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明細書 :太陽電池アレイの診断装置、パワーコンディショナ、太陽電池アレイの診断方法、及びプログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5888724号 (P5888724)
公開番号 特開2013-065797 (P2013-065797A)
登録日 平成28年2月26日(2016.2.26)
発行日 平成28年3月22日(2016.3.22)
公開日 平成25年4月11日(2013.4.11)
発明の名称または考案の名称 太陽電池アレイの診断装置、パワーコンディショナ、太陽電池アレイの診断方法、及びプログラム
国際特許分類 H02S  50/00        (2014.01)
H02S  40/30        (2014.01)
G01R  31/26        (2014.01)
FI H02S 50/00
H02S 40/30
G01R 31/26 F
請求項の数または発明の数 8
全頁数 18
出願番号 特願2011-204872 (P2011-204872)
出願日 平成23年9月20日(2011.9.20)
審査請求日 平成26年9月12日(2014.9.12)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000125370
【氏名又は名称】学校法人東京理科大学
発明者または考案者 【氏名】平田 陽一
個別代理人の代理人 【識別番号】100079049、【弁理士】、【氏名又は名称】中島 淳
【識別番号】100084995、【弁理士】、【氏名又は名称】加藤 和詳
【識別番号】100099025、【弁理士】、【氏名又は名称】福田 浩志
審査官 【審査官】森江 健蔵
参考文献・文献 特開2011-066320(JP,A)
調査した分野 H02S 50/00
H02S 40/30
特許請求の範囲 【請求項1】
太陽電池アレイに並列接続されるコンデンサを、該太陽電池アレイの測定対象部位からの電流で充電するための第1配線と、
付加直流電源を備え、前記コンデンサの放電時の電圧と前記付加直流電源の電圧との合計電圧を、該太陽電池アレイの測定対象部位に印加するための第2配線と、
前記太陽電池アレイの出力が予め定めた閾値以下のときに、前記第1配線を選択して、前記コンデンサの充電時の前記測定対象部位の電圧及び電流を測定すると共に、前記第2配線を選択して、前記合計電圧を印加したときの前記測定対象部位の電圧及び電流を測定する測定手段と、
前記測定手段により前記第1配線選択時に測定した電圧及び電流から得られる電流-電圧特性と、前記第2配線選択時に測定した電圧及び電流から得られる電流-電圧特性とを結合した結合電流-電圧特性の変化に基づいて、前記測定対象部位の電気特性を診断する診断手段と、
を含む太陽電池アレイの診断装置。
【請求項2】
前記測定手段は、前記コンデンサの充電特性または放電特性、及び前記太陽電池アレイの電気特性に応じて、前記第1配線と前記第2配線とを切り替える請求項1記載の太陽電池アレイの診断装置。
【請求項3】
前記診断手段は、前記結合電流-電圧特性の所定の直線領域の傾きの変化、前記結合電流-電圧特性の所定の曲線領域の形状変化、及び前記結合電流-電圧特性の形状変化の少なくとも1つに基づいて、前記測定対象部位の電気特性を診断する請求項1または請求項2記載の太陽電池アレイの診断装置。
【請求項4】
前記太陽電池アレイは、複数のセルを接続した太陽電池モジュールを直列接続した太陽電池モジュールストリングを複数個並列に接続して構成され、
前記測定対象部位を、1つもしくは複数の太陽電池モジュールストリング、または1つもしくは複数の太陽電池モジュールとした
請求項1~請求項3のいずれか1項記載の太陽電池アレイの診断装置。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれか1項記載の太陽電池アレイの診断装置を含むパワーコンディショナ。
【請求項6】
前記コンデンサは、前記太陽電池アレイの発電時に用いられる入力コンデンサであり、前記測定手段は、前記太陽電池アレイの発電時に出力電力を調整する際に用いられる電流センサ及び電圧センサを含む請求項5記載のパワーコンディショナ。
【請求項7】
太陽電池アレイの出力が予め定めた閾値以下のときに、前記太陽電池アレイに並列接続されるコンデンサを、該太陽電池アレイの測定対象部位からの電流で充電する時の前記測定対象部位の電圧及び電流を測定し、
前記コンデンサの放電時の電圧と付加直流電源の電圧との合計電圧を、前記太陽電池アレイの測定対象部位に印加して、前記合計電圧を印加したときの前記測定対象部位の電圧及び電流を測定し、
前記コンデンサの充電時に測定した電圧及び電流から得られる電流-電圧特性と、前記合計電圧印加時に測定した電圧及び電流から得られる電流-電圧特性とを結合した結合電流-電圧特性を作成し、
作成した前記結合電流-電圧特性の変化に基づいて、前記測定対象部位の電気特性を診断する
太陽電池アレイの診断方法。
【請求項8】
コンピュータを、請求項1~請求項4のいずれか1項記載の太陽電池アレイの診断装置を構成する各手段として機能させるための太陽電池アレイの診断プログラム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池アレイの診断装置、パワーコンディショナ、太陽電池アレイの診断方法、及びプログラムに係り、特に、長期実使用状態における太陽電池アレイの電気特性を診断することができる太陽電池アレイの診断装置、パワーコンディショナ、太陽電池アレイの診断方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電システムは、クリーンで安全なエネルギーとして注目を集めつつあるが、他の新エネルギーと同様、その初期投資が高価である点が欠点となっている。一般的に太陽電池の寿命は20年といわれており、その寿命を元に経済価値が見積られている。しかし、使用開始からの早い時期に太陽電池に故障が生じ、かつそのままの状態で放置した場合には、長期にわたって大きな電力損失を招き、初期投資の回収がままならなくなる恐れがある。そのため、迅速なシステムの保守及び点検が重要になる。特に、複数の太陽電池モジュールが直並列に接続された太陽電池アレイにおいて、1つの太陽電池モジュールに故障が生じた場合には、故障した太陽電池モジュールを含む太陽電池アレイの並列方向または直列方向の他の故障していない太陽電池モジュールも発電に寄与できなくなる。現状では、1モジュールの大型化もあり、1モジュールに含まれる複数のセルを2から3クラスタに分けて、各クラスタにバイパスダイオードを並列に接続し、断線箇所などを迂回することで、1セルの故障が1モジュール全体に影響しない構造になっている。すなわち、故障箇所が含まれる1クラスタのみが発電しなくなる構造で、それだけ出力低下が抑えられている。
【0003】
従来からの保守及び点検方法として、測定した太陽電池の電流-電圧特性を定められた基準状態の日射強度、セル温度、及び太陽光スペクトル分布等の環境因子に可能な範囲で換算することで、太陽電池出力の状態を分析することが行われている。この分析は、ある程度、日射条件の良い時に行われることが望ましい。しかし、この方法で既に設置された発電システムの太陽電池アレイを診断する場合、運転を一旦停止して、人により計測器を用いて測定しなければならない欠点があった。また、非常に多くの因子による影響が出力に含まれるため、10%程度以下の低下では因子が特定しにくい。そこで、発電の行われていない時間帯、例えば夜などに、太陽電池モジュールストリング毎に電圧を印加して、電流-電圧特性(I-V特性)を定期的に自動取得することで、初期状態との違いから太陽電池アレイの状態を早期に診断し、故障を発見する装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の技術によれば、システムの運転を停止することなく、また人による労力を要することなく、定期的かつ自動的にI-V特性を取得することができる。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2011-066320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の技術では、太陽電池の発電が行われていない状態でI-V特性を自動的に計測しているため、診断を目的とした計測のために労力を要し、発電を中断する時間が発生する、という問題がない。また、定期的に計測ができるため、早期に太陽電池アレイの電気的状態を診断し、故障を発見することができるという長所もある。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の技術では、I-V特性を計測するために外部電源を用いたり、システム内に大容量の電源を備えたりすることが必要であり、システムや制御が複雑になると共に、コストもかかる、という問題があった。
【0007】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、低コストかつ簡易な構成で、長期の実使用状態においても、太陽光照射時の発電を妨げることなく太陽電池アレイの電気特性を診断して、太陽電池アレイの故障を早期に発見することができる太陽電池アレイの診断装置、パワーコンディショナ、太陽電池アレイの診断方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の太陽電池アレイの診断装置は、太陽電池アレイに並列接続されるコンデンサを、該太陽電池アレイの測定対象部位からの電流で充電するための第1配線と、付加直流電源を備え、前記コンデンサの放電時の電圧と前記付加直流電源の電圧との合計電圧を、該太陽電池アレイの測定対象部位に印加するための第2配線と、前記太陽電池アレイの出力が予め定めた閾値以下のときに、前記第1配線を選択して、前記コンデンサの充電時の前記測定対象部位の電圧及び電流を測定すると共に、前記第2配線を選択して、前記合計電圧を印加したときの前記測定対象部位の電圧及び電流を測定する測定手段と、前記測定手段により前記第1配線選択時に測定した電圧及び電流から得られる電流-電圧特性と、前記第2配線選択時に測定した電圧及び電流から得られる電流-電圧特性とを結合した結合電流-電圧特性の変化に基づいて、前記測定対象部位の電気特性を診断する診断手段と、を含んで構成されている。
【0009】
本発明の太陽電池アレイの診断装置によれば、測定手段が、太陽電池アレイの出力が予め定めた閾値以下のときに、太陽電池アレイの測定対象部位の電圧及び電流を測定する。太陽電池アレイの出力とは、電流、電圧、電力の少なくとも1つである。太陽電池アレイの出力が予め定めた閾値以下のときとは、発電の開始時または終了時のような弱光下の環境であり、例えば、パワーコンディショナでは監視モードとなる時間帯のときである。このような時間帯に診断を行っても、発電の妨げとならない。また、測定手段は、太陽電池アレイに並列接続されるコンデンサ、すなわち発電時に使用されているコンデンサを、太陽電池アレイの測定対象部位からの電流で充電するための第1配線を選択して、コンデンサの充電時の測定対象部位の電圧及び電流を測定する。また、測定手段は、付加直流電源を備え、コンデンサの放電時の電圧と付加直流電源の電圧との合計電圧を、太陽電池アレイの測定対象部位に印加するための第2配線を選択して、合計電圧を印加したときの測定対象部位の電圧及び電流を測定する。そして、診断手段が、測定手段により第1配線選択時に測定した電圧及び電流から得られる電流-電圧特性と、第2配線選択時に測定した電圧及び電流から得られる電流-電圧特性とを結合した結合電流-電圧特性の変化に基づいて、測定対象部位の電気特性を診断する。
【0010】
このように、太陽電池アレイの出力が予め定めた閾値以下のときに、第1配線と第2配線とを各々選択することにより、コンデンサの充電時の電流-電圧特性と、コンデンサの放電時の電圧と付加直流電源の電圧との合計電圧印加時の電流-電圧特性とを取得することができ、これら2つの電流-電圧特性を結合することで結合電流-電圧特性を作成することができる。発電時に利用するコンデンサの弱光下での充放電特性を利用しているため、付加直流電源の容量を小さくすることができ、低コストかつ簡易な構成で、長期の実使用状態においても、太陽光照射時の発電を妨げることなく太陽電池アレイの電気特性を診断して、太陽電池アレイの故障を早期に発見することができる。
【0011】
また、前記測定手段は、前記コンデンサの充電特性または放電特性、及び前記太陽電池アレイの電気特性に応じて、前記第1配線と前記第2配線とを切り替えることができる。これにより、例えば、第1配線を選択してコンデンサの充電特性から電流-電圧特性を測定する際に、コンデンサを開放電圧まで充電してから第2配線に切り替えることにより、すぐに開放電圧からコンデンサの放電ができ電流-電圧特性を測定することができる。
【0012】
また、太陽電池アレイの出力が予め定めた閾値以下のときに、最初に第2配線を選択して、コンデンサを付加直流電圧と共に測定対象部位に印加して、コンデンサから電荷を放電させ、第1配線に切り換え、再度完全に放電した後、充電特性を取得する。また、第1配線に切り替える前に付加直流電源を負極電圧まで減少させ、コンデンサの電荷を0にする方法も可能である。
【0013】
また、本発明の太陽電池アレイの診断装置において、前記診断手段は、前記結合電流-電圧特性の所定の直線領域の傾きの変化、前記結合電流-電圧特性の所定の曲線領域の形状変化、及び前記結合電流-電圧特性の形状変化の少なくとも1つに基づいて、前記測定対象部位の電気特性を診断することができる。また、結合電流-電圧特性の曲線領域の形状や結合電流-電圧特性の初期形状との比較から、太陽電池セルだけでなく太陽電池モジュールストリング、太陽電池アレイの等価回路の変数を推算することでも診断ができる。これにより、容易に太陽電池アレイの状態を診断することができる。
【0014】
また、前記太陽電池アレイは、複数のセルを接続した太陽電池モジュールを直列接続した太陽電池モジュールストリングを複数個並列に接続して構成され、前記測定対象部位を、1つもしくは複数の太陽電池モジュールストリング、または1つもしくは複数の太陽電池モジュールとすることができる。これにより、測定対象部位を小さくすれば、故障や異常の範囲の特定が容易になり、測定対象部位を大きくすれば、回路構成を簡略化することができる。
【0015】
また、本発明のパワーコンディショナは、上記の太陽電池アレイの診断装置を含んで構成されている。
【0016】
また、本発明のパワーコンディショナにおいて、前記コンデンサは、前記太陽電池アレイの発電時に用いられる入力コンデンサであり、前記測定手段は、前記太陽電池アレイの発電時に出力電力を調整する際に用いられる電流センサ及び電圧センサを含むことができる。
【0017】
また、本発明の太陽電池アレイの診断方法は、太陽電池アレイの出力が予め定めた閾値以下のときに、前記太陽電池アレイに並列接続されるコンデンサを、該太陽電池アレイの測定対象部位からの電流で充電する時の前記測定対象部位の電圧及び電流を測定し、前記コンデンサの放電時の電圧と付加直流電源の電圧との合計電圧を、前記太陽電池アレイの測定対象部位に印加して、前記合計電圧を印加したときの前記測定対象部位の電圧及び電流を測定し、前記コンデンサの充電時に測定した電圧及び電流から得られる電流-電圧特性と、前記合計電圧印加時に測定した電圧及び電流から得られる電流-電圧特性とを結合した結合電流-電圧特性を作成し、作成した前記結合電流-電圧特性の変化に基づいて、前記測定対象部位の電気特性を診断する方法である。
【0018】
また、本発明の太陽電池アレイの診断プログラムは、コンピュータを、上記の太陽電池アレイの診断装置を構成する各手段として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明の太陽電池アレイの診断装置、パワーコンディショナ、太陽電池アレイの診断方法、及びプログラムによれば、太陽電池アレイの出力が予め定めた閾値以下のときに、第1配線と第2配線とを各々選択することにより、コンデンサの充電時の電流-電圧特性と、コンデンサの放電時の電圧と付加直流電源の電圧との合計電圧印加時の電流-電圧特性とを取得することができ、これら2つの電流-電圧特性を結合することで結合電流-電圧特性を作成することができる。発電時に利用するコンデンサの弱光下での充放電特性を利用しているため、付加直流電源の容量を小さくすることができ、低コストかつ簡易な構成で、長期の実使用状態においても、太陽光照射時の発電を妨げることなく太陽電池アレイの電気特性を診断して、太陽電池アレイの故障を早期に発見することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施の形態のパワーコンディショナを備えた太陽光発電システムの構成を示す概略図である。
【図2】切替部の詳細を概略的に示した図である。
【図3】太陽電池セルの等価回路を示す図である。
【図4】暗状態の太陽電池モジュールにおいて(A)シミュレーションにより求めた電圧Vに対する電流-I及び-Ishの関係を示す図、及び(B)I-V特性を示す図である。
【図5】I-V特性の電流依存領域及び電圧依存領域を説明するための図である。
【図6】本実施の形態のパワーコンディショナにおける太陽電池アレイの診断処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図7】電圧フローを示すフローチャートである。
【図8】直流電源電圧の印加電圧周波数10Hzの場合における過渡現象の電流及び電圧の測定値を示すグラフである。
【図9】直流電源電圧の印加電圧周波数100Hzの場合における過渡現象の電流及び電圧の測定値を示すグラフである。
【図10】電圧フロー及び電流フローで取得されたI-V特性を示すグラフである。
【図11】電流フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。

【0022】
図1に、本実施の形態のパワーコンディショナ10を備えた太陽光発電システムの概略構成を示す。本実施の形態のパワーコンディショナ10は、太陽光を電力に変換する太陽電池アレイ12に接続されている。太陽電池アレイ12は、複数の太陽電池モジュール14を直列接続した太陽電池モジュールストリング16を、複数個並列に接続して構成されている。ここでは、結晶系太陽電池を想定しn列の太陽電池モジュールストリング16が並列に接続されているものとする。薄膜太陽電池では、1モジュールの電圧が約100V~200Vと高いため、それに適した構成を想定するものとする。

【0023】
また、太陽電池モジュールストリング16を構成する太陽電池モジュール14は、複数の太陽電池セルを直列、並列、または直並列に接続した太陽電池20、及び太陽電池20と並列に接続され、太陽電池20の故障時に迂回して通電されるバイパスダイオード21で構成されている。

【0024】
パワーコンディショナ10は、太陽電池アレイ12と接続されており、太陽電池アレイ12を流れる電流の電流値を検出して検出値を出力する電流センサ22、太陽電池アレイ12の両端子間の電圧を検出して検出値を出力する電圧センサ24、入力コンデンサ26、電流センサ22及び電圧センサ24の検出値に基づいて、太陽電池アレイ12の出力電力が最大になる点を追従するMPPT(Maximum Power Point Tracking)制御を行うMPPT制御部28、太陽電池アレイ12から出力された直流電流を交流電流に変換して負荷へ出力するためのDC-ACインバータ30、発電時と診断時とで配線の切り替えを行うためのスイッチSW1、SW2、及び切替部32、太陽電池アレイ12の診断処理の制御を行うCPU34、並びに各種情報を記憶したメモリ35を含んで構成されている。

【0025】
電流センサ22及び電圧センサ24は、発電時と診断時とで共通に使用することができる。ただし、電圧センサ24については、電圧の測定部位が発電時と診断時とで異なるため、スイッチSW1により切り替える。スイッチSW1には接点a、bが設けられており、発電時には接点a、診断時には接点bに接続することにより、電圧センサ24による電圧の測定部位を切り替えることができる。なお、電流センサ22については、電流の測定部位が発電時と診断時とで同じであるので、切り替えは行わない。

【0026】
スイッチSW2は、オン状態とオフ状態とを切り替えるためのスイッチであり、発電時にはオン状態、診断時にはオフ状態となる。

【0027】
切替部32には、発電時と診断時とで配線の切り替えを行うためのスイッチSW3iが太陽電池モジュールストリング16各々に対応して設けられている。iは、1~n列のうち、i列目の太陽電池モジュールストリング16に対応していることを示している。

【0028】
図2を参照して、切替部32の構成について、より詳細に説明する。なお、図2は、n列目の太陽電池モジュールストリング16及びその診断機能に対応する部分を抜き出した概略図である。

【0029】
スイッチSW3nには、接点o、a、b、cが設けられている。接点oは、発電時に接続される接点であり、接点oと太陽電池モジュールストリング16との間には、ブロッキングダイオード18が設けられている。接点aは、診断時に接続される接点であり、接点aと太陽電池モジュールストリング16との間には、可変直流電源40が設けられている。接点bは、診断時に接続される接点であり、接点bは、さらに接点b1とb2とに分岐する。接点b1と太陽電池モジュールストリング16との間には、抵抗41Aが設けられており、接点b1は、入力コンデンサ26を充電させる際に選択される。接点b2と太陽電池アレイ12の正極側との間には、抵抗41Bが設けられており、接点b2は、入力コンデンサ26を放電する際に選択される。充電には夕暮れ時等における太陽電池からの低い定電流で充電されるため、抵抗を考慮しなくてもよい。従って、図2に示すように抵抗41Aを設けた構成としてもよいし、抵抗41Aを設けない構成としてもよい。抵抗41Aを設けた場合には、時定数の調整することができるため充電速度を調整することができる。

【0030】
また、パワーコンディショナ10と太陽電池アレイ12とは、太陽電池アレイ12で発電された電力を取り出すための発電用配線36、及び診断時に用いられる診断用配線38で接続されている。診断用配線38は、さらに、電圧依存領域(詳細は後述)のI-V特性を取得する際に用いられる診断用配線38a(第2配線)と、電流依存領域(詳細は後述)のI-V特性を取得する際に用いられる診断用配線38b(第1配線)とを含んで構成されている。スイッチSW3iの切り替えにより、パワーコンディショナ10と太陽電池アレイ12とが、発電時には、パワーコンディショナ10と太陽電池アレイ12とが発電用配線36により接続され、スイッチSW2がオンとなる。診断時には、スイッチSW2をオフとし、パワーコンディショナ10と太陽電池アレイ12とが診断用配線38aまたは38bにより接続される。

【0031】
また、入力コンデンサ26は、発電時の入力コンデンサ26として機能するだけでなく、診断時には、太陽電池アレイ12のI-V特性を取得するために、その充電特性または放電特性が利用される。

【0032】
また、電流センサ22及び電圧センサ24は、MPPT制御に用いられる電流及び電圧を検出する機能だけでなく、診断時には、太陽電池アレイ12のI-V特性を取得するための電流及び電圧を検出するためのセンサとしても用いられる。

【0033】
ここで、本実施の形態における診断の原理について説明する。

【0034】
まず、暗状態における太陽電池アレイの出力のI-V特性について、図3に示す太陽電池セルの等価回路を用いて説明する。この等価回路で負荷に流れる電流Iは、下記(1)式で表される。ただし、Iphは光発生電流、Iはpn接合の順方向電流、及びIshはpn接合の漏れ電流である。

【0035】
=Iph-I-Ish ・・・(1)
また、電流Iphは、日射強度に比例して発生することから、下記(2)式で表される。ただし、λは波長、E(λ)は入射光の波長分布、及びR(λ)は太陽電池アレイの分光感度特性である。

【0036】
ph=∫E(λ)・R(λ)dλ ・・・(2)
また、電流Iとpn接合にかかる順電圧Vとの関係は、下記(3)式で表され、電流IshとVとの関係は、下記(4)式で表される。ただし、Aはpn接合の材料特性による係数、Bは材料による係数、kはボルツマン定数、Tは絶対温度、qは素電荷、及びRshは接合欠陥による分路抵抗である。

【0037】
【数1】
JP0005888724B2_000002t.gif

【0038】
(3)式及び(4)式は、光電流発生点を中心に考えた電圧Vの関数となっている。電圧Vは直列抵抗Rと負荷抵抗Rにより下記(5)式のように表せる。ただし、Vは負荷両端、つまり太陽電池出力端子間の電圧である。

【0039】
-I・R=V ・・・(5)

【0040】
(5)式を(3)式及び(4)式に代入して、さらに(1)式に代入すると、下記(6)式が得られる。

【0041】
【数2】
JP0005888724B2_000003t.gif

【0042】
ここで、暗状態、つまりE=0kW/mであればIph=0となる。太陽電池モジュールは、半導体ダイオードとして機能する太陽電池セルを直列、並列、または直並列に接続したものであるから、ダイオードとしての電気特性を取得し、(6)式に当てはめることで、その状態を各パラメータにより把握することができる。

【0043】
太陽電池アレイの電気的な故障については、直列抵抗R及び分路抵抗Rshの値の変化として表れると想定できる。そこで、太陽光発電システムの設置時等における正常時の太陽電池モジュールストリングにおけるI-V特性を取得し、これを初期の基準特性として、等価回路を基に各パラメータを算出しておき、直列抵抗及び分路抵抗などの基準値を求めておく。直列抵抗及び分路抵抗で推算が難しい場合は、太陽電池モジュールストリング、太陽電池アレイとしての太陽電池セル以外の回路パラメータ分析を行う。

【0044】
図4(A)に、(6)式を用いて、ある1個の太陽電池モジュールについてシミュレーションにより求めた電圧Vに対する(1)式における電流-I及び-Ishを示す。これより、-IshはV<20VでIに占める比率が支配的となり、-IはV>25VでIに占める比率が支配的となる。そこで、同図(B)に示すように、太陽電池のI-V特性から、(6)式の性質に基づいて、直列抵抗Rは25V以上の直線領域で、分路抵抗Rshは20V以下の直線領域で、その傾きからR及びRshを求める。なお、負電圧ではバイパスダイオードが働くため、分路抵抗Rshを求めるのは、0V以上の直線領域を使用する。また、特性によっては曲線部分や他の形状変化との整合から、直列抵抗R及び分路抵抗Rsh、また太陽電池セル以外の太陽電池モジュールストリング、太陽電池アレイとしての回路定数を推算してもよい。ここでは、太陽電池モジュールが1個の例について説明したが、診断の対象となる太陽電池モジュールの直並列数に応じて、直列抵抗R及び分路抵抗Rshを求める領域は異なる。

【0045】
本実施の形態では、上記のように直列抵抗R及び分路抵抗Rshを求めるために必要なI-V特性を、図5に示すように、電流依存領域と電圧依存領域との2つの領域に分け、太陽電池アレイの各列、つまり太陽電池モジュールストリング各々について、切替部32により配線を切り替えて、各領域におけるI-V特性を取得する。「電流依存領域」は、図2に示す電流Iが正方向に流れる領域(僅かに発電している状態)であり、電流値がほぼ一定の領域をいう。また、「電圧依存領域」は、可変直流電源電圧の印加により、電流Iが逆方向に流れる領域であり、電圧の変化が少ない領域をいう。この2領域から得られた各特性を結合して、各太陽電池モジュールストリングのI-V特性全体(結合電流-電圧特性)が得られる。I-V特性は、セル温度に電圧が大きく影響を受けるため、開放電圧値がずれていたら、重なるよう近似、またはセル温度を推定した補正を行う。

【0046】
後述するように、診断は、太陽光発電システムの運転開始時または終了時の発電に殆ど用いられない弱光下の状態において実施される。そして、「電流依存領域」では、この弱光下において入力コンデンサ26を充電した際のI-V特性を取得する。また、「電圧依存領域」では、入力コンデンサ26の放電に加え、可変直流電源電圧を加えて印加した際のI-V特性を取得する。

【0047】
従って、例えば特許文献1のような手法では、直列抵抗R及び分路抵抗Rshを求めるために必要なI-V特性を得るためには、図5中一点鎖線で囲まれた領域分の電源容量を必要とするのに対して、本実施の形態では、必要とする電源容量は、同図中破線で囲まれた領域分となり、電源容量が大幅に小さくなり、装置を低コストかつ簡易に構成することができる。

【0048】
次に、本実施の形態のパワーコンディショナ10の動作について説明する。太陽電池が発電している時間帯においては、スイッチSW1は接点aに接続、スイッチSW2はオン状態、及びSW3iは全て接点oに接続されており、発電用配線36を介して太陽電池アレイ12から電力が取り出され、負荷へ供給されるようになっている。

【0049】
次に、図6を参照して、診断時の動作について説明する。CPU34が、図6に示す太陽電池アレイの診断処理ルーチンを実行することにより、各構成を制御して診断処理が実行される。

【0050】
ステップ100で、診断時期(診断周期に該当する日)及び診断時間帯か否かを判定する。診断周期は、故障の進行を推測して、例えば10日おきなどの一定期間毎に行うように予め定めておく。また、システム設置当初は1ヶ月おきに、設置から10年以降は10日おきに行うようにするなど、推定される信頼度に応じて診断の周期を変化させてもよい。診断を実施する時間帯は、システムの運転開始時または停止時の弱光下に行う。診断には、高周波電圧で大電流を流して行うため、システム内に電流がある程度流れた後の状態で診断を実施する方が好ましい。また、発電は減少する時間帯であるから、日の出時に比べ発電時間への影響がない利点がある。そのため、本実施の形態では、夕暮れ時のシステムの運転停止時に診断を行う場合について説明する。パワーコンディショナ10は、太陽電池アレイ12からの出力(電圧、電流、発電量)が所定の閾値以下となった場合には、システムの運転停止時であると判断して、発電を停止し、交流出力側を切り離すため、監視モードに入り一定時間後ブレーカーを外すかどうかなどを判断する。本実施の形態の診断では、この時間帯を利用してI-V特性の取得を行う。通常の監視モードの時間内に診断が完了すれば、発電量に対する損失は全くない。また、その時間内に終わらなければ、数日かけて夕暮れ時に測定する方法も考えられる。従って、CPU34では、予め定めた診断周期に該当する日であって、かつ太陽電池アレイ12からの電圧や電流が所定の閾値以下となって監視モードに入った場合に、診断時間帯であると判定する。診断時間帯であると判定された場合には、ステップ102へ移行し、診断時間帯ではないと判定された場合には、診断時間帯となるまで待機状態となる。

【0051】
ステップ102では、何列目の太陽電池モジュールストリング16かを示す変数iに1をセットして、ステップ104へ移行する。ステップ104では、i列目の太陽電池モジュールストリング16について、電圧フロー(詳細は後述)を実施して、上記の電圧依存領域のI-V特性を取得する。次に、ステップ106へ移行し、i列目の太陽電池モジュールストリング16について、電流フロー(詳細は後述)を実施して、上記の電流依存領域のI-V特性を取得する。

【0052】
次に、ステップ108で、上記ステップ104で取得した電圧依存領域のI-V特性と、上記ステップ106で取得した電流依存領域のI-V特性とを結合し、I-V特性全体を作成する。次に、ステップ110で、上記ステップ108で作成したI-V特性全体から直列抵抗R、及び分路抵抗Rshを推算する。

【0053】
次に、ステップ112で、太陽光発電システムの設置時等の正常時の太陽電池アレイ12と診断用配線38を含む計測端から見たI-V特性に基づいて、予め算出した直列抵抗の基準値RS0、及び分路抵抗の基準値Rsh0と、上記ステップ110で推算された直列抵抗R、及び分路抵抗Rshとを比較する。これにより、太陽電池アレイ12のi列目の太陽電池モジュールストリング16の電気特性を診断する。システム設置時等の初期の基準値を計測できない場合には、太陽電池モジュールの基本回路定数から求めたモジュールストリングとケーブル長などによる回路定数への影響を考慮して、初期状態における基準I-V特性を推測から定めておいてもよい。また、直列抵抗R、及び分路抵抗Rshの推測が難しい場合、モジュール、アレイとしての回路定数を推算する。

【0054】
電気特性の診断は、例えば、RとRS0との差、またはRshとRsh0との差が所定値以上の場合には、i列目の太陽電池モジュールストリング16のいずれかの太陽電池20に故障または故障の予兆ありと診断したり、R及びRshの基準値からのずれ幅に応じて、どのような故障が生じているかを診断したり、過去の診断結果も踏まえて、RとRS0との差、またはRshとRsh0との差などの回路定数の経時的変化からどのような故障が生じているか、または進行中であるかを診断したりすることができる。また、直列抵抗R及び分路抵抗Rshを用いた診断に加えて、予め記憶しておいた正常時または故障時のI-V特性のパターン(I-V特性の形状)と、上記ステップ108で作成したI-V特性全体のパターンとを比較することにより、故障か否か、または、どのような故障かを診断するようにしてもよい。i列目の太陽電池モジュールストリング16の診断結果を一旦メモリ35に記憶する。

【0055】
次に、ステップ114で、i=nとなったか否かを判定することにより、全ての太陽電池モジュールストリング16について診断が終了したか否かを判定する。まだ全ての太陽電池モジュールストリング16について診断が終了していない場合には、ステップ116へ移行して、iを1インクリメントして、ステップ104へ戻る。一方、i=nと判定された場合には、ステップ118へ移行し、メモリ35に記憶された太陽電池モジュールストリング16毎の診断結果を出力して、処理を終了する。診断結果は、外部接続された表示装置やプリンタ等にデータを出力して、表示装置に表示するようにしてもよいし、プリンタ等で印字出力するようにしてもよい。また、パワーコンディショナ10自体に表示機能やプリンタ機能を備えるようにしてもよい。さらに、表示装置やプリンタ等の外部からの出力指示があるまでは、診断結果をメモリ35に記憶しておき、出力指示を待って、診断結果を出力するようにしてもよい。

【0056】
次に、図7を参照して、上記太陽電池アレイの診断処理のステップ104で実行される電圧フローについて詳細に説明する。

【0057】
ステップ1040で、入力コンデンサ26が太陽電池モジュールストリング16の開放電圧と同じ電圧値まで充電が完了していることを確認する。充電が完了している場合には、スイッチSW2をオフにし、太陽電池アレイ12と負荷側との接続を切り離す。また、スイッチSW1を接点bに接続し、スイッチSW3i以外のSW3を接点c(中立)に接続する。

【0058】
次に、ステップ1042で、スイッチSW3iを接点aに切り替え、入力コンデンサ26に可変直流電源40を直列接続する。

【0059】
次に、ステップ1044で、入力コンデンサ26と可変直流電源40との合計電圧を、i列目の太陽電池モジュールストリング16に印加する。ここで、可変直流電源40により印加される電圧Vの形状は逆鋸波である。これは、入力コンデンサ26が受動素子であるため、可変直流電源40より電圧を印加するとすぐに入力コンデンサ26からの放電が始まるため、印加電圧は急峻に立ち上がる必要があるためである。また、太陽電池の回路定数における直列抵抗とコンデンサ容量との2つの値の積から決まる時定数を考慮して、可変直流電源40による印加電圧の周波数の値を適切に設定する。例えば、ある1モジュールの太陽電池とコンデンサの組み合わせでは、時定数τ=4.6msのため、印加電圧の周波数は10Hzから100Hz程度であれば電圧の変化は緩やかになり、データのロギングが容易になる。各太陽電池の直列抵抗とパワーコンディショナのコンデンサ容量から適切な時定数を求め、可変直流電源の性能との兼ね合いから、適切な周波数を設定すればよい。

【0060】
次に、ステップ1046で、i列目の太陽電池モジュールストリング16に、入力コンデンサ26と可変直流電源40との合計電圧を印加したときの過渡現象の電流及び電圧の測定値を検出する。図8に、可変直流電源40による印加電圧の周波数が10Hzの場合、図9に、周波数が100Hzの場合の過渡現象の電流及び電圧の測定値を示す。ここで、Vは、入力コンデンサ26の両端の電圧、Vは、V+V、すなわち診断のために太陽電池アレイ12に印加される電圧、Iは、電圧Vの印加により太陽電池アレイ12に生じた太陽電池に流れ込む電流である。図8及び図9では、ある1モジュールの多結晶シリコン太陽電池を対象としており、直列抵抗の値が0.46Ω、コンデンサの容量が10mFのものを用いて、診断回路を構成した。モジュールストリングでは、モジュール直列数倍に直列抵抗の値が増加するため、それだけ時定数は大きくなり、より低周波でも測定可能となる。そして、検出した電圧値及び電流値に基づいて、図10に示すような、電圧依存領域のI-V特性を取得する。その後、診断処理(図6)へリターンする。

【0061】
次に、図11を参照して、上記太陽電池アレイの診断処理のステップ106で実行される電流フローについて詳細に説明する。

【0062】
ステップ1060で、スイッチSW3iを接点b1に切り替えて、入力コンデンサ26を一旦放電させる。スイッチSW3i以外のスイッチSW3は、上記電圧フロー時と同様に、接点cに接続されたままである。

【0063】
次に、ステップ1062で、スイッチSW3iを接点b2に切り替え、入力コンデンサ26を、太陽電池モジュールストリング16より充電する。

【0064】
次に、ステップ1064で、上記ステップ1062の充電時の過渡現象における電流及び電圧の測定値を検出する。そして、検出した電圧値及び電流値に基づいて、図10に示すような、電流依存領域のI-V特性を取得する。太陽電池モジュールストリングに適当な抵抗を介してコンデンサを接続し、コンデンサの充電によりI-V特性を取得する方法は、既に完成された技術であるが、本実施の形態では、コンデンサの充電特性を利用してI-V特性を取得する。なお、スイッチSW3iの接点b1とb2間での切替時に微弱電流が流れるため、例えば、1モジュールの太陽電池を対象として、抵抗41Aの値を充電時間も考慮して3Ωに設定することができる。その後、診断処理(図6)へリターンする。

【0065】
以上説明したように、本実施の形態のパワーコンディショナによれば、太陽電池による発電の開始時または終了時(弱光下)である監視モードの時間を利用し、入力コンデンサのみの充電による特性から「電流依存領域」、及び入力コンデンサの放電特性と可変直流電源との合計電圧の印加による特性を用いた「電圧依存領域」各々でI-V特性を取得する。これら2領域におけるI-V特性を結合し、そのI-V特性全体の変化に基づいて、太陽電池モジュールストリングの電気特性の診断を自動的に行う。そのため、長期の実使用状態においても、発電中の運転を妨げることなく太陽電池アレイの電気特性を、定期的に初期状態と比較することで診断し、太陽電池アレイの故障を早期に発見することができる。また、診断に要する電源容量が小さくて済むため、低コストかつ簡易な構成で実現することができる。

【0066】
また、本実施の形態では、図5に示したように、電流依存領域と電圧依存領域との境界電圧を開放電圧とすることで、入力コンデンサを、太陽電池モジュールストリングの開放電圧まで充電することが受動的に簡易に行え、また電源容量を抑えることができる。また、太陽電池に流れる電流が等価回路に示すダイオードと同じ方向、つまりIの値が負の場合には、僅かにI-V特性が変わる太陽電池もあり、このような場合にも本境界区分が診断し易い。

【0067】
なお、上記実施の形態では、電圧依存領域のI-V特性を取得する際に印加する電源として、入力コンデンサと可変直流電源とを用いる場合について説明したが、入力コンデンサと時定数をあわせれば、2次電池などの他の電力源となりうるデバイスまたは受動素子を付加電源の代わりとして用いてもよい。

【0068】
また、高周波電圧を印加してI-V特性を取得することで、入力コンデンサの容量不足を懸念する必要がなく、また更に可変直流電源を簡易構造にすることができる。一方、図10に、10HzとL成分の影響を受けた100Hzとの場合で比較して示したように、太陽電池モジュールのI-V特性は、印加する電圧の周波数で若干変わる場合がある。そこで、高周波電圧で取得されるI-V特性を、L成分を考慮した等価回路によりシミュレーションし、特性のずれを修正するようにすればよい。これにより、直流電源を簡易にしてもソフトウェアで修正することにより、正確に直列抵抗Rの値を取得することができる。

【0069】
また、上記実施の形態では、本発明の太陽電池の診断装置をパワーコンディショナ内に設けた構成について説明したが、この構成に限定されない。既に設置されている太陽光発電システム日本発明を適用する場合には、パワーコンディショナの内部を若干変更し、本発明の診断装置を太陽電池アレイとパワーコンディショナとの間に配置した太陽光発電システムとして構成することもできる。

【0070】
また、上記実施の形態では、太陽電池アレイの電気特性について診断する場合について説明したが、太陽電池モジュールのバイパスダイオードの電気特性も合わせて診断するようにしてもよい。この場合、入力コンデンサを、上記の太陽電池アレイの診断時とは逆電圧となるように充放電するとよい。

【0071】
また、診断対象として想定した太陽電池は半導体であり、LEDなど他種の半導体でも本故障診断のプロセスは適用することができる。

【0072】
なお、上記実施の形態では、太陽電池モジュールストリング毎に電気特性を診断する場合について説明したが、測定対象部位は、太陽電池モジュール毎、複数個の太陽電池モジュール毎、複数列の太陽電池モジュールストリング毎であってもよい。その場合、診断用配線を測定対象部位毎に接続し、配線切替用のスイッチを測定対象部位毎に設けることで、所望の測定対象部位毎の電気特性を診断することができる。測定対象部位の範囲が小さいほど、故障した太陽電池モジュールの特定が容易となり、測定対象部位の範囲が大きいほど、診断用の回路構成を簡略化することができる。

【0073】
また、上記実施の形態では、パワーコンディショナ内のCPUにより、電流センサ及び電圧センサで検出された電流値及び電圧値を取得してI-V特性を求めて、直列抵抗及び分路抵抗を演算して診断する場合、また曲線部分やI-V特性初期形状との比較から、セルやモジュール、アレイの等価回路の変数を推算する場合について説明したが、検出されたI-V特性データをそのまま出力し、外部接続されたパーソナルコンピュータ等の外部機器において診断したり、検出された電流値及び電圧値を、ネットワークを利用して診断センタ等のサーバへ転送し、診断センタ等で診断したりするようにしてもよい。
【符号の説明】
【0074】
10 パワーコンディショナ
12 太陽電池アレイ
14 太陽電池モジュール
16 太陽電池モジュールストリング
18 ブロッキングダイオード
20 太陽電池
21 バイパスダイオード
22 電流センサ
24 電圧センサ
26 入力コンデンサ
28 MPPT制御部
30 DC-ACインバータ
32 切替部
34 CPU
35 メモリ
36 発電用配線
38a 診断用配線(第2配線)
38b 診断用配線(第1配線)
40 可変直流電源
41A、41B 抵抗
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図5】
3
【図6】
4
【図7】
5
【図11】
6
【図4】
7
【図8】
8
【図9】
9
【図10】
10