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明細書 :静電噴霧装置及び主剤からなる試料の作製方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5016960号 (P5016960)
公開番号 特開2008-246328 (P2008-246328A)
登録日 平成24年6月15日(2012.6.15)
発行日 平成24年9月5日(2012.9.5)
公開日 平成20年10月16日(2008.10.16)
発明の名称または考案の名称 静電噴霧装置及び主剤からなる試料の作製方法
国際特許分類 B05B   5/04        (2006.01)
B05B  15/04        (2006.01)
B05B   1/28        (2006.01)
B05D   1/04        (2006.01)
G01N   1/28        (2006.01)
FI B05B 5/04 Z
B05B 15/04 103
B05B 1/28
B05D 1/04 F
G01N 1/28 ZCCV
請求項の数または発明の数 5
全頁数 10
出願番号 特願2007-089101 (P2007-089101)
出願日 平成19年3月29日(2007.3.29)
審査請求日 平成22年3月29日(2010.3.29)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】803000115
【氏名又は名称】学校法人東京理科大学
発明者または考案者 【氏名】藤本 憲次郎
【氏名】伊藤 滋
個別代理人の代理人 【識別番号】100105201、【弁理士】、【氏名又は名称】椎名 正利
審査官 【審査官】土井 伸次
参考文献・文献 特開昭61-227862(JP,A)
特開昭55-142558(JP,A)
特開2005-264353(JP,A)
特開2006-007163(JP,A)
特開2005-329356(JP,A)
調査した分野 B05B 5/04
B05B 1/28 、 15/04
B05D 1/04
G01N 1/28
特許請求の範囲 【請求項1】
主ノズルと、該主ノズルの回りに複数配設された補助ノズルと、前記主ノズルと前記補助ノズルを共に同極性に電圧印加する電圧印加手段と、前記主ノズルから噴霧される主剤を堆積する基板を備えた静電噴霧装置であって、前記主ノズルから液体、スラリー、若しくは粉体の少なくとも一つの原料を含む主剤を、前記補助ノズルから所定温度にて揮発する液体からなる補助剤をそれぞれ噴霧し、前記電圧印加手段によって同一極性に帯電した前記主剤の霧状粒子と前記補助剤の霧状粒子を互いに反発させて、前記主剤の噴霧範囲を絞って基板上に堆積させると共に、前記補助剤を前記基板上で揮発させることを特徴とする静電噴霧装置。
【請求項2】
前記主剤には前記基板において所定温度にて揮発する液体を含むことを特徴とする請求項1記載の静電噴霧装置。
【請求項3】
前記主ノズル及び前記補助ノズルの前記基板に対する空間位置を座標決めする位置決め手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の静電噴霧装置。
【請求項4】
前記基板を加熱する加熱手段を備えたことを特徴とする請求項1、2又は3記載の静電噴霧装置。
【請求項5】
請求項1乃至4記載の静電噴霧装置を用いて、主ノズルから液体、スラリー、若しくは粉体の少なくとも一つの原料を含む主剤を、補助ノズルから所定温度にて揮発する液体からなる補助剤をそれぞれ噴霧し、前記電圧印加手段によって同一極性に帯電した前記主剤の霧状粒子と前記補助剤の霧状粒子を互いに反発させて、前記主剤の噴霧範囲を絞って基板上に堆積させると共に、前記補助剤を前記基板上において揮発させることを特徴とする主剤からなる試料の作製方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は静電噴霧装置及び主剤からなる試料の作製方法に係わり、特に噴霧範囲を制御自在な静電噴霧装置及び主剤からなる試料の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
静電噴霧技術はノズルに高電圧を印加し、ノズルから液体を噴霧させる技術で、一般的な用途として農薬の効果的な散布や塗装技術のひとつとして用いられ、研究上でも電池材料の電解質作成等の手法としても用いられている。
ノズルから液体を放出する際には、接地された基板に向けて霧状化した液体が円錐状に拡散噴霧される。
【0003】
昨今、この静電噴霧技術を用い、いわゆるコンビナトリアル手法により複数の原料を混合して混合比の異なる多種類の試料を自動的に生成することが行われている。このことにより、高速で試料を作り高速で評価することが可能になりつつある(特許文献1~4参照)。

【特許文献1】特開2005-329357号公報
【特許文献2】特開2005-329356号公報
【特許文献3】特開2005-345128号公報
【特許文献4】特開2005-342657号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の静電噴霧技術では噴霧範囲を簡単に制御できる手法は無かった。このため、噴霧範囲が広い場合には、隣り合った噴霧範囲間での不純物が混在するおそれがあった。
また、試薬の量も噴霧範囲の面積に比例して沢山必要であった。
【0005】
更に、一枚の基板上には限られた試料の数しか生成されていないので、他の検査機関に持ち運ぶ等の際の移動性も良くなかった。このため、コンパクト化した状態で多数の試料について一度に生成したり、加熱処理を行ったり、分析を行ったりするのには、従来の静電噴霧技術では限界があった。
一方、ノズルからの噴霧範囲を狭くするにはノズルと基板間の距離を近づけることも考えられるが、余り近づけると、高電圧で引火するという危険があった。
【0006】
また、コンビナトリアル手法を用いての試料の生成及び分析は医薬の分野では盛んに進んでいるものの、無機材料の分野等での応用は進んでいない。例えばセラミックス等は一つの種類のものを生成及び分析するまでに、原料を混ぜて練り焼成し、できたものをX線で評価するという工程を経るため3~4日を要する。この結果を基に次の材料探索を行うことになり、数十の試料について評価を行うのに数カ月を要することも多かった。
【0007】
本発明はこのような従来の課題に鑑みてなされたもので、噴霧範囲を制御自在な静電噴霧装置及び主剤からなる試料の作製方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このため本発明(請求項1)の静電噴霧装置は、主ノズルと、該主ノズルの回りに複数配設された補助ノズルと、前記主ノズルと前記補助ノズルを共に同極性に電圧印加する電圧印加手段と、前記主ノズルから噴霧される主剤を堆積する基板を備えた静電噴霧装置であって、前記主ノズルから液体、スラリー、若しくは粉体の少なくとも一つの原料を含む主剤を、前記補助ノズルから所定温度にて揮発する液体からなる補助剤をそれぞれ噴霧し、前記電圧印加手段によって同一極性に帯電した前記主剤の霧状粒子と前記補助剤の霧状粒子を互いに反発させて、前記主剤の噴霧範囲を絞って基板上に堆積させると共に、前記補助剤を前記基板上で揮発させることを特徴とする。
【0009】
主剤は液体、スラリー、若しくは粉体のいずれかで構成された少なくとも一つの原料を含む。原料は1種類であってもよいし、原料同士が所定の成分比で混合されてもよい。補助剤は液体で構成され、基板において所定温度にて揮発する。主ノズル及び補助ノズルには電圧が掛けられ、主剤の霧状粒子と補助剤の霧状粒子とは共に同一極性に帯電された状態であるため、粒子同士が互いに反発し合う。このため、主剤の霧状粒子は、補助剤の霧状粒子により四方より噴霧範囲を絞られ基板の中心部に集中される。補助剤は基板において揮発し、後に主剤のみが残る。このことにより、堆積させたい物質の噴霧面積を自在に制御できる。
また、本発明(請求項2)は、前記主剤には前記基板において所定温度にて揮発する液体を含むことを特徴とする。
【0010】
主剤は液体、スラリー、若しくは粉体のいずれかで構成された溶媒や溶剤等に溶かしたり混合されてもよい。この溶媒等は噴霧された後、基板において所定温度にて揮発する。このため、溶媒等は後には残らず、主剤の原料のみが残る。
【0011】
更に、本発明(請求項3)は、前記主ノズル及び前記補助ノズルの前記基板に対する空間位置を座標決めする位置決め手段を備えて構成した。
一つの原料の堆積を得た後、主ノズル及び補助ノズルの基板に対する空間座標位置を移動させ、次の位置決めを行う。その後、この座標地点での原料の堆積を再び行う。
【0012】
以上により、基板上に多数の原料の堆積をさせることができる。完成した試料は、それぞれが連続していないため、成分も確実に分離することができる。高密度に生成物を堆積できる。このように量産可能なため、コストダウンにつなげることができる。また、コンパクト化された基板は移動し易く、異なる場所での分析試験も容易になる。更に、同一の基板を使用可能なので、生成や評価分析に際しては、従来技術で用いたロボットシステムや評価システムをそのまま本発明でも利用可能である。
【0013】
更に、本発明(請求項4)は、前記基板を加熱する加熱手段を備えて構成した。
堆積物より溶媒等を揮発させ、後に主剤の原料のみを残すことができる。
更に、本発明(請求項5)である主剤からなる試料の作製方法は、請求項1乃至4記載の静電噴霧装置を用いて、主ノズルから液体、スラリー、若しくは粉体の少なくとも一つの原料を含む主剤を、補助ノズルから所定温度にて揮発する液体からなる補助剤をそれぞれ噴霧し、前記電圧印加手段によって同一極性に帯電した前記主剤の霧状粒子と前記補助剤の霧状粒子を互いに反発させて、前記主剤の噴霧範囲を絞って基板上に堆積させると共に、前記補助剤を前記基板上において揮発させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように本発明によれば、主ノズル及び補助ノズルには所定の電圧が掛けられているため、主剤の霧状粒子と補助剤の霧状粒子とは共に同一極性に帯電された状態であり、互いに反発し合う。このため、主剤の霧状粒子は、補助剤の霧状粒子により四方より噴霧範囲を絞られ基板の中心部に集中される。補助剤は揮発し、後に主剤の原料のみが残る。このことにより、堆積させたい物質の噴霧面積を自在に制御できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明の実施形態の構成図を図1に示す。図1において、シリンダポンプ1には主剤に相当する原料50と溶媒51が混合して含まれている。主剤は液体の他、スラリー、若しくは粉体であってもよい。原料50は1種類であってもよいし、複数種類で構成し原料同士が所定の成分比で混合されてもよい。1種類であっても濃度等を異ならせて構成されても良い。
【0016】
また、シリンダポンプ2には、補助剤に相当する溶媒53が入れられている。補助剤は主剤と同様に液体の他、スラリー、若しくは粉体であってもよい。そして、原料50と溶媒51の混合液は、マニホールド3を介して主ノズル4から放出されるようになっている。一方、溶媒53はマニホールド3を介して4本の補助ノズル5から放出されるようになっている。
【0017】
ここに、主ノズルと補助ノズルの関係を図2を基に説明する。図2において、ノズル保持プレート7には中央に一本の主ノズル4が配設されている。そして、この主ノズル4の周囲には4本の補助ノズル5が均等かつ等間隔に配設されている。但し、この補助ノズル5の本数は4本に限ったものではなく、主ノズル4の周囲に2本以上、望ましくは3本以上均等に配設されればよい。
【0018】
主ノズル4及び補助ノズル5の下方には、基板8が加熱素子9の上に載置されている。基板8及び加熱素子9は接地され、かつ主ノズル4及び補助ノズル5には高圧電源装置10により3kV~9kVの高電圧が掛けられている。但し、この電圧に制限するものではなく、120kV程度までの印加とされてもよい。加熱素子9は温度コントローラ13により温度制御されるようになっている。
【0019】
そして、この高圧電源装置10の電圧、加熱素子9の温度、シリンダポンプ2の送り量はパソコン11により設定制御されるようになっている。また、3次元位置制御装置15により、ノズル保持プレート7はX軸、Y軸、Z軸の空間の位置決め処理が行われている。3次元位置制御装置15の位置制御はパソコン11により制御されるようになっている。
【0020】
次に、本発明の実施形態の動作を説明する。
3次元位置制御装置15により、ノズル保持プレート7の位置決めを行う。その後、シリンダポンプ1、2の送り量を調節しながら、主ノズル4から基板8上に堆積させたい原料50及び溶媒51の混合液を噴霧させる。このとき、高電圧の印加に伴い、主ノズル4から霧状化された液体が拡散噴霧される。一方、補助ノズル5からは堆積させたい原料50を含まない、かつ揮発する溶媒53を噴霧させる。
【0021】
主ノズル4及び補助ノズル5には高圧電源装置10により高電圧が掛けられているため、原料50及び溶媒51の混合液の霧と溶媒53の霧とは共にプラスに帯電された状態であり、互いに反発し合う。このため、原料50及び溶媒51の混合液の霧は、四方より噴霧範囲を絞られ基板8の中心部に集中される。加熱素子9は溶媒51、53が揮発する温度である、例えば数十度~数百度に加熱されている。
【0022】
このため、堆積された原料50及び溶媒51の混合液より溶媒51は揮発し、後に原料50のみが残る。また、溶媒53も同様に揮発し後に残らない。ノズル保持プレート7に印加する電圧値や主ノズル4及び補助ノズル5から堆積場所までの距離の制御によって、堆積させたい物質の噴霧面積を自在に制御できる。
【0023】
本実施形態では、主ノズル4と基板8間の距離と補助ノズル5と基板8間の距離とは一致させているが、異ならせるようにされてもよい。また、溶媒51と溶媒53とは同一成分としてもよいし、異なる成分にて構成されてもよい。更に、溶媒51は省略されてもよい。
一つの原料50の堆積を得た後、3次元位置制御装置15により、ノズル保持プレート7を移動させ、次の位置決めを行う。その後、この座標地点での原料50の堆積を再び行う。
【0024】
以上により、例えば、原料50の濃度や成分を変えつつ、一枚の基板8上に多数の原料50の堆積をさせることができる。完成した試料は、それぞれが連続していないため、成分も確実に分離することができる。例えば、35mm角の基板8の上に16~36個の堆積を行うことが可能であり、コンパクトに生成物を堆積できる。
【0025】
このように量産可能なため、従来に比べ格段のコストダウンにつなげることができる。様々な組成比からなる無数の試料群(ライブラリー)から優れた特性を示す材料を簡便に、そして迅速に見いだすことができる。また、コンパクト化された基板8は移動し易く、異なる場所での分析試験も容易になる。更に、従来と同一の基板8を使用可能なので、生成や評価分析に際しては、従来のロボットシステムや評価システムをそのまま利用可能である。
【0026】
次に、本発明の化学処理方法を図3に基づき説明する。
図3のステップ1では、混合される複数種の無機物質原料の識別名や濃度、組成図の座標の分割数、混合される無機物質原料の化学処理条件がデータとして入力される。但し、原料は一種類であってもよい。識別名の入力の方法は、原料名を入力することや、予めパソコン11の入力画面に示された識別名に濃度を入力したり、識別名を選択したりすることによって行われる。原料名と識別名とは別途対応させることになる。化学処理条件とは、具体的には、試料生成、盛付、加熱、計測、分析等の各要素操作の条件である。
【0027】
組成図とは、原料の種類が3種類の場合は3次元となり、3元組成図とよばれる。また、原料の種類が4種類の場合は、4元組成図となる。座標の分割数とは、その各頂点と頂点を結ぶ辺を等間隔でいくつかに分割したときのその数のことであり、各辺に平行にその等間隔に線を引いたときの線の交差する点又は辺上の点が組成点であり、組成比を示すものである。つまり、座標の分割数を多くすることにより、より細かい間隔で試料を生成することができる。3元組成図の例を図4に示す。
【0028】
このように、本発明の化学処理においては、各工程が自動的に、かつ、連続的に運転されるが、一般的に3成分系で、座標を10等分したケースを取り上げると、組成の組み合わせの数は66個となる。
入力が終わると、ステップ2が実行され、パソコン11の画面に図4に示す組成図61が表示される。
【0029】
次に、ステップ3では、パソコン11の画面に表示された組成図の範囲を設定する。広い範囲の混合比の試料を分析するには、組成図全ての範囲を設定するのが望ましい。続いて、ステップ4が実行され、設定された組成図の全範囲と組成図の座標の分割数である例えば10に従って3種の無機物質原料の66通りの混合比を自動的に計算する。
【0030】
次に、ステップ5では、混合比の異なる66の試料を、化学処理条件に従って自動的に生成する。ここで、化学処理条件とは、液状無機物質原料の撹拌時間や撹拌条件等を指し、必要なら、雰囲気温度や雰囲気気体、気体の圧力等の条件を指す。
【0031】
続いて、ステップ6では、66の液状若しくは堆積の試料を、66個の凹部(ウエル)若しくは座標位置を有する一枚の基板8上に、化学処理条件に従って自動的に所定量ずつ配列する。ここで、化学処理条件とは、基板8の温度や雰囲気温度、雰囲気気体、液状試料の乾燥条件等を指す。この際、本実施形態である主ノズル4及び補助ノズル5を利用することで、噴霧面積を狭めた形で試料を生成できる。噴霧面同士の間は互いに独立しているので、隣接する噴霧面同士の間で成分が互いに混じり合うことはない。
【0032】
ステップ7では、基板8上の複数の試料を化学処理条件に従って自動的に加熱処理する。ここで、化学処理条件としては、昇温速度、加熱温度、加熱時間、冷却速度、雰囲気気体、気体圧力等を指す。雰囲気気体は設備上の観点から空気であることが望ましい。但し、真空等とすることも可能である。
【0033】
ステップ8では、基板8上の加熱処理された66の試料に対して、X線回折線を計測し、その収録データを図示しないデータベースに収納されたX線回折データファイル(例えば、JCPDSファイル)に照合できる形式に変換する。また、データは基板8上の各試料と1対1に対応させて出力させる。このステップでの処理条件としては、X線回折角度やX線回折強度等が挙げられる。
【0034】
更に、ステップ9では、X線回折線計測結果を、化学処理条件に従って自動的に分析する。ここで、化学処理条件とは、照合するデータベースの種類や、分析の条件等を指す。
【実施例】
【0035】
次に、本発明の実施例について説明する。主ノズル4及び補助ノズル5としては、ステンレスノズルを使用した。例えば、「カットチューブ 1/16CT-1(内径0.25mm)」、「カットチューブ 1/16CT-4(内径0.50mm)」、「カットチューブ 1/16CT-7(内径0.80mm)」共にジーエルサイエンス社製の3種類を使用した。
【0036】
但し、主ノズル4及び補助ノズル5については、電気伝導性があり耐腐食性のチューブがあれば他のものでも代用可能である。液体を押し出す流量や印加する電圧の値によって可能なチューブの内径は拡げられるので、産業上の噴霧機械の内径(最小内径0.1mm程度)に相当する範囲まで適用可能である。
【0037】
補助ノズル5同士の間隔は実際に市販のボルトやナットなどを使って作製したため18.38mmとしたが、5mm程度の間隔でも可能である。主ノズル4及び補助ノズル5と加熱素子9の間の間隔は5mm以上が望ましい。
【0038】
また、原料50として、酸化バナジウムアセチルアセトナート粉末を用いた。そして、この酸化バナジウムアセチルアセトナート粉末を溶媒51に相当する混合有機溶媒(エタノール:ジエチレングリコールモノブチルエーテル=1:4)に溶かし、3.02×10-2mol/lの溶液を作製した。基板8として石英ガラス(厚さ0.5mm)を使用した。但し、この石英ガラスに代えて、アルミナやジルコニア(共に厚さ5mm)に白金を蒸着させて構成することも可能である。
【0039】
なお、溶媒53には、溶媒51と同一の混合有機溶媒(エタノール:ジエチレングリコールモノブチルエーテル=1:4)を用いた。
主ノズル4から原料50を溶媒51に溶かした溶液を、かつ周囲の4本の補助ノズル5から溶媒53のみをそれぞれ25μ./min.で1分間、同時に噴霧させた。このときのノズル先端から基板8までの距離は45mmであった。ノズルへの印加電圧は9000Vである。得られた堆積物は図5に示されるように5mm程度の直径を有する円状になった。
【0040】
これに対し、本実験を補助ノズル5を用いない従来の方法で行うと、印加電圧9000Vでノズル先端から基板8までの距離を50mmとしたときに得られた堆積物の面積が直径80~100mmになったことから、本発明により格段に限定された範囲への堆積が可能になったことが分かる。
【0041】
なお、印加電圧を3500V、ノズル先端から基板8までの距離を10mmとすると5mm程度の直径を有する円状に一応できるが、膜の堆積ではなく、単なる粉末の堆積となってしまう。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施形態の構成図
【図2】主ノズルと補助ノズルの関係を示す図
【図3】本発明の化学処理方法
【図4】3元組成図の例
【図5】得られた堆積物の様子を示す図(写真)
【符号の説明】
【0043】
1、2 シリンダポンプ
3 マニホールド
4 主ノズル
5 補助ノズル
7 ノズル保持プレート
8 基板
9 加熱素子
10 高圧電源装置
11 パソコン
13 温度コントローラ
15 3次元位置制御装置
50 原料
51、53 溶媒
61 組成図
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4