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明細書 :アニオン界面活性剤/カチオン界面活性剤混合組成物、及び毛髪用化粧料

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5713482号 (P5713482)
公開番号 特開2011-131137 (P2011-131137A)
登録日 平成27年3月20日(2015.3.20)
発行日 平成27年5月7日(2015.5.7)
公開日 平成23年7月7日(2011.7.7)
発明の名称または考案の名称 アニオン界面活性剤/カチオン界面活性剤混合組成物、及び毛髪用化粧料
国際特許分類 B01J  13/00        (2006.01)
C09K   3/00        (2006.01)
A61K   8/41        (2006.01)
A61K   8/46        (2006.01)
A61Q   5/00        (2006.01)
C11D   1/65        (2006.01)
C11D   1/62        (2006.01)
C11D   1/14        (2006.01)
B01F  17/18        (2006.01)
FI B01J 13/00 Z
C09K 3/00 Z
A61K 8/41
A61K 8/46
A61Q 5/00
C11D 1/65
C11D 1/62
C11D 1/14
B01F 17/18
請求項の数または発明の数 6
全頁数 13
出願番号 特願2009-291237 (P2009-291237)
出願日 平成21年12月22日(2009.12.22)
審査請求日 平成24年12月19日(2012.12.19)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】803000115
【氏名又は名称】学校法人東京理科大学
発明者または考案者 【氏名】阿部 正彦
【氏名】酒井 秀樹
【氏名】酒井 健一
【氏名】土屋 好司
【氏名】石塚 智貴
【氏名】金 泰成
個別代理人の代理人 【識別番号】100115842、【弁理士】、【氏名又は名称】秦 正則
審査官 【審査官】松本 直子
参考文献・文献 特開昭61-098752(JP,A)
特開昭51-132243(JP,A)
特開昭56-020094(JP,A)
特開昭58-040397(JP,A)
特開2002-129189(JP,A)
特表2005-518389(JP,A)
特表平11-508612(JP,A)
特開2009-161752(JP,A)
特表2002-500235(JP,A)
特殊機能界面活性剤,日本,株式会社 シーエムシー,1988年10月31日,IV~VIII、第170頁~第173頁
調査した分野 B01J 13/00
B01F 17/18
C09K 3/00
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00- 90/00
C11D 1/00- 1/94
CAplus/REGISTRY(STN)

特許請求の範囲 【請求項1】
アニオン界面活性剤と、下記式(I)で表されるカチオン界面活性剤と、を含むことを特徴とするアニオン界面活性剤/カチオン界面活性剤混合組成物。
【化1】
JP0005713482B2_000008t.gif
(式(I)中、Rは、炭素数が6~18の直鎖または分岐鎖のアルキル基、Rはメチ
ル基またはエチル基、Xはハロゲン、をそれぞれ示す。)
【請求項2】
前記アニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤とのモル比が、アニオン界面活性剤/カチオン界面活性剤=40/60~60/40であることを特徴とする請求項1に記載のアニオン界面活性剤/カチオン界面活性剤混合組成物。
【請求項3】
前記アニオン界面活性剤がアルキル硫酸塩であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアニオン界面活性剤/カチオン界面活性剤混合組成物。
【請求項4】
前記アルキル硫酸塩がドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、オクチル硫酸ナトリウム(
SOS)及びデシル硫酸ナトリウムよりなる群から選ばれる少なくとも1つからなること
を特徴とする請求項3に記載のアニオン界面活性剤/カチオン界面活性剤混合組成物。
【請求項5】
さらに水を含み、水溶液状にしたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のアニオン界面活性剤/カチオン界面活性剤混合組成物。
【請求項6】
前記請求項ないし請求項5のいずれかに記載のアニオン界面活性剤/カチオン界面活
性剤混合組成物を含むことを特徴とする毛髪用化粧料。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤/カチオン界面活性剤混合組成物、及び毛髪用化粧料に関する。さらに詳しくは、アニオン界面活性剤と混合して水溶液として不溶性の塩の沈殿を形成しにくいカチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤/カチオン界面活性剤混合組成物、及び毛髪用化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
アニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤を混合したアニオン界面活性剤/カチオン界面活性剤混合系は、親水基間の強い静電相互作用により2分子膜形成に適した擬似二鎖型の複合体を形成し、ベシクルの自発形成が起こったり、分子集合体形成濃度が著しく低下する等、それぞれの単独系水溶液の挙動とは全く異なる吸着挙動や溶液物性等を生じ、特異性を示すことが知られている。
【0003】
また、かかる混合系において、アニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤の混合比率を適切に選択することにより、繊維に対する界面活性剤の吸着量を制御することができるため、優れた柔軟性や帯電防止効果を可能とするが、このような効果は、毛髪に対して同様な効果が求められるヘアリンス等の毛髪用化粧料への応用が期待できる。加えて、アニオン界面活性剤/カチオン界面活性剤混合系は、カチオン界面活性剤単独よりも皮膚刺激が少なく、抗菌力にも優れることから殺菌消毒剤や殺菌洗浄剤等の殺菌剤等として使用することもできる。このようなアニオン界面活性剤/カチオン界面活性剤混合系としては、例えば、カチオン界面活性剤と、高度にアルコキシル化されたアニオン界面活性剤を含有する透明なヘアコンディショニング組成物が提供されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0004】
一方、アニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤を併用した場合には、組成物中でコンプレックスを形成して、沈殿物やダマが発生して白濁するといった問題があり、特に、透明化粧料の場合は、透明にならず、製剤化が非常に困難であった。また、仮に透明とすることができたとしても、長期にわたって透明性を持続することが困難な場合があった。そこで、このようなコンプレックスの沈殿物やダマによる白濁を抑制するため、ジアルキルスルホコハク酸塩ないしアルキルエーテル硫酸エステル塩、モノアルキル型第4級アンモニウム塩、ポリグリセリン脂肪酸エステル並びに水を含有してなる毛髪用透明化粧料が提供されている(例えば、特許文献2を参照。)。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開平5-194152号公報
【特許文献2】特開2009-73786号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、アニオン界面活性剤/カチオン界面活性剤混合系について身体を対象とする毛髪用化粧料等の液体化粧料等として使用する場合、これらの界面活性剤のアルキル鎖の長さが短いと身体に対して刺激が強いため、アルキル鎖の長い界面活性剤を用いる必要があった。しかしながら、一般にアニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤は水溶液中では相反する電荷挙動を示すため、アルキル鎖の合計が、例えば26以上になった場合には、両者は結合して不溶性の塩を形成し、沈殿が発生してしまうといった問題があった。特に、使用するアニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤が等モル付近であった場合には沈殿が発生しやすく、また、アニオン界面活性剤と炭素数が等しいカチオン界面活性剤を使用した場合にあっては、両者の対称性がよいためにこれも沈殿が生じやすかった。
【0007】
本発明は、前記の課題に鑑みてなされたものであり、等モル付近あるいは炭素数の等しいアニオン界面活性剤と混合した場合であっても沈殿の形成を長期的に抑制することができ、液体化粧料等の用途に適するカチオン界面活性剤を用いたアニオン界面活性剤/カチオン界面活性剤混合組成物、及び毛髪用化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するために、本発明に係るアニオン界面活性剤/カチオン界面活性剤混合組成物は、アニオン界面活性剤と、下記式(I)で表されるカチオン界面活性剤と、を含むことを特徴とする。
【0009】
【化1】
JP0005713482B2_000002t.gif
(式(I)中、Rは、炭素数が6~18の直鎖または分岐鎖のアルキル基、Rはメチル基またはエチル基、Xはハロゲン、をそれぞれ示す。)
【0010】
本発明に係るアニオン界面活性剤/カチオン界面活性剤混合組成物は、前記アニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤とのモル比が、アニオン界面活性剤/カチオン界面活性剤=40/60~60/40であることを特徴とする。
【0011】
本発明に係るアニオン界面活性剤/カチオン界面活性剤混合組成物は、前記アニオン界面活性剤がアルキル硫酸塩であることを特徴とする。
【0012】
本発明に係るアニオン界面活性剤/カチオン界面活性剤混合組成物は、前記アルキル硫酸塩がドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、オクチル硫酸ナトリウム(SOS)及びデシル硫酸ナトリウムよりなる群から選ばれる少なくとも1つからなることを特徴とする。
【0013】
本発明に係るアニオン界面活性剤/カチオン界面活性剤混合組成物は、さらに水を含み、水溶液状にしたことを特徴とする。
【0014】
本発明に係る毛髪用化粧料は、前記した本発明のアニオン界面活性剤/カチオン界面活性剤混合組成物を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明を構成するカチオン界面活性剤は、式(I)で表される親水性の高いグリセリン基で修飾された四級アンモニウム塩からなるので、アニオン界面活性剤と組み合わせて使用して水溶液状とした場合には、組み合わされるアニオン界面活性剤とベシクルを形成する等により、不溶性の塩による沈殿等が形成されるのを長期的に抑制し、透明性に優れ、潤いと滑らかさ等を与えることができる界面活性剤を提供することができる。
【0016】
本発明に係るアニオン界面活性剤/カチオン界面活性剤混合組成物は、前記したカチオン界面活性剤を使用しているため、水と混合して水溶液状とした場合でも、組み合わされるアニオン界面活性剤とベシクル等を形成する等により、等モル付近あるいは炭素数の等しいアニオン界面活性剤と組み合わせた場合であっても、不溶性の塩による沈殿等が形成されるのを長期的に抑制できるとともに、透明性に優れ、潤いと滑らかさ等を与えることができる界面活性剤を提供することが可能となる。そして、本発明に係る混合組成物は、例えば、ヘアシャンプー、ヘアリンス等の毛髪用化粧料や、殺菌消毒剤や殺菌洗浄剤等の殺菌剤等に適用することができる。
【0017】
本発明に係る毛髪用化粧料は、前記した本発明のアニオン界面活性剤/カチオン界面活性剤混合組成物を含むので、水溶液状とした場合でも不溶性の塩による沈殿等を長期的に抑制し、透明性に優れ、髪に潤いと滑らかさを与えることができる毛髪用化粧料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施例1で得られた本発明に係るカチオン界面活性剤についてFAB-MSスペクトルの測定結果を示した図である。
【図2】実施例1で得られた本発明に係るカチオン界面活性剤についてH-NMRの測定結果を示した図である。
【図3】図2におけるアルファベットに対応する基を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一態様を説明する。本発明に係るカチオン界面活性剤は、下記式(I)で表される。

【0020】
【化2】
JP0005713482B2_000003t.gif

【0021】
式(I)で表される本発明に係るカチオン界面活性剤は、親水性の高いグリセリン基で修飾された四級アンモニウム塩である。式(I)中、Rは炭素数が6~18の直鎖または分岐鎖のアルキル基、Rはメチル基(CH-)またはエチル基(C-)、をそれぞれ示す。また、Xは塩素(Cl)、フッ素(F)、臭素(Br)、ヨウ素(I)等のハロゲンを示す。なお、Rは炭素数が12~16の直鎖または分岐鎖のアルキル基であることが好ましい。

【0022】
式(I)で表されるカチオン界面活性剤は、例えば、スキーム1及びスキーム2にしたがって合成することができる。まず、所望のアルキル基(R)及びメチル基またはエチル基(R)を含むアミン(A)と、所望のハロゲン(X)を含むジオール(B)を、等モルあるいはジオール(B)がやや過剰になるように、エタノール及び炭酸ナトリウム(NaCO)存在下で環流を行い(スキーム1)、減圧蒸留等で溶媒を除去し、中間生成物(C)を得るようにする。

【0023】
(スキーム1)
【化3】
JP0005713482B2_000004t.gif

【0024】
次に、スキーム1で得られた中間生成物(C)と、スキーム1で使用した所望のハロゲンを含むジオール(B)を、ジオール(B)がやや過剰となるように、エタノールの存在下再び環流を行うようにする(スキーム2)。減圧蒸留等で溶媒を除去し、アセトン/エタノール混合溶媒等を用いて再結晶を行い精製し、乾燥を施すことが好ましい。

【0025】
(スキーム2)
【化4】
JP0005713482B2_000005t.gif

【0026】
式(I)で表される本発明に係るカチオン界面活性剤の具体例としては、例えば、Rの炭素数を12として、Rをメチル基、ハロゲンを塩素(Cl)とした、下記式(I-a)で表されるジグリセリルメチルラウリルアンモニウムクロライド等が挙げられる。

【0027】
【化5】
JP0005713482B2_000006t.gif

【0028】
かかる式(I)で表される本発明に係るカチオン界面活性剤と組み合わせて、アニオン界面活性剤/カチオン界面活性剤混合組成物(以下、単に「混合組成物」とする場合もある。)を形成可能なアニオン界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸塩、脂肪酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルファスルホ脂肪酸エステル塩、アルキルポリオキシエチレン硫酸塩、モノアルキルリン酸塩等の従来公知のアニオン界面活性剤が挙げられ、これらのアニオン界面活性剤について、求められる用途に応じて適宜選択するようにすればよい。これらのアニオン界面活性剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用するようにしてもよい。

【0029】
この中でも、臭気が少なく、生分解性が良好で環境に比較的やさしいという点で、アルキル硫酸塩を使用することが好ましい。また、使用される本発明に係るカチオン界面活性剤の炭素数(6~18)を考慮して、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)(炭素数12)、オクチル硫酸ナトリウム(SOS)(炭素数8)、デシル硫酸ナトリウム(炭素数10)等のアルキル硫酸塩等を使用することが好ましい。従来のアニオン界面活性剤/カチオン界面活性剤混合組成物にあっては、アニオン界面活性剤としてこれらのアルキル硫酸塩等を採用した場合には、カチオン界面活性剤とのアルキル基の合計が26以上となることも多く、水溶液とした場合には不溶性の塩を形成し、沈殿が発生してしまうこともあったが、本発明にあっては、前記した式(I)に表されるカチオン界面活性剤と組み合わせて使用することにより、沈殿の形成を長期的に抑制することができる。同様に、アニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤が等モル付近であった場合には沈殿が発生しやすく、また、アニオン界面活性剤と炭素数が等しいカチオン界面活性剤を使用した場合にあっては、両者の対称性がよいためにこれも沈殿が生じやすかったが、本発明にあっては、前記した式(I)に表されるカチオン界面活性剤と組み合わせて使用することにより、沈殿の形成を長期的に抑制することができる。

【0030】
このように、本発明に係る式(I)で表されるカチオン界面活性剤を、アニオン界面活性剤と組み合わせて混合組成物とし、水と混合して水溶液とした場合に不溶性の塩の形成を抑制することができる理由としては、次のように考えられる。通常、沈殿を生じる際、界面活性剤混合組成物は曲率を持たない平板状ラメラとして沈殿を形成するが、本発明にあってはグリセリン基を修飾することにより水溶性と曲率を付与することができ、アニオン界面活性剤/カチオン界面活性剤混合系による水溶性低下の抑制並びに、平板状ラメラは曲率のあるベシクルとして水溶液中に存在できる。また、このベシクルのゼータ電位の絶対値は大きいので、ベシクル同士は静電的に反発し、凝集や沈殿は起こりにくい分散安定性の高いベシクル等が形成するものと考えられる。

【0031】
また、本発明に係る混合組成物は、水溶液とした場合にベシクル(界面活性剤の分子層が2枚重なっている集合体)等を形成して、沈殿の形成を抑制することができるが、かかるベシクルは、親水基で囲まれた内水相には水溶性物質を内包し、疎水基で囲まれた二分子膜内部には油溶性物質を内包するという特徴があり、生体膜類似構造を呈している。よって、形成されるベシクルを利用して薬物送達システム(ドラッグデリバリーシステム)、生体膜モデル、微小反応場等としての用途も期待できる。

【0032】
本発明に係る混合組成物において、前記したアニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤とのモル比は、等モル(50/50)ないし等モル付近(例えば45/55~55/45)を含む範囲で、必要とされる用途や目的に応じて適宜決定することができ、例えば、モル比をアニオン界面活性剤/カチオン界面活性剤=1/99~99/1の範囲とすることができ、モル比をアニオン界面活性剤/カチオン界面活性剤=1/20~20/1の範囲としておくことで液状が好適に維持される等のため好ましく、モル比をアニオン界面活性剤/カチオン界面活性剤=10/90~90/10とすることがより好ましく、30/70~70/30とすることがさらに好ましく、40/60~60/40とすることが特に好ましい。

【0033】
本発明に係る混合組成物は、水溶液状、ゲル状、ペースト状、クリーム状等の種々の剤型に適用することができるが、本発明の効果である水溶液としても不溶性の塩を生じないという効果を最大限に発揮させるべく、剤型を水溶液状とすることが好ましい。

【0034】
本発明に係る混合組成物を水溶液状とするには、前記したアニオン界面活性剤及びカチオン界面活性剤に加えて、水を含むことにより、アニオン界面活性剤/カチオン界面活性剤混合水溶液とすることができ、毛髪用化粧料や殺菌消毒剤、殺菌洗浄剤等の用途に適することになる。かかる水の種類としては特に制限はなく、例えば、水道水、軟水、イオン交換水、純水、精製水等があげられるが、組成物の貯蔵安定性の点から、軟水、イオン交換水、純水、精製水等の使用が好ましい。

【0035】
本発明に係る混合組成物を、さらに水を含むようにして水溶液状とした場合において、前記したアニオン界面活性剤の含有量は、0.01~15.0質量%とすることが好ましい。アニオン界面活性剤の含有量をかかる範囲にすることにより、例えば、本発明に係る混合組成物を毛髪用化粧料等とした場合には、潤いを持続させることができる。アニオン界面活性剤の含有量は、0.1~10.0質量%とすることが特に好ましい。

【0036】
同様に、本発明に係る混合組成物を、さらに水を含むようにして液状とした場合において、前記したカチオン界面活性剤の含有量は、0.01~15.0質量%とすることが好ましい。カチオン界面活性剤の含有量をかかる範囲にすることにより、例えば、本発明に係る混合組成物を毛髪用化粧料等とした場合には、滑らかさや柔らかさ等を持続させることができる。カチオン界面活性剤の含有量は、0.1~10.0質量%とすることが特に好ましい。

【0037】
水の含有量としては、水溶液状を維持した上で、本発明に係る混合組成物の奏する効果を妨げない範囲で適宜決定すればよいが、概ね20.0~95.0質量%とすることが好ましく、40.0~90.0質量%とすることが特に好ましい。また、前記したアニオン界面活性剤及びカチオン界面活性剤、及び下記に示した添加剤を除いた残部とするようにしてもよい。

【0038】
本発明に係る混合組成物には、必要により、本発明の目的及び効果に影響を与えない範囲において、所望の用途等に併せて種々の添加剤を加えることができる。添加剤としては、例えば、通常の身体用液体洗浄剤組成物に用いられる成分、例えばエタノール、イソプロパノール、n-プロパノール等の低級アルコール類、プロピレングリコール、グリセリリン、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール等の多価アルコール類、グアーガム等の植物由来の多糖類、キサンタンガム等の微生物由来の多糖類、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース類、分子内にポリオキシエチレン鎖を有するエステルあるいはエーテル系化合物、アクリル酸重合体あるいはアクリル酸/メタクリル酸エステル共重合体等のカルボキシビニルポリマー類等の増粘剤、カチオン化セルロース等のカチオンポリマー、シリコーン化合物及びその誘導体等のコンディショニング成分、エチレングリコールジステアレート等のパール化剤、前記した特定のカチオン界面活性剤やアニオン界面活性剤以外の界面活性剤(例えば、アルキルポリグリコシド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等の非イオン性界面活性剤、アミドプロピルベタイン、アルキルアミンオキシド、ヒドロキスルホベタイン等の両性界面活性剤等)、染料、顔料等の着色剤、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、有機アミン類等のpH調整剤、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム等の無機塩類、植物エキス類、防腐剤、キレート剤、ビタミン剤、抗炎症剤、抗ふけ剤、香料、紫外線吸収剤、酸化防止剤等が挙げられ、その用途や目的等に応じて適宜添加することができる。

【0039】
また、毛髪用化粧料等に用いる場合は、透明性を持続させるため、ポリグリセリン酸脂肪酸エステルを添加するようにしてもよい。具体的には、例えば、モノカプリル酸ジグリセリル、モノカプリル酸デカグリセリル、モノカプリン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸テトラグリセリル、モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノラウリン酸ポリ(4~10)グリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノステアリン酸ポリ(2~10)グリセリル、ジイソステアリン酸ポリ(2~10)グリセリル、モノオレイン酸ジグリセリル、モノオレイン酸ヘキサグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノオレイン酸ポリ(2~10)グリセリル、デカオレイン酸デカグリセリル、モノベヘン酸デカグリセリル等が挙げられ、求められる用途に応じて適宜選択するようにすればよい。これらのポリグリセリン酸脂肪酸エステルは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用するようにしてもよい。ポリグリセリン酸脂肪酸エステルの含有量は、例えば、0.01~10.0質量%とすることが好ましく、0.1~5.0質量%とすることが特に好ましい。

【0040】
以上説明したように、本発明に係るアニオン界面活性剤/カチオン界面活性剤混合組成物は、カチオン界面活性剤として、式(I)で表される親水性の高いグリセリン基で修飾された四級アンモニウム塩を使用しているため、水と混合して水溶液状とした場合でも、組み合わされるアニオン界面活性剤とベシクルを形成する等により、等モル付近あるいは炭素数の等しいアニオン界面活性剤と組み合わせた場合であっても、不溶性の塩による沈殿等が形成されるのを長期的に抑制でき、透明性に優れ、潤いと滑らかさを与えることができる界面活性剤を提供することができる。

【0041】
そして、かかる本発明に係るアニオン界面活性剤/カチオン界面活性剤混合組成物は、ヘアシャンプー、ヘアリンス等の毛髪用化粧料や、殺菌消毒剤や殺菌洗浄剤等の殺菌剤等に適用することができる。かかる毛髪用化粧料等は、例えば、本発明に係る混合組成物と、水を含むことにより水溶液状の毛髪用化粧料等となり、含有量も前記したものに倣って選定すればよい。また、前記したように、透明性を維持するために、ポリグリセリン酸脂肪酸エステルを添加することが好ましく、本発明の混合組成物、水、及び脂肪酸エステルの残部の主成分を、エタノール等の低級アルコール類としてもよい。

【0042】
なお、以上説明した態様は、本発明の一態様を示したものであって、本発明は、前記し
た実施形態に限定されるものではなく、本発明の構成を備え、目的及び効果を達成できる
範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。ま
た、本発明を実施する際における具体的な構造及び形状等は、本発明の目的及び効果を達
成できる範囲内において、他の構造や形状等としても問題はない。本発明は前記した各実
施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形や改良は、本
発明に含まれるものである。

【0043】
例えば、式(I)で表される本発明に係るカチオン界面活性剤を合成する手段として、スキーム1及びスキーム2で表される合成方法を用いて説明したが、スキーム1及びスキーム2はかかるカチオン界面活性剤を合成する手段の一例であり、これらのスキームに従わない合成方法を用いるようにしてもよい。
その他、本発明の実施の際の具体的な構造及び形状等は、本発明の目的を達成できる範
囲で他の構造等としてもよい。
【実施例】
【0044】
以下、実施例及び比較例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例等に何ら限定されるものではない。なお、下記実施例のうち、実施例1の記載は、参考例1を示す。
【実施例】
【0045】
[実施例1]
カチオン界面活性剤の調製:
N-メチルアルキルアミン(N-methyl alkylamine)と3-クロロ-1,2プロパンジオール(3-chloro-1,2-propanediol)をほぼ等モル量(後者がやや過剰モル量)になるように、反応溶媒としてエタノール50mL、NaCO10.6gを加え、80℃で8時間還流操作を行った。反応後、フィルター操作を行い、減圧蒸留により溶媒を除去して、中間生成物であるモノグリセリルメチルラウリルアミンを得た。
【実施例】
【0046】
得られた中間生成物と、3-クロロ-1,2プロパンジオール(3-chloro-1,2-propanediol)を後者がやや過剰モル量になるよう、反応溶媒エタノールを用いて、90℃で36時間還流操作を行った。反応後、減圧蒸留により溶媒を除去し、アセトン/エタノール混合溶媒により再結晶を行い、精製後は真空雰囲気下で乾燥を行うことにより、式(I-a)で表される本発明のカチオン界面活性剤(ジグリセリルメチルラウリルアンモニウムクロライド)の白色粉末を調製した。
【実施例】
【0047】
実施例1で得られた本発明のカチオン界面活性剤について、FAB-MSスペクトルの測定結果を図1に示す。図1に示すように、FAB-MSスペクトル結果からフラグメントイオン及び中性分子Mから電子(対イオン)が1個失われたMのピークが見られ(M=348)、本発明のカチオン界面活性剤において4NOHが形成されていることが確認できた。
【実施例】
【0048】
また、実施例1で得られた本発明のカチオン界面活性剤について、H-NMRの測定結果を図2に示す(なお、図2におけるアルファベットに対応する基を示した図を図3に示す。)。図2に示すように、ジグリセリルメチルラウリルアンモニウムクロライドを構成する基についてのピークが認められた。この結果より、前記の操作によりジグリセリルメチルラウリルアンモニウムクロライドが合成されたことが確認できた。
【実施例】
【0049】
そして、実施例1で得られた本発明のカチオン界面活性剤について、元素分析の測定結果を表1に示す。表1に示すように、誤差が±0.4%の範囲で理論値と一致していることから、純度の高い生成物が得られたことが確認できた。
【実施例】
【0050】
(元素分析の測定結果)
【表1】
JP0005713482B2_000007t.gif
【実施例】
【0051】
[実施例2]
アニオン界面活性剤/カチオン界面活性剤混合水溶液の調製:
実施例1で得られたカチオン界面活性剤と、アニオン界面活性剤であるドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を等モルで混合して、水溶液状のアニオン界面活性剤/カチオン界面活性剤混合組成物(アニオン界面活性剤/カチオン界面活性剤混合水溶液)を調製し、沈殿形成の有無を確認した。
【実施例】
【0052】
具体的には、アニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤のそれぞれと水を0.01mol/Lで混合し、アニオン界面活性剤水溶液及びカチオン界面活性剤水溶液をそれぞれ調製した後、両者をモル比が等モルとなるようにして混合して、アニオン界面活性剤/カチオン界面活性剤混合水溶液とした。なお、混合水溶液全体が均一にするため、混合後にボルテックスミキサーで約3秒攪拌した。かかるボルテックスミキサーで撹拌したこと以外は、超音波等といったいかなる外力も加えず、25℃とした恒温槽で静置し、混合水溶液の沈殿の形成の有無を目視で観察した。
【実施例】
【0053】
なお、比較例として、カチオン界面活性剤として実施例1のカチオン界面活性剤とアルキルの鎖長が等しい(炭素数が12)塩化ドデシルトリメチルアンモニウム(DTAC)(C1225(CHCl)を用いて、同様にアニオン界面活性剤/カチオン界面活性剤混合水溶液を調製し、比較・評価した。
【実施例】
【0054】
実施例1で得られた本発明のカチオン界面活性剤は、アニオン界面活性剤であるドデシル硫酸ナトリウム(SDS)と混合し、アニオン界面活性剤/カチオン界面活性剤混合水溶液とした場合であっても、約3ヶ月以上にわたって分散安定性の高いベシクルとして存在し、沈殿の形成を抑制することができた。一方、比較例のカチオン界面活性剤(塩化ドデシルトリメチルアンモニウム)は、アニオン界面活性剤であるドデシル硫酸ナトリウムと等モル比で混合した場合、混合した直後に不溶性の塩による沈殿を形成した。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、ヘアケア・ヘアメイク分野、医療分野等においてヘアシャンプー、ヘアリンス等の毛髪用化粧料や、殺菌消毒剤や殺菌洗浄剤等の殺菌剤等を提供する技術として有利に使用することができる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2