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明細書 :可溶化剤、分散剤、およびリン酸化アルキレングリコールポリマー誘導体の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5692839号 (P5692839)
公開番号 特開2011-127078 (P2011-127078A)
登録日 平成27年2月13日(2015.2.13)
発行日 平成27年4月1日(2015.4.1)
公開日 平成23年6月30日(2011.6.30)
発明の名称または考案の名称 可溶化剤、分散剤、およびリン酸化アルキレングリコールポリマー誘導体の製造方法
国際特許分類 B01F   1/00        (2006.01)
B01F  17/52        (2006.01)
C08G  79/04        (2006.01)
C08G  65/48        (2006.01)
FI B01F 1/00 G
B01F 17/52
C08G 79/04 ZBP
C08G 65/48
請求項の数または発明の数 10
全頁数 18
出願番号 特願2009-289803 (P2009-289803)
出願日 平成21年12月21日(2009.12.21)
審査請求日 平成24年12月21日(2012.12.21)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】803000115
【氏名又は名称】学校法人東京理科大学
発明者または考案者 【氏名】牧野 公子
【氏名】寺田 弘
【氏名】菊池 明彦
【氏名】トロエフ コリオ
個別代理人の代理人 【識別番号】100079049、【弁理士】、【氏名又は名称】中島 淳
【識別番号】100084995、【弁理士】、【氏名又は名称】加藤 和詳
【識別番号】100099025、【弁理士】、【氏名又は名称】福田 浩志
審査官 【審査官】中村 英司
参考文献・文献 特開2002-161140(JP,A)
特表2010-526184(JP,A)
特開2003-342374(JP,A)
調査した分野 C08G 79/00- 79/14
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00- 13/08
特許請求の範囲 【請求項1】
下記一般式(I)で表される構造単位を含むリン酸化アルキレングリコールポリマー誘導体を含む可溶化剤
【化1】
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(一般式(I)中、Rは炭素数8~18のアルキル基を表し、Rは炭素数2~4のアルキレン基を表し、Lは単結合またはポリアルキレンオキシ基を含む2価の連結基を表し、nは2~100の整数を表わす)
【請求項2】
前記一般式(I)におけるLが単結合である請求項1に記載の可溶化剤
【請求項3】
前記一般式(I)におけるnが4~10である請求項1または請求項2に記載の可溶化剤
【請求項4】
下記一般式(I)で表される構造単位を含むリン酸化アルキレングリコールポリマー誘導体を含む分散剤。
【化2】
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(一般式(I)中、Rは炭素数8~18のアルキル基を表し、Rは炭素数2~4のアルキレン基を表し、Lは単結合またはポリアルキレンオキシ基を含む2価の連結基を表し、nは2~100の整数を表わす)
【請求項5】
前記一般式(I)におけるLが単結合である請求項4に記載の分散剤。
【請求項6】
前記一般式(I)におけるnが4~10である請求項4または請求項5に記載の分散剤。
【請求項7】
亜リン酸ジエステル、および、下記一般式(III)で表されるポリアルキレングリコール誘導体を縮合して亜リン酸ポリアルキレングリコールエステルポリマーを得る工程と、
前記亜リン酸ポリアルキレングリコールエステルポリマーをハロゲン化剤でハロゲン化して亜リン酸ポリアルキレングリコールエステルポリマーのハロゲン化物を得る工程と、
前記亜リン酸ポリアルキレングリコールエステルポリマーのハロゲン化物、ならびに、炭素数1~30のアルキルアルコール、炭素数2~30のアルケニルアルコールおよび炭素数2~30のアルキニルアルコールから選ばれる少なくとも1種のアルコールを反応させる工程と、
を有する、下記一般式(II)で表される構造単位を含むリン酸化アルキレングリコールポリマー誘導体の製造方法。
【化3】
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(一般式(II)および一般式(III)中、R11は炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~30のアルケニル基、または炭素数2~30のアルキニル基を表し、R12は炭素数2~4のアルキレン基を表し、L11は単結合またはポリアルキレンオキシ基を含む2価の連結基を表し、nは2~100の整数を表わす)
【請求項8】
前記一般式(II)におけるR11が、炭素数2~30のアルキル基、炭素数2~30のアルケニル基、または炭素数2~30のアルキニル基である請求項7に記載のリン酸化アルキレングリコールポリマー誘導体の製造方法。
【請求項9】
前記一般式(II)および一般式(III)におけるL11が単結合である請求項7または請求項8に記載のリン酸化アルキレングリコールポリマー誘導体の製造方法。
【請求項10】
前記ハロゲン化剤が、イソシアヌル酸のハロゲン化物である請求項7~請求項9のいずれか1項に記載のリン酸化アルキレングリコールポリマー誘導体の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、リン酸化アルキレングリコールポリマー誘導体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水に不溶性または難溶性の化合物を、水系媒体に可溶化または分散する手段として種々の可溶化剤または分散剤が提案されている。例えば、疎水性の主鎖とポリエチレングリコール鎖を側鎖に有する可溶化剤が提案され、毒性がなく長期安定性に優れるとされている(例えば、特許文献1参照)。また、生分解性の薬物輸送システム(DDS)としてポリエチレングリコールブロックと生分解性ポリエステルブロックとを含む生分解性重合体(例えば、特許文献2参照)や、ポリエチレングリコールのリン酸ポリエステル誘導体(例えば、非特許文献1参照)が知られている。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開平11-279083号公報
【特許文献2】特表2004-525194号公報
【0004】

【非特許文献1】J.Polymer Science:Part A;Polymer Chemistry,Vol.45,1349-1363(2007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
可溶化剤または分散剤として、一般的に使用されているポリエチレングリコールおよびその誘導体や、特許文献1に記載の可溶化剤では生分解性が充分とは言い難い場合があった。また特許文献2および非特許文献1に記載の化合物では、所望の生分解性を示すように制御することは困難であった。
本発明は、制御可能な生分解性を有するリン酸化アルキレングリコールポリマー誘導体を含む可溶化剤および分散剤、並びに制御可能な生分解性を有するリン酸化アルキレングリコールポリマー誘導体の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
本発明の第1の態様は、下記一般式(I)で表される構造単位を含むリン酸化アルキレングリコールポリマー誘導体を含む可溶化剤である。
【0007】
【化1】
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【0008】
(一般式(I)中、Rは炭素数8~18のアルキル基を表し、Rは炭素数2~4のアルキレン基を表し、Lは単結合またはポリアルキレンオキシ基を含む2価の連結基を表し、nは2~100の整数を表わす)
【0009】
前記リン酸化アルキレングリコールポリマー誘導体は、一般式(I)におけ単結合であることが好ましく、n4~10であることがより好ましい。
【0010】
本発明の第2の態様は、上記一般式(I)で表される構造単位を含むリン酸化アルキレングリコールポリマー誘導体を含む分散剤である。
前記リン酸化アルキレングリコールポリマー誘導体は、一般式(I)におけるLが単結合であることが好ましく、nが4~10であることがより好ましい。
【0011】
また本発明の第の態様は、亜リン酸ジエステル、および、下記一般式(III)で表されるポリアルキレングリコール誘導体を縮合して亜リン酸ポリアルキレングリコールエステルポリマーを得る工程と、前記亜リン酸ポリアルキレングリコールエステルポリマーをハロゲン化剤でハロゲン化して亜リン酸ポリアルキレングリコールエステルポリマーのハロゲン化物を得る工程と、前記亜リン酸ポリアルキレングリコールエステルポリマーのハロゲン化物、ならびに、炭素数1~30のアルキルアルコール、炭素数2~30のアルケニルアルコールおよび炭素数2~30のアルキニルアルコールから選ばれる少なくとも1種のアルコールを反応させる工程と、を有する、下記一般式(II)で表される構造単位を含むリン酸化アルキレングリコールポリマー誘導体の製造方法である。
【0012】
【化2】
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【0013】
(一般式(II)および一般式(III)中、R11は炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~30のアルケニル基、または炭素数2~30のアルキニル基を表し、R12は炭素数2~4のアルキレン基を表し、L11は単結合またはポリアルキレンオキシ基を含む2価の連結基を表し、nは2~100の整数を表わす)
【0014】
本発明の製造方法において、Rは、炭素数2~30のアルキル基、炭素数2~30のアルケニル基、または炭素数2~30のアルキニル基であることが好ましく、L11は単結合であることが好ましく、前記ハロゲン化剤が、イソシアヌル酸のハロゲン化物であることがより好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、制御可能な生分解性を有するリン酸化アルキレングリコールポリマー誘導体を含む可溶化剤および分散剤、並びに制御可能な生分解性を有するリン酸化アルキレングリコールポリマー誘導体の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<リン酸化アルキレングリコールポリマー誘導体>
本発明のリン酸化アルキレングリコールポリマー誘導体は、下記一般式(I)で表される構造単位の少なくとも1種を含み、必要に応じてその他の構造単位を含んで構成される。
下記一般式(I)で表される構造単位を含むことにより、生分解性に優れ、かつ生分解性を容易に制御することができる。さらに、水不溶性または水難溶性の化合物の可溶化性および分散性(以下、「可溶化性等」ということがある)に優れる。

【0017】
【化3】
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【0018】
一般式(I)中、Rは炭素数2~30のアルキル基、炭素数2~30のアルケニル基、炭素数2~30のアルキニル基を表す。

【0019】
前記炭素数2~30のアルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよく、また環状構造を含むものであってもよい。さらに置換基を有していてもよい。具体的にはエチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、エチルヘキシル基、ドデカニル基、オクタデシル基、ベヘニル基等を挙げることができる。
前記炭素数2~30のアルキル基は、置換基としてフェニル基、ナフチル基、アントラニル基、ピリジル基等の芳香族基を有していてもよい。具体的には、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ピリジルメチル基等を挙げることができる。

【0020】
前記炭素数2~30のアルケニル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよく、また環状構造を含むものであってもよい。さらに置換基を有していてもよい。具体的には、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、オクテニル基、コレステロール残基等を挙げることができる。

【0021】
前記炭素数2~30のアルキニル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよく、また環状構造を含むものであってもよい。さらに置換基を有していてもよい。具体的には、エチニル基、プロパルギル基、1-ブチン-3-イル基、1-ブチン-3-メチル-3-イル基等を挙げることができる。

【0022】
本発明におけるRは、可溶化性等の観点から、炭素数2~30のアルキル基または炭素数2~30アルケニル基であることが好ましく、炭素数2~24のアルキル基またはコレステロール残基であることがより好ましく、炭素数8~18のアルキル基またはコレステロール残基であることがより好ましく、炭素数8~18のアルキル基であることが更に好ましい。

【0023】
前記一般式(I)におけるRが水素原子の場合、前記一般式(I)で表される構造単位は速やかに加水分解されるため、可溶化剤または分散剤として充分な機能を維持することができない場合があった。またRがメチル基の場合、水素原子の場合に比べて加水分解に対する安定性が向上するが、可溶化剤または分散剤として充分な機能を長期間にわたって維持することができない場合がある。Rの炭素数を2以上とすることで、充分な安定性が得られ、生分解性と安定性のバランスにより優れるリン酸化アルキレングリコールポリマー誘導体を構成することができる。
また炭素数が30を超えると、疎水性が大きくなり所望の可溶化性、分散性が得られ難くなる。
このように本発明においては、Rの炭素数を適宜選択することで、リン酸化アルキレングリコールポリマー誘導体の可溶化性、生分解性等を所望の態様に制御することができる。

【0024】
また本発明においては、Rの炭素数を8以上とすることで、リン酸化アルキレングリコールポリマー誘導体の臨界ミセル濃度が低下し、より安定なミセルが形成され、水不溶性または水難溶性の化合物に対する可溶化性および分散性がより向上する。

【0025】
さらに本発明においては、リン酸化アルキレングリコールポリマー誘導体によって形成されるミセルの大きさを、Rで表される置換基を適宜選択することによって制御することができる。具体的には例えば、Rとして炭素数12の直鎖アルキル基を選択した場合、体積平均粒径が200~400nmのミセルが形成される。
また炭素数が12より多いアルキル基を選択することで、体積平均粒子径がより大きいミセルを形成することができ、炭素数が12より少ないアルキル基を選択することで、体積平均粒子径がより小さいミセルを形成することができる。これは例えば、リン酸化アルキレングリコールポリマー誘導体が形成するミセルは、疎水性のRで表されるアルキル基等が内側に、親水性のポリマー主鎖が外側に配置されるため、Rの大きさに応じて形成されるミセル径が変化するためと考えることができる。

【0026】
は、炭素数2~4のアルキレン基を表すが、可溶化性等の観点から、炭素数2~3のアルキレン基であることが好ましい。
また一般式(I)におけるRは1種のみからなっていても、2種以上の組み合わせであってもよい。Rが2種以上の組み合わせからなる場合、少なくとも1種は炭素数が2のアルキレン基であることが好ましく、炭素数が2のアルキレン基の含有率がRで表されるアルキレン基全体に対して50質量%以上であることがより好ましい。かかる態様であることにより、一般式(I)で表される化合物の疎水性が高くなりすぎることを抑制し、可溶化性等がより向上する。

【0027】
nは、2~100の整数を表わすが、可溶化性等と生分解性の観点から、4~20であることが好ましく、4~10であることがより好ましい。

【0028】
は、単結合またはポリアルキレンオキシ基を含む2価の連結基を表す。前記ポリアルキレンオキシ基を含む2価の連結基は、アルキレンオキシ基からなる繰り返し構造の少なくとも1種を含むポリアルコール化合物に由来する2価の連結基であることが好ましい。中でも可溶化性等の観点から、炭素数2~4のアルキレンオキシ基からなる繰り返し構造を含み、3価以上のポリアルコールに由来する基を含む化合物に由来する2価の連結基であることが好ましい。
前記アルキレンオキシ基からなる繰り返し構造の少なくとも1種を含むポリオール化合物に由来する2価の連結基は、ポリアルキレングリコールとポリアルコール化合物とがエーテル縮合して形成される化合物から、アルコール性水酸基の水素原子の1つと、アルコール性水酸基の1つを取り除いて構成される連結基であることが好ましい。

【0029】
に含まれる炭素数2~4のアルキレンオキシ基におけるアルキル部分の好ましい態様は、前記Rで表されるアルキレン基と同様である。またアルキレンオキシ基の繰り返し数としては、2~100であることが好ましく、4~20であることがより好ましく、4~10であることがさらに好ましい。

【0030】
前記3価以上のポリアルコールは、3価~8価のポリアルコールであることが好ましく、3価~4価のポリアルコールであることがより好ましい。
また前記3価以上のポリアルコールは、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ジペンタエリスリトールから選ばれる少なくとも1種であることもまた好ましく、グリセリン、ペンタエリスリトールから選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
本発明においてLで表される2価の連結基の具体例として、下記一般式(IIIa)~(IIIh)で表される2価の連結基を示すが、本発明はこれらに限定されない。

【0031】
【化4】
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【0032】
上記一般式(IIIa)~(IIIh)中、Rは炭素数2~4のアルキレン基を表す。前記Rの好ましい態様は前記Rと同様である。また、それぞれの連結基に含まれる複数のRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
は、水素原子またはリン酸エステル残基を表し、前記リン酸エステル残基は上記一般式(I)で表される構造単位をさらに含んでいてもよい。また、それぞれの連結基に含まれる複数のRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
mは2~100の整数を表わすが、可溶化性等と生分解性の観点から、4~20であることがより好ましく、4~10であることがさらに好ましい。また、それぞれの連結基に含まれる複数のmはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。

【0033】
本発明における一般式(I)で表される構造単位は、可溶化性等と生分解性の観点から、Rが炭素数2~24のアルキル基またはコレステロール残基であって、Rが炭素数2~3のアルキレン基であって、Lが単結合であって、nが4~20であることが好ましく、Rが炭素数8~18のアルキル基であって、Rが炭素数2~3のアルキレン基であって、Lが単結合であって、nが4~10であることがより好ましい。

【0034】
本発明のリン酸化アルキレングリコールポリマー誘導体は、前記一般式(I)で表される構造単位を2種以上含んでいてもよい。すなわち前記一般式(I)で表される構造単位であって、R、R、Lおよびnのうち少なくとも1つが異なる2種以上の一般式(I)で表される構造単位を含んでいてもよい。

【0035】
具体的には例えば、2種以上のRがともにアルキル基であって炭素数が互いに異なる場合、2種以上のRのアルキレン基の炭素数が互いに異なる場合(例えば、炭素数が2のエチレン基と炭素数が3のプロピレン基の組み合わせ)、2以上のLが互いに異なる場合、2以上のnが互いに異なる場合等を挙げることができる。
またR、R、Lおよびnのうち少なくとも1つが異なる2種以上の一般式(I)で表される構造単位の混合比には特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。

【0036】
前記リン酸化アルキレングリコールポリマー誘導体における前記一般式(I)で表される構造単位の含有率には特に制限はないが、生分解性と可溶化性等の観点から、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることがさらに好ましい。

【0037】
また前記リン酸化アルキレングリコールポリマー誘導体は、前記一般式(I)で表される構造単位以外の構造単位(以下、「その他の構造単位」ということがある)を更に含むことができる。その他の構造単位としては、一般式(I)で表される構造単位とともにエステル系ポリマーを構成可能な構造単位であれば特に制限はない。具体的には例えば、一般式(I)におけるRが水素原子またはメチル基である構造単位、一般式(I)におけるORがハロゲン原子または水素原子である構造単位、ポリアルキレンオキシ基、ヒドロキシカルボン酸残基、およびアミノ酸残基等を挙げることができる。
中でも、生分解性と可溶化性等の観点から、一般式(I)におけるRが水素原子またはメチル基である構造単位、および一般式(I)におけるORがハロゲン原子または水素原子である構造単位の少なくとも1種であることが好ましい。

【0038】
本発明のリン酸化アルキレングリコールポリマー誘導体の分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、数平均分子量として3000~50000とすることができ、5000~20000であることが好ましく、5000~12000であることがより好ましい。

【0039】
本発明のリン酸化アルキレングリコールポリマー誘導体は、例えば、後述するリン酸化アルキレングリコールポリマー誘導体の製造方法によって製造することができる。

【0040】
本発明の前記一般式(I)で表される構造単位を含むリン酸化アルキレングリコールポリマー誘導体は、例えば、水不溶性または水難溶性の化合物の可溶化剤および分散剤として好適に用いることができる。また生分解性を有し、その分解生成物も安全性が高いことから、工業用途の可溶化剤および分散剤のみならず、医薬品、化粧品、食品等に用いられる可溶化剤および分散剤として好適に用いることができる。

【0041】
<リン酸化アルキレングリコールポリマー誘導体の製造方法>
本発明の下記一般式(II)で表される構造単位を含むリン酸化アルキレングリコールポリマー誘導体の製造方法は以下のような工程を有する。
すなわち、(1)亜リン酸ジエステル、および、下記一般式(III)で表されるポリアルキレングリコール誘導体を縮合して亜リン酸ポリアルキレングリコールエステルポリマーを得る第1の工程と、(2)前記亜リン酸ポリアルキレングリコールエステルポリマーをハロゲン化剤でハロゲン化して亜リン酸ポリアルキレングリコールエステルポリマーのハロゲン化物を得る第2の工程と、(3)前記亜リン酸ポリアルキレングリコールエステルポリマーのハロゲン化物および下記一般式(II)におけるR11に対応するアルコールを反応させる第3の工程と、を有する製造方法である。

【0042】
【化5】
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【0043】
一般式(II)および一般式(III)中、R11は炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~30のアルケニル基、または炭素数2~30のアルキニル基を表すが、可溶化性等と生分解性の観点から、炭素数2~30のアルキル基、炭素数2~30のアルケニル基、または炭素数2~30のアルキニル基であることが好ましく、炭素数2~24のアルキル基、またはコレステロール残基であることがより好ましく、炭素数8~18のアルキル基、またはコレステロール残基であることがより好ましく、炭素数8~18のアルキル基であることが更に好ましい。

【0044】
またR12は炭素数2~4のアルキレン基を表すが、可溶化性等と生分解性の観点から、炭素数2~3のアルキレン基であることがより好ましい。さらにR12は1種のみからなっていても、2種以上の組み合わせであってもよい。R12が2種以上の組み合わせからなる場合、少なくとも1種は炭素数が2のアルキレン基であることが好ましく、炭素数が2のアルキレン基の含有率がRで表されるアルキレン基全体に対して50質量%以上であることがより好ましい。かかる態様であることにより、一般式(II)で表される化合物の疎水性が高くなりすぎることを抑制し、可溶化性等がより向上する。
またnは2~100の整数を表わすが、可溶化性等と生分解性の観点から、4~20であることがより好ましく、4~10であることがさらに好ましい。

【0045】
(1)第1の工程
本発明の製造方法は、亜リン酸ジエステル、および、上記一般式(III)で表されるポリアルキレングリコール誘導体を縮合して亜リン酸ポリアルキレングリコールエステルポリマーを得る第1の工程を有する。第1の工程は、例えば下記反応式(A)によって表される。

【0046】
【化6】
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【0047】
反応式(A)中、R21およびR22はそれぞれ独立に脂肪族基または芳香族基を表す。R23は一般式(II)におけるR12と同義であり、L21は一般式(II)におけるL11と同義であり、iは一般式(II)におけるnと同義である。また、jは2~30の整数を表わす。

【0048】
前記亜リン酸ジエステルは、亜リン酸の脂肪族エステルであっても、芳香族エステルであっても、これらの混合エステルであってもよい。
前記亜リン酸の脂肪族エステルを構成する脂肪族基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリールアルキル基等を挙げることができる。中でも、製造効率の観点から、アルキル基であることが好ましく、炭素数1~6のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1~4のアルキル基であることがさらに好ましい。
また前記亜リン酸の芳香族エステルを構成する芳香族基としては、芳香族炭化水素に由来する芳香族基であっても、芳香族複素環に由来する芳香族基であってもよい。中でも、製造効率の観点から、芳香族炭化水素に由来する芳香族基であることが好ましく、フェニル基、またはナフチル基であることが好ましく、フェニル基であることがより好ましい。

【0049】
また第1の工程における前記亜リン酸ジエステルに対するポリアルキレングリコールの比率(ポリアルキレングリコール:亜リン酸ジエステル)としては、1:3~3:1であることが好ましく、1:2~1:1であることがより好ましい。

【0050】
前記第1の工程において、亜リン酸ジエステルおよびポリアルキレングリコールを縮合する方法としては、通常用いられる縮合方法を特に制限なく用いることができる。具体的には例えば、亜リン酸ジエステルおよびポリアルキレングリコールを無溶媒あるいは適当な溶媒中で、加熱する方法を挙げることができる。
加熱温度および加熱時間は反応に用いる原料に応じて適宜選択することができる。例えば80℃以上で数時間とすることができ、100℃以上で数時間であることが好ましく、120℃以上で3時間以上であることがより好ましい。

【0051】
前記第1の工程は、常圧下で行っても、減圧下で行なってもよい。本発明においては、製造効率の観点から、常圧下で亜リン酸ジエステルおよびポリアルキレングリコールを加熱して縮合した後、さらに減圧下(好ましくは、10mmHg以下)で加熱して縮合反応を行なうことが好ましい。

【0052】
前記第1の工程は無溶媒で行うことができるが、必要に応じて溶媒を用いてもよい。前記第1の工程に用いることができる溶媒としては特に制限はない。例えば、ヘキサン、オクタン、デカン等の炭化水素類、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類等を挙げることができる。
また前記第1の工程においては、必要に応じて触媒を用いてもよい。前記触媒としては、エステル交換反応に通常用いられる触媒を適宜選択して用いることができる。

【0053】
本発明においては、第1の工程の反応条件を制御することで、亜リン酸ジエステルと上記一般式(III)で表されるポリアルキレングリコール誘導体の縮合度を制御することができる。すなわち、第1の工程の反応条件によって一般式(II)で表される構造単位を含むリン酸化アルキレングリコールポリマー誘導体の分子量を制御することができる。

【0054】
(2)第2の工程
本発明の製造方法は、前記第1の工程で得られる亜リン酸ポリアルキレングリコールエステルポリマーをハロゲン化剤でハロゲン化して亜リン酸ポリアルキレングリコールエステルポリマーのハロゲン化物を得る第2の工程を含む。第2の工程は、例えば下記反応式(B)によって表される。

【0055】
【化7】
JP0005692839B2_000008t.gif

【0056】
反応式(B)中、Xはハロゲン原子を表し、シュウ素原子または塩素原子であることが好ましい。またR23、L21、i、およびjは上記反応式(A)におけるR23、L21、i、およびjと同義である。

【0057】
本発明におけるハロゲン化剤としては、亜リン酸エステルを酸化的にハロゲン化できるハロゲン化剤であれば、通常用いられるハロゲン化剤を特に制限なく用いることができる。具体的には、塩化チオニル、臭化チオニル、オキシ塩化リン、オキサリルクロリド、三塩化リン、五塩化リン、イソシアヌル酸のハロゲン化物等を挙げることができる。またブロモトリクロロメタン等を塩基と組み合わせて用いることもできる。

【0058】
中でも、反応特異性と反応速度の観点から、イソシアヌル酸のハロゲン化物をハロゲン化剤として用いることが好ましい。イソシアヌル酸のハロゲン化物としては、ジクロロイソシアヌル酸およびその塩、トリクロロイソシアヌル酸、ジブロモイソシアヌル酸およびその塩、ならびにトリブロモイソシアヌル酸等を挙げることができ、ジクロロイソシアヌル酸およびその塩、ならびにトリクロロイソシアヌル酸から選ばれる少なくとも1種を用いることがより好ましい。

【0059】
第2の工程におけるハロゲン化剤の添加量は特に制限はなく、必要に応じて適宜選択することができる。例えば、亜リン酸ポリアルキレングリコールエステルポリマーに含まれる亜リン酸残基1モルに対して、ハロゲン化剤を1/30~3当量用いることができ、1/18~2モル当量であることが好ましい。
具体的には例えば、ハロゲン化剤としてトリクロロイソシアヌル酸(3価のハロゲン化剤)を用いる場合、亜リン酸ポリアルキレングリコールエステルポリマーに含まれる亜リン酸残基1モルに対して、トリクロロイソシアヌル酸を1/10~1モル用いることができ、1/6~2/3モル用いることが好ましい。
また本発明においては、ハロゲン化剤の添加量を制御することで、一般式(II)で表される構造単位のポリマー全体に対する含有率を制御することもできる。

【0060】
前記第2の工程は溶媒中で行うことができる。第2の工程に用いることができる溶媒としては、亜リン酸ポリアルキレングリコールエステルポリマーを溶解可能で、ハロゲン化剤に対して安定な溶媒であれば特に制限はない。具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタンなどの鎖状または環状エーテル類、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンなどのアミド類、アセトニトリルなどのニトリル類などを挙げることができる。

【0061】
前記第2の工程における反応温度および反応時間は、用いるハロゲン化剤に応じて適宜選択することができる。具体的には例えば、0℃~100℃の温度範囲、1~48時間の反応温度とすることができる。
本発明においては、ハロゲン化剤としてイソシアヌル酸のハロゲン化物を用いることで、加熱を要することなく、短時間かつ高収率で、所望の亜リン酸ポリアルキレングリコールエステルポリマーのハロゲン化物を得ることができる。

【0062】
(3)第3の工程
本発明の製造方法は、前記第2の工程で得られる亜リン酸ポリアルキレングリコールエステルポリマーのハロゲン化物、ならびに、炭素数1~30のアルキルアルコール、炭素数2~30のアルケニルアルコールおよび炭素数2~30のアルキニルアルコールから選ばれる少なくとも1種のアルコールを反応させて、上記一般式(II)で表される構造単位を含むリン酸化アルキレングリコールポリマー誘導体を得る第3の工程を有する。第3の工程は、例えば下記反応式(C)で表される。

【0063】
【化8】
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【0064】
反応式(C)中、R24は炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~30のアルケニル基、または炭素数2~30のアルキニル基を表す。またR23、L21、i、およびjは上記反応式(A)におけるR23、L21、i、およびjと同義である。

【0065】
前記アルコール(例えば、反応式(C)におけるR24-OH)は、目的とする前記一般式(II)で表される構造単位を含むリン酸化アルキレングリコールポリマー誘導体に応じて適宜選択することができる。具体的には例えば、前記一般式(II)におけるR11に対応するアルコール化合物を用いることができる。

【0066】
第3の工程における前記アルコールの添加量としては特に制限はなく、必要に応じて適宜選択することができる。例えば、亜リン酸ポリアルキレングリコールエステルポリマーのハロゲン化物に含まれるハロゲン化リン酸残基1モルに対して、アルコールを1モル以上用いることができ、3モル以上であることが好ましい。

【0067】
また前記アルコールは、1種単独でも2種以上を組み合わせて用いることができる。2種以上のアルコールを用いることで、前記一般式(II)で表される構造単位を2種以上含むリン酸化アルキレングリコールポリマー誘導体を製造することができる。尚、第3の工程で2種以上のアルコールを用いる場合、2種以上のアルコールは同時に用いても、順次用いてもよい。

【0068】
本発明において前記第2の工程と第3の工程は、それぞれ独立して順次行なってもよく、また第2の工程と第3の工程を同時に行なってもよい。本発明においては、製造効率の観点から、第2の工程と第3の工程をそれぞれ独立して順次行なうことが好ましい。

【0069】
本発明のリン酸化アルキレングリコールポリマー誘導体の製造方法は、上記第1から第3の工程に加えて、必要に応じてその他の工程をさらに含むことができる。具体的には、リン酸化アルキレングリコールポリマー誘導体の精製工程等を挙げることができる。
前記精製工程としては、ポリマーの精製方法として通常用いられる精製方法を特に制限なく用いることができる。具体的には例えば、有機溶剤等を用いる再沈殿法、ゲルろ過法、透析法等を挙げることができる。
【実施例】
【0070】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「%」は質量基準である。
【実施例】
【0071】
<実施例1>
-ポリ(ブチル-ポリオキシエチレン-ホスホネート)の合成-
二口ナスフラスコにポリエチレングリコール400(PEG400、和光純薬(株)製)12.7g(31.7mmmol)をとり、窒素気流下に蒸留装置を組立て、亜リン酸ジメチルエステル(DP、アルドリッチジャパン社製)4.75g(43.2mmol)を加えた。常圧下135℃に加熱して5時間、次いで減圧下(1mmHg)160℃で4時間、さらに減圧下(1mmHg)180℃で15分間反応を行ない、ポリエチレングリコールと亜リン酸からなるエステルポリマー(ポリ(ポリオキシエチレン-H-ホスホネート)、以下「POE400-H-P」と略記することがある)11.38g(収率80.4%)を得た。
窒素雰囲気下に、上記で得られたエステルポリマー2.0gをナスフラスコにとり、アセトニトリル38mlを加えて溶解した。さらにトリクロロイソシアヌル酸(アルドリッチジャパン社製)0.35gを加えて、室温で3.5時間反応を行ない、ポリ(ポリオキシエチレン クロロホスホネート)を含むアセトニトリル溶液を得た。
次いで、1-ブタノール0.5mlを加えて41時間反応させた。ろ過後、得られた溶液にジエチルエーテルを加えて再沈殿を行い、ついで減圧下(1mmHg)で12時間乾燥し、所望のポリ(ブチル-ポリオキシエチレン-ホスホネート)(リン酸化アルキレングリコールポリマー誘導体、以下「POE400P-OC」と略記することがある)を1.04g(収率43.1%)得た。
得られたポリマーの数平均分子量をH-NMRによって測定したところ、8200であった。
得られたポリマーについて、NMRを測定し、構造解析を行なったところ、一般式(I)におけるRがブチル基である構造単位をポリマー全体に対して86%含んでいた。尚、下記NMRデータにおいてカッコ内の数値はピーク面積の相対値(%)を表す。
【実施例】
【0072】
H-NMR(DMSO-d)δ0.89(t)、1.34(sextet)、1.58(quintet)、3.54-3.57(m).
13C-NMR(DMSO-d)δ13.40、18.15、31.66、65.26、66.26、69.48、69.76.
31P-NMR(DMSO-d)δ-11.91(3%)、-0.12(86%)、0.32(10%).
【実施例】
【0073】
<実施例2>
-ポリ(エチル-ポリオキシエチレン-ホスホネート)の合成-
実施例1において、1-ブタノールの代わりにエタノールを用いたこと意外はと実施例1と同様にしてポリ(エチル-ポリオキシエチレン-ホスホネート)(リン酸化アルキレングリコールポリマー誘導体、以下「POE400P-OC」と略記することがある)を得た。
得られたポリマーの数平均分子量は5300であった。
また得られたポリマーについて、NMRを測定し、構造解析を行なったところ、一般式(I)におけるRがエチル基である構造単位をポリマー全体に対して100%含んでいた。
【実施例】
【0074】
H-NMR(CDOD) δ81.17(t)、83.61-3.65(m)
31P-NMR(CDOD) δ80.026(74.6%)、80.59(25.0%)、81.23(1.3%)
【実施例】
【0075】
<実施例3>
-ポリ(メチル-オクチル-ポリオキシエチレン-ホスホネート)の合成-
実施例1と同様にして得られたポリ(ポリオキシエチレン-クロロホスホネート)を含むアセトニトリル溶液をろ過した後、溶媒を留去した。残渣にテトラヒドロフラン(THF)38mlを加えて溶解し、1-オクタノール1mlを加えて室温で96時間反応を行なった。
次いでメタノール2mlを加えて、さらに20時間反応を行なった。溶媒を留去し、ジクロロメタンを加えて、ろ過した後、ジエチルエーテルにて再沈殿を行い、ついで減圧下(1mmHg)で一昼夜乾燥し、所望のポリ(メチル-オクチル-ポリオキシエチレン-ホスホネート)(リン酸化アルキレングリコールポリマー誘導体、以下「POE400P-OC17」と略記することがある)を0.73g(収率58.3%)得た。
得られたポリマーの数平均分子量は5300であった。
また得られたポリマーについて、NMRを測定し、構造解析を行なったところ、一般式(I)におけるRがメチル基である構造単位をポリマー全体に対して61.1%、オクチル基である構造単位を38.9%含んでいた。
【実施例】
【0076】
H-NMR(CDCl)δ0.88(t)、1.24-1.37(m)、1.67(quintet)、3.60-3.71(m)、3.83(d)、4.17-4.21(m).
13C-NMR(CDCl)δ66.30、66.80、70.04、70.56.
31P-NMR(CDCl)δ-12.41、-0.16、0.28、0.85.
【実施例】
【0077】
<実施例4>
-ポリ(メチル-ドデシル-ポリオキシエチレン-ホスホネート)の合成-
実施例1において、ポリエチレングリコール400の代わりにポリエチレングリコール200を用いたこと以外は実施例1と同様にして得られたポリ(ポリオキシエチレン-クロロホスホネート)を含むアセトニトリル溶液をろ過した後、溶媒を留去した。残渣にテトラヒドロフラン(THF)38mlを加えて溶解し、1-ドデカノール2.1mlを加えて室温で48時間反応を行なった。
次いで1-ドデカノール2.1mlを加えて室温で48時間反応を行なった。溶媒を留去し、ジエチルエーテルにて再沈殿を行い、ついで減圧下(1mmHg)で一昼夜乾燥し、所望のポリ(メチル-ドデシル-ポリオキシエチレン-ホスホネート)(リン酸化アルキレングリコールポリマー誘導体、以下「POE200P-OC1225」と略記することがある)を1.07g(収率28.87%)得た。
得られたポリマーの数平均分子量は4800であった。
また得られたポリマーについて、NMRを測定し、構造解析を行なったところ、一般式(I)におけるRがドデシル基である構造単位を100%含んでいた。
【実施例】
【0078】
<実施例5>
-ポリ(メチル-オクタデシル-ポリオキシエチレン-ホスホネート)の合成-
実施例1と同様にして得られたポリ(ポリオキシエチレン-クロロホスホネート)を含むアセトニトリル溶液をろ過した後、溶媒を留去した。残渣にテトラヒドロフラン(THF)10mlを加えて溶解し、1-オクタデカノール3.0gを加えて室温で140時間反応を行なった。
次いでメタノール1mlを加えて、さらに24時間反応を行なった。溶媒を留去し、ジクロロメタンを加えて、ろ過した後、ジエチルエーテルにて再沈殿を行い、ついで減圧下(1mmHg)で一昼夜乾燥し、所望のポリ(メチル-オクタデシル-ポリオキシエチレン-ホスホネート)(リン酸化アルキレングリコールポリマー誘導体、以下「POE400P-OC1837」と略記することがある)を0.57g(収率18.9%)得た。
得られたポリマーの数平均分子量は12700であった。
また得られたポリマーについて、NMRを測定し、構造解析を行なったところ、一般式(I)におけるRがメチル基である構造単位をポリマー全体に対して70.7%、オクタデシル基である構造単位を29.3%含んでいた。
【実施例】
【0079】
H-NMR(CDCl)δ0.88(t)、1.26(s)、1.67(quintet)、3.64(m)、3.78(d)、3.64-3.72(m).
31P-NMR(CDCl)δ-12.1、-0.12、0.13、0.88.
【実施例】
【0080】
<実施例6>
-ポリ(メチル-オクチル-ポリオキシエチレン-ホスホネート)の合成-
実施例1と同様にして得られたポリ(ポリオキシエチレン-クロロホスホネート)を含むアセトニトリル溶液をろ過した後、溶媒を留去した。残渣にテトラヒドロフラン(THF)38mlを加えて溶解し、1-オクタノール7.9mlを加えて室温で30分時間反応を行なった。
次いでメタノール2mlを加えて、さらに20時間反応を行なった。溶媒を留去し、ジクロロメタンを加えて、ろ過した後、ジエチルエーテルにて再沈殿を行い、ついで減圧下(1mmHg)で一昼夜乾燥し、所望のポリ(メチル-オクチル-ポリオキシエチレン-ホスホネート)(リン酸化アルキレングリコールポリマー誘導体)を得た。
得られたポリマーについて、NMRを測定し、構造解析を行なったところ、一般式(I)におけるRがメチル基である構造単位をポリマー全体に対して59.9%、オクチル基である構造単位を40.1%含んでいた。
【実施例】
【0081】
<実施例7>
実施例6において、1-オクタノールを加えてからの反応時間を30分間の代わりに2時間としたこと以外は実施例5と同様にしてリン酸化アルキレングリコールポリマー誘導体)を得た。
得られたポリマーについて、NMRを測定し、構造解析を行なったところ、一般式(I)におけるRがメチル基である構造単位をポリマー全体に対して54.2%、オクチル基である構造単位を45.8%含んでいた。
【実施例】
【0082】
<実施例8>
実施例6において、1-オクタノールを加えてからの反応時間を30分間の代わりに24時間としたこと以外は実施例5と同様にしてリン酸化アルキレングリコールポリマー誘導体)を得た。
得られたポリマーについて、NMRを測定し、構造解析を行なったところ、一般式(I)におけるRがメチル基である構造単位をポリマー全体に対して3.9%、オクチル基である構造単位を96.1%含んでいた。
【実施例】
【0083】
<評価>
[生分解性]
上記で得られたリン酸化アルキレングリコールポリマー誘導体について、以下のようにして生分解性を評価した。
数平均分子量(Mn)5320であるポリ(エチル-ポリオキシエチレン-ホスホネート)(POE400P-OC)の0.30gを、蒸留水300mlに溶解し、室温で3日間放置した。放置後のポリマー溶液の30mlを取り凍結乾燥後、NMRで数平均分子量を測定したところMn=4686であった。
数平均分子量が低下したことから、本発明のリン酸化アルキレングリコールポリマー誘導体は、蒸留水中3日間でその一部が加水分解されたことが分かる。
【実施例】
【0084】
[可溶化性]
親油性色素であるスダンIIIのジクロロメタン飽和溶液を調製した。この飽和溶液0.5mlを、(1)蒸留水5ml、(2)蒸留水5mlに上記POE200-H-Pを100mg溶解した溶液、(3)蒸留水5mlに上記POE200P-OC1225を100mg溶解した溶液に、それぞれ添加して充分に攪拌した。
その結果、(3)蒸留水5mlに上記POE200P-OC1225を100mg溶解した溶液においてのみ、スダンIIIの着色が認められた。すなわち、POE200P-OC1225によって、親油性色素であるスダンIIIが蒸留水中に可溶化された。
また、スダンIIIが可溶化された溶液を、室温で2週間放置したところ、着色量の低下が認められた。
これはPOE200P-OC1225が加水分解され、可溶化能が低下したためと考えることができる。
【実施例】
【0085】
[ミセル形成]
上記で得られたPOE200P-OC1225の3mgを蒸留水10mlに溶解し、Zetasizer3000HS(マルバーン社製)を用いて、25℃における体積平均粒径を測定したところ225nmであった。
すなわち、本発明のリン酸化アルキレングリコールポリマー誘導体は水中で容易にミセルを形成することが分かる。
【実施例】
【0086】
以上の結果から、前記一般式(I)で表される構造単位を含むリン酸化アルキレングリコールポリマー誘導体は、制御可能な生分解性を有していたことが分かる。また、前記リン酸化アルキレングリコールポリマー誘導体は、水不溶性または水難溶性化合物の可溶化剤として有用であることが分かる。
さらに本発明の製造方法により、前記リン酸化アルキレングリコールポリマー誘導体を効率的に製造することができたことが分かる。