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明細書 :電力制御システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2014-170331 (P2014-170331A)
公開日 平成26年9月18日(2014.9.18)
発明の名称または考案の名称 電力制御システム
国際特許分類 G05F   1/67        (2006.01)
H01L  31/042       (2014.01)
FI G05F 1/67 A
H01L 31/04 R
請求項の数または発明の数 2
出願形態 OL
全頁数 14
出願番号 特願2013-041334 (P2013-041334)
出願日 平成25年3月2日(2013.3.2)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用申請有り 開催年月日 : 平成24年12月5日~平成24年12月7日 集会名 : PVJapan2012 開催場所 : 幕張メッセ(千葉県千葉市美浜区中瀬2-1)
発明者または考案者 【氏名】松井幹彦
【氏名】崔通
出願人 【識別番号】597040902
【氏名又は名称】学校法人東京工芸大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100109553、【弁理士】、【氏名又は名称】工藤 一郎
審査請求 未請求
テーマコード 5F151
5H420
Fターム 5F151KA03
5H420BB03
5H420BB17
5H420CC03
5H420DD02
5H420EA10
5H420EA39
5H420EB09
5H420EB13
5H420EB37
5H420FF03
5H420FF04
5H420FF22
要約 【課題】各太陽電池モジュールやストリングごとに最大電力動作点を追尾するコンバータが設けられている従来のMPPTシステムにおいては、複雑な回路構成のコンバータを複数備えることにより故障のリスクを抱えていたのみならず、各コンバータにおいて電気を流すために生じるエネルギーのロスが大きかった。
【解決手段】ストリング状に直列接続された太陽電池モジュールと、ストリング電流を決定する電流決定装置と、決定された電流値にて各モジュールが最大電力を出力できるように出力電圧を制御する各モジュールに付加された電圧制御装置と、からなる電力制御システムを提供する。
【選択図】図3
特許請求の範囲 【請求項1】
ストリング状に直列接続された太陽電池モジュールと、ストリング電流を決定する電流決定装置と、
決定された電流値にて各モジュールが最大電力を出力できるように出力電圧を制御する各モジュールに付加された電圧制御装置と、からなる
電力制御システム。
【請求項2】
前記電流決定装置は、所定の基本波力率のもとで系統側出力電流の振幅を最大化できるように予め保持するストリング電流とストリングの出力電力との関係に基づいて前記ストリング電流を決定する条件決定手段を備える請求項1に記載の電力制御システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ストリング状に接続された太陽電池モジュールを用いた電力制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光のエネルギーを利用して発電を行う太陽光発電は、自然環境に過度の負荷をかけない再生可能エネルギーとして注目度が高まっている。すなわち、太陽光発電は、太陽光のエネルギーを主にパネル状の太陽電池を用いて直接電力に変換する発電方法であり、従来の主要発電手段である火力発電や原子力発電により懸念される二酸化炭素や放射能による環境汚染というリスクを低減できる。
【0003】
さらに太陽光は、石油のように将来枯渇が危惧される資源ではないため、将来に向けて、継続的かつ安定的な電力供給体制を構築できる可能性をも秘めている。このようなメリットに着目し、大量の太陽電池モジュールを用いて発電を行うメガソーラー発電に関する構想が様々な場面で練られている。
【0004】
なお、太陽光発電においては、発電効率を高めるため、一般的に複数の太陽電池モジュール(太陽電池パネル)をストリング状に直列接続する方法が用いられることがある。現在実用化されている太陽光発電システムの多くは、前記ストリングを複数並列接続することで電流容量を増やし、出力電力を確保する構成となっており、同システムのもと発電された電力が電力会社あるいは一般消費者のもとに送電される仕組みがとられている。ちなみに、ここでいう「ストリング」とは、複数の太陽電池モジュール同士を、配線を用いてそれぞれ直列に接続した際の当該太陽電池モジュールの構成単位のことを意味している。
【0005】
ところが、モジュールを直列に接続する前記方法をとると、一部の太陽電池モジュールの発電効率が低下し電流が抑圧された場合、その他のモジュールが良好な発電効率を維持可能な環境下にあっても、当該モジュールを備えるストリング全体の電流が抑制される結果、真に効率的な発電を実現できない。このことを具体例を挙げて説明する。
【0006】
ここで、ストリング状になった太陽電池モジュールの一部のみの発電効率が低下する一例として図1を示す。ここで同図(a)(b)はともに、同一の太陽電池モジュールの構成を示すイメージ図である。同図(特に(b))において示されているように、天候等の変化に伴う太陽電池モジュールの設置場所による日射強度の違いや、落葉等の障害物による遮光等が太陽光発電における発電効率の低下の原因となりうる。例えば、複数の太陽電池モジュール0101が直列に接続されて構成されるストリングにおいて、うち1つのモジュール0110のみが何らかの「影」0100によってその表面を覆われてしまった場合を考える。この場合、影がかかってしまったモジュールにおける発電流量が、通常の供給能力の例えば3割程度に落ち込んでしまうとすると、たとえ残りのモジュール0111が全て通常どおりの供給能力を維持可能な環境下にあっても、当該ストリング全体において供給する電力は供給能力のわずか3割程度になってしまう。
【0007】
このように、太陽光発電システムにおける発電量は自然環境の影響を受けることが必至であり、一部のモジュールのみの発電量が抑制されてしまったり、回復したりといった状況の変化は日常的に発生しうる。そこで、安定した発電量を確保するという観点から、上記状況の変化に対応できるような太陽光発電システムの構築が課題となっていた。
【0008】
この点従来より、日照条件のアンバランスに対応した電力制御を行う技術としてモジュール集積化コンバータ(MIC)を利用する方法が広く知られている。この方法は、ストリング単位あるいはモジュール単位でDC/DCコンバータやPWM電圧形インバータ等の電力変換装置を配置接続し、当該装置を用いてストリング電圧を制御する手法である。なお、モジュール集積化コンバータ(MIC)を用いた代表的な電力供給システムとしては、例えば、日照条件、モジュール温度等の変化を監視し、その時どきで常に発電量が最大となるように制御を行う最大電力動作点追尾システムが知られている。
【0009】
ここで、図2を用いて最大動作点追尾システムについてさらに詳しく説明する。同図上面において示されているように、発電電力[P]は、端子電圧値[VPV]の変化に伴い変化するところ、その変化は端子電圧値の変化に比例せず、同値が一定値を超えるとむしろ発電電力は減少する。このような発電電力と端子電圧値との関係において、真に効率的な発電電力を供給するためには、端子電圧値を発電電力が最大[P]となる(最大電力動作点に達する)ように定める必要がある。日照条件等の変化により最大電力動作点(Maximum Power Point、MPP)は常に変化し得ることから、最大電力供給のためには、当該変化し得る最大電力動作点がどこであるか、を常に探索し、追尾するシステムが必要であった。このようなシステムはMPPT(Maximum Power Point Tracking)システムと呼ばれ、特許文献1をはじめ、既に当該システムに関する技術が広く開示されている。
【先行技術文献】
【0010】

【特許文献1】特開2011-8348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ここで、前掲特許文献1に代表されるMPPTシステムに関する従来技術においては、いずれも各太陽電池モジュールやストリングごとに、それぞれの最大電力動作点を追尾するための電力調整装置が設けられている。各電力調整装置は昇降圧形コンバータで構成され、各太陽電池モジュールの電流・電圧を検出しながら、出力電力が最大となるようにデューティ比を調整する。いっぽう、ストリングが接続される系統連系インバータのDC側端子電圧は、インバータ自身の電圧フィードバック制御により決定される。すなわち、DC側端子電圧の指令値を変化させることによりストリング電流もまた変化し、そのような変化を繰り返す結果、ある日射照度の下において発電量を最大化することを可能たらしめている。
【0012】
上記のような回路構成が複雑であることの一例を挙げておく。まず、各調整装置の回路は通常昇降圧形の構成が採用されるが、これは、モジュール間における電流のバイパス機能を確保するためには降圧機能が必要となるほか、ある一のモジュールで日照強度が低下して電圧が低下した場合でも他のモジュールに影響を与えずに最大電力動作を保つには、調整装置において電圧を増幅させるため昇圧機能が必要になるためである。すなわち、降圧のみならず昇圧機能もまた必要になり、回路構成が複雑になるというデメリットがあった。
【0013】
そして、従来技術における調整装置においては、複雑な回路構成の調整装置を複数備えることにより、各装置における効率低下の原因となるのみならず、故障のリスクも相対的に高くなっていた。すなわち、従来技術のMPPTシステムを用いた電力制御システムにおいては、回路で発生する損失やコストの低減、信頼性の向上の点で十分とは必ずしも言い難く、特にメガソーラーなどの大型発電システムにおいては、効率の高さの点で不十分であるという課題を残していた。
【課題を解決するための手段】
【0014】
以上のような課題を解決するために、本発明は、ストリング状に直列接続された太陽電池モジュールと、ストリング電流を決定する電流決定装置と、決定された電流値にて各モジュールが最大電力を出力できるように出力電圧を制御する各モジュールに付加された電圧制御装置と、からなる電力制御システムなどを提案する。
【0015】
なお、前記ストリング電流は、特には、各太陽電池モジュールの出力状況を示す情報、すなわちストリングを構成する各太陽電池モジュールにおける出力電圧および電流値に応じて予め定められた情報に基づいて決定される構成にすることが好ましい。ここでいう出力状況とは、前記出力電圧及び電流の値により示される情報のほか、例えば、前記各値の変化により生じる差分等を示す変動情報を参酌するなどして表されることも考えられる。本発明においてはさらに、前記出力状況に応じて、所定の基本波力率のもとで系統側電流の振幅を最大化できるようにストリング電流を決定するように条件を決定する構成を有する電力制御システムなどをも提案する。
【発明の効果】
【0016】
主に以上のように昇圧機能を持つ必要のないモジュール集積化コンバータ(MIC)と、ストリング電流を制御するインバータとの間で制御機能を分担する回路構成をとる本発明によって、モジュール集積化コンバータの回路構成の簡素化が実現でき、同回路にかかる負荷あるいは故障のリスクをいずれも軽減することが可能になるため、効率的な電力供給を安定的に行う太陽光発電に関する電力制御システムを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】太陽電池モジュールの一部の発電効率が下がるケースの一例を示すイメージ図
【図2】最大電力動作点追尾システムにおける最大電力点追尾の概念を示すグラフ
【図3】実施形態1の電力制御システムの構成の一例を示すブロック図
【図4】実施形態1の電力制御システムの処理の流れの一例を示すフローチャート
【図5】実施例において用いた各装置の回路構成を示した図
【図6】実施例における発電結果を示したグラフ
【図7】実施形態2の電力制御システムの機能ブロックの一例を示す図
【図8】実施形態2の電流決定装置の処理の流れの一例を示すフローチャート
【図9】実施形態2の電流決定装置の処理の別の流れの一例を示すフローチャート
【図10】実施例におけるストリング電流と最大電力動作点の関係を示したグラフ
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下で本発明の実施形態を説明する。実施形態1は主に請求項1に記載の発明などに対応し、実施形態2は主に請求項2に記載の発明などに対応する。なお、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において様々な態様で実施し得る。

【0019】
<<実施形態1>>
<機能的構成>
図3は、本実施形態の電力制御システムの構成の一例を示す図である。この図において示されるように、本実施形態の「電力制御システム」0300は、複数の「太陽電池モジュール」0301と、「電流決定装置」0302と、各太陽電池モジュールごとに配置された「電圧制御装置」0303とからなる。太陽電池モジュールが複数直列に接続されることにより「ストリング」0304を構成しており、各太陽電池モジュールにて発電された電力は、電流決定装置を経て「電源系統」0305へと供給される。

【0020】
当該回路構成からなる電力制御システムにおいては、ストリングを流れるべき電流の値(ストリングが複数の場合にはそれらの総和)を電流決定装置において決定し、各電圧制御装置においては、前記決定における電流値の制約のもと、出力電圧が当該時点の日照条件において最大量の電力を供給するような値をとるよう制御を行う。このような構成をとることで、各太陽電池モジュールひいてはストリングにおいて、常に最大電力動作点を維持しながら安定した電力を供給し続けることが可能になる。

【0021】
「太陽電池モジュール」0301は、太陽電池セルを直列接続したもので、太陽光エネルギーの入力を受け、同エネルギーを電力に変換するための処理を行う。一般的には、太陽電池モジュールは、ストリング状0304に構成されるのみならず、当該ストリングが複数列配設されることにより、アレイ状のパネルとして利用される(図3においては、アレイ状のパネルは0300にて示される範囲において特定されている。)。当該構成をとることで多くの発電量を確保することが可能になる。なお、アレイ状のパネルとして構成する際、個々のストリングにおける太陽電池モジュールの枚数は、それぞれ異なっていても構わない。すなわち、例えばあるストリングは5枚の太陽電池モジュールから構成され、他方のストリングは8枚の太陽電池モジュールから構成されていてもよい。このような構成を採用することにより、複雑な形状の屋根や地形においても、空間を無駄にすることなく効率的な発電が可能になる。

【0022】
なお、ストリングの両端のうち電流出力側には、電流の逆流を防止するための逆流防止ダイオードを設置する構成をとってもよい。当該構成をとることにより、発電により得られた電流が逆流し、太陽電池全体がショートしてしまう事態を回避することが可能になる。

【0023】
「電流決定装置」0302は、前記太陽電池アレイ0300と接続されており、ストリング電流を決定する機能を有する。電流決定装置は、例えば図3に示したように、太陽電池アレイ全体を流れる電流の値、すなわち太陽電池アレイを構成する複数のストリング電流の総和の値を決定するように設けられてもよいし、各ストリングを流れる電流の値を決定するように、各ストリング毎に設けた後に総和を取ってもよい。具体的な電流決定の方法としては、例えば、ユーザが日照条件等を勘案しつつ任意の電流値を入力設定する方法のほか、自装置を通過する電力から出力電圧や電流値に関する情報を取得し、当該各情報に関し予め定められた例えば図2において示したような端子電圧と発電電力との関係、および端子電圧と端子電流との関係をそれぞれ示すデータを参照し、最適と推測される電流値を適時決定し、当該決定に基づいた電流がストリング電流として各ストリングに流れるように制御を行うことが考えられる。以上のような制御を行う構成を採ることにより、モジュールを構成するストリングが単数であると複数であるとに関わらず、個々の太陽電池モジュールだけではなく、結果としてパネル全体における最大電力動作点での発電を実現し続けることが可能になる。

【0024】
ここで、前記電流決定値の方法が、ストリングが単数だけではなく複数である場合にも妥当することについて説明する。すなわち、複数のストリングにおいては、各ストリングを構成する太陽電池モジュールの総発電電力に比例してストリング電流が分流することから、各ストリングの電流を個別に制御する必要はなく、これらの電流の総和を制御すれば足りる。そして電流決定装置は、図2において示したように一のデータを用いて最も効率的な電流値を決定することとなることから、各ストリングごとの電流値を参照する必要はない。

【0025】
ここで、電流決定装置の具体的な回路構成としては、例えば三相のPWM制御を行う電流形インバータとすることが考えられるが、制御の形式はこれに限られるものではなく、例えば、DC/DCコンバータと電圧形インバータを組み合わせた構成としてもよい。いずれにしても、このように電力を商用電源系統へと送るための系統連系用パワーコンバータを電流決定装置として備える構成をとることにより、電圧値はもちろん、同装置にて決定した電流値の制御情報を別途各ストリングに伝えるための回路構成をとる必要のない、極めて簡易な回路構成でのストリング電流の最適化制御の実現が可能になる。

【0026】
「電圧制御装置」0303は、各モジュールに付加されて前記電流決定装置にて決定された電流値にて各モジュールが最大電力を出力できるよう、出力電圧を制御する機能を有する。「出力電圧を制御する」とは、例えば、降圧チョッパの方式により電圧を最大となるように制御することが考えられる。既に説明したように、電圧制御装置においては、電流決定装置により定められたストリング電流値の条件下で太陽電池モジュールからの入力電圧に依らず出力電圧を最大化する制御を行なう。このため電流値を制御する動作が不要となり極めて回路構成が簡便であり、故障等のリスクを低減することが可能になる。

【0027】
なお、太陽電池アレイ0300にて発電された電力は電流決定装置を経て「電源系統」0305へと供給される。ここで電源系統とは、例えば、商用電源系統や蓄電池などが考えられるほか、電力を消費する機器の電源系統に直接接続される構成を採ることも考えられる。

【0028】
<処理の流れ>
図4は、本実施形態の電力制御システムの処理の流れの一例を示すフローチャートである。同図の処理の流れは以下のステップからなる。最初にステップS0401では、電流決定装置にて各太陽電池モジュールに流すための出力電流値を決定し当該値の電流を流すよう制御する処理を行う(出力電流値決定ステップ)。次にステップS0402では、電圧制御装置にて、前記出力電流値を前提として現時点における最大電力動作点となりうるような最適電圧値を算出する処理を行う(電圧値算出ステップ)。そしてステップS0403では、電圧値算出ステップにて算出される電圧値が出力電圧となるように各太陽電池モジュールの両端部の電圧を制御する処理をおこなう(出力電圧制御ステップ)。その後ステップS0404では、さらに電力の制御を行うべきかどうかを判断する処理を行い、判断結果が行うべきとの内容である場合には、ステップS0401の処理に戻り、行う必要がないとの内容である場合には処理を終了する。

【0029】
<<実施例>>
本実施形態の電力制御システムの実効性を検証するために、汎用の回路シミュレータを利用して、日照条件の変化に伴うストリング電流等の変化に関するシミュレーションを行った。なお、図5は、同シミュレーションにおいて用いた電力制御システムにおける回路構成を示した図である。同図においては、電流決定装置として、DC/DCコンバータを採用するものとする。同図における「太陽電池モデル」0501が本実施形態における「太陽電池モジュール」に相当し、「ストリング電流制御部」0502が「電流制御装置」に、「出力電圧最大化制御部」0503および「降圧チョッパ部」0504が「電圧制御装置」にそれぞれ相当する。

【0030】
図6は、上記の前提のもとで行ったシミュレーションの結果を示したグラフである。同図の横軸はいずれも時間の経過を表しており、最上部から順に、ストリング電流、ストリング電圧、当該ストリングにおいて発電される電力の変化を示すグラフにより構成されている。

【0031】
同シミュレーションにおいては、同図上部において示されているように、日照条件がいったん悪化し、その後再び良好になるという状況を想定した。具体的には、後記実施形態2で詳しく説明するが、ストリングを構成する各太陽電池モジュールの短絡電流の変化に伴い、ストリング電流を変化させる構成をとっている。そして電流決定装置にて当該短絡電流よりもやや高い電流を適度な電流値として決定する処理を行った。

【0032】
そして上記条件のもとでストリング電圧の変化を示したものが同図中部のグラフである。同図において示されているように、日照条件が変化しストリング電流が低下すると、当該変化に伴いストリング電圧が高くなっていることがわかる。そして、ストリング電流がまた高くなると、ストリング電圧も再び低下する。

【0033】
以上のシミュレーションの結果、日照条件の悪化によるストリング電流の低下に伴い、ストリング全体の発電効率もまた悪化するが、当該悪化分はあくまで一部のストリング電流の悪化分の範囲にとどまっており、ストリングを構成する太陽電池モジュール全体の発電効率には影響を与えていない。

【0034】
なお、図10は、同シミュレーションにおいて用いたストリング電流と最大電力動作点との関係を示したグラフである。同図において示されているように、同電力制御システムにおける最大電力動作点は、およそストリング電流値が5Aのときであるといえる。したがって、回路における負荷値等をも考慮して、電力決定装置においてストリング電流は、5Aよりやや高い6A程度とすれば効率的な発電が可能になることがわかる。

【0035】
<効果>
以上の構成を有する電力制御システムを備えることにより、各太陽電池モジュールひいてはストリングにおいて、常に最大電力動作点を維持しながら安定した電力を供給し続けることが可能になる。

【0036】
<<実施形態2>>
<概要>
本実施形態の電力制御システムは、実施形態1の電力制御システムと基本的には同様であるが、前記電流決定装置は、所定の基本波力率のもとで系統側出力電流の振幅を最大化できるようにストリング電流とストリングの出力電力との関係に基づいて前記ストリング電流を決定する条件決定手段を更に備える点に特徴がある。当該特徴を備えることによって、個々の太陽電池モジュールがおかれている環境の変化に柔軟に対応しつつ、供給できる電力の最大化を実現することが可能になる。

【0037】
<機能的構成>
図7は、本実施形態の電力制御システムの機能ブロックの一例を示す図である。この図にあるように、本実施形態の「電力制御システム」0700は、「太陽電池モジュール」0701と、「電流決定装置」0702と、「電圧制御装置」0703と、を有し、電流決定装置は「条件決定手段」0705をさらに有する。基本的な構成は実施形態1の図3を用いて説明した電力制御システムと共通するため、以下では相違点である条件決定手段について説明する。

【0038】
「条件決定手段」0705は、所定の基本波力率のもとで系統側出力電流の振幅を最大化できるようにストリング電流とストリングの出力電力との関係に基づいて前記ストリング電流を決定する機能を有する。基本波力率としては、1もしくは1をやや下回る値であることが通常考えられ、同程度の値をとることが望ましいが、とるべき値が同程度であることは必ずしも必須ではない。

【0039】
なお、「ストリング電流とストリングの出力電力との関係に基づいて」とは、例えば、電流決定装置と接続されたストリングを構成する各太陽電池モジュールの短絡電流(Isc)を考慮するようなテーブルを予め保持しておき、当該テーブルに対応するような処理を行う方法が考えられる。具体的には、個々の太陽電池モジュールの特性が全て等しく、当該各モジュールの短絡電流がIscであると仮定する場合、ストリングが2並列であれば太陽電池パネル全体における短絡電流は(2×Isc)Aとなることから、電流決定装置としては、(2×Isc)Aよりも高い値の電流値は出力電流値として採用しないとするアルゴリズムが考えられる。また、各電圧制御装置における負荷量を考慮し、5Aより一定程度高い値を出力電流値として採用するアルゴリズムをとってもよい。

【0040】
ここで、「短絡電流を考慮する」とは、例えば、各太陽電池モジュールが置かれている日照条件等の情報を把握し、当該情報に基づいて判断することが考えられる。日照条件等の情報の収集及び当該情報の分析、そして当該分析を踏まえた電流値の決定を行うタイミングとしては、これらの工程を所定時間ごとにまとめて行う構成としても良いし、情報の収集及び分析のみを所定時間毎にまとめて行い、当該分析の結果が出力電流値の変更が必要になるとの判断結果である場合には、改めて電流値の決定を行う構成としてもよい。

【0041】
以上の短絡電流の考慮方法としては、例えば本発明の発明者が発明者となり、既に特許化されている特許第4999280号に記載の電流最大化のための考慮方法を、電圧最大化に応用して適用する方法が考えられるほか、さらには一般的なMPPTシステムにおいて利用されるいわゆる「山登り法」を採用することも考えられる。すなわち、前記例の場合、電流決定装置はまず、電流値の基準値として(2×Isc)Aよりやや減少した値を採用して自身を通過する電力を測定する。そして、電力が増えた場合にはさらに電流値を減少方向に変化させ、電力が減少した場合には、電流値を増加方向に変化させるような処理を行う。このような処理を繰り返し行うことにより個々の太陽電池モジュールがおかれている環境の変化に柔軟に対応しつつ、供給できる電力の最大化を実現することが可能になる。

【0042】
<処理の流れ>
図8は、本実施形態の電力制御システムのうち、電流決定装置における処理の流れの一例を示すフローチャートである。同図の処理の流れは以下のステップからなる。最初にステップS0801では、接続されたストリングを構成している各太陽電池モジュールの短絡電流に関する情報を取得する処理を行う(短絡電流情報取得ステップ)。次に、ステップS0802では、前記取得した複数の短絡電流情報に基づき各太陽電池モジュールに流すために最適な出力電流値を決定する処理を行う(最適電流値決定ステップ)。ステップS0802の処理が行われると、当該処理において決定された電流値に基づき、電圧制御装置にて各種制御が行われることとなる。

【0043】
なお、図9は、本実施形態の電流決定装置における処理の別の流れの一例を示すフローチャートである。同図の処理の流れは以下のステップからなる。最初にステップS0901では、接続されたストリングを構成している各太陽電池モジュールの短絡電流に関する情報を取得する処理を行う(短絡電流情報取得ステップ)。次にステップS0902では、前記取得した複数の情報に基づいて、いったん変更した電流値を変更するかどうかを判断する。ここでの判断結果が変更の必要ありとの内容であった場合には、ステップS0802の処理へ移行する。変更の必要がないとの判断結果であった場合には、ステップS0901の処理に戻る。

【0044】
<効果>
以上の構成を有する電力制御システムを備えることにより、個々の太陽電池モジュールがおかれている環境の変化に柔軟に対応しつつ、供給できる電力の最大化を実現することが可能になる。
【符号の説明】
【0045】
0102…パワーコンディション、0103…商用系統、0104…ダイオード、0105…ストリング、0300…太陽電池アレイ、0301…太陽電池モジュール、0302…電流決定装置、0303…電圧制御装置、0304…ストリング
図面
【図3】
0
【図4】
1
【図7】
2
【図8】
3
【図9】
4
【図1】
5
【図2】
6
【図5】
7
【図6】
8
【図10】
9