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明細書 :光学活性エステルの製造方法及び光学活性カルボン酸の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5435656号 (P5435656)
登録日 平成25年12月20日(2013.12.20)
発行日 平成26年3月5日(2014.3.5)
発明の名称または考案の名称 光学活性エステルの製造方法及び光学活性カルボン酸の製造方法
国際特許分類 C07C  67/08        (2006.01)
C07C  69/612       (2006.01)
C07C  57/30        (2006.01)
C07C  51/493       (2006.01)
C07C  57/58        (2006.01)
C07C  59/64        (2006.01)
C07C  59/84        (2006.01)
C07C  57/40        (2006.01)
C07C  69/734       (2006.01)
C07C  69/738       (2006.01)
C07C  59/68        (2006.01)
C07B  57/00        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI C07C 67/08
C07C 69/612
C07C 57/30
C07C 51/493
C07C 57/58
C07C 59/64
C07C 59/84
C07C 57/40
C07C 69/734 B
C07C 69/738 Z
C07C 69/734 Z
C07C 59/68
C07B 57/00 346
C07B 57/00 340
C07B 61/00 300
請求項の数または発明の数 5
全頁数 32
出願番号 特願2010-502778 (P2010-502778)
出願日 平成21年3月4日(2009.3.4)
国際出願番号 PCT/JP2009/054012
国際公開番号 WO2009/113428
国際公開日 平成21年9月17日(2009.9.17)
優先権出願番号 2008061512
2008087223
2008260902
優先日 平成20年3月11日(2008.3.11)
平成20年3月28日(2008.3.28)
平成20年10月7日(2008.10.7)
優先権主張国 日本国(JP)
日本国(JP)
日本国(JP)
審査請求日 平成24年3月2日(2012.3.2)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】803000115
【氏名又は名称】学校法人東京理科大学
発明者または考案者 【氏名】椎名 勇
【氏名】中田 健也
個別代理人の代理人 【識別番号】100106002、【弁理士】、【氏名又は名称】正林 真之
審査官 【審査官】堀 洋樹
参考文献・文献 国際公開第2008/140074(WO,A1)
中田健也 等,置換安息香酸無水物法を用いた様々なラセミ第2級ベンジルアルコール類の速度論的光学分割,第94回有機合成シンポジウム講演要旨集,2008年10月30日,第14-15頁
中田健也 等,置換安息香酸無水物を脱水縮合剤とするラセミカルボン酸およびアルコールの速度論的光学分割,第93回有機合成シンポジウム講演要旨集,2008年 5月30日,第1-4頁
SHIINA,I. et al.,The first asymmetric esterification of free carboxylic acids with racemic alcohols using benzoic anh,Tetrahedron Letters,2007年,Vol.48,p.8314-8317
BIRMAN,V.B. et al.,Kinetic Resolution of Propargylic Alcohols Catalyzed by Benzotetramisole,Organic Letters,2006年,Vol.8, No.21,p.4859-4861
調査した分野 C07C 1/00-401/00
CAplus/REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
ラセミのカルボン酸と、下記式(a)で表されるアルコール又は下記式(b)で表されるフェノール誘導体とを、安息香酸無水物又はその誘導体と下記式(c)~(f)のいずれかで表される触媒との存在下で反応させ、前記ラセミのカルボン酸のうち一方のエナンチオマーを選択的にエステル化することを特徴とする光学活性エステルの製造方法。
【化1】
JP0005435656B2_000036t.gif
(式(a)中、Rは置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基、アントリル基、又はフェナントリル基を示す。)
【化2】
JP0005435656B2_000037t.gif
(式(b)中、Rは置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基、アントリル基、又はフェナントリル基を示し、nは1~5の整数を示す。複数のRが存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。)
【化3】
JP0005435656B2_000038t.gif
(式(c)~(f)中、Xは下記の置換基
【化4】
JP0005435656B2_000039t.gif
のいずれかを示し、Rは保護基を示す。)
【請求項2】
前記ラセミのカルボン酸が下記式(g)で表されることを特徴とする請求項1記載の光学活性エステルの製造方法。
【化5】
JP0005435656B2_000040t.gif
(式(g)中、Rg1、Rg2は互いに異なる有機基を示す。)
【請求項3】
前記式(g)中、不斉炭素と結合するRg1及びRg2の炭素原子の一方は、多重結合により他の原子と結合していることを特徴とする請求項2記載の光学活性エステルの製造方法。
【請求項4】
前記式(b)中、Rがナフチル基であり、フェノールの2,6位に置換していることを特徴とする請求項1から3のいずれか記載の光学活性エステルの製造方法。
【請求項5】
ラセミのカルボン酸と、下記式(a)で表されるアルコール又は下記式(b)で表されるフェノール誘導体とを、安息香酸無水物又はその誘導体と下記式(c)~(f)のいずれかで表される触媒との存在下で反応させ、前記ラセミのカルボン酸のうち一方のエナンチオマーを選択的にエステル化し、エステル化されていない他方のエナンチオマーとして光学活性カルボン酸を得ることを特徴とする光学活性カルボン酸の製造方法。
【化6】
JP0005435656B2_000041t.gif
(式(a)中、Rは置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基、アントリル基、又はフェナントリル基を示す。)
【化7】
JP0005435656B2_000042t.gif
(式(b)中、Rは置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基、アントリル基、又はフェナントリル基を示し、nは1~5の整数を示す。複数のRが存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。)
【化8】
JP0005435656B2_000043t.gif
(式(c)~(f)中、Xは下記の置換基
【化9】
JP0005435656B2_000044t.gif
のいずれかを示し、Rは保護基を示す。)
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、光学活性エステルの製造方法及び光学活性カルボン酸の製造方法に関し、より詳細には、ラセミのカルボン酸の一方のエナンチオマーを高選択的にエステル化して光学活性エステルを製造するとともに、他方のエナンチオマーである光学活性カルボン酸を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光学活性エステルや光学活性カルボン酸は、医薬品、生理活性物質の中間体、天然物合成の中間体等として、様々な分野に使用されている。
【0003】
従来、光学活性エステルの製造方法としては、テトラミソール(tetramisole)又はベンゾテトラミソール(benzotetramisole)を触媒として用い、酸無水物の存在下でラセミの2級ベンジル性アルコールから製造する方法が知られている(非特許文献1を参照)。また、ベンゾテトラミソールを触媒として用い、酸無水物の存在下でラセミのプロパルギル性アルコールから光学活性エステルを製造する方法も知られている(非特許文献2を参照)。しかしながら、これらの製造方法では、酸無水物の構造が極めて限定されているなど、基質一般性に乏しいという問題があった。そこで、本発明者らは、テトラミソール又はベンゾテトラミソールを触媒として用い、安息香酸無水物又はその誘導体の存在下でラセミの2級ベンジル性アルコールと遊離のカルボン酸とを反応させて光学活性エステルを製造する方法を既に提案している(非特許文献3を参照)。
【0004】
一方、光学活性カルボン酸の製造方法としては、光学活性アミンを分割剤として用い、ラセミのカルボン酸と分割剤とのジアステレオマー塩を晶析分割する方法が知られている(特許文献1等を参照)。しかしながら、この製造方法は基質特異性が高く、カルボン酸の構造に適した光学活性アミンの同定や再結晶溶媒の選択が困難であるという問題があった。また、数回に及ぶ分割を繰り返すことになるため、操作が煩雑であった。

【非特許文献1】Birman, V. B.; Li, X.; Org. Lett.; 2006, 7, p.1351-1354
【非特許文献2】Birman, V. B.; Guo, L.; Org. Lett.; 2006, 21, p.4859-4861
【非特許文献3】Shiina, I.; Nakata, K.; Tetrahedron Lett.; 2007, 48, p.8314-8317
【特許文献1】特開平9-143101号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した光学活性エステルの製造方法では、ラセミのアルコールのうち一方のエナンチオマーが選択的にエステル化されて光学活性エステルとなる結果、他方のエナンチオマーは光学活性アルコールとして残る。そこで、ラセミのカルボン酸とアルコールとを反応させ、ラセミのカルボン酸のうち一方のエナンチオマーを選択的にエステル化することができれば、光学活性エステルを製造するとともに光学活性カルボン酸を製造することができると考えられるが、従来このような製造方法は実現されていなかった。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、ラセミのカルボン酸の一方のエナンチオマーを高選択的にエステル化して光学活性エステルを製造するとともに、他方のエナンチオマーである光学活性カルボン酸を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、ラセミのカルボン酸と特定のアルコール又はフェノール誘導体とを特定の条件下で反応させることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のとおりである。
【0008】
(1) ラセミのカルボン酸と、下記式(a)で表されるアルコール又は下記式(b)で表されるフェノール誘導体とを、安息香酸無水物又はその誘導体と下記式(c)~(f)のいずれかで表される触媒との存在下で反応させ、前記ラセミのカルボン酸のうち一方のエナンチオマーを選択的にエステル化することを特徴とする光学活性エステルの製造方法。
【化1】
JP0005435656B2_000002t.gif
(式(a)中、Rは置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基、アントリル基、又はフェナントリル基を示す。)
【化2】
JP0005435656B2_000003t.gif
(式(b)中、Rは置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基、アントリル基、又はフェナントリル基を示し、nは1~5の整数を示す。複数のRが存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。)
【化3】
JP0005435656B2_000004t.gif
(式(c)~(f)中、Xは下記の置換基
【化4】
JP0005435656B2_000005t.gif
のいずれかを示し、Rは保護基を示す。)
【0009】
(2) 前記ラセミのカルボン酸が下記式(g)で表されることを特徴とする(1)記載の光学活性エステルの製造方法。
【化5】
JP0005435656B2_000006t.gif
(式(g)中、Rg1、Rg2は互いに異なる有機基を示す。)
【0010】
(3) 前記式(g)中、不斉炭素と結合するRg1及びRg2の炭素原子の一方は、多重結合により他の原子と結合していることを特徴とする(2)記載の光学活性エステルの製造方法。
【0011】
(4) 前記式(b)中、Rがナフチル基であり、フェノールの2,6位に置換していることを特徴とする(1)から(3)のいずれか記載の光学活性エステルの製造方法。
【0012】
(5) ラセミのカルボン酸と、下記式(a)で表されるアルコール又は下記式(b)で表されるフェノール誘導体とを、安息香酸無水物又はその誘導体と下記式(c)~(f)のいずれかで表される触媒との存在下で反応させ、前記ラセミのカルボン酸のうち一方のエナンチオマーを選択的にエステル化することを特徴とする光学活性カルボン酸の製造方法。
【化6】
JP0005435656B2_000007t.gif
(式(a)中、Rは置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基、アントリル基、又はフェナントリル基を示す。)
【化7】
JP0005435656B2_000008t.gif
(式(b)中、Rは置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基、アントリル基、又はフェナントリル基を示し、nは1~5の整数を示す。複数のRが存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。)
【化8】
JP0005435656B2_000009t.gif
(式(c)~(f)中、Xは下記の置換基
【化9】
JP0005435656B2_000010t.gif
のいずれかを示し、Rは保護基を示す。)
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ラセミのカルボン酸の一方のエナンチオマーを高選択的にエステル化して光学活性エステルを製造するとともに、他方のエナンチオマーである光学活性カルボン酸を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る光学活性エステルの製造方法及び光学活性カルボン酸の製造方法は、ラセミのカルボン酸と特定のアルコール又はフェノール誘導体とを、安息香酸無水物又はその誘導体と特定の触媒との存在下で反応させ、ラセミのカルボン酸のうち一方のエナンチオマーを選択的にエステル化することを特徴とするものである。
本発明の製造方法で得られる光学活性エステル及び光学活性カルボン酸は、それぞれラセミのカルボン酸の異なるエナンチオマーに対応する。したがって、本発明に係る光学活性エステルの製造方法及び光学活性カルボン酸の製造方法は、ラセミのカルボン酸の光学分割方法と理解することもできる。
【0015】
[ラセミのカルボン酸]
本発明の製造方法で用いられるラセミのカルボン酸は、特に限定されるものではないが、下記式(g)のようにカルボキシル基のα位に不斉炭素を有するものが好ましい。
【0016】
【化10】
JP0005435656B2_000011t.gif
【0017】
上記式(g)中、Rg1、Rg2は互いに異なる有機基を示す。有機基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシアルキル基、アルコキシアルケニル基、アルコキシアルキニル基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、ヘテロアリールアルキル基、ヘテロアリールアルケニル基、ヘテロアリールアルキニル基、アルキルアリール基、アルキルへテロアリール基、アルコキシアリール基、アルコキシへテロアリール基等が挙げられる。この有機基は、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基、アシル基、ハロゲン原子等によって任意に置換されていてもよい。
【0018】
また、Rg1、Rg2は、不斉炭素と結合するRg1及びRg2の炭素原子の一方が多重結合により他の原子と結合し、他方が単結合により他の原子と結合していることが好ましい。これによりエナンチオ選択率を向上させることができる。不斉炭素と結合する炭素原子が多重結合により他の原子と結合するためには、不斉炭素にアルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基等が結合していればよい。
【0019】
[アルコール]
本発明の製造方法で用いられるアルコールは、下記式(a)で表される。
【0020】
【化11】
JP0005435656B2_000012t.gif
【0021】
上記式(a)中、Rは置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基、アントリル基、又はフェナントリル基を示す。Rの置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子等が挙げられる。Rとしては特に、2-トリル基、1-ナフチル基、9-フェナントリル基が好ましい。このようなアルコールを用いることで、高いエナンチオ選択率で光学活性エステル及び光学活性カルボン酸を製造することができる。
【0022】
[フェノール誘導体]
本発明の製造方法で用いられるフェノール誘導体は、下記式(b)で表される。
【0023】
【化12】
JP0005435656B2_000013t.gif
【0024】
上記式(b)中、Rは置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基、アントリル基、又はフェナントリル基を示し、ナフチル基が好ましい。Rの置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子等が挙げられる。nは1~5の整数であり、n=2が好ましい。複数のRが存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。このようなフェノール誘導体の中でも、フェノールの2,6位がナフチル基によって置換されたものが好ましい。
【0025】
[安息香酸無水物又はその誘導体]
本発明の製造方法で用いられる安息香酸無水物又はその誘導体は、脱水縮合剤として作用する。安息香酸無水物の誘導体としては、フェニル基にアルキル基、アルコキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基等の電子供与性基が結合した安息香酸から得られるものが好ましく、炭素数1~3のアルキル基又はアルコキシ基が結合した1~3置換の安息香酸から得られるものがより好ましい。
【0026】
[触媒]
本発明の製造方法で用いられる触媒は、下記式(c)~(f)のいずれかで表される。
【0027】
【化13】
JP0005435656B2_000014t.gif
【0028】
上記式(c)~(f)中、Xは下記の置換基のいずれかを示す。Rはアルキル基、アシル基、シリル基等の保護基である。
【0029】
【化14】
JP0005435656B2_000015t.gif
【0030】
上記式(c)~(f)で表される触媒のうち、上記式(d)で表され、Xがフェニル基である触媒はテトラミソールと称され、上記式(e)で表され、Xがフェニル基である触媒はベンゾテトラミソールと称される。これらの触媒は、市販品として入手することもでき、Xで表される置換基を側鎖として有するアミノ酸を用いて合成することもできる。
【0031】
[反応条件等]
光学活性エステル及び光学活性カルボン酸の製造は、溶媒中に、ラセミのカルボン酸、アルコール又はフェノール誘導体、安息香酸無水物又はその誘導体、及び触媒を添加することによって行われる。溶媒としては、ジクロロメタン、クロロベンゼン等が挙げられる。また、反応進行に伴って生成する安息香酸無水物又はその誘導体由来の酸を中和するため、反応系内に塩基を添加することが好ましい。この塩基としては、求核性を有さない有機塩基(トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン)が好ましい。
溶媒中への添加順序は任意であるが、ラセミのカルボン酸と安息香酸無水物又はその誘導体とを含む溶液中に、塩基、触媒、アルコール又はフェノール誘導体を順次加えることが好ましい。
【0032】
それぞれの添加量は、特に限定されるものではないが、ラセミのカルボン酸に対して、アルコール又はフェノール誘導体が0.5~1.0当量、安息香酸無水物又はその誘導体が0.5~1.5当量、塩基が1.0~3.0当量、触媒が0.1~10モル%であることが好ましい。
反応温度は-23~30℃が好ましく、反応時間は10分間~48時間が好ましい。
【実施例】
【0033】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0034】
[試験例1:各種アルコールを用いた光学活性エステル及び光学活性カルボン酸の製造]
【化15】
JP0005435656B2_000016t.gif

【0035】
上記反応式に示すように、1.2当量の安息香酸無水物(BzO)及び1.0当量のラセミ2-フェニルプロピオン酸を含むジクロロメタン溶液に対し、2.4当量のジイソプロピルエチルアミン、カルボン酸に対して5モル%のベンゾテトラミソール(BTM)、及び0.75当量のアルコールを室温で順番に加え、反応混合液を室温で所定時間撹拌した後、飽和塩化アンモニア水で反応を停止した。有機層を分取した後、水層をジエチルエーテル又はジクロロメタンで3~4回抽出した。有機層を混合した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶液を濾過した後に減圧濃縮し、得られた混合物をシリカゲル薄層クロマトグラフィーで分取することにより、対応する光学活性エステル及び未反応の光学活性カルボン酸の一部を得た。水層に1M塩酸を加え、pHを約2に調整した後、ジエチルエーテル又はジクロロメタンで4回抽出した。上記と同様の後処理を行い、未反応の光学活性カルボン酸をさらに回収し、先に得られた光学活性カルボン酸と合わせた。結果を表1に示す。
【0036】
なお、エナンチオ過剰率eeはキラルカラムによるHPLC分析法により決定した。また、反応速度比sは、Kaganらの方法(Top. Stereochem., 1988, 18, p.249-330)に従い、s=[ln(1-C)(1-生成物のee)]/[ln(1-C)(1+生成物のee)]として算出した。
【0037】
【表1】
JP0005435656B2_000017t.gif

【0038】
表1から分かるように、アルコールとして1,1-ジ(2-トリル)メタノール、1,1-ジフェニルメタノール、1,1-ジ(1-ナフチル)メタノール、1,1-ジ(2-ナフチル)メタノール、又は1,1-ジ(9-フェナントリル)メタノールを用いた場合(実験例3,4,6~8)、特に1,1-ジ(2-トリル)メタノール、1,1-ジ(1-ナフチル)メタノール、又は1,1-ジ(9-フェナントリル)メタノールを用いた場合には、他のアルコールを用いた場合(実験例1,2,5)よりも高いエナンチオ選択率で光学活性エステル及び光学活性カルボン酸が得られた。
【0039】
[試験例2:各種フェノール誘導体を用いた光学活性エステル及び光学活性カルボン酸の製造]
【化16】
JP0005435656B2_000018t.gif

【0040】
上記反応式に示すように、1.2当量の安息香酸無水物(BzO)及び1.0当量のラセミ2-フェニルプロピオン酸を含むジクロロメタン溶液に対し、2.4当量のジイソプロピルエチルアミン、カルボン酸に対して5モル%のベンゾテトラミソール(BTM)、及び0.75当量のフェノール誘導体を室温で順番に加え、反応混合液を室温で所定時間撹拌した後、飽和塩化アンモニア水で反応を停止した。有機層を分取した後、水層をジクロロメタンで4回抽出した。有機層を混合した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶液を濾過した後に減圧濃縮し、得られた混合物をシリカゲル薄層クロマトグラフィーで分取することにより、対応する光学活性エステル及び未反応の光学活性カルボン酸の一部を得た。水層に1M塩酸を加え、pHを約2に調整した後、ジクロロメタンで4回抽出した。上記と同様の後処理を行い、未反応の光学活性カルボン酸をさらに回収し、先に得られた光学活性カルボン酸と合わせた。結果を表2に示す。
【0041】
【表2】
JP0005435656B2_000019t.gif

【0042】
表2から分かるように、フェノール誘導体として2,6-ジ(1-ナフチル)フェノール又は2,6-ジ(2-ナフチル)フェノールを用いた場合(実験例14,15)には、他のフェノール誘導体を用いた場合(実験例9~13)よりもエナンチオ過剰率ee及び反応速度比sが高く、高いエナンチオ選択率で光学活性エステル及び光学活性カルボン酸が得られた。
【0043】
[試験例3:1,1-ジ(1-ナフチル)メタノールを用いた光学活性エステル及び光学活性カルボン酸の製造]
【化17】
JP0005435656B2_000020t.gif

【0044】
上記反応式に示すように、1,1-ジ(1-ナフチル)メタノールと各種ラセミのカルボン酸とを反応させ、光学活性エステル及び光学活性カルボン酸を得た。結果を表3に示す。
【0045】
【表3】
JP0005435656B2_000021t.gif

【0046】
表3から分かるように、アルコールとして1,1-ジ(1-ナフチル)メタノールを用いた場合には、エナンチオ過剰率ee及び反応速度比sが高く、高いエナンチオ選択率で光学活性エステル及び光学活性カルボン酸が得られた。
【0047】
以下、表3における光学活性エステル及び光学活性カルボン酸の製造方法及び同定結果を示す。
【0048】
≪実験例16≫
p-メトキシ安息香酸無水物(103.0mg,0.360mmol)及びラセミ2-フェニルプロピオン酸(45.1mg,0.300mmol)を含むジクロロメタン溶液(1.5mL)に対し、ジイソプロピルエチルアミン(94.0μL,0.540mmol)、ベンゾテトラミソール(3.8mg,0.015mmol)、及び1,1-ジ(1-ナフチル)メタノール(42.8mg,0.151mmol)を室温で順番に加えた。反応混合液を室温で12時間撹拌した後、飽和塩化アンモニア水で反応を停止した。有機層を分取した後、水層をジエチルエーテルで4回抽出した。有機層を混合した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶液を濾過した後に減圧濃縮し、得られた混合物をシリカゲル薄層クロマトグラフィーで分取することにより、対応する光学活性エステル(45.0mg,36%,91%ee)及び未反応の光学活性カルボン酸の一部を得た。水層に1M塩酸を加え、pHを約2に調整した後、ジエチルエーテルで4回抽出した。上記と同様の後処理を行い、未反応の光学活性カルボン酸をさらに回収し、先に得られた光学活性カルボン酸と合わせた(17.5mg,39%,52%ee)。
【0049】
<ジ(1-ナフチル)メチル (R)-2-フェニルプロパノエート>
HPLC(CHIRALPAK AD-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=1.0mL/min):t=13.8min(4.4%),t=18.3min(95.6%);
Mp:128℃(i-PrOH/hexane);
IR(KBr):3067,1728,1600,1509,776,699cm-1
H NMR(CDCl):δ8.29(s,1H,1’-H),7.99-7.94(m,1H,Ph),7.84-7.79(m,1H,Ph),7.74(t,J=7.0Hz,2H,Ph),7.68(d,J=8.0Hz,1H,Ph),7.63(d,J=8.5Hz,1H,Ph),7.45-7.38(m,2H,Ph),7.35-7.31(m,1H,Ph),7.23-7.14(m,7H,Ph),7.11(t,J=7.5Hz,1H,Ph),7.06(d,J =7.5Hz,1H,Ph),6.90(d,J=7.0Hz,1H,Ph),3.77(q,J=7.0Hz,1H,2-H),1.45(d,J=7.0Hz,3H,3-H);
13C NMR(CDCl):δ173.5,140.0,134.8,134.6,133.8,133.7,131.2,130.8,129.1,128.9,128.7,128.64,128.57,127.8,127.2,126.7,126.4,126.3,125.9,125.6,125.2,125.0,123.5,123.3,71.1,45.6,18.2;
HR MS:calcd for C3024Na(M+Na) 439.1669,found 439.1668.
【0050】
<(S)-2-フェニルプロピオン酸>
HPLC(CHIRALPAK AD-H,i-PrOH/hexane/TFA=1/50/0.05,flow rate=0.5mL/min):t=39.6min(24.1%),t=43.4min(75.9%);
H NMR(CDCl):δ10.95(br s,1H,COOH),7.30-7.16(m,5H,Ph),3.67(q,J=7.2Hz,1H,2-H),1.45(d,J=7.2Hz,3H,3-H).
【0051】
≪実験例18≫
<ジ(1-ナフチル)メチル (R)-2-(4-トリル)プロパノエート>
HPLC(CHIRALPAK AD-H,i-PrOH/hexane=1/9,flow rate=0.75mL/min):t=9.5min(7.6%),t=13.4min(92.4%);
IR(neat):3051,1733,1598,1512,801,777,732cm-1
H NMR(CDCl):δ8.27(s,1H,1’-H),7.98-7.91(m,1H,Ph),7.83-7.76(m,1H,Ph),7.72(t,J=8.2Hz,2H,Ph),7.66(d,J=8.2Hz,1H,Ph),7.62(d,J=8.6Hz,1H,Ph),7.44-7.36(m,1H,Ph),7.31(t,J=7.5Hz,1H,Ph),7.22-7.14(m,2H,Ph),7.13-7.01(m,4H,Ph),6.97(d,J=7.9Hz,2H,Ph),6.92(d,J=7.5Hz,1H,Ph),3.72(q,J=7.0Hz,1H,2-H),2.25(s,3H,Me),1.42(d,J=7.0Hz,3H,3-H);
13C NMR(CDCl):δ173.7,137.0,136.7,134.9,134.6,133.8,133.7,131.2,130.9,129.2,129.1,128.8,128.7,128.6,128.3,127.6,126.7,126.3,126.2,125.8,125.6,125.3,125.2,125.0,123.5,123.3,71.1,45.2,21.0,18.2;
HR MS:calcd for C3126Na(M+Na) 453.1825,found 453.1816.
【0052】
<(S)-2-(4-トリル)プロピオン酸>
HPLC(CHIRALPAK AD-H,i-PrOH/hexane/TFA=1/50/0.05,flow rate=0.5mL/min):t=43.2min(23.0%),t=46.7min(77.0%);
H NMR(CDCl):δ10.63(br s,1H,COOH),7.13(d,J=7.8Hz,2H,Ph),7.07(d,J=7.8Hz,2H,Ph),3.63(q,J=7.0Hz,1H,2-H),2.26(s,3H,Me),1.42(d,J=7.0Hz,3H,3-H).
【0053】
≪実験例20≫
<ジ(1-ナフチル)メチル (R)-2-(4-メトキシフェニル)プロパノエート>
HPLC(CHIRALPAK AD-H,i-PrOH/hexane=1/9,flow rate=1.0mL/min):t=10.5min(7.2%),t=12.8min(85.6%);
IR(neat):3059,1733,1608,1512,783,733cm-1
H NMR(CDCl):δ8.26(s,1H,1’-H),7.97-7.89(m,1H,Ph),7.85-7.58(m,5H,Ph),7.46-7.04(m,8H,Ph),6.93(d,J=6.9Hz,1H,Ph),6.75-6.67(m,2H,Ph),3.78-3.68(m,4H,2-H,OMe),1.42(d,J=6.9Hz,3H,3-H);
13C NMR(CDCl):δ173.7,158.7,134.8,134.6,133.8,133.6,132.1,131.2,130.9,129.1,128.83,128.76,128.7,128.6,128.3,126.7,126.3,126.2,125.8,125.6,125.3,125.2,125.0,123.5,123.3,113.9,71.0,55.3,44.8,18.2;
HR MS:calcd for C3126Na(M+Na) 469.1774,found 469.1754.
【0054】
<(S)-2-(4-メトキシフェニル)プロピオン酸>
HPLC(CHIRALPAK AD-H,i-PrOH/hexane/TFA=1/50/0.05,flow rate=1.0mL/min):t=34.7min(17.5%),t=36.4min(82.5%);
H NMR(CDCl):δ10.99(br s,1H,COOH),7.17(d,J=8.7Hz,2H,Ph),6.79(d,J=8.7Hz,2H,Ph),3.72(s,3H,OMe),3.61(q,J=7.2Hz,1H,2-H),1.42(d,J=7.2Hz,3H,3-H).
【0055】
≪実験例22≫
<ジ(1-ナフチル)メチル (R)-2-(4-クロロフェニル)プロパノエート>
HPLC(CHIRALPAK AD-H,i-PrOH/hexane=1/9,flow rate=0.5mL/min):t=17.1min(8.4%),t=19.3min(91.6%);
IR(neat):3052,1737,1599,1510,837,777cm-1
H NMR(CDCl):δ8.26(d,J=3.0Hz,1H,1’-H),7.90(dd,J=7.5,3.0Hz,1H,Ph),7.81(d,J=7.5Hz,1H,Ph),7.75(t,J=8.5Hz,2H,Ph),7.70(d,J=8.0Hz,1H,Ph),7.62(dd,J=8.5,3.0Hz,1H,Ph),7.45-7.32(m,3H,Ph),7.26-7.04(m,8H,Ph),6.93(dd,J=7.0,3.0Hz,1H,Ph),3.73(qd,J=8.5,1.5Hz,1H,2-H),1.45-1.41(m,3H,3-H);
13C NMR(CDCl):δ173.1,138.4,134.5,134.4,133.8,133.7,133.0,131.1,130.8,129.2,129.1,128.9,128.7,128.6,128.3,126.7,126.4,126.1,125.9,125.7,125.3,125.2,124.5,123.3,123.2,71.4,45.0,18.0;
HR MS:calcd for C3023ClNa(M+Na) 473.1279,found 473.1284.
【0056】
<(S)-2-(4-クロロフェニル)プロピオン酸>
HPLC(CHIRALPAK AD-H,i-PrOH/hexane/TFA=1/50/0.05,flow rate=0.75mL/min):t=31.7min(21.4%),t=34.0min(78.6%);
H NMR(CDCl):δ9.15(br s,1H,COOH),7.39-7.09(m,4H,Ph),3.69(q,J=7.0Hz,1H,2-H),1.48(d,J=7.0Hz,3H,3-H).
【0057】
≪実験例24≫
<ジ(1-ナフチル)メチル (R)-2-フェニルブタノエート>
HPLC of 2-phenylbutan-1-ol derived from the title compound(CHIRALPAK AS-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.75mL/min):t=16.0min(16.4%),t=17.4min(83.6%);
IR(neat):3034,1734,1599,1510,779,679cm-1
H NMR(CDCl):δ8.28(s,1H,1’-H),7.94(d,J=7.6Hz,1H,Ph),7.82-7.76(m,1H,Ph),7.71(dd,J=8.3,3.5Hz,2H,Ph),7.64(d,J=8.3Hz,1H,Ph),7.59(d,J=8.3Hz,1H,Ph),7.43-7.34(m,2H,Ph),7.33-7.26(m,1H,Ph),7.20-7.11(m,7H,Ph),7.10-7.02(m,2H,Ph),6.88(d,J=6.5Hz,1H,Ph),3.50(t,J=7.5Hz,1H,2-H),2.13-2.02(m,1H,3-H),1.78-1.67(m,1H.3-H),0.79(t,J=7.3Hz,3H,4-H);
13C NMR(CDCl):δ173.0,138.5,134.8,134.5,133.8,133.6,131.2,130.8,129.1,128.8,128.7,128.6,128.5,128.3,128.2,127.2,126.7,126.3,126.2,125.8,125.6,125.2,125.0,133.5,123.3,71.0,53.5,26.1,12.2;
HR MS:calcd for C3126Na(M+Na) 453.1825,found 453.1834.
【0058】
<(S)-2-フェニルブタン酸>
HPLC(CHIRALPAK AD-H,i-PrOH/hexane/TFA=1/50/0.05,flow rate=1.0mL/min):t=20.0min(30.0%),t=22.8min(70.0%);
H NMR(CDCl):δ10.28(br s,1H,COOH),7.31-7.14(m,5H,Ph),3.39(t,J=7.5Hz,1H,2-H),2.13-1.93(m,1H,3-H),1.82-1.62(m,1H,3-H),0.83(t,J=7.5Hz,3H,4-H).
【0059】
≪実験例26≫
<ジ(1-ナフチル)メチル (R)-2,3-ジフェニルプロパノエート>
HPLC(CHIRALPAK AD-H,i-PrOH/hexane=1/9,flow rate=0.75mL/min):t=12.3min(13.5%),t=23.1min(86.5%);
IR(neat):3033,1736,1600,1511,780,678 cm-1
H NMR(CDCl):δ8.15(s,1H,1’-H),7.78-7.56(m,5H,Ph),7.49(t,J=8.3Hz,1H,Ph),7.38-7.14(m,11H,Ph),7.13-6.94(m,5H,Ph),6.76(dd,J=7.5Hz,1H,Ph),7.06(d,J=10.5,7.0Hz,1H,Ph),3.94(dd,J=10.0,5.5Hz,1H,2-H),3.40(dd,J=13.7,10.0Hz,1H,3-H),2.92(dd,J=13.7,5.5Hz,1H,3-H);
13C NMR(CDCl):δ172.4,139.0,138.2,134.35,134.30,133.7,133.6,131.0,130.8,129.0,128.9,128.68,128.63,128.57,128.4,128.3,128.1,127.5,126.7,126.33,126.31,126.0,125.7,125.6,125.20,124.97,123.4,123.3,71.4,53.6,39.2;
HR MS:calcd for C3628Na(M+Na) 515.1982,found 515.1963.
【0060】
<(S)-2,3-ジフェニルプロピオン酸>
HPLC(CHIRALPAK AD-H,i-PrOH/hexane/TFA=1/10/0.01,flow rate=0.75mL/min):t=12.5min(21.9%),t=15.5min(78.1%);
H NMR(CDCl):δ10.35(br s,1H,COOH),7.28-6.98(m,10H,Ph),3.78(dd,J=8.2,7.0Hz,1H,2-H),3.33(dd,J=13.8,8.2Hz,1H,3-H),2.96(dd,J=13.8,7.0Hz,1H,3-H).
【0061】
[試験例4:1,1-ジ(9-フェナントリル)メタノールを用いた光学活性エステル及び光学活性カルボン酸の製造]
【化18】
JP0005435656B2_000022t.gif

【0062】
上記反応式に示すように、1,1-ジ(9-フェナントリル)メタノールと各種ラセミのカルボン酸とを反応させ、光学活性エステル及び光学活性カルボン酸を得た。結果を表4に示す。
【0063】
【表4】
JP0005435656B2_000023t.gif

【0064】
表4から分かるように、アルコールとして1,1-ジ(9-フェナントリル)メタノールを用いた場合には、エナンチオ過剰率ee及び反応速度比sが高く、高いエナンチオ選択率で光学活性エステル及び光学活性カルボン酸が得られた。
【0065】
以下、表4における光学活性エステル及び光学活性カルボン酸の製造方法及び同定結果を示す。
【0066】
≪実験例28≫
p-メトキシ安息香酸無水物(68.7mg,0.240mmol)及びラセミ2-フェニルプロピオン酸(30.0mg,0.200mmol)を含むジクロロメタン溶液(2.0mL)に対し、ジイソプロピルエチルアミン(62.7μL,0.360mmol)、ベンゾテトラミソール(2.5mg,0.010mmol)、及び1,1-ジ(9-フェナントリル)メタノール(38.4mg,0.100mmol)を室温で順番に加えた。反応混合液を室温で12時間撹拌した後、飽和塩化アンモニア水で反応を停止した。有機層を分取した後、水層をジクロロメタンで4回抽出した。有機層を混合した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶液を濾過した後に減圧濃縮し、得られた混合物をシリカゲル薄層クロマトグラフィーで分取することにより、対応する光学活性エステル(43.3mg,42%,91%ee)及び未反応の光学活性カルボン酸の一部を得た。水層に1M塩酸を加え、pHを約2に調整した後、ジクロロメタンで4回抽出した。上記と同様の後処理を行い、未反応の光学活性カルボン酸をさらに回収し、先に得られた光学活性カルボン酸と合わせた(12.4mg,42%,52%ee)。
【0067】
<ジ(9-フェナントリル)メチル (R)-2-フェニルプロパノエート>
HPLC(CHIRALPAK AD-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.5mL/min):t=30.0min(95.6%),t=34.2min(4.4%);
IR(KBr):3064,1731,1495,1451,1163,749,726cm-1
H NMR(CDCl):δ8.82-8.59(m,4H,Ph),8.42(s,1H,1’-H),8.20-8.11(m,1H,Ph),7.84-7.25(m,18H,Ph),3.91(q,J=7.2Hz,1H,2-H),1.56(d,J=7.2Hz,3H,3-H);
13C NMR(CDCl):δ173.5,140.1,132.9,132.7,131.1,131.0,130.9,130.7,130.6,130.5,130.2,129.8,129.1,128.8,127.9,127.4,127.3,127.2,127.0,126.9,126.7,126.5,126.4,126.2,124.2,123.9,123.4,123.1,122.4,122.4,71.0,45.7,18.1.
【0068】
≪実験例30≫
<ジ(9-フェナントリル)メチル (R)-2-(4-トリル)プロパノエート>
HPLC(CHIRALPAK AD-H,i-PrOH/hexane=1/9,flow rate=0.5mL/min):t=26.7min(93.3%),t=40.4min(6.7%);
IR(KBr):3068,1732,1451,1154,750,726cm-1
H NMR(CDCl):δ8.81-8.53(m,4H,Ph),8.42(s,1H,1’-H),8.25-8.10(m,1H,Ph),7.83-7.05(m,17H,Ph),3.85(q,J=6.9Hz,1H,2-H),2.40(s,3H,Me),1.53(d,J=6.9Hz,3H,3-H);
13C NMR(CDCl):δ173.6,137.2,137.0,132.9,132.7,131.1,131.1,130.9,130.7,130.5,130.2,129.8,129.5,129.1,129.1,128.3,128.0,127.8,127.3,127.2,127.0,126.9,126.6,126.4,126.4,126,2,124.3,124.0,123.4,123.1,122.4,122.4,70.8,45.3,21.1,18.0.
【0069】
≪実験例32≫
<ジ(9-フェナントリル)メチル (R)-2-(4-メトキシフェニル)プロパノエート>
HPLC(CHIRALPAK AD-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=1.0mL/min):t=22.6min(9.0%),t=26.3min(91.0%);
IR(KBr):3075,1733,1511,1451,1248,1032,750,726cm-1
H NMR(CDCl):δ8.84-8.64(m,4H,Ph),8.40(s,1H,1’-H),8.18-8.12(m,1H,Ph),7.80-7.35(m,12H,Ph),7.30-7.19(m,3H,Ph),6.88-6.82(m,2H,Ph),3.86(q,J=7.2Hz,1H,2-H),3.84(s,3H,OMe),1.54(d,J=7.2Hz,3H,3-H);
13C NMR(CDCl):δ173.0,158.9,133.0,132.8,132.2,131.1,131.0,130.7,130.6,130.5,130.3,129.9,129.1,129.1,129.0,127.9,127.3,127.2,127.0,126.9,126.7,126.5,126.4,126.3,124.3,124.0,123.4,123.1,122.5,122.4,114.2,70.9,55.3,44.9,18.1.
【0070】
≪実験例34≫
<ジ(9-フェナントリル)メチル (R)-2-(4-クロロフェニル)プロパノエート>
HPLC(CHIRALPAK AD-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.5mL/min):t=37.4min(10.1%),t=46.4min(89.8%);
IR(KBr):3067,1735,1493,1451,1151,750,726cm-1
H NMR(CDCl):δ8.87-8.63(m,4H,Ph),8.40(s,1H,1’-H),8.17-8.09(m,1H,Ph),7.80-7.20(m,17H,Ph),3.89(q,J=7.2Hz,1H,2-H),1.55(d,J=7.2Hz,3H,3-H);
13C NMR(CDCl):δ173.0,138.5,133.3,132.6,132.5,131.0,130.9,130.9,130.6,130.6,130.4,130.1,129.7,129.2,129.1,129.0,128.3,127.9,127.3,127.1,126.9,126.7,126.5,126.2,124.1,123.8,123.4,123.2,122.4,122.4,71.1,45.1,17.9.
【0071】
≪実験例36≫
<ジ(9-フェナントリル)メチル (R)-2-フェニルブタノエート>
HPLC(CHIRALPAK AD-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.5mL/min):t=23.4min(93.5%),t=29.6min(6.5%);
IR(KBr):3057,1727,1450,1359,1154,755,727cm-1
H NMR(CDCl):δ8.84-8.53(m,4H,Ph),8.32(s,1H,1’-H),8.11-7.98(m,1H,Ph),7.76-7.14(m,18H,Ph),3.60(dd,J=7.7,7.7Hz,1H,2-H),2.22-2.04(m,1H,3-H),1.84-1.63(m,1H,3-H),0.87(t,J=7.2Hz,3H,4-H).
【0072】
≪実験例38≫
<ジ(9-フェナントリル)メチル (R)-2,3-ジフェニルプロパノエート>
HPLC of 2,3-diphenylpropan-1-ol derived from the title compound(CHIRALPAK AD-H,i-PrOH/hexane=1/9,flow rate=0.5mL/min):t=14.7min(93.4%),t=18.7min(6.6%);
IR(KBr):3064,1723,1495,1451,1145,748,726cm-1
H NMR(CDCl):δ8.79-8.55(m,4H,Ph),8.29(s,1H,1’-H),7.90-7.80(m,1H,Ph),7.71-7.10(m,23H,Ph),4.10(dd,J=10.0,5.4Hz,1H,2-H),3.54(dd,J=13.9,10.0Hz,1H,3-H),3.02(dd,J=13.9,5.4Hz,1H,3-H);
13C NMR(CDCl):δ172.3,139.1,138.4,132.6,132.5,131.0,131.0,130.8,130.6,130.6,130.4,130.1,129.7,129.2,129.1,129.0,128.9,128.4,128.3,128.3,127.9,127.6,127.3,127.2,127.0,126.9,126.9,126.6,126.5,126.4,126.4,126.1,124.3,123.9,123.3,123.1,122.4,122.3,71.3,53.7,39.3.
【0073】
[試験例5:2,6-ジ(1-ナフチル)フェノール又は2,6-ジ(2-ナフチル)フェノールを用いた光学活性エステル及び光学活性カルボン酸の製造]
【化19】
JP0005435656B2_000024t.gif

【0074】
上記反応式に示すように、2,6-ジ(1-ナフチル)フェノール又は2,6-ジ(2-ナフチル)フェノールとラセミ2-フェニルプロピオン酸とを反応させ、光学活性エステル及び光学活性カルボン酸を得た。結果を表5に示す。
【0075】
【表5】
JP0005435656B2_000025t.gif

【0076】
表5から分かるように、フェノール誘導体として2,6-ジ(1-ナフチル)フェノール又は2,6-ジ(2-ナフチル)フェノールを用いた場合、特に、フェノール誘導体として2,6-ジ(1-ナフチル)フェノールを用い、酸無水物としてp-メトキシ安息香酸無水物を用いた場合(実験例40)には、エナンチオ過剰率ee及び反応速度比sが高く、高いエナンチオ選択率で光学活性エステル及び光学活性カルボン酸が得られた。
【0077】
以下、表5における光学活性エステル及び光学活性カルボン酸の製造方法及び同定結果を示す。
【0078】
≪実験例40≫
p-メトキシ安息香酸無水物(103.1mg,0.360mmol)及びラセミ2-フェニルプロピオン酸(45.0mg,0.300mmol)を含むジクロロメタン溶液(1.5mL)に対し、ジイソプロピルエチルアミン(130.0μL,0.720mmol)、ベンゾテトラミソール(3.8mg,0.015mmol)、及び2,6-ジ(1-ナフチル)フェノール(77.9mg,0.225mmol)を室温で順番に加えた。反応混合液を室温で4時間撹拌した後、飽和塩化アンモニア水で反応を停止した。有機層を分取した後、水層をジクロロメタンで4回抽出した。有機層を混合した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶液を濾過した後に減圧濃縮し、得られた混合物をシリカゲル薄層クロマトグラフィーで分取することにより、対応する光学活性エステル(29.8mg,21%,86%ee)及び未反応の光学活性カルボン酸の一部を得た。水層に1M塩酸を加え、pHを約2に調整した後、ジクロロメタンで4回抽出した。上記と同様の後処理を行い、未反応の光学活性カルボン酸をさらに回収し、先に得られた光学活性カルボン酸と合わせた(26.2mg,58%,18%ee)。
【0079】
<2,6-ジ(1-ナフチル)フェニル (R)-2-フェニルプロパノエート>
HPLC(CHIRALPAK AD-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.3mL/min):t=29.6min(93.0%),t=33.6min(7.0%);
H NMR(CDCl):δ7.92-7.65(m,6H,Ph),7.55-7.29(m,11H,Ph),7.02-6.69(m,3H,Ph),6.27-6.10(m,2H,Ph),2.75(qd,J=7.2,6.9 Hz,1H,2-H),0.39(dq,J=8.7,7.2Hz,3H,3-H).
【0080】
≪実験例42≫
p-メトキシ安息香酸無水物(103.1mg,0.360mmol)及びラセミ2-フェニルプロピオン酸(45.0mg,0.300mmol)を含むジクロロメタン溶液(1.5mL)に対し、ジイソプロピルエチルアミン(130.0μL,0.720mmol)、ベンゾテトラミソール(3.8mg,0.015mmol)、及び2,6-ジ(2-ナフチル)フェノール(77.9mg,0.225mmol)を室温で順番に加えた。反応混合液を室温で3時間撹拌した後、飽和塩化アンモニア水で反応を停止した。有機層を分取した後、水層をジクロロメタンで4回抽出した。有機層を混合した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶液を濾過した後に減圧濃縮し、得られた混合物をシリカゲル薄層クロマトグラフィーで分取することにより、対応する光学活性エステル(21.7mg,15%,67%ee)及び未反応の光学活性カルボン酸の一部を得た。水層に1M塩酸を加え、pHを約2に調整した後、ジクロロメタンで4回抽出した。上記と同様の後処理を行い、未反応の光学活性カルボン酸をさらに回収し、先に得られた光学活性カルボン酸と合わせた(31.5mg,71%,11%ee)。
【0081】
<2,6-ジ(2-ナフチル)フェニル (R)-2-フェニルプロパノエート>
HPLC(CHIRALPAK AD-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=1.0mL/min):t=21.3min(16.3%),t=23.9min(83.7%);
H NMR(CDCl):δ7.93-7.65(m,8H,Ph),7.56-7.39(m,8H,Ph),7.25(s,1H,Ph),6.95-6.85(m,1H,Ph),6.79-6.70(m,2H,Ph),6.67-6.58(m,2H,Ph),3.35(q,J=7.2Hz,1H,2-H),0.95(d,J=7.2Hz,3H,3-H).
【0082】
[試験例6:イブプロフェンを用いた光学活性エステル及び光学活性カルボン酸の製造(イブプロフェンの光学分割)]
【化20】
JP0005435656B2_000026t.gif

【0083】
上記反応式に示すように、1,1-ジ(1-ナフチル)メタノール又は1,1-ジ(9-フェナントリル)メタノールとラセミのイブプロフェンとを反応させ、光学活性エステル及び光学活性カルボン酸を得た。結果を表6に示す。
【0084】
【表6】
JP0005435656B2_000027t.gif

【0085】
表6から分かるように、アルコールとして1,1-ジ(1-ナフチル)メタノールを用いた場合と1,1-ジ(9-フェナントリル)メタノールを用いた場合とのいずれも、高いエナンチオ選択率でイブプロフェンを光学分割し、光学活性エステル及び光学活性カルボン酸を得ることができた。
【0086】
以下、表6における光学活性エステル及び光学活性カルボン酸の製造方法及び同定結果を示す。
【0087】
≪実験例44≫
p-メトキシ安息香酸無水物(68.9mg,0.241mmol)及びラセミのイブプロフェン(41.2mg,0.200mmol)を含むジクロロメタン溶液(1.0mL)に対し、ジイソプロプロピルエチルアミン(62.7μL,0.360mmol)、ベンゾテトラミソール(2.5mg,0.010mmol)、及び1,1-ジ(1-ナフチル)メタノール(28.4mg,0.100mmol)を室温で順番に加えた。反応混合液を室温で12時間撹拌した後、飽和塩化アンモニア水で反応を停止した。有機層を分取した後、水層をジエチルエーテルで4回抽出した。有機層を混合した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶液を濾過した後に減圧濃縮し、得られた混合物をシリカゲル薄層クロマトグラフィーで分取することにより、対応する光学活性イブプロフェンエステル(36.9mg,39%,92%ee)及び未反応の光学活性イブプロフェン(13.6mg,33%,36%ee)を得た。
【0088】
<(R)-イブプロフェン ジ(1-ナフチル)メチルエステル>
HPLC(CHIRALPAK AD-H,i-PrOH/hexane=1/9,flow rate=1.0mL/min):t=6.1min(4.1%),t=10.7min(95.9%);
IR(neat):3036,1735,1599,1512,782,679cm-1
H NMR(CDCl):δ8.29(s,1H,1”-H),8.02-7.93(m,1H,Ph),7.85-7.60(m,5H,Ph),7.47-7.26(m,3H,Ph),7.24-7.02(m,6H,Ph),7.00-6.88(m,3H,Ph),3.74(q,J=7.1Hz,1H,2-H),2.38(d,J=7.1Hz,2H,1’-H),1.78(qq,J=6.6,6.6Hz,1H,2’-H),1.43(d,J=7.1Hz,3H,3-H),0.84(d,J=6.6Hz,6H,3’-H);
13C NMR(CDCl):δ173.7,140.6,137.2,134.9,134.7,133.8,133.7,131.2,130.9,129.3,129.1,128.8,128.7,128.6,127.5,126.7,126.3,125.8,125.6,125.2,125.0,123.5,123.4,70.9,45.3,45.0,30.2,22.4,18.1;
HR MS:calcd for C3432Na(M+Na) 495.2295,found 495.2276.
【0089】
<(S)-イブプロフェン>
HPLC(CHIRALPAK AD-H,i-PrOH/hexane/TFA=1/100/0.1,flow rate=1.0mL/min):t=26.3min(77.5%),t=28.5min(22.5%);
H NMR(CDCl):δ10.30(br s,1H,COOH),7.14(d,J=7.9Hz,2H,Ph),7.02(d,J=7.9Hz,2H,Ph),3.63(q,J=7.3Hz,1H,2-H),2.37(q,J=7.3Hz,2H,1’-H),1.77(qq,J=6.5,6.5Hz,1H,2’-H),1.42(d,J=7.3Hz,2H,3-H),0.82(d,J=6.5Hz,6H,3’-H).
【0090】
≪実験例46≫
<(R)-イブプロフェン ジ(9-フェナントリル)メチルエステル>
HPLC(CHIRALPAK AD-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.5mL/min):t=18.4min(5.6%),t=24.9min(94.4%);
IR(KBr):3068,1732,1451,1155,750,726cm-1
H NMR(CDCl):δ8.83-8.60(m,4H,Ph),8.40(s,1H,1”-H),8.18-8.09(m,1H,Ph),7.82-7.04(m,17H,Ph),3.89(q,J=7.2Hz,1H,2-H),2.61-2.45(m,2H,1’-H),2.00-1.81(m,1H,2’-H),1.55(d,J=7.2Hz,3H,3-H),0.95(d,J=6.6Hz,6H,3’-H);
13C NMR(CDCl):δ173.7,133.0,132.7,131.1,131.0,130.9,130.6,130.6,130.4,130.2,129.8,129.5,129.1,127.9,127.5,127.3,127.2,127.0,126.9,126.9,126.6,126.4,126.2,124.3,123.9,123.3,123.1,122.4,122.4,70.8,45.3,45.1,30.2,22.5,22.4,18.2.
【0091】
[試験例7:ケトプロフェンを用いた光学活性エステル及び光学活性カルボン酸の製造(ケトプロフェンの光学分割)]
【化21】
JP0005435656B2_000028t.gif

【0092】
上記反応式に示すように、1,1-ジ(1-ナフチル)メタノール又は1,1-ジ(9-フェナントリル)メタノールとラセミのケトプロフェンとを反応させ、光学活性エステル及び光学活性カルボン酸を得た。結果を表7に示す。
【0093】
【表7】
JP0005435656B2_000029t.gif

【0094】
表7から分かるように、アルコールとして1,1-ジ(1-ナフチル)メタノールを用いた場合と1,1-ジ(9-フェナントリル)メタノールを用いた場合とのいずれも、高いエナンチオ選択率でケトプロフェンを光学分割し、光学活性エステル及び光学活性カルボン酸を得ることができた。
【0095】
以下、表7における光学活性エステル及び光学活性カルボン酸の製造方法及び同定結果を示す。
【0096】
≪実験例49≫
安息香酸無水物(54.2mg,0.240mmol)及びラセミのケトプロフェン(50.8mg,0.200mmol)を含むジクロロメタン溶液(2.0mL)に対し、ジイソプロプロピルエチルアミン(62.7μL,0.360mmol)、ベンゾテトラミソール(2.5mg,0.010mmol)、及び1,1-ジ(1-ナフチル)メタノール(28.4mg,0.100mmol)を室温で順番に加えた。反応混合液を室温で6時間撹拌した後、飽和塩化アンモニア水で反応を停止した。有機層を分取した後、水層をジエチルエーテルで4回抽出した。有機層を混合した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶液を濾過した後に減圧濃縮し、得られた混合物をシリカゲル薄層クロマトグラフィーで分取することにより、対応する光学活性ケトプロフェンエステル(56.8mg,55%,80%ee)及び未反応の光学活性ケトプロフェン(13.8mg,27%,50%ee)を得た。
【0097】
<(R)-ケトプロフェン ジ(1-ナフチル)メチルエステル>
HPLC(CHIRALPAK AD-H,i-PrOH/hexane=1/4,flow rate=1.0mL/min):t=16.7min(10.1%),t=46.3min(89.9%);
IR(neat):3035,1735,1660,1599,1511,780,680cm-1
H NMR(CDCl):δ8.28(s,1H,1’-H),7.93-7.85(m,1H,Ph),7.82-7.54(m,6H,Ph),7.52-7.44(m,2H,Ph),7.44-7.06(m,13H,Ph),6.95(d,J=7.1Hz,1H,Ph),3.81(q,J=7.1Hz,1H,2-H),1.46(d,J=7.1Hz,3H,3-H);
13C NMR(CDCl):δ196.3,173.0,140.1,137.8,137.3,134.5,134.4,133.8,133.7,132.4,131.6,131.1,130.8,129.9,129.5,129.2,128.93,128.91,128.86,128.7,128.6,128.3,128.2,126.7,126.4,126.1,125.9,125.7,125.4,125.2,125.0,123.2,71.4,45.5,17.9;
HR MS:calcd for C3728Na(M+Na) 543.1931,found 543.1910.
【0098】
<(S)-ケトプロフェン>
HPLC(CHIRALPAK AD-H,i-PrOH/hexane/TFA=1/10/0.01,flow rate=1.0mL/min):t=15.0min(20.0%),t=17.7min(80.0%);
H NMR(CDCl):δ10.67(br s,1H,COOH),7.85-7.76(m,3H,Ph),7.69(dt,J=7.5,1.5Hz,1H,Ph),7.63-7.54(m,2H,Ph),7.52-7.42(m,3H,Ph),3.83(q,J=7.0Hz,1H,2-H),1.56(d,J=7.0Hz,3H,3-H).
【0099】
≪実験例51≫
<(R)-ケトプロフェン ジ(9-フェナントリル)メチルエステル>
HPLC(CHIRALPAK AD-H,i-PrOH/hexane=1/9,flow rate=1.0mL/min):t=34.6min(86.0%),t=45.7min(14.0%);
IR(neat):3060,1733,1658,1159,754,721cm-1
H NMR(CDCl):δ8.84-8.60(m,4H,Ph),8.42(s,1H,1’-H),8.16-8.06(m,1H,Ph),7.82-7.32(m,20H,Ph),7.28-7.32(m,2H,Ph),3.99(q,J=6.9Hz,1H,2-H),1.60(d,J=6.9Hz,3H,3-H);
13C NMR(CDCl):δ196.3,173.1,140.2,138.0,137.4,134.6,134.5,133.9,133.7,132.4,131.6,131.2,131.0,130.0,129.6,129.2,128.9,128.7,128.6,128.3,128.2,126.7,126.5,126.1,125.9,125.8,125.4,125.2,125.0,123.3,71.5,45.6,18.0.
【0100】
[試験例8:ナプロキセンを用いた光学活性エステル及び光学活性カルボン酸の製造(ナプロキセンの光学分割)]
【化22】
JP0005435656B2_000030t.gif

【0101】
上記反応式に示すように、1,1-ジ(1-ナフチル)メタノール又は1,1-ジ(9-フェナントリル)メタノールとラセミのナプロキセンとを反応させ、光学活性エステル及び光学活性カルボン酸を得た。結果を表8に示す。
【0102】
【表8】
JP0005435656B2_000031t.gif

【0103】
表8から分かるように、アルコールとして1,1-ジ(1-ナフチル)メタノールを用いた場合と1,1-ジ(9-フェナントリル)メタノールを用いた場合とのいずれも、高いエナンチオ選択率でナプロキセンを光学分割し、光学活性エステル及び光学活性カルボン酸を得ることができた。
【0104】
以下、表8における光学活性エステル及び光学活性カルボン酸の製造方法及び同定結果を示す。
【0105】
≪実験例55≫
安息香酸無水物(54.3mg,0.240mmol)及びラセミのナプロキセン(46.1mg,0.200mmol)を含むジクロロメタン溶液(2.0mL)に対し、ジイソプロプロピルエチルアミン(62.7μL,0.360mmol)、ベンゾテトラミソール(2.5mg,0.010mmol)、及び1,1-ジ(9-フェナントリル)メタノール(38.4mg,0.100mmol)を室温で順番に加えた。反応混合液を室温で6時間撹拌した後、飽和塩化アンモニア水で反応を停止した。有機層を分取した後、水層をジクロロメタンで4回抽出した。有機層を混合した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶液を濾過した後に減圧濃縮し、得られた混合物をシリカゲル薄層クロマトグラフィーで分取することにより、対応する光学活性ナプロキセンエステル(59.7mg,50%,88%ee)及び未反応の光学活性ナプロキセン(12.6mg,27%,61%ee)を得た。
【0106】
<(R)-ナプロキセン ジ(9-フェナントリル)メチルエステル>
HPLC(CHIRALCEL OD-H,i-PrOH/hexane=1/4,flow rate=0.75mL/min):t=23.7min(94.1%),t=41.1min(5.9%);
IR(KBr):3063,1731,1605,1265,1028,749,727cm-1
H NMR(CDCl):δ8.84-8.50(m,4H,Ph),8.43(s,1H,1’-H),8.25-8.12(m,1H,Ph),7.80-7.08(m,18H,Ph),6.83-6.75(m,1H,Ph),4.03(q,J=7.1Hz,1H,2-H),3.96(s,3H,OMe),1.64(d,J=7.1Hz,3H,3-H);
13C NMR(CDCl):δ173.5,157.9,135.2,134.0,132.9,132.6,131.0,130.9,130.6,130.6,130.3,130.2,129.8,129.5,129.1,129.0,128.9,128.3,128.0,127.4,127.3,127.2,126.8,126.6,126.6,126.5,126.4,126.3,126.2,124.2,123.9,123.4,123.1,122.4,122.2,119.0,105.6,71.0,55.4,45.7,18.0.
【0107】
<(S)-ナプロキセン>
HPLC(CHIRALPAK AD-H,i-PrOH/hexane/TFA=1/10/0.01,flow rate=1.0mL/min):t=13.8min(18.9%),t=15.8min(81.1%);
H NMR(CDCl):δ9.42(br s,1H,COOH),7.68-7.55(m,3H,Ph),7.33-7.28(m,1H,Ph),7.13-6.99(m,2H,Ph),3.83(s,3H,OMe),3.79(q,J=7.2Hz,1H,2-H),1.50(d,J=7.2Hz,3H,3-H).
【0108】
≪実験例53≫
<(R)-ナプロキセン ジ(1-ナフチル)メチルエステル>
HPLC(CHIRALPAK AD-H,i-PrOH/hexane=1/9,flow rate=1.0mL/min):t=13.7min(10.6%),t=17.4min(89.4%);
IR(neat):3034,1733,1604,1508,782,679cm-1
H NMR(CDCl):δ8.29(s,1H,1’-H),8.00-7.90(m,1H,Ph),7.82-6.96(m,17H,Ph),6.95-6.81(m,2H,Ph),3.86(q,J=7.0Hz,1H,2-H),3.79(s,3H,OMe),1.49(d,J=7.0Hz,3H,3-H);
13C NMR(CDCl):δ173.6,157.6,135.1,134.7,134.5,133.8,133.7,133.6,131.2,130.8,129.3,129.1,128.9,128.8,128.7,128.6,128.3,127.1,126.7,126.5,126.3,126.2,125.8,125.6,125.3,125.2,125.0,123.4,123.3,118.9,105.5,71.2,55.2,45.5,18.3;
HR MS:calcd for C3528Na(M+Na) 519.1931,found 519.1932.
【0109】
[試験例9:フルルビプロフェンを用いた光学活性エステル及び光学活性カルボン酸の製造(フルルビプロフェンの光学分割)]
【化23】
JP0005435656B2_000032t.gif

【0110】
上記反応式に示すように、1,1-ジ(1-ナフチル)メタノール又は1,1-ジ(9-フェナントリル)メタノールとラセミのフルルビプロフェンとを反応させ、光学活性エステル及び光学活性カルボン酸を得た。結果を表9に示す。
【0111】
【表9】
JP0005435656B2_000033t.gif

【0112】
表9から分かるように、アルコールとして1,1-ジ(1-ナフチル)メタノールを用いた場合と1,1-ジ(9-フェナントリル)メタノールを用いた場合とのいずれも、高いエナンチオ選択率でフルルビプロフェンを光学分割し、光学活性エステル及び光学活性カルボン酸を得ることができた。
【0113】
以下、表9における光学活性エステル及び光学活性カルボン酸の製造方法及び同定結果を示す。
【0114】
≪実験例59≫
安息香酸無水物(54.3mg,0.240mmol)及びラセミのフルルビプロフェン(48.9mg,0.200mmol)を含むジクロロメタン溶液(2.0mL)に対し、ジイソプロプロピルエチルアミン(62.7μL,0.360mmol)、ベンゾテトラミソール(2.5mg,0.010mmol)、及び1,1-ジ(9-フェナントリル)メタノール(38.4mg,0.100mmol)を室温で順番に加えた。反応混合液を室温で6時間撹拌した後、飽和塩化アンモニア水で反応を停止した。有機層を分取した後、水層をジクロロメタンで4回抽出した。有機層を混合した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶液を濾過した後に減圧濃縮し、得られた混合物をシリカゲル薄層クロマトグラフィーで分取することにより、対応する光学活性フルルビプロフェンエステル(50.4mg,41%,88%ee)及び未反応の光学活性フルルビプロフェン(13.4mg,28%,44%ee)を得た。
【0115】
<(R)-フルルビプロフェン ジ(9-フェナントリル)メチルエステル>
HPLC(CHIRALPAK AD-H,i-PrOH/hexane=1/9,flow rate=0.5mL/min):t=14.9min(6.3%),t=16.9min(93.7%);
IR(KBr):3062,1736,1450,1416,1166,1146,749,726cm-1
H NMR(CDCl):δ8.84-8.62(m,4H,Ph),8.42(s,1H,1’-H),8.17-8.08(m,1H,Ph),7.80-7.32(m,19H,Ph),7.20-7.11(m,2H,Ph),3.95(q,J=7.0Hz,1H,2-H),1.60(d,J=7.0Hz,3H,3-H);
13C NMR(CDCl):δ172.9,160.7,158.8,141.4,141.3,135.5,132.7,132.6,131.0,131.0,130.9,130.7,130.6,130.5,130.1,129.8,129.1,129.0,129.0,128.5,128.1,128.0,127.9,127.8,127.3,127.1,127.0,126.7,126.7,126.7,126.5,126.4,124.2,123.9,123.9,123.9,123.4,123.2,122.5,122.4,115.7,115.5,71.3,45.2,17.8.
【0116】
<(S)-フルルビプロフェン>
HPLC(CHIRALPAK AD-H,i-PrOH/hexane/TFA=1/50/0.05,flow rate=1.0mL/min):t=24.9min(18.2%),t=35.0min(81.8%);
H NMR(CDCl):δ9.45(br s,1H,COOH),7.57-7.49(m,2H,Ph),7.48-7.33(m,4H,Ph),7.22-7.11(m,2H,Ph),3.80(q,J=7.2Hz,1H,2-H),1.56(d,J=7.2Hz,3H,3-H).
【0117】
≪実験例57≫
<(R)-フルルビプロフェン ジ(1-ナフチル)メチルエステル>
HPLC(CHIRALPAK AD-H,i-PrOH/hexane=1/9,flow rate=0.75mL/min):t=9.8min(8.3%),t=16.9min(91.7%);
IR(neat):3035,1734,1599,1513,783,679cm-1
H NMR(CDCl):δ8.29(s,1H,1’-H),7.95-7.86(m,1H,Ph),7.80-7.72(m,1H,Ph),7.70(d,J=8.1Hz,2H,Ph),7.64(d,J=8.1Hz,2H,Ph),7.46-7.04(m,12H,Ph),7.01-6.90(m,3H,Ph),3.74(q,J=7.0Hz,1H,2-H),1.44(t,J=7.0Hz,3H,3-H);
13C NMR(CDCl):δ173.5,140.0,134.8,134.6,133.8,133.7,131.2,130.8,129.1,128.9,128.7,128.64,128.57,127.8,127.2,126.7,126.4,126.3,125.9,125.6,125.2,125.0,123.5,123.3,71.1,45.6,18.2;
HR MS:calcd for C3627FNa(M+Na) 533.1887,found 533.1865.
【0118】
[試験例10:フェノプロフェンを用いた光学活性エステル及び光学活性カルボン酸の製造(フェノプロフェンの光学分割)]
【化24】
JP0005435656B2_000034t.gif

【0119】
上記反応式に示すように、1,1-ジ(1-ナフチル)メタノール又は1,1-ジ(9-フェナントリル)メタノールとラセミのフェノプロフェンとを反応させ、光学活性エステル及び光学活性カルボン酸を得た。結果を表10に示す。
【0120】
【表10】
JP0005435656B2_000035t.gif

【0121】
表10から分かるように、アルコールとして1,1-ジ(1-ナフチル)メタノールを用いた場合と1,1-ジ(9-フェナントリル)メタノールを用いた場合とのいずれも、高いエナンチオ選択率でフェノプロフェンを光学分割し、光学活性エステル及び光学活性カルボン酸を得ることができた。
【0122】
以下、表10における光学活性エステル及び光学活性カルボン酸の製造方法及び同定結果を示す。
【0123】
≪実験例60≫
p-メトキシ安息香酸無水物(68.7mg,0.240mmol)、ラセミのフェノプロフェン(48.2mg,0.199mmol)、及び1,1-ジ(ナフチル)メタノール(28.2mg,0.099mmol)を含むジクロロメタン溶液(1.0mL)に対し、ジイソプロプロピルエチルアミン(62.7μL,0.360mmol)及びベンゾテトラミソール(2.5mg,0.010mmol)を室温で順番に加えた。反応混合液を室温で12時間撹拌した後、飽和塩化アンモニア水で反応を停止した。有機層を分取した後、水層をジエチルエーテルで4回抽出した。有機層を混合した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶液を濾過した後に減圧濃縮し、得られた混合物をシリカゲル薄層クロマトグラフィーで分取することにより、対応する光学活性フェノプロフェンエステル(46.8mg,46%,82%ee)及び未反応の光学活性フェノプロフェン(20.2mg,42%,53%ee)を得た。
【0124】
<(R)-フェノプロフェン ジ(1-ナフチル)メチルエステル>
HPLC(CHIRALPAK AD-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=1.0mL/min):t=20.4min(8.9%),t=23.9min(91.1%);
IR(neat):3036,1735,1585,1484,781,679cm-1
H NMR(CDCl):δ8.28(s,1H,1’-H),7.92(d,J=8.0Hz,1H,Ph),7.82-7.62(m,5H,Ph),7.43-7.30(m,3H,Ph),7.27-7.09(m,7H,Ph),6.98-6.91(m,3H,Ph),6.86-6.83(m,1H,Ph),6.82-6.73(m,3H,Ph),3.72(q,J=7.0Hz,1H,2-H),1.42(d,J=7.0Hz,3H,3-H);
13C NMR(CDCl):δ173.1,157.3,157.0,141.9,134.7,134.6,133.8,133.7,131.2,130.9,129.8,129.7,129.1,128.9,128.8,128.7,128.3,126.7,126.4,126.1,125.9,125.7,125.3,125.2,125.1,123.4,123.3,123.1,122.6,118.7,118.4,117.6,71.2,45.5,17.9;
HR MS:calcd for C3628Na(M+Na) 531.1931,found 531.1948.
【0125】
<(S)-フェノプロフェン>
HPLC(CHIRALPAK AD-H,i-PrOH/hexane/TFA=1/50/0.05,flow rate=1.0mL/min):t=26.0min(23.4%),t=30.9min(76.6%);
H NMR(CDCl):δ11.8(br s,1H,COOH),7.24-7.10(m,3H,Ph),7.00-6.85(m,5H,Ph),6.76(ddd,J=8.2,2.5,0.9Hz,1H,Ph),3.58(q,J=7.2Hz,1H,2-H),1.37(d,J=7.2Hz,3H,3-H).
【0126】
≪実験例62≫
<(R)-フェノプロフェン ジ(1-フェナントリル)メチルエステル>
HPLC(CHIRALPAK AD-H,i-PrOH/hexane=1/9,flow rate=0.5mL/min):t=17.9min(88.9%),t=20.8min(11.1%);
Mp:189-190℃(CHCl/hexane);
IR(KBr):3070,1736,1584,1486,1232,751,726cm-1
H NMR(CDCl):δ8.85-8.60(m,4H,Ph),8.40(s,1H,1’-H),8.20-8.05(m,1H,Ph),7.82-6.72(m,22H,Ph),7.20-7.11(m,2H,Ph),3.88(q,J=7.2Hz,1H,2-H),1.55(d,J=7.2Hz,3H,3-H);
13C NMR(CDCl):δ173.1,157.6,156.8,142.0,132.8,132.7,131.1,131.1,130.9,130.7,130.7,130.5,130.2,130.0,129.8,129.6,129.1,129.1,127.8,127.3,127.1,127.0,126.7,126.7,126.7,126.6,126.5,126.5,124.2,124.0,123.4,123.3,123.2,122.6,122.5,122.4,118.9,118.3,117.5,71.2,45.6,17.9;
HR MS:calcd for C4432Na(M+Na) 631.2244,found 631.2254.