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明細書 :非接触チャック

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4376737号 (P4376737)
公開番号 特開2006-073654 (P2006-073654A)
登録日 平成21年9月18日(2009.9.18)
発行日 平成21年12月2日(2009.12.2)
公開日 平成18年3月16日(2006.3.16)
発明の名称または考案の名称 非接触チャック
国際特許分類 H01L  21/677       (2006.01)
B65G  49/07        (2006.01)
FI H01L 21/68 A
B65G 49/07 E
請求項の数または発明の数 5
全頁数 10
出願番号 特願2004-253138 (P2004-253138)
出願日 平成16年8月31日(2004.8.31)
審査請求日 平成19年8月30日(2007.8.30)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000125370
【氏名又は名称】学校法人東京理科大学
発明者または考案者 【氏名】吉本 成香
個別代理人の代理人 【識別番号】100079049、【弁理士】、【氏名又は名称】中島 淳
【識別番号】100084995、【弁理士】、【氏名又は名称】加藤 和詳
【識別番号】100085279、【弁理士】、【氏名又は名称】西元 勝一
【識別番号】100099025、【弁理士】、【氏名又は名称】福田 浩志
審査官 【審査官】植村 森平
参考文献・文献 特開2000-25948(JP,A)
特開2003-226428(JP,A)
特開2001-315084(JP,A)
特開2003-324140(JP,A)
特開平2-144934(JP,A)
調査した分野 H01L 21/67-21/687
B65G 49/07
B25J 1/00-21/02
特許請求の範囲 【請求項1】
ワークを保持するワーク保持面が先端に形成されると共に、一端が前記ワーク保持面に開口した吸引通路が穿設されたチャック本体と、
超音波を発生させて前記チャック本体を超音波振動させる超音波発生手段と、
前記ワークの重量と超音波振動によって前記チャック本体に発生するワーク支持力との和と吸引力とがバランスするように前記吸引通路を介して吸引する吸引手段と、
を含む非接触チャック。
【請求項2】
前記吸引手段は、前記吸引通路の他端に接続された真空ポンプである請求項1記載の非接触チャック。
【請求項3】
前記ワーク保持面の形状を、前記ワークの外形に対応させて形成した請求項1記載又は請求項2記載の非接触チャック。
【請求項4】
前記ワーク保持面の形状を、前記ワークの外形と相似形に形成した請求項1乃至請求項3の何れか1項記載の非接触チャック。
【請求項5】
前記ワーク保持面の形状を、四角形、円形、または凹面状に形成した請求項1乃至請求項4の何れか1項記載の非接触チャック。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触状態でワークを保持する非接触チャックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ICチップや小型レンズ、半導体ウェハなどのワークを取り扱う際には、空気の吹き出しに伴うベルヌーイ効果を利用した非接触チャックが利用されている(例えば、特許文献1参照)。このような非接触チャックでは、ワークに直接触れることなく搬送・据え付けなどを行うことができるため、ワークに塵埃などが付着することを防止できる。
【0003】
しかしながら、このような非接触チャックの場合、ワークに対する水平方向の保持力はないので、チャックの外周部に止め用具を設けてワークがチャックから脱落することを防止している。このため、上記止め用具に付着した塵埃などがワークに付着する可能性があり、更なる改良が求められていた。

【特許文献1】特開平5-285876号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記事実を考慮し、ワークを水平方向に保持するためにチャックの外周部に設けられる止め用具の適用を廃止できる非接触チャックを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明の非接触チャックは、ワークを保持するワーク保持面が先端に形成されると共に、一端が前記ワーク保持面に開口した吸引通路が穿設されたチャック本体と、超音波を発生させて前記チャック本体を超音波振動させる超音波発生手段と、前記ワークの重量と超音波振動によって前記チャック本体に発生するワーク支持力との和と吸引力とがバランスするように前記吸引通路を介して吸引する吸引手段と、を含んでいる。
【0006】
請求項1記載の非接触チャックでは、チャック本体の先端には、ワークを保持するワーク保持面が形成されている。このワーク保持面には、チャック本体に穿設された吸引通路の一端が開口しており、吸引手段は、この吸引通路を介してワークを吸引する。また、チャック本体は、超音波発生手段により発生される超音波によって超音波振動し、チャック本体には、所謂「超音波スクイーズ効果」によるワーク支持力(所謂「スクイーズ空気膜圧力」)が発生する。ここで、吸引手段は、このワーク支持力とワークの重量との和と、自らが発生させる吸引力とがバランスするようにワークを吸引する。これにより、ワークは、チャック本体のワーク保持面に非接触状態で保持される。
【0007】
しかも、ワークには、前述した「超音波スクイーズ効果」によって、チャック本体のワーク保持面に留まろうとする保持力が作用する。この保持力は、ワークのワーク保持面に対する水平方向への移動にも抗力を奏するので、ワークのワーク保持面に対する水平方向への脱落が防止される。すなわち、この非接触チャックでは、ワークをワーク保持面に対して鉛直方向及び水平方向の両方に保持することができる。したがって、この非接触チャックでは、従来の非接触チャックにおいてワークを水平方向に保持するためにチャックの外周部に設けられる止め用具の適用を廃止できる。
【0008】
請求項2に係る発明の非接触チャックは、請求項1記載の非接触チャックにおいて、前記吸引手段を、前記吸引通路の他端に接続された真空ポンプとしたことを特徴としている。
【0009】
請求項2記載の非接触チャックでは、吸引通路の他端に接続された真空ポンプが作動されると、吸引通路の一端すなわちチャック本体のワーク保持面には吸引力が発生し、この吸引力によってワークがワーク保持面に吸引される。
【0010】
請求項3に係る発明の非接触チャックは、請求項1記載又は請求項2記載の非接触チャックにおいて、前記ワーク保持面の形状を、前記ワークの外形に対応させて形成したことを特徴としている。
【0011】
請求項3記載の非接触チャックでは、チャック本体のワーク保持面の形状は、ワークの外形に対応して形成されている。したがって、前述した「超音波スクイーズ効果」によって、ワークは、チャック本体のワーク保持面に対して水平方向に位置ズレすることなく保持される。
【0012】
請求項4に係る発明の非接触チャックは、請求項1乃至請求項3の何れか1項記載の非接触チャックにおいて、前記ワーク保持面の形状を、前記ワークの外形と相似形に形成したことを特徴としている。
【0013】
請求項4記載の非接触チャックでは、チャック本体のワーク保持面の形状は、ワークの外形と相似形に形成されている。したがって、前述した「超音波スクイーズ効果」によって、ワークのワーク保持面に対する水平方向の位置ズレを好適に抑制できる。
【0014】
請求項5に係る発明の非接触チャックは、請求項1乃至請求項4の何れか1項記載の非接触チャックにおいて、前記ワーク保持面の形状を、四角形、円形、または凹面状に形成したことを特徴としている。
【0015】
請求項5記載の非接触チャックでは、チャック本体のワーク保持面の形状は、四角形、円形、または凹面状に形成されている。したがって、四角形に形成した場合には、外形が四角形のワーク(例えば、ICチップ等)を良好に保持できる。また、円形に形成した場合には、外形が円形のワーク(例えば、半導体ウエハ等)を良好に保持できる。また、凹面状に形成した場合には、外形が凸形状のワーク(例えば、凸レンズ等)を良好に保持できる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明した如く、本発明に係る非接触チャックでは、ワークを水平方向に保持するためにチャックの外周部に設けられる止め用具の適用を廃止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1には、本発明の実施の形態に係る非接触チャック10の構成が概略的な側面図にて示されている。
【0018】
図1に示す如く、非接触チャック10は、アルミニウムによって形成されたチャック本体12を備えている。チャック本体12の先端側(図1では下側)には、円錐形に形成された中実状のホーン14が突設されている。このホーン14の先端には、ワーク16(図2参照)を保持するワーク保持面18が形成されている。ここで、本実施の形態では、ワーク16は円形形状のステンレスの平板(例えば、直径が4ミリで、厚さ寸法が30μmの平板)とされており、図3に示す如く、ワーク保持面18の形状は、ワーク16の形状に対応する円形に形成されている。
【0019】
また、ワーク保持面18の中央部分には、チャック本体12に穿設された断面円形の吸引通路20の一端が開口している。この吸引通路20は、ホーン14の軸心部をその軸線方向に沿って貫通すると共に、他端がチャック本体12の側面に開口しており、この他端に連結された配管部材22を介して真空ポンプ24に接続されている。このため、真空ポンプ24が作動されると、吸引通路20の一端(すなわちワーク保持面18)には、ワーク16を吸引する吸引力が発生するようになっている。
【0020】
一方、チャック本体12の基端側(図1では上側)には、超音波発生手段としてのボルト締めランジュバンタイプの超音波振動子26が一体的に設けられている。この超音波振動子26は、配線28を介して交流電源30に接続された一対の圧電素子32、34を備えている。
【0021】
ここで、交流電源30によってこれら一対の圧電素子32、34に所定のバイアス電圧を印加した後にある一定の交番電圧を印加すると、超音波振動子26は、超音波を発生させてチャック本体12を超音波振動させるようになっている。しかも、チャック本体12の超音波振動は、ホーン14によって増幅されてワーク保持面18に伝達される。このようにワーク保持面18に超音波振動が発生すると、ワーク保持面18には、所謂「超音波スクイーズ効果」によって、ワーク16に対する支持力(ワーク16をワーク保持面18から離間させる力、所謂「スクイーズ空気膜圧力」)が発生するようになっている。
【0022】
しかもこの場合、本実施の形態に係る非接触チャック10では、上記ワーク16支持力(スクイーズ空気膜圧力)とワーク16の重量との和と、前述した真空ポンプ24によるワーク16の吸引力とがバランスするように、真空ポンプ24の吸引力が設定されている。
【0023】
なお、本実施の形態では、超音波振動子26の共振周波数は28kHzに設定されており、この場合のワーク保持面18の加振周波数は48.25kHzである。
【0024】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0025】
上記構成の非接触チャック10では、真空ポンプ24が作動されると、吸引通路20の一端(すなわちチャック本体12のワーク保持面18)には吸引力が発生し、この吸引力によってワーク16がワーク保持面18へ向けて吸引される。また、交流電源30によって、超音波振動子26の一対の圧電素子32、34に所定のバイアス電圧が印加された後にある一定の交番電圧が印加されると、超音波振動子26は、超音波を発生させてチャック本体12を超音波振動させ、ホーン14によって増幅された超音波振動がワーク保持面18に伝達される。このため、ワーク保持面18には、所謂「超音波スクイーズ効果」によって、ワーク16に対する支持力(所謂「スクイーズ空気膜圧力」)が生じる。そして、このワーク16支持力とワーク16の重量との和と、真空ポンプ24によるワーク16の吸引力とがバランスすることで、ワーク16は、ワーク保持面18に対して非接触状態で保持される。
【0026】
しかも、上述の如くワーク保持面18に非接触状態で保持されているワーク16が、図4(A)に示す如く水平方向(ワーク保持面18の径方向)に移動された場合には、ワーク16には、前述した「超音波スクイーズ効果」によって、ワーク保持面18に留まろうとする保持力F1が作用する。この保持力F1によって、ワーク16は、図4(B)に示す如くワーク保持面18に対応する位置に戻されるので、ワーク16のワーク保持面18に対する水平方向への位置ズレ及び脱落が防止される。すなわち、この非接触チャック10では、ワーク16をワーク保持面18に対して鉛直方向及び水平方向の両方に保持することができる。したがって、この非接触チャック10では、従来の非接触チャックにおいてワークを水平方向に保持するためにチャックの外周部に設けられていた止め用具の適用を廃止できる。
【0027】
また、この非接触チャックでは、上述の如く、真空ポンプ24の吸引力によってワーク16のワーク保持面18に対する鉛直方向の保持力を発生させる構成であるため、従来の非接触チャックにおける負圧発生用の圧縮空気の供給が不要になる。
【0028】
なお、図5には、本非接触チャック10におけるワーク16のワーク保持面18に対する水平方向の保持力(保持剛性)と、超音波振動子26の一対の圧電素子32、34に印加される電圧との関係が線図にて示されている。この場合、前記水平方向の保持力は、ワーク保持面18を上向きにした状態でワーク保持面18に超音波振動を発生させてワーク16を浮揚させると共に、当該浮揚しているワーク16を、水平方向に僅かに移動させて振動させた場合の振動周波数から求めたものである。図5から明らかなように、超音波で振動するワーク保持面18上に置かれたワーク16(浮上物体)には、水平方向に保持力が働くことが分かる。
【0029】
以上説明したように、本実施の形態に係る非接触チャック10では、ワーク16を水平方向に保持するためにチャックの外周部に設けられる止め用具の適用を廃止できる。
【0030】
次に、本発明の実施の形態に係る非接触チャック10の変形例について説明する。なお、上記実施の形態と同一の構成・作用については、上記実施の形態と同符号を付してその説明を省略する。
(第1の変形例)
図6には、本発明の実施の形態の第1の変形例に係る非接触チャック50のワーク保持面52の構成が端面図にて示されている。
【0031】
この非接触チャック50は、前述した非接触チャック10と基本的に同様の構成とされているが、ワーク保持面52の形状は、四角形の板状に形成されたワーク54(図7(A)参照、例えばICチップ等)に対応して四角形に形成されている。
【0032】
この非接触チャック50では、前述した非接触チャック10と基本的に同様の作用効果を奏する。しかも、ワーク保持面52に非接触状態で保持されているワーク54が、例えば、図7(A)に示す如くワーク保持面52に対して垂直軸周りに回転された場合でも、ワーク54には、前述した「超音波スクイーズ効果」によって、ワーク保持面52に留まろうとする保持力F2が作用する。この保持力F2によって、ワーク54は、図7(B)に示す如くワーク保持面52に対応する位置に戻されるので、ワーク54のワーク保持面52に対する垂直軸周りの位置ズレが防止される。
(第2の変形例)
図8には、本発明の実施の形態の第2の変形例に係る非接触チャック60のワーク保持面62を含む周辺の構成が側面図にて示されている。
【0033】
この非接触チャック60は、前述した非接触チャック10と基本的に同様の構成とされているが、ワーク保持面62の形状は、凸レンズであるワーク64に対応して凹状の球面に形成されている。
【0034】
この非接触チャック60においても、前述した非接触チャック10と基本的に同様の作用効果を奏する。
(第3の変形例)
図9には、本発明の実施の形態の第3の変形例に係る非接触チャック70のワーク保持面74を含む周辺の構成が側面図にて示されている。
【0035】
この非接触チャック70は、前述した非接触チャック10と基本的に同様の構成とされているが、ホーン14の先端には、その径方向に沿って板状の保持部72が延設されている。保持部72は、ホーン14と反対側の面(図9では下側の面)がワーク保持面74とされており、このワーク保持面74の形状(保持部72の形状)は、比較的大きな外径を有する円形形状のワーク76(例えば、外径の大きな半導体ウエハ等)に対応して、円形形状に形成されている。
【0036】
この非接触チャック70においても、前述した非接触チャック10と基本的に同様の作用効果を奏する。しかも、ホーン14の先端に板状の保持部72を備えているため、外形の大きなワーク76を保持することができる。
【0037】
なお、上記実施の形態においては、ワーク保持面18、ワーク保持面52、ワーク保持面62、及びワーク保持面74の形状を、それぞれ円形、四角形、凹面状、及び円形に形成したが、本発明はこれに限るものではない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施の形態に係る非接触チャックの概略的な構成を示す側面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る非接触チャックの先端の構成を示す側面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る非接触チャックのワーク保持面の構成を示す端面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る非接触チャックのワーク保持面にワークが保持された状態を示し、(A)はワークがワーク保持面に対して水平方向に僅かに移動された状態を示す図であり、(B)はチャック本体の超音波振動による保持力によってワークがワーク保持面に対応した状態を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る非接触チャックにおけるワークのワーク保持面に対する水平方向の保持力と、超音波振動子の一対の圧電素子に印加される電圧との関係を示す線図である。
【図6】本発明の実施の形態の第1の変形例に係る非接触チャックのワーク保持面の構成を示す端面図である。
【図7】本発明の実施の形態の第1の変形例に係る非接触チャックのワーク保持面にワークが保持された状態を示し、(A)はワークがワーク保持面に対して垂直軸周りに回転された状態を示す図であり、(B)はチャック本体の超音波振動による保持力によってワークがワーク保持面に対応した状態を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態の第2の変形例に係る非接触チャックのワーク保持面を含む周辺の構成を示す側面図である。
【図9】本発明の実施の形態の第3の変形例に係る非接触チャックのワーク保持面を含む周辺の構成を示す側面図である。
【符号の説明】
【0039】
10 非接触チャック
12 チャック本体
16 ワーク
18 ワーク保持面
20 吸引通路
24 真空ポンプ(吸引手段)
26 超音波振動子(超音波発生手段)
30 交流電源(超音波発生手段)
50 非接触チャック
52 ワーク保持面
54 ワーク
60 非接触チャック
62 ワーク保持面
64 ワーク
70 非接触チャック
74 ワーク保持面
76 ワーク
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8