TOP > 国内特許検索 > 内視鏡操作システム > 明細書

明細書 :内視鏡操作システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5880952号 (P5880952)
公開番号 特開2013-192623 (P2013-192623A)
登録日 平成28年2月12日(2016.2.12)
発行日 平成28年3月9日(2016.3.9)
公開日 平成25年9月30日(2013.9.30)
発明の名称または考案の名称 内視鏡操作システム
国際特許分類 A61B   1/00        (2006.01)
FI A61B 1/00 320B
請求項の数または発明の数 6
全頁数 35
出願番号 特願2012-060468 (P2012-060468)
出願日 平成24年3月16日(2012.3.16)
審査請求日 平成26年10月29日(2014.10.29)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】506087705
【氏名又は名称】学校法人産業医科大学
【識別番号】504174135
【氏名又は名称】国立大学法人九州工業大学
発明者または考案者 【氏名】久米 恵一郎
【氏名】坂井 伸朗
【氏名】後藤 高彰
個別代理人の代理人 【識別番号】100099508、【弁理士】、【氏名又は名称】加藤 久
【識別番号】100093285、【弁理士】、【氏名又は名称】久保山 隆
審査官 【審査官】小田倉 直人
参考文献・文献 特開平07-194609(JP,A)
特開平06-138945(JP,A)
特開昭62-297080(JP,A)
特開2007-029232(JP,A)
特開2010-035874(JP,A)
特開2010-279688(JP,A)
調査した分野 A61B 1/00
特許請求の範囲 【請求項1】
軟性内視鏡の動作を指示するためのマスター装置と、前記マスター装置からの指示により軟性内視鏡を動作させるスレーブ装置と、前記マスター装置および前記スレーブ装置を制御する制御装置とを備え、
前記マスター装置は、
前記軟性内視鏡の進退方向を指示するためのマスターレール部、前記マスターレールをスライドさせることで前記軟性内視鏡の進退方向の操作となるマスター台座部、および前記軟性内視鏡の軸回転を指示するための前記台座部に設けられた指示部を備え、前記軟性内視鏡の動作指示する操作手段と、
前記マスター台座部の進退方向の動作状態を検出するマスター進退方向検出部、および前記指示部の軸回転方向の動作状態を検出するマスター軸回転検出部を備え、前記操作手段の動作状態を検出して、マスター状態信号を出力するマスター検出手段と、
前記マスター台座部のスライド力に対する反力を駆動するマスター進退方向駆動部、および前記指示部の軸回転に対する反力を駆動するマスター軸回転駆動部を備え、駆動信号により前記操作手段への操作力に対する反力を駆動するマスター駆動手段とを備え、
前記スレーブ装置は、
記軟性内視鏡を保持する支持手段と、駆動信号により前記軟性内視鏡を駆動するスレーブ駆動手段と、前記軟性内視鏡の動作状態を検出して、スレーブ状態信号を出力するスレーブ検出手段とを備え、
前記制御装置は、
記マスター装置からのマスター状態信号と、前記スレーブ装置からのスレーブ状態信号とに基づいた双方向力覚フィードバックにより、前記マスター装置および前記スレーブ装置への駆動信号を生成することで、前記マスター装置に加えられた操作力を前記スレーブ装置へ出力し、前記スレーブ装置に発生した力を前記マスター装置に出力することを特徴とする内視鏡操作システム。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記マスター検出手段からの位置情報を示すマスター状態信号と前記スレーブ装置からの位置情報を示すスレーブ状態信号との差分に基づいて現在速度に対する補正値である速度指令補正値を演算する共に、前記マスター検出手段からの力情報を示すマスター状態信号と前記スレーブ装置からの力情報を示すスレーブ状態信号とに基づいて、仮想ばね、仮想ダンパおよび仮想質量を組み合わせた力学モデルにより、新たな指示速度を生成して、前記マスター装置および前記スレーブ装置への駆動信号を生成することで双方向力覚フィードバックにおけるバイラテラル制御を行う請求項1記載の内視鏡操作システム。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記マスター検出手段からの位置情報を示すマスター状態信号に基づいて、新たな指示速度となる前記スレーブ装置への駆動信号を生成すると共に、前記マスター検出手段からの力情報を示すマスター状態信号と前記スレーブ装置からの力情報を示すスレーブ状態信号との差分に基づいて新たな指示速度となる前記マスター装置への駆動信号を生成する請求項1記載の内視鏡操作システム。
【請求項4】
前記スレーブ装置は、
前記支持手段として設けられた、前記軟性内視鏡を進退方向へスライドさせるためのスレーブレール部、前記スレーブレール部をスライドするスレーブ台座部、および前記軟性内視鏡を保持した状態で軸回転する前記スレーブ台座部に設けられた保持部と、
前記スレーブ駆動手段として設けられた、前記スレーブ台座部を進退方向へスライドさせるスレーブ進退方向駆動部および前記軟性内視鏡を軸回転させるスレーブ軸回転駆動部と、
前記スレーブ検出手段として設けられた、前記スレーブ台座部に掛かる力に基づいた情報を第1力情報として検出する第1力検出部および前記保持部に掛かる力に基づいた情報を第2検出力として検出する第2力検出部とを備え、
前記制御装置は、前記第1力検出部からの第1検出力から、前記第2力検出部からの第2検出力を差し引いた値を、前記スレーブ装置からの力情報を示すスレーブ状態信号とする請求項2または3記載の内視鏡操作システム。
【請求項5】
前記マスター装置は、
前記操作手段として設けられた、前記軟性内視鏡の進退方向および前記軟性内視鏡の軸回転を指示するための操作棒と、前記マスター検出手段として設けられた、前記操作棒の傾斜角度および傾斜方向を動作状態として検出する操作検出部と有するジョイスティックと、
前記マスター駆動手段として設けられた、前記軟性内視鏡の進退方向および前記操作棒による進退方向および軸回転への操作力に対する反力を駆動する操作棒駆動部と、
を備えた操作盤としたものである請求項1または3記載の内視鏡操作システム。
【請求項6】
前記制御装置は、前記スレーブ装置からのスレーブ状態信号および/またはマスター装置からのマスター状態信号の状態を表示装置に表示させる機能を備えた請求項1からのいずれかの項に記載の内視鏡操作システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、軟性内視鏡を操作・制御することができる内視鏡操作システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
軟性内視鏡は、大腸や食道、胃、十二指腸などの消化管のポリープ・潰瘍などの検査や、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)に代表される手術に使用される重要な医療機器である。軟性内視鏡による検査を行う操作者は、異常を見逃さないように相当な集中力を要する。また、手術においては、集中力だけでなく、手術時間が長時間に及ぶため体力も必要である。
集中力や体力が必要な検査や手術を行う操作者の負担を軽減する内視鏡操作システムが知れている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1に記載の内視鏡遠隔操作システムは、被術者の消化管に挿入される消化管内視鏡を保持し、消化管内視鏡の各部を駆動する本体部と、本体部へ操作の指示をする操作制御部とを備えたものである。軟性内視鏡を遠隔操作すれば、座位の姿勢でも検査や手術を行うことができる。
【0004】
一方、軟性内視鏡による検査、特に大腸の内視鏡検査は、程度の差はあるが腹満感や疼痛等の苦痛を伴う。中には、お産より痛く苦しかったとの感想を述べる女性もいるし、怒りを訴えられることもある。このような疼痛の原因の第一は、大腸を腹腔内で支える役割をしている腸間膜が、軟性内視鏡の挿入により過伸展させられることにより起こる。従って、内視鏡検査医は、この過伸展をなるだけ起こさぬように軟性内視鏡を挿入する技術が必要である。
【0005】
そこで、軟性内視鏡を遠隔操作する際の挿入性や操作性を向上させるために、軟性内視鏡の挿入部が進行し難くなったことを操作側へ通知する内視鏡操作装置が開発されている(例えば、特許文献2参照。)。
特許文献2には、内視鏡の湾曲部を上下左右に湾曲させる2対の4本のワイヤを牽引・弛緩するためのサーボモータを制御する受動コントロールが、サーボモータからの位置信号(エンコーダ信号)、およびポテンショメータからの位置信号を基に、挿入操作に伴う外界の力が印加されたことを判断すると、その操作力量に対応した反力を発生するように、湾曲駆動手段、あるいは内視鏡挿入部の進退を駆動する駆動手段を受動的に制御する医療用制御装置が記載されている。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開2010-279688号公報
【特許文献2】特開2005-137701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
軟性内視鏡の挿入操作は、左手によるスコープの回旋と右手による挿入動作の「内臓感覚」を頼りに行なっている。一方、挿入操作による過伸展やその他の原因による患者の苦痛は、必ずしも強い力による無理な挿入によって起こるわけではない。軟体で一定の物理特性を有していない大腸への挿入は、挿入による力・挿入速度・加速度に比例して苦痛が生ずるわけではない。小さな力・挿入速度・加速度でも、例えばそれが腸間膜を伸展させる方向に働けば強い疼痛となるし、そうでない方向に働けば、大きな力・挿入速度・加速度でも、ほとんど疼痛を感じないこともある。検査時間の短縮のために、苦痛を感じない場面では、臓器側からの強い反力を感じながらも挿入操作に大きな力・挿入速度・加速度を用いる場面もある。
【0008】
従って、内視鏡検査医の感覚に臓器側からの力覚・反力(力・挿入速度・加速度)が正確にフィードバックされるだけでなく、臓器側にも挿入操作による力・挿入速度・加速度が等質・等量で同時に伝達され出力されていなければならない。現在、通常行っているように用手的な内視鏡挿入操作をしている場合、内視鏡医はこの伝達を無意識に前提としている。
【0009】
しかし、このような内視鏡検査医の実情があるにも関わらず、特許文献2に記載の医療用制御装置では、臓器側からの反力に基づいた一方向の力覚フィードバックであり、この内視鏡検査医の無意識の前提を担保していない。
【0010】
そこで本発明は、より実際の感触に近い操作感覚が得られることにより、精度の高い操作性を図ることができる内視鏡操作システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の内視鏡操作システムは、軟性内視鏡の動作を指示するためのマスター装置と、前記マスター装置からの指示により軟性内視鏡を動作させるスレーブ装置と、前記マスター装置および前記スレーブ装置を制御する制御装置とを備え、前記マスター装置は、前記軟性内視鏡の動作指示する操作手段と、前記操作手段の動作状態を検出して、マスター状態信号を出力するマスター検出手段と、駆動信号により前記操作手段への操作力に対する反力を駆動するマスター駆動手段とを備え、前記スレーブ装置は、前記軟性内視鏡を保持する支持手段と、駆動信号により前記軟性内視鏡を駆動するスレーブ駆動手段と、前記軟性内視鏡の動作状態を検出して、スレーブ状態信号を出力するスレーブ検出手段とを備え、前記制御装置は、前記マスター装置からのマスター状態信号と、前記スレーブ装置からのスレーブ状態信号とに基づいた双方向力覚フィードバックにより、前記マスター装置および前記スレーブ装置への駆動信号を生成することで、前記マスター装置に加えられた操作力を前記スレーブ装置へ出力し、前記スレーブ装置に発生した力を前記マスター装置に出力することを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、制御装置が、マスター装置とスレーブ装置の双方からの動作状態を加味して制御するので、単にスレーブ装置の動作状態をマスター装置へ反映させて、操作力に対する反力を発生させるだけでなく、マスター装置を操作することによるマスター装置の動作状態がスレーブ装置へ反映される共に、スレーブ装置に発生した動作状態がマスター装置へ反映される。従って、双方向力覚フィードバックにより、操作者が軟性内視鏡を無意識に操作する際の力覚が、マスター装置の操作でも再現できる。
【0013】
前記制御装置が、前記マスター検出手段からの位置情報を示すマスター状態信号と前記スレーブ装置からの位置情報を示すスレーブ状態信号との差分に基づいて現在速度に対する補正値である速度指令補正値を演算する共に、前記マスター検出手段からの力情報を示すマスター状態信号と前記スレーブ装置からの力情報を示すスレーブ状態信号とに基づいて、仮想ばね、仮想ダンパおよび仮想質量を組み合わせた力学モデルにより、新たな指示速度を生成して、前記マスター装置および前記スレーブ装置への駆動信号を生成することで、バイラテラル制御による双方向力覚フィードバックが可能となる。
【0014】
前記制御装置を、前記マスター検出手段からの位置情報を示すマスター状態信号に基づいて、新たな指示速度となる前記スレーブ装置への駆動信号を生成すると共に、前記マスター検出手段からの力情報を示すマスター状態信号と前記スレーブ装置からの力情報を示すスレーブ状態信号との差分に基づいて新たな指示速度となる前記マスター装置への駆動信号を生成するようにしても、双方向力覚フィードバックが可能となる。
【0015】
前記スレーブ装置は、前記支持手段として設けられた、前記軟性内視鏡を進退方向へスライドさせるためのスレーブレール部、前記スレーブレール部をスライドするスレーブ台座部、および前記軟性内視鏡を保持した状態で軸回転する前記スレーブ台座部に設けられた保持部と、前記スレーブ駆動手段として設けられた、前記スレーブ台座部を進退方向へスライドさせるスレーブ進退方向駆動部および前記軟性内視鏡を軸回転させるスレーブ軸回転駆動部と、前記スレーブ検出手段として設けられた、前記スレーブ台座部に掛かる力に基づいた情報を第1力情報として検出する第1力検出部および前記保持部に掛かる力に基づいた情報を第2検出力として検出する第2力検出部とを備え、前記制御装置は、前記第1力検出部からの第1検出力から、前記第2力検出部からの第2検出力を差し引いた値を、前記スレーブ装置からの力情報を示すスレーブ状態信号とするのが望ましい。
【0016】
軟性内視鏡は、保持部に保持され、スレーブ台座部に搭載されてスレーブレール部によりスライドする。従って、スレーブ台座部に掛かる力に基づいた第1力情報を検出する第1力検出部からの検出力は、少なくとも保持部の重量が加味された値となる。制御装置が、第1力検出部からの第1力情報から、第2力検出部による第2力情報を差し引いた値を、スレーブ装置からの力情報を示すスレーブ状態信号として新たな指示速度を生成するので、軟性内視鏡自体に掛かる力を間接的に算出して制御を行うことができる。従って、誤差の少ない制御を行うことができる。
【0017】
前記マスター装置は、前記操作手段として設けられた、前記軟性内視鏡の進退方向を指示するためのマスターレール部、前記マスターレールをスライドさせることで前記軟性内視鏡の進退方向の操作となるマスター台座部、および前記軟性内視鏡の軸回転を指示するための前記台座部に設けられた指示部と、前記マスター駆動手段として設けられた、前記マスター台座部のスライド力への反力を駆動するマスター進退方向駆動部、および前記指示部の軸回転への反力を駆動するマスター軸回転駆動部とを備え、前記マスター検出手段として設けられた、前記マスター台座部の進退方向の動作状態を検出するマスター進退方向検出部、および前記指示部の軸回転方向の動作状態を検出するマスター軸回転検出部とを備えたものであるのが望ましい。
【0018】
マスター装置をこのような構成とすることにより、操作者が軟性内視鏡を進退させるときには、マスターレール部にマスター台座部をスライドさせ、軟性内視鏡を軸回転させるときには、指示部を回転させる。従って、軟性内視鏡の動作方向と同じ方向へマスター装置を操作すればよいので、直感的な操作が可能である。
【0019】
前記マスター装置は、前記操作手段として設けられた、前記軟性内視鏡の進退方向および前記軟性内視鏡の軸回転を指示するための操作棒と、前記マスター検出手段として設けられた、前記操作棒の傾斜角度および傾斜方向を動作状態として検出する操作検出部と有するジョイスティックと、前記マスター駆動手段として設けられた、前記軟性内視鏡の進退方向および前記操作棒による進退方向および軸回転への操作力への反力を駆動する操作棒駆動部と、を備えた操作盤としたものであるのが望ましい。
【0020】
マスター装置をこのような構成とすることにより、操作者が軟性内視鏡を進退させたり、軟性内視鏡を軸回転させるときには、ジョイスティックを倒したり、回転させたりすることで、容易に軟性内視鏡を操作することができる。
【0021】
前記制御装置は、前記スレーブ装置からのスレーブ状態信号および/またはマスター装置からのマスター状態信号の状態を表示装置に表示させる機能を備えると、力覚だけでなく視覚的に軟性内視鏡に掛かる力を把握することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の内視鏡操作システムは、双方向力覚フィードバックにより、操作者が軟性内視鏡を無意識に操作する際の力覚が、マスター装置の操作でも再現できるので、操作者はより実際の感触に近い操作感覚が得られる。よって、精度の高い操作性を図ることができるので、用手的に内視鏡挿入操作をしている操作者の使用を満足させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態に係る内視鏡操作システムを示す図である。
【図2】図1に示す内視鏡操作システムのスレーブ装置の斜視図である。
【図3】図1に示す内視鏡操作システムのスレーブ装置の右側面図である。
【図4】図1に示す内視鏡操作システムのスレーブ装置の前端部の拡大斜視図である。
【図5】図1に示す内視鏡操作システムのスレーブ装置の後端部の拡大斜視図である。
【図6】図1に示す内視鏡操作システムのスレーブ装置の可動部の拡大斜視図である。
【図7】図1に示す内視鏡操作システムのスレーブ装置の可動部の右側面図である。
【図8】図1に示す内視鏡操作システムのスレーブ装置の可動部の正面図である。
【図9】図1に示す内視鏡操作システムのスレーブ装置の可動部の背面図である。
【図10】図1に示す内視鏡操作システムのマスター装置の斜視図である。
【図11】図1に示す内視鏡操作システムのマスター装置の可動部の拡大斜視図である。
【図12】図1に示す内視鏡操作システムのマスター装置の右側面である。
【図13】図1に示す内視鏡操作システムのマスター装置の正面図である。
【図14】図1に示す内視鏡操作システムのマスター装置の背面図である。
【図15】図1に示す内視鏡操作システムの制御装置を示すブロック図である。
【図16】図1に示す内視鏡操作システムを示すブロック線図であり、軟性内視鏡を進退方向に動作させる際の図である。
【図17】図1に示す内視鏡操作システムを示すブロック線図であり、軟性内視鏡を軸回転方向に動作させる際の図である。
【図18】図1に示す内視鏡操作システムを示すブロック線図であり、軟性内視鏡の挿入部を上下左右方向に動作させる際の図である。
【図19】図15に示す制御装置の進退方向制御部を示す図である。
【図20】図15に示す制御装置の軸回転制御部を示す図である。
【図21】図15に示す制御装置の表示制御部により表示装置に表示された表示画面の一例を示す図である。
【図22】内視鏡操作システムのマスター装置を操作盤とした一例を示す斜視図である。
【図23】図22に示す操作盤のジョイスティックの構成を示す概略図である。
【図24】図22に示す操作盤を採用したときの制御装置の進退方向制御部を示す図である。
【図25】図22に示す操作盤を採用したときの制御装置の軸回転制御部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施の形態に係る内視鏡操作システムを、図面に基づいて説明する。なお、本明細書においては、軟性内視鏡を被術者の体内へ挿入したり、排出したりする方向を進退方向と称し、被術者の体内に挿入される軟性内視鏡の挿入部の軸線回りに回転することを軸回転と称する。
図1に示すように、内視鏡操作システム1は、被術者側となるスレーブ装置2と、操作側となるマスター装置3と、スレーブ装置2とマスター装置3とを制御する制御装置4と、モータドライバ装置5,6(図16から図18参照)と、表示装置7と、入力装置8とを備えている。

【0025】
まず、スレーブ装置2の構成について、図2から図9に基づいて説明する。
スレーブ装置2は、スレーブ装置2全体を支持する基台部21と、進退方向に移動する可動部22と、軟性内視鏡Eの挿入部を進退方向に沿って吊り下げた状態で支持する懸架部23とを備えている。

【0026】
基台部21(支持手段)は、キャスターと支持脚とが設けられたフレーム部211と、フレーム部211の長手方向(進退方向)に沿って配置された2本のレール部212と、レール部212により案内される可動部22を進退方向に移動させる進退方向駆動部213と、進退方向駆動部213の動作状態を検知するロータリエンコーダ214とを備えている。

【0027】
フレーム部211は、平行な2本の棒部材211aの両端を連結部材211bにより固定することで平面視矩形状に形成されている。
レール部212(スレーブレール部)は、連結部材211b同士の間に配置された平行の2本の丸棒部材により形成されている。
進退方向駆動部213(スレーブ駆動手段,スレーブ進退方向駆動部)は、可動部22に接続固定された無端ベルト213aと、無端ベルト213aを移動させる従動プーリ213bおよび駆動プーリ213cと、駆動プーリ213cと同軸に配置されたプーリ213dを、無端ベルトを介して回転駆動するモータ213eとを備えている。
ロータリエンコーダ214(スレーブ検出手段)は、モータ213eの回転情報を、位置情報(スレーブ位置)として、進退方向位置信号(スレーブ状態信号)により出力する。

【0028】
可動部22は、レール部212をスライドする台座部221と、台座部221に設けられたスライダ222と、スライダ222上に設けられた支持部材により支持され、軟性内視鏡Eを軸回転させる軸回転駆動部223と、軸回転駆動部223の動作状態を検出するロータリエンコーダ224aとトルクセンサ224bと、軟性内視鏡Eを保持する保持部225と、軟性内視鏡Eのハンドル部を駆動する2つのハンドル駆動部226と、軟性内視鏡Eのハンドル部の動作状態を検出するハンドル検出部(図示せず)と、スライダ222の固定側(台座部221側)および可動側の間に設けられ、両方に固定されたロードセル228aと、可動部22の加速度を検出する加速度センサ228bを備えている。

【0029】
台座部221(支持手段,スレーブ台座部)は、レール部212に取り付けられた移動ステージである。
スライダ222は、進退方向が長手方向となる矩形状の板体(固定側)とこの板体を溝内に内包して被さる断面凹状の板体(可動側)とから構成され、可動側が進退方向へスライドする。
軸回転駆動部223(スレーブ駆動手段,スレーブ軸回転駆動部)は、駆動源となるモータ223aと、モータ223aにより回転駆動される駆動プーリ223bと、駆動プーリ223bにより周回する無端ベルト223cと、無端ベルト223cにより周回して保持部225を軸回転させる従動プーリ223dとを備えている。

【0030】
ロータリエンコーダ224a(スレーブ検出手段)は、モータ223aよる可動部22の回転を検出し、スレーブ装置2の軸回転の位置情報(スレーブ位置)を軸回転の位置信号(スレーブ状態信号)により軸回転の動作状態として出力する。
トルクセンサ224b(スレーブ検出手段,第1力検出部)は、モータ223aによる可動部22の軸回転の力に基づく第1力情報として検出し、このスレーブ装置2の軸回転の第1力情報(スレーブ検出力)を、軸回転の力信号(スレーブ状態信号)により、軸回転の動作状態として出力する。
保持部225(支持手段)は、軟性内視鏡Eのハンドル部が収納され、ハンドル駆動部226(上下ハンドル駆動部226a,左右ハンドル駆動部226b)が取り付けられた状態で、軸回転する。

【0031】
ハンドル駆動部226は、上下アングルハンドルを駆動する上下ハンドル駆動部226aと左右アングルハンドルを駆動する左右ハンドル駆動部226bとを備えている。
上下ハンドル駆動部226aは、上下アングルハンドルを内包する平歯車と、駆動源となるモータとを備え、保持部225の天板の裏側面に設けられている。
左右ハンドル駆動部226bも同様にして、左右アングルハンドルを内包する平歯車と、駆動源となるモータとを備え、保持部225の天板の裏側面に設けられている。
ハンドル検出部は、上下ハンドル検出部と左右ハンドル検出部とを備え、上下アングルハンドルおよび左右アングルハンドルの動作状態を検出するロータリエンコーダである。

【0032】
ロードセル228a(スレーブ検出手段,第1力検出部)は、スライダ222に搭載された各部の荷重によりスライダ222がスライドすることで生じるロードセル228aのひずみを、可動部22(軟性内視鏡E)に掛かる力に基づく第1力情報として検出し、このスレーブ装置2の進退方向の第1力情報(スレーブ検出力)を、進退方向の力信号(スレーブ状態信号)により進退方向の動作状態として出力するひずみセンサである。
加速度センサ228b(スレーブ検出手段,第2力検出部)は、保持部225に設けられている。加速度センサ228bは、可動部22(軟性内視鏡E)の進退方向および軸回転の加速度を保持部225に掛かる力に基づく第2力情報として検出し、このスレーブ装置2の進退方向または軸回転における第2力情報を進退方向加速信号(検出加速度)として出力する。

【0033】
懸架部23は、軟性内視鏡Eの被術者の体内に挿入される長尺の挿入部を支持するものである。
懸架部23は、基台部21の一方の側部に設けられた略L字状の3本の支柱部231と、支柱部231のそれぞれの上部に架設された梁部232と、支柱部231の上部に設けられた固定部材233と、固定部材233に架設された断面凹状のレール部234と、軟性内視鏡Eの挿入部を一端部のリングに挿通させて吊り下げ、他端部がレール部234をスライドする吊り下げ部材235とを備えている。

【0034】
次に、マスター装置3について、図10から図14に基づいて説明する。
マスター装置3は、マスター装置3全体を支持する基台部31と、進退方向に移動する可動部32と、リニアエンコーダ33と、シャフトモータ34とを備えている。

【0035】
基台部31は、平面視矩形状のフレーム部311と、可動部32のスライドを安定した滑りとするための案内溝が形成された案内板312とを備えている。
案内板312(マスターレール部)は、長手方向に沿って可動部32が移動するための案内溝として直線状溝が両側面に設けられている。

【0036】
可動部32は、案内板312をスライドする台座部321と、台座部321に設けられたスライダ322と、スライダ322上に設けられた支持部材と軸受により支持され、軟性内視鏡Eを進退方向へ指示したり、軸回転を指示したりするための指示部323と、指示部323の動作状態を検出するロータリエンコーダ324aおよびトルクセンサ324bと、操作者の操作力に反力を駆動する軸回転駆動部325と、軟性内視鏡Eの上下アングルハンドルの駆動および左右アングルハンドルの駆動を指示するハンドル指示部326と、スライダ322の固定側(台座部321側)および可動側の間に設けられ、両方に固定されたロードセル327とを備えている。

【0037】
台座部321(マスター台座部)は、案内板312およびシャフトモータ34に取り付けられた移動ステージである。
スライダ322は、進退方向が長手方向となる矩形状の板体(固定側)とこの板体を溝内に内包して被さる断面凹状の板体(可動側)とから構成され、可動側が進退方向へスライドする。
指示部323(操作手段)は、操作者が把持して、可動部32を進退方向へ移動させたり、回転させたりする把手である。
ロータリエンコーダ324a(マスター検出手段)は、指示部323による可動部32の回転を検出し、マスター装置3の軸回転の位置情報(マスター位置)を軸回転の位置信号(マスター状態信号)により軸回転の動作状態として出力する。

【0038】
トルクセンサ324b(マスター検出手段)は、指示部323による可動部32の軸回転の力を検出し、このマスター装置3の軸回転の力情報(マスター検出力)を、軸回転の力信号(マスター状態信号)により、軸回転の動作状態として出力する。
軸回転駆動部325(マスター駆動手段,マスター軸回転駆動部)は、指示部323への軸回転の操作力に対する反力を駆動するモータである。
ハンドル指示部326(操作手段)は、操作棒を前後左右に移動させ、内蔵された操作検出部が操作棒の傾斜角度および傾斜方向を動作状態として検出して、制御装置4へ通知する、軟性内視鏡Eの挿入部の先端へ湾曲方向を指示するためのジョイスティックである。

【0039】
ロードセル327(マスター検出手段)は、指示部323の操作によりスライダ322がスライドすることで生じるロードセル327のひずみを、可動部32に掛かる力として検出し、このマスター装置3の進退方向の力情報(マスター検出力)を、進退方向の力信号(マスター状態信号)により進退方向の動作状態として出力するひずみセンサである。

【0040】
リニアエンコーダ33(マスター検出手段)は、スケール部331と、センサ部332とにより構成されている。
スケール部331は、フレーム部311に設けられている。スケール部331は、進退方向の位置を示すもので、本実施の形態では光学式を用いている。センサ部332は、照射した光がスケール部331に反射した戻り光を電気信号に変換して出力することで、マスター装置3の進退方向の位置情報(マスター位置)を、進退方向の位置信号(マスター状態信号)により進退方向の動作状態として出力する。

【0041】
シャフトモータ34(マスター駆動手段,マスター進退方向駆動部)は、進退方向への操作力に対する反力を駆動するものである。シャフトモータ34は、シャフト部341と可動子342とにより構成される。シャフト部341は、フレーム部311の長手方向(進退方向)に沿って配置され、内部に磁石が内蔵された丸棒部材により形成されている。
シャフト部341と対をなす可動子342は、コイルを内蔵した円筒状体であり、シャフト部341に沿って移動する。

【0042】
次に、制御装置4について図15から図21に基づいて説明する。
制御装置4は、コンピュータ上で内視鏡制御プログラムが動作するコンピュータにより実現されている。制御装置4は、図15に示すように、進退方向制御部41と、軸回転制御部42と、ハンドル制御部43と、表示制御部44と、入力制御部45と、記憶部46と、出力部47とを備えている。

【0043】
進退方向制御部41は、軟性内視鏡Eの進退方向への移動を制御するものである。軸回転制御部42は、軟性内視鏡Eの軸回転の制御するものである。ハンドル制御部43は、軟性内視鏡Eの上下アングルハンドルおよび左右アングルハンドルの制御するものである。進退方向制御部41,軸回転制御部42,ハンドル制御部43からの駆動信号はモータドライバ装置5,6を介してスレーブ装置2,マスター装置3へ送られる。
表示制御部44は、進退方向制御部41、軸回転制御部42およびハンドル制御部43から情報を受けて、表示装置7へ表示する機能を備えている。入力制御部45は、入力装置8からの入力情報に基づいて制御装置4全体を制御する。

【0044】
記憶部46は、マスター装置3により操作されたときの進退方向および軸回転の位置と力、挿入部の上下方向および左右方向の屈曲の位置と力のそれぞれのデータが格納される。記憶部46は、高速でアクセスが可能で大容量なハードディスクやフラッシュメモリとすることができる。
出力部47は、記憶部46に格納されたデータを外部へLAN(Local Area Network)やUSB(Universal Serial Bus)を介して出力する。出力部47の出力形式は任意のものが採用できるが、例えば、CSV(Comma Separated Values)としたり、バイナリデータとしたりすることができる。
記憶部46により各データが保存でき、出力部47によりデータが取り出せるので、熟練の操作者の操作を、未熟な操作者が、後で学習して、習熟度を向上させることができる。

【0045】
モータドライバ装置5,6は、制御装置4からの駆動信号を受け、各モータを駆動する制御電流を発生する。また、モータドライバ装置5,6は、それぞれの動作状態の信号を受け、適正な制御を行う機能を有している。モータドライバ装置5,6は一般の市販品が使用でき、状況に応じて省略することも可能である。

【0046】
表示装置7は、制御装置4からの表示信号に基づいてディスプレイに表示するものである。表示装置7は、CRTやLCD、有機ELディスプレイとすることができる。入力装置8は、制御装置4がコンピュータであれば、キーボードとすることができる。また、入力装置8は、始動・停止・いくつかの制御キーを備えた操作盤とすることができる。

【0047】
以上のように構成された本発明の実施の形態に動作および使用状態について、図16から図21に基づいて説明する。図16から図18は、それぞれ、軟性内視鏡Eを進退方向へ動作させたとき、軸回転させたとき、挿入部の先端を上下方向や左右方向に動作させたときのブロック線図を示すものであるが、本実施の形態では、軟性内視鏡Eの進退方向の制御と、軸回転の制御について説明する。

【0048】
操作者が、マスター装置3の指示部323を把持して、可動部32を進退方向へ移動させると、制御装置4がスレーブ装置2の可動部22を同方向へ移動させる。

【0049】
図16に示すように、マスター装置3の可動部32が進退方向へ移動すると、リニアエンコーダ33から進退方向の位置情報が制御装置4へ出力され、ロードセル327から力信号が出力される。
また、スレーブ装置2の可動部22が進退方向へ移動すると、ロータリエンコーダ214から進退方向の位置情報が制御装置4へ出力され、ロードセル228aから力信号が出力され、加速度センサ228bから加速度信号が出力される。
制御装置4では、進退方向制御部41に、それぞれの情報が入力される。

【0050】
ここで、進退方向制御部41にて行われるバイラテラル制御について、図19に基づいて説明する。
図19に示すように、進退方向制御部41では、マスター装置3のリニアエンコーダ33からの進退方向の位置情報(マスター位置)とスレーブ装置2のロータリエンコーダ214からの進退方向の位置情報(スレーブ位置)とが、減算器411により減算され、マスター位置とスレーブ位置との差分である位置偏差が算出される。減算器411により減算されることで得られた位置偏差が、演算器412により速度に変換され、この速度が現在速度に対する補正値である進退方向の速度指令補正値として算出される。本実施の形態では、演算器412による演算を、位置偏差に係数を掛ける比例式に基づいて行なっている。この係数は、様々な方法で決定できるが、本実施の形態の演算器412では、ぎりぎり発振しない大きい値を、実験的に求めている。

【0051】
また、進退方向制御部41では、マスター装置3のロードセル327からの進退方向の力情報と、スレーブ装置2のロードセル228aからの進退方向の力情報とが、仮想モデルによる速度生成器413に入力されるが、スレーブ装置2のロードセル228aからの進退方向の力情報は、事前に、スレーブ装置2の加速度センサ228bからの検出加速度をF=ma(但し、mはロードセル228aが搭載されたスライダ222より上の可動部22の重量、aは加速度センサ228bが検出した加速度。)を演算する演算器414により力に変換した値に変換され、減算器415にて減算される。

【0052】
これは、スレーブ装置2のロードセル228aからの進退方向の力情報には、軟性内視鏡Eを保持する保持部225を含む可動部22全体の重量が加味された値となっているため、予め、ロードセル228aからの進退方向の力情報から加速度センサ228bが検出した加速度に基づく力情報を減算器415にて差し引くことで、保持部225を含む可動部22と軟性内視鏡Eとの重さを打ち消すことができる。従って、軟性内視鏡Eを改造せずに、そのまま使用でき、誤差の少ない制御を行うことができる。

【0053】
なお、本実施の形態では、第2力検出部として加速度センサ228bを用い、制御装置4の演算器414にて力に変換しているが、保持部225に掛かる力が直接検出できれば加速度センサ228bを力センサとしてもよい。また、可動部22に掛かる力が推定できる情報(第2力情報)が検出できれば、他のものを使用して第2検出部を構成してもよい。
また、ロードセル228aにおいても、保持部225に掛かる力が推定できる情報(第1力情報)が検出できれば、他のものを使用して第1力検出部を構成してもよい。
この場合、進退方向制御部41内の演算器414のように、第1力情報または第2力情報を必要に応じて演算器で力に変換することで対応が可能である。
例えば、位置情報であれば2回微分して質量を乗算したり、速度情報であれば1回微分して質量を乗算したりすることで力情報に変換することができる。

【0054】
速度生成器413では、仮想ばね、仮想ダンパおよび仮想質量を組み合わせた仮想モデルに、マスター装置3のロードセル327からの進退方向の力情報が示す力と、減算器415からの力情報が示す力とを印加することで、仮想モデルを運動させ、速度を生成させる。なお、本実施の形態の仮想モデルでは、仮想ばね定数を0としているため、図19に示す速度生成器413では、仮想ばねを図示していないが、目的とする制御に応じて仮想ばね定数に数値を与えてもよい。速度生成器413にて仮想モデルにより速度を生成することで、力学モデルの設定に応じた制御が可能なので、発振しないぎりぎりの速度を指示速度として生成させることも可能である。

【0055】
進退方向制御部41は、速度生成器413における仮想モデルの速度を、新たな進退方向における指示速度であるスレーブ装置2への進退方向の速度指令値(スレーブ駆動信号)として出力する。
また、進退方向制御部41は、位置偏差(マスター位置とスレーブ位置との差分)を演算器412により速度に変換した速度指令補正値に、速度生成器413による仮想モデルの速度を加算器416にて加算したものを、マスター装置3への進退方向の速度指令値として出力する。
このような制御により、進退方向制御部41は、マスター装置3の進退方向への操作を強制的にスレーブ装置2へ合わせるように制御している。

【0056】
このように制御装置4は、スレーブ装置2とマスター装置3との進退方向の位置情報と力情報とに基づいて、補正速度との相対値である速度指令補正値と、目標速度である速度指令値とを算出してスレーブ装置2およびマスター装置3とへ指示するバイラテラル制御を行うことで、マスター装置3に加えられた操作力がスレーブ装置2へ出力され、スレーブ装置2に発生した力がそのままマスター装置3に発生させることができる。

【0057】
従って、内視鏡操作システム1は、内視鏡検査医の感覚に、臓器側からの力覚・反力(力・挿入速度・加速度)が正確にフィードバックされるだけでなく、臓器側にも挿入操作による力・挿入速度・加速度が等質・等量で同時に伝達されるので、この双方向力覚フィードバックにおけるバイラテラル制御より操作者はより実際の感触に近い操作感覚が得られるので、精度の高い操作性を図ることができる。よって、用手的に内視鏡挿入操作をしている操作者の使用を満足させることができる。また、「内蔵感覚」を手掛かりとした経験を要する内視鏡挿入操作が遠隔操作で可能となる。

【0058】
次に、操作者が、マスター装置3の指示部323を把持して、可動部32を軸回転させた場合を、図17および図20に基づいて説明する。なお、図17においては図16と、図20においては図19と同じ構成のものは同符号を付している。

【0059】
操作者が、マスター装置3の指示部323を軸回転させることで、制御装置4がスレーブ装置2の可動部22を同方向へ軸回転させる。
図17に示すように、マスター装置3の可動部32が軸回転すると、ロータリエンコーダ324aから軸回転の位置情報が制御装置4へ出力され、トルクセンサ324bから力信号が出力される。
また、スレーブ装置2の可動部22が軸回転すると、ロータリエンコーダ224aから軸回転の位置情報が制御装置4へ出力され、トルクセンサ224bから力信号が出力され、加速度センサ228bから加速度信号が出力される。

【0060】
制御装置4では、図20に示すように、軸回転制御部42に、それぞれの情報が入力される。
軸回転制御部42では、進退方向制御部41と同様にして、速度生成器413における仮想モデルの速度を、スレーブ装置2への軸回転の速度指令値(スレーブ駆動信号)として出力する。
また、軸回転制御部42は、位置偏差(マスター位置とスレーブ位置との差分)を演算器412により速度に変換した速度指令補正値に、速度生成器413による仮想モデルの速度を加算器416により加算したものを、マスター装置3への進退方向の速度指令値として出力する。

【0061】
なお、本実施の形態では、第1力検出部としてトルクセンサ224bを用いているが、ロードセル228aと同様に、保持部225に掛かる力が推定できる情報(第1力情報)が検出できれば、他のものを使用して第1力検出部を構成してもよい。

【0062】
このような制御により、軸回転制御部42は、マスター装置3の軸回転の操作を強制的にスレーブ装置2へ合わせるように制御している。

【0063】
このように制御装置4は、スレーブ装置2とマスター装置3との軸回転の位置情報と軸回転の力情報とに基づいて、補正速度との相対値である速度指令補正値と、目標速度である速度指令値とを算出することで、進退方向制御部41と同様の効果を得ることができる。

【0064】
表示制御部44は、表示装置7の表示画面70に様々な情報を表示する。図21に示す表示画面では、進退方向の力グラフ表示71と、進退方向の棒グラフ表示72と、進退方向の位置グラフ表示73と、軸回転の力グラフ表示74と、回旋量表示75と、屈曲状態表示76と、接続状態表示77とが表示されている。

【0065】
進退方向の力グラフ表示71は、軟性内視鏡Eに掛かる進退方向の力として、進退方向制御部41の減算器415からの力情報を、縦軸を力、横軸を経過時間により表示されたグラフである。
進退方向の棒グラフ表示72は、リアルタイムに軟性内視鏡Eに掛かる進退方向の力を、棒の伸縮により表示するレベルメーターである。
進退方向の位置グラフ表示73は、マスター位置またはスレーブ位置から得られる軟性内視鏡Eの進退方向の位置を示すもので、縦軸を位置、横軸を経過時間により表示されるグラフである。
軸回転の力グラフ表示74は、軟性内視鏡Eに掛かる軸回転の力として、マスター装置3からのマスター検出力、またはスレーブ装置2のスレーブ検出力を示す軸回転制御部42の減算器415からの力情報を、指針の回転により表示したレベルメーターである。
回旋量表示75は、マスター装置3のロータリエンコーダ324aからのマスター位置またはスレーブ装置2のロータリエンコーダ224aからのスレーブ位置から得られる軟性内視鏡Eの軸回転の角度(方向I)を指針の回転方向により表示するものである。
屈曲状態表示76は、軟性内視鏡Eの挿入部の上下方向および左右方向の屈曲方向と屈曲力を、指針の方向と長さにより表示するものである。
接続状態表示77は、マスター装置3を操作すればスレーブ装置2が動作する接続状態か、マスター装置3を操作してもスレーブ装置2が動作しない切断状態かを示すものである。

【0066】
このように表示制御部44が、軟性内視鏡Eに掛かる力や軟性内視鏡Eの位置などを表示することで、手の感触だけなく、視覚的に把握することができるので、より確実な操作が可能となる。

【0067】
この接続状態または切断状態は、入力装置8の所定キーまたは所定レバーなどにより指示することで切り替えることができる。
接続状態では、進退方向制御部41からハンドル制御部43までの各制御部は、マスター装置3にスレーブ装置2が追従する通常の動作を行う。
切断状態では、入力装置8からの指示を受けた入力制御部45が、進退方向制御部41からハンドル制御部43までの各制御部の動作を停止させる。

【0068】
例えば、マスター装置3の基台部31の長さ方向の長さが、スレーブ装置2の基台部21に対して短い場合、基台部31の一端から他端まで可動部32を進めても、スレーブ装置2の基台部21では、まだ進行させることができ、被術者の体内へ深く挿入するためには、更に可動部32を進める必要がある。このような場合に、入力装置8により切断状態を指示することで、一旦、可動部32を基台部31の他端から一端へ復帰させて、次に、接続状態としてから、再度、可動部32を一端から他端側へ移動させることで、引き続き可動部32を先に進めることができる。

【0069】
本実施の形態に係るマスター装置3では、操作者が軟性内視鏡Eを進退させるときには、指示部323を持って案内板312に可動部32をスライトさせ、軟性内視鏡Eを軸回転させるときには、指示部323を回転させることにより操作できるので、軟性内視鏡Eの動作方向と同じ方向へマスター装置を操作すればよい。従って、直感的な操作が可能である。

【0070】
しかし、マスター装置は、操作盤でも実現できる。図22に示すマスター装置は、ジョイスティックによる操作盤である。
図22に示す操作盤9は、箱状の本体91に2本のジョイスティック92,93が設けられている。

【0071】
ジョイスティック92は、操作棒92aを前後に傾斜させると、軟性内視鏡を進退方向への移動を指示することができる。また、操作棒92aを左右に傾斜させると、軟性内視鏡の軸回転を指示することができる。
また、ジョイスティック93は、操作棒92aを前後に傾斜させると、挿入部の先端の上下方向への屈曲の指示ができ、また、操作棒92aを左右に傾斜させると、挿入部の先端の左右方向への屈曲の指示ができる。

【0072】
このジョイスティック92の操作棒92aには、ひずみゲージ92b,92cと、モータ92d,92eと、エンコーダ92f,92gとが設けられている。
ひずみゲージ92b(マスター検出手段)は、進退方向を指示する傾斜の力を、進退方向の力情報(マスター検出力)として、進退方向の力信号(マスター状態信号)により出力する。
ひずみゲージ92c(マスター検出手段)は、軸回転方向を指示する傾斜の力を、軸回転方向の力情報(マスター検出力)として、軸回転の力信号(マスター状態信号)により出力する。
モータ92d(マスター軸回転駆動部)は、ひずみゲージ92cが検出した操作棒92aへの軸回転への操作力に対する反力を駆動するものである。
モータ92e(マスター進退方向駆動部)は、ひずみゲージ92bが検出した操作棒92aへの進退方向への操作力に対する反力を駆動するものである。
エンコーダ92f(マスター検出手段)は、進退方向を指示する操作棒92aの傾斜の角度をモータ92dの回転により検出し、進退方向の位置情報(マスター位置)として、進退方向の位置信号(マスター状態信号)により出力する。
エンコーダ92g(マスター検出手段)は、軸回転を指示する操作棒92aの傾斜の角度をモータ92eの回転により検出し、軸回転の位置情報(マスター位置)として、軸回転の位置信号(マスター状態信号)により出力する。

【0073】
また、ジョイスティック93の操作棒93aには、同様にして、ひずみゲージ93b,93cと、モータ93d,93eと、エンコーダ93f,93gとが設けられている。
ひずみゲージ93b(マスター検出手段)は、挿入部の先端の上下方向への屈曲を指示する傾斜の力を、上下方向の力情報(マスター検出力)として、上下方向の力信号(マスター状態信号)により出力する。
ひずみゲージ93c(マスター検出手段)は、挿入部の先端の左右方向への屈曲を指示する傾斜の力を、左右方向の力情報(マスター検出力)として、左右方向の力信号(マスター状態信号)により出力する。
モータ93d(マスター左右方向駆動部)は、ひずみゲージ93cが検出した操作棒93aへの左右方向への操作力に対する反力を駆動するものである。
モータ93e(マスター上下方向駆動部)は、ひずみゲージ93bが検出した操作棒93aへの上下方向への操作力に対する反力を駆動するものである。
エンコーダ93f(マスター検出手段)は、上下方向を指示する操作棒92aの傾斜の角度をモータ93dの回転により検出し、上下方向の位置情報(マスター位置)として、上下方向の位置信号(マスター状態信号)により出力する。
エンコーダ93g(マスター検出手段)は、左右方向を指示する操作棒92aの傾斜の角度をモータ93eの回転により検出し、左右方向の位置情報(マスター位置)として、左右方向の位置信号(マスター状態信号)により出力する。

【0074】
ここで、マスター装置として操作盤9を採用したときの制御装置の進退方向制御部について、図24に基づいて説明する。
図24に示すように、進退方向制御部41xでは、マスター装置3のエンコーダ92fからの進退方向の位置情報(マスター位置)が演算器417により速度に変換され、この速度が現在速度に対する補正値である進退方向の速度指令補正値として算出され、スレーブ装置2へ出力される。

【0075】
また、進退方向制御部41xでは、マスター装置3のひずみゲージ92bからの進退方向の力情報と、スレーブ装置2のロードセル228aからの進退方向の力情報とが、加算器418により加算されるが、図19で説明した進退方向制御部41と同様に、スレーブ装置2のロードセル228aからの進退方向の力情報は、事前に、スレーブ装置2の加速度センサ228bからの検出加速度を演算器414により力に変換した値により減算器415にて減算される。
なお、加算器418による加算は、操作棒92aを進行方向に傾斜させたときには、ひずみゲージ92bからの力情報が正の値となり、操作棒92aを後退方向に傾斜させたときには、ひずみゲージ92bからの力情報が負の値となるからである。

【0076】
加算器418により加算された力偏差を示す力情報は、演算器418にて速度に変換され、この速度が現在速度に対する補正値である進退方向の速度指令補正値として算出され、マスター装置3へ出力される。
このような制御を進退方向制御部41xが行うことにより、バイラテラル制御を行う進退方向制御部41と同様の効果を得ることができる。

【0077】
なお、スレーブ装置2のロータリエンコーダ214からの進退方向の位置情報(スレーブ位置)であるが、この位置情報は、スレーブ装置2の可動部22の可動限界位置をチェックするための図示しない比較器へ入力することができる。そうすることで、スレーブ装置2の可動部22への過度な動作指示を防止することができる。

【0078】
次に、図25に示す軸回転制御部42xであるが、軸回転制御部42xは、図24に示す進退方向制御部41xと同様の構成であるため、同符号を付して説明を省略する。
このように、1本のジョイスティック92で軟性内視鏡を進退方向へ移動させながら、右回りまたは左回りの軸回転をさせることができ、1本のジョイスティック93で軟性内視鏡の先端を上下方向に屈曲させながら、左右方向へ屈曲させることができる。

【0079】
また、本実施の形態に係るスレーブ装置2では、軟性内視鏡Eを保持させてマスター装置3により操作するアタッチメント式であったが、コンピュータ上でスレーブ装置を機能させることもできる。
つまり、スレーブ装置は、コンピュータを、軟性内視鏡、前記軟性内視鏡を保持する支持手段、スレーブ駆動信号により前記軟性内視鏡を駆動するスレーブ駆動手段、前記軟性内視鏡の動作状態を検出して、スレーブ状態信号として出力するスレーブ検出手段として機能させる、スレーブ装置のシミュレーションプログラムを動作させたものとすることができる。
スレーブ装置を、シミュレーションプログラムをコンピュータで動作させたものとすることで、内視鏡操作システムを訓練用のシミュレーション装置とすることができる。
このとき、シミュレーションプログラムでは、軟性内視鏡、支持手段、スレーブ駆動手段、スレーブ検出手段を、仮想ばね、仮想ダンパおよび仮想質量を組み合わせた仮想モデルを更に組み合わせて再現し、制御装置4へ電気信号として、スレーブ状態信号を出力するようにインタフェースを取る。また、制御装置4からの駆動信号により動作するようにインタフェースを取る。このようにしてコンピュータをスレーブ装置として機能させることが可能である。

【0080】
なお、本実施の形態では、リニアエンコーダ33,ロータリエンコーダ214,224a,324aからの位置情報に基づいて制御装置4により制御する速度を生成していたが、微分したり積分したりすることで相互に変換が可能であるため、速度や加速度としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の内視鏡操作システムは、経口的消化管内視鏡だけでなく、下部消化管内視鏡へも適用が可能であり、内視鏡による検査、手術、操作の訓練に好適である。
【符号の説明】
【0082】
1 内視鏡操作システム
2 スレーブ装置
21 基台部
211 フレーム部
211a 棒部材
211b 連結部材
212 レール部
213 進退方向駆動部
213a 無端ベルト
213b 従動プーリ
213c 駆動プーリ
213d プーリ
213e モータ
214 ロータリエンコーダ
22 可動部
221 台座部
222 スライダ
223 軸回転駆動部
223a モータ
223b 駆動プーリ
223c 無端ベルト
223d 従動プーリ
224a ロータリエンコーダ
224b トルクセンサ
225 保持部
226 ハンドル駆動部
226a 上下ハンドル駆動部
226b 左右ハンドル駆動部
228a ロードセル
228b 加速度センサ
23 懸架部
231 支柱部
232 梁部
233 固定部材
234 レール部
235 吊り下げ部材
3 マスター装置
31 基台部
311 フレーム部
312 案内板
32 可動部
321 台座部
322 スライダ
323 指示部
324a ロータリエンコーダ
324b トルクセンサ
325 軸回転駆動部
326 ハンドル指示部
327 ロードセル
33 リニアエンコーダ
331 スケール部
332 センサ部
34 シャフトモータ
341 シャフト部
342 可動子
4 制御装置
41,41x 進退方向制御部
411 減算器
412 演算器
413 速度生成器
414 演算器
415 減算器
416 加算器
42,42x 軸回転制御部
43 ハンドル制御部
44 表示制御部
45 入力制御部
46 記憶部
47 出力部
5,6 モータドライバ装置
7 表示装置
70 表示画面
71 進退方向の力グラフ表示
72 進退方向の棒グラフ表示
73 進退方向の位置グラフ表示
74 軸回転の力グラフ表示
75 回旋量表示
76 屈曲状態表示
77 接続状態表示
8 入力装置
9 操作盤
91 本体
92,93 ジョイスティック
92a,93a 操作棒
92b,93b ひずみゲージ
92d,92e モータ
92f,92g エンコーダ
E 軟性内視鏡
図面
【図15】
0
【図16】
1
【図17】
2
【図18】
3
【図19】
4
【図20】
5
【図21】
6
【図22】
7
【図23】
8
【図24】
9
【図25】
10
【図1】
11
【図2】
12
【図3】
13
【図4】
14
【図5】
15
【図6】
16
【図7】
17
【図8】
18
【図9】
19
【図10】
20
【図11】
21
【図12】
22
【図13】
23
【図14】
24