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明細書 :ピリジン酸化型化合物、並びに、これを用いたカルボン酸誘導体及びその光学活性体の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4997463号 (P4997463)
登録日 平成24年5月25日(2012.5.25)
発行日 平成24年8月8日(2012.8.8)
発明の名称または考案の名称 ピリジン酸化型化合物、並びに、これを用いたカルボン酸誘導体及びその光学活性体の製造方法
国際特許分類 C07D 213/89        (2006.01)
C07B  53/00        (2006.01)
C07C  67/08        (2006.01)
C07C  69/003       (2006.01)
C07C 233/05        (2006.01)
C07C 233/65        (2006.01)
C07C 233/77        (2006.01)
C07C 231/02        (2006.01)
C07C 231/18        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI C07D 213/89 CSP
C07B 53/00 B
C07C 67/08
C07C 69/003 B
C07C 233/05
C07C 233/65
C07C 233/77
C07C 231/02
C07C 231/18
C07B 61/00 300
請求項の数または発明の数 3
全頁数 16
出願番号 特願2007-503745 (P2007-503745)
出願日 平成18年2月17日(2006.2.17)
国際出願番号 PCT/JP2006/302830
国際公開番号 WO2006/088132
国際公開日 平成18年8月24日(2006.8.24)
優先権出願番号 2005042832
優先日 平成17年2月18日(2005.2.18)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成21年1月28日(2009.1.28)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】803000115
【氏名又は名称】学校法人東京理科大学
発明者または考案者 【氏名】椎名 勇
個別代理人の代理人 【識別番号】100079049、【弁理士】、【氏名又は名称】中島 淳
【識別番号】100084995、【弁理士】、【氏名又は名称】加藤 和詳
【識別番号】100085279、【弁理士】、【氏名又は名称】西元 勝一
【識別番号】100099025、【弁理士】、【氏名又は名称】福田 浩志
審査官 【審査官】谷尾 忍
参考文献・文献 特開2003-335731(JP,A)
特開平07-133283(JP,A)
Isamu SHIINA et al,A New Condensation Reaction for the Synthesis of Carboxylic Esters from Nearly Equimolar Amounts of Carboxylic Acids and Alcohols Using 2-Methyl-6-nitrobenzoic Anhydride,CHEMISTRY LETTERS,2002年 3月 5日,no.3,p.286-287
NAKAJIMA, Makoto et al,Enantioselective Michael additions of β-keto esters to α,β-unsaturated carbonyl compounds catalyzed by a chiral biquinoline N,N'-dioxide-scandium trifluoromethanesulfonate complex,Tetrahedron,2003年 9月 8日,vol.59, no.37,p.7307-7313
REGNOUF de Vains, J. B. et al,New symmetric and unsymmetric polyfunctionalized 2,2'-bipyridines,Journal of Heterocyclic Chemistry,1994年,vol.31, no.4,p.1069-77,化合物12参照
調査した分野 C07D 213/89
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII)
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
次の一般式(I)で表される化合物、その光学活性体、その塩又はその水和物
【化1】
JP0004997463B2_000012t.gif
[一般式(I)中、Rは、同一又は異なっていてもよく、アルキル基、芳香族環基、ヘテロ環基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、又はハロゲン原子を示し、Rは、同一又は異なっていてもよく、アルキル基、芳香族環基、ヘテロ環基、カルボシキル基、エステル基、シアノ基、水素原子、又はハロゲン原子を示し、R及びRは、同一又は異なっていてもよく、アルキル基、芳香族環基、ヘテロ環基、カルボシキル基、エステル基、シアノ基、水素原子、又はハロゲン原子を示す。]
【請求項2】
次の一般式(Ia)又は(Ib)で表される化合物、その塩又はその水和物
【化2】
JP0004997463B2_000013t.gif
[式中、Rは、同一又は異なっていてもよく、アルキル基、芳香族環基、ヘテロ環基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、又はハロゲン原子を示し、Rは、同一又は異なっていてもよく、アルキル基、芳香族環基、ヘテロ環基、カルボシキル基、エステル基、シアノ基、水素原子、又はハロゲン原子を示し、R及びRは、同一又は異なっていてもよく、アルキル基、芳香族環基、ヘテロ環基、カルボシキル基、エステル基、シアノ基、水素原子、又はハロゲン原子を示す。]
【請求項3】
1)カルボン酸等価体とアルコールあるいはアミンからエステルあるいはアミド化合物を製造する方法、2)不斉エステル化反応、又は3)不斉アミド化反応において、触媒として請求項1又は2記載の化合物の存在下反応を行うことを特徴とするエステルあるいはアミド化合物の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒として有用な新規ピリジン酸化型化合物、及びこれをアシル化反応ならびに不斉アシル化反応の触媒として用いる化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の有機化合物の合成を工業的に有利に実施するために、種々の触媒が開発され、実用化されている。
しかしながら、有機化合物、特に医薬、天然有機化合物は、光学活性を有するものが多く、これらを人工的に合成することは困難であった。
従って、このような有機化合物の合成に有用な新たな触媒を開発することは非常に重要なことである。
【0003】
触媒としては、金属化合物が既に開発されているが(非特許文献1参照)、毒性や環境負荷の問題があり、近年においては、使用に消極的な傾向がある。
これに変わるものとして、近年、アミン系の触媒が開発されているが(非特許文献2参照)、一部の合成しか使用できず、更に種々の合成に適用し得る種々の触媒の開発が望まれている。

【非特許文献1】日本化学会編 第五版 実験化学講座18「有機化合物の合成VI金属を用いる有機合成」、丸善(株)、2004年
【非特許文献2】折山ら、「キラルな1,2-ジアミンを用いるアルコール類の触媒的不斉アシル化の開発」、有機合成化学協会誌、第57巻、第7号、1999年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の目的は、触媒として有効な新規なピリジン酸化型化合物及び該化合物を用いてカルボン酸誘導体ならびに光学活性有機化合物を製造する方法を開発することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、このような観点から、検討を行った結果、下記一般式(I)で表される新規ピリジン酸化型化合物が触媒として有用であることを見い出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は次のものを提供するものである。
【0006】
<1> 次の一般式(I)で表される化合物、その光学活性体、その塩又はその水和物
【0007】
【化1】
JP0004997463B2_000002t.gif

【0008】
[一般式(I)中、Rは、同一又は異なっていてもよく、アルキル基、芳香族環基、ヘテロ環基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、又はハロゲン原子を示し、Rは、同一又は異なっていてもよく、アルキル基、芳香族環基、ヘテロ環基、カルボシキル基、エステル基、シアノ基、水素原子、又はハロゲン原子を示し、R及びRは、同一又は異なっていてもよく、アルキル基、芳香族環基、ヘテロ環基、カルボシキル基、エステル基、シアノ基、水素原子、又はハロゲン原子を示す。]
【0009】
<2> 次の一般式(Ia)又は(Ib)で表される化合物、その塩又はその水和物
【0010】
【化2】
JP0004997463B2_000003t.gif

【0011】
[式中、Rは、同一又は異なっていてもよく、アルキル基、芳香族環基、ヘテロ環基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、又はハロゲン原子を示し、Rは、同一又は異なっていてもよく、アルキル基、芳香族環基、ヘテロ環基、カルボシキル基、エステル基、シアノ基、水素原子、又はハロゲン原子を示し、R及びRは、同一又は異なっていてもよく、アルキル基、芳香族環基、ヘテロ環基、カルボシキル基、エステル基、シアノ基、水素原子、又はハロゲン原子を示す。]
【0012】
<3> カルボン酸等価体とアルコールあるいはアミンからエステルあるいはアミド化合物を製造する方法において、触媒として<1>又は<2>記載の化合物の存在下反応を行うことを特徴とするエステルあるいはアミド化合物の製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明の化合物を触媒として用いれば、エステルあるいはアミド化合物等が工業的に有利に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明化合物のX線結晶解析の結果を示す図である。

【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
[化合物(I)]
本発明は、上記一般式(I)で表される化合物である。
一般式(I)中、Rは、同一又は異なっていてもよく、アルキル基、芳香族環基、ヘテロ環基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、又はハロゲン原子を示す。この内、アルキル基としては、炭素数1~8のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、neo-ペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基等が好ましい。
【0016】
は、同一又は異なっていてもよく、アルキル基、芳香族環基、ヘテロ環基、カルボシキル基、エステル基、シアノ基、水素原子、又はハロゲン原子を示す。
この内、アルキル基としては、炭素数1~10のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、neo-ペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル、n-ノニル基、n-デシル基等が好ましい。
【0017】
2中、芳香族環基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基等が挙げられる。
ヘテロ環基としては、ピリジル、ピロール、フリル、チオフェニル等が挙げられる。
【0018】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子が挙げられる。
【0019】
及びRは、同一又は異なっていてもよく、アルキル基、芳香族環基、ヘテロ環基、カルボシキル基、エステル基、シアノ基、水素原子、又はハロゲン原子を示す。
【0020】
この内、アルキル基としては、炭素数1~10のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、neo-ペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル、n-ノニル基、n-デシル基等が好ましい。
【0021】
3及びR4中、芳香族環基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基等が挙げられる。
ヘテロ環基としては、ピリジル、ピロール、フリル、チオフェニル等が挙げられる。
【0022】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子が挙げられる。
【0023】
一般式(I)で表される化合物の具体例をしては、次のものが挙げられる。
【0024】
【化3】
JP0004997463B2_000004t.gif

【0025】
このうち、触媒としては(2)~(3)の化合物が好ましい。
【0026】
上記一般式(I)で表される化合物は、光学活性体を包含する。光学活性体としては、上記一般式(Ia)又は(Ib)で表される化合物が挙げられる。ここで、R1~R4の置換基は、一般式(I)で表される化合物と同じである。
【0027】
[製造方法]
一般式(I)の化合物は、例えば次の式に従って、製造することができる。
【0028】
【化4】
JP0004997463B2_000005t.gif

【0029】
以下、この式に沿って説明する。
【0030】
工程A
原料の2-ブロモ-3-メチルピリジンは、市販されており、例えば、東京化学工業(株)B1894を使用することができる。
【0031】
この工程に用いる触媒としては、銅、銅塩、パラジウム、パラジウム塩、ニッケル、ニッケル塩等が挙げられる。
触媒量は、2-ブロモ-3-メチルピリジンに対して10モル%~10倍モル量程度が好ましい。また、銅触媒は、希硝酸等で洗浄してから用いることが好ましい。
反応は、原料の2-ブロモ-3-メチルピリジンに該触媒を加え、反応温度0~300℃で、0.5~50時間程度行うことが好ましい。
反応後、必要により、濾過、抽出等を行って精製してもよい。具体的な方法としては、イオン交換クロマトグラフィー、カラムクロマトグラフィー、再結晶等が挙げられる。
【0032】
工程B
3,3’-ジメチル-2,2’-ビピリジルに対して、1倍モル~20倍モル量のメタクロロ過安息香酸を使用する。溶媒としては、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン等が好ましい。反応温度は、-78~40℃が好ましく、反応時間は0.5~50時間が好ましい。反応後、必要により、常法により精製してもよい。
【0033】
工程C
3,3’-ジメチル-2,2’-ビピリジル-N,N’-ジオキシドをニトロ化する工程である。ニトロ化は、常法により、濃硫酸と発煙硝酸を加え行うことが好ましい。反応温度は、0~120℃が好ましく、反応時間は0.5~50時間が好ましい。反応後、反応混合物を液体窒素等により冷却し、反応混合物が低温のうちに吸引ろ過し、目的物をろ別することが好ましい。得られた固形物を冷水で洗浄した後、減圧乾燥することにより目的とする4,4’-ジニトロ-3,3’-ジメチル-2,2’-ビピリジル-N,N’-ジオキシドが得られる。
【0034】
工程D
4,4’-ジニトロ-3,3’-ジメチル-2,2’-ビピリジル-N,N’-ジオキシドのニトロ基をハロゲンに置換する工程である。ハロゲン化には、酢酸クロリド、スルホン酸クロリド等を使用することが好ましく、使用量は、4,4’-ジニトロ-3,3’-ジメチル-2,2’-ビピリジル-N,N’-ジオキシドに対して1倍モル~500倍モル量が好ましい。反応は、0~120℃で0.5~50時間程度が好ましい。精製は常法により、薄層クロマトグラフィー等を用いて行えばよい。
【0035】
工程E
4,4’-ジクロロ-3,3’-ジメチル-2,2’-ビピリジル-N,N’-ジオキシドにアミン化合物を反応させ、置換アミノ基を導入する工程である。ここで用いるアミン化合物としては、アンモニア(水溶液)、ジメチルアミン、ジエチルアミン等が挙げられる。アミン化合物の使用量としては、原料に対して1倍モル~500倍モル量が好ましい。反応は、0~300℃で0.5~50時間程度が好ましい。精製は常法により、薄層クロマトグラフィー等を用いて行えばよい。
【0036】
本発明の化合物(I)の光学活性体である(Ia)又は(Ib)の化合物は、光学活性化合物を担持したカラムクロマトグラフィーあるいは分別再結晶等で分割することで得ることができる。
【0037】
本発明の一般式(1)で表される化合物及び一般式(Ia)又は一般式(Ib)で表される化合物は、反応触媒、特にエステル化反応、不斉エステル化反応、不斉アミド反応における触媒として有効である。
すなわち、1)アルコール及びカルボン酸からエステル化合物を製造する方法において、触媒として一般式(1)で表される化合物及び一般式(Ia)又は一般式(Ib)で表わされる化合物の存在下で反応を行う方法、2)不斉エステル化反応、又は3)不斉アミド化反応において、触媒として本発明の一般式(1)で表される化合物及び一般式(Ia)又は一般式(Ib)で表される化合物の存在下で反応を行う方法においては、それぞれ高い収率で反応物を得ることができる。
1)エステル化合物を製造する方法において、カルボン酸として脂肪族カルボン酸、α,β-不飽和カルボン酸、芳香族カルボン酸等を挙げることができ、アルコールとして脂肪族アルコール、α,β-不飽和アルコール、芳香族アルコール等を挙げることができ、これらの中で反応性の点から、特に脂肪族カルボン酸と脂肪族アルコールとの反応が好ましい。
また、2)不斉エステル化反応においては、カルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸ハロゲン化物等と脂肪酸アルコール、α,β-不飽和アルコール、芳香族アルコール等の反応が好ましく、これらの中で特に選択性の点からカルボン酸無水物と脂肪族アルコールとの反応が好ましい。
更に3)不斉アミド化反応においては、カルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸ハロゲン化物等と第1級アミン、第2級アミン等の反応が好ましく、これらの中で特に選択性の点からカルボン酸ハロゲン化物と第1級アミンとの反応が好ましい。
【実施例】
【0038】
次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
下記反応式に従って、本発明化合物(1)を合成した。
【0039】
【化5】
JP0004997463B2_000006t.gif

【0040】
工程A’
鋼粉末8.1665gを希硝酸水溶液で洗浄し、粗く乾燥した状態で反応容器に移した。減圧下、ヒートガン(300℃)で銅粉末を加熱乾燥させ、室温になるまで放置した。反応容器に2-ブロモ-3-メチルピリジン3.4mLを加え、外温を220℃とした。外温を1時間かけて240℃まで昇温した後、室温まで冷却した。濃硝酸を加え金属粉末を溶解し、次いで6N水酸化ナトリウム水溶液を加えて弱アルカリ性とした。エーテルを溶離液として反応混合物をセライト濾過し、ろ液をエーテルで3回抽出した。抽出物を減圧濃縮した後にカラムクロマトグラフィー(メルクシリカゲル60、展開溶媒;クロロホルム/メタノール=30/1)で精製し、3,3’-ジメチル-2,2’-ビピリジル(1.1862g,42.5%)を得た。
【0041】
工程B’
3,3’-ジメチル-2,2’-ビピリジル1.1546gの塩化メチレン28.9mL溶液に、室温でメタクロロ過安息香酸2.9001gを加えた。室温で3時間撹拌した後、メタノールを溶離液として反応混合物をイオン交換樹脂(強塩基性陰イオン交換型、ダイヤイオンSA11A)で濾過した。ろ液を濃縮した後にカラムクロマトグラフィー(メルクシリカゲル60、展開溶媒;クロロホルム/メタノール=10/1→1/0)で精製し、3,3’-ジメチル-2,2’-ビピリジル-N,N’-ジオキシド(1.2267g,90.5%)を得た。
【0042】
工程C’
3,3’-ジメチル-2,2’-ビピリジル-N,N’-ジオキシド935.5mgに濃硫酸4.8mLおよび発煙硝酸1.7mLを0℃で加えた。100℃で20時間撹拌した後、室温まで冷却した。外温を0℃に冷却した容器中に予め破砕した氷(27g)を加え、この中に反応混合物を注ぎ、さらにこの容器内に液体窒素を加えて冷却した。反応混合物が低温のうちに吸引ろ過し、ろ別した固形物を冷水で洗浄した後、減圧乾燥することにより4,4’-ジニトロ-3,3’-ジメチル-2,2’-ビピリジル-N,N’-ジオキシド(399.6mg,30.2%)を得た。
【0043】
工程D’
4,4’-ジニトロ-3,3’-ジメチル-2,2’-ビピリジル-N,N’-ジオキシド100mgに酢酸1.43mLおよび酢酸クロリド0.96mLを室温で加えた。100℃で2時間撹拌した後、0℃まで冷却した。反応混合物を3gの破砕した氷の上に注ぎ、室温になるまで放置した。反応混合物に6N水酸化ナトリウム水溶液を加えて弱アルカリ性とした。反応混合物をクロロホルムで3回抽出し、薄層クロマトグラフィー(ワコーゲル60、展開溶媒;クロロホルム/メタノール=10/1)で精製し、4,4’-ジクロロ-3,3’-ジメチル-2,2’-ビピリジル-N,N’-ジオキシド(78.1mg,84.2%)を得た。
【0044】
工程E’
オートクレーブ中、4,4’-ジクロロ-3,3’-ジメチル-2,2’-ビピリジル-N,N’-ジオキシド127.3mgに水0.48mLおよび50%ジメチルアミン水溶液7mLを加えた。135℃で10時間撹拌した後、室温まで冷却した。メタノールを溶離液として反応混合物をイオン交換樹脂(強塩基性陰イオン交換型、ダイヤイオンSA11A)で濾過した。ろ液を濃縮した後に薄層クロマトグラフィー(ワコーゲル60、展開溶媒;クロロホルム/メタノール=5/1)で精製し、3,3’-ジメチル-4,4’-ジメチルアミノ-2,2’-ビピリジル-N,N’-ジオキシド(DM-DMAPO)(116.7mg,86.1%)を得た。
【0045】
上記の工程A’~E’を経て得られた化合物をX線結晶解析した結果を図1に示す。

【0046】
【表1】
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【0047】
【化6】
JP0004997463B2_000008t.gif

【0048】
表1に示す通り、本発明化合物は、エステル化反応の触媒として有用であることが判る。
【0049】
実施例2
下記エステル化反応を[化6]に示す種々の触媒を用い、実施した。
予め減圧加熱乾燥したモレキュラーシーブス4A250mgに対し、DM-DMAPO6.0mgの塩化メチレン1.5mL溶液を加えた。さらに、トリエチルアミン44.5mgの塩化メチレン1mL溶液、2-メチル-6-ニトロ安息香酸無水物82.9mgと3-フェニルプロピオン酸37.1mgの塩化メチレン3mL溶液を室温で加えた。室温で10分間撹拌し、3-フェニルプロパノール27.9mgの塩化メチレン1.5mL溶液を室温で加えた。室温で24時間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止し、反応混合物を塩化メチレンで3回抽出した。有機層を飽和重曹水、水、飽和食塩水で洗浄した後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機層を減圧濃縮した後に薄層クロマトグラフィー(ワコーゲル60、展開溶媒;ヘキサン/酢酸エチル=3/1)で精製し、3-フェニルプロピオン酸3-フェニルプロピル(46.3mg,84%)を得た。
【0050】
【表2】
JP0004997463B2_000009t.gif

【0051】
上記表から明らかなように、不斉エステル化反応において、本願発明の化合物を触媒として用い、ピバル酸無水物をアシル化剤として用いた場合、得られるエステルのエナンチオマー過剰率が19%と高いことを示している。
【0052】
実施例3
塩化メチレン2mL中に溶解した1-フェネチルアルコール62.2mgに対し、トリエチルアミン37.9mg、(S)-DM-DMAPO15.2mgとピバル酸無水物279.4mgを室温で加えた。室温で1週間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止し、反応混合物を塩化メチレンで3回抽出した。有機層を飽和重曹水、水、飽和食塩水で洗浄した後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機層を減圧濃縮した後に薄層クロマトグラフィー(ワコーゲル60、展開溶媒;ヘキサン/酢酸エチル=3/1)で精製し、ピバル酸1-フェネチル(28.6mg、27%、19%ee)を得た。
【0053】
【表3】
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【0054】
上記表から明らかなように、不斉アミド化反応において、本願発明の化合物を触媒として用い、2,4,6-トリクロロ安息香酸塩化物(TCBC)をアシル化剤として用いた場合、得られるアミドのエナンチオマー過剰率が18%と高いことを示している。
【0055】
実施例4
塩化メチレン1mL中に溶解した1-フェネチルアミン24.5mgに対し、(S)-DM-DMAPO2.7mgと2,4,6-トリクロロ安息香酸塩化物25.3mgの塩化メチレン1mL溶液を-78℃で加えた。-78℃で2時間撹拌した後、飽和重曹水を加えて反応を停止し、反応混合物を塩化メチレンで3回抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄した後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機層を減圧濃縮した後に薄層クロマトグラフィー(ワコーゲル60、展開溶媒;ヘキサン/酢酸エチル=2/1)で精製し、2,4,6-トリクロロ安息香酸1-フェネチルアミド(29.4mg、44%、18%ee)を得た。
【0056】
【表4】
JP0004997463B2_000011t.gif

【0057】
上記表から明らかなように、不斉アミド化反応において、本願発明の化合物を触媒として用い、2,4,6-トリクロロ安息香酸塩化物(TCBC)を用いた場合、得られるモノアミド体(TM2)のエナンチオマー過剰率が35%と高いことを示している。
【0058】
実施例5
塩化メチレン1mL中に溶解したメソ体の1,2-ジフェネチルエチレンジアミン42.6mgに対し、(S)-DM-DMAPO2.7mgと2,4,6-トリクロロ安息香酸塩化物48.2mgの塩化メチレン1mL溶液を-78℃で加えた。-78℃で1時間撹拌した後、飽和重曹水を加えて反応を停止し、反応混合物を塩化メチレンで3回抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄した後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機層を減圧濃縮した後に薄層クロマトグラフィー(ワコーゲル60、展開溶媒;クロロホルム/メタノール=15/1)で精製し、1,2-ジフェネチルエチレンジアミンの2,4,6-トリクロロ安息香酸モノアミド(48.0mg、57%、35%ee)を得た。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の化合物を触媒として用いれば、エステル化合物の製造方法、不斉エステル反応、不斉アミド化反応において、収率よく工業的に有利に製造できる。
図面
【図1】
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