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明細書 :患者のツーウェイコールシステム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2014-176512 (P2014-176512A)
公開日 平成26年9月25日(2014.9.25)
発明の名称または考案の名称 患者のツーウェイコールシステム
国際特許分類 A61G  12/00        (2006.01)
A61G   7/05        (2006.01)
G08B  25/04        (2006.01)
FI A61G 12/00 E
A61G 12/00 Z
A61G 7/04
G08B 25/04 K
請求項の数または発明の数 4
出願形態 OL
全頁数 8
出願番号 特願2013-052487 (P2013-052487)
出願日 平成25年3月14日(2013.3.14)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用申請有り 1.「第11回日本看護技術学会学術集会 講演抄録集」の中表紙,ポスター作成要領及びスケジュール 2.「患者のしたい生活を支援する伝達センサーの開発」の発表ポスターのコピー
発明者または考案者 【氏名】加藤 真由美
【氏名】山下 智子
【氏名】西島 澄子
【氏名】宮下 悦子
【氏名】樋木 和子
出願人 【識別番号】504160781
【氏名又は名称】国立大学法人金沢大学
【識別番号】513063501
【氏名又は名称】医療法人社団浅ノ川
個別代理人の代理人 【識別番号】100114074、【弁理士】、【氏名又は名称】大谷 嘉一
審査請求 未請求
テーマコード 4C040
4C341
5C087
Fターム 4C040AA18
4C040GG01
4C040GG09
4C341LL10
5C087AA37
5C087DD29
5C087GG57
5C087GG83
要約 【課題】本発明は、患者の行動を抑制することなく転倒・転落事故を予防し患者が安全に生活できる支援を行うこと、および運動機能障害のある患者でも自分で看護師を呼べることでタイムリーに必要なケアを受けられる、看護システムを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、転倒・転落事故予防であれ、患者の意思を尊重したケアを行うことを支援するナースコール機能と、感知センサ機能とを有するツーウェイ コールシステムであって、患者の行動に伴い、手足等体の一部が触れる部位やベッド柵が降ろされた時に柵と接触する部位等に感知部材を配設したことで作動することを特徴とする。
【選択図】 図1
特許請求の範囲 【請求項1】
患者の身体抑制や行動制限を行わずにナースコール機能と、感知センサ機能とを有するツーウェイ コールシステムであって、
患者の行動に伴い、手足や体の一部が触れる部位に感知部材を配設したことを特徴とするツーウェイ コールシステム。
【請求項2】
ナースコールを押さずに単独で行動する転倒・転落事故リスクの高い認知機能が低下した患者を身体抑制や行動制限を行わずに察知でき、麻痺等により通常のナースコールを押せない患者が残存機能を用いることでセンサが感知し患者の訴えを察知できることを特徴とする請求項1記載のツーウェイ コールシステム。
【請求項3】
前記感知部材をベッドの柵,手すり,シーツの下等のベッドの一部,ポータブルトイレの手すり等の一部、もしくはベッド柵が降ろされた時に接触する部位に配置したことを特徴とする請求項1又は2記載のツーウェイ コールシステム。
【請求項4】
前記感知部材を病室の出入口に配置したことを特徴とする請求項1又は2記載のツーウェイ コールシステム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の行動を身体抑制や行動制限を伴うことなく感知できるとともに、運動機能障害のある患者の残存機能を活用することで患者に訴えがあることを感知できる、ナースコール機能を備えた患者の生活支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
看護の分野においては、患者が病室からナースコールボタンを押すことでナースステーションにナースコール伝達をするシステムが一般的である。
しかし、患者の中には歩行機能が低下し要介助であっても認知機能の低下や空間認識障害等によりナースコールを押さずに単独で行動することで転倒・転落事故が発生し、打撲や裂傷といった軽傷の損傷のみならず、骨折により寝たきりに移行したり、頭蓋内血腫等により死亡事故が発生している。
また、脊髄損傷等による運動機能障害により、呼吸苦等の訴えがあってもナースコールを押して知らせることができず、通常のケア時間に看護師が訪れるのを待たなければならず、苦痛が長引いたり、場合によっては緊急事態の対応が遅れることがある。
転倒・転落事故リスクの高い患者に対しては、足がマットに乗ることで感知するマットタイプのセンサをベッドサイドに設置することがあるが、レビー小体型認知症等では、濃い色のセンサーマットは穴が開いていると認識するため、それを飛び越えようとし、損傷が重症化するなど問題になっている。
濃い色以外のマットセンサも出回るようになったが、通常このタイプのマットは幅50~120cmと大きいため、ベッドサイドで作業をする看護師や介護士が自分でセンサを踏んでしまい、他の看護師・介護士がその都度訪室しなければならなかったり、自分で踏んでしまわないようセンサのスイッチを切って作業し、作業後にスイッチを入れ忘れて患者が転倒・転落するといった問題も起こっている。
ベッド柵を被うセンサ等もあるが、認知機能の低下が比較的軽度の患者の場合、感知するセンサ部分が大きいとそれを触ったり、踏んだりするたびに看護師・介護士が訪室することでセンサが在ることに気付き、患者が勝手にスイッチを消してしまうことが起こっている。
患者の衣服等にクリップをつけておいて、クリップが外れるとスイッチが入るクリップ式があるが、ひもでつながれているため患者が受ける拘束感は大きい。
クリップ式等は、身体がひもでつながれるだけではなく、ナースコール伝達でないため感知すると患者の周囲で音が鳴るため患者の羞恥心は大きく、患者への尊厳が問題になる。
ベッド脚下にセンサを設置するベッドセンサタイプやベッド上に大きなセンサパッドを敷くタイプは、身体の重心が変わることで作動する仕組みとなっているが、患者の体重により感度が変わるため誤作動が多い。
運動機能障害により自分でナースコールが押せない患者に対しては、設置してあるマウススティックを口唇でくわえ、タッチパネルの「ナースコール」表示をタッチすることで、ナースコール伝達システムに連動しているものがある。
しかし、呼吸苦等がある場合はマウスパッドを口でくわえることは困難であり、視覚障害を伴っている場合は操作できない、コンピューター等に慣れていない高齢者の場合使用方法習得が難しい等、使用者は限られている。
臨床工学技士から協力が得られる病院では、患者個人の障害に応じてナースコールに代わる用具が作られている。
しかし、それは個人に対して作成されており、他の障害の種類・程度の異なる患者は使用できない。
看護師に工学的知識がなくとも、運動機能障害のある患者の残存機能を見極め、患者個人の能力に応じて設置できるナースコール機能と感知センサ機能とを有する伝達システムはない。
【0003】
特許文献1には、人の荷重の増減及び空気圧の作用により作動するパネル式センサやマットスイッチで離床又は離席の検知を行う装置を開示するが、認知機能低下や運動機能障害を有する患者に適用できるものではない。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2005-152616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、患者の行動を抑制することなく転倒・転落事故を予防し患者が安全に生活できる支援を行うこと、および運動機能障害のある患者でも自分で看護師を呼べることでタイムリーに必要なケアを受けられる、看護システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、患者の身体抑制や行動制限を行わずにナースコール機能と、感知センサ機能とを有するツーウェイ コールシステムであって、患者の行動に伴い、手足や体の一部が触れる部位に感知部材を配設したことを特徴とする。
具体的には、患者の転倒・転落事故予防を図りつつ、患者の意思を尊重したケアを行うことを支援するナースコール機能と、感知センサ機能とを有するツーウェイ コールシステムであって、ナースコールを押さずに単独で行動する転倒・転落事故リスクの高い認知機能が低下した患者を身体抑制や行動制限を行わずに察知でき、麻痺等により通常のナースコールを押せない患者が残存機能を用いることでセンサが感知し患者の訴えを察知できる等、患者の行動に伴い、手足等体の一部が触れる部位やベッド柵が降ろされた時に柵と接触する部位等に感知部材を配設したことで作動することを特徴とする。
ここで、ツーウェイ コールと表現したのは、患者の手足や体の一部が触れたり、逆に触れていた体の一部が離れることを感知する機能とナースに伝達するためのナースコール機能との二双構成を有することをいう。
【0007】
例えば、前記感知部材をベッドの柵,手すり,シーツの下等のベッドの一部,ポータブルトイレの手すり等の一部、もしくはベッド柵が降ろされた時に接触する部位に配置する例や、感知部材を病室の出入口に配置した例が挙げられる。
患者がベッドの上で起き上がる場合や体を横にする場合に、手が自然とベッドの柵、手すり等に触れたり、握ったりする場合が多い。
また、患者がベッドから離れる場合にベッドの端部に腰掛けるようにしてから降りる場合が多い。
このような動作で患者が自然に触れる部位に感知部材(以下、必要に応じて本センサとも表現する)を配設した点に本発明の特徴がある。
また、患者が寝ているシーツの下に感知部材を配設しておき、患者がベッドから離れる際に感知部材と体との接触が外れることを感知してもよい。
感知部材が直接的に患者の手足や体の一部に触れる場合のみならず、夜間は患者の掛布団に感知部材を設置し、患者が排泄等で布団をめくり上げた際にセンサが感知する等、間接的に触れる場合も本発明に含まれる。
また、病室の出入口の床等に感知部材を配設し、患者が出入口を歩行車や車椅子等で走行するのを感知してもよい。
認知機能が低下した転倒・転落事故リスクの高い患者の場合は、ベッドの端に座った際に大腿部下で接触するよう本センサをそのシーツの下に設置しておく方法などがある。
認知機能が低下したからといっても、人は何らかの意思により行動をおこす。
感知した場合は、ナースコールで判別できるため、看護師・介護士は様々にしなければならないケアがある中でその患者へのケアの優先度を上げ、即座にその患者のもとに行き、患者の要望を聞き必要なケアを行うことで患者は納得し危険な行動は起こさなくなるため事故が予防できる。
運動機能障害により通常のナースコールが押せない患者の場合は、患者の残存機能を見極め、その機能を用いてセンサが感知するよう設置する。
前腕を2cmでも外側に動かせる場合は、外側2cm先に本センサを設置しておくと、患者は必要時前腕を動かしナースコール伝達する。
内側にわずかにしか動かせない患者の場合は、落下部に本センサ設置しておくと、前腕を拳上させた状態から内側に動かした際に前腕が落下し、腕の重みで本センサが感知する方法もとれる。
手指に障害がありナースコールボタンを押せない患者には、本センサ感知部位にテープ(ガムテープ等)で平たい板(ダンボルールの切れ端等)を設置しておくと、手掌等で押すことができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るシステムを用いると、早期に患者のしたい生活や身体の苦痛が分かり、適切に援助できる。
また、患者は生活に従った動きにより感知部材と触れたり離れたりするので、患者に与える精神的な負担がない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】ベッドに感知部材を取り付けた例を示し、(a)は柵(手すり)に配置した例、(b)は柵の支柱に配設した例を示す。
【図2】ベッドのシーツの下及び病室の出入口の床に感知部材を配設した例を示す。
【図3】シーツの下に感知部材を配設した例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明者らは、厚生労働省令(平成16年改正)の臨床研究に関する倫理指針を遵守しつつ、いくつかの事例検証を行ったので以下説明する。

【0011】
<事例1>
患者は呼吸苦があり体位変換や吸痰を伝えたいが、ほぼ完全四肢麻痺の状態のためナースコールのボタンを押すことができないが、前腕を外側方向に動かすことができる(肘関節を外側にずらす)機能は残存していた。
このような患者に対して、図1(a)に示すようにベッド1の床上で、患者の前腕から外側に2~3cm程度はなれたところに感知部材3を設置した。
感知部材は有線でも無線でもよく、患者が接触したことを感知し、ナースステーションに信号が送信されるものである。
この患者は左右側臥位のどちらかの体勢においても上肢が感知部材3に触れることができた。
この情報がナースセンターに伝達されることで患者は安心感がもて、患者を不憫に思っていた家族からもとても喜ばれた。

【0012】
<事例2>
患者は下肢筋力が低下し立位保持ができずナースコールボタンを押さない患者であり、ベッドから降りる時は常に同じ方向のベッド柵に掴まっている動作を確認した。
この患者に対して、図1(b)に示すように柵及び支柱2aに感知部材3aを配設した。
この結果、「本が落ちたら拾いたい、お向かいさんが呼んでいる」等の行動目的を確認しながら対応できた。

【0013】
<事例3>
患者は下肢筋力が低下し立位保持ができず、認知症で行動予測ができない。
そこで、図2に示すようにベッド1の端部のシーツの下に感知部材3bを配設した。
体の一部が感知部材3bに触れることで行動を察知でき、転倒・転落事故を予防できた。

【0014】
<事例4>
患者は重度の閉塞性肺疾患のため常時酸素療法が必要であり、患者が室外に出る際は、酸素ボンベに接続している鼻腔カニューラを患者に装着し、医師から指示された酸素流量になるよう酸素ボンベのバルブを開け、看護師・介護士は患者の歩行について行き、酸素ボンベスタンドに設置されているボンベを運ぶことになっていた。認知機能や歩行状態に問題のない患者の場合は、患者自身がボンベを操作し歩行時ボンベスタンドを携行する。しかし、この事例の場合は認知機能に低下がみられかつ軽度であったが歩行障害があるため、患者にはベッドを離れる際はナースコールを押して知らせるよう依頼していた。しかし、ナースコールを押さず、酸素を受けることなく行動し、血中酸素濃度が低下した。
何度説明してもナースコールのボタンを押さず、自分で動いてしまう患者であった。
ここで図2に示すように病室の出入口11(ドアを省略した)の床に感知部材3cを敷設した。
この患者には、酸素ボンベが携帯された車輪付きの歩行車を使用してもらうことにした。
その結果、病室の出入口に設置してある本センサの上を歩行車が通過するのを完全に感知でき、早期に酸素療法の確認と呼吸状態の観察ができたため、血中酸素濃度が低下することはなかった。

【0015】
本発明は上記事例に限定されるものではない。
例えば、患者がベッドに寝ている状態を感知すべく、図3に示すようにシーツ等の寝具の下に感知部材3dを配設し、起床,離床した状態を感知してもよい。
【符号の説明】
【0016】
1 ベッド
2 柵(手すり)
2a 支柱
3 感知部材
10 病室
11 出入口
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2