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明細書 :ワイヤレスセンサネットワークシステム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5843199号 (P5843199)
公開番号 特開2013-187552 (P2013-187552A)
登録日 平成27年11月27日(2015.11.27)
発行日 平成28年1月13日(2016.1.13)
公開日 平成25年9月19日(2013.9.19)
発明の名称または考案の名称 ワイヤレスセンサネットワークシステム
国際特許分類 H04W   4/04        (2009.01)
H04W  72/04        (2009.01)
H04J  11/00        (2006.01)
G08C  15/06        (2006.01)
FI H04W 4/04 190
H04W 72/04 133
H04J 11/00 Z
H04W 72/04 131
G08C 15/06 B
請求項の数または発明の数 10
全頁数 32
出願番号 特願2012-048447 (P2012-048447)
出願日 平成24年3月5日(2012.3.5)
審査請求日 平成27年1月20日(2015.1.20)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504133110
【氏名又は名称】国立大学法人電気通信大学
発明者または考案者 【氏名】藤井 威生
【氏名】遠藤 朋実
個別代理人の代理人 【識別番号】100102864、【弁理士】、【氏名又は名称】工藤 実
【識別番号】100117617、【弁理士】、【氏名又は名称】中尾 圭策
審査官 【審査官】遠山 敬彦
参考文献・文献 特開2008-211737(JP,A)
特表2010-505370(JP,A)
国際公開第2006/090480(WO,A1)
調査した分野 G08C 15/06
H04B 7/24- 7/26
H04J 11/00
H04W 4/00-99/00
特許請求の範囲 【請求項1】
複数の送信信号群を送信する複数の送信端末と、
無線ネットワークを介して前記複数の送信信号群を受信する受信サーバと
を具備し、
前記複数の送信信号群は、
前記複数の送信端末のそれぞれが送信する送信信号群
を具備し、
前記それぞれの送信端末は、
第1情報群を生成する第1回路部と、
第2情報群を生成する第2回路部と、
前記第1情報群および前記第2情報群の組み合わせを、送信周波数群および送信時刻群の組み合わせに変換する変換部と、
前記送信周波数群を有する前記送信信号群を前記送信時刻群に含まれるそれぞれの時刻に送信する送信部と
を具備し、
前記受信サーバは、
前記複数の送信信号群を受信する受信部と、
前記複数の送信信号群が示す前記送信周波数群および前記送信時刻群から前記第1情報群および前記第2情報群を復元する復元部と
を具備する
ワイヤレスセンサネットワークシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のワイヤレスセンサネットワークシステムにおいて、
前記第1情報群および前記第2情報群の少なくとも一方は、
2次元の情報
を具備する
ワイヤレスセンサネットワークシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のワイヤレスセンサネットワークシステムにおいて、
前記第1回路は、
前記第1情報群を取得するセンサ
を具備し、
前記第2情報群は、
2次元座標上の位置情報
を具備し、
前記第2回路は、
前記それぞれの送信端末の前記位置情報を取得する位置情報取得部
を具備する
ワイヤレスセンサネットワークシステム。
【請求項4】
請求項2に記載のワイヤレスセンサネットワークシステムにおいて、
前記第1回路は、
前記第1情報群を取得するセンサ
を具備し、
前記第2情報群は、
2次元座標上の位置情報
を具備し、
前記第2回路は、
前記送信端末の前記位置情報を予め記憶している記憶部
を具備する
ワイヤレスセンサネットワークシステム。
【請求項5】
請求項3または4に記載のワイヤレスセンサネットワークシステムにおいて、
前記受信サーバは、
前記複数の送信端末に向けて要求信号を送信する送信部
をさらに具備し、
前記それぞれの送信端末は、
前記要求信号を受信する受信部
をさらに具備し、
前記第1回路は、前記要求信号に応じて前記第1情報群を取得する
ワイヤレスセンサネットワークシステム。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載のワイヤレスセンサネットワークシステムにおいて、
前記変換部は、
前記第1情報群を前記送信周波数群に変換する第1変換部と、
前記第2情報群を前記送信時刻群に変換する第2変換部と
を具備する
ワイヤレスセンサネットワークシステム。
【請求項7】
請求項6に記載のワイヤレスセンサネットワークシステムにおいて、
前記第2情報群は2次元の情報を含み、
前記第2変換部は、前記第2情報群を、第1送信時刻および第2送信時刻の組み合わせに変換し、
前記それぞれの送信時刻群は、
前記第1送信時刻と、
前記第2送信時刻と
を具備し、
前記推定部は、複数の送信信号群から、前記複数の送信時刻群に共通する前記送信周波数群を検索して、前記第1情報群および前記第2情報群を推定する
ワイヤレスセンサネットワークシステム。
【請求項8】
請求項7に記載のワイヤレスセンサネットワークシステムにおいて、
前記受信サーバは、
前記複数の送信端末の位置情報を予め記憶しているメモリ
をさらに具備し、
前記復元部は、前記メモリに記憶された前記位置情報を参照して前記復元を行う
ワイヤレスセンサネットワークシステム。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載のワイヤレスセンサネットワークシステムにおいて、
前記第1情報群は、
1次元の情報
を具備し、
前記第1回路は、前記第1情報群のそれぞれを前記送信周波数群のいずれかに割り当て、
前記復元部は、前記割り当ての逆変換式を演算して前記第1情報群を推定する
ワイヤレスセンサネットワークシステム。
【請求項10】
複数の送信端末が複数の送信信号群を送信することと、
受信サーバが無線ネットワークを介して前記複数の送信信号群を受信することと
を具備するワイヤレスセンサネットワーク通信方法であって、
前記送信することは、
第1情報群を生成することと、
第2情報群を生成することと、
前記第1情報群および前記第2情報群の組み合わせを、送信周波数群および送信時刻群の組み合わせに変換することと、
前記送信周波数群を有する前記送信信号群を生成して前記送信時刻群に含まれるそれぞれの時刻に送信することと
を具備し、
前記受信することは、
前記複数の送信信号群を受信することと、
前記複数の送信信号群が示す前記送信周波数群および前記送信時刻群から前記第1情報群および前記第2情報群を復元することと
を具備する
ワイヤレスセンサネットワーク通信方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバと、複数の端末とが無線ネットワークを介して通信するワイヤレスセンサネットワークシステムと、このシステムで用いられるワイヤレスセンサネットワーク通信方法とに係る。
【背景技術】
【0002】
近年、ワイヤレスセンサネットワークに係る技術の研究開発が活発に行われている。ワイヤレスセンサネットワークとは、センサなどを備えるノードを、無線通信によって構成されたネットワークを介して制御したり、位置や環境に係る情報の収集に利用したりする無線ネットワークである。
【0003】
ワイヤレスセンサネットワークは、モニタリングシステムや、ホーム・オートメーションなど、様々な分野での活用が期待されている。センサネットワークを無線通信で構築することによって、コストダウンや、センシング範囲の拡大や、ネットワークの変更における柔軟性などのメリットが期待出来る。
【0004】
現在、ワイヤレスセンサネットワークにおいていわゆるアドホック通信を行う際には、既存の小規模ネットワーク向けの無線通信方式およびプロトコルが使用されている。このような場合に、主にZigBee(登録商標)と呼ばれるIEEE802.15.4規格や、その他の特定小電力無線システムなどが、事実上の標準技術として活用されている。
【0005】
図1は、従来技術によるワイヤレスセンサネットワークの全体的な構成を示す概念図である。図1に示したワイヤレスセンサネットワークは、受信サーバとして機能するシンクSと、送信端末として機能する複数のセンサノードSN1~SN5とを含んでいる。
【0006】
このような従来技術では、それぞれのセンサノードSN1~SN5が、観測情報や、観測位置情報などの情報をパケットにまとめて送信する。このとき、異なるセンサノードSN1~SN5が送信する複数の信号が互いに干渉しないように、各信号を時系列的に並べて送信する。
【0007】
上記に関連して、特許文献1(特開2010-14604号公報)には、振動測定システムに係る記載が開示されている。この振動測定システムは、センサノードと、管理ノードとを含んで構成されており、測定対象物の振動を測定する。ここで、センサノードは、測定対象物の所定位置に設けられている。管理ノードは、センサノードとの間で無線通信を行う。センサノードは、センサ側検出手段と、センサ側通信手段と、センサ側制御手段とを備える。ここで、センサ側検出手段は、測定対象物の所定位置の振動の度合を検出する。センサ側通信手段は、管理ノードとの間で、無線通信を行う。センサ側制御手段は、センサ側検出手段に対して、振動の度合の検出を所定の周期で実行するように制御すると共に、センサ側通信手段に対して、振動の度合の検出の実行されるタイミングには無線通信を禁止する制御を行う。
【先行技術文献】
【0008】

【特許文献1】特開2010-14604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このような従来技術は、少数のセンサノードが送信する情報を正確に収集するには有効である。しかし、多数のセンサノードが送信する情報をリアルタイムに収集しようとすると、全情報の収集に時間がかかりすぎてしまうので、このような標準技術は不向きである。
【0010】
そこで、本発明では、複数の情報源から送信される情報を効率よく収集することを重視したワイヤレスセンサネットワークシステムおよびその通信方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下に、(発明を実施するための形態)で使用される番号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号は、(特許請求の範囲)の記載と(発明を実施するための形態)との対応関係を明らかにするために付加されたものである。ただし、それらの番号を、(特許請求の範囲)に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0012】
本発明によるワイヤレスセンサネットワークシステムは、複数の送信端末(SN)と、受信サーバ(S)とを具備する。ここで、複数の送信端末(SN)は、複数の送信信号群(TS1など)を送信する。受信サーバ(S)は、無線ネットワークを介して複数の送信信号群(TS1など)を受信する。複数の送信信号群(TS1など)は、複数の送信端末(SN)のそれぞれが送信する送信信号群(TS1など)を具備する。それぞれの送信端末(SN)は、第1回路部(16)と、第2回路部(17)と、変換部(18、19)と、送信部(14、15)とを具備する。ここで、第1回路部(16)は、第1情報群を生成する。第2回路部(17)は、第2情報群を生成する。変換部(18、19)は、第1情報群および第2情報群の組み合わせを、送信周波数群(fなど)および送信時刻群(tなど)の組み合わせに変換する。送信部(14、15)は、送信周波数群(fなど)を有する送信信号群(TS1など)を生成して送信時刻群(tなど)に含まれるそれぞれの時刻(tなど)に送信する。受信サーバ(S)は、受信部(34、35)と、復元部(37)とを具備する。ここで、受信部(34、35)は、複数の送信信号群(TS1など)を受信する。復元部(37)は、複数の送信信号群(TS1など)が示す送信周波数群(fなど)および送信時刻群(tなど)から第1情報群および第2情報群を復元する。
【0013】
本発明によるワイヤレスセンサネットワーク通信方法は、複数の送信信号群(TS1など)を送信することと、無線ネットワークを介して複数の送信信号群(TS1など)を受信することとを具備する。送信することは、第1情報群を生成することと、第2情報群を生成することと、第1情報群および第2情報群の組み合わせを、送信周波数群(fなど)および送信時刻群(tなど)の組み合わせに変換することと、送信周波数群(fなど)を有する送信信号群(TS1など)を生成して送信時刻群(tなど)に含まれるそれぞれの時刻(tなど)に送信することとを具備する。受信することは、複数の送信信号群(TS1など)を受信することと、複数の送信信号群(TS1など)が示す送信周波数群(fなど)および送信時刻群(tなど)から第1情報群および第2情報群を復元することとを具備する。
【発明の効果】
【0014】
本発明のワイヤレスセンサネットワークシステムおよびワイヤレスセンサネットワーク通信方法によれば、複数の送信端末のそれぞれが、第1情報群と、第2情報群とを、送信周波数群と、送信時刻群との組み合わせに変換した上で送信する複数の送信信号群を、無線ネットワークを介して受信サーバが受信する。こうすることで、多数の情報をリアルタイムに通信することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、従来技術によるワイヤレスセンサネットワークの全体的な構成を示す概念図である。
【図2A】図2Aは、本発明によるワイヤレスセンサネットワークの全体的な構成の一例を示す概念図である。
【図2B】図2Bは、本発明によるセンサノードの構成の一例を示すブロック回路図である。
【図2C】図2Cは、本発明によるシンクの構成の一例を示すブロック回路図である。
【図3】図3は、本発明のワイヤレスセンサネットワークシステム通信方法における処理の流れを示すシーケンス図である。
【図4A】図4Aは、本発明による周波数軸マッピングの原理を概略的に示す図である。
【図4B】図4Bは、本発明による周波数軸マッピングの具体例を示す図である。
【図5A】図5Aは、本発明による時間軸マッピングの原理を概略的に示す図である。
【図5B】図5Bは、第1のグループの各セルと、対応する送信時刻との関係を示す図である。
【図5C】図5Cは、第2のグループの各セルと、対応する送信時刻との関係を示す図である。
【図5D】図5Dは、第16のグループの各セルと、対応する送信時刻との関係を示す図である。
【図5E】図5Eは、1つのグループが9つのセルで構成される場合に短縮される送信時間を表す図である。
【図5F】図5Fは、1つのグループが16のセルで構成される場合に短縮される送信時間を表す図である。
【図5G】図5Gは、1つのグループが25のセルで構成される場合に短縮される送信時間を表す図である。
【図6A】図6Aは、1つのグループに配置された複数のセンサノードが送信する複数のトーン信号が有する周波数の一例を示す分布図である。
【図6B】図6Bは、図6Aの例に基づいて行った、共通するサブキャリア周波数の存在判定の結果を示す判定図である。
【図6C】図6Cは、受信信号からの判定結果を示す図6Bのうち、送信信号の分布を示す図6Aとの差異を示す比較図である。
【図7A】図7Aは、本発明の第3の実施形態による復元方法を説明する具体例における2度目の検索で該当したセルと、その共通するサブキャリア周波数との組み合わせを示す図である。
【図7B】図7Bは、本発明の第3の実施形態を説明する具体例における3度目の検索で該当するセルが無い状態を示す図である。
【図8A】図8Aは、本発明の第4の実施形態による復元方法を説明するための具体例における、送信トーン信号が有するサブキャリア周波数の分布図である。
【図8B】図8Bは、本発明の第4の実施形態による復元方法を説明する具体例において、図8Aの例に基づいて行った、共通するサブキャリア周波数の存在判定の結果を示す判定図である。
【図8C】図8Cは、本発明の第4の実施形態による復元方法を説明する具体例において、表5に対応する状態におけるセルと、その共通するサブキャリア周波数との組み合わせを示す図である。
【図8D】図8Dは、本発明の第4の実施形態による復元方法を説明する具体例における2度目の検索で該当したセルと、その単独候補となるサブキャリア周波数との組み合わせを示す図である。
【図9A】図9Aは、本発明の第5の実施形態による復元方法を説明するための具体例における、センサノードの配置と、各センサノードが送信するトーン信号が有するサブキャリア周波数とを示す分布図である。
【図9B】図9Bは、本発明の第5の実施形態による復元方法を説明するための具体例において、共通するサブキャリア周波数の存在判定の結果を示す判定図である。
【図9C】図9Cは、本発明の第5の実施形態による復元方法を説明するための具体例において、推定範囲外領域NZの設定結果を示す図である。
【図9D】図9Dは、本発明の第5の実施形態による復元方法を説明するための具体例において、1度目の検索で推定値が得られたセルに関わるデータを削除した状態を示す図である。
【図9E】図9Eは、本発明の第5の実施形態による復元方法を説明するための具体例において、配置されたセンサノードの数と、共通するサブキャリア周波数の数とが一致するセルがもはや存在しない状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
添付図面を参照して、本発明によるワイヤレスセンサネットワークと、ワイヤレスセンサネットワーク通信方法とを実施するための形態を以下に説明する。

【0017】
(第1の実施形態)
図2Aは、本発明によるワイヤレスセンサネットワークの全体的な構成の一例を示す概念図である。図2Aに示したワイヤレスセンサネットワークの構成要素について説明する。この例では、ワイヤレスセンサネットワークは、受信サーバとして機能するシンクSと、送信ノードとして機能する複数のセンサノードSN1~SN3とを含んでいる。なお、図2Aに示した複数のセンサノードSN1~SN3の総数は、あくまでも一例であって、本発明を限定するものではない。

【0018】
図2Aに示したワイヤレスセンサネットワークの構成要素の位置関係および接続関係について説明する。シンクSと、複数のセンサノードSN1~SN3とは、無線ネットワークを介して通信を行う。複数のセンサノードSN1~SN3は、後述するように、所定の場所にそれぞれ固定されていても良いし、移動可能であっても構わない。なお、シンクSは、所定の場所に固定されていることが好ましいが、この条件は本発明を限定しない。

【0019】
図2Aに示したワイヤレスセンサネットワークの動作について概略的に説明する。まず、シンクSが、全てのセンサノードSN1~SN3に向けて、図示しない要求信号を送信する。第1のセンサノードSN1は、要求信号に応答して、第1の信号TS1を送信する。同様に、第2のセンサノードSN2は第2の信号TS2を送信し、第3のセンサノードSN3は第3の信号TS3を送信する。送信されたこれらの信号TS1~TS3Sは、無線空間で合成された1つの信号TS0としてシンクSによって受信される。なお、シンクSが要求信号を送信せず、センサノードSN1~SN3による信号TS1~TS3の送信動作が定期的に行われても構わない。

【0020】
図2Bは、本発明によるセンサノードSNの構成の一例を示すブロック回路図である。なお、図2Aに示した第1~第3のセンサノードSN1~SN3は、図2Bに示したセンサノードSNと同じように構成されているものとする。

【0021】
図2Bに示したセンサノードSNの構成要素について説明する。図2Bに示したセンサノードSNは、バス11と、CPU12と、メモリ13と、送受信回路14と、アンテナ15と、センサ16と、位置情報取得回路17と、時間軸マッピング回路18と、周波数軸マッピング回路19とを具備している。ただし、後述するように、位置情報取得回路17と、時間軸マッピング回路18と、周波数軸マッピング回路19との一部または全ては、CPU12と、メモリ13とで代用可能な場合があり、その場合は省略可能であるものとする。反対に、位置情報取得回路17と、時間軸マッピング回路18と、周波数軸マッピング回路19とを残して、CPU12と、メモリ13とを省略可能な場合もある。

【0022】
図2Bに示したセンサノードSNの構成要素の接続関係について説明する。アンテナ15は、送受信回路14に接続されている。バス11は、CPU12と、メモリ13と、送受信回路14と、センサ16と、位置情報取得回路17と、時間軸マッピング回路18と、周波数軸マッピング回路19とに接続されている。

【0023】
図2Bに示したセンサノードSNの構成要素の動作について概略的に説明する。バス11は、接続された各構成要素の間で信号の送受信を可能にする。メモリ13は、各種データや各種プログラムを入力、記憶、出力する。CPU12は、メモリ13に記憶された各種プログラムを実行し、メモリ13に記憶されたデータを用いて演算し、演算の結果をメモリ13に格納する。

【0024】
センサ16は、各種測定を行い、その結果を観測情報として出力する。ここでは、一例として、センサ16が温度計であって、温度の計測を行うものとする。ただし、これはあくまでも一例であって、本発明を限定するものではなく、速度計のような他の如何なる測定器であっても構わない。また、観測情報は、温度のような1次元の情報以外の、速度のような2次元以上の情報であっても良い。

【0025】
位置情報取得回路17は、位置情報を取得する。位置情報は、例えばGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)などの装置を用いて、要求されるたびに測定することで取得しても良い。また、センサノードSNの位置が固定されている場合は、予め測定された位置情報を記憶しておいて、要求されるたびにその位置情報を出力しても良い。この例では、位置情報は、緯度情報および経度情報で構成された2次元情報であるものとする。ただし、これはあくまでも一例であって、位置情報は他の座標系を用いて構成されても良いし、高度情報を加えた3次元情報であっても構わない。

【0026】
時間軸マッピング回路18は、2次元情報である位置情報を、時間軸にマッピングし、マッピング後の時間情報を出力する。同様に、周波数軸マッピング回路19は、観測情報を周波数軸にマッピングし、マッピング後の周波数情報を出力する。これらのマッピング動作は、それぞれ独立した回路を用いて行っても良いし、代わりに、これらのマッピング動作をCPU12に実行させるプログラムをメモリ13に記録しておき、CPU12およびメモリ13を用いて行っても構わない。

【0027】
送受信回路14と、アンテナ15とは、シンクSからの要求信号を受信し、また、シンクSへのトーン信号を送信する。このトーン信号は、周波数情報に含まれる周波数を有し、かつ、時間情報に含まれる時刻に送信される。

【0028】
図2Cは、本発明によるシンクSの構成の一例を示すブロック回路図である。図2Cに示したシンクSの構成要素について説明する。図2Cに示したシンクSは、バス31と、CPU32と、メモリ33と、送受信回路34と、アンテナ35と、出力回路36と、復元回路37とを具備している。ただし、後述するように、復元回路37は、CPU32と、メモリ33とで代用可能な場合があり、その場合は省略可能であるものとする。反対に、復元回路37を残して、CPU32と、メモリ33とを省略可能な場合もある。

【0029】
図2Cに示したシンクSの構成要素の接続関係について説明する。アンテナ35は、送受信回路34に接続されている。バス31は、CPU32と、メモリ33と、送受信回路34と、出力回路36と、復元回路37とに接続されている。

【0030】
図2Cに示したシンクSの構成要素の動作について概略的に説明する。バス31は、接続された各構成要素の間で信号の送受信を可能にする。メモリ33は、各種データや各種プログラムを入力、記憶、出力する。CPU32は、メモリ33に記憶された各種プログラムを実行し、メモリ33に記憶されたデータを用いて演算し、演算の結果をメモリ33に格納する。

【0031】
送受信回路34は、全てのセンサノードSNに向けて要求信号を送信し、また、これらのセンサノードSNから送信されたトーン信号が無線空間で合成された受信信号を受信する。

【0032】
復元回路37は、受信信号を解析して、マッピングされる前の観測情報および位置情報を復元する。この復元動作は、復元回路37の代わりに、この復元動作をCPU32に実行させるプログラムをメモリ33に記録しておき、CPU32と、メモリ33とを用いて行っても良い。

【0033】
出力回路36は、復元された観測情報および位置情報を出力する。この出力回路36は、例えば、復元された情報を視覚的に出力するディスプレイや印刷装置であっても良いが、これらはあくまでも一例であって、本発明を限定するものではない。

【0034】
図3は、本発明のワイヤレスセンサネットワークシステム通信方法における処理の流れを示すシーケンス図である。図3を参照して、本発明のワイヤレスセンサネットワークシステムの動作、すなわち本発明のワイヤレスセンサネットワークシステム通信方法について、詳細に説明する。

【0035】
図3に示したシーケンス図の構成要素について説明する。図3のシーケンス図は、左側に示した「シンク」と、中央に示した第1の「センサノード」と、右側に示した第2の「センサノード」とが行う一連の動作を、時系列で表している。図3のシーケンス図において、時間は、図3の上から下に向かって進むものとする。なお、図3には複数のセンサノードSNのうち2つだけを示しているが、実際にはさらに多くの図示されないセンサノードSNが動作するものとする。

【0036】
まず、第1のステップS1Aとして、シンクSが、情報交換の要請を行う。このとき、シンクSは全てのセンサノードSNに向けて要求信号を送信する。また、全てのセンサノードSNはこの要求信号を受信するものとする。

【0037】
なお、このとき、各センサノードSNは、受信した要求信号の強度を測定して記憶することが好ましい。

【0038】
次に、第2のステップS2BおよびS2Cとして、第1および第2のセンサノードSNが、観測情報と、観測位置情報とをそれぞれ取得する。

【0039】
次に、第3のステップS3BおよびS3Cとして、第1および第2のセンサノードSNが、観測情報を周波数軸にマッピングする。また、第4のステップS4BおよびS4Cとして、第1および第2のセンサノードSNが、観測位置情報を時間軸にマッピングする。ここでは、観測位置情報は2次元の情報であり、各次元を表す2つの時刻にマッピングされるものとする。したがって、それぞれのセンサノードSNが送信するトーン信号の総数が2つとなる。ただし、これはあくまでも一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。なお、第3のステップと、第4のステップとは、実行する順番が逆であっても良いし、同時に実行されても構わない。

【0040】
次に、第5のステップS5B1、S5B2、S5C1およびS5C2として、第1および第2のセンサノードSNが、第3のステップでマッピングされた周波数の第1のトーン信号および第2のトーン信号を、第4のステップでマッピングされた各時刻に送信する。なお、それぞれのセンサノードSNから第1および第2のトーン信号が送信される順番は、時間軸マッピングに応じて変動するものであって、図3に示した順番はあくまでも一例に過ぎない。

【0041】
この間、第5のステップS5Aとして、シンクSは、全てのセンサノードSNから送信される全てのトーン信号を受信する。このとき、どのトーン信号がどのセンサノードSNから送信されたかに関係なく、シンクSは全てのトーン信号を一連の信号として受信する。

【0042】
なお、第1のステップS1Aにおいて各センサノードSNが要求信号の強度を測定して記憶するようにした場合、それぞれのセンサノードSNは、その要求信号の強度に反比例した強度で、トーン信号を送信することが好ましい。こうすることで、シンクSは、全てのトーン信号を同程度の強度で受信することが可能となる。

【0043】
次に、第6のステップS6Aとして、シンクSは、受信信号に含まれるサブキャリア周波数毎の電力検出を行う。

【0044】
次に、第7のステップS7Aとして、シンクSは、受信信号に含まれる観測情報と、観測位置情報との復元を行う。

【0045】
次に、第8のステップS8Aとして、シンクSは、全体の観測値の二次元分布を復元する。なお、この例では、センサノードSNが二次元的に配置されていて、かつ、センサノードSNが取得する観測情報は1次元情報であるので、復元される観測値の全体像は二次元分布として扱われる。しかし、これはあくまでも一例であって、復元される観測値の全体像は、3次元分布など、他の分布として扱われても構わない。

【0046】
次に、第9のステップS9Aとして、シンクSは、全体の観測値の二次元分布情報の収集を完了する。ここで、シンクSは、収集完了した情報を公知の出力することが好ましい。

【0047】
ここで、第3のステップS3BおよびS3Cで行われる周波数軸マッピングについて詳細に説明する。本発明では、複数のセンサノードSNの各々からシンクSに向けて送信されるトーン信号の周波数を、予め用意した複数の観測値と周波数とのマッピングに基づき、そのセンサノードSNでの観測値に応じて割り当てる。より具体的には、OFDM(Orthogonal Frequency-Division Multiplexing:直交周波数分割多重)方式を用いて、観測値に応じたサブキャリア周波数のトーン信号が割り当てられる。OFDM方式では、あるサブキャリアの中心周波数付近で信号が強くなるが、他のサブキャリアの中心周波数付近では強度がゼロなので、同時刻に各センサノードSNから受信された複数のサブキャリア周波数のトーン信号をサブキャリアごとに容易に分離することが可能となる。なお、本実施形態では、観測値とサブキャリア周波数は1対1で対応づけがなされていることを前提とする。したがって、同じ時間タイミングに各センサノードSNは、その観測値に対応する1つのサブキャリア周波数に変換を行う。これに対して、1つの観測値に対して複数のサブキャリア周波数を割り当てるようにマッピングを行ってもよい。この場合、同じ時間タイミングに各センサノードSNは、その観測値に対応する複数のサブキャリア周波数に変換を行う。

【0048】
このような周波数軸マッピングは、例えば、再表2009-084464号公報に記載の「無線通信方法、無線通信装置、無線通信用プログラムおよび無線通信システム」に係る発明でも使用されている。

【0049】
図4Aは、本発明による周波数軸マッピングの原理を概略的に示す図である。図4Aは、観測値を示す第1の軸と、サブキャリア周波数番号を示す第2の軸とが示されている。

【0050】
まず、観測値をkと置き、観測範囲の最小値をKminと置き、同じく最大値をKmaxと置き、中心値をKと置く。ここで、観測範囲中心値Kは、観測範囲の最大値および最小値の中心値であり、次の式で定義されるものとする。
=(Kmax+Kmin)/2

【0051】
なお、観測範囲の幅の半分の値Wは、以下のように定義される。
W=(Kmax-Kmin)/2

【0052】
次に、サブキャリア周波数番号をnと置き、サブキャリア周波数番号の最小値をNminと置き、同じく最大値をNmaxと置き、中心値をNと置く。ここで、サブキャリア周波数中心番号NCは、サブキャリア周波数番号の最大値と、最小値との中心値であり、次の式で定義されるものとする。
=(Nmax+Nmin)/2

【0053】
なお、このようなサブキャリア周波数中心番号Nが存在するためには、サブキャリアの総数は奇数である必要があり、以下のように定義される整数Aが存在するものとする。
max-Nmin=2A

【0054】
周波数軸マッピングの具体的な計算方法について説明する。観測値kが観測範囲最小値Kmin以下であれば、サブキャリア周波数最小番号Nminを割り当てる。同様に、観測値kが観測範囲最大値Kmax以上であれば、サブキャリア周波数最大番号Nmaxを割り当てる。

【0055】
観測値kが上記以外の、すなわち
min<k<Kmax
の場合は、観測値kを整数2Aで刻んでサブキャリア周波数番号nに割り当てる。このとき、割り当てられるサブキャリア周波数番号nは以下の式で算出される。
【数1】
JP0005843199B2_000002t.gif
すなわち、観測値kと、観測範囲中心値Kとの差を、整数2Aの逆数で離散化し、小数点以下を切り捨てた上で、対応するサブキャリア周波数番号nと、サブキャリア周波数中心番号Nとの差に置き換えることが出来る。

【0056】
図4Bは、本発明による周波数軸マッピングの具体例を示す図である。この例では、温度を20~30°Cの範囲で測定し、サブキャリア周波数番号0~100番の範囲でマッピングする。図4Aに対応させて考えると、
min=20
max=30
=25
W=5
min=0
max=100
=50
A=50
となり、より具体的には、周波数軸マッピングは以下の式を演算することに等しくなる。
【数2】
JP0005843199B2_000003t.gif

【0057】
表1は、上記のマッピング方法を用いて、6つのセンサノードで取得された観測情報から周波数サブキャリア番号を算出した例を示す。
【表1】
JP0005843199B2_000004t.gif
表1の例において、第1のセンサノードSNが観測した温度は20.0°Cだったので、0番のサブキャリア周波数が割り当てられる。同様に、第2のセンサノードSNが観測した温度は18.9°Cだったので、0番のサブキャリア周波数が割り当てられる。第3のセンサノードSNが観測した温度は23.4°Cだったので、34番のサブキャリア周波数が割り当てられる。第4のセンサノードSNが観測した温度は28.2°Cだったので、82番のサブキャリア周波数が割り当てられる。第5のセンサノードSNが観測した温度は30.1°Cだったので、100番のサブキャリア周波数が割り当てられる。第6のセンサノードSNが観測した温度は31.3°Cだったので、100番のサブキャリア周波数が割り当てられる。

【0058】
ここで、第4のステップS4BおよびS4Cで行われる時間軸マッピングについて詳細に説明する。本発明では、複数のセンサノードSNからシンクSに向けて送信する複数のトーン信号を、予め用意した複数の時刻に振り分ける。より具体的には、センサノードSNの観測位置情報を2つの1次元情報に分けて、それぞれの1次元情報を1つの時刻に対応させる。すなわち、2つのトーン信号を異なる時刻に送信することで、2次元情報である観測位置情報を表現する。

【0059】
図5Aは、本発明による時間軸マッピングの原理を概略的に示す図である。図5Aには、横方向のx軸と、縦方向のy軸と、これらの軸にしたがってマトリクス状に配置された複数のセルCとが示されている。ここで、複数のセルCのうち、x軸方向にαセル、y軸方向にαセル、合計αセル毎に、1つのグループGとして扱う。

【0060】
図5Aの例では、x軸方向に12セル、y軸方向に12セル、合計144個のセルCが配置されている。また、グループのサイズを定義するαの値を、12の約数である3と置き、合計9個のセルCを1グループとしている。ただし、これらの具体的な数値はあくまでも一例に過ぎず、本発明の限定するものではない。例えば、セルCをマトリクス状に配置するにあたって、x軸方向の合計数と、y軸方向の合計数とは、必ずしも一致しなくても良いし、グループを定義する整数αは、x軸方向と、y軸方向とで必ずしも一致しなくても良い。

【0061】
図5Aで示した144個のセルCは、センサノードSNの座標に対応する。各センサノードSNは、所定の場所に固定されていて、自分の座標がどのセルCに対応するかを予め記憶していても良いし、反対に、移動可能であって、シンクSからの要求信号を受信するたびに自分の座標を計測してその座標に対応するセルCを算出しても良い。

【0062】
図5Bは、第1のグループG1の各セルCと、対応する送信時刻との関係を示す図である。第1のグループG1は、図5Bの左右方向に3分割されており、同じく上下方向にも3分割されており、合計9つのセルCに分割されている。ここで、左側の列に含まれる3つのセルCは時刻t0に対応し、中央の列に含まれる3つのセルCは時刻t1に対応し、右側の列に含まれる3つのセルCは時刻t2に対応する。同様に、上段の行に含まれる3つのセルCは時刻t3に対応し、中段の行に含まれる3つのセルCは時刻t4に対応し、下段の行に含まれる3つのセルCは時刻t5に対応する。

【0063】
このように、各セルCには、そのセルの行と列の各方向における位置を表す2つの時刻が対応付けられている。各センサノードSNは、セルCに対応するこれら2つの時刻のそれぞれにおいて、同じサブキャリア周波数を有するトーン信号を1つずつ、合計2回送信するものとする。

【0064】
図5Cは、第2のグループG2の各セルCと、対応する送信時刻との関係を示す図である。図5Dは、第16のグループG16の各セルCと、対応する送信時刻との関係を示す図である。図5Bに示した第1のグループG1と同様に、第2のグループG2も9分割されているが、時刻t0~t5の代わりに、時刻t6~t11がそれぞれ割り当てられている。第3~第15のグループも同様に9分割されており、時刻t12~137が割り当てられている。最後に、第16のグループG16も同様に9分割されているが、時刻t0~t5の代わりに、時刻t138~t143がそれぞれ割り当てられている。

【0065】
このような時間軸マッピングを行うことで、トーン信号の送信に掛かる合計時間が短縮される。すなわち、1つのセルCに1つの時刻を一対一で対応付けると、9つのセルCに9つの時刻が必要となる。

【0066】
図5Eは、1つのグループが9つのセルCで構成される場合に短縮される送信時間を表す図である。図5Eの例では、9つのセルCに6つの時刻で十分であり、トーン信号の送信に掛かる合計時間は2/3に減る。

【0067】
図5Fは、1つのグループが16のセルCで構成される場合に短縮される送信時間を表す図である。図5Fの例では、16のセルCに8つの時刻で十分であり、トーン信号の送信に掛かる合計時間は1/2に減る。

【0068】
図5Gは、1つのグループが25のセルCで構成される場合に短縮される送信時間を表す図である。図5Gの例では、25のセルCに10の時刻で十分であり、トーン信号の送信に掛かる合計時間は2/5に減る。

【0069】
このように、1つのグループにより多くのセルCを含めることで、トーン信号の送信時間はより短くなる。ただし、送信時間をより短くすると、受信信号の読み取りがより難しくなる場合があるので、ケースバイケースで最適な割合に調節することが望ましい。この例では、1グループに9つのセルCの割合を選択した場合について説明を続ける。

【0070】
第5のステップS5A、S5B1、S5B2、S5C1およびS5C2で行われるトーン信号の送受信について詳細に説明する。

【0071】
図6Aは、1つのグループGに配置された複数のセンサノードSNが送信する複数のトーン信号が有するサブキャリア周波数の一例を示す分布図である。図6Aの例では、1つのグループGに9つのセルCが含まれており、そのうち7つのセルCにセンサノードSNが1つずつ配置されている。第1のセンサノードSNは、時刻tに対応する位置にある列(以下、時刻t0の列という。行についても同様)と、時刻tの行との交点に配置されており、第1のサブキャリア周波数fを有するトーン信号を、時刻tと、時刻tと、合計2回にわたって送信する。

【0072】
同様に、第2のセンサノードSNは、時刻tの列と、時刻tの行との交点に配置されており、第2のサブキャリア周波数fを有するトーン信号を、時刻tと、時刻tと、合計2回にわたって送信する。第3のセンサノードSNは、時刻tの列と、時刻tの行との交点に配置されており、第3のサブキャリア周波数fを有するトーン信号を、時刻tと、時刻tと、合計2回にわたって送信する。第4のセンサノードSNは、時刻tの列と、時刻tの行との交点に配置されており、第2のサブキャリア周波数fを有するトーン信号を、時刻tと、時刻tと、合計2回にわたって送信する。第5のセンサノードSNは、時刻tの列と、時刻tの行との交点に配置されており、第3のサブキャリア周波数fを有するトーン信号を、時刻tと、時刻tと、合計2回にわたって送信する。第6のセンサノードSNは、時刻tの列と、時刻tの行との交点に配置されており、第4のサブキャリア周波数fを有するトーン信号を、時刻tと、時刻tと、合計2回にわたって送信する。第7のセンサノードSNは、時刻tの列と、時刻tの行との交点に配置されており、第5のサブキャリア周波数fを有するトーン信号を、時刻tと、時刻tと、合計2回にわたって送信する。

【0073】
このように、時刻t~tにかけて6回に分けて、かつ、5つのサブキャリア周波数f~fを用いて送信されたトーン信号は、シンクSにおいて表2のように受信される。
【表2】
JP0005843199B2_000005t.gif

【0074】
すなわち、時刻tに、第1および第2のサブキャリア周波数fおよびfを有するトーン信号が受信される。同様に、時刻tに、第2~第4のサブキャリア周波数f~fを有するトーン信号が受信される。時刻tに、第3および第5のサブキャリア周波数fおよびfを有するトーン信号が受信される。時刻tに、第4および第5のサブキャリア周波数fおよびfを有するトーン信号が受信される。時刻tに、第2および第3のサブキャリア周波数fおよびfを有するトーン信号が受信される。時刻tに、第1~第3のサブキャリア周波数f~fを有するトーン信号が受信される。

【0075】
本発明によれば、上記のように、観測情報をサブキャリア周波数に変換し、観測位置情報を送信タイミングに変換して送信を行うことにより、従来技術におけるパケットを用いた送信方法と比べて、きわめて高速な送信が可能になる。これは、センサノード数が多い場合に特に顕著となる。例えば、センサノード数を2500とすると、従来のZigBeeに準拠した送信方法の場合、観測情報と観測位置情報を含みうる最小のパケットサイズ(例えば、127バイト=1016ビット)、パケット送信速度を250キロビット毎秒とし、各センサノードからのパケットの衝突が一切発生しない理想的な環境を想定したとしても、全ノードの情報の送信に10秒程度要する。一方、本発明の送信方法の場合、1回の送信タイミングを表す1スロットを、一般的な無線LANの10倍程度の余裕を見て40マイクロ秒とし、1グループに1セル(すなわち、上記α=1)として、送信タイミングが一切集約されずに各ノードの情報が送信される(すなわち2500回の送信が行われる)としても、100ミリ秒程度で済む。

【0076】
なお、上記の計算例のように、1グループに1セル、すなわち、上記α=1として、セルの数だけ観測情報を送信するようにしてもよい。この場合、図5E、図5F、図5Gに例示されるα>1の場合よりも、通信時間が必要になるが、各セルの送信タイミングが集約されないので、後述の復元処理の精度は向上する。

【0077】
第6のステップS6Aで行われるサブキャリア周波数毎の電力検出について詳細に説明する。シンクSは、トーン信号を受信する時刻毎に、かつ、サブキャリア周波数毎に、受信したトーン信号の電力を検出し、所定の閾値と比較し、有効なトーン信号と、無効なトーン信号とを選別する。このためには、例えば、図3の第1のステップS1Aで説明したように、各センサノードSNが適切な電力でトーン信号の送信を行うことが望ましい。

【0078】
この例では、表2に示した全てのトーン信号が有効と判断されて、シンクSのメモリ33に格納されたものとして説明を続ける。

【0079】
第7のステップS7Aで行われる、観測情報と、観測位置情報との復元について詳細に説明する。本発明の復元動作は、大きく分けて、判定、推定の各動作を含む。さらに、補間動作を含んでいても良い。本発明では、まず、共通するサブキャリア周波数の存在判定を行う。また、本実施形態では、前提条件として、1つのセルCに配置されたセンサノードSNは1個以下で、かつ、シンクSはこの配置を把握していないものとする。

【0080】
図6Bは、図6Aの例に基づいて行った、共通するサブキャリア周波数の存在判定の結果を示す判定図である。図6Bの判定図は、図6Aの分布図と同じグループに含まれる9つのセルCを表しており、横軸に時刻t~tが、縦軸に時刻t~tが、それぞれ割り当てられている。

【0081】
図6Bの、時刻tと、時刻tとが交差するセルCに注目する。シンクSのCPU32は、受信結果をまとめた表2を参照し、時刻tと、時刻tとで共通するサブキャリア周波数を検索する。共通するサブキャリア周波数は、第1のサブキャリア周波数fと、第2のサブキャリア周波数fとであるので、この結果が図6Bの、時刻tと、時刻tとが交差するセルCに対応付けられて、シンクSのメモリ33に記録される。

【0082】
同様に、時刻tと、時刻tとが交差するセルCに対応して、共通するサブキャリア周波数fおよびfが記録される。時刻tと、時刻tとが交差するセルCに対応して、共通するサブキャリア周波数fが記録される。時刻tと、時刻tとが交差するセルCに対応して、共通するサブキャリア周波数fが記録される。時刻tと、時刻tとが交差するセルCに対応して、共通するサブキャリア周波数fおよびfが記録される。時刻tと、時刻tとが交差するセルCに対応して、共通するサブキャリア周波数fが記録される。時刻tと、時刻tとが交差するセルCに対応して、共通するサブキャリア周波数fが記録される。時刻tと、時刻tとが交差するセルCに対応して、共通するサブキャリア周波数fが記録される。なお、時刻tと、時刻tとが交差するセルCには共通するサブキャリア周波数が無いので、その記録は空白のままとなる。

【0083】
図6Cは、受信信号からの判定結果を示す図6Bのうち、送信信号の分布を示す図6Aとの差異を示す比較図である。図6Cでは、実際の分布とは判定結果が異なる4つのセルCを、不確定領域UZとして示している。ここで、不確定領域UZは、時刻tおよび時刻tの組み合わせに対応するセルCと、時刻tおよび時刻tの組み合わせに対応するセルCと、時刻tおよび時刻tの組み合わせに対応するセルCと、時刻tおよび時刻tの組み合わせに対応するセルCとを含んでいる。

【0084】
本実施形態では、それぞれのセルCについて、判定結果であるサブキャリア周波数を観測情報に逆変換し、複数のサブキャリア周波数が候補として挙がっている場合は逆変換値の平均値を算出して、観測情報の推定値とする。この演算は、以下の式で一般化される。
【数3】
JP0005843199B2_000006t.gif
ここで、x’は対象となるセルCの横方向の座標を表し、y’は対象となるセルCの縦方向の座標を表し、kestは座標x’,y’の対象となるセルCにおける観測情報の推定値を表し、Nは対象となるセルCで候補として挙がっているサブキャリア周波数の総数を表し、NCOMMONはi番目の候補となるサブキャリア周波数を表す。

【0085】
この式を図6Bに当てはめると、以下のような推定結果が得られる。
est(t,t)=不明
est(t,t)=Af-W+K
est(t,t)=(1/2){(Af-W+K)+(Af-W+K)}
est(t,t)=Af-W+K
est(t,t)=(1/2){(Af-W+K)+(Af-W+K)}
est(t,t)=(1/2){(Af-W+K)+(Af-W+K)}
est(t,t)=Af-W+K
est(t,t)=Af-W+K
est(t,t)=Af-W+K

【0086】
ここまで、1つのグループGに含まれるセルCに対する復元方法を説明したが、本発明では同じ復元方法を全てのグループについて繰り返すことで、観測情報の全体的な2次元分布を復元する。このとき、推定値が不明のまま残ったセルCについては、周囲のセルCの推定値に基づく補間を行っても良い。

【0087】
より具体的には、推定値が不明であるセルCに隣接するセルCのうち、推定値が確定しているセルCを検出して、これらのセルCにおける推定値の平均値を演算して、不明な推定値を補間しても良い。その一連の手順の一例を、以下に示す。
手順1:隣接セルのうち、1つ以外のセルの観測情報が推定されているセルの観測情報を補間する。観測情報を補間したいセルに隣接するセルの推定観測情報の平均値を、そのセルの観測情報とする。
手順2:隣接セルのうち、1つ以外のセルの観測情報が推定されているセルが無くなるまで、手順1を繰り返す。
手順3:隣接セルのうち、1つでも推定観測情報が決定しているセルの観測情報を補間する。観測情報を補間したいセルに隣接するセルの推定観測情報の平均値を、そのセルの観測情報とする。
手順4:全セルの観測情報が補間されるまで、手順1~3を繰り返す。
以上の補間方法を、便宜的に、第1の補間方法と呼ぶ。

【0088】
または、逆距離加重法を用いた補間を行っても良い。逆距離加重法とは、推定値が不明なセルCから、推定値が確定しているセルCまでの距離を求め、この距離の逆数で推定値に重み付けを行い、その加重平均値で不明な推定値を補間する手法である。この計算は、例えば以下の式で表すことが出来る。
【数4】
JP0005843199B2_000007t.gif
ここで、k’は補間対象セルの推定値を示し、k’は推定値が確定しているi番目のセルの推定値を示し、wはi番目の推定値に対応する重みを示す。

【0089】
この重みwは、例えば以下の式で表すことが出来る。
【数5】
JP0005843199B2_000008t.gif
ここで、diは推定値が確定しているi番目のセルから補間対象セルまでの距離を示し、Dは逆距離加重乗数を示す。

【0090】
このとき、推定値が不明なセルCに隣接するセルCのみならず、より離れたセルCをも含めても構わない。また、距離の逆数を演算する際に用いる逆距離加重定数Dは、1のみならず、例えば2など他の数値を、理論的・経験的・実験的に予め得られた観測属性の分布特性(空間相関等)に応じて適宜に選んでも構わない。以上の補間方法を、便宜的に、第2の補間方法と呼ぶ。

【0091】
本実施形態による復元方法を用いたワイヤレスセンサネットワーク通信方法では、センサノードSNが送信した情報とは異なる推定値が得られる場合があっても、この推定値と、実際の値との差はある程度の精度が保たれることが期待される。また、復元の途中で得られる判定結果が正解とは異なっていたとしても、その後の平均値算出によって、誤差は小さくなることが期待される。この復元方法は、観測対象の分布に空間相関がある場合に特に有効となる。

【0092】
(第2の実施形態)
本実施形態では、本発明の第1の実施形態よりもさらに精度の高い復元を行える場合について説明する。ここでは、前提条件として、本発明の第1の実施形態の場合と同様に観測対象に空間相関があり、さらに、シンクSが全てのセンサノードSNの配置を予め把握しているものとする。

【0093】
本実施形態では、シンクSがセンサノードSNの配置を全て把握しているので、本発明の第1の実施形態において時刻t2および時刻t4に対応するセルCのようにセンサノードSNが配置されていない場合には、その観測情報を「不明」と正しく判定することが可能となる。

【0094】
その後は、本発明の第1の実施形態の場合と同様の推定方法を行い、すなわち、同じセルCにサブキャリア周波数の候補が複数ある場合にはそれぞれの逆変換値を平均する。

【0095】
本実施形態による推定方法を図6Bに当てはめると、以下のような推定結果が得られる。
est(t,t)=不明
est(t,t)=Af-W+K
est(t,t)=(1/2){(Af-W+K)+(Af-W+K)}
est(t,t)=Af-W+K
est(t,t)=(1/2){(Af-W+K)+(Af-W+K)}
est(t,t)=(1/2){(Af-W+K)+(Af-W+K)}
est(t,t)=Af-W+K
est(t,t)=不明
est(t,t)=Af-W+K

【0096】
本実施形態による復元方法を用いたワイヤレスセンサネットワーク通信方法でも、本発明の第1の実施形態の場合と同様の効果が得られる。すなわち、センサノードSNが送信した情報とは異なる推定値が得られる場合があっても、この推定値と、実際の値との差はある程度の精度が保たれることが期待される。この復元方法は、観測対象の分布に空間相関がある場合に特に有効となる。

【0097】
(第3の実施形態)
本実施形態では、本発明の第1の実施形態よりもさらに精度の高い復元を行える場合について説明する。ここでは、前提条件として、本発明の第1の実施形態の場合と同様に、観測対象に空間相関があり、さらに、各セルCに最大でも1つまでのセンサノードSNしか配置されていないことが保証されているものとする。

【0098】
本実施形態による復元方法では、本発明の第1の実施形態で行った複数候補の平均化の前段階として、サブキャリア周波数の候補が1つだけあるセルCのサブキャリア周波数をこの候補で確定する。確定された候補は、その後の平均化の対象から除外するものとする。この工程は、確定可能な候補が無くなるまで繰り返すことが望ましい。

【0099】
本実施形態による復元方法を、具体例を用いてより詳細に説明する。まず、複数のセンサノードSNによってトーン信号が図6Aに示したとおりに送信され、また、シンクSによってトーン信号は表2に示したとおりに受信されたものとする。

【0100】
次に、表2を参照して、サブキャリア周波数の候補が1つだけであるセルCを検索する。表2の例では、時刻tおよび時刻tの組み合わせに対応するセルCの候補が、第2のサブキャリア周波数fだけとなっている。同様に、時刻tおよび時刻tの組み合わせに対応するセルCの候補が、第4のサブキャリア周波数fだけとなっている。時刻tおよび時刻tの組み合わせに対応するセルCの候補が、第5のサブキャリア周波数fだけとなっている。時刻tおよび時刻tの組み合わせに対応するセルCの候補が、第3のサブキャリア周波数fだけとなっている。時刻tおよび時刻tの組み合わせに対応するセルCの候補が、第3のサブキャリア周波数fだけとなっている。これらの単独候補を、それぞれのセルCにおける観測情報の推定値として確定する。

【0101】
確定された推定値は、次の方程式による逆変換で得られる。
【数6】
JP0005843199B2_000009t.gif

【0102】
その結果、5つのセルCについて観測情報の推定値が次のように確定する。
est(t,t)=Af-W+K
est(t,t)=Af-W+K
est(t,t)=Af-W+K
est(t,t)=Af-W+K
est(t,t)=Af-W+K

【0103】
次に、確定された単独候補に関わるデータを、表2から削除する。その結果、表3が得られる。
【表3】
JP0005843199B2_000010t.gif
表3において、表2から削除されたデータは「0」で上書きしているが、これはあくまでも一例であって、本発明を限定するものではない。

【0104】
次に、表3を参照して、サブキャリア周波数の候補が1つだけであるセルCの検索を繰り返す。今回は、時刻tおよび時刻tの組み合わせに対応するセルCの候補が、第1のサブキャリア周波数fだけとなっている。同様に、時刻tおよび時刻tの組み合わせに対応するセルCの候補が、第2のサブキャリア周波数fだけとなっている。

【0105】
図7Aは、本発明の第3の実施形態による復元方法を説明する具体例における2度目の検索で該当したセルCと、その共通するサブキャリア周波数との組み合わせを示す図である。これらの単独候補を、それぞれのセルCにおける観測情報の推定値として確定する。

【0106】
確定された推定値は、上記の方程式で逆変換されて、次のように算出される。
est(t,t)=Af-W+K
est(t,t)=Af-W+K

【0107】
次に、確定された端族候補に関わるデータを表3から削除すると、時刻tの列と、サブキャリア周波数fの行との交差点にデータが1つ残るだけとなる。このデータは、さらなる検索を繰り返すには不十分であるので、推定値の確定はこれ以上行わない。図7Bは、本発明の第3の実施形態を説明する具体例における3度目の検索で該当するセルCが無い状態を示す図である。

【0108】
この時点で、時刻t1および時刻t4の組み合わせに対応するセルCについては、推定値が確定されていない。そこで、このセルCについては、本発明の第1の実施形態の場合と同様の方法で平均値を求める。
est(t,t)=(1/2){(Af-W+K)+(Af-W+K)}

【0109】
この例では、時刻tおよび時刻tの組み合わせに対応するセルCの推定値が得られない。そこで、このセルCについては周囲のセルの推定値を用いて第1または第2の補間方法を、第1の実施形態の場合と同様に行っても良い。

【0110】
本実施形態による復元方法を用いたワイヤレスセンサネットワーク通信方法でも、本発明の第1の実施形態の場合と同様の効果が得られる。すなわち、センサノードSNが送信した情報とは異なる推定値が得られる場合があっても、この推定値と、実際の値との差はある程度の精度が保たれることが期待される。この復元方法は、観測対象の分布に空間相関があり、かつ、各セルCに最大でも1つまでのセンサノードSNしか配置されていないことが保証されている場合に特に有効となる。

【0111】
(第4の実施形態)
本実施形態では、本発明の第3の実施形態よりもさらに精度の高い復元を行える場合について説明する。ここで、前提条件として、本発明の第3の実施形態の場合と同様に、観測対象に空間相関があり、さらに、各セルCに最大でも1つまでのセンサノードSNしか配置されていないことが保証されているものとする。

【0112】
本実施形態による復元方法では、各セルCのサブキャリア周波数の候補のうち、グループ内で単独であるものを検索し、これをそのセルCにおける観測情報の推定値として確定する。この復元方法について、図を参照して詳細に説明する。

【0113】
図8Aは、本発明の第4の実施形態による復元方法を説明するための具体例における、送信トーン信号が有するサブキャリア周波数の分布図である。図8Aの例と、図6Aに示した例とでは、以下の点が異なる。すなわち、図8Aの例では、時刻tおよび時刻tの組み合わせに対応するセルCから送信されるトーン信号が有するサブキャリア周波数が、第5のサブキャリア周波数fではなく、第4のサブキャリア周波数fとなっている。図8Aのその他のセルCについては、図6Aの場合と同様であるので、さらなる詳細な説明を省略する。

【0114】
本実施形態による復元方法では、まず、図8Aに示したトーン信号の分布に基づいて、本発明の第1の実施形態の場合と同様に、共通するサブキャリア周波数の存在判定を行うと、表4が得られる。
【表4】
JP0005843199B2_000011t.gif
表4と、表2とでは、以下の点が異なる。すなわち、表2にあった第5のサブキャリア周波数fに対応するトーン信号の存在判定が表4には無く、また、表2には無かった、時刻tの列と、第4のサブキャリア周波数fの行との交点におけるトーン信号の存在判定が、表4にはある。表4の、その他の部分は、表2の場合と同様であるので、さらなる詳細な説明を省略する。

【0115】
図8Bは、本発明の第4の実施形態による復元方法を説明する具体例において、図8Aの例に基づいて行った、共通するサブキャリア周波数の存在判定の結果を示す判定図である。図8Bの判定図と、図6Bの判定図とでは、以下の点が異なる。すなわち、時刻t2および時刻t3の組み合わせに対応するセルCの共通するサブキャリア周波数が、図8Bでは第4のサブキャリア周波数fである。図8Bの、他のセルCについては、図6Bの場合と同様であるので、さらなる詳細な説明を省略する。

【0116】
次に、各セルCのサブキャリア周波数の候補のうち、グループ内で単独であるものを検索する。表4を検索した結果、第1のサブキャリア周波数fが、時刻tおよび時刻tの組み合わせに対応するセルCだけに登場することが分かる。そこで、このセルCのサブキャリア周波数を第1のサブキャリア周波数fと判定し、逆変換式によってこのセルCの観測情報を推定する。
est(t,t)=Af-W+K

【0117】
また、表4から、第1のサブキャリア周波数fに関わるデータを削除する。この状態を、表5に表す。
【表5】
JP0005843199B2_000012t.gif

【0118】
その後は、本発明の第3の実施形態と同様に復元を行う。すなわち、サブキャリア周波数の候補が1つだけあるセルCのサブキャリア周波数をこの候補で確定する。確定された候補は、その後の平均化の対象から除外するものとする。この工程は、確定可能な候補が無くなるまで繰り返す。

【0119】
図8Cは、本発明の第4の実施形態による復元方法を説明する具体例において、表5に対応する状態におけるセルCと、その共通するサブキャリア周波数との組み合わせを示す図である。図8Cは、図8Bに以下の変更を加えたものに等しい。すなわち、時刻t0および時刻t5の組み合わせに対応するセルCの候補であるサブキャリア周波数を削除する。図8Cのその他のセルCについては、図8Bの場合と同様であるので、さらなる詳細な説明を省略する。

【0120】
表5を参照して、サブキャリア周波数の候補が1つだけであるセルCを検索すると、5つのセルCが該当するので、これらセルCに逆変換式を用い、観測情報が次のように推定される。
est(t,t)=Af-W+K
est(t,t)=Af-W+K
est(t,t)=Af-W+K
est(t,t)=Af-W+K
est(t,t)=Af-W+K

【0121】
次に、推定された単独候補に関わるデータを表5から削除すると、表6が得られる。
【表6】
JP0005843199B2_000013t.gif

【0122】
表6に示したように、残るデータは、時刻tの列および第2のサブキャリア周波数fの行の交点と、時刻tの列および第2のサブキャリア周波数fの行の交点と、時刻tの列および第3のサブキャリア周波数fの行の交点との、合計3つだけである。この中から、サブキャリア周波数の候補が1つだけであるセルCを再度検索すると、時刻tおよび時刻tの組み合わせに対応するセルCが見つかるので、その観測情報を逆変換式で推定する。
est(t,t)=Af-W+K
図8Dは、本発明の第4の実施形態による復元方法を説明する具体例における2度目の検索で該当したセルCと、その単独候補となるサブキャリア周波数との組み合わせを示す図である。

【0123】
次に、推定された単独候補に関わるデータを表6から削除するが、これ以降は本発明の第3の実施形態で説明したとおりであるので、さらなる詳細な説明を省略する。

【0124】
本実施形態による復元方法を用いたワイヤレスセンサネットワーク通信方法でも、本発明の第3の実施形態の場合と同様の効果が得られる。すなわち、センサノードSNが送信した情報とは異なる推定値が得られる場合があっても、この推定値と、実際の値との差はある程度の精度が保たれることが期待される。この復元方法は、観測対象の分布に空間相関があり、かつ、各セルCに最大でも1つまでのセンサノードSNしか配置されていないことが保証されている場合に特に有効となる。

【0125】
(第5の実施形態)
本実施形態では、1つのセルCに複数のセンサノードSNが存在する場合の復元方法について、具体例を用いて説明する。ここでは、前提条件として、観測対象の空間相関は低くても良いが、シンクSはセンサノードSNの配置を予め把握しているものとする。

【0126】
図9Aは、本発明の第5の実施形態による復元方法を説明するための具体例における、センサノードSNの配置と、各センサノードSNが送信するトーン信号が有するサブキャリア周波数とを示す分布図である。図9Aに示した例の、センサノードSNの配置と、各センサノードSNが送信するトーン信号が有するサブキャリア周波数とは、以下のとおりである。時刻tおよび時刻tの組み合わせに対応するセルCには、第1のサブキャリア周波数fを有するトーン信号を送信するセンサノードSNと、第2のサブキャリア周波数fを有するトーン信号を送信するセンサノードSNとが配置されている。時刻tおよび時刻tの組み合わせに対応するセルCには、第2のサブキャリア周波数fを有するトーン信号を送信するセンサノードSNと、第3のサブキャリア周波数fを有するトーン信号を送信するセンサノードSNとが配置されている。時刻tおよび時刻tの組み合わせに対応するセルCには、第3のサブキャリア周波数fを有するトーン信号を送信するセンサノードSNが配置されている。時刻tおよび時刻tの組み合わせに対応するセルCには、第2のサブキャリア周波数fを有するトーン信号を送信するセンサノードSNが配置されている。時刻tおよび時刻tの組み合わせに対応するセルCには、第3のサブキャリア周波数fを有するトーン信号を送信するセンサノードSNと、第4のサブキャリア周波数fを有するトーン信号を送信するセンサノードSNとが配置されている。時刻tおよび時刻tの組み合わせに対応するセルCには、センサノードSNが配置されていない。時刻tおよび時刻tの組み合わせに対応するセルCには、第3のサブキャリア周波数fを有するトーン信号を送信するセンサノードSNが配置されている。時刻tおよび時刻tの組み合わせに対応するセルCには、第4のサブキャリア周波数fを有するトーン信号を送信するセンサノードSNが配置されている。時刻tおよび時刻tの組み合わせに対応するセルCには、第4のサブキャリア周波数fを有するトーン信号を送信するセンサノードSNと、第5のサブキャリア周波数fを有するトーン信号を送信するセンサノードSNとが配置されている。

【0127】
センサノードSNが、図9Aに示されたとおりにトーン信号を送信すると、シンクSはこれらのトーン信号を表7に示すとおりに受信する。
【表7】
JP0005843199B2_000014t.gif
すなわち、時刻tには第1、第2および第3のサブキャリア周波数f、fおよびfを有するトーン信号が受信される。同様に、時刻tには第2、第3および第4のサブキャリア周波数f、fおよびfを有するトーン信号が受信される。時刻tには第3、第4および第5のサブキャリア周波数f、fおよびfを有するトーン信号が受信される。時刻tには第3、第4および第5のサブキャリア周波数f、fおよびfを有するトーン信号が受信される。時刻tには第2、第3および第4のサブキャリア周波数f、fおよびfを有するトーン信号が受信される。時刻tには第1、第2および第3のサブキャリア周波数f、fおよびfを有するトーン信号が受信される。

【0128】
次に、表7を参照して、セルCごとに共通するサブキャリア周波数を検索すると、図9Bが得られる。図9Bは、本発明の第5の実施形態による復元方法を説明するための具体例において、共通するサブキャリア周波数の存在判定の結果を示す判定図である。

【0129】
図9Bに得られた判定結果は、以下のとおりである。すなわち、時刻tおよび時刻tの組み合わせに対応するセルCには、サブキャリア周波数の候補として、第1、第2および第3のサブキャリア周波数f、fおよびfがある。同様に、時刻tおよび時刻tの組み合わせに対応するセルCには、サブキャリア周波数の候補として、第2および第3のサブキャリア周波数fおよびfがある。時刻tおよび時刻tの組み合わせに対応するセルCには、サブキャリア周波数の候補として、第3のサブキャリア周波数fがある。時刻tおよび時刻tの組み合わせに対応するセルCには、サブキャリア周波数の候補として、第2および第3のサブキャリア周波数fおよびfがある。時刻tおよび時刻tの組み合わせに対応するセルCには、サブキャリア周波数の候補として、第2、第3および第4のサブキャリア周波数f、fおよびfがある。時刻tおよび時刻tの組み合わせに対応するセルCには、サブキャリア周波数の候補として、第3および第4のサブキャリア周波数fおよびfがある。時刻tおよび時刻tの組み合わせに対応するセルCには、サブキャリア周波数の候補として、第3のサブキャリア周波数fがある。時刻tおよび時刻tの組み合わせに対応するセルCには、サブキャリア周波数の候補として、第3および第4のサブキャリア周波数fおよびfがある。時刻tおよび時刻tの組み合わせに対応するセルCには、サブキャリア周波数の候補として、第3、第4および第5のサブキャリア周波数f、fおよびfがある。

【0130】
ここで、時刻t2および時刻t4の組み合わせに対応するセルCには、実際にはセンサノードSNが配置されておらず、このことをシンクSは予め把握している。したがって、本実施形態では、シンクSはこのセルCを推定範囲外領域NZに設定する。図9Cは、本発明の第5の実施形態による推定方法を説明するための具体例において、推定範囲外領域NZの設定結果を示す図である。

【0131】
本実施形態では、次に、推定範囲外領域NZを除外して、配置されたセンサノードSNの数と、共通するサブキャリア周波数の数とが一致しているセルCを検索する。この検索で当てはまったセルCについては、配置されたセンサノードSNによる観測情報を、共通するサブキャリア周波数の逆変換値の平均値と推定する。この例では、以下の推定値が得られる。
est(t,t)=(1/2){(Af-W+K)+(Af-W+K)}
est(t,t)=Af-W+K
est(t,t)=Af-W+K

【0132】
本実施形態では、次に、推定値が得られたセルCをさらに除外して、かつ、除外されたセルCに対応するサブキャリア周波数の候補を残るセルCから除外する。図9Dは、本発明の第5の実施形態による復元方法を説明するための具体例において、1度目の検索で推定値が得られたセルCに関わるデータを削除した状態を示す図である。この状態から、上記と同じ検索および推定を再度実行すると、以下の推定値が追加で得られる。
est(t,t)=Af-W+K
est(t,t)=Af-W+K
est(t,t)=(1/2){(Af-W+K)+(Af-W+K)}

【0133】
本実施形態では、再度、推定値が得られたセルCをさらに除外して、かつ、除外されたセルCに対応するサブキャリア周波数の候補を残るセルCから除外する。しかし、今回は、配置されたセンサノードSNの数と、共通するサブキャリア周波数の数とが一致するセルCがもはや存在しない。そこで、以降は本発明の第3または第4の実施形態の場合と同様に、最初の判定時に存在していたサブキャリア周波数の候補から逆変換値の平均化を行う。

【0134】
図9Eは、本発明の第5の実施形態による復元方法を説明するための具体例において、配置されたセンサノードSNの数と、共通するサブキャリア周波数の数とが一致するセルCがもはや存在しない状態を示す図である。最初の判定時に存在していたサブキャリア周波数の候補から逆変換値の平均化を実行することで、以下の推定値が得られる。
est(t,t)=(1/3){(Af-W+K)+(Af-W+K)+(Af-W+K)}
est(t,t)=(1/3){(Af-W+K)+(Af-W+K)+(Af-W+K)}

【0135】
本実施形態による復元方法を用いたワイヤレスセンサネットワーク通信方法では、以下のような効果が得られる。すなわち、観測対象の分布に空間相関が低くても、シンクSはセンサノードSNの配置を予め把握しているなら、推定値と、実際の値との差はある程度の精度が保たれることが期待される。

【0136】
以上、本発明のワイヤレスセンサネットワークシステムと、このシステムを用いる通信方法について説明した。シンクSが行う復元方法については、第1~第5の実施形態として複数の手法を説明したが、これらの手法が、技術的に矛盾しない範囲において自由に組み合わせることが可能であることは言うまでもない。例えば、推定値が得られなかったセルについては、第1の実施形態として説明した第1または第2の補間方法を、どの実施形態でも併用することが望ましい。
【符号の説明】
【0137】
11 バス
12 CPU
13 メモリ
14 送受信回路
15 アンテナ
16 センサ
17 位置情報取得回路
18 時間軸マッピング回路
19 周波数軸マッピング回路
31 バス
32 CPU
33 メモリ
34 送受信回路
35 アンテナ
36 出力回路
37 復元回路
C セル
G、G1~G16 セルグループ
NZ 推定範囲外領域
S シンク(受信サーバ)
SN、SN1~SN5 センサノード(送信端末)
TS0 信号
TS1~TS3 トーン信号
UZ 不確定領域
図面
【図1】
0
【図2A】
1
【図2B】
2
【図2C】
3
【図3】
4
【図4A】
5
【図4B】
6
【図5A】
7
【図5B】
8
【図5C】
9
【図5D】
10
【図5E】
11
【図5F】
12
【図5G】
13
【図6A】
14
【図6B】
15
【図6C】
16
【図7A】
17
【図7B】
18
【図8A】
19
【図8B】
20
【図8C】
21
【図8D】
22
【図9A】
23
【図9B】
24
【図9C】
25
【図9D】
26
【図9E】
27