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明細書 :光学活性カルボン酸エステルを製造する方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5417560号 (P5417560)
登録日 平成25年11月29日(2013.11.29)
発行日 平成26年2月19日(2014.2.19)
発明の名称または考案の名称 光学活性カルボン酸エステルを製造する方法
国際特許分類 C07C  29/74        (2006.01)
C07C  33/20        (2006.01)
C07C  67/08        (2006.01)
C07C  67/48        (2006.01)
C07C  69/157       (2006.01)
C07C  69/24        (2006.01)
C07C  69/533       (2006.01)
C07C  69/708       (2006.01)
C07C  69/75        (2006.01)
C07C  69/612       (2006.01)
C07C  33/46        (2006.01)
C07C 201/12        (2006.01)
C07C 205/42        (2006.01)
C07C 253/30        (2006.01)
C07C 255/55        (2006.01)
C07D 333/16        (2006.01)
C07D 307/42        (2006.01)
C07D 313/00        (2006.01)
C07B  53/00        (2006.01)
C07B  57/00        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI C07C 29/74
C07C 33/20
C07C 67/08
C07C 67/48
C07C 69/157
C07C 69/24
C07C 69/533
C07C 69/708 Z
C07C 69/75 Z
C07C 69/612
C07C 33/46
C07C 201/12
C07C 205/42
C07C 253/30
C07C 255/55
C07D 333/16
C07D 307/42
C07D 313/00
C07B 53/00 B
C07B 57/00 343
C07B 61/00 300
請求項の数または発明の数 6
全頁数 43
出願番号 特願2009-514165 (P2009-514165)
出願日 平成20年5月12日(2008.5.12)
国際出願番号 PCT/JP2008/058743
国際公開番号 WO2008/140074
国際公開日 平成20年11月20日(2008.11.20)
優先権出願番号 2007128540
2008061394
優先日 平成19年5月14日(2007.5.14)
平成20年3月11日(2008.3.11)
優先権主張国 日本国(JP)
日本国(JP)
審査請求日 平成23年5月12日(2011.5.12)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】803000115
【氏名又は名称】学校法人東京理科大学
発明者または考案者 【氏名】椎名 勇
【氏名】中田 健也
個別代理人の代理人 【識別番号】100106002、【弁理士】、【氏名又は名称】正林 真之
審査官 【審査官】神野 将志
参考文献・文献 Isamu SHIINA et al.,Tetrahedron Letters,2007年,48,pp.8314-8317
Vladimir B. BIRMAN et al.,ORGANIC LETTERS,2006年,8(21),pp.4859-4861
Vladimir B. BIRMAN et al.,ORGANIC LETTERS,2006年,8(7),pp.1351-1354
椎名 勇,有機合成化学協会誌,2005年,第63巻第1号,第2頁-第17頁
調査した分野 C07C 29/74、67/08、67/48、201/12
255/55
C07D 307/42、313/00、333/16
特許請求の範囲 【請求項1】
不斉エステル化触媒として、下記一般式(1)、(2)、(3)又は(4)で示される化合物を用い、安息香酸無水物又はその誘導体の存在下で、ラセミの2級アルコールのいずれか一方のエナンチオマーとカルボン酸とを脱水縮合反応させて、光学活性カルボン酸エステルを製造する方法。
【化1】
JP0005417560B2_000057t.gif
【化2】
JP0005417560B2_000058t.gif
【化3】
JP0005417560B2_000059t.gif
【化4】
JP0005417560B2_000060t.gif
上記の式中、Xは、下記化学式(5)で表される置換基のいずれかである。
【化5】
JP0005417560B2_000061t.gif
(式中、Rは保護基である。)
【請求項2】
前記ラセミの2級アルコールの不斉炭素原子に隣接する炭素原子の1つが、多重結合により他の原子と結合している請求項1記載の光学活性カルボン酸エステルを製造する方法。
【請求項3】
前記ラセミの2級アルコールの不斉炭素原子に隣接する炭素原子のうち、一の原子が3重結合により他の原子と結合している原子であり、別の原子が2重結合により別の他の原子と結合している原子であって、前記3重結合にコバルト錯体が結合している請求項1に記載の光学活性カルボン酸エステルを製造する方法。
【請求項4】
前記安息香酸無水物の誘導体は、フェニル環に電子供与性基が置換されたものである請求項1記載の光学活性カルボン酸エステルを製造する方法。
【請求項5】
不斉エステル化触媒として、一般式(1)、(2)、(3)又は(4)で示される化合物を用い、安息香酸無水物又はその誘導体の存在下で、ラセミの2級アルコールのいずれか一方のエナンチオマーとカルボン酸とを選択的に反応させることによって、ラセミの2級アルコールを光学分割する、ラセミの2級アルコールの光学分割法。
【化6】
JP0005417560B2_000062t.gif
【化7】
JP0005417560B2_000063t.gif
【化8】
JP0005417560B2_000064t.gif
【化9】
JP0005417560B2_000065t.gif
上記の式中、Xは、下記化学式(5)で表される置換基のいずれかである。
【化10】
JP0005417560B2_000066t.gif
(式中、Rは保護基である。)
【請求項6】
不斉エステル化触媒として、一般式(1)、(2)、(3)又は(4)で示される化合物を用い、安息香酸無水物又はその誘導体の存在下で、第2級水酸基を有するラセミのヒドロキシカルボン酸のいずれか一方のエナンチオマーの前記第2級水酸基を、分子内に存在するカルボン酸基と選択的に反応させることによって、光学活性ラクトンを製造する方法。
【化11】
JP0005417560B2_000067t.gif
【化12】
JP0005417560B2_000068t.gif
【化13】
JP0005417560B2_000069t.gif
【化14】
JP0005417560B2_000070t.gif
上記の式中、Xは、下記化学式(5)で表される置換基のいずれかである。
【化15】
JP0005417560B2_000071t.gif
(式中、Rは保護基である。)
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ラセミの2級アルコールとカルボン酸から光学活性カルボン酸エステルを製造する方法、ラセミの2級アルコールを光学分割する方法、及び第2級水酸基を有するラセミのヒドロキシカルボン酸から光学活性ラクトンを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光学活性カルボン酸エステル及び2級アルコールは、医薬品、生理活性物質の中間体、天然物合成の中間体等として、様々な分野に使用されている。
【0003】
光学活性カルボン酸エステルを製造する方法として、不斉アシル化触媒を用いて、ラセミの2級アルコールと、酸塩化物又は酸無水物とを反応させることによって、ラセミの2級アルコールから対応するエステルを製造する方法が知られている。また、特許文献1には、特定の不斉アシル化触媒を用いて、ラセミの2級アルコールのうち一方のエナンチオマーを選択的にアシル化して光学分割する方法が記載されている。
【0004】
非特許文献1には、テトラミソール又はベンゾテトラミソールを触媒として用い、酸無水物の存在下で、ラセミの2級ベンジル性アルコールから光学活性エステルを製造すると共に、もう一方の2級アルコールのエナンチオマーを得る方法が記載されている。非特許文献2には、ベンゾテトラミソールを触媒として用いて、酸無水物の存在下でラセミのプロパルギル性アルコールを同様に光学分割する方法が記載されている。
【0005】
しかし、これらの方法では、アシル化剤として用いる酸塩化物や酸無水物の構造が極めて限定されているため、基質一般性に乏しいという問題があった。アルコールとカルボン酸から直接、エステルを製造することができれば、この問題は解決されるが、これまでに、アルコールとカルボン酸から、直接、光学活性カルボン酸エステルを製造する方法は知られていなかった。

【特許文献1】特開2006-15255号公報
【非特許文献1】Org.Lett.,(2006)Vol.8,No.7,p.1351-1354
【非特許文献2】Org.Lett.,(2006)Vol.8,No.21,p.4859-4861
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ラセミの2級アルコールとカルボン酸から光学活性カルボン酸エステルを直接、製造する方法を提供することである。
【0007】
本発明の他の目的は、前記方法と同じ手段によって、ラセミの2級アルコールを光学分割する方法を提供することである。
【0008】
本発明の別の目的は、第2級水酸基を有するラセミのヒドロキシカルボン酸から光学活性ラクトンを直接、製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、先に、置換安息香酸無水物を脱水縮合剤として用いるカルボン酸とアルコールとの効率的な脱水縮合反応方法を開発した。この反応によると、塩基触媒である4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)の存在下で、縮合剤として2-メチル-6-ニトロ安息香酸無水物を用いることで、カルボン酸とアルコールを基質とした場合には対応するエステルを製造することができる。
【0010】
一方、非特許文献1及び2には、市販品であるテトラミソール及びその誘導体であるベンゾテトラミソールが、2級アルコールの速度論的光学分割に効果的な触媒であることが報告されていた。そこで、上記の置換安息香酸無水物法に対して、塩基触媒であるDMAPの代わりに、テトラミソール等を適用する可能性について鋭意、研究した結果、本発明を完成させるに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、以下のものを提供する。
【0012】
(1)不斉エステル化触媒として、下記一般式(1)、(2)、(3)又は(4)で示される化合物を用い、安息香酸無水物又はその誘導体の存在下で、ラセミの2級アルコールのいずれか一方のエナンチオマーとカルボン酸とを脱水縮合反応させて、光学活性カルボン酸エステルを製造する方法。
【化1】
JP0005417560B2_000002t.gif
【化2】
JP0005417560B2_000003t.gif
【化3】
JP0005417560B2_000004t.gif
【化4】
JP0005417560B2_000005t.gif
上記の式中、Xは、下記化学式(5)で表される置換基のいずれかである。
【化5】
JP0005417560B2_000006t.gif
(式中、Rは保護基である。)
【0013】
なお、上記(1)及び(2)で表される化合物のうち、XがPhであるものが、テトラミソールであり、上記(3)及び(4)で表される化合物のうち、XがPhであるものが、ベンゾテトラミソールである。
【0014】
(2)前記ラセミの2級アルコールの不斉炭素原子に隣接する炭素原子の少なくとも1つが、多重結合により他の原子と結合している(1)に記載の光学活性カルボン酸エステルを製造する方法。
【0015】
(3)前記ラセミの2級アルコールの不斉炭素原子に隣接する炭素原子のうち、一の原子が3重結合により他の原子と結合している原子であり、別の原子が2重結合により別の他の原子と結合している原子であって、前記3重結合にコバルト錯体が結合している(1)に記載の光学活性カルボン酸エステルを製造する方法。
【0016】
(4)前記安息香酸無水物の誘導体は、フェニル環に電子供与性基が置換されたものである(1)に記載の光学活性カルボン酸エステルを製造する方法。
【0017】
(5)不斉エステル化触媒として、一般式(1)、(2)、(3)又は(4)で示される化合物を用い、安息香酸無水物又はその誘導体の存在下で、ラセミの2級アルコールのいずれか一方のエナンチオマーとカルボン酸とを選択的に反応させることによって、ラセミの2級アルコールを光学分割する、ラセミの2級アルコールの光学分割法。
【化6】
JP0005417560B2_000007t.gif
【化7】
JP0005417560B2_000008t.gif
【化8】
JP0005417560B2_000009t.gif
【化9】
JP0005417560B2_000010t.gif
上記の式中、Xは、下記化学式(5)で表される置換基のいずれかである。
【化10】
JP0005417560B2_000011t.gif
(式中、Rは保護基である。)
【0018】
(6) 不斉エステル化触媒として、一般式(1)、(2)、(3)又は(4)で示される化合物を用い、安息香酸無水物又はその誘導体の存在下で、第2級水酸基を有するラセミのヒドロキシカルボン酸のいずれか一方のエナンチオマーの前記第2級水酸基を、分子内に存在するカルボン酸基と選択的に反応させることによって、光学活性ラクトンを製造する方法。
【化11】
JP0005417560B2_000012t.gif
【化12】
JP0005417560B2_000013t.gif
【化13】
JP0005417560B2_000014t.gif
【化14】
JP0005417560B2_000015t.gif
上記の式中、Xは、下記化学式(5)で表される置換基のいずれかである。
【化15】
JP0005417560B2_000016t.gif
(式中、Rは保護基である。)
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、ラセミの2級アルコールとカルボン酸から光学活性カルボン酸エステルを直接、製造することができる。
【0020】
また、本発明によると、前記方法と同じ手段によって、ラセミの2級アルコールを容易に光学分割することができる。
【0021】
更に、本発明によれば、第2級水酸基を有するラセミのヒドロキシカルボン酸から光学活性カルボン酸エステルを直接、製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<第一の実施形態>
以下、本発明の第一の実施形態について詳細に説明する。
【0023】
本発明の第一の実施形態は、ラセミの2級アルコールとカルボン酸から、光学活性エステルを製造するに際して、不斉エステル化触媒として、一般式(1)、(2)、(3)又は(4)で示される化合物を用い、脱水縮合剤として、安息香酸無水物又はその誘導体を使用する点に特徴がある。
【化16】
JP0005417560B2_000017t.gif
【化17】
JP0005417560B2_000018t.gif
【化18】
JP0005417560B2_000019t.gif
【化19】
JP0005417560B2_000020t.gif
上記の式中、Xは、下記化学式(5)で表される置換基のいずれかである。
【化20】
JP0005417560B2_000021t.gif
(式中、Rは保護基である。)
【0024】
なお、上記(1)及び(2)で表される化合物のうち、XがPhであるものが、テトラミソールであり、上記(3)及び(4)で表される化合物のうち、XがPhであるものが、ベンゾテトラミソールである。
【0025】
保護基Rは、通常の化学合成に用いられる保護基であり、例えば、アルキル基等が挙げられる。これらの化合物は、市販品として入手するか、これらの置換基を側鎖として有するアミノ酸から合成することができる。
【0026】
高いエナンチオ選択率(ee)及び高い相対反応速度比(s)を得る上で、一般式(3)又は(4)で示される化合物が好ましい。
【0027】
本発明において、安息香酸無水物及びその誘導体は、脱水縮合剤として作用する。安息香酸無水物中のフェニル環は置換基を有してもよい。高いエナンチオ選択率(ee)及び高い相対反応速度比(s)を得る上で、無置換の安息香酸無水物及びフェニル環が電子供与性基、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基等で置換された安息香酸無水物が好ましい。中でも、フェニル環が、炭素数1~3のモノ、ジ又はトリ-アルキル基及びアルコキシ基で置換された安息香酸無水物が好ましく、モノ又はジ-メチル基及びメトキシ基で置換された安息香酸無水物がより好ましい。
【0028】
2級アルコールとしては、任意のものを用いることができる。ただし、2級アルコールを(R)(R)CHOHで示した場合、R及びRは異なる置換基である。R及びRとしては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリールアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基及びヘテロ環基等が挙げられる。これらの基は、置換基を有してもよい。分子中には二重結合又は三重結合が含まれていてもよく、中でも、2級アルコールの不斉炭素原子と隣接する炭素原子の1つが、化学式(6)、(7)、及び(7a)に示すように、二重結合、三重結合といった多重結合により他の原子と結合していることが好ましい。このような2級アルコールの例を以下に示す。
【0029】
【化21】
JP0005417560B2_000022t.gif
【0030】
【化22】
JP0005417560B2_000023t.gif
【0031】
【化23】
JP0005417560B2_000024t.gif
【0032】
また、2級アルコールとしては、ラセミの2級アルコールの不斉炭素原子に隣接する炭素原子のうち、一の原子が3重結合により他の原子と結合している原子であり、別の原子が2重結合により別の他の原子と結合している原子である2級アルコールも用いることができる。このような2級アルコールとしては、例えば、化学式(7b)に示される化合物を挙げることができる。
【0033】
【化24】
JP0005417560B2_000025t.gif
【0034】
一分子中に2重結合と3重結合とを有する上記2級アルコールを用いる場合、3重結合にコバルト錯体が結合することにより、3重結合が保護されていることが好ましい(例えば、化合物(7c))。本発明において、不斉炭素原子に隣接する炭素原子が有する多重結合は、エステル生成反応の立体選択性に寄与するが、同一分子内の2重結合と3重結合の両者が立体選択性に寄与した場合、結果として当該分子全体における立体選択性が失われる傾向にある一方で、3重結合を保護している場合には、残る2重結合のみが立体選択性に寄与する結果、分子全体における立体選択性が向上するためである。
【0035】
3重結合の保護のために用いられるコバルト錯体としては、一酸化炭素を配位子とするコバルト錯体、トリフェニルホスフィンを配位子とするコバルト錯体を挙げることができる。これらのコバルト錯体の調製は、従来公知の調製方法により行えばよい。
【0036】
ラセミ2級アルコールとのエステル化反応に用いられるカルボン酸も、任意のものを用いることができる。例えば、RCOOHで示されるカルボン酸において、Rとして、アルキル基、シクロアルキル基、アリールアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、ヘテロ環基等を有するカルボン酸が挙げられる。これらの基は、置換基を有してもよく、分子中に二重結合又は三重結合が含まれていてもよい。具体的には、Rとして、C、CHCH(CH、Ph(CH、Ph(CH、CHCH(CH、CHOCH、c-C11等を有する上記カルボン酸が挙げられる。
【0037】
本発明によると、ラセミの2級アルコールの一方のエナンチオマーが、不斉エステル化触媒と脱水縮合剤の存在下で、選択的にカルボン酸と反応して光学活性エステルを生成する結果、未反応の2級アルコールが光学活性を持った2級アルコールとして光学分割される。
【0038】
本発明の反応は、溶媒中に不斉エステル化触媒、脱水縮合剤、ラセミアルコール及びカルボン酸を投入することによって行われる。溶媒中への投入方法は任意であり、これらを順次投入してもよいし、同時に投入してもよい。溶媒は制限されないが、ジクロロメタン、クロロベンゼンが好ましい。反応温度は0℃~50℃、反応時間は1時間~12時間が好ましい。
【0039】
限定されるものではないが、通常、2級アルコール1当量に対して、それぞれカルボン酸0.5当量~0.75当量、触媒1モル%~10モル%が用いられる。脱水縮合剤は、カルボン酸に対して1.0当量~1.2当量用いられる。また、反応促進剤として、ジイソプロピルエチルアミンをカルボン酸に対して2.0当量~2.4当量用いることができる。
【0040】
飽和重曹水で反応を停止させた後、有機層を分取し、水層をジエチルエーテルで抽出して有機層と混合し、無水硫酸ナトリウムで乾燥する。溶液をろ過し、減圧濃縮してシリカゲル薄層クロマトグラフィーを用いて分取することにより、対応する光学活性エステル及び未反応の光学活性アルコールが得られる。
【0041】
<第二の実施形態>
以下、本発明の第二の実施形態について説明するが、下記説明においては、第一の実施形態と同一の語句には同一の記号を付し、第一の実施形態と同一の構成についてはその説明を省略する。
【0042】
本発明の第二の実施形態は、不斉エステル化触媒として、一般式(1)、(2)、(3)又は(4)で示される化合物を用い、安息香酸無水物又はその誘導体の存在下で、第2級水酸基を有するラセミのヒドロキシカルボン酸のいずれか一方のエナンチオマーの第2級水酸基を、分子内に存在するカルボン酸基と選択的に反応させることによって、光学活性ラクトンを製造することに特徴を有する。
【化25】
JP0005417560B2_000026t.gif
【化26】
JP0005417560B2_000027t.gif
【化27】
JP0005417560B2_000028t.gif
【化28】
JP0005417560B2_000029t.gif
上記の式中、Xは、下記化学式(5)で表される置換基のいずれかである。
【化29】
JP0005417560B2_000030t.gif
(式中、Rは保護基である。)
【0043】
第2級水酸基を有するヒドロキシカルボン酸としては、当該第2級水酸基が結合した炭素原子を不斉中心とする不斉ヒドロキシカルボン酸であれば、任意のものを用いることができるが、第2級アルコールが結合する不斉炭素原子に隣接する炭素原子の少なくとも一つが二重結合や三重結合などの多重結合を有しているものが好ましい。このようなヒドロキシカルボン酸としては、例えば、化学式(7d)で表される化合物を挙げることができ、具体的には、12-ヒドロキシ-12-フェニルドデカン酸、15-ヒドロキシ-15-フェニルペンタデカン酸、16-ヒドロキシ-16-フェニルヘキサデカン酸を挙げることができる。
【0044】
【化30】
JP0005417560B2_000031t.gif
(式中、nは正の整数である。)
【実施例】
【0045】
以下、本発明を実施例により説明する。
【0046】
[実施例1 安息香酸無水物の置換基の効果(1)]
不斉エステル化触媒として(-)-テトラミソールを用いて、安息香酸無水物及びその誘導体の効果を検討した。
【0047】
ジクロロメタン0.2モル中に、1-フェニル-1-プロパノール1当量に対して、3-フェニルプロピオン酸0.75当量を、表1に示す安息香酸無水物及びその誘導体0.90当量、(-)-テトラミソール5モル%、ジイソプロピルエチルアミン1.8当量を加え、反応式(8)に従って室温で12時間反応させた。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。生成した光学活性エステル及び未反応の光学活性アルコールをシリカゲル薄層クロマトグラフィーにより分離し、それぞれの化合物を得た。
【0048】
エナンチオ選択率(ee)は、キラルカラムによるHPLC分析法により決定した。
s値は、Kaganらの方法(Top.Stereochem.,1988,vol18,p249-330)によって、以下のように算出した。
s=[ln(1-C)(1-回収アルコールのee)]/[ln(1-C)(1+回収アルコールのee)]。
変換率C(%)=[回収アルコールのee]/[(回収アルコールのee)+(生成したエステルのee)]
【0049】
【化31】
JP0005417560B2_000032t.gif

【0050】
得られた結果を表1に示す。
【表1】
JP0005417560B2_000033t.gif

【0051】
この表から、高いエナンチオ選択率で(S)-1-フェニルプロピル 3-フェニルプロパノエートが得られ、高いエナンチオ選択率で光学活性(R)-1-フェニル-1-プロパノールが光学分割されたことがわかる。
【0052】
(S)-1-フェニルプロピル 3-フェニルプロパノエート(1a)
HPLC(CHIRALCEL AS-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.5mL/min);t=10.5min(4.9%),t=11.1min(95.1%);
IR(neat):3031,1741,1604,1496,752,700cm-1
H NMR(CDCl):δ7.27-7.14(m,7H,Ph),7.13-7.07(m,3H,Ph),5.59(t,J=7.0Hz,1H,1-H),2.87(t,J=8.0Hz,2H,2’-H),2.61(ddd,J=16.0,9.0,9.0Hz,1H,3’-H),2.57(ddd,J=16.0,9.6,9.0Hz,1H,3’-H),1.86-1.66(m,2H,2-H),0.76(t,J=7.5Hz,3H,3-H);
13C NMR(CDCl):δ172.2,140.48,140.46,128.4,128.3,128.2,127.7,126.5,126.2,77.4,36.1,30.9,29.3,9.8;
HR MS:calcd for C1820Na(M+Na)291.1356,found 291.1344.
【0053】
(R)-1-フェニル-1-プロパノール(2)
HPLC(CHIRALCEL OD-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.5mL/min);t=25.9min(86.6%),t=29.6min(13.4%);
H NMR(CDCl):δ7.12-6.96(m,5H,Ph),4.31(dt,J=3.0,6.6Hz,1H,1-H),1.79(d,J=3.0Hz,1H,OH),1.64-1.38(m,2H,2-H),0.65(t,J=7.5Hz,3H,3-H);
13C NMR(CDCl):δ144.5,128.3,127.4,125.9,75.9,31.8,10.1.
【0054】
[実施例2 安息香酸無水物の置換基の効果(2)]
不斉エステル化触媒として、(+)-ベンゾテトラミソールを用いて、一般式(9)に示す安息香酸無水物及びその誘導体を用い、実施例1と同様に、反応式(10)に従って反応させた。
【0055】
【化32】
JP0005417560B2_000034t.gif

【0056】
【化33】
JP0005417560B2_000035t.gif
(10)
【0057】
結果を表2に示す。
【表2】
JP0005417560B2_000036t.gif

【0058】
表2から、(+)-ベンゾテトラミソールは、高いエナンチオ選択率を有し、(-)-テトラミソールよりも高い反応速度が得られることがわかる。
【0059】
[実施例3 2級アルコール及びカルボン酸の効果]
不斉エステル化触媒として(+)-ベンゾテトラミソールを用いて、各種のラセミの2級アルコール及びカルボン酸とを、反応式(11)に従って、実施例1と同様の条件で反応させた。
【0060】
【化34】
JP0005417560B2_000037t.gif

【0061】
その結果を表3に示す。
【表3】
JP0005417560B2_000038t.gif

【0062】
(S)-1-フェニル-1-プロパノール
HPLC(CHIRALCEL OD-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.5mL/min);t=26.6min(2.1%),t=30.6min(97.9%);
H NMR(CDCl):δ7.12-6.96(m,5H,Ph),4.31(dt,J=3.0,6.6Hz,1H,1-H),1.79(d,J=3.0Hz,1H,OH),1.64-1.38(m,2H,2-H),0.65(t,J=7.5Hz,3H,3-H);
13C NMR(CDCl):δ144.5,128.3,127.4,125.9,75.9,31.8,10.1.
【0063】
(S)-2-メチル-1-フェニル-1-プロパノール
HPLC(CHIRALCEL OD-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.5mL/min);t=25.7min(95.5%),t=30.0min(4.5%);
IR(neat):3398,3029,1604,1492,760,701cm-1
H NMR(CDCl):δ7.31-7.15(m,5H,Ph),4.27(dd,J=6.6,3.0Hz,1H,1-H),1.95-1.79(m,2H,2-H,OH),
【0064】
(S)-2,2-ジメチル-1-フェニル-1-プロパノール
HPLC(CHIRALCEL OD-H, i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.5mL/min);t=20.3min(79.1%),t=29.6min(20.9%);
H NMR(CDCl):d 7.26-7.13(m,5H,Ph),4.30(d,J=2.7Hz,1H,1-H),1.78(br s,1H,OH),0.83(s,9H,t-Bu);
13C NMR(CDCl):d142.1,127.6,127.5,127.2,82.4,35.6,25.9.
【0065】
(R)-1-フェニルプロピル プロパノエート
HPLC(CHIRALCEL OJ-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.5mL/min);t=17.4min(94.7%),t=22.0min(5.3%);
IR(neat):3034,1734,1604,1495,756,700cm-1
H NMR(CDCl):δ7.30-7.16(m,5H,Ph),5.60(dd,J=7.5,6.6Hz,1H,1-H),2.34-2.22(m,2H,2’-H),1.93-1.65(m,2H,2-H),1.06(t,J=7.5Hz,3H,3’-H),0.81(t,J=7.5Hz,3H,3-H);
13C NMR(CDCl):δ173.8,140.7,128.3,127.7,126.5,77.1,29.4,27.8,9.9,9.1;
HRMS:calcd for C1216Na(M+Na)215.1043,found 215.1049.
【0066】
(R)-1-フェニルプロピル 3-フェニルプロパノエート
HPLC(CHIRALCEL AD-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.5mL/min);t=14.5min(95.1%),t=20.3min(4.9%);
IR(neat):3031,1741,1604,1496,752,700cm-1
H NMR(CDCl):δ7.27-7.14(m,7H,Ph),7.13-7.07(m,3H,Ph),5.59(t,J=7.0Hz,1H,1-H),2.87(t,J=8.0Hz,2H,2’-H),2.61(ddd,J=16.0,9.0,9.0Hz,1H,3’-H),2.57(ddd,J=16.0,9.6,9.0Hz,1H,3’-H),1.86-1.66(m,2H,2-H),0.76(t,J=7.5Hz,3H,3-H);
13C NMR(CDCl):δ172.2,140.48,140.46,128.4,128.3,128.2,127.7,126.5,126.2,77.4,36.1,30.9,29.3,9.8;
HR MS:calcd for C1820Na(M+Na)291.1356,found 291.1344.
【0067】
(R)-1-フェニルプロピル 4-フェニルブタノエート
HPLC(CHIRALCEL AD-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.5mL/min);t=12.4min(94.9%),t=16.5min(5.1%);
IR(neat):3030,1734,1603,1496,749,700cm-1
H NMR(CDCl):d7.23-6.99(m,10H,Ph),5.60(t,J=7.0Hz,1H,1-H),2.53(t,J=7.5Hz,2H,2’-H),2.29(dt,J=16.2,7.5Hz,1H,4’-H),2.24(dt,J=16.2,6.6Hz,1H,4’-H),1.93-1.65(m,4H,2-H,3’-H),0.80(t,J=7.5Hz,3H,3-H);
13C NMR(CDCl):d172.7,141.4,140.6,128.4,128.3,128.3,127.7,126.5,125.9,77.2,35.0,33.8,29.3,26.5,9.9;
HR MS:calcd for C1922Na(M+Na)305.1512,found 305.1507.
【0068】
(R)-1-フェニルプロピル 4-メチルペンタノエート
HPLC (CHIRALCEL AD-H, i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.5mL/min);t=10.0min(91.4%),t=12.0min(8.6%);
IR(neat):3033,1742,1604,1495,757,700cm-1H NMR(CDCl):d 7.31-7.13(m,5H,Ph),5.59(t,J=7.5Hz,1H, 1-H),2.33-2.17(m,2H,2’-H),1.93-1.63(m,2H,2-H),1.52-1.36(m,3H,3’-H,4’-H),0.88-0.73(m,9H,3-H,Me,Me);
13C NMR(CDCl):d 173.3,140.7,128.3,127.7,126.5,77.0,33.7,32.6,29.3,27.6,22.19,22.15,9.9;
HR MS:calcd for C1522Na (M+Na) 257.1512,found 257.1509.
【0069】
(R)-2-メチル-1-フェニルプロピル プロパノエート
HPLC(CHIRALCEL OJ-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=1.0mL/min);t=7.3min(95.0%),t=9.1min(5.0%);
IR(neat):3033,1739,1605,1495,739,701cm-1
H NMR(CDCl):δ7.39-7.13(m,5H,Ph),5.40(d,J=7.5Hz,1H,1-H),2.37-2.18(m,2H,2’-H)2.09-1.93(m,1H,2-H),1.06(t,J=7.5Hz,1H,3’-H),0.89(d,J=6.6Hz,3H,Me)0.72(d,J=6.6Hz,3H,Me);
13C NMR(CDCl):δ173.6,139.8,128.1,127.6,126.9,80.6,33.5,27.8,18.7,18.4,9.1;
HR MS:calcd for C1318Na(M+Na)229.1199,found 229.12000.
【0070】
(R)-2-メチル-1-1フェニルプロピル 3-フェニルプロパノエート
HPLC(CHIRALCEL AD-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.5mL/min);t=12.4min(96.0%),t=18.3min(4.0%);
IR (neat):3030,1734,1604,1496,751,699cm-1
H NMR(CDCl):d7.28-7.02(m,10H,Ph),5.41(d,J=7.5Hz,1H,1-H),2.88(t,J=7.5Hz,2H,2’-H),2.65-2.53(m,2H,3’-H),2.07-1.83(m,1H,2-H),0.85(d,J=7.0Hz,3H,Me),0.70(d,J=7.0Hz,3H,Me);
13C NMR(CDCl):d172.1,140.4,139.6,128.4,128.2,128.1,127.6,127.0,126.2,81.0,36.0,33.4,30.9,18.6,18.4;
HR MS:calcd for C1922Na(M+Na)305.1512,found 305.1520.
【0071】
(R)-2,2-ジメチル-1-フェニルプロピル プロパノエート
HPLC(CHIRALCEL OD-H,i-PrOH/hexane=1/1000,flow rate=0.5mL/min);t=11.1min(96.4%),t=13.2min(3.6%);
IR(neat):3033,1740,1495,738,702cm-1
H NMR(CDCl):d 7.37-7.23(m,5H,Ph),5.51(s,1H,1-H),2.56-2.30(m,2H,2’-H),1.17(t,J=7.5Hz,3H,3’-H),0.94(s,9H,t-Bu);
13C NMR(CDCl):d 173.4,138.6,127.7,127.5,127.4,82.5,35.0,27.9,26.0,9.2;
HR MS:calcd for C1420Na(M+Na)234.1356,found 234.1354.
【0072】
(R)-2,2-ジメチル-1-フェニルプロピル 3-フェニルプロパノエート
HPLC(CHIRALCEL OD-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.5mL/min);t=11.9min(97.9%),t=12.9min(2.1%);
IR(neat):3030,1737,1604,1496,740,702cm-1
H NMR(CDCl):δ7.40-7.17(m,10H,Ph),5.53(s,1H,1-H),3.00(t,J=7.5Hz,2H,2’-H),2.79-2.68(m,2H,3’-H),0.93(s,9H,t-Bu);
13C NMR(CDCl):δ172.0,14.04,138.4,128.5,128.2,127.7,127.6,127.4,126.2,82.9,36.0,35.0,30.9,26.0;
HR MS:calcd for C2024Na(M+Na)319.1669,found 319.1660.
【0073】
[実施例4 反応溶媒の効果]
不斉エステル化触媒として(+)-ベンゾテトラミソールを用いて、溶媒を変更させて、反応式(12)に従って、実施例1と同様の条件で反応させた。
【0074】
【化35】
JP0005417560B2_000039t.gif

【0075】
その結果を表4に示す。
【表4】
JP0005417560B2_000040t.gif

【0076】
[実施例5 カルボン酸上の置換基がエステル生成反応に及ぼす効果]
不斉エステル化触媒として(+)-ベンゾテトラミソールを用い、反応式(13)に従って、実施例1と同様の条件で反応させた。なお、2級アルコールと反応させるカルボン酸については、反応式(13)中、Rで示される官能基を、表5の通り変更した。
【0077】
【化36】
JP0005417560B2_000041t.gif

【0078】
その結果を表5に示す。
【表5】
JP0005417560B2_000042t.gif

【0079】
(R)-1-フェニルプロピル シクロヘキサンカルボキシレート
HPLC(CHIRALCEL OJ-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.5mL/min);t=11.2min(88.0%),t=13.6min(12.0%);
IR(neat):3033,1742,1452,757,700cm-1
H NMR(CDCl):δ7.29-7.12(m,5H,Ph),5.59(t,J=7.5Hz,1H,1-H),2.32-2.17(m,1H,2’-H),1.92-1.05(m,12H,2-H,3’-H,4’-H,5’-H),0.81(t,J=7.5Hz,3H,3-H);
13C NMR(CDCl):δ175.3,140.9,128.3,127.6,126.3,76.6,43.3,29.5,29.0,28.9,25.7,25.43,25.40,9.9;
HR MS:calcd for C1622Na (M+Na)269.1512,found 269.1509.
【0080】
[実施例6 2級アルコール上の置換基がエステル生成反応に及ぼす影響]
不斉エステル化触媒として(+)-ベンゾテトラミソールを用い、反応式(14)に従って、実施例1と同様に反応させた。なお、反応式(14)に示した2級アルコールの有するベンゼン環上の置換基は、表6の通り変更した。
【0081】
【化37】
JP0005417560B2_000043t.gif

【0082】
その結果を表6に示す。
【表6】
JP0005417560B2_000044t.gif

【0083】
(S)-1-フェニルエタノール
HPLC(CHIRALCEL OD-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.5mL/min):t=30.5min(9.8%),t=37.8min(90.2%);
H NMR(CDCl):δ7.41-7.31(m,3H,Ph),7.28(tt,J=6.7,1.9Hz,2H,Ph),4.94-4.85(m,1H,1-H),1.86-1.74(br s,1H,OH),1.51(dd,J=6.4,0.9Hz,3H,2-H).
【0084】
(S)-1-(4-フルオロフェニル)エタノール
HPLC(CHIRALPAK AS-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.5mL/min):t=33.4min(16.3%),t=37.6min(83.7%);
H NMR(CDCl):δ7.20-7.13(m,2H,Ph),6.92-6.85(m,2H,Ph),4.68(q,J=6.5Hz,1H,1-H),3.18(br s,1H,OH),1.31(d,J=6.5Hz,3H,2-H).
【0085】
(S)-1-(4-ニトロフェニル)エタノール
HPLC(CHIRALPAK AS-H,i-PrOH/hexane=1/9,flow rate=1.0mL/min):t=23.2min(11.5%),t=29.2min(88.5%);
H NMR(CDCl):δ8.15(d,J=8.7Hz,2H,Ph),7.51(d,J=8.7Hz,2H,Ph),5.05-4.94(m,1H,1-H),2.34-2.15(m,1H,OH),1.49(d,J=6.3Hz,3H,2-H).
【0086】
(S)-1-(4-シアノフェニル)エタノール
HPLC(CHIRALPAK AS-H,i-PrOH/hexane=1/9,flow rate=1.0mL/min):t=29.2min(14.7%),t=42.9min(85.3%);
H NMR(CDCl):δ7.55-7.48(m,2H,Ph),7.42-7.36(m,2H,Ph),4.85(q,J=6.6Hz,1H,1-H),2.71-2.56(m,1H,OH),1.39(d,J=6.3Hz,3H,2-H).
【0087】
(S)-1-(4-トリル)エタノール
HPLC(CHIRALPAK AS-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.5mL/min):t=27.6min(10.1%),t=31.0min(89.9%);
H NMR(CDCl):δ7.34(d,J=8.1Hz,2H,Ph),7.25(d,J=8.1Hz,2H,Ph),4.91(dq,J=6.3,3.2Hz,1H,1-H),2.62-2.53(m,1H,OH),2.46(s,3H,Me),1.56(d,J=6.3Hz,3H,2-H).
【0088】
(S)-1-(4-メトキシフェニル)エタノール
HPLC(CHIRALCEL OD-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.5mL/min):t=48.6min(38.3%),t=58.6min(61.7%);
H NMR(CDCl):δ7.18-7.10(m,2H,Ph),6.78-6.69(m,2H,Ph),4.66(qd,J=6.3,2.4Hz,1H,1-H),3.65(s,3H,OMe),2.63(brs,1H,OH),1.32(d,J=6.3Hz,3H,2-H).
【0089】
(S)-1-(2-トリル)エタノール
HPLC(CHIRALPAK IA,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.5mL/min):t=23.4min(9.6%),t=25.9min(90.4%);
H NMR(CDCl):δ7.45(dd,J=7.8,1.5Hz,1H,Ph),7.22-7.06(m,3H,Ph),5.03(q,J=6.0Hz,1H,1-H),2.38-2.34(br s,1H,OH),2.29(s,3H,Me),1.39(d,J=7.0Hz,3H,2-H).
【0090】
(R)-1-フェニルエチル 3-フェニルプロパノエート
HPLC(CHIRALPAK AS-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.3mL/min):t=18.3min(94.6%),t=20.0min(5.4%);
H NMR(CDCl):δ7.28-7.05(m,10H,Ph),5.80(q,J=6.6Hz,1H,1-H),2.86(t,J=7.5Hz,2H,2’-H),2.67-2.48(m,2H,3’-H),1.41(d,J=6.6Hz,3H,2-H);
13C NMR(CDCl):δ172.1,141.6,140.4,128.4,127.8,126.2,126.0,72.3,36.1,30.9,22.1.
【0091】
(R)-1-(4-フルオロフェニル)エチル 3-フェニルプロパノエート
HPLC(CHIRALCEL OD-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.5mL/min):t=13.4min(7.5%),t=16.0min(92.5%);
IR(neat):3029,1733,1605,1513,835,750,700cm-1
H NMR(CDCl):δ7.25-7.05(m,7H,Ph),6.97-6.83(m,2H,Ph),5.78(q,J=7.0Hz,1H,1-H),2.86(t,J=7.5Hz,2H,2’-H),2.64-2.51(m,2H,3’-H),1.40(d,J=7.0Hz,3H,2-H);
13C NMR(CDCl):δ172.1,162.3(d,J=246.0Hz),140.3,137.4,128.5,128.3,127.9(d,J=8.3Hz),126.2,115.3(d,J=21.7Hz),71.7,36.1,30.9,22.1;
HR MS:calcd for C1717FONa (M+Na)295.1105,found 295.1093.
【0092】
(R)-1-(4-ニトロフェニル)エチル 3-フェニルプロパノエート
HPLC(CHIRALPAK AD-H,i-PrOH/hexane=1/9,flow rate=0.5mL/min):t=16.9min(91.5%),t=36.1min(8.5%);
IR(neat):3029,1734,1605,1522,1348,855,752,699cm-1
H NMR(CDCl):δ8.10-8.02(m,2H,Ph),7.33-7.25(m,2H,Ph),7.22-7.05(m,5H,Ph),5.81(q,J=6.6Hz,1H,1-H),2.87(t,J=7.5Hz,2H,2’-H),2.71-2.53(m,2H,3’-H),1.42(d,J=6.6Hz,3H,2-H);
13C NMR(CDCl):δ171.9,148.9,147.3,140.0,128.4,128.2,126.6,126.3,123.7,71.2,35.8,30.8,22.1;
HR MS:calcd for C1717NONa (M+Na)322.1050,found 322.1054.
【0093】
(R)-1-(4-シアノフェニル)エチル 3-フェニルプロパノエート
HPLC(CHIRALPAK AD-H,i-PrOH/hexane=1/9,flow rate=0.5mL/min):t=16.9min(91.4%),t=25.6min(8.6%);
IR(neat):3029,2229,1736,1609,1497,838,753,700cm-1
H NMR(CDCl):δ7.54-7.46(m,2H,Ph),7.28-7.04(m,7H,Ph),5.77(q,J=6.6Hz,1H,1-H),2.87(t,J=7.5Hz,2H,2-H),2.69-2.52(m,2H,3’-H),1.40(d,J=6.6Hz,3H,2-H);
13C NMR(CDCl):δ171.8,146.8,140.0,132.3,128.4,128.2,126.4,126.2,118.5,111.4,71.4,35.8,30.7,22.0;
HR MS:calcd for C1817NONa (M+Na)302.1151,found 302.1165.
【0094】
(R)-1-(4-トリル)エチル 3-フェニルプロパノエート
HPLC(CHIRALCEL OD-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.5mL/min):t=11.3min(5.4%),t=12.6min(94.6%);
IR(neat):3028,1738,1604,1517,817,750,700cm-1
H NMR(CDCl):δ7.20-7.02(m,9H,Ph),5.77(q,J=6.7Hz,1H,1-H),2.85(t, J=7.6Hz,2H,2’-H),2.60-2.49(m,2H,3’-H),2.25(s,3H,Me),1.40(dd,J=6.7,1.5Hz,3H,2-H);
13C NMR(CDCl):δ172.1,140.5,138.6,137.5,129.1,128.4,128.3,126.1,126.0,72.2,36.1,30.9,22.0,21.1;
HR MS:calcd for C1820Na (M+Na)291.1356,found 291.1364.
【0095】
(R)-1-(4-メトキシフェニル)エチル 3-フェニルプロパノエート
HPLC(CHIRALCEL OJ-H,i-PrOH/hexane=1/4,flow rate=0.5mL/min):t=27.3min(4.0%),t=31.6min(96.0%);
IR(neat):3029,1730,1612,1516,831,751,700cm-1
H NMR(CDCl):δ7.22-7.04(m,7H,Ph),6.82-6.73(m,2H,Ph),5.77(q,J=6.6Hz,1H,1-H),3.71(s,3H,OMe),2.85(t,J=7.7Hz,2H,2’-H),2.63-2.45(m,2H,3’-H),1.40(d,J=6.6Hz,3H,2-H);
13C NMR(CDCl):δ172.1,159.2,140.4,133.6,128.4,128.3,127.5,126.1,113.7,72.0,55.2,36.1,30.9,21.9;
HR MS:calcd for C1820Na (M+Na) 307.1305,found 307.1317.
【0096】
(R)-1-(2-トリル)エチル 3-フェニルプロパノエート
HPLC(CHIRALCEL OJ-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.5mL/min):t=26.7min(4.4%),t=32.8min(95.6%);
IR(neat):3028,1733,1604,1494,761,699cm-1
H NMR(CDCl):δ7.26-7.21(m,1H,Ph),7.20-7.14(m,2H,Ph),7.12-7.01(m,6H,Ph),5.99(q,J=6.7Hz,1H,1-H),2.62-2.50(m,2H,3’-H),2.26(s,3H,3-H),1.38(d,J=6.4Hz,3H,2-H);
13C NMR(CDCl):δ172.0,140.4,140.0,134.7,130.3,128.4,128.2,127.5,126.21,126.16,125.2,69.3,36.0,30.9,21.3,19.0;
HR MS:calcd for C1820Na (M+Na)291.1356,found 291.1362.
【0097】
[実施例7 2級アルコールの有する芳香族環を変化させた場合のエステル生成反応への影響]
ジクロロメタン0.2モル中に、1-(2-ナフチル)-1-エタノール1当量に対して、3-フェニルプロピオン酸0.5当量、安息香酸無水物(BzO)又はパラメトキシ安息香酸無水物(PMBA)0.60当量、(+)-ベンゾテトラミソール5モル%、ジイソプロピルエチルアミン1.2当量を加え、反応式(15)に従って室温で12時間反応させた。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。生成した光学活性エステル及び未反応の光学活性アルコールをシリカゲル薄層クロマトグラフィーにより得た。
【0098】
【化38】
JP0005417560B2_000045t.gif

【0099】
また、2級アルコールである1-(2-ナフチル)-1-エタノールを、1-(1-ナフチル)-1-エタノールに変更して同様の反応を行った。以上の結果を表7に示す。
【表7】
JP0005417560B2_000046t.gif

【0100】
(S)-1-(2-ナフチル)エタノール
HPLC(CHIRALCEL OB-H,i-PrOH/hexane=1/9,flow rate=0.5mL/min):t=17.1min(90.3%),t=19.3min(9.7%);
H NMR(CDCl):δ7.79-7.69(m,4H,Ph),7.46-7.33(m,3H,Ph),4.98(q,J=6.4Hz,1H,1-H),2.00(br s,1H,OH),1.50(d,J=6.4Hz,3H,2-H).
【0101】
(S)-1-(1-ナフチル)エタノール
HPLC(CHIRALCEL OB-H,i-PrOH/hexane=1/9,flow rate=0.5mL/min):t=18.1min(94.3%),t=21.8min(5.7%);
H NMR(CDCl):δ8.08-8.00(m,1H,Ph),7.84-7.75(m,1H,Ph),7.70(d,J=8.3Hz,1H,Ph),7.60(d,J=7.2Hz,1H,Ph),7.50-7.36(m,3H,Ph),5.60(q,J=6.4Hz,1H,1-H),1.88(br s,1H,OH),1.60(d,J=6.4Hz,3H,2-H).
【0102】
(R)-1-(2-ナフチル)エチル 3-フェニルプロパノエート
HPLC(CHIRALPAK AD-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.5mL/min):t=17.0min(96.3%),t=26.3min(3.7%);
IR(neat):3027,1732,1603,1497,818,748,699cm-1
H NMR(CDCl):δ7.80-7.65(m,4H,Ph),7.45-7.32(m,3H,Ph),7.22-7.05(m,5H,Ph),5.97(q,J=6.6Hz,1H,1-H),2.88(t,J=7.7Hz,2H,2’-H),2.69-2.52(m,2H,3’-H),1.51(d,J=6.6Hz,3H,2-H);
13C NMR(CDCl):δ172.2,140.4,138.9,133.1,133.0,128.4,128.31,128.28,128.0,127.6,126.21,126.19,126.0,125.0,124.1,72.5,36.1,30.9,22.1;
HR MS:calcd for C2120Na (M+Na)327.1356,found 327.1368.
【0103】
(R)-1-(1-ナフチル)エチル 3-フェニルプロパノエート
HPLC(CHIRALPAK AD-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.5mL/min):t=16.0min(95.7%),t=21.2min(4.3%);
IR(neat):3027,1732,1598,1496,800,778,699cm-1
H NMR(CDCl):δ8.01-7.93(m,1H,Ph),7.82-7.68(m,2H,Ph),7.51-7.30(m,4H,Ph),7.24-7.05(m,5H,Ph),6.57(q,J=6.6Hz,1H,1-H),2.90(t,J=7.8Hz,2H,2’-H),2.71-2.54(m,2H,3’-H),1.59(d,J=6.6Hz,3H,2-H);
13C NMR(CDCl):δ172.2,140.4,137.3,133.8,130.2,128.9,128.43,128.39,128.28,126.3,126.2,125.3,123.2,123.1,69.5,36.1,30.9,21.6;
HR MS:calcd for C2120Na (M+Na)327.1356,found 327.1365.
【0104】
[実施例8 三重結合を有する2級アルコールを用いたエステル生成反応(1)]
不斉エステル化触媒として、(+)-ベンゾテトラミソールを用い、反応式(16)に従って、実施例1と同様に反応させた。なお、酸無水物としては、安息香酸無水物(BzO)又は4-メチル安息香酸無水物(TolBA)を用いた。
【0105】
【化39】
JP0005417560B2_000047t.gif

【0106】
その結果を表8に示す。
【表8】
JP0005417560B2_000048t.gif

【0107】
(S)-4-フェニル-3-ブチン-2-オール
HPLC(CHIRALCEL OD-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.5mL/min):t=14.7min(12.6%),t=17.0min(87.4%);
H NMR(CDCl):δ7.24-6.97(m,5H,Ph),4.50(q,J=6.6Hz,1H,1-H),1.82(br s,1H,OH),1.30(d,J=6.6Hz,3H,2-H).
【0108】
(R)-2-(4-フェニルブタ-3-イン)イル 3-フェニルプロパノエート
HPLC(CHIRALCEL OD-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.5mL/min):t=19.4min(89.2%),t=22.4min(10.8%);
H NMR(CDCl):δ7.40-7.06(m,10H,Ph),5.62(q,J=6.6Hz,1H,1-H),2.91(t,J=7.5Hz,2H,2’-H),2.70-2.51(m,2H,3’-H),1.47(d,J=6.6Hz,3H,2-H).
【0109】
[実施例9 三重結合を有する2級アルコールを用いたエステル生成反応(2)]
不斉エステル化触媒として、(+)-ベンゾテトラミソールを用い、2級アルコールとして1-フェニル-2-ヘプチン-1-オールを用いて、反応式(17)に従って実施例1と同様に反応させた。なお、(+)-ベンゾテトラミソールの添加量は5モル%とし、ジイソプロピルエチルアミンの添加量は1.35当量とした。
【0110】
【化40】
JP0005417560B2_000049t.gif

【0111】
また、2級アルコールの三重結合を、カルボニルコバルト錯体で保護した化合物についても、以下の要領に従って同様にエステル生成反応を行った。
【0112】
(アルキニルアルコールのコバルト錯体化)
1-フェニル-2-ヘプチン-1-オール295.8mg(1.571mmol)のジエチルエーテル溶液16mLに対し、オクタカルボニルジコバルト590.9mg(1.728mmol)を室温で添加した。反応混合液を1時間室温で攪拌した後に減圧濃縮し、得られた混合物を、シリカゲル薄層クロマトグラフィーを用いて分取することにより、対応するコバルト錯体化アルコール(678.0mg、91%)が得られた。
【0113】
(アルキニルアルコール-コバルト錯体の不斉エステル化)
コバルト錯体化アルコール44.8mg(0.0945mmol、1.0当量)、安息香酸無水物19.2mg(0.0850mmol、0.90当量)及び3-フェニルプロピオン酸10.6mg(0.0709mmol、0.75当量)のジクロロメタン溶液(0.9mL)に対し、ジイソプロピルエチルアミン0.022mL(0.128mmol、1.35当量)及び(+)-ベンゾテトラミソール2.4mg(9.45μmol、10モル%)をそれぞれ室温で順番に加えた。反応混合液を12時間攪拌した後、飽和重曹水で反応を停止した。有機層を分取した後、水槽をジクロロメタンで3回抽出した。有機層を混合した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶液を濾過した後に減圧濃縮し、得られた混合物をシリカゲル薄層クロマトグラフィーを用いて分取することにより、対応する光学活性なコバルト錯体化エステル20.9mg(収率37%、97%ee)ならびに未反応の光学活性なコバルト錯体化アルコール15.1mg(収率34%、80%ee)が得られた。s=181であった。
【0114】
(脱錯体化による光学活性アルキニルエステルの合成)
コバルト錯体化エステル20.9mg(0.0345mmol)のメタノール溶液0.3mLに対し、セリウムアンモニウムニトレート75.6mg(0.138mmol)を0℃で加えた。反応混合液を1時間攪拌した後、水で反応を停止した。有機層を分取した後、水槽を酢酸エチルで3回抽出した。有機層を混合した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶液を濾過した後に減圧濃縮し、得られた混合物をシリカゲル薄層クロマトグラフィーを用いて分取することによりアルキニルエステル9.1mg(収率83%、97%ee)が得られた。
【0115】
(脱錯体化による光学活性アルキニルアルコールの合成)
コバルト錯体化アルコール15.1mg(0.0318mmol)のメタノール溶液0.3mLに対し、セリウムアンモニウムニトレート69.8mg(0.127mmol)を0℃で加えた。反応混合液を1時間攪拌した後、水で反応を停止した。有機層を分取した後、水槽を酢酸エチルで3回抽出した。有機層を混合した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶液を濾過した後に減圧濃縮し、得られた混合物をシリカゲル薄層クロマトグラフィーを用いて分取することによりアルキニルアルコール4.5mg(収率75%、79%ee)が得られた。
【0116】
以上の結果を表9に示す。
【表9】
JP0005417560B2_000050t.gif

【0117】
表9より、2級アルコールの不斉炭素に隣接する両方の炭素が多重結合を有している場合、エステル生成反応の立体選択性が低下することが分かる。その一方で、片方の多重結合である三重結合をコバルト錯体により保護することにより、立体選択性が回復し、高いエナンチオ選択率で反応が進行することが分かる。
【0118】
(R)-1-フェニル-2-ヘプチン-1-オール
HPLC(CHIRALCEL OD-H,i-PrOH/hexane=1/9,flow rate=0.5mL/min);t=12.6min(10.6%),t=16.6min(89.4%);
H NMR(CDCl):δ7.55(d,J=7.2Hz,2H,Ph),7.41-7.23(m,3H,Ph),5.47-5.45(m,1H,1-H),2.28(dt,J=6.9,2.1Hz,2H,4-H),2.07(d,J=6.0Hz,1H,OH),1.58-1.39(m,4H,5-H,6-H),0.92(t,J=6.9Hz,3H,7-H);
13C NMR(CDCl):δ141.2,128.5,128.2,126.6,87.7,79.8,64.8,30.6,21.9,18.5,13.6.
【0119】
(R)-1-フェニル-2-ヘプチン-1-オール-コバルト錯体
HPLC(CHIRALCEL OD-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.5mL/min);t=22.5min(10.1%),t=27.3min(89.9%);
H NMR(CDCl):δ7.45-7.29(m,5H,Ph),5.91(d,J=3.3Hz,1H,1-H),2.70(dt,J=9.0,5.7Hz,2H,4-H),2.29(d,J=3.3Hz,1H,OH),1.66-1.41(m,4H,5-H,6-H),0.67(t,J=6.9Hz,3H,7-H);
13C NMR(CDCl):δ199.6,143.8,128.5,128.1,125.3,101.7,99.1,74.2,34.0,33.2,22.7,13.8.
【0120】
(S)-1-(1-フェニルヘプタ-2-イン)イル 3-フェニルプロパノエート
HPLC(CHIRALCEL OJ-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.5mL/min);t=21.8min(1.6%),t=24.0min(98.4%);
H NMR(CDCl):δ7.49-7.15(m,10H,Ph),6.47(t,J=2.1Hz,1H,1-H),2.96(t,J=7.8Hz,2H,3’-H),2.69(dd,J=7.8,3.9Hz,2H,2’-H),2.27(dt,J=7.2,2.1Hz,2H,4’-H),1.58-1.35(m,4H,5-H,6-H),0.91(t,J=6.9Hz,3H,7-H).
【0121】
(S)-1-(1-フェニルヘプタ-2-イン)イル 3-フェニルプロパノエート-コバルト錯体
HPLC(CHIRALPAK AD-H,i-PrOH/hexane=1/300,flow rate=0.5mL/min);t=15.2min(98.7%),t=22.8min(1.3%);
H NMR(CDCl):δ7.39-7.17(m,10H,Ph),7.00(s,1H,1-H),3.00(t,J=7.6Hz,2H,3’-H),2.77(t,J=7.6Hz,1H,2’-H),2.73-2.57(m,2H,4-H),1.59-1.41(m,4H,5-H,6-H),0.96(t,J=7.2Hz,3H,7-H).
【0122】
[実施例10 ベンゼン環以外の二重結合がエステル生成反応に与える影響(1)]
不斉エステル化触媒として、(+)-ベンゾテトラミソールを用い、反応式(18)に従って、実施例1と同様に反応させた。
【0123】
【化41】
JP0005417560B2_000051t.gif

【0124】
収率は、(S)-2-(3-フェニルプロピルオキシ)プロパノエートが39%、ベンジル(R)-2-ヒドロキシプロパノエートが46%、エナンチオ選択率は、(S)-2-(3-フェニルプロピルオキシ)プロパノエートが77%、(R)-2-ヒドロキシプロパノエートが47%、sは12であった。
【0125】
ベンジル(R)-2-ヒドロキシプロパノエート
HPLC(CHIRALCEL OD-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=1.0mL/min):t=19.4min(87.5%),t=21.9min(12.5%);
H NMR(CDCl):δ6.91-6.87(m,5H,Ph),4.69(s,2H,2’-H),3.80(qd,J=7.2,5.3Hz,1H,1-H),2.28(d,J=5.3Hz,1H,OH),0.92(d,J=7.2Hz,3H,2-H).
【0126】
ベンジル(S)-2-(3-フェニルプロピルオキシ)プロパノエート
HPLC(CHIRALCEL OJ-H,i-PrOH/hexane=1/1,flow rate=0.5mL/min):t=24.4min(11.3%),t=29.9min(88.7%);
H NMR(CDCl):δ7.58-7.31(m,10H,Ph),5.39-5.25 (m,3H),3.12(t,J=7.8Hz,2H),2.96-2.77(m,2H),1.64(d,J=7.2Hz,3H).
【0127】
[実施例11 ベンゼン環以外の二重結合がエステル生成反応に与える影響(2)]
不斉エステル化触媒として、(+)-ベンゾテトラミソールを用い、2級アルコールとして、下記(A)、又は(B)で示される化合物を用いて、反応式(19)に従って、実施例1と同様に反応させた。
【0128】
【化42】
JP0005417560B2_000052t.gif

【0129】
【化43】
JP0005417560B2_000053t.gif

【0130】
その結果を表10に示す。
【表10】
JP0005417560B2_000054t.gif

【0131】
(S)-1-(2-チエニル)エタノール
HPLC(CHIRALCEL OJ-H,i-PrOH/hexane=1/9,flow rate=0.5mL/min):t=17.1min(58.4%),t=20.4min(41.6%);
H NMR(CDCl):δ7.16(dd,J=4.7,2.1Hz,1H,thienyl 5-H),6.98-6.86(m,2H,thienyl 3,4-H),5.13-4.99(m,1H,1-H),1.93(br s,1H,OH),1.53(d,J=6.6Hz,3H,2-H).
【0132】
(S)-1-(2-フリル)エタノール
HPLC(CHIRALCEL OD-H,i-PrOH/hexane=1/100,flow rate=0.5mL/min):t=14.9min(58.2%),t=17.2min(41.8%);
H NMR(CDCl):δ7.30(dd,J=2.4,1.8Hz,1H,furyl 5-H),6.25(dd,J=2.4,1.8Hz,1H,furyl 4-H),6.18-6.13(m,1H,furyl 3-H),4.81(dq,J=10.5,6.6Hz,1H,1-H),1.89(br s,1H,OH),1.47(d,J=6.6Hz,3H,2-H).
【0133】
(R)-1-(2-チエニル)エチル 3-フェニルプロパノエート
HPLC(CHIRALCEL OJ-H,i-PrOH/hexane=1/9,flow rate=0.5mL/min):t=20.7min(15.7%),t=23.9min(84.3%);
H NMR(CDCl):δ7.24-7.06(m,6H,Ph,thienyl 5-H),6.97-6.93(m,1H,thienyl 4-H),6.88(dd,J=5.0,3.5Hz,thienyl 3-H),6.10(q,J=6.6Hz,1H,1-H),2.87(t,J=7.2Hz,2H,2’-H),2.61-2.53(m,2H,3’-H),1.53(d,J=6.6Hz,3H,2-H).
【0134】
(R)-1-(2-フリル)エチル 3-フェニルプロパノエート
HPLC(CHIRALCEL OD-H,i-PrOH/hexane=1/100,flow rate=0.5mL/min):t=14.5min(23.5%),t=16.3min(76.5%);
H NMR(CDCl):δ7.54-7.50(m,1H,furyl 5-H),7.45-7.28(m,5H,Ph),6.50-6.41(m,J=6.6Hz,furyl 3,4-H),6.10(q,J=6.6Hz,1H,1-H),3.08(t,J=7.8Hz,2H,2’-H),2.82-2.72(m,2H,3’-H),1.74-1.66(m,3H,2-H).
【0135】
[実施例12 ヒドロキシカルボン酸を用いた光学活性ラクトンの合成反応]
安息香酸無水物15.0mg(0.0663mmol)及び(+)-ベンゾテトラミソール1.1mg(0.0044mmol)のジクロロメタン溶液4.3mLに対し、ジイソプロピルエチルアミン27.0μL(0.155mmol)及び16-フェニルヘキサデカン酸30.3mg(0.0869mmol)をそれぞれ室温で順番に加えた。反応混合液を12時間室温で攪拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液で反応を停止した。有機層を分取した後、水層をジエチルエーテルで3回抽出した。有機層を混合した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶液を濾過した後に減圧濃縮し、得られた混合物をシリカゲル薄層クロマトグラフィーを用いて分取することにより、対応する光学活性ラクトン4.2mg(収率15%、100%ee)ならびに未反応の光学活性ヒドロキシカルボン酸9.3mg(収率31%、66%ee)がそれぞれ得られた。
【0136】
ジクロロメタンの添加量、及び添加する酸無水物の種類(パラメトキシ無水安息香酸(PMBA)、又は3,4,5-トリメトキシ安息香酸無水物(TMBA)を変化させて、同様の試験を行った。
【0137】
【化44】
JP0005417560B2_000055t.gif

【0138】
その結果を表11に示す。
【表11】
JP0005417560B2_000056t.gif

【0139】
表11より、ヒドロキシカルボン酸を基質として不斉エステル生成反応を行った場合、ヒドロキシカルボン酸のヒドロキシル基とカルボキシル基とが立体選択性をもって縮合した光学活性なラクトンを生成することが分かった。
【0140】
(S)-16-ヒドロキシ-16-フェニルヘキサデカン酸
HPLC of the corresponding diol derived from the hydroxycarboxylic acid(CHIRALCEL OB-H,i-PrOH/hexane=1/9,flow rate=0.5mL/min);t=16.2min(82.8%),t=25.8min(17.2%);
H NMR(CDCl):δ7.35-7.15(m,5H,Ph),4.59(dd,J=7.4,6.0Hz,1H),2.26(t,J=7.5Hz,2H),1.80-1.06(m,26H).
【0141】
(R)-16-フェニルヘキサデカノライド
HPLC of the corresponding diol derived from the lactone(CHIRALCEL OB-H,i-PrOH/hexane=1/9,flow rate=0.5mL/min);t=16.2min(<0.1%),t=25.8min(>99.9%);
H NMR(CDCl):δ7.41-7.13(m,5H,Ph),5.78(dd,J=9.6,3.6Hz,1H),2.42-2.17(m,2H),1.97-1.02(m,26H);
13C NMR(CDCl):δ173.3,141.3,128.4,127.6,126.2,75.5,36.8,34.7,28.3,28.0,27.8,27.7,27.0,27.0,26.9,26.8,26.7,25.1,25.0;
HR MS:calcd for C2234Na (M+Na)353.2456,found 353.2584.
【産業上の利用可能性】
【0142】
本発明によると、ラセミの2級アルコールとカルボン酸から光学活性カルボン酸エステルを直接、製造できる。
【0143】
得られた光学活性エステル及び分離された光学活性2級アルコールは、医薬品、生理活性物質の中間体、天然物合成の中間体等として、様々な分野に使用される。