TOP > 国内特許検索 > 腸内細菌科菌群検出方法 > 明細書

明細書 :腸内細菌科菌群検出方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5867147号 (P5867147)
公開番号 特開2013-169190 (P2013-169190A)
登録日 平成28年1月15日(2016.1.15)
発行日 平成28年2月24日(2016.2.24)
公開日 平成25年9月2日(2013.9.2)
発明の名称または考案の名称 腸内細菌科菌群検出方法
国際特許分類 C12N  15/09        (2006.01)
C12Q   1/68        (2006.01)
C12Q   1/04        (2006.01)
C12Q   1/06        (2006.01)
FI C12N 15/00 ZNAA
C12Q 1/68 A
C12Q 1/04
C12Q 1/06
請求項の数または発明の数 13
全頁数 21
出願番号 特願2012-035637 (P2012-035637)
出願日 平成24年2月21日(2012.2.21)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 刊行物名:公益社団法人日本食品衛生学会 第102回学術講演会講演要旨集 発行日 :平成23年9月29日 発行者 :公益社団法人 日本食品衛生学会 第102回学術講演会実行委員会事務局 該当頁 :第60頁
審査請求日 平成27年2月6日(2015.2.6)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504196300
【氏名又は名称】国立大学法人東京海洋大学
発明者または考案者 【氏名】木村 凡
【氏名】▲高▼橋 肇
【氏名】田中 悠一郎
個別代理人の代理人 【識別番号】100091096、【弁理士】、【氏名又は名称】平木 祐輔
【識別番号】100118773、【弁理士】、【氏名又は名称】藤田 節
審査官 【審査官】戸来 幸男
参考文献・文献 J. Microbiol. Methods,2009年,vol.79, no.1,pp.124-127
Nucleic Acids Res.,1985年,vol.13, no.12,pp.4521-4526
調査した分野 C12N 15/00-15/90
C12Q 1/00-1/70
DDBJ/GeneSeq
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/
REGISTRY/WPIDS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
PubMed
特許請求の範囲 【請求項1】
配列番号1で示される塩基配列、又は配列番号1で示される塩基配列において1~3個の塩基が付加、欠失又は置換した塩基配列、における連続する17塩基以上の塩基配列を含むヌクレオチドで構成されるフォワードプライマー、及び
配列番号2で示される塩基配列、又は配列番号2で示される塩基配列において1~3個の塩基が付加、欠失又は置換した塩基配列、を含むヌクレオチドで構成されるリバースプライマー
からなる、腸内細菌科菌群検出用プライマーセット。
【請求項2】
前記リバースプライマーが配列番号3で示される塩基配列を含むヌクレオチドで構成される、請求項1に記載の腸内細菌科菌群検出用プライマーセット。
【請求項3】
前記フォワードプライマーが配列番号4で示される塩基配列、又は配列番号4で示される塩基配列において1~3個の塩基が付加、欠失又は置換した塩基配列、を含むヌクレオチドで構成される、請求項1又は2に記載の腸内細菌科菌群検出用プライマーセット。
【請求項4】
前記フォワードプライマーが配列番号5で示される塩基配列を含むヌクレオチドで構成される、請求項3に記載の腸内細菌科菌群検出用プライマーセット。
【請求項5】
前記フォワードプライマー及びリバースプライマーが50塩基以下のヌクレオチドで構成される、請求項1~4のいずれか一項に記載の腸内細菌科菌群検出用プライマーセット。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の腸内細菌科菌群検出用プライマーセットを備えた腸内細菌科菌群検出キット。
【請求項7】
腸内細菌科菌群検出方法であって、
試料から核酸を抽出する抽出工程、
前記核酸抽出工程で抽出した核酸を鋳型として請求項1~5のいずれか一項に記載の腸内細菌科菌群検出用プライマーセットを用いて核酸増幅反応を行う増幅工程、
前記増幅工程後の増幅産物量に基づいて前記試料における腸内細菌科菌群の陽性又は陰性を判定する判定工程
を含む前記方法。
【請求項8】
前記増幅工程において定量的核酸増幅法を用いる、請求項7に記載の腸内細菌科菌群検出方法。
【請求項9】
前記判定工程は、前記増幅工程後の増幅産物量が腸内細菌科菌群を含まない対照試料の増幅産物量に対して統計学的に有意に多い場合に前記試料が腸内細菌科菌群陽性であると判定する、請求項7又は8に記載の腸内細菌科菌群検出方法。
【請求項10】
前記試料が食品である、請求項7~9のいずれか一項に記載の腸内細菌科菌群検出方法。
【請求項11】
腸内細菌科菌群定量方法であって、
試料から核酸を抽出する抽出工程、
前記核酸抽出工程で抽出した核酸を鋳型として請求項1~5のいずれか一項に記載の腸内細菌科菌群検出用プライマーセットを用いて定量的核酸増幅反応を行う定量増幅工程、

前記定量増幅工程で得られるCt値を検量式に代入して試料中の腸内細菌科菌群を定量的に測定する測定工程
を含み、
前記検量式は、既知菌数の段階希釈試料から抽出した核酸を鋳型として請求項1~5のいずれか一項に記載の腸内細菌科菌群検出用プライマーセットを用いて定量的核酸増幅反応を行うことにより各段階希釈試料の増幅産物量に基づいて導き出される式である
前記方法。
【請求項12】
前記検量式がCt値=-3(logCFU/g)+37)である、請求項11に記載の腸内細菌科菌群定量方法。
【請求項13】
前記試料が食品である、請求項11又は12に記載の腸内細菌科菌群定量方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、腸内細菌科菌群検出用プライマーセット、腸内細菌科菌群検出キット及び腸内細菌科菌群検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食品微生物検査では、検査結果の迅速性及び正確性が検査対象物の鮮度を保持し、食品の安全性を確保する上で極めて重要である。従来の食品微生物検査では、微生物の培養工程を含む所定の試験が行われてきた(非特許文献1及び2)。しかし、培養工程を含む検査方法では、培養期間が律速となり、検査結果が出るまでに3日~1週間を要してしまうという時間的な問題があった。
【0003】
近年では、PCR法を用いた分子生物学的手法による衛生指標菌の検出や定量が行われている。衛生指標菌とは、サルモネラ菌や赤痢菌のような腸管系食中毒菌と由来が同じであるか、又はそれらと挙動を共にする可能性が高い細菌であり、食品の衛生的な取り扱いの良否及び腸管系食中毒菌による食品の汚染の有無を推定するための指標として用いられている。
【0004】
ところで、従来、日本で衛生指標菌といえば、大腸菌群や糞便系大腸菌群が該当していた。それ故、食品微生物検査においても、PCR法を用いた大腸菌群の検出及び定量が採用されている(非特許文献3)。しかし、大腸菌群の定義は、乳糖分解性細菌であり、乳糖非分解性細菌であるサルモネラ菌や赤痢菌等の食品衛生上重要な腸管系食中毒菌が衛生指標菌に包含されないという大きな問題があった。2006年より欧州を中心に食品微生物検査における検査対象細菌を大腸菌群からブドウ糖分解性を指標とする腸内細菌科菌群とする移行が進んできている。それ故、腸内細菌科菌群を分子生物学的手法により迅速かつ特異的に検出する新たな方法が求められている。
【0005】
腸内細菌科菌群は、ブドウ糖を分解して酸を産生すること及びオキシダーゼ反応陰性であることで特徴付けられるが、それらに該当する細菌は非常に多岐に亘るため、腸内細菌科菌群のみが有し、かつ核酸増幅の標的となり得る特異的な遺伝子は存在しない。それ故、ハウスキーピング遺伝子である16SrRNAやRpoB、gyrB等の遺伝子を標的遺伝子とした腸内細菌科菌群の検出方法が開発されている。しかし、いずれの遺伝子を用いた方法も腸内細菌科菌群のみを特異的に検出することはできず、擬陽性率が高いか、逆に偽陰性率が高い等、検出精度の面において問題があった。以上の理由から、現在まで腸内細菌科菌群のみを特異的に検出し得る核酸増幅法は確立されていない。
【先行技術文献】
【0006】

【非特許文献1】厚生労働省,食品衛生検査指針,2004
【非特許文献2】Jasson V.,et al., 2010, Food Microbiology,27, 710-730
【非特許文献3】Martin, MC., et al., 2009, International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology, 59, 234‐247.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、培養工程を経ることなく、核酸増幅方法によって、腸内細菌科菌群のみを特異的に検出することのできるプライマーセットを開発し、提供することである。
【0008】
また、本発明の課題は、上記開発したプライマーセットを用いて、腸内細菌科菌群を迅速に、かつ高い精度で検出することのできる腸内細菌科菌群検出方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために、腸内細菌科菌群における様々な遺伝子のアライメントに基づいて多数のプライマーセットを設計し、PCRに供した。その結果、ハウスキーピング遺伝子ではあるがマーカー遺伝子としてこれまでほとんど着目されていなかったリボソームタンパク質L16遺伝子(rplP)の特定領域に対するプライマーセットを用いた場合にのみ腸内細菌科菌群を極めて特異的に検出できることを見出した。本発明は、上記知見に基づいて完成されたものであって、具体的には、以下を提供する。
【0010】
(1)配列番号1で示される塩基配列、又は配列番号1で示される塩基配列において1~3個の塩基が付加、欠失又は置換した塩基配列、における連続する17塩基以上の塩基配列を含むヌクレオチドで構成されるフォワードプライマー、及び配列番号2で示される塩基配列、又は配列番号2で示される塩基配列において1~3個の塩基が付加、欠失又は置換した塩基配列、を含むヌクレオチドで構成されるリバースプライマーからなる、腸内細菌科菌群検出用プライマーセット。
(2)前記リバースプライマーが配列番号3で示される塩基配列を含むヌクレオチドで構成される、(1)に記載の腸内細菌科菌群検出用プライマーセット。
(3)前記リバースプライマーが50塩基以下のヌクレオチドで構成される、(1)又は(2)に記載の腸内細菌科菌群検出用プライマーセット。
(4)前記リバースプライマーが配列番号2で示される塩基配列、又は配列番号2で示される塩基配列において1~3個の塩基が付加、欠失又は置換した塩基配列、からなるヌクレオチドで構成される、(1)に記載の腸内細菌科菌群検出用プライマーセット。
(5)前記リバースプライマーが配列番号3で示される塩基配列からなるヌクレオチドで構成される、(4)に記載の腸内細菌科菌群検出用プライマーセット。
(6)前記フォワードプライマーが配列番号4で示される塩基配列、又は配列番号4で示される塩基配列において1~3個の塩基が付加、欠失又は置換した塩基配列、を含むヌクレオチドで構成される、(1)~(5)のいずれかに記載の腸内細菌科菌群検出用プライマーセット。
(7)前記フォワードプライマーが配列番号5で示される塩基配列を含むヌクレオチドで構成される、(6)に記載の腸内細菌科菌群検出用プライマーセット。
(8)前記フォワードプライマーが50塩基以下のヌクレオチドで構成される、(6)又は7)に記載の腸内細菌科菌群検出用プライマーセット。
(9)前記フォワードプライマーが配列番号1で示される塩基配列、又は配列番号1で示される塩基配列において1~3個の塩基が付加、欠失又は置換した塩基配列、における連続する17塩基以上の塩基配列からなるヌクレオチドで構成される、(1)~(5)のいずれかに記載の腸内細菌科菌群検出用プライマーセット。
(10)前記フォワードプライマーが配列番号4で示される塩基配列、又は配列番号4で示される塩基配列において1~3個の塩基が付加、欠失又は置換した塩基配列、からなるヌクレオチドで構成される、(9)に記載の腸内細菌科菌群検出用プライマーセット。
(11)前記フォワードプライマーが配列番号5で示される塩基配列からなるヌクレオチドで構成される、(10)に記載の腸内細菌科菌群検出用プライマーセット。
(12)腸内細菌科菌群がCitrobacter属、Edwardsiella属、Erwinia属、Escherichia属、Proteus属、Salmonella属又はYersinia属である、(1)~(11)のいずれかに記載の腸内細菌科菌群検出用プライマーセット。
(13)(1)~(12)のいずれかに記載の腸内細菌科菌群検出用プライマーセットを備えた腸内細菌科菌群検出キット。
(14)腸内細菌科菌群検出方法であって、試料から核酸を抽出する抽出工程、前記核酸抽出工程で抽出した核酸を鋳型として(1)~(12)のいずれかに記載の腸内細菌科菌群検出用プライマーセットを用いて核酸増幅反応を行う増幅工程、前記増幅工程後の増幅産物量に基づいて前記試料における腸内細菌科菌群の陽性又は陰性を判定する判定工程を含む前記方法。
(15)前記増幅工程において定量的核酸増幅法用いる、(14)に記載の腸内細菌科菌群検出方法。
(16)前記判定工程は、前記増幅工程後の増幅産物量が腸内細菌科菌群を含まない対照試料の増幅産物量に対して統計学的に有意に多い場合に前記試料が腸内細菌科菌群陽性であると判定する、(14)又は(15)に記載の腸内細菌科菌群検出方法。
(17)前記試料が食品である、(14)~(16)のいずれかに記載の腸内細菌科菌群検出方法。
(18)腸内細菌科菌群定量方法であって、試料から核酸を抽出する抽出工程、前記核酸抽出工程で抽出した核酸を鋳型として(1)~(12)のいずれかに記載の腸内細菌科菌群検出用プライマーセットを用いて定量的核酸増幅反応を行う定量増幅工程、前記定量増幅工程で得られるCt値を検量式に代入して試料中の腸内細菌科菌群を定量的に測定する測定工程を含み、前記検量式は、既知菌数の段階希釈試料から抽出した核酸を鋳型として(1)~(12)のいずれかに記載の腸内細菌科菌群検出用プライマーセットを用いて定量的核酸増幅反応を行うことにより各段階希釈試料の増幅産物量に基づいて導き出される式である前記方法。
(19)前記検量式はCt値=-3(logCFU/g)+37)である、(18)に記載の腸内細菌科菌群定量方法。
(20)前記試料が食品である、(18)又は(19)に記載の腸内細菌科菌群定量方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の腸内細菌科菌群検出用プライマーセットによれば、核酸増幅法によって、腸内細菌科菌群を特異的に検出することができる。
【0012】
本発明の腸内細菌科菌群検出キットによれば、腸内細菌科菌群の簡便な検出に必要な試薬等を供給することができる。
【0013】
本発明の腸内細菌科菌群検出方法によれば、細菌の培養工程を経ることなく、迅速に、かつ正確に腸内細菌科菌群を検出することができる。
【0014】
本発明の腸内細菌科菌群定量方法によれば、細菌の培養工程を経ることなく、迅速に、かつ正確に腸内細菌科菌群を定量することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の腸内細菌科菌群検出用プライマーセットを用いてPCRを行ったときのrplP遺伝子の増幅断片をアガロースゲルで電気泳動した結果を示す。矢印は、検出すべきrplP遺伝子の増幅断片を示す。各レーン番号は、表1において「図1番号」で示す菌株に対応する。
【図2-1】本発明の腸内細菌科菌群プライマーを用いて、種々のDNAポリメラーゼによりPCRを行ったときのrplP遺伝子の増幅断片をアガロースゲルで電気泳動した結果を示す。矢印は、検出すべきrplP遺伝子の増幅断片を示す。AはTaKaRa Taq (TaKaRa Bio)を、BはTaKaRa ExTaq (TaKaRa Bio)を、そして、CはTaq DNA polymerase Native (Invitrogen)を使用した。各レーン番号は、表1において「図2番号」で示す菌株に対応する。
【図2-2】本発明の腸内細菌科菌群プライマーを用いて、種々のDNAポリメラーゼによりPCRを行ったときのrplP遺伝子の増幅断片をアガロースゲルで電気泳動した結果を示す。矢印は、検出すべきrplP遺伝子の増幅断片を示す。DはPlatium PCR Super Mix (Invitrogen)を、またEはMightyAmp DNA Polymerase Ver.2(Takara Bio)を使用した。各レーン番号は、表1において「図2番号」で示す菌株に対応する。
【図3-1】リアルタイムPCRによって得られた各菌種の各希釈段階におけるPCRの増殖曲線の結果を示す。AはCitrobacter freudii、BはEnterobacter aerogenes、CはEscherichia coliである。
【図3-2】リアルタイムPCRによって得られた各菌種の各希釈段階におけるPCRの増殖曲線の結果を示す。DはKlebsiella pneumoniae、EはProteus mirabillisである。
【図4-1】図3-1の増殖曲線に基づいて得られた検量線を示す。
【図4-2】図3-2の増殖曲線に基づいて得られた検量線を示す。
【図5】表2の結果をグラフ化したものである。図4-1、図4-2で得られた検量線を用いて、食品中の腸内細菌科菌群数をリアルタイムPCRによって定量した結果と培養法により求めた腸内細菌科菌群数の定量結果の比較を示す。横軸はリアルタイムPCRによる結果を、縦軸は培養法による結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
1.腸内細菌科菌群検出用プライマーセット
1-1.構成
本発明の第一態様は、腸内細菌科菌群検出用プライマーセットである。本態様の腸内細菌科菌群検出用プライマーセットは、リボソームタンパク質L16遺伝子における特定の領域の塩基配列を有するヌクレオチドで構成されるフォワードプライマー、及び当該遺伝子の特定の領域の塩基配列に相補的な塩基配列を有するヌクレオチドで構成されるリバースプライマーからなることを特徴とする。

【0017】
本明細書において「腸内細菌科菌群」(Enterobacteriaceae群)とは、バイオレットレッド胆汁ブドウ糖(VRBG:Violet Red Bile Glucose)寒天培地上でピンク色、赤色、紫色等の特徴的なコロニーを形成し、ブドウ糖を発酵する、オキシダーゼ反応陰性の一群のグラム陰性桿菌をいう。ただし、本明細書においては、複数種の腸内細菌科菌で構成される場合のみならず、1種類の腸内細菌科菌のみで構成される場合も、腸内細菌科菌群に含めるものとする。腸内細菌科菌には、例えば、Alishewanella属、Alterococcus属、Aquamonas属、Aranicola属、Arsenophonus属、Azotivirga属、Blochmannia属、Brenneria属、Buchnera属、Budvicia属、Buttiauxella属、Cedecea属、Citrobacter属、Dickeya属、Edwardsiella属、Enterobacter属、Erwinia属、Escherichia属、Ewingella属、Grimontella属、Hafnia属、Klebsiella属、Kluyvera属、Leclercia属、Leminorella属、Moellerella属、Morganella属、Obesumbacterium属、Pantoea属、Pectobacterium属、Phlomobacter属、Photorhabdus属、Plesiomonas属、Pragia属、Proteus属、Providencia属、Rahnella属、Raoultella属、Salmonella属、Samsonia属、Serratia属、Shigella属、Sodalis属、Tatumella属、Trabulsiella属、Wigglesworthia属、Xenorhabdus属、Yersinia属及びYokenella属に属する種が該当する。
なお、本明細書では、前記腸内細菌科菌群以外の菌群を「非腸内細菌科菌群」と称する。

【0018】
本明細書において「腸内細菌科菌群検出用プライマーセット」とは、フォワードプライマー及びリバースプライマーからなる一組の核酸増幅反応用プライマーペアである。腸内細菌科菌群検出用プライマーセットは、微生物におけるリボソームタンパク質L16遺伝子の特定の領域を腸内細菌科菌群でのみ特異的に増幅することができる塩基配列を有するヌクレオチドで構成される。核酸増幅反応に供する際には、原則として、いずれのプライマーも一本鎖核酸分子で構成される。

【0019】
本明細書において「リボソームタンパク質L16」(ribosomal protein L16:以下「rplP」とする)とは、リボソームタンパク質50Sサブユニット(大サブユニット)の構成分子の一つである。大腸菌では、23S rRNAと直接的に結合し、ペプチジルトランスフェラーゼのA部位に局在することが知られている。また、本明細書において「rplp遺伝子」とは、rplpをコードする遺伝子をいう。

【0020】
本態様においてプライマーを構成するヌクレオチドは、オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドであって、天然型ヌクレオチド、非天然型ヌクレオチド又はそれらの組合せを包含する。

【0021】
「天然型ヌクレオチド」とは、自然界に存在するヌクレオチドのみが連結してなるDNA及びRNAをいう。また、「非天然型ヌクレオチド」とは、天然型ヌクレオチドに類似の構造及び/又は類似の性質を有する人工的に構築された高分子化合物、又は人工的に化学修飾された自然界に存在しないヌクレオチドをいう。例えば、架橋化核酸(BNA/LNA:Bridged Nucleic Acid/Locked Nucleic Acid;LNAは登録商標)、ペプチド核酸(PNA:Peptide Nucleic Acid)、ホスフェート基を有するペプチド核酸(PHONA)、モルフォリノ核酸(ホルフォリノオリゴを含む)、メチルホスホネート型DNA/RNA、ホスホロチオエート型DNA/RNA、ホスホルアミデート型DNA/RNA、2'-O-メチル型DNA/RNA等が挙げられる。本発明のプライマーに使用するヌクレオチドには、DNAのみからなるヌクレオチド、架橋化核酸のみからなるヌクレオチド、DNAとRNA又はDNAとLNAからなるヌクレオチドが好ましい。それぞれのプライマーは、互いに異なるヌクレオチドで構成されていてもよい。例えば、フォワードプライマーがDNAのみからなるヌクレオチドであって、リバースプライマーが架橋化核酸のみからなるヌクレオチドであってもよい。

【0022】
本態様におけるプライマーは、必要に応じて、リン酸基、糖及び/又は塩基が標識されていてもよい。標識は、当該分野で公知の標識子を利用することができる。例えば、放射性同位元素(例えば、32P、3H、14C)、DIG、ビオチン、蛍光色素(例えば、FITC、Texas、cy3、cy5、cy7、FAM、HEX、VIC、JOE、Rox、TET、Bodipy493、NBD、TAMRA)、又は発光物質(例えば、アクリジニウムエスター)が挙げられる。また、必要に応じて、プライマーの5’末端側に制限酵素部位を含む塩基配列を有するヌクレオチドを連結してもよい。

【0023】
以下、本態様の腸内細菌科菌群検出用プライマーセットを構成するフォワードプライマー及びリバースプライマーについて具体的に説明をする。本態様の腸内細菌科菌群検出用プライマーセットは、以下に記載の種々のフォワードプライマー及びリバースプライマーを任意に組み合わせることができる。

【0024】
(1)フォワードプライマー
本態様の腸内細菌科菌群検出用プライマーセットにおけるフォワードプライマーは、rplp遺伝子の開始コドンを含むセンス鎖側の塩基配列の一部を含むヌクレオチドからなる。具体的には、配列番号1で示される塩基配列(5’-ATGTTACAACCWAAGCGTACAAAATTCCGTAA-3’において連続する17塩基以上の塩基配列を含むヌクレオチドである。配列番号1で示す塩基配列において、WはA(アデニン)又はT(チミン)を示す。あるいは、配列番号1で示される塩基配列において1~3個の塩基が付加、欠失又は置換した塩基配列の中で連続する17塩基以上の塩基配列を含むヌクレオチドであってもよい。所定の塩基配列を含む17塩基以上のヌクレオチドにおいて、1~3個の塩基が付加、欠失又は置換した場合であっても、標的核酸へのアニーリングは可能であり、プライマーとしての機能を果たし得るからである。ただし、塩基の付加、欠失又は置換はプライマーの伸長方向である3’末端部ではない位置にあることが望ましい。以下、1~3個の塩基の付加、欠失又は置換については、同様の理由とする。好ましいヌクレオチドは、配列番号4で示される塩基配列(5’-ATGTTACAACCWAAGCGTACA-3’)、又は配列番号4で示される塩基配列において1~3個の塩基が付加、欠失又は置換した塩基配列を含むヌクレオチドである。より好ましくは、配列番号5で示される塩基配列(5’-ATGTTACAACCAAAGCGTACA-3’)を含むヌクレオチドである。さらに好ましくは配列番号4で示される塩基配列、又は配列番号4で示される塩基配列において1~3個の塩基が付加、欠失又は置換した塩基配列からなるヌクレオチドである。特に好ましくは配列番号5で示される塩基配列からなるヌクレオチドである。

【0025】
フォワードプライマーの塩基長は、本態様のプライマーセットによって標的核酸断片、すなわちrplp遺伝子の部分断片の増幅が可能な範囲内であれば、特に限定はしない。通常は、100塩基以下である。好ましくは50塩基以下、より好ましくは40塩基以下、さらに好ましくは30塩基以下、特に好ましくは17~25塩基である。

【0026】
(2)リバースプライマー
本態様の腸内細菌科菌群検出用プライマーセットにおけるリバースプライマーは、rplp遺伝子における3’末端付近のアンチセンス鎖側の塩基配列の一部を含むヌクレオチドからなる。具体的には、配列番号2で示される塩基配列(5’-TTACCYTGACGCTTAAYYGC-3’)、又は配列番号2で示される塩基配列において1~3個の塩基が付加、欠失又は置換した塩基配列、を含むヌクレオチドである。配列番号2で示す塩基配列において、Yは、ピリミジン、すなわちC(シトシン)、T(チミン)又はU(ウラシル)を示す。好ましくは配列番号3で示される塩基配列(5’-TTACCYTGACGCTTAACTGC-3’)を含むヌクレオチドである。より好ましくは配列番号2で示される塩基配列、又は配列番号2で示される塩基配列において1~3個の塩基が付加、欠失又は置換した塩基配列で示される塩基配列からなるヌクレオチドである。さらに好ましくは配列番号3で示される塩基配列からなるヌクレオチドである。

【0027】
1-2.効果
本態様の腸内細菌科菌群検出用プライマーセットは、核酸増幅反応のプライマーペアとして用いることで、rplP遺伝子の特定の領域を腸内細菌科菌群のみで特異的に増幅することができる。それによって、腸内細菌科菌群を高い精度で検出することができる。

【0028】
2.腸内細菌科菌群検出キット
2-1.構成
本発明の第二態様は、腸内細菌科菌群検出キットである。本態様の腸内細菌科菌群検出キットは、必須の構成物として第一態様の腸内細菌科菌群検出用プライマーセットを含む。2組以上のプライマーペアを含んでいてもよい。例えば、ネスティッドPCRのように、2段階で核酸増幅反応を行い、腸内細菌科菌群を検出する場合には、第1段階のフォワードプライマーを配列番号5で示される塩基配列のヌクレオチドとし、第2段階のフォワードプライマーを配列番号1で示される塩基配列のうち配列番号5で示される塩基配列よりもさらに3’側に位置する塩基配列のヌクレオチドとすることで、2種類のフォワードプライマーを含む場合が該当する。

【0029】
本態様の腸内細菌科菌群検出キットは、前記腸内細菌科菌群検出用プライマーセットに加えて、必要に応じて、核酸増幅反応に必要な各種試薬を包含することもできる。例えば、4種のデオキシリボヌクレオチド(dATP、dGTP、dCTP、dTTP;以下、これらをまとめて「dNTP」とする)、核酸増幅反応用バッファ、MgCl2等の塩、及び/又は核酸ポリメラーゼ(DNAポリメラーゼ、特に耐熱性DNAポリメラーゼ)を含んでいてもよい。また、定量的核酸増幅法を行う場合には、蛍光レポーターとクエンチャーを有するプローブを含むこともできる。さらに、腸内細菌科菌群検出のためのプロトコル等を記載した説明書等を包含することもできる。

【0030】
2-2.効果
本態様の腸内細菌科菌群検出キットによれば、腸内細菌科菌群を迅速に検出する上で必要な腸内細菌科菌群検出用プライマーセット等を提供することができる。

【0031】
3.腸内細菌科菌群検出方法
3-1.構成
本発明の第三態様は、腸内細菌科菌群検出方法である。本態様の腸内細菌科菌群検出方法は、抽出工程、増幅工程、及び判定工程を含む。以下、各工程について、具体的に説明をする。

【0032】
(1)抽出工程
「抽出工程」とは、試料から核酸を抽出する工程である。
本態様において、「試料」とは、本態様の腸内細菌科菌群検出方法に供する被検物質をいう。好ましくは食品、食器(皿、椀、箸、スプーン、フォーク、ナイフ等)、又は調理用器具(包丁、まな板、布巾、ボール、鍋等)である。より好ましくは非加熱処理食品、例えば、生肉(ミンチ、レバー、心臓、腸等の内臓を含む)、加熱前の加工肉(ハンバーグ、ソーセージ、ベーコン、ハム等)、生鮮魚介類(魚介切り身若しくは剥き身、及び刺身を含む)、野菜(根菜類及びイモ類を含む)、又は果物である。特に生食用野菜、果物、生食用食肉、及び生食用魚介類は、本態様の腸内細菌科菌群検出方法における試料として好適である。なお、試料は、凍結後に解凍したものであってもよい。

【0033】
本態様における「核酸」は、試料中に含まれる核酸、又は試料に付着した細胞に含まれる核酸であって、DNA及び/又はRNAをいう。好ましくはDNA、特に、rplP遺伝子を含む微生物のゲノムDNA若しくはその断片である。

【0034】
試料から核酸を抽出する方法は、試料が食品の場合には、当該食品を適当量(通常、0.5g~50gで足りる。好ましくは25g)量り取り、必要に応じてホモジナイズして、懸濁液を調製する。また、試料が、食器や調理用器具の場合には、それらを水、生理食塩水、又はTris/EDTA(pH8.0)バッファのようなバッファ等で洗浄するか又は浸漬した後の溶液を、必要に応じてホモジナイズして、懸濁液を調製する。上記懸濁液から直接核酸を抽出することができるが、必要であれば、培地、例えば、BPW(Buffered Pepton Water)培地(1% ペプトン、0.5% NaCl、0.35% Na2HPO4、0.15% KH2PO4:pH 7.2±0.2)を加えて37℃で5~24時間培養してもよい。

【0035】
懸濁液から核酸を抽出する方法は、当該分野で公知の方法、例えば、アルカリ法、ボイリング法により抽出することができる。これらの具体的な抽出方法は、例えば、Sambrook, J. et. al., 2001, Molecular Cloning: A Laboratory Manual Third Ed., Cold SpringHarbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New Yorkに記載の方法を参考にすればよい。また、NucleoSpin Tissue(MACHEREY- NAGEL社)のように、各メーカーから市販されている各種核酸抽出用キットを利用することもできる。

【0036】
(2)増幅工程
「増幅工程」とは、前記核酸抽出工程で抽出した核酸を鋳型として第一態様に記載の腸内細菌科菌群検出用プライマーセットを用いて核酸増幅反応を行う工程である。

【0037】
本明細書において「核酸増幅反応」とは、DNA等の核酸を鋳型に、dNTPを基質として、ポリメラーゼ等の酵素反応によって二つのプライマーに挟まれた特定の領域を増幅する反応をいう。

【0038】
前記核酸抽出工程で抽出した核酸がDNAの場合には、DNA(ゲノムDNA及びcDNAを含む)を鋳型として、プライマーセットとDNAポリメラーゼ等の酵素を用いて、その鋳型DNAのrplP遺伝子における特定領域を複製し、増幅すればよい(DNA増幅ステップ)。本工程で用いるDNA増幅方法は、当該分野で公知のいずれかの方法を使用すればよい。例えば、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法、ICAN(等温遺伝子増幅)法等が挙げられる。好ましくはPCR法である。(PCR:Clinical Diagnostics and Research, A.Rolfs, I. Schuller, U. Finckh, I. Weber-Rolfs, 1992, Springer-verlag Berlin Hidelberg.)

【0039】
前記反応で用いられるDNAポリメラーゼは、使用する核酸増幅方法によって適宜定められるが、通常は、熱耐性DNAポリメラーゼ(例えば、Taq DNAポリメラーゼ、Pfu DNAポリメラーゼ等)を使用する。このような耐熱性核酸ポリメラーゼは、TaKaRa Bio社(例えば、TaKaRa Taq、TaKaRa ExTaq、Takara KOD、MightyAmp DNA Polymerase Ver.2等)、ライフテクノロジー社(例えば、Taq DNA polymerase,Native、Platium PCR Super Mix等)、New England Biolab社、Roche社、Promega社等の各メーカーから様々な種類のものが市販されており、それらを利用することもできる。

【0040】
核酸増幅反応の反応条件は、増幅すべきヌクレオチドの長さ、鋳型用DNAの量、プライマーのTm値、使用するDNAポリメラーゼの至適反応温度及び至適pH等を勘案して決定すればよい。本態様の腸内細菌科菌群検出方法で増幅すべきヌクレオチドの長さは、170~350ヌクレオチド、好ましくは170~250ヌクレオチド、より好ましくは170~200ヌクレオチドの範囲である。一反応あたりの鋳型用DNAの量は、50fg~50ngあれば足りる。使用するDNAポリメラーゼの至適反応温度及び至適pHは、市販の酵素を使用するのであれば、添付の説明書に記載の至適反応温度及び至適pHに合わせるようにすればよい。

【0041】
PCR条件については、反応を変性、アニーリング及び伸長の3ステップで行う場合、例えば、92℃以上の温度で1~5分間初期変性を行った後、熱変性ステップを90℃~98℃で30秒~1分間、アニーリングステップを50℃~60℃で30秒~1分間、伸長ステップを70℃~75℃で40秒~2分間程度行えばよい。反応を変性とアニーリング伸長の2ステップで行う場合、例えば、92℃以上の温度で1~5分間初期変性を行った後、熱変性ステップを90℃~98℃で30秒~1分間、アニーリング伸長ステップを50℃~60℃で20秒~1分間程度行えばよい。また、サイクル数は、通常、10サイクル~50サイクルでよい。好ましくは15サイクルから45サイクル、より好ましくは20~40サイクルである。

【0042】
本ステップ後に得られた増幅DNAは、必要に応じて精製することもできる。精製方法は、当該分野で公知のいずれの方法であってもよい。例えば、エタノール沈殿法やスピン式ゲル濾過カラムを用いた精製方法が挙げられる。

【0043】
前記核酸抽出工程で抽出した核酸がRNAの場合には、前述の核酸がDNAの場合に行ったDNA増幅ステップに先立ち、逆転写ステップを必要とする。逆転写ステップは、dNTPを基質として、プライマーと逆転写ポリメラーゼ等の酵素を用いて逆転写反応を行い、cDNAを生成するステップである。逆転写反応で使用する方法は、当該分野で公知の方法を使用することができる。例えば、Sambrook, J. et. al., 2001, Molecular Cloning: A Laboratory Manual Third Ed., Cold SpringHarbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New Yorkに記載の逆転写方法に準じて行えばよい。逆転写ステップで得られたcDNAは、前記DNA増幅ステップに供される。

【0044】
本工程において、プライマーを前記標識子で標識しておけば、その標識子に基づいて、増幅反応後の反応溶液から増幅産物である二本鎖核酸を選択的に分離、精製したり、その後、その二本鎖核酸のうち目的の一本鎖核酸に相補する他方の一本鎖核酸をその標識子に基づいて分離、除去することができるので便利である。

【0045】
本工程の核酸増幅反応は、定量的核酸増幅法を用いてもよい。ここでいう「定量的核酸増幅法」とは、例えば、核酸増幅反応において増幅産物をリアルタイムで検出し、定量化する方法であって、例えば、リアルタイムPCR法が挙げられる。定量的核酸増幅法における増幅産物の検出法については、増幅産物の増加を反映する蛍光強度等の増加を経時的に検出できる方法であれば特に限定しない。例えば、5’及び3’末端を蛍光レポーター及びクエンチャーでそれぞれ標識した核酸プローブが、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼによって分解された結果、5’末端を含む核酸断片が遊離することで発せられる蛍光をリアルタイムで検出する方法(TaqManプローブ法)、RNaseH存在下で、同様の標識をしたRNAを含む核酸プローブを用いて核酸増幅反応を行った後、当該拡散プローブのRNA部分のみが分解されることで発せられる蛍光をリアルタイムで検出する(サイクリングプローブ法)、又は、SYBER Green I等の核酸染色剤を遺伝子増幅用反応液中に加えて、遺伝子増幅反応とともに染色し、励起光を照射しながら増幅産物の増加をインターカレートした当該核酸染色剤から発せられる蛍光の強度を測定する方法等が挙げられる。定量的核酸増幅法を利用するキットが各メーカーから市販されており(例えば、SYBR Premix Extaq(TaKaRa Bio社)等)、それらを利用してもよい。増幅産物の検出及び定量化は、各メーカーから市販されている装置、例えば、ABI 7900HTリアルタイムPCRシステム、ABI7000リアルタイムRT-PCR(共にApplied Biosystems社)等を用いて行えばよい。具体的な方法については、当該装置に添付の取扱説明書に記載の方法に準じて行えばよい。

【0046】
(3)判定工程
「判定工程」とは、前記増幅工程後の増幅産物量に基づいて前記試料における腸内細菌科菌群の陽性又は陰性を判定する工程である。陽性の場合には、試料が腸内細菌科菌群で汚染されていることを意味し、陰性の場合には、試料が腸内細菌科菌群で汚染されていないことを意味する。

【0047】
判定方法は、前記増幅工程後の増幅産物量に基づいて行う。最も簡便な方法としては、前記増幅工程後にrplp遺伝子の増幅産物が検出された場合、すなわち増幅産物量が0でなかった場合には陽性と判定し、検出されなかった場合、すなわち増幅産物量が0であった場合には陰性と判定する方法が挙げられる。これらは、例えば、増幅産物をゲル電気泳動して、予想されるサイズのバンドが確認できるか否かによって判定することができる。バンドが確認できた場合には、陽性と判定すればよい。また、増幅工程で定量的核酸増幅法を用いた場合には、増幅産物の生成に伴う蛍光値の上昇によって判定することもできる。例えば、リアルタイムPCRでは、32~38サイクル、好ましくは33~37サイクル、より好ましくは34~36サイクル、最も好ましくは35サイクル前で蛍光値が立ち上がった場合には、陽性と判定すればよい。

【0048】
また、前記増幅工程後の増幅産物量を、腸内細菌科菌群を含まない対照試料の増幅産物量と比較し、対照試料に対して増幅産物量が統計学的に有意に多い場合には、前記試料が腸内細菌科菌群陽性であると判定する方法であってもよい。

【0049】
ここでいう「対照試料」とは、前記試料の対照となる試料であって、前記試料と同質又は概ね同質で、かつ同量又は概ね同量の、少なくとも腸内細菌科菌群を含まない試料を言う。例えば、25gの牛生肉を試料とする場合には、対照試料は、25gの牛生肉で腸内細菌科菌群を含まないことが明らかなものとなる。本明細書において「統計学的に有意」とは、試料及び対照試料のそれぞれにおける増幅産物の量的差異を統計学的に処理したときに、両者間に有意差があることをいう。具体的には、例えば、危険率(有意水準)が5%、1%又は0.1%より小さい場合が挙げられる。統計学的処理の検定方法は、有意性の有無を判断可能な公知の検定方法を適宜使用すればよく、特に限定しない。例えば、スチューデントt検定法、多重比較検定法を用いることができる。

【0050】
3-2.効果
本態様の腸内細菌科菌群検出方法によれば、試料から、培養工程を経ることなく迅速に、かつ腸内細菌科菌群のみを特異的に検出することが可能となる。したがって、短時間で検出可能な食品微生物検査法を提供することができる。

【0051】
4.腸内細菌科菌群定量方法
4-1.構成
本発明の第四態様は、腸内細菌科菌群定量方法である。本態様の腸内細菌科菌群定量方法は、抽出工程、定量増幅工程、及び測定工程を含む。以下、各工程について、具体的に説明をする。このうち抽出工程については、前記第三態様と同じであることから、その説明を省略し、ここでは本態様に特徴的な定量増幅工程、測定工程について説明する。

【0052】
(1)定量増幅工程
「定量増幅工程」とは、前記核酸抽出工程で抽出した核酸を鋳型として第1態様に記載のいずれかの腸内細菌科菌群検出用プライマーセットを用いて定量的核酸増幅反応を行う工程である。本工程は、実質的に前記第3態様の腸内細菌科菌群検出方法における増幅工程に記載した定量的核酸増幅法と同じである。したがって、当該増幅工程に記載した定量的核酸増幅法に準じて行なえばよい。

【0053】
(2)測定工程
「測定工程」とは、前記定量増幅工程で得られるCt値を検量式に代入して試料中の腸内細菌科菌群を定量的に測定する工程である。ここでいう「Ct値(Threshold Cycle value」とは、増幅産物がある一定量に達したときのサイクル数をいう。また、ここでいう「検量式」とは、既知菌数の段階希釈試料から抽出した核酸を鋳型として第1態様に記載のいずれかの腸内細菌科菌群検出用プライマーセットを用いて定量的核酸増幅反応を行うことにより各段階希釈試料の増幅産物量に基づいて導き出される式である。すなわち、検量式は、予め菌数を測定した菌液を段階希釈した段階希釈試料に対して、本態様の腸内細菌科菌群定量方法における抽出工程及び定量増幅工程を行い、定量的核算増幅反応の結果得られる各希釈段階の増幅産物量を示す増幅曲線等に基づいて検量線を作成した後、当該検量線から導き出せばよい。定量増幅工程で得られたCt値を検量式に代入することで、試料1g中における菌数を算出することができる。検量式の一例として、Ct値=-3 (logCFU/g)+37)が挙げられる。もちろん、検量式は、これに限られることはなく、他の既知菌数の段階希釈試料から検量式を新たに導き出してもよい。

【0054】
4-2.効果
本態様の腸内細菌科菌群定量方法によれば、試料から、培養工程を経ることなく腸内細菌科菌群のみを迅速に定量することができる。
【実施例】
【0055】
<実施例1:本発明の腸内細菌科菌群検出用プライマーセットによる腸内細菌科菌群の特異的検出>
(目的)
rplP遺伝子に対して設計された本発明の腸内細菌科菌群検出用プライマーセットが、腸内細菌科菌群を特異的に検出可能であることを検証する。
【実施例】
【0056】
(方法)
1.菌体培養
腸内細菌科菌群及び非腸内細菌科菌群には、表1に記載の菌種を用いた。これらは、菌株分譲機関由来標準菌株で、ATCC、JCM、又はIAMより入手した。
【実施例】
【0057】
【表1】
JP0005867147B2_000002t.gif
【実施例】
【0058】
表1に記載した各菌を10mLのTSB培地(Bacto-trypticase soy broth;1.7% Pancreatic Digest of Casein, 0.3% Papaic Digest Soybean, 0.5% NaCl, 0.25% K2HPO4, 0.25% Dextrose) )を加えて30℃で16時間培養した。
【実施例】
【0059】
2.DNA調製
培養後、1mLの各培養液を15,000Gにて5分間4℃で遠心して集菌した。菌体からのDNA抽出は、NucleoSpin Tissue(MACHEREY- NAGEL社)を用いて、添付のプロトコルに従い調製した。調製後のDNAは、50μLのElution Buffer(5 mM Tris/HCl, pH 8.5組成を記載)に溶解した(約50~300ng/μL)。抽出したDNAは5ng/μLに調製し、鋳型DNAとして使用した。
【実施例】
【0060】
3.PCRとゲル電気泳動
続いて、前記調製したDNAを鋳型として、PCR法により核酸増幅反応を行った。フォワードプライマーには、配列番号5で示される塩基配列のヌクレオチドを、リバースプライマーには、配列番号3で示される塩基配列のヌクレオチドを使用した。これらのプライマーセットを使用した場合、腸内細菌科菌群からは185塩基長のDNA断片が増幅される。
【実施例】
【0061】
DNAポリメラーゼには、TaKaRa Taq (Takara Bio)を用いた。反応バッファ等のPCR試薬は、TaKaRa Taqに添付の試薬を用いた。反応液における組成もTaKaRa Taqに添付のプロトコルで推奨されている反応組成を用いた。具体的には、鋳型DNAを5μL(250ngに相当)、15mM MgCl2含有10×Taqバッファを5μL、2.5mM dNTPを4μL、10pmol/μLのフォワードプライマー及びリバースプライマーを各4.5μL、及びTaq ポリメラーゼを0.25μL、滅菌水に混合し、総計50μLとした。PCRの反応条件は、95℃で初期変性を5分行った後、95℃15秒、60℃31秒の2ステップを30サイクル行った。反応後の反応液を5μL取り、3.0%アガロースゲル電気泳動(NuSieve 3:1アガロースゲル, FMC Bioproducts)にて電気泳動を行い、各細菌における増幅産物の有無を確認した。
【実施例】
【0062】
(結果)
図1に結果を示す。矢印は、当該PCRによって増幅したrplP遺伝子の増幅断片を示す。この図で示すように、本発明のプライマーセットを用いてPCRを行った場合、rplP遺伝子の増幅断片は、腸内細菌科菌群のみで検出され、非腸内細菌科菌群では検出されなかった。この結果から、本発明のプライマーセットは、腸内細菌科菌群のみを特異的に検出可能なプライマーセットであることが立証された。
【実施例】
【0063】
<実施例2:本発明の腸内細菌科菌群検出用プライマーセットの各種DNAポリメラーゼに対する適応性>
(目的)
本発明の腸内細菌科菌群プライマーがTaKaRa Taq以外の様々なDNAポリメラーゼに対しても腸内細菌科菌群を特異的に検出し得るかを確認する。
【実施例】
【0064】
(方法)
DNAポリメラーゼには、TaKaRa Taq(Takara Bio)、TaKaRa ExTaq (Takara Bio)、Taq DNA polymerase,Native (Invitrogen)、Platium PCR Super Mix(Invitrogen)及びMightyAmp DNA Polymerase Ver.2(Takara Bio)を用いた。使用したプライマーセットは、実施例1と同じである。反応バッファ等のPCR試薬は、TaKaRa Taqと同様に各DNAポリメラーゼに添付の試薬を用い、また反応液の組成も添付のプロトコルで推奨されている組成に準じた。具体的には、TaKaRa Taq(Takara Bio)では鋳型DNAを5μL(250ngに相当)、15mM MgCl2含有10×Taqバッファを5μL、2.5mM dNTPを4μL、10pmol/μLのフォワードプライマー及びリバースプライマーを各4.5μL、及びTaq ポリメラーゼを0.25μL、滅菌水に混合し、総計50μLとした。TaKaRa ExTaq (Takara Bio)では鋳型DNAを5μL(250ngに相当)、20mM MgCl2含有10×ExTaqバッファを5μL、2.5mM dNTPを4μL、10pmol/μLのフォワードプライマー及びリバースプライマーを各4.5μL、及びEx Taq ポリメラーゼを0.25μL、滅菌水に混合し、総計50μLとした。 Taq DNA polymerase,Native (Invitrogen)では10×PCR バッファを5μL、2.5mM dNTP Mixを4μL、50 mM MgCl2を1.5μL、10pmol/μLのフォワードプライマー及びリバースプライマーを各4.5μL、Taq DNAポリメラーゼを0.25μL、滅菌水に混合し、総計50μLとした。Platium PCR Super Mix(Invitrogen)では、鋳型DNAを5μL(250ngに相当)、1.65mM MgCl2、220μM dNTP、22 U/mL Taq DNA ポリメラーゼ含有Platium PCR Super Mixを45μL、10pmol/μLのフォワードプライマー及びリバースプライマーを各1μL滅菌水に混合し、総計50μLとした。MightyAmp DNA Polymerase Ver.2(Takara Bio)では4mM MgCl2、800μM dNTP含有2×MightyAmp Taq PCR Bufferを25μL、10pmol/μLのフォワードプライマー及びリバースプライマーを各4.5μL、及びMightyAmp Taq DNA ポリメラーゼを1μL、滅菌水に混合し、総計50μLとした。PCRの反応条件及び増幅産物の確認は、前記実施例1に記載の方法に準じた。
【実施例】
【0065】
(結果)
図2-1及び図2-2に結果を示す。実施例1と同様に、矢印は、当該PCRによって増幅したrplP遺伝子の増幅断片を示す。これらの図で示すように、それぞれのDNAポリメラーゼに添付の試薬を用いて、共通したPCR条件で核酸増幅反応を行った場合、いずれのDNAポリメラーゼでも腸内細菌科菌群を特異的に検出できることが明らかとなった。すなわち、本発明の腸内細菌科菌群検出用プライマーセットを用いれば、DNAポリメラーゼの種類に関係なく、また、種々のdNTP濃度や、プライマー濃度、MgCl2濃度においても腸内細菌科菌群のみを特異的に検出できることが立証された。
【実施例】
【0066】
<実施例3:本発明の腸内細菌科菌群検出用プライマーセットの定量性の確認>
(目的)
本発明の腸内細菌科菌群検出用プライマーセットが増幅産物の定量に使用できることを確認する。
【実施例】
【0067】
(方法)
1.菌体培養
腸内細菌科菌群には、当該菌群の代表的菌種である5種(Citrobacter freundii、Enterobacter aerogenes、Escherichia coli、Klebsiella pneumoniae、Proteus mirabilis)を用いた。各菌種は、菌株分譲機関由来標準菌株(JCM,IAM)より入手した。各菌種をそれぞれ10mLのTSB((Bacto-trypticase soy broth;1.7% Pancreatic Digest of Casein, 0.3% Papaic Digest Soybean, 0.5% NaCl, 0.25% K2HPO4, 0.25% Dextrose))で37℃にて16時間培養後、9mLの生理的食塩水で10倍、102倍、103倍で段階希釈した。各希釈溶液から1mLを取り、15,000gで4℃にて5分間遠心を行い集菌した後、NucleoSpin Tissue(MACHEREY-NAGEL社)を用いて、添付のプロトコルに従って菌体からDNAを抽出した。調製後のDNAは、50μLのElution Buffer(5 mM Tris/HCl, pH 8.5)に溶解した。
【実施例】
【0068】
2.リアルタイムPCR
本発明の腸内細菌科菌群検出用プライマーセットが定量的な使用が可能か否かは、リアルタイムPCRに供して確認した。各菌種より調製したDNAをSYBR Premix Ex Taq(Takara Bio)を用いてリアルタイムPCRに供した。使用したプライマーセットは、実施例1と同じである。反応液組成は、鋳型DNAを5μL、2×SYBR Premix Extaq (Takara Bio)を25μL、10pmol/μLのフォワードプライマー及びリバースプライマーを各4.5μL、及び滅菌水11μLに混合し、総計50μLとした。リアルタイムPCRの反応条件は、実施例1に記載のPCR反応条件(95℃で初期変性を5分行った後、95℃15秒、60℃31秒の2ステップを40サイクル)に従った。リアルタイムPCRの測定には、ABI 7900HTリアルタイムPCRシステム(Applied Biosystems)を用い、具体的な操作については、添付の取扱説明書に従った。
【実施例】
【0069】
上記PCRと並行して、前記希釈段階の溶液中における生菌数をTSA(Bacto-trypticase soy agar;1.5% Pancreatic Digest of Casein, 0.5% Papaic Digest Soybean, 0.5% NaCl, 0.25%, 1.5% Agar)平板へ塗抹した。塗抹後の平板を37℃一晩インキュベートして生じたコロニー数をカウントすることによって計測した。
【実施例】
【0070】
(結果)
図3-1及び図3-2に各菌種の各希釈段階におけるリアルタイムPCRの結果を示す。図3-1のAはCitrobacter freundiiの、BはEnterobacter aerogenesの、CはEscherichia coliの、また、図3-2のDはKlebsiella pneumoniaeの、そしてEはProteus mirabilisの、各希釈段階における増殖曲線を示す。この結果から、本発明の腸内細菌科菌群検出用プライマーセットは定量的核酸増幅反応においても使用可能であることが明らかとなった。
【実施例】
【0071】
続いて、得られた増殖曲線と平板培養で得られた生菌数に基づいて検量線を作成した。具体的には、蛍光増加が確認されなかった3サイクルから12サイクルの間にベースラインを設定し、閾値と増幅曲線の交わる点をThreshold cycle (Ct値)として縦軸にとり、平板培養で得られた生菌数を横軸として検量線を作成した。図4-1及び図4-2に、それぞれ図3-1及び図3-2の増殖曲線より得られた各菌種の検量線を示す。図4-1及び図4-2が示すように、検量線は、菌種間で極めて近似していた。そこで、これら5つの検量線を平均化した結果、Ct値=-3 (logCFU/g)+37を得ることができた。以下の実施例4では、この式を検量式として腸内細菌科菌群の定量に用いることとした。
【実施例】
【0072】
<実施例4:培養法との菌数比較評価>
(目的)
実施例3で得られた検量式(Ct値=-3(logCFU/g)+37)から算出される腸内細菌科菌群の菌数(コロニー数)が培養法による菌数と一致することを市販の食品を用いて確認する。
【実施例】
【0073】
(方法)
1.材料
食品サンプルは、実験当日、東京都内の小売店にて購入した。サラダ類16検体、野菜類11検体、肉類16検体、生食用魚介類10検体の計53検体を用いた(表2参照)。
【実施例】
【0074】
まず、各食品サンプルから25gを無菌的に量り取り、225mLのBPW培地内でストマッカー400-T(Seward社)を用いて60秒間230rpmでホモジナイズした。その後、9mL BPW培地で食品に応じて適宜希釈した。
【実施例】
【0075】
2.培養法による腸内細菌科菌群定量法
腸内細菌科菌群の培養法による検出、定量は、腸内細菌科菌群検出法の公定法であるISO21528-2に基づいて行った。
【実施例】
【0076】
前記ホモジナイズ後のサンプル希釈懸濁液1mLを滅菌シャーレに採り、47℃に冷却した腸内細菌科菌群の選択分離培地であるVRBG培地(0.3% Yeast extract, 0.7% Pepton, 0.5% NaCl, 0.15% Bile salts No.3, 1.0% Glucose, 0.003% Neutral red, 0.0002% Crystal violet, 1.2% Agar)を約10mL加え、混釈を行った。VRBG培地の固化後、さらに新たなVRBG培地を約15mL重層し、固化させた。37℃で24時間培養した後、暗赤色、紫色のコロニーを腸内細菌科菌群の典型コロニーとして、その菌数(コロニー数)を計測した。
【実施例】
【0077】
3.本発明の腸内細菌科菌群検出方法によるリアルタイムPCR法
(a)DNA抽出
前記ホモジナイズ後のサンプル希釈懸濁液1mLを15,000Gで4℃にて5分間遠心し、菌体を集菌した。菌体からのDNA抽出は、NucleoSpin Tissue(MACHEREY- NAGEL)を用いて、添付のプロトコルに従い行った。調製後のDNAは、50μLのElution Bufferに溶解した。
【実施例】
【0078】
(b)リアルタイムPCRによる検出
リアルタイムPCRの反応液組成、反応条件は、実施例3に記載の方法に準じて行った。ベースラインは蛍光増加が確認されなかった3サイクルから12サイクルの間に設定した。閾値と増幅曲線の交わる点をThreshold cycle (Ct値)とし、実施例3で求めた検量式(Ct値=-3(logCFU/g)+37)を用いて、食品中の腸内細菌科菌群数を推計した。
【実施例】
【0079】
(結果)
表2及び図5に結果を示す。図5は、表2をグラフ化したもので、培養法による結果を縦軸に、また本発明の腸内細菌科菌群定量方法によるリアルタイムPCR法による結果を横軸にとったものである。
【実施例】
【0080】
【表2】
JP0005867147B2_000003t.gif
JP0005867147B2_000004t.gif
【実施例】
【0081】
表2に示すように、リアルタイムPCR法を用いた本発明の腸内細菌科菌群検出方法(A:realtime PCR count)と培養法(B:VRBG Count)のそれぞれで得られた腸内細菌科菌群数の結果から、両方法よる菌数は、おおよそ±1オーダーの差異であった(表中、A-B)。また、図5からも、培養法で得られた菌数とリアルタイムPCR法で得られた菌数のプロットは、両菌数が等しいことを示す対角線(破線で示す)上にほぼ位置していることがわかる。これにより、培養法とリアルタイムPCR法による菌数がほぼ一致しており、本発明の腸内細菌科菌群定量方法によるリアルタイムPCR法が食品中の腸内細菌科菌群の定量に使用できることが立証された。
【実施例】
【0082】
なお、培養法ではほとんど菌が検出されなかったにもかかわらず、リアルタイムPCR法では検出されたことにより、前記対角線から若干外れたスポット(矢印で示す)があるが、これは培養法が生菌のみを定量するのに対して、本発明のリアルタイムPCR法は死後間もない菌であれば検出可能なことによる誤差である。このようにリアルタイムPCR法による定量法では、新たな死菌を定量結果に加算し得るものの、上述のようにその誤差範囲は極めて小さく本発明の定量方法の結果を多大な影響を及ぼすものではない。
図面
【図1】
0
【図2-1】
1
【図2-2】
2
【図3-1】
3
【図3-2】
4
【図4-1】
5
【図4-2】
6
【図5】
7