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明細書 :2,4-O-架橋反転ピラノース化合物

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5800729号 (P5800729)
公開番号 特開2013-166740 (P2013-166740A)
登録日 平成27年9月4日(2015.9.4)
発行日 平成27年10月28日(2015.10.28)
公開日 平成25年8月29日(2013.8.29)
発明の名称または考案の名称 2,4-O-架橋反転ピラノース化合物
国際特許分類 C07H   9/04        (2006.01)
C07H  19/01        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI C07H 9/04 CSP
C07H 19/01
C07B 61/00 300
請求項の数または発明の数 5
全頁数 25
出願番号 特願2012-032663 (P2012-032663)
出願日 平成24年2月17日(2012.2.17)
審査請求日 平成26年11月27日(2014.11.27)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503092180
【氏名又は名称】学校法人関西学院
発明者または考案者 【氏名】山田 英俊
個別代理人の代理人 【識別番号】110000796、【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
審査官 【審査官】三上 晶子
参考文献・文献 国際公開第2009/102022(WO,A1)
特開2011-037740(JP,A)
特開昭58-103383(JP,A)
谷垣内弘毅 他,グルコースC2‐O,C4‐O架橋体の合成,日本化学会講演予稿集,2002年,Vol.81st, No.2,p.1394
岡田康則 他,環立体配座が4C1から変化した糖供与体を用いたβ選択的O-グルコシル化反応,日本化学会講演予稿集,2004年,Vol.84th, No.2,p.1031
調査した分野 C07H 1/00- 99/00
C07B 61/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
一般式(1)
【化1】
JP0005800729B2_000023t.gif
[式中、Rは、-OR基(Rは水素原子又は水酸基の保護基を示す)を示す。
は、-OR基(Rは水素原子、水酸基の保護基又は結合する酸素原子とともに脱離基として作用する基を示す)、-SR基(Rは置換基を有していてもよい低級アルキル基又は芳香環上に置換基を有していてもよいアリール基を示す)又はハロゲン原子を示す。
また、RとRとは、これらが結合して-O-を形成してもよい。
は、水素原子;置換基を有していてもよい低級アルキル基;-N(R基(Rは水素原子又はアミノ基の保護基を示し、2個のR9は同一であっても異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい)又は-OR10基(R10は水素原子又は水酸基の保護基を示す)を示す。
は、ハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルコキシ基、ニトロ基又はハロゲン原子を示す。
は、ハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルコキシ基、ニトロ基又はハロゲン原子を示す。
m及びnはそれぞれ0~4の整数を示し、pは1~4の整数を示す。
また、m個のRは同一であっても異なっていてもよく、n個のRも同一であっても異なっていてもよい。
m個の互いに隣接するRは互いに結合してベンゼン環を形成してもよく、n個の互いに隣接するRは互いに結合してベンゼン環を形成してもよい。]
で表される2,4-O-架橋反転ピラノース化合物、又はその鏡像異性体。
【請求項2】
上記pが1~3の整数を示す、請求項1に記載の2,4-O-架橋反転ピラノース化合物、又はその鏡像異性体。
【請求項3】
上記pが2である、請求項1に記載の2,4-O-架橋反転ピラノース化合物、又はその鏡像異性体。
【請求項4】
上記RとRとが結合することによって-O-を形成している、請求項1~3のいずれかに記載の2,4-O-架橋反転ピラノース化合物、又はその鏡像異性体。
【請求項5】
上記Rが-OR基(Rは前記に同じ)であり、上記Rが-OR基(Rは前記に同じ)、-SR基(Rは前記に同じ)又はハロゲン原子である、請求項1~3のいずれかに記載の2,4-O-架橋反転ピラノース化合物、又はその鏡像異性体。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、2,4-O-架橋反転ピラノース化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
天然に存在するステロイド等のアルコールにピラノース(糖)がグリコシル結合した化合物(ピラノシド)には、α-O-ピラノシド及びβ-O-ピラノシドの2種の異性体が存在する。このうち、β-O-ピラノシドは、種々の生理活性を有する重要な化合物である。
【0003】
一般的な化学合成でピラノシドを製造する場合には、α-O-ピラノシドとβ-O-ピラノシドとの混合物が得られるに止まり、β-O-ピラノシドを選択的に製造することは不可能である。
【0004】
糖の2位をアシル基で保護した糖供与体を用い、隣接基関与方法(非特許文献1~非特許文献5)を適用すると、β-O-ピラノシドを選択的に製造できる。しかしながら、アシル基の電子吸引性が原因でグリコシル化反応の速度を低下させるという問題があり、しかも、糖の2位にアシル基を導入できない場合には、この方法を利用することができない。
【0005】
本発明者らは、上記欠点を有さないβ-O-グリコシル化の方法を開発すべく研究を重ねた結果、非特許文献6に示されるような嵩高いシリル基の導入によるβ-O-グリコシル化の方法を見出した。しかしながら、その後の研究において該方法を立体障害の大きい水酸基とのβ-O-グリコシル化に適用した場合には、目的とするβ-O-ピラノシドを高収率かつ高い選択率で製造できないことが判明した。
【0006】
本発明者らは、引続く研究過程において、立体障害の大きい水酸基を有するアルコールに適用しても、目的とするβ-O-ピラノシドを高収率かつ高い選択率で製造できる画期的な方法に使用されるピラノース供与体(β-O-グリコシル化剤)である3,6-O-架橋反転ピラノース化合物の開発に成功し、特許出願を行った(特許文献1)。
【0007】
β-O-グリコシル化剤は、糖化学の分野において重要な化合物であり、そのため、種々の化学構造を有する数多くのβ-O-グリコシル化剤の開発が糖化学の分野において要望されている。
【先行技術文献】
【0008】

【特許文献1】国際公開第2009/102022号
【0009】

【非特許文献1】Love, K. R.; Andrade, R. B.; Seeberger, H. P. J. Org. Chem., 2001, 66, 8165-8176
【非特許文献2】Boons, G. -J. Contemp. Org. Synth., 1996, 3. 173-200
【非特許文献3】Kunz, H.; Harreus, A. Liebigs Ann. Chem., 1982, 41-48
【非特許文献4】Garegg. J. P.; Norberg, T. Acta. Chem. Scand. B., 1979, 33, 116-118
【非特許文献5】Koenigs. W.; Knorr, E. Chem. Ber., 1901, 957-981
【非特許文献6】Okada, Y.; Mukae, T.; Okajima, K.; Taira, M.; Fujita, M.; Yamada, H.Organic Letters, 2007, Vol.9, No.8, 1573-1576
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、β-O-ピラノシドを高い選択率で簡便に製造するための方法に用いる、今日まで公知のβ-O-グリコシル化剤とは化学構造がまったく異なる新規なピラノース供与体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような課題を解決するために、本発明者らは、さらに鋭意研究を重ねた結果、今日まで知られているピラノース供与体とは化学構造が全く異なるピラノース供与体を開発することに成功した。即ち、本発明者らは下記一般式(1)で表される2,4-O-架橋反転ピラノース化合物を合成することに成功し、該2,4-O-架橋反転ピラノース化合物が所望のβ-O-グリコシル化剤又はその前駆体になり得ることを見出した。特に本発明者が始めて合成に成功した2,4-O-架橋反転ピラノース化合物は、種々の糖受容体に対してβ-O-ピラノシドを高い選択率で簡便に製造するための汎用的なβ-O-グリコシル化剤となり得ることを見出した。本発明は、このような知見に基づき完成されたものである。
【0012】
本発明は、下記項1~5に示す2,4-O-架橋反転ピラノース化合物を提供する。
【0013】
項1.一般式(1)
【0014】
【化1】
JP0005800729B2_000002t.gif

【0015】
[式中、Rは、-OR基(Rは水素原子又は水酸基の保護基を示す)を示す。
は、-OR基(Rは水素原子、水酸基の保護基又は結合する酸素原子とともに脱離基として作用する基を示す)、-SR基(Rは置換基を有していてもよい低級アルキル基又は芳香環上に置換基を有していてもよいアリール基を示す)又はハロゲン原子を示す。
また、RとRとは、これらが結合して-O-を形成してもよい。
は、水素原子;置換基を有していてもよい低級アルキル基;-N(R基(Rは水素原子又はアミノ基の保護基を示し、2個のR9は同一であっても異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい)又は-OR10基(R10は水素原子又は水酸基の保護基を示す)を示す。
は、ハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルコキシ基、ニトロ基又はハロゲン原子を示す。
は、ハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルコキシ基、ニトロ基又はハロゲン原子を示す。
m及びnはそれぞれ0~4の整数を示し、pは1~4の整数を示す。
また、m個のRは同一であっても異なっていてもよく、n個のRも同一であっても異なっていてもよい。
m個の互いに隣接するRは互いに結合してベンゼン環を形成してもよく、n個の互いに隣接するRは互いに結合してベンゼン環を形成してもよい。]
で表される2,4-O-架橋反転ピラノース化合物、又はその鏡像異性体。
【0016】
項2.上記pが1~3の整数を示す、上記項1に記載の2,4-O-架橋反転ピラノース化合物、又はその鏡像異性体。
【0017】
項3.上記pが2である、上記項1に記載の2,4-O-架橋反転ピラノース化合物、又はその鏡像異性体。
【0018】
項4.上記RとRとが結合することによって-O-を形成している、上記項1~3のいずれかに記載の2,4-O-架橋反転ピラノース化合物、又はその鏡像異性体。
【0019】
項5.上記Rが-OR基(Rは前記に同じ)であり、上記Rが-OR基(Rは前記に同じ)、-SR基(Rは前記に同じ)又はハロゲン原子である、上記項1~3のいずれかに記載の2,4-O-架橋反転ピラノース化合物、又はその鏡像異性体。
【0020】
2,4-O-架橋反転ピラノース化合物
本発明の2,4-O-架橋反転ピラノース化合物は、下記一般式(1)で表される。
【0021】
【化2】
JP0005800729B2_000003t.gif

【0022】
[式中、R、R、R、R、R、m、n及びpは前記に同じ。]
本明細書において、低級アルキル基とは炭素数1~6のアルキル基を、好ましくは炭素数1~4のアルキル基を示し、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、n-ペンチル基、neo-ペンチル基、n-ヘキシル基、iso-ヘキシル基、3-メチルペンチル基等を挙げることができる。
【0023】
低級アルコキシ基とは炭素数1~6のアルコキシ基を、好ましくは炭素数1~4のアルコキシ基を示し、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、iso-プロポキシ基、n-ブトキシ基、iso-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、n-ペントキシ基、neo-ペントキシ基、n-ヘキシルオキシ基、iso-ヘキシルオキシ基、3-メチルペントキシ基等を挙げることができる。
【0024】
低級アルカノイル基とは、炭素数1~6のアルカノイル基を示し、例えば、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、2-メチルプロパノイル基、ペンタノイル基、2-メチルブタノイル基、3-メチルブタノイル基、tert-ブチルカルボニル基、ヘキサノイル基等が挙げられる。
【0025】
アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0026】
アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等が挙げられる。
【0027】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
【0028】
水酸基の保護基としては、今日までに広く知られている既存の水酸基の保護基であればよく、例えば、アリル基;メタリル基;置換基としてハロゲン原子、低級アルコキシ基、アリールオキシ基を1~5個有していてもよい低級アルキル基;置換基としてハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基を芳香環上に1~3個有していてもよいフェニル基;置換基としてハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ニトロ基を芳香環上に1~3個有していてもよいベンジル基;置換基としてハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基を芳香環上に1~3個有していてもよいトリフェニルメチル基;ホルミル基;置換基としてハロゲン原子、低級アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基を1~5個有していてもよい低級アルカノイル基;置換基としてハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基を芳香環上に1~3個有していてもよいベンゾイル基;ケイ素原子上に低級アルキル基及びアリール基からなる群から選ばれる少なくとも一種の基が3個置換したシリル基等が挙げられる。具体的には、アリル基、メタリル基、メチル基、エチル基、tert-ブチル基、メトキシメチル基、4-メトキシフェニル基、ベンジル基、ジメチルベンジル基、4-メトキシベンジル基、2-ニトロベンジル基、トリフェニルメチル基、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、tert-ブチルカルボニル基、ベンゾイル基、トリ低級アルキルシリル基、tert-ブチルジフェニルシリル基等が好ましく、更に好ましくはアリル基、ベンジル基、ジメチルベンジル基、4-メトキシベンジル基、トリ低級アルキルシリル基が挙げられる。
【0029】
で示される、結合する酸素原子とともに脱離基として作用する基としては、今日までに広く知られている既存の基であればよく、イミド基;ハロゲン原子を1~5個有していてもよい低級アルキルスルホニル基;置換基としてハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ニトロ基を芳香環上に1~3個有していてもよいベンゼンスルホニル基等が挙げられる。具体的には、トリクロロアセトイミド基、4-トリフルオロメチルベンジルチオ-N-(4-トリフルオロメチルフェニル)ホルムイミド基、メタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基、4-トルエンスルホニル基、2-ニトロベンゼンスルホニル基等が好ましい。
【0030】
が低級アルキル基である場合に、有していてもよい置換基としては、低級アルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子等が挙げられ、より具体的には、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基、ハロゲン原子等が挙げられる。
【0031】
がアリール基を示す場合、該芳香環上の置換基としては、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられ、より具体的には、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
【0032】
一般式(1)中のRは、水素原子、置換基を有していてもよい低級アルキル基、-N(R基(Rは前記に同じ)又は-OR10基(R10は前記に同じ)であるが、好ましくは水素原子、置換基を有していても良い低級アルキル基、-OR10基(R10は前記に同じ)であり、さらに好ましくは-OR10基(R10は前記に同じ)である。
【0033】
が低級アルキル基を示す場合、該低級アルキル基上の置換基としては、低級アルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子等が挙げられる。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基、ハロゲン原子等が挙げられる。
【0034】
で示されるアミノ基の保護基としては、今日までに広く知られている既存のアミノ基の保護基であればよく、例えば、置換基としてハロゲン原子、低級アルコキシ基、アリール基を1~5個有していてもよい低級アルキル基;置換基としてハロゲン原子、低級アルコキシ基、アリール基を1~5個有していてもよい低級アルカノイル基;置換基としてハロゲン原子、低級アルコキシ基、ビフェニレン基を1~5個有していてもよい低級アルコキシカルボニル基;置換基としてハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ニトロ基を芳香環上に1~3個有していてもよいベンジルオキシカルボニル基;置換基としてハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ニトロ基を芳香環上に1~3個有していてもよいトリフェニルメトキシカルボニル基;アリルオキシカルボニル基又はメタリルオキシカルボニル基;置換基としてハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ニトロ基を芳香環上に1~3個有していてもよいベンゼンスルホニル基;フタロイル基等が挙げられる。具体的には、ベンジル基、アセチル基、プロピオニル基、トリクロロアセチル基、トリフルオロアセチル基、2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル基、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基、tert-ブチルオキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、o-ニトロベンジルオキシカルボニル基、トリフェニルメトキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、メタリルオキシカルボニル基、4-トルエンスルホニル基、2-ニトロベンゼンスルホニル基、フタロイル基等が好ましい。
【0035】
一般式(1)中のpの値は1~4の整数であるが、1~3の整数が好ましく、2~3の整数がさらに好ましく、2が特に好ましい。
【0036】
一般式(1)中のm及びnの値はそれぞれ0~4の整数であるが、0~2の整数が好ましく、0~1の整数が特に好ましい。
【0037】
一般式(1)で表される2,4-O-架橋反転ピラノース化合物は、その架橋部における2個の芳香環がアルキレン基を介して結合している化学結合を有している。そのため、構造上適度な自由度を有しており、かつ、架橋部をピラノースから外す反応が進行しやすい利点を有している。
【0038】
一般式(1)で表される2,4-O-架橋反転ピラノース化合物の鏡像異性体とは、下記一般式(1’)で表される2,4-O-架橋反転ピラノース化合物を意味する。
【0039】
【化3】
JP0005800729B2_000004t.gif

【0040】
[式中、R、R、R、R、R、m、n及びpは前記に同じ。]
一般式(1)で表される2,4-O-架橋反転ピラノース化合物には、下記一般式(1-1)及び(1-2)で表される化合物が包含される。
【0041】
【化4】
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【0042】
[式中、R、R、R、R、R、m、n及びpは前記に同じ。]
本発明では、一般式(1)で表される化合物が、上記一般式(1-1)及び一般式(1-2)のいずれの異性体であってもよいが、本発明の一般式(1)で表される化合物は、上記一般式(1-1)の異性体であることが好ましい。
【0043】
一般式(1)で表される2,4-O-架橋反転ピラノース化合物には、下記一般式(1A)、(1B)、(1C)及び(1D)で表される化合物が包含される。
【0044】
【化5】
JP0005800729B2_000006t.gif

【0045】
[式中、Xはハロゲン原子を示す。R、R、R、R、R、R、m、n及びpは前記に同じ。]
これらの化合物は、その立体配座を考慮すると下記式のように表すこともできる。
【0046】
【化6】
JP0005800729B2_000007t.gif

【0047】
[式中、R、R、R、R、R、R、X、m、n及びpは前記に同じ。]
また、一般式(1)で表される2,4-O-架橋反転ピラノース化合物のうち、好ましい化合物は、下記一般式(1a)、(1b)、(1c)、(1d)及び(1e)で表される化合物である。
【0048】
【化7】
JP0005800729B2_000008t.gif

【0049】
[式中、R、R、R、R、R及びpは前記に同じ。]
本発明の一般式(1A)で表される2,4-O-架橋反転ピラノース化合物は、例えば、下記反応式-1に示すようにして製造される。
【0050】
【化8】
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【0051】
[式中、R11は脱離基を示す。R、R、R、m、n及びpは前記に同じ。]
11で示される脱離基としては、ハロゲン原子;ハロゲン原子を1~5個有していてもよい低級アルキルスルホナート基;置換基としてハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基を芳香環上に1~3個有していてもよいベンゼンスルホナート基等が挙げられる。具体的には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メタンスルホナート基、トリフルオロメタンスルホナート基、4-トルエンスルホナート基等が挙げられる。
【0052】
一般式(2)で表される化合物と一般式(3)で表される化合物との反応は、例えば、後記実施例1に示すように、ジメチルホルムアミド等の溶媒中、水素化ナトリウム等の塩基性化合物の存在下で行われる。該反応は、好ましくは一般式(2)で表される化合物の溶液と一般式(3)で表される化合物の溶液とをそれぞれ適当な速度で、塩基性化合物の溶液又は懸濁液に滴下することにより行われる。該反応の反応温度としては、60~100℃が好ましく、反応時間としては30分~3時間が好ましい。一般式(2)で表される化合物1当量に対して、一般式(3)で表される化合物を0.9~1.3当量使用するのが好ましく、塩基性化合物を2~10当量使用するのが好ましい。
【0053】
上記反応において出発原料として用いられる一般式(2)で表される化合物及び一般式(3)で表される化合物は、いずれも入手が容易な公知の化合物であるか、又は公知の化合物から容易に製造できる化合物である。特に、一般式(2)で表される化合物は後記参考例1及び2に示すように、対応するピラノース化合物から合成される。即ち、対応するピラノース化合物と4-トルエンスルホニルクロリド、メタンスルホニルクロリド等のスルホニルハライドとを塩基性化合物(具体的には、ピリジン等)の存在下反応させた後、得られた化合物をエタノール等のアルコール溶媒中1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン等の塩基性化合物存在下反応させることにより、一般式(2)で表される化合物は得られる。
【0054】
一般式(1B)、(1C)及び(1D)で表される化合物は、以下で詳述するように一般式(1A)で表される化合物から製造される。
【0055】
本発明の一般式(1B)で表される2,4-O-架橋反転ピラノース化合物は、例えば、下記反応式-2に示すようにして製造される。
【0056】
【化9】
JP0005800729B2_000010t.gif

【0057】
[式中、R、R、R、R、R、m、n及びpは前記に同じ。]
一般式(1A)で表される化合物の開環反応は、例えば、低級アルキルカルボン酸の酸無水物及びルイス酸の存在下で行われる。より具体的には、後記実施例3又は5に示すように、無水酢酸中、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリルの存在下で行われる。該反応は、好ましくは一般式(1A)で表される化合物の無水酢酸懸濁液にトリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリルの無水酢酸溶液を加えることで行われる。該反応の反応温度は-20~10℃が好ましく、約0℃がさらに好ましい。反応時間は1~30分が好ましい。上記ルイス酸の使用量としては触媒量でもよく、一般式(1A)で表される化合物1当量に対して、0.0001~1当量使用するのが好ましい。上記酸無水物は、反応に必要な量存在すれば十分であるが、一般式(1A)で表される化合物に対して過剰量用いるのが好ましく、溶媒量用いるのがより好ましい。上記酸無水物を他の有機溶媒と混合して用いてもよいが、酸無水物単独で用いることが好ましい。
【0058】
本発明の一般式(1C)で表される2,4-O-架橋反転ピラノース化合物は、例えば、下記反応式-3に示すようにして製造される。
【0059】
【化10】
JP0005800729B2_000011t.gif

【0060】
[式中、R12は低級アルキル基を示す。R、R、R、R、R、m、n及びpは前記に同じ。]
一般式(1Ba)で表される化合物(一般式(1B)においてRが低級アルカノイル基を示す化合物)と一般式(4)で表される化合物との反応は、例えば、後記実施例4又は6に示すように、ジクロロメタン等の溶媒中、BF・O(C等のルイス酸存在下で行われる。該反応は、好ましくは一般式(1Ba)で表される化合物及び一般式(4)で表される化合物のジクロロメタン溶液にBF・O(Cを加えることで行われる。該反応は-20~5℃で10~30分反応させた後、20~30℃で30~100分反応させるのが好ましい。一般式(1Ba)で表される化合物1当量に対して、一般式(4)で表される化合物を0.9~1.5当量使用するのが好ましい。ルイス酸は少なくとも触媒量使用すればよく、例えば、一般式(1Ba)で表される化合物1当量に対して0.001~1.6当量使用するのが好ましい。
【0061】
本発明の一般式(1D)で表される2,4-O-架橋反転ピラノース化合物は、例えば、下記反応式-4に示すようにして製造される。
【0062】
【化11】
JP0005800729B2_000012t.gif

【0063】
[式中、R、R、R、R、X、m、n及びpは前記に同じ。]
一般式(1Bb)で表される化合物(一般式(1B)の化合物においてRが水素原子を示す化合物)のハロゲン化反応は、今日までに知られるピラノース化合物のアノマー位をハロゲン化する際に用いられている反応であればよい。例えば、テトラヒドロフラン等の溶媒中、ハロゲン化剤の存在下で0~30℃で20分~6時間程度撹拌する反応を挙げることができる。用いられるハロゲン化剤としては、(ジメチルアミノ)サルファートリフルオリド、(ジエチルアミノ)サルファートリフルオリド、[ビス(2-メトキシエチル)アミノ]サルファートリフルオリド等が挙げられる。
【0064】
一般式(1’)で表される化合物についても、上記各反応式において、対応する鏡像異性体を出発原料とすること以外は同様の反応を行うことで製造することができる。
【0065】
上記反応により得られる一般式(1)で表される化合物は、通常の分離手段により反応混合物より分離され、精製される。このような分離及び精製手段としては、例えば蒸留法、再結晶法、カラムクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルクロマトグラフィー、親和クロマトグラフィー、プレパラティブ薄層クロマトグラフィー、溶媒抽出法等を挙げることができる。
【0066】
一般式(1)で表される化合物は、架橋部をピラノースから外す反応が進行しやすい利点を有している。架橋部をピラノースから外す反応は、例えば、後記参考例3に示すように、水素化触媒存在下、水素雰囲気下で行われる。該反応において、水素化触媒としては、今日まで広く知られている既存の水素化触媒を用いればよく、例えば、パラジウム/炭素、水酸化パラジウム/炭素等が挙げられる。
【0067】
本発明のグリコシル化剤は、β選択的糖供与体として作用した後、上記のように架橋部を外す反応を行うことで、β-O-グリコシル結合を有する種々の糖を製造することが可能である。
【発明の効果】
【0068】
一般式(1B)、(1C)及び(1D)で表される化合物は、ピラノースのテトラヒドロピラン環のα面を架橋部で覆う構造をしているため、異性化されやすい部分構造を有する化合物を含めた広い範囲の糖受容体に適用可能な汎用的β選択的糖供与体として作用する。一般式(1A)で表される化合物は、一般式(1B)、(1C)及び(1D)で表される化合物の前駆体である。
【0069】
本発明の一般式(1)で表される2,4-O-架橋反転グルコース化合物又はその鏡像異性体は、β-O-グルコシル化剤又はその前駆体として好適に使用され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0070】
以下に参考例及び実施例を掲げて、本発明をより一層明らかにする。
【0071】
参考例1
【0072】
【化12】
JP0005800729B2_000013t.gif

【0073】
[式中、Allylとはアリル基を示し、Tsとは4-トルエンスルホニル基を示す。]
3-O-アリル-6-O-トルエンスルホニル-D-グルコピラノースの製造
3-O-アリル-D-グルコピラノース(14.6g、60.1mmol)のピリジン(60mL)溶液を0℃撹拌下に、4-トルエンスルホニルクロリド(TsCl、13.8g、72.1mmol)を加えた。この混合物を0℃で1.5時間撹拌し、さらに室温(20~30℃)において2時間撹拌した後、反応混合物に水(10mL)を加え、濃縮した。この濃縮物にさらに水(10mL)を加え、得られる混合物をクロロホルム(100mL×2回)を用いて、抽出した。抽出物を合わせ、これを順次飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL×1回)及び食塩水(100mL×1回)で洗浄した。これを無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、残存したピリジンをトルエンとの共沸により除去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO:300g、酢酸エチル/n-ヘキサン(体積比)=2/3→1/0)を用いて精製し、3-O-アリル-6-O-トルエンスルホニル-D-グルコピラノース(16.0g、42.8mmol、収率:71%)を無色のシロップとして得た。
【0074】
3-O-アリル-6-O-トルエンスルホニル-D-グルコピラノースの理化学的性質は、以下の通りである。
IR(neat):3403、2925、1599、1356、1190、1175、1067、1023、979、931、836、820、769cm-1
H-NMR(部分データ、400MHz、CDCl):δppm
7.77 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.32 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 5.93 (m, 1H), 5.26 (m, 1H,), 2.41 (s, 3H)
HRMS-ESI(m/z):[M+Na]
計算値(C162223Naとして)397.0933、測定値397.0927。
【0075】
参考例2
【0076】
【化13】
JP0005800729B2_000014t.gif

【0077】
[式中、Allyl及びTsは前記に同じ。]
3-O-アリル-1,6-アンヒドロ-β-D-グルコピラノースの製造
3-O-アリル-6-O-トルエンスルホニル-D-グルコピラノース(1.25g、3.35mmol)のエタノール(45mL)溶液を室温で撹拌しているところに、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン(1.0mL、6.70mmol)を加えた。この混合物を室温にて16.5時間撹拌した後、減圧条件下でエタノールを除き、反応混合物を濃縮した。得られた濃縮物をクロロホルム(20mL)に溶解し、SiO(5g)を加え、エバポレーターで溶媒を留去し、得られた反応生成物をシリカゲルに吸着させた。生成物を吸着させたシリカゲル粉末を用い、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO:25g、酢酸エチル/n-ヘキサン(体積比)=1/1→1/0)を用いて精製し、3-O-アリル-1,6-アンヒドロ-β-D-グルコピラノース(576.4mg、2.85mmol、収率:85%)を無色のシロップとして得た。
【0078】
3-O-アリル-1,6-アンヒドロ-β-D-グルコピラノースの理化学的性質は、以下の通りである。
IR(neat):3376、2963、2905、1426、1337、1140、1069、1003、928cm-1
H-NMR(300MHz、CDCl):δppm
5.85 (dddd, J = 17.1, 10.8, 5.4, 5.4 Hz), 5.39 (br, 1H), 5.25 (dddd, J= 17.4, 3.3, 1.5, 1.5 Hz, 1H), 5.16 (dddd, J= 10.2, 3.0, 1.2, 1.2 Hz), 4.49 (m, 1H), 4.15 (dd, J = 7.2, 0.9 Hz, 1H), 4.04 (ddd, J = 5.4, 1.5, 1.5 Hz, 1H), 4.03 (ddd, J = 5.4, 1.5, 1.5 Hz, 1H), 3.72 (dd, J = 6.6, 5.7 Hz), 3.65 (d, J= 1.8 Hz, 1H), 3.58 (d, J = 1.5 Hz, 1H), 3.44 (ddd, J = 3.0, 1.5, 1.5 Hz, 1H)
13C-NMR(75MHz、CDCl):δppm
64.7, 68.0, 68.8, 71.0, 76.1, 79.3, 101.5, 117.2, 134.1。
【0079】
実施例1
【0080】
【化14】
JP0005800729B2_000015t.gif

【0081】
[式中、Allylは前記に同じ。]
3-O-アリル-2,4-O-[ビベンジルビス-2,2’-(メチレン)]-1,6-アンヒドロ-β-D-グルコピラノースの製造
2,2’-ビス(ブロモメチル)ビベンジル(426.3mg、1.16mmol)のトルエン(21.0mL)溶液及び3-O-アリル-1,6-アンヒドロ-β-D-グルコピラノース(212.8mg、1.05mmol)のDMF(21.0mL)溶液をそれぞれ準備した。60%油性の水素化ナトリウム(252.5mg、水素化ナトリウムとして151.5mg、6.31mmol)をトルエン(40.9mL)に懸濁させた懸濁液を82℃撹拌下に、上記二種の溶液を同時にシリンジポンプを用いて、共に1mL/分の割合で21分間かけて滴下した。溶液の滴下が終わった後、混合物をさらに82℃で1時間撹拌した。その後、水(10mL)を加えることで反応をクエンチした。反応混合物を室温まで冷やした後、反応混合物を酢酸エチル(50mL×3回)によって抽出し、抽出物を合わせ、これを順次水(50mL×1回)及び食塩水(50mL×1回)で洗浄した。さらに溶液を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去した後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO:25g、酢酸エチル/n-ヘキサン(体積比)=0/1→1/1)で精製し、3-O-アリル-2,4-O-[ビベンジルビス-2,2’-(メチレン)]-1,6-アンヒドロ-β-D-グルコピラノース(397.7mg、0.974mmol、収率:93%)を無色のシロップで得た。
【0082】
3-O-アリル-2,4-O-[ビベンジルビス-2,2’-(メチレン)]-1,6-アンヒドロ-β-D-グルコピラノースの理化学的性質は、以下の通りである。
[α]22=-32.8(c=0.55、CHCl
IR(neat):3063、3018、2962、2891、2880、2867、2359、2342、2249、1646、1604、1494、1476、1453、1388、1335、1298、1261、1218、1190、1146、1102、1023、921、876、809、759、733cm-1
H-NMR(400MHz、CDCl):δppm
7.41-7.30 (m, 4H), 7.28-7.24 (m, 2H), 7.22-7.16 (m, 2H), 5.83 (dddd, J = 17.2, 10.5, 5.5, 5.5 Hz, 1H), 5.55 (br s, 1H), 5.24 (dddd, J = 17.2, 1.6, 1.6, 1.6 Hz, 1H), 5.17 (dddd, J = 10.5, 1.4, 1.4, 1.4 Hz, 1H), 4.76 (d, J = 9.6 Hz, 1H), 4.71 (br d, J= 5.2 Hz, 1H), 4.67 (d, J = 9.6 Hz, 1H), 4.64 (d, J = 9.6 Hz, 1H), 4.46 (d, J = 9.6 Hz, 1H), 4.15 (dd, J = 7.0, 0.8 Hz, 1H), 4.00-3.91 (m, 2H), 3.80 (br s, 1H), 3.75 (dd, J = 6.9, 5.2 Hz, 1H), 3.50 (br s, 1H), 3.45 (br s, 1H), 3.31 (ddd, J = 12.4, 12.1, 4.4 Hz, 1H), 3.14 (ddd, J = 12.8, 12.4, 3.8 Hz, 1H), 2.96 (ddd, J = 12.8, 12.4, 4.4 Hz, 1H), 2.87 (ddd, J = 12.4, 12.1, 3.8 Hz, 1H)
13C-NMR(100MHz、CDCl):δppm
143.1, 143.0, 135.2, 135.1, 134.6, 131.0, 130.7, 130.6, 130.4, 129.1, 129.0, 126.2, 126.2, 117.7, 100.5, 75.8, 75.2, 74.0, 72.1, 71.8, 71.1, 71.0, 64.8, 35.9, 35.9
HRMS-ESI(m/z):[M+Na]
計算値(C252823Naとして)431.1834、測定値431.1834。
【0083】
実施例2
【0084】
【化15】
JP0005800729B2_000016t.gif

【0085】
[式中、Allylは前記に同じ。]
2,4-O-[ビベンジルビス-2,2’-(メチレン)]-1,6-アンヒドロ-β-D-グルコピラノースの製造
3-O-アリル-2,4-O-[ビベンジルビス-2,2’-(メチレン)]-1,6-アンヒドロ-β-D-グルコピラノース(593.0mg、1.45mmol)及び1,3-ジメチルバルビツール酸(1.132g、7.25mmol)のメタノール(14.5mL)溶液を還流しているところに、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(83.8mg、0.0725mmol)を加えた。この混合物を19時間撹拌した後、反応混合物に飽和炭酸ナトリウム水溶液(20mL)を加えた。反応混合物から酢酸エチル(50mL×3回)を用いて抽出を行った。抽出液を合わせ、順次飽和炭酸ナトリウム水溶液(30mL×1回)、水(30mL×1回)及び食塩水(30mL×1回)を用いて洗浄した。洗浄液を合わせ、さらに、酢酸エチル(50mL×2回)を用いて抽出を行った。次いで、抽出物を合わせ、これを無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、溶媒を留去して濃縮物を得た。得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO:18g、クロロホルムのみ→酢酸エチルのみ)で精製し、目的物を主生成物とする橙色の混合物を固体として得た。この固体にジエチルエーテル(10mL)を加え、固体を超音波により分散させることで洗浄した。得られる沈殿物を濾取し、ジエチルエーテル(2mL)及びn-ヘキサン(2mL)を用いて洗浄することで、2,4-O-[ビベンジルビス-2,2’-(メチレン)]-1,6-アンヒドロ-β-D-グルコピラノース(409.2mg、1.11mmol、収率:77%)を薄い茶色の固体として得た。
【0086】
2,4-O-[ビベンジルビス-2,2’-(メチレン)]-1,6-アンヒドロ-β-D-グルコピラノースの理化学的性質は、以下の通りである。
mp:251-252℃
[α]22=-31.9(c=0.18、CHCl
IR(neat):3415、3059、3021、3015、2976、2925、2899、2871、2867、2844、1105、754cm-1
H-NMR(400MHz、CDCl):δppm
7.41-7.36 (m, 2H), 7.36-7.30 (m, 2H), 7.28-7.24 (m, 2H), 7.22-7.17 (m, 2H), 5.63 (br dd, J= 1.8, 1.8 Hz, 1H), 4.86 (d, J = 9.4 Hz, 1H), 4.77-4.73 (m, 2H), 4.60 (d, J= 9.6 Hz, 1H), 4.44 (d, J = 9.4 Hz, 1H), 4.24 (br d, J = 8.2 Hz, 1H), 4.18 (br d, J = 7.6 Hz, 1H), 3.78 (dd, J = 7.6, 5.5 Hz, 1H), 3.59 (br s, 1H), 3.47 (br s, 1H), 3.25 (ddd, J = 12.6, 11.2, 3.2 Hz, 1H), 3.16 (ddd, J= 12.6, 11.2, 2.8 Hz, 1H), 2.95 (ddd, J= 12.6, 12.4, 3.2 Hz, 1H), 2.88 (ddd, J= 12.6, 12.4, 2.8 Hz, 1H), 2.46 (d, J= 8.2 Hz, 1H)
13C-NMR(100MHz、CDCl):δppm
134.0, 135.3, 135.0, 131.0, 130.8, 130.7, 130.6, 129.2, 129.1, 126.2, 101.1, 77.6, 77.2, 74.5, 71.9, 71.3, 65.4, 65.4, 36.4, 36.4
HRMS-ESI(m/z):[M+Na]
計算値(C222423Naとして)391.1521、測定値391.1523。
【0087】
実施例3
【0088】
【化16】
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【0089】
[式中、Acはアセチル基を示し、TMSOTfはトリフルオロメタンスルホン酸 トリメチルシリルを示す。]
1,3,6-トリ-O-アセチル-2,4-O-[ビベンジルビス-2,2’-(メチレン)]-D-グルコピラノースの製造
2,4-O-[ビベンジルビス-2,2’-(メチレン)]-1,6-アンヒドロ-β-D-グルコピラノース(20.3mg、0.0551mmol)を無水酢酸(0.9mL)に懸濁させた懸濁液の0℃撹拌下に、トリフルオロメタンスルホン酸 トリメチルシリル(0.10μL、0.55μmol)の無水酢酸(0.1mL)溶液を加えた。15分撹拌した後、反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(5mL)を加えた。混合物から酢酸エチル(30mL×2回)を用いて抽出した。抽出物を合わせ、順次飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(20mL×2回)、水(20mL×1回)及び食塩水(20mL×1回)を用いて洗浄した。洗浄後の抽出物を無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、エバポレーターで溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO:18g、酢酸エチル/n-ヘキサン(体積比)=1/3→1/1)で精製し、1,3,6-トリ-O-アセチル-2,4-O-[ビベンジルビス-2,2’-(メチレン)]-D-グルコピラノース(アノマー異性体の混合比65:35、28.0mg、0.0546mmol、収率:99%)を無色のアモルファス状固体として得た。
【0090】
1,3,6-トリ-O-アセチル-2,4-O-[ビベンジルビス-2,2’-(メチレン)]-D-グルコピラノースの理化学的性質は、以下の通りである。
mp:52-57℃
IR(neat):3063、3021、2936、2897、2876、1740、1494、1473、1455、1436、1371、1220、1169、1107、1084、1040、949、756cm-1
H-NMR(部分データ、400MHz、CDCl):δppm
5.98 (d, J = 3.9 Hz, 1H), 4.97 (d, J = 9.8 Hz, 1H), 4.89 (d, J = 10.1 Hz, 1H), 4.49 (d, J = 10.1 Hz, 1H), 2.13 (s, 3H), 2.12 (s, 3H), 2.09 (s, 3H)
HRMS-ESI(m/z):[M+Na]
計算値(C283223Naとして)535.1944、測定値535.1946。
【0091】
実施例4
A工程:
【0092】
【化17】
JP0005800729B2_000018t.gif

【0093】
[式中、Etはエチル基を示す。Acは前記に同じ。]
エチル 3,6-ジ-O-アセチル-2,4-O-[ビベンジルビス-2,2’-(メチレン)]-1-チオ-D-グルコピラノシドの製造
1,3,6-トリ-O-アセチル-2,4-O-[ビベンジルビス-2,2’-(メチレン)]-D-グルコピラノース(45.1mg、0.0880mmol)及びエタンチオール(7.8μL、0.106mmol)のジクロロメタン(7.94mL)溶液の0℃撹拌下に、三フッ化ホウ素・ジエチルエーテル(14.3μL、0.114μmol)を加えた。これを0℃で15分撹拌し、さらに室温で45分撹拌した後、これに飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(1mL)を加えた。反応混合物から酢酸エチル(30mL×2回)を用いて抽出を行った。抽出物を合わせ、これを順次水(30mL×1回)及び食塩水(30mL×1回)を用いて洗浄した。洗浄後の抽出物を無水硫酸マグネシウムにより乾燥し、溶媒を留去し、さらに残存したエタンチオールをジエチルエーテルとの共沸により除去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO:2g、酢酸エチル/n-ヘキサン(体積比)=0/1→1/0)で精製し、エチル 3,6-ジ-O-アセチル-2,4-O-[ビベンジルビス-2,2’-(メチレン)]-1-チオ-D-グルコピラノシド(アノマー異性体の混合比83:17、45.8mg、0.0890mmol、収率:定量的)をシロップとして得た。
【0094】
B工程:
【0095】
【化18】
JP0005800729B2_000019t.gif

【0096】
[式中、NISとはN-ヨードスクシンイミドを示し、Tfはトリフルオロメタンスルホニル基を示す。Ac及びEtは前記に同じ。]
3,6-ジ-O-アセチル-2,4-O-[ビベンジルビス-2,2’-(メチレン)]-D-グルコピラノースの製造
N-ヨードスクシンイミド(234mg、1.04mmol)をテトラヒドロフラン(12.0mL)とジクロロメタン(0.3mL)との混合溶媒に溶かした溶液を室温で撹拌しているところに、トリフルオロメタンスルホン酸(6.2μL、70.5μmol)を加え、混合物を5分間室温で撹拌した。上記A工程で得られるエチル 3,6-ジ-O-アセチル-2,4-O-[ビベンジルビス-2,2’-(メチレン)]-1-チオ-D-グルコピラノシド(14.5mg、0.0282mmol)をジクロロメタン(1.2mL)と水(0.12mL)との混合溶媒に溶かした溶液を室温で撹拌しているところに、上記N-ヨードスクシンイミド及びトリフルオロメタンスルホン酸の溶液(1.2mL)を暗い条件下加えた。室温で20分間撹拌した後、混合物に10質量%チオ硫酸ナトリウム水溶液を加えた。得られた反応混合物から酢酸エチル(20mL×1回)を用いて抽出した。抽出物を順次水(20mL×1回)及び食塩水(20mL×1回)を用いて洗浄した。洗浄後の抽出物を無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO:2g、酢酸エチル/n-ヘキサン(体積比)=1/1)で精製し、3,6-ジ-O-アセチル-2,4-O-[ビベンジルビス-2,2’-(メチレン)]-D-グルコピラノース(10.6mg、0.0225mmol、収率:80%)を無色のシロップで得た。
【0097】
3,6-ジ-O-アセチル-2,4-O-[ビベンジルビス-2,2’-(メチレン)]-D-グルコピラノースの理化学的性質は、以下の通りである。
IR(neat):3463、3068、3019、2925、2876、1736、1494、1456、1371、892、753cm-1
H-NMR(部分データ、400MHz、CDCl):δppm
5.40 (d, J = 3.2 Hz, 1H), 5.27 (d, J = 5.0 Hz, 1H), 5.14 (d, J = 9.9 Hz, 1H), 4.93 (d, J = 10.3 Hz, 1H), 4.56 (d, J = 10.3 Hz, 1H), 4.26 (d, J = 9.9 Hz, 1H), 3.62 (m, 1H), 3.12 (m, 1H), 3.00 (m, 1H), 2.76 (m, 1H), 2.11 (s, 3H), 2.05 (s, 3H)
HRMS-ESI(m/z):[M+Na]
計算値(C263023Naとして)493.1838、測定値493.1831。
【0098】
実施例5
【0099】
【化19】
JP0005800729B2_000020t.gif

【0100】
[式中、Allyl、Ac及びTMSOTfは前記に同じ。]
1,6-ジ-O-アセチル-3-O-アリル-2,4-O-[ビベンジルビス-2,2’-(メチレン)]-D-グルコピラノースの製造
3-O-アリル-2,4-O-[ビベンジルビス-2,2’-(メチレン)]-1,6-アンヒドロ-β-D-グルコピラノース(397.7mg、0.974mmol)の無水酢酸(7.94mL)懸濁液を0℃で撹拌しているところに、トリフルオロメタンスルホン酸 トリメチルシリル(1.76μL、9.74μmol)の無水酢酸(1.76mL)溶液を加えた。10分間撹拌した後、反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(20mL)を加えた。この混合物から酢酸エチル(50mL×3回)を用いて抽出した。抽出物を合わせ、これを順次飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(50mL×2回)、水(50mL×1回)及び食塩水(50mL×1回)で洗浄した。洗浄後の抽出物を無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、溶媒を留去して残渣(アノマー異性体の混合比α:β=69:31)を得た。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO:5g、酢酸エチル/n-ヘキサン(体積比)=0/1→1/1)で精製し、1,6-ジ-O-アセチル-3-O-アリル-2,4-O-[ビベンジルビス-2,2’-(メチレン)]-D-グルコピラノース(アノマー異性体の混合比α:β=69:31、475.8mg、0.932mmol、収率:96%)を薄い黄色のアモルファス状シロップとして得た。このアノマー異性体の混合物をHPLC(カラム:Phenomenex Luna3μ silica (2)、150×4.60mm; 溶出液:酢酸エチル/ヘキサン(体積比)=3/17; 流速:2.0mL/分)により分離し、α-体(リテンションタイム=10.0分)とβ-体(リテンションタイム=11.6分)とをともに無色のシロップとして得た。
【0101】
1,6-ジ-O-アセチル-3-O-アリル-2,4-O-[ビベンジルビス-2,2’-(メチレン)]-α-D-グルコピラノースの理化学的性質は、以下の通りである。
[α]22=+133.8(c=0.055、CHCl
IR(neat):3067、3019、2925、2871、1734、1604、1491、1456、1373、1243、1218、1165、1147、1086、1044、1014、964、768cm-1
H-NMR(400MHz、CDCl):δppm
7.48-7.44 (br d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.42-7.28 (m, 4H), 7.25-7.19 (m, 3H), 6.06 (d, J = 4.6 Hz, 1H), 5.67 (dddd, J= 17.2, 10.3, 6.0, 5.5 Hz, 1H), 5.07 (br dd, J = 10.3, 1.1 Hz, 1H), 4.99 (br dd, J = 17.2, 1.4 Hz, 1H), 4.73 (d, J= 8.9 Hz, 1H), 4.70 (d, J = 11.5 Hz, 1H), 4.40 (d, J = 11.5 Hz, 1H), 4.34-4.18 (m, 4H), 4.14 (ddd, J = 4.6, 3.7, 0.9 Hz, 1H), 3.87 (dd, J = 13.1, 5.5 Hz, 1H), 3.73 (dd, J = 13.1, 6.0 Hz, 1H), 3.62 (d, J = 3.7 Hz, 1H), 3.56 (ddd, J = 14.0, 13.0, 3.7 Hz, 1H), 3.44 (dd, J = 8.0, 0.9 Hz, 1H), 3.13 (ddd, J = 13.0, 12.8, 5.5 Hz, 1H), 2.97 (ddd, J = 13.0, 12.8, 3.7 Hz, 1H), 2.80 (ddd, J = 14.0, 13.0, 5.5 Hz, 1H), 2.13 (s, 3H), 2.09 (s, 3H)
13C-NMR(100MHz、CDCl):δppm
171.3, 170.4, 142.9, 142.1, 135.1, 134.3, 134.0, 131.9, 131.5, 130.2, 129.3, 129.2, 128.8, 126.6, 126.0, 118.6, 92.9, 76.7, 73.3, 73.2, 72.2, 70.8, 70.8, 70.7, 64.7, 33.7, 33.4, 21.4, 21.1
HRMS-ESI(m/z):[M+Na]
計算値(C293423Naとして)533.2151、測定値533.2149。
【0102】
1,6-ジ-O-アセチル-3-O-アリル-2,4-O-[ビベンジルビス-2,2’-(メチレン)]-β-D-グルコピラノースの理化学的性質は、以下の通りである。
[α]22=+28.6(c=0.20、CHCl
IR(neat):3064、3020、2924、2871、1740、1604、1492、1456、1371、1307、1237、1168、1146、1100、1045、962、844、757cm-1
H-NMR(400MHz、CDCl):δppm
7.42-7.32 (m, 4H), 7.30-7.17 (m, 4H), 6.05 (d, J = 3.4 Hz, 1H), 5.78 (dddd, J = 17.2, 10.5, 5.7, 5.5 Hz, 1H), 5.20-5.10 (m, 2H), 4.71 (d, J = 9.6 Hz, 1H), 4.62 (d, J = 10.3 Hz, 1H), 4.56 (d, J = 10.3 Hz, 1H), 4.37 (d, J = 9.6 Hz, 1H), 4.34 (dd, J = 11.5, 7.3 Hz, 1H), 4.31 (dd, J = 11.5, 5.5 Hz, 1H), 4.21 (ddd, J = 7.3, 5.5, 2.8 Hz, 1H), 3.97 (dddd, J = 13.1, 5.5, 1.4, 1.4 Hz, 1H), 3.87 (dddd, J = 13.1, 5.7, 1.4, 1.4 Hz, 1H), 3.80 (br s, J = 1.4, 1.4 Hz, 1H), 3.76 (ddd, J = 3.4, 1.4, 1.1 Hz, 1H), 3.61 (br s, J = 2.8, 1.4, 1.1 Hz, 1H), 3.26-3.10 (m, 2H), 3.01-2.80 (m, 2H), 2.11 (s, 3H), 2.09 (s, 3H)
13C-NMR(100MHz、CDCl):δppm
171.0, 169.4, 142.8, 142.5, 134.9, 134.8, 134.1, 131.5, 130.9, 130.0, 129.2, 126.3, 126.2, 117.9, 94.2, 76.1, 75.5, 74.7, 73.1, 72.3, 71.8, 70.8, 65.1, 34.9, 34.9, 21.4, 21.1
HRMS-ESI(m/z):[M+Na]
計算値(C293423Naとして)533.2151、測定値533.2139。
【0103】
実施例6
【0104】
【化20】
JP0005800729B2_000021t.gif

【0105】
[式中、Allyl、Ac及びEtは前記に同じ。]
エチル 6-O-アセチル-3-O-アリル-2,4-O-[ビベンジルビス-2,2’-(メチレン)]-1-チオ-D-グルコピラノシド及びエチル 3-O-アリル-2,4-O-[ビベンジルビス-2,2’-(メチレン)]-1-チオ-D-グルコピラノシドの製造
1,6-ジ-O-アセチル-3-O-アリル-2,4-O-[ビベンジルビス-2,2’-(メチレン)]-D-グルコピラノース(704.0mg、1.38mmol)及びエタンチオール(123μL、1.66mmol)のジクロロメタン(7.94mL)溶液を0℃で撹拌下に、三フッ化ホウ素・ジエチルエーテル(225μL、1.79μmol)を加えた。これを1時間撹拌し、反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(15mL)を加えた。この混合物からジクロロメタン(50mL×3回)を用いて抽出した。抽出物を合わせ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(20mL×1回)を用いて洗浄した。洗浄した抽出物を無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、残存したエタンチオールをジエチルエーテルと共沸することで除去し、残渣を得た。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO:20g、酢酸エチル/n-ヘキサン(体積比)=0/1→1/0)で精製し、主成分がエチル 6-O-アセチル-3-O-アリル-2,4-O-[ビベンジルビス-2,2’-(メチレン)]-1-チオ-D-グルコピラノシド(アノマー異性体の混合比92:8)である化合物を黄色のシロップとして得た。得られた未精製のエチル 6-O-アセチル-3-O-アリル-2,4-O-[ビベンジルビス-2,2’-(メチレン)]-1-チオ-D-グルコピラノシド及び炭酸カリウム(357.4mg、2.59mmol)のメタノール(12.9mL)溶液を室温で19時間撹拌した。これに飽和塩化アンモニウム水溶液(10mL)を加え、クロロホルム(30mL×3回)を用いて抽出した。得られた抽出物を無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、溶媒を留去することで残渣を得た。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO:20g、酢酸エチル/n-ヘキサン(体積比)=1/3→1/1)で精製し、エチル 3-O-アリル-2,4-O-[ビベンジルビス-2,2’-(メチレン)]-1-チオ-D-グルコピラノシド(アノマー異性体の混合比92:8、528mg、1.12mmol、収率:87%)を無色のシロップとして得た。
【0106】
エチル 6-O-アセチル-3-O-アリル-2,4-O-[ビベンジルビス-2,2’-(メチレン)]-1-チオ-D-グルコピラノシドの理化学的性質は、以下の通りである。
IR(neat):3010、2989、2947、2930、2896、2885、2874、2828、1739、1456、1368、1237、1096、1344、920、772cm-1
HRMS-ESI(m/z):[M+Na]
計算値(C293623Naとして)535.2130、測定値535.2121。
【0107】
エチル 3-O-アリル-2,4-O-[ビベンジルビス-2,2’-(メチレン)]-1-チオ-α-D-グルコピラノシドの理化学的性質は、以下の通りである。
[α]21=+345.6(c=0.10、CHCl
IR(neat):3486、3062、3015、2926、2868、1455、1216、1089、1076、1057、991、933、827、807、755cm-1
H-NMR(400MHz、CDCl):δppm
7.47 (br d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.41-7.18 (m, 7H), 5.61 (dddd, J = 17.2, 10.3, 5.7, 5.7 Hz, 1H), 5.40 (d, J= 5.0 Hz, 1H), 5.03 (br dd, J = 10.3, 1.4 Hz, 1H), 4.93 (br dd, J = 17.2, 1.4 Hz, 1H), 4.77 (d, J = 11.8 Hz, 1H), 4.70 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 4.48 (d, J = 11.8 Hz, 1H), 4.30 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 4.02 (ddd, J = 8.2, 4.8, 3.2 Hz, 1H), 3.89 (ddd, J = 5.0, 1.6 Hz, 1H), 3.87-3.79 (m, 2H), 3.75-3.66 (m, 2H), 3.65-3.59 (m, 1H), 3.62 (ddd, J = 14.7, 12.8, 3.4 Hz, 1H), 3.45 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 3.16 (ddd, J= 12.8, 12.6, 6.0 Hz, 1H), 2.98 (ddd, J= 12.6, 12.6, 3.4 Hz, 1H), 2.81 (ddd, J= 14.7, 12.6, 6.0 Hz, 1H), 2.68 (m, 2H), 1.82 (br s, 1H), 1.31 (t, J = 7.3 Hz, 3H)
13C-NMR(100MHz、CDCl):δppm
143.1, 142.0, 135.4, 134.4, 134.2, 132.0, 131.5, 130.2, 129.2, 129.1, 128.3, 126.6, 125.9, 118.5, 84.7, 76.8, 74.3, 73.9, 73.7, 72.0, 70.7, 70.7, 63.4, 33.4, 32.8, 24.8, 15.6
HRMS-ESI(m/z):[M+Na]
計算値(C273423Naとして)493.2025、測定値493.2028。
【0108】
参考例3
【0109】
【化21】
JP0005800729B2_000022t.gif

【0110】
[式中、n-Prはn-プロピル基を示す。Allyl及びAcは前記に同じ。]
1,6-ジ-O-アセチル-3-O-n-プロピル-D-グルコピラノースの製造
1,6-ジ-O-アセチル-3-O-アリル-2,4-O-[ビベンジルビス-2,2’-(メチレン)]-D-グルコピラノース(アノマー異性体の混合比α:β=69:31、6.3mg、0.0123mmol)をメタノール(0.7mL)とテトラヒドロフラン(0.7mL)との混合溶液に溶かした溶液を室温で撹拌しているところに、水酸化パラジウム/炭素(6.3mg、20質量%、水酸化パラジウムとして9.0μmol)を加え、混合物を室温で水素ガス雰囲気下(70atm)19時間撹拌した。得られた混合物を綿とセライトにより濾取し、用いた綿とセライトを酢酸エチルを用いて洗浄した。得られた濾液の溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO:2g、酢酸エチル/n-ヘキサン(体積比)=2/3→1/0)で精製し、1,6-ジ-O-アセチル-3-O-n-プロピル-D-グルコピラノース(アノマー異性体の混合比α:β=65:35、2.7mg、8.82μmol、収率:71%)を無色のシロップとして得た。
【0111】
1,6-ジ-O-アセチル-3-O-n-プロピル-D-グルコピラノースの理化学的性質は、以下の通りである。
IR(neat):3414、2983、2959、2930、2922、2868、1744、1684、1270、1229、1035、772cm-1
H-NMR(部分データ、400MHz、CDCl):δppm
6.21 (d, J = 3.9 Hz, 1H), 4.53 (dd, J = 3.9, 4.6 Hz, 1H), 4.17 (dd, J = 12.4, 2.3 Hz, 1H), 2.17 (s, 3H), 2.12 (s, 3H), 0.95 (t, J = 7.3 Hz, 3H)
HRMS-ESI(m/z):[M+Na]
計算値(C132223Naとして)329.1212、測定値329.1218。