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明細書 :C4h対称な2,9,16,23-テトラキス(tert-ブチル)フタロシアニンの位置選択的合成方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-059093 (P2015-059093A)
公開日 平成27年3月30日(2015.3.30)
発明の名称または考案の名称 C4h対称な2,9,16,23-テトラキス(tert-ブチル)フタロシアニンの位置選択的合成方法
国際特許分類 C07F   7/10        (2006.01)
C09B  47/067       (2006.01)
C09B  67/20        (2006.01)
C07D 487/22        (2006.01)
FI C07F 7/10 CSPJ
C07F 7/10 A
C07F 7/10 S
C09B 47/067
C09B 67/20 B
C07D 487/22
請求項の数または発明の数 9
出願形態 OL
全頁数 16
出願番号 特願2013-192699 (P2013-192699)
出願日 平成25年9月18日(2013.9.18)
発明者または考案者 【氏名】飯田 紀士
【氏名】徳永 恵津子
【氏名】柴田 哲男
出願人 【識別番号】304021277
【氏名又は名称】国立大学法人 名古屋工業大学
審査請求 未請求
テーマコード 4C050
4H049
Fターム 4C050PA14
4C050PA15
4H049VN01
4H049VP01
4H049VQ41
4H049VQ60
4H049VR24
4H049VS41
4H049VU25
4H049VU36
4H049VW02
要約 【課題】位置異性体の混合物ではないC4h対称な2,9,16,23-テトラキス(tert-ブチル)フタロシアニンの位置選択的な合成方法の提供。
【解決手段】
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(R1はトリアルキルシリル基を表す。)で表されるフタロニトリル(1)から(4)(Mは水素原子,金属元素,半金属元素,金属酸化物,半金属酸化物,金属水酸化物,半金属水酸化物,金属ハロゲン化物,または半金属ハロゲン化物である。)で表されるフタロシアニンを合成し,トリアルキルシリル基を脱保護することによって式(7)で表されるC4h対称の2,9,16,23-テトラキス(tert-ブチル)フタロシアニンを合成する。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
次の一般式(1)
【化1】
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(式中R1はトリアルキルシリル基を表す。)で表される5-(tert-ブチル)-3-(トリアルキルシリル)フタロニトリルの製造方法であって, 4-tert-ブチルフタロニトリルに対してクロロトリアルキルシランと有機リチウム化合物を反応させる工程からなる製造方法。
【請求項2】
前記クロロトリアルキルシランがクロロトリメチルシラン,クロロトリエチルシラン,クロロ-tert-ブチルジメチルシラン,クロロトリイソプロピルシラン,クロロ-tert-ブチルジフェニルシランからなる群から選択された一種又は二種以上である請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記有機リチウム化合物がn-ブチルリチウム,sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム,リチウムジイソプロピルアミド,ヘキサメチルジシラザンリチウム,リチウムテトラメチルピペラジンからなる群から選択された一種又は二種以上である請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
一般式(2)
【化2】
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で表される5-(tert-ブチル)-3-(トリメチルシリル)フタロニトリル。
【請求項5】
一般式(3)
【化3】
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で表される5-(tert-ブチル)-3-(トリエチルシリル)フタロニトリル。
【請求項6】
一般式(4)(式中のR1は請求項1に同じ。式中のMは水素原子,金属元素,半金属元素,金属酸化物,半金属酸化物,金属水酸化物,半金属水酸化物,金属ハロゲン化物,半金属ハロゲン化物を示す。)で表されるC4h対称なフタロシアニン誘導体の製造方法であって下記(化4)に示す反応式のように5-(tert-ブチル)-3-(トリアルキルシリル)フタロニトリルと金属化合物と反応させる工程からなる製造方法。
【化4】
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【請求項7】
一般式(5)(式中のMは前記と同じ)で表されるC4h対称なフタロシアニン誘導体。
【化5】
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【請求項8】
一般式(6)(式中のMは前記と同じ)で表されるC4h対称なフタロシアニン誘導体。
【化6】
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【請求項9】
一般式(7)(式中のMは前記と同じ)で表されるC4h対称なフタロシアニン誘導体の製造方法であって下記(化7)に示すようにトリアルキルシリル基を脱離させる工程からなる製造方法。
【化7】
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発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は,C4h対称な2,9,16,23-テトラキス(tert-ブチル)フタロシアニンの位置選択的な合成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フタロシアニンは人工の有機青色色素であり,発色に優れ,堅牢で対候性が高いことから道路標識や新幹線の色材として用いられてきた。近年,フタロシアニンを機能性色素に応用しようとする研究が活発に進み,有機半導体,太陽電池,光線力学的治療,光増感剤への展開が試みられている。数々のフタロシアニン誘導体の中でもtert-ブチル基を持つフタロシアニンは合成が容易で溶解性にも優れているため,広く研究に用いられている。しかし4-tert-ブチルフタロニトリルからフタロシアニンを合成するとC4h,Cs,D2h,C2v対称の4種類の位置異性体の混合物が得られてしまう。位置異性体の混合物の状態では結晶形成が妨げられるため,溶媒への溶解性は向上するが,単結晶や薄膜を作成する場合には不利である。しかし高性能な有機材料を作るためには剛直な結晶構造を形成できることが重要であるため,結晶構造を構築できるように単一のフタロシアニンを選択的に合成することが求められている。Hanackらは高速液体クロマトグラフィーによる分取によってフタロシアニンの4種類の位置異性体を分離,同定しているが(非特許文献1),大量に合成するには分取は実用的ではない。ChenとSlocumらは3-トリメチルシリルフタリニトリルからC4h対称のフタロシアニン合成を達成しているが(非特許文献2),トリメチルシリル基の他に官能基を有しておらず汎用性に欠ける。従って,官能基化されたフタロシアニンの位置選択的な合成方法を開発することが必要である。
【先行技術文献】
【0003】

【非特許文献1】M. Sommerauer, C. Rager, and M. Hanack, J. Am. Chem. Soc. 1996, 118, 10085-10093
【非特許文献2】M. J. Chen, J. W. Rathke, S. Sinclair, D. W. Slocum, J. Macromol, Sci, 1990, A27(9-11), 1415-1430
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これまでtert-ブチル基を有するフタロシアニンは位置異性体の混合物として得てきたが,これでは単結晶や薄膜を得ることができない。本発明が解決しようとする課題はtert-ブチル基を有するフタロシアニンの実用的な位置選択的な合成方法を提供することである。
上記課題を解決するため,4-tert-ブチルフタロニトリルにかさ高い保護基を導入することで立体障害によりC4h対称のフタロシアニンを選択的に得ることに成功した。また得られたフタロシアニンを脱保護することでC4h対称な2,9,16,23-テトラキス(tert-ブチル)フタロシアニンを得ることに成功した。
本発明は前記保護基を導入した4-tert-ブチルフタロニトリルを用いてC4h対称な2,9,16,23-テトラキス(tert-ブチル)フタロシアニンを位置選択的に合成できる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため請求項1記載の発明では4-tert-ブチルフタロニトリルに対してトリアルキルシリル化を行った。すなわち請求項1記載の発明は次の一般式(1)
【0006】
【化1】
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【0007】
(式中R1はトリアルキルシリル基を表す。)で表される5-(tert-ブチル)-3-(トリアルキルシリル)フタロニトリルの製造方法であって, 4-tert-ブチルフタロニトリルに対してクロロトリアルキルシランと有機リチウム化合物を反応させる工程からなる製造方法にある。
請求項2に記載の発明は、前記クロロトリアルキルシランがクロロトリメチルシラン,クロロトリエチルシラン,クロロ-tert-ブチルジメチルシラン,クロロトリイソプロピルシラン,クロロ-tert-ブチルジフェニルシランからなる群から選択された一種又は二種以上である請求項1記載の製造方法にある。
請求項3に記載の発明は、前記有機リチウム化合物がn-ブチルリチウム,sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム,リチウムジイソプロピルアミド,ヘキサメチルジシラザンリチウム,リチウムテトラメチルピペラジンからなる群から選択された一種又は二種以上である請求項1または2記載の製造方法にある。
請求項4に記載の発明は、一般式(2)
【0008】
【化2】
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【0009】
で表される5-(tert-ブチル)-3-(トリメチルシリル)フタロニトリルにある。
請求項5に記載の発明は、一般式(3)
【0010】
【化3】
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【0011】
で表される5-(tert-ブチル)-3-(トリエチルシリル)フタロニトリルにある。
請求項6に記載の発明は、一般式(4)(式中のR1は請求項1に同じ。式中のMは水素原子,金属元素,半金属元素,金属酸化物,半金属酸化物,金属水酸化物,半金属水酸化物,金属ハロゲン化物,半金属ハロゲン化物を示す。)で表されるC4h対称なフタロシアニン誘導体の製造方法であって下記(化4)に示す反応式のように5-(tert-ブチル)-3-(トリアルキルシリル)フタロニトリルと金属化合物と反応させる工程からなる製造方法にある。
【0012】
【化4】
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【0013】
請求項7に記載の発明は、一般式(5)(式中のMは前記と同じ)で表されるC4h対称なフタロシアニン誘導体にある。
【0014】
【化5】
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【0015】
請求項8に記載の発明は、一般式(6)(式中のMは前記と同じ)で表されるC4h対称なフタロシアニン誘導体にある。
【0016】
【化6】
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【0017】
請求項9に記載の発明は、一般式(7)(式中のMは前記と同じ)で表されるC4h対称なフタロシアニン誘導体の製造方法であって下記(化7)に示すようにトリアルキルシリル基を脱離させる工程からなる製造方法にある。
【0018】
【化7】
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【発明を実施するための形態】
【0019】
5-(tert-ブチル)-3-(トリアルキルシリル)フタロニトリルは4-tert-ブチルフタロニトリルから有機リチウム化合物とクロロトリアルキルシランを下式に従い反応させることで合成できる。

【0020】
【化8】
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【0021】
一般式(1)の合成方法:
用いるクロロトリアルキルシランはクロロトリメチルシラン,クロロトリエチルシラン,クロロ-tert-ブチルジメチルシラン,クロロトリイソプロピルシラン,クロロ-tert-ブチルジフェニルシランなどが利用できるが好ましくはクロロトリメチルシランもしくはクロロトリエチルシランである。用いる有機リチウム化合物としてはn-ブチルリチウム,sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム,リチウムジイソプロピルアミド,ヘキサメチルジシラザンリチウム,リチウムテトラメチルピペラジンが利用できるが反応性の観点から好ましくはリチウムテトラメチルピペラジンである。溶媒の種類は特に限定されないがジエチルエーテル,ジイソプロピルエーテル,n-ブチルメチルエーテル,tert-ブチルメチルエーテル,テトラヒドロフラン,ジオキサン等のエーテル系溶媒やヘプタン,ヘキサン,シクロペンタン,シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒などを挙げることができる。最も好ましくはテトラヒドロフランである。温度範囲は-20℃から-80℃で可能だが好ましくは-80℃である。

【0022】

一般式(4)の合成方法:

【0023】
【化9】
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【0024】
Mが示す金属元素としては,アルカリ金属,アルカリ土類金属,遷移金属,ランタノイド系金属,アクチノイド系金属を用いることができる。具体的には,リチウム,ナトリウム,カリウム,マグネシウム,カルシウム,スカンジウム,イットリウム,チタン,ジルコニウム,クロム,マンガン,モリブデン,鉄,ルテニウム,コバルト,ロジウム,ニッケル,パラジウム,ニッケル,銅,亜鉛,アルミニウム,ガリウム,インジウム,スズ,ランタン,ウランなどが挙げることができる。
Mが示す半金属元素としては,例えば,ホウ素,ケイ素,砒素,ゲルマニウム,鉛などが挙げることができる。
Mが示す金属酸化物としては,アルカリ金属,アルカリ土類金属,遷移金属,ランタノイド系金属,アクチノイド系金属の酸化物を用いることができる。具体的には,酸化リチウム,酸化マグネシウム,酸化カルシウム,酸化チタン,酸化クロム,酸化マンガン,酸化モリブデン,酸化鉄,酸化ルテニウム,酸化銅,酸化亜鉛,酸化アルミニウム,酸化ガリウム,酸化ランタン,酸化ウランなどが挙げることができる。
Mが示す半金属酸化物としては,例えば,ホウ素酸化物,ケイ素酸化物,砒素酸化物,ゲルマニウム酸化物,鉛酸化物などが挙げることができる。

【0025】
Mが示す金属水酸化物としては,アルカリ金属,アルカリ土類金属,遷移金属,ランタノイド系金属,アクチノイド系金属の水酸化物を用いることができる。例えば,水酸化アルミニウム,水酸化インジウム,水酸化タリウムなどが挙げることができる。

【0026】
Mが示す半金属水酸化物としては,例えば,ホウ素水酸化物,ケイ素水酸化物,砒素水酸化物,ゲルマニウム水酸化物,鉛水酸化物などが挙げることができる。
Mが示す金属ハロゲン化物としては,アルカリ金属,アルカリ土類金属,遷移金属,ランタノイド系金属,アクチノイド系金属のハロゲン化物を用いることができる。ハロゲン原子としては,フッ素原子,塩素原子,臭素原子,又はヨウ素原子のいずれでもよい。

【0027】
Mが示す半金属ハロゲン化物としては,例えば,ホウ素ハロゲン化物,ケイ素ハロゲン化物,砒素ハロゲン化物,ゲルマニウムハロゲン化物,鉛ハロゲン化物などが挙げることができる。ハロゲン原子としては,フッ素原子,塩素原子,臭素原子,又はヨウ素原子のいずれでもよい。
本発明のフタロシアニンは種類に応じて塩を形成する場合があり,また水和物,媒和物として存在する場合があるがこれらの物質はいずれも本発明の範囲に含まれる。
溶媒の種類は特に限定されないが,ジエチルエーテル,ジイソプロピルエーテル,n-ブチルメチルエーテル,tert-ブチルメチルエーテル,テトラヒドロフラン,ジオキサン等のエーテル系溶媒;ヘプタン,ヘキサン,シクロペンタン,シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒;クロロホルム,四塩化炭素,塩化メチレン,ジクロロエタン,トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;ベンゼン,トルエン,キシレン,クメン,シメン,メシチレン,ジイソプロピルベンゼン,1-クロロナフタレン,ピリジン,ピリミジン,ピラジン,ピリダジン等の芳香族系溶媒;酢酸エチル等のエステル系溶媒;アセトン,メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;ジメチルスルホキシド,ジメチルホルムアミド等の溶媒;メタノール,エタノール,プロパノール,イソプロピルアルコール,アミノエタノール,N,N-ジメチルアミノエタノール,エチレングリコール等のアルコール系溶媒;超臨界二酸化炭素,イオン性液体が挙げられるが,チレングリコール中,もしくは無溶媒で反応を行うのが望ましい。

【0028】
反応温度は室温から用いる溶媒の沸点までの間で行うことが可能であるが230℃が好ましい。
一般式(7)の合成方法:

【0029】
【化10】
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【0030】
脱シリル化試薬としてフッ化テトラブチルアンモニウム,フッ化テトラメチルアンモニウム,フッ化セシウム,フッ化カリウム等のフッ化物イオン源,水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,ナトリウムtert-ブトキシド,カリウムtert-ブトキシド等の強塩基,濃硫酸,濃硝酸,濃塩酸等の強酸を用いることができる。またこれらの試薬を組み合わせて用いることも可能である。最も好ましくは濃硫酸である。
反応溶媒としては特に限定されず,ジエチルエーテル,ジイソプロピルエーテル,n-ブチルメチルエーテル,tert-ブチルメチルエーテル,テトラヒドロフラン,ジオキサン等のエーテル系溶媒;ヘプタン,ヘキサン,シクロペンタン,シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒;クロロホルム,四塩化炭素,塩化メチレン,ジクロロエタン,トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;ベンゼン,トルエン,キシレン,クメン,シメン,メシチレン,ジイソプロピルベンゼン,1-クロロナフタレン,ピリジン,ピリミジン,ピラジン,ピリダジン等の芳香族系溶媒;酢酸エチル等のエステル系溶媒;アセトン,メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;ジメチルスルホキシド,ジメチルホルムアミド等の溶媒;メタノール,エタノール,プロパノール,イソプロピルアルコール,アミノエタノール,N,N-ジメチルアミノエタノール,エチレングリコール等のアルコール系溶媒;超臨界二酸化炭素,イオン性液体,水中で行うことが可能であるが溶媒を用いないのが最も好ましい。
反応温度は0℃から100℃までの間で行うことが可能であるが室温が好ましい。
以下,本発明の2,9,16,23-テトラキス(tert-ブチル)フタロシアニンの合成を実施形態により具体的に説明するが,本発明の範囲は下記の実施形態に限定されるものではない。
(第1実施形態)
5-(tert-ブチル)-3-(トリメチルシリル)フタロニトリルの合成:
窒素置換した30 mlナスフラスコにTHF 2.0 mlと2,2,6,6-テトラメチルピペリジン0.11 ml (0.624 mmol)を加え,1.27 Mのn-ブチルリチウム0.49 ml (0.624 mmol)を0℃でゆっくり滴下した。反応溶液を0℃で30分撹拌し,-78℃に冷却した。そこへ4-tert-ブチルフタロニトリル100 mg (0.543 mmol)をTHF 2.0 mlに溶解させた溶液をゆっくり滴下し,-78℃で30分撹拌した。その後,クロロトリメチルシラン68.9 μl (0.543 mmol)をゆっくり滴下し,-78℃で1時間撹拌後,室温で1時間撹拌した。水を加えて反応を止めて,一規定の塩酸を加えジエチルエーテルで三回抽出し,有機層を飽和食塩水で洗浄,硫酸ナトリウムで乾燥させ,減圧下溶媒を留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (Hex / AcOEt = 95 / 5)で精製し,目的物を96 mg (収率69%)で得た。
1H NMR (300MHz, CDCl3): 0.46 (s, 9H), 1.35 (s, 9H), 7.76 (s, 1H), 7.82 (s, 1H)
(第2実施形態)
5-(tert-ブチル)-3-(トリエチルシリル)フタロニトリルの合成
窒素置換した100 mlナスフラスコにTHF 10 mlと2,2,6,6-テトラメチルピペリジン0.57 ml (3.39mmol)を加え,1.23 Mのn-ブチルリチウム2.76 ml (3.39 mmol)を0℃でゆっくり滴下した。反応溶液を0℃で30分撹拌し,-78℃に冷却した。そこへ4-tert-ブチルフタロニトリル500 mg (2.71 mmol)をTHF 10 mlに溶解させた溶液をゆっくり滴下し,-78℃で30分撹拌した。その後,クロロトリエチルシラン0.45 ml (2.71 mmol)をゆっくり滴下し,-78℃で1時間撹拌後,室温で1時間撹拌した。水を加えて反応を止めて,一規定の塩酸を加えジエチルエーテルで三回抽出し,有機層を飽和食塩水で洗浄,硫酸ナトリウムで乾燥させ,減圧下溶媒を留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (Hex / AcOEt = 98 / 2 → 96 / 4)で精製し,目的物を357 mg (収率44%)で得た。
1H NMR (300MHz, CDCl3): 0.95—1.02 (m, 15H), 1,36 (s, 9H), 7.76 (s, 1H), 7.81 (s, 1H)
(第3実施形態)
3,10,17,24-テトラキス(tert-ブチル)-1,8,15,22-テトラキス(トリメチルシリル)亜鉛フタロシアニンの合成:

【0031】
【化11】
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【0032】
上式に従い、窒素置換した試験管に5-(tert-ブチル)-3-(トリメチルシリル)フタロニトリル 202 mg (0.788 mmol),酢酸亜鉛36.1 mg (0.197 mmol)とエチレングリコール1.0 mlを加え,230℃で3時間加熱した。反応後室温まで冷却し,水を加え塩化メチレンで3回抽出し,有機層を飽和食塩水で洗浄,硫酸ナトリウムで乾燥させ,減圧下溶媒を留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (Hex / AcOEt = 95 / 5)で精製し,目的物を56.7 mg (収率26%)で得た。
1H NMR (300MHz, CDCl3): 1.17 (s, 36H), 1.80 (s, 36H), 8.50 (s, 4H), 9.73 (s, 4H)
MALDI-TOF calculated for C60H80N8Si4Zn (M-H+)- 1088.49 found 1088.35
(第4実施形態)
3,10,17,24-テトラキス(tert-ブチル)-1,8,15,22-テトラキス(トリエチルシリル)亜鉛フタロシアニンの合成:

【0033】
【化12】
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【0034】
上式に従い、窒素置換した封管に5-(tert-ブチル)-3-(トリエチルシリル)フタロニトリル 58.2 mg (0.195 mmol)と塩化亜鉛 8.9 mg (0.0651 mmol)を加え200℃で2時間撹拌した。反応後,室温まで冷却し,シリカゲルカラムクロマトグラフィー (Hex / AcOEt = 95 / 5)で精製し,目的物を11.2mg (収率18%)で得た。
1H NMR (300MHz, CDCl3): 1.19 (t, d = 7.7 Hz, 36H), 1.81 (s, 36H), 1.95 (q, J = 7.7 Hz, 24H), 8.45 (s, 4H), 9.67 (s, 4H)
(第5実施形態)
2,9,16,23-テトラキス(tert-ブチル)フタロシアニンの合成:

【0035】
【化13】
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【0036】
上式に従い、10 mlナスフラスコに3,10,17,24-テトラキス(tert-ブチル)-1,8,15,22-テトラキス(トリメチルシリル)亜鉛フタロシアニン41.8 mg (0.03831 mmol),濃硫酸5.0 mlを加え室温で5時間撹拌した。反応後,1規定の水酸化ナトリウム水溶液で中和し,ジエチルエーテルで三回抽出し,有機層を飽和食塩水で洗浄,硫酸ナトリウムで乾燥させ,減圧下溶媒を留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (Hex / AcOEt = 85 / 15)で精製し,目的物を21.2 mg (収率69%)で得た。
1H NMR (300MHz, CDCl3): 1.64 (s, 36H), 8.02 (s, 4H), 8.60 (s, 4H), 8.79 (s, 4H)
MALDI-TOF calculated for C48H48N8Zn(M-H+)- 800.33 found 800.22
図1に本発明で得られた3,10,17,24-テトラキス(tert-ブチル)-1,8,15,22-テトラキス(トリメチルシリル)亜鉛フタロシアニンの1HNMRスペクトルを,図2に本発明で得られた3,10,17,24-テトラキス(tert-ブチル)-1,8,15,22-テトラキス(トリエチルシリル)亜鉛フタロシアニンの1HNMRスペクトルを示す。
両者の1HNMRスペクトルが複雑化していないことから位置異性体の混合物ではなく単一のフタロシアニンのみが選択的に得られていることが分かる。
図3に本発明で得られた2,9,16,23-テトラキス(tert-ブチル)フタロシアニンの1HNMRスペクトルを示す。こちらも一種類のフタロシアニンのみが得られていることを示している。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第3実施形態で得られた3,10,17,24-テトラキス(tert-ブチル)-1,8,15,22-テトラキス(トリメチルシリル)亜鉛フタロシアニンの1HNMRスペクトルを示す図である。
【図2】本発明の第4実施形態で得られた3,10,17,24-テトラキス(tert-ブチル)-1,8,15,22-テトラキス(トリエチルシリル)亜鉛フタロシアニンの1HNMRスペクトルを示す図である。
【図3】本発明の第5実施形態で得られた2,9,16,23-テトラキス(tert-ブチル)フタロシアニンの1HNMRスペクトルを示す図である。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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