電池のBP2T-OMe層とC60層の層厚は、実施例2の方法と同様に決定した。
このようにして得られた比較例1の有機太陽電池の暗時下、および水銀ランプの照射下における電流-電圧特性を、真空中(約10-3Pa)で測定した。
図15Aは、アルミニウム電極を接地し、ITO電極に-0.2Vから1.5Vまでの直流電圧を印加したときに太陽電池を流れる電流を測定したものである。水銀ランプの照射強度は259mW/cmであり、水銀ランプは透明基板側より基板に垂直に照射された。
図15Bは、図15Aの第四象限を原点付近で拡大した拡大図である。
259mW/cmの強度の水銀ランプ照射下における開放電圧は0.46V、短絡電流は102nAであった。
【実施例】
【0076】
水銀ランプの照射強度が32、56、123、259mW/cmのときの開放電圧、短絡電流、最大電力、フィルファクター、変換効率を表5に示す。
最大照射強度259mW/cmのときの変換効率は6.10×10-5%であった。
【実施例】
【0077】
【表5】
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【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、有機太陽電池を提供する。本発明に係る有機太陽電池は、モバイル充電器、移動式電源等に用いることができる。
【符号の説明】
【0079】
10 本発明に係る有機太陽電池
1 (チオフェン/フェニレン)コオリゴマー層
2 C60
3 金属電極層
4 透明電極層
5 透明基板
6 透明電極付透明基板
【符号の説明】
【0080】
イ 暗時の電流-電圧特性
ロ 水銀ランプ照射下の電流-電圧特性
ハ 短絡電流
ニ 開放電圧
ホ 最大出力点
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14