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明細書 :酸化物の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6097490号 (P6097490)
公開番号 特開2013-220980 (P2013-220980A)
登録日 平成29年2月24日(2017.2.24)
発行日 平成29年3月15日(2017.3.15)
公開日 平成25年10月28日(2013.10.28)
発明の名称または考案の名称 酸化物の製造方法
国際特許分類 C01G  19/02        (2006.01)
C01B  32/152       (2017.01)
C01B  32/158       (2017.01)
H01L  31/04        (2014.01)
B82Y  30/00        (2011.01)
B82Y  40/00        (2011.01)
B01J  23/14        (2006.01)
B01J  35/02        (2006.01)
H01M  14/00        (2006.01)
FI C01G 19/02 A
C01B 31/02 101F
H01L 31/04
B82Y 30/00
B82Y 40/00
B01J 23/14 M
B01J 35/02 J
H01M 14/00 P
請求項の数または発明の数 5
全頁数 11
出願番号 特願2012-094458 (P2012-094458)
出願日 平成24年4月18日(2012.4.18)
審査請求日 平成27年4月6日(2015.4.6)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504147243
【氏名又は名称】国立大学法人 岡山大学
発明者または考案者 【氏名】高口 豊
【氏名】田嶋 智之
【氏名】大澤 侑史
【氏名】和田 卓聡
個別代理人の代理人 【識別番号】100123652、【弁理士】、【氏名又は名称】坂野 博行
審査官 【審査官】延平 修一
参考文献・文献 特開2010-208941(JP,A)
特表2009-506975(JP,A)
国際公開第2008/136347(WO,A1)
国際公開第2008/139880(WO,A1)
特開2005-068001(JP,A)
米国特許出願公開第2006/0065021(US,A1)
特開2006-213534(JP,A)
特開2003-335515(JP,A)
特開2008-074628(JP,A)
特開2010-105840(JP,A)
高口豊,ナノカーボン融合マテリアルの合成と光機能,未来材料,2012年 4月10日,vol.12 no.4,p.21-26
坂田和歌子 他,フラロデンドロン/単層カーボンナノチューブ超分子複合体を利用した光水素発生,高分子学会予稿集,2009年 9月 1日,vol.58 No.2,pp.4565-4566
未来材料,2012年 4月10日,vol.12 no.4,p.21-26
調査した分野 C01G 1/00 - 23/08
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
特許請求の範囲 【請求項1】
繊維状であり、かつ、200~400nmの開口幅の細孔を有し、前記細孔はハニカム構造を構成する酸化物の製造方法であって、フラロデンドロンの水溶液と、単層ナノチューブ、多層カーボンナノチューブから選択される少なくとも1つのカーボンナノチューブとの混合液を遠心分離し、
前記遠心分離して得られた上清に、スズ、チタン、アルミ、ケイ素、マグネシウム、ジルコニウムから選択される少なくとも1種の金属を含む金属アルコキシドであって、前記金属アルコキシドはTin(IV)tetra tert-butoxideであり、前記Tin(IV)tetra tert-butoxideを滴下して、前記酸化物を製造することを特徴とする酸化物の製造方法。
【請求項2】
前記フラロデンドロンは、下記式[化1]、
【化1】
JP0006097490B2_000007t.gif
又は、下記式[化2]
【化2】
JP0006097490B2_000008t.gif
である請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記混合液が超音波処理されている請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記繊維状の酸化物の繊維の長さは、5~50μmである請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の方法から製造された酸化物であって、前記酸化物は、繊維状であり、かつ、200~400nmの開口幅の細孔を有し、前記細孔はハニカム構造を構成する酸化物からなる半導体材料を製造する方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化物の製造方法に関し、特に微細構造を有する酸化物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、電子素子の半導体材料として様々な無機半導体が用いられている。半導体材料の構造は、その性能を大きく左右させるため、現在までに、色素増感太陽電池や廃棄ガス浄化のための光触媒などの分野で、さまざまな微細構造を構築させる技術が研究されている。
【0003】
特に、色素増感太陽電池では、電極部分での表面積をかせぐために、電極表面を凹凸形状とする微細構造を構築することが行われている。
【0004】
その多くは物理的に鋳型を用いる手法や、マスク処理によって微細構造を構築させる技術が多い。例えば、ハニカム状多孔質フィルムを鋳型とし、無電解めっきや電界めっきにより、鋳型の構造を反映した微細構造の半導体を提供する技術、半導体の表面をエッチング等によってパターン化する技術が知られており、電子素子材料としての応用を指向した利用研究が行われている。(特許文献1)。
【0005】

【特許文献1】特開2005-59125号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、既知の方法では、微細構造を構築するには特殊な工程が必要で、簡便ではなかった。また、溶液プロセスで混ぜるだけで微細構造を構築した例はない。またコストの高い、真空蒸着やメッキなどの技術を必ず必要とする。
【0007】
そこで、本発明は、簡便に微細構造を付与した構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明者らは、単層のカーボンナノチューブの周囲に金属を積層した構造物の形成について、種々検討した結果、本発明の酸化物の製造方法を見出すに至った。
【0009】
本発明の酸化物の製造方法は、繊維状であり、かつ、200~400nmの開口幅の細孔を有し、前記細孔はハニカム構造を構成する酸化物の製造方法であって、フラロデンドロンの水溶液と、単層ナノチューブ、多層カーボンナノチューブから選択される少なくとも1つのカーボンナノチューブとの混合液を遠心分離し、
前記遠心分離して得られた上清に、スズ、チタン、アルミ、ケイ素、マグネシウム、ジルコニウムから選択される少なくとも1種の金属を含む金属アルコキシドであって、前記金属アルコキシドはTin(IV)tetra tert-butoxideであり、前記Tin(IV)tetra tert-butoxideを滴下して、前記酸化物を製造することを特徴とする。

【0010】
また、本発明の酸化物の製造方法の好ましい実施態様において、前記フラロデンドロンは、下記式[化1]、
【化1】
JP0006097490B2_000002t.gif
又は、下記式[化2]
【化2】
JP0006097490B2_000003t.gif
であることを特徴とする。

【0011】
また、本発明の酸化物の製造方法の好ましい実施態様において、前記混合液が超音波処理されていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の酸化物の製造方法の好ましい実施態様において、前記金属アルコキシドが、 R’nSn(OR)4-n、Ti(OR)4、Al(OR)3、R’nSi(OR)4-n、Mg(OR)2、又はZr(OR)4(但し、Rはアルキル基、R’は官能基を示す。)から選択されることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の半導体材料の製造方法は、本発明の酸化物の製造方法から製造された酸化物であって、前記酸化物は、繊維状であり、かつ、200~400nmの開口幅の細孔を有し、前記細孔はハニカム構造を構成する酸化物からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、完全溶液プロセルで、溶液を基板にたらすだけで、すなわち、インクジェット方式による技術で、ハニカム構造の構造物が簡便に作成できるという有利な効果を奏する。
【0020】
また、本発明によれば、真空蒸着や電解めっきなどのコストの高い手法を用いないため、従来に比べ、圧倒的にコストが安く、大量生産が可能であるという有利な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、超分子複合体溶液の調製方法の一例を示す図である。
【図2】図2は、本発明の一実施態様における構造物の模式図及びTEM像を示す。
【図3】図3は、本発明の一実施態様における構造物の細孔(ハニカム構造)の一例を示す図である。
【図4】図4は、本発明の一実施態様における構造物の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の酸化物の製造方法は、カルボン酸、第1級アミン、第2級アミン、水酸基、カルボン酸塩から選択される少なくとも1種の官能基が、カーボンナノチューブと分子間相互作用を持つフラーレン、ピレン、ポルフィリンから選択される少なくとも1種の骨格に結合した化合物の水溶液と、単層ナノチューブ、多層カーボンナノチューブから選択される少なくとも1つのカーボンナノチューブとの混合液に、スズ、チタン、アルミ、ケイ素、マグネシウム、ジルコニウムから選択される少なくとも1種の金属アルコキシドを滴下して、酸化物を製造することを特徴とする。好ましくは前記混合液の上清に金属アルコキシドを滴下する。

【0023】
また、本発明の酸化物の製造方法の好ましい実施態様において、前記混合液を遠心分離し、前記混合液の上清に、スズ、チタン、アルミ、ケイ素、マグネシウム、ジルコニウムから選択される少なくとも1種の金属を含む金属アルコキシドを滴下して、酸化物を製造することを特徴とする。

【0024】
また、本発明の酸化物の製造方法の好ましい実施態様において、前記金属アルコキシドが、 R’nSn(OR)4-n、Ti(OR)4、Al(OR)3、R’nSi(OR)4-n、Mg(OR)2、又はZr(OR)4(但し、Rはアルキル基、R’は官能基を示す。)から選択されることを特徴とする。Rのアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、sec-ブチルなどを挙げることできる。

【0025】
カルボン酸、第1級アミン、第2級アミン、水酸基、カルボン酸塩から選択される少なくとも1種の官能基が、カーボンナノチューブと分子間相互作用を持つフラーレン、ピレン、ポルフィリンから選択される少なくとも1種の骨格に結合した化合物としては、好ましくは、フラロデンドロンを挙げることができる。

【0026】
したがって、以下では、フラロデンドロンを例に説明するが、フラロデンドロンを用いなくても、カーボンナノチューブの周りに何らかの有機官能基が共有結合、非共有結合を問わず、ついていれば、本発明の構造体を得ることが可能である。

【0027】
本発明において、フラロデンドロンとしては、下記[化1]、または下記[化2]のものを用いることができる。フラロデンドロンは、サッカーボール型のフラーレンに有機官能基として樹木状の高分子がついた物質ということができる。このようなフラロデンドロンを含め、カルボン酸、第1級アミン、第2級アミン、水酸基、カルボン酸塩から選択される少なくとも1種の官能基が、カーボンナノチューブと分子間相互作用を持つフラーレン、ピレン、ポルフィリンから選択される少なくとも1種の骨格に結合した化合物については、常法により得ることができる。
【化1】
JP0006097490B2_000004t.gif

【0028】
【化2】
JP0006097490B2_000005t.gif

【0029】
例えば、[化1]、又は[化2]に示すようなフラーレン分子を用いて、単層カーボンナノチューブを分散させるための適切な分量という観点から、例えば、好ましくは、0.01~0.5mMのフラロデンドロンの水溶液を調製する。フラロデンドロン水溶液10mLに対して、単層カーボンナノチューブを分散させるための適切な分量という観点から、0.01~10mg、好ましくは、0.5~5mgのカーボンナノチューブを加えて、フラロデンドロンとカーボンナノチューブの混合液を調製する。

【0030】
このように作成した混合液の一例を下記[化3]に示す。[化3]は、[化1]に示すフラーレン分子を用いた例を示す。
【化3】
JP0006097490B2_000006t.gif

【0031】
また、本発明の酸化物の製造方法の好ましい実施態様において、前記混合液が超音波処理されていることを特徴とする。上記のように得られた混合液を、再凝集した単層カーボンナノチューブを再分散させるという観点から、超音波処理を行っても良い。超音波処理をするのは、単層カーボンナノチューブはバンドルと呼ばれる凝集体を形成しており、そのバンドルを超音波でほどき、1本1本のカーボンナノチューブを溶媒により分散させることが可能なためである。超音波処理の条件としては、特に限定されないが、例えば、17~25℃の温度で、好ましくは、数分~2時間行うことができる。なお、分散していればよいので、例えば、強力なホモジナイザーなどを使えば、数分でも分散させることができ、このような場合を含めて、超音波処理が必ずしも必要ではない。

【0032】
また、本発明の酸化物の製造方法の好ましい実施態様において、分散していない単層カーボンナノチューブを除去するという観点から、フラロデンドロンとカーボンナノチューブとの前記混合液を遠心分離することができる。また、単層カーボンナノチューブと複合化していないフラロデンドロンを除去するという観点から、フラロデンドロンとカーボンナノチューブとの前記混合液を透析することができる。

【0033】
このようにして得られたフラロデンドロンとカーボンナノチューブとの前記混合液の好ましくは上清に、スズ、チタン、アルミ、ケイ素、マグネシウム、ジルコニウムから選択される少なくとも1種の金属アルコキシド(例えば、R’nSn(OR)4-n、Ti(OR)4、Al(OR)3、R’nSi(OR)4-n、Mg(OR)2、又はZr(OR)4など。但し、Rはメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、sec-ブチルなどのアルキル基、R’にはどんな官能基であってもよい。)を滴下して、酸化物を製造することができる。

【0034】
また、本発明の酸化物は、本発明の酸化物の製造方法により得られることを特徴とする。

【0035】
また、本発明の酸化物の好ましい実施態様において、前記酸化物が、ハニカム構造であることを特徴とする。本発明のハニカム構造体は、例えば図3に示すように、細孔以外の部分が肉厚でしっかりした構造となっている点が特徴的である。また、本発明の酸化物の好ましい実施態様において、前記酸化物が細孔を有することを特徴とする。

【0036】
また、本発明の酸化物の好ましい実施態様において、前記細孔の大きさ(細孔の直径、孔開口部分の幅)が、200~400nmであることを特徴とする。また、本発明の酸化物(構造物)は、図4に示すように繊維状であることも特徴の一つである。繊維の長さは、概ね5~50μm、好ましくは15~40μmとすることができる。

【0037】
また、本発明の半導体材料は、本発明の酸化物からなることを特徴とする。本発明の酸化物(構造物)は、半導体材料の他に、色素増感太陽電池の電極などの電極表面に凹凸を形成する場合、当該電極材料としても用いることができる。
【実施例】
【0038】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は、下記実施例に限定して解釈される意図ではない。
【実施例】
【0039】
フラロデンドロンの1.0mM水溶液10mLに、1mgのカーボンナノチューブを投入し、超音波振動処理を施し、遠心分離を行って、上清成分を採取した。図1は、フラロデンドロン超分子複合体溶液の調製方法の一例を示す図である。この場合、超音波処理や遠心分離を行った例である。得られたフラロデンドロン超分子複合体は、右下に一例として示している。また、図2は、本発明の一実施態様における構造物の模式図及びTEM像を示す。図2(a)は、中心部分が、単層カーボンナノチューブであり、その外側にサッカーボール型のフラーレンを示す。図2(b)は、本発明の構造物の模式図を示し、図2(c)は、本発明の一態様における構造物のTEM像を示す。フラロデンドロン超分子複合体は、カーボンナノチューブに結合することなしに、フラロデンドロンが非共有結合でついているものである。
【実施例】
【0040】
上清を氷浴下で攪拌しながら、市販の試薬であるTin(IV)tetra tert-butoxideを20~100μL滴下した。Tin(IV)tetra tert-butoxideの滴下によりゾルゲル重合が生じ、下図のハニカム構造の酸化スズが形成された。

【実施例】
【0041】
図3は、本発明の一実施態様における構造物の細孔(ハニカム構造)の一例を示す図である。また、図4は、本発明の一実施態様における構造物の一例を示す図である。これらの図からも分かるように、このマテリアルは正面からみると250~300nmの大きさを有する細孔を持っていた。また、細孔は、ハニカム構造をとっていた。繊維状の構造をとっていることが確認でき、その長さは20~30μmであった。また、混合溶液をガラス基板などの基板にたらすだけで、このハニカム構造が得られることが判明した。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明により、簡便に微細構造を付与することが可能であり、光触媒等の幅広い分野において適用可能である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3