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明細書 :RNA検出用試薬、検査方法及びRNA検出用試薬を合成するための試薬

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2013-198426 (P2013-198426A)
公開日 平成25年10月3日(2013.10.3)
発明の名称または考案の名称 RNA検出用試薬、検査方法及びRNA検出用試薬を合成するための試薬
国際特許分類 C12N  15/09        (2006.01)
C12Q   1/68        (2006.01)
G01N  33/58        (2006.01)
G01N  33/53        (2006.01)
C07F   5/02        (2006.01)
FI C12N 15/00 A
C12Q 1/68 A
G01N 33/58 A
G01N 33/53 N
C07F 5/02 C
請求項の数または発明の数 8
出願形態 OL
全頁数 25
出願番号 特願2012-068495 (P2012-068495)
出願日 平成24年3月24日(2012.3.24)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用申請有り 発行者名:公益社団法人 日本化学会、刊行物名:日本化学会第92春季年会 2012年 講演予稿集III、発行年月日:平成24年3月9日
発明者または考案者 【氏名】小野 晶
【氏名】岡本 到
出願人 【識別番号】592218300
【氏名又は名称】学校法人神奈川大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100151183、【弁理士】、【氏名又は名称】前田 伸哉
審査請求 未請求
テーマコード 2G045
4B024
4B063
4H048
Fターム 2G045AA24
2G045BA13
2G045BB03
2G045CB17
2G045DA14
2G045FB12
2G045GC15
4B024AA11
4B024AA20
4B024CA05
4B024HA14
4B063QA13
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QQ61
4B063QR32
4B063QR35
4B063QR41
4B063QS34
4B063QX02
4H048AA03
4H048AB81
4H048VA75
4H048VB10
要約 【課題】標的となるRNA鎖を選択的に検出することが可能な新規のRNA検出用試薬、及びそのようなRNA検出用試薬を合成するための試薬を提供すること。
【解決手段】標的となるRNAと相補的な配列をもつオリゴヌクレオチドと、一端が上記オリゴヌクレオチドの5’-末端の水酸基と縮合した二価のリンカーユニットと、当該二価のリンカーユニットの他端に結合した蛍光発色ユニットと、当該蛍光発色ユニットに結合した下記一般式(1)で表されるボロン酸ユニットと、を備えたRNA検出用試薬を使用する。
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【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
標的となるRNAと相補的な配列をもつオリゴヌクレオチドと、一端が前記オリゴヌクレオチドの5’-末端の水酸基と縮合した二価のリンカーユニットと、前記二価のリンカーユニットの他端に結合した蛍光発色ユニットと、前記蛍光発色ユニットに結合した下記一般式(1)で表されるボロン酸ユニットと、を備えたRNA検出用試薬。
【化1】
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(上記一般式(1)中、Rは水素原子又はアルキル基であり、m及びnはそれぞれ独立に0~4の整数である。また、上記一般式(1)で表されるボロン酸ユニットは、波線を付した単結合により前記蛍光発色ユニットに結合される。)
【請求項2】
前記蛍光発色ユニットが、ヘテロ原子を有してもよい縮合多環芳香族化合物から水素原子でもよい置換基を2つ除いて得られる二価の有機基である請求項1記載のRNA検出用試薬。
【請求項3】
下記一般式(2)で表される請求項1又は2記載のRNA検出用試薬。
【化2】
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(上記一般式(2)中、Nuは前記オリゴヌクレオチドから5’-末端の水酸基を除いてなる基であり、Xはヘテロ原子を有してもよい縮合多環芳香族化合物から水素原子でもよい置換基を2つ除いて得られる二価の有機基である前記蛍光発色ユニットであり、Lは2価の有機基である前記リンカーユニットであり、Rは上記一般式(1)と同様である。なお、上記一般式(2)において、NuとLとの間に存在する酸素原子は、前記オリゴヌクレオチドの5’-末端の水酸基から水素原子を除いたあとに残る酸素原子を意味する。)
【請求項4】
下記一般式(3)で表される請求項1~3のいずれか1項記載のRNA検出用試薬。
【化3】
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(上記一般式(3)中、Nuは前記オリゴヌクレオチドから5’-末端の水酸基を除いてなる基であり、Xはヘテロ原子を有してもよい縮合多環芳香族化合物から水素原子でもよい置換基を2つ除いて得られる二価の有機基である前記蛍光発色ユニットであり、Rは上記一般式(1)と同様であり、Rは水素原子又はアルキル基であり、Zは二価の基又は単結合であり、nは1~18の整数である。なお、上記一般式(3)において、NuとZとの間に存在する酸素原子は、前記オリゴヌクレオチドの5’-末端の水酸基から水素原子を除いたあとに残る酸素原子を意味する。)
【請求項5】
上記一般式(3)におけるZが-P(=O)(-OH)O-である請求項4記載のRNA検出用試薬。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項記載のRNA検出用試薬を検査対象に添加し、当該検査対象に紫外線又は可視光線を照射した際に、前記RNA検出用試薬の有する蛍光が増強するか否かを観察することにより前記検査対象内に標的となるRNAが含まれるか否かを判断する検査方法。
【請求項7】
下記一般式(4)で表される、RNA検出用試薬を合成するための試薬。
【化4】
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(上記一般式(4)中、Xはヘテロ原子を有してもよい縮合多環芳香族化合物から水素原子でもよい置換基を2つ除いて得られる二価の有機基であり、Lは2価の有機基であり、Rは水素原子又はアルキル基であり、R及びRはそれぞれ独立にボロン酸の保護基であって、R及びRは互いに結合して環を形成してもよく、Rは亜リン酸基の保護基であり、R及びRはそれぞれ独立にアルキル基であって、R及びRは互いに結合して環を形成してもよい。)
【請求項8】
下記一般式(5)で表される請求項7記載の試薬。
【化5】
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(上記一般式(5)中、X、R、R、R、R、R及びRは上記一般式(4)と同様であり、Rは水素原子又はアルキル基であり、nは1~18の整数である。)
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、RNA検出用試薬、検査方法及びRNA検出用試薬を合成するための試薬に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲノムの解析は、ゲノムを構成するDNA(デオキシリボ核酸)分子の塩基配列を決定することから始まる。しかしながら、塩基配列のデータからだけでは、どこにどのような遺伝子があり、さらに特定の遺伝子が細胞内のどの場所で発現しているか等といった情報は得られない。そこで、DNAから転写して作られるmessenger RNA(mRNA;RNAはリボ核酸の略である。)や、これを翻訳して作られるタンパク質等といった遺伝子産物の解析をはじめ、生物種間で塩基配列がどれだけ似ているのか等の比較、さらに大腸菌や発芽酵母等の実験生物を使用した様々なアプローチによって解析された個々の遺伝子に関するデータ等をもとにゲノムの解析が進められる。
【0003】
細胞核中のDNAのもつ遺伝情報はRNAへと転写される。通常、転写されたRNAは細胞質内へと移動し、タンパク質に翻訳される。こうした転写や翻訳の調節に様々な生体高分子が関わっていることが既に知られているが、近年、タンパク質に翻訳されないRNA(non-cording RNA;ncRNAとも呼ばれる。)がこれらの調節を含めた遺伝子調節に大きな役割を果たしていることがわかってきている。ncRNAは、タンパク質に翻訳されないRNAの総称であり、transfer RNA(tRNA)、ribosomal RNA(rRNA)、micro RNA(miRNA)、small interfering RNA(siRNA)等が挙げられる。
【0004】
近年になり、人間を初めとする高等生物の細胞内では上記転写や翻訳に関する複雑な調節が行われているという証拠が得られてきている。これらは、RNAが、生物学において従来考えられてきたよりも広い領域で、特に遺伝子調節に用いられているという可能性を指摘するものでもある。例えば、FireやMellowらによって発見された、ncRNAの一種がもたらすRNAi現象は、線虫から人間に至るまで多くの生物で見られるものであり、他の遺伝子を制御するという重要な役割を果たしている。現在では、このRNAi現象を利用した遺伝子ノックアウト方法が分子生物学の研究において広く用いられる手法となっている(非特許文献1及び2を参照)。
【0005】
このような背景のもと、種々のncRNAについて細胞内での働きを探ること等を目的として、RNAを検出する手法の開発が盛んに行われている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特表2007-533324号公報
【0007】

【非特許文献1】Okazaki,Y.et al.,Nature,420,563-573(2002)
【非特許文献2】Ota,T. et al.,Nat Genet,36,40-45(2004)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上の状況に鑑みてなされたものであり、標的となるRNA鎖を選択的に検出することが可能な新規のRNA検出用試薬、及びそのようなRNA検出用試薬を合成するための試薬を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、標的となるRNAと相補的な配列をもつオリゴヌクレオチドの5’-末端に、結合基であるリンカーユニットを介して、蛍光発色基からなる蛍光発色ユニット、及び3級アミノ基とフェニルボロン酸基とを備えたボロン酸ユニットを結合させた化合物をRNA検出用試薬として使用すると、溶液中で、標的となるRNAが存在するときには、そうでないときに比べてRNA検出用試薬からの蛍光が増強されることを見出した。本発明は、以上の知見に基づき完成されたものであり、以下のものを提供する。
【0010】
(1)本発明は、標的となるRNAと相補的な配列をもつオリゴヌクレオチドと、一端が前記オリゴヌクレオチドの5’-末端の水酸基と縮合した二価のリンカーユニットと、前記二価のリンカーユニットの他端に結合した蛍光発色ユニットと、前記蛍光発色ユニットに結合した下記一般式(1)で表されるボロン酸ユニットと、を備えたRNA検出用試薬である。
【化1】
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(上記一般式(1)中、Rは水素原子又はアルキル基であり、m及びnはそれぞれ独立に0~4の整数である。また、上記一般式(1)で表されるボロン酸ユニットは、波線を付した単結合により前記蛍光発色ユニットに結合される。)
【0011】
(2)前記蛍光発色ユニットは、ヘテロ原子を有してもよい縮合多環芳香族化合物から水素原子でもよい置換基を2つ除いて得られる二価の有機基であることが好ましい。
【0012】
(3)上記RNA検出用試薬は、下記一般式(2)で表されることが好ましい。
【化2】
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(上記一般式(2)中、Nuは前記オリゴヌクレオチドから5’-末端の水酸基を除いてなる基であり、Xはヘテロ原子を有してもよい縮合多環芳香族化合物から水素原子でもよい置換基を2つ除いて得られる二価の有機基である前記蛍光発色ユニットであり、Lは2価の有機基である前記リンカーユニットであり、Rは上記一般式(1)と同様である。なお、上記一般式(2)において、NuとLとの間に存在する酸素原子は、前記オリゴヌクレオチドの5’-末端の水酸基から水素原子を除いたあとに残る酸素原子を意味する。)
【0013】
(4)上記RNA検出用試薬は、下記一般式(3)で表されることが好ましい。
【化3】
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(上記一般式(3)中、Nuは前記オリゴヌクレオチドから5’-末端の水酸基を除いてなる基であり、Xはヘテロ原子を有してもよい縮合多環芳香族化合物から水素原子でもよい置換基を2つ除いて得られる二価の有機基である前記蛍光発色ユニットであり、Rは上記一般式(1)と同様であり、Rは水素原子又はアルキル基であり、Zは二価の基又は単結合であり、nは1~18の整数である。なお、上記一般式(3)において、NuとZとの間に存在する酸素原子は、前記オリゴヌクレオチドの5’-末端の水酸基から水素原子を除いたあとに残る酸素原子を意味する。)
【0014】
(5)上記一般式(3)におけるZは、-P(=O)(-OH)O-であることが好ましい。
【0015】
(6)本発明は、上記RNA検出用試薬を検査対象に添加し、当該検査対象に紫外線又は可視光線を照射した際に、上記RNA検出用試薬の有する蛍光が増強するか否かを観察することにより上記検査対象内に標的となるRNAが含まれるか否かを判断する検査方法でもある。
【0016】
(7)本発明は、下記一般式(4)で表される、RNA検出用試薬を合成するための試薬でもある。
【化4】
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(上記一般式(4)中、Xはヘテロ原子を有してもよい縮合多環芳香族化合物から水素原子でもよい置換基を2つ除いて得られる二価の有機基であり、Lは2価の有機基であり、Rは水素原子又はアルキル基であり、R及びRはそれぞれ独立にボロン酸の保護基であって、R及びRは互いに結合して環を形成してもよく、Rは亜リン酸基の保護基であり、R及びRはそれぞれ独立にアルキル基であって、R及びRは互いに結合して環を形成してもよい。)
【0017】
(8)上記試薬は、下記一般式(5)で表されることが好ましい。
【化5】
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(上記一般式(5)中、X、R、R、R、R、R及びRは上記一般式(4)と同様であり、Rは水素原子又はアルキル基であり、nは1~18の整数である。)
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、標的となるRNA鎖を選択的に検出することが可能な新規のRNA検出用試薬、及びそのようなRNA検出用試薬を合成するための試薬が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、実施例における、(U12)+(B12)、(T12)+(B12)及び(B12)単独についての蛍光スペクトルであり、(a)はpH7.0における蛍光スペクトルであり、(b)はpH7.5における蛍光スペクトルであり、(c)はpH8.0における蛍光スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明のRNA検出用試薬、当該RNA検出用試薬を使用した検査方法、及びRNA検出用試薬を合成するための試薬についての一実施形態をそれぞれ説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲において適宜変更を加えて実施することができる。

【0021】
本発明のRNA検出用試薬は、標的となるRNAと相補的な配列をもつオリゴヌクレオチドと、一端が前記オリゴヌクレオチドの5’-末端の水酸基と縮合した二価のリンカーユニットと、当該二価のリンカーユニットの他端に結合した蛍光発色ユニットと、上記蛍光発色ユニットに結合した下記一般式(1)で表されるボロン酸ユニットと、を備える。本発明のRNA検出用試薬によれば、任意の塩基配列を持つRNAを選択的に検出することができる。

【0022】
【化6】
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(上記一般式(1)中、Rは水素原子又はアルキル基であり、m及びnはそれぞれ独立に0~4の整数である。また、上記一般式(1)で表されるボロン酸ユニットは、波線を付した単結合により前記蛍光発色ユニットに結合される。)

【0023】
本発明のRNA検出用試薬は、標的となるRNAと相補的な配列をもつオリゴヌクレオチドの5’-末端側に、上記一般式(1)で表されるボロン酸ユニットが結合された蛍光発色ユニットを備える。まず、本発明のRNA検出用試薬の作用を説明するために、模式的な化学反応図を下記に示す。下記の化学反応図では、一例として、蛍光発色ユニットとしてアントラセン骨格を用い、上記一般式(1)におけるRがメチル基であり、上記一般式(1)におけるm及びnが1である場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。

【0024】
【化7】
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【0025】
上記一般式(1)で表されるボロン酸ユニットは、フェニルボロン酸と3級アミノ基とを備え、フェニルボロン酸が標的となるRNAの3’-末端に存在するcis-2,3-ジオール構造と結合を形成する。しかし、通常、フェニルボロン酸とRNAの3’-末端ジオールとの間の溶液中での結合形成反応は解離側に大きく偏った平衡反応であり、RNAを含む溶液にフェニルボロン酸が単独で存在していたとしても、そのフェニルボロン酸はRNAと結合を形成することができない。本発明のRNA検出用試薬では、標的となるRNAと相補的な配列をもつオリゴヌクレオチドの5’-末端側に上記のボロン酸ユニットを配することにより、当該相補的な配列をもつオリゴヌクレオチドが標的となるRNAと二重鎖を形成してこれを捕捉した際に、上記ボロン酸ユニットが標的となるRNAの3’-末端側に配置される。これにより、ボロン酸ユニットが標的となるRNAの3’-末端ジオールとの間で結合を形成させる機会を大きく増加させる。つまり、標的となるRNAがボロン酸ユニットの周囲に濃縮されたのと同じ状況となり、上記平衡反応が結合形成側に大きく傾くことになる。その一方で、溶液中に標的とならないRNAが存在していたとしても、このRNAは、RNA検出用試薬に含まれるオリゴヌクレオチドによって捕捉されないので、ボロン酸ユニットと当該RNAとの平衡反応は解離側に大きく偏ったままであり、ボロン酸ユニットに含まれるフェニルボロン酸と結合しない。

【0026】
そして、上記のようにボロン酸ユニットが標的となるRNAの3’-末端側に結合すると、RNA検出用試薬は、その事実を蛍光発光として発信する。次に、このメカニズムについて説明する。

【0027】
上述のように、ボロン酸ユニットには3級アミノ基が含まれ、この3級アミノ基は、ボロン酸ユニットに含まれるフェニルボロン酸と蛍光発色ユニットとの間に挟まれて存在する。この3級アミノ基の窒素原子に含まれる非共有電子対の電子は、励起光が照射された際に、光誘起電子移動(Photoinduced Electron Transfer;PET)現象により、近隣に存在する蛍光発色ユニットに移動して当該蛍光発色ユニットからの蛍光を消失させる。しかしながら、上記のように、ボロン酸ユニットに含まれるフェニルボロン酸が標的となるRNAの3’-末端と結合すると、PET現象が生じなくなり、励起光が照射された際に蛍光発色ユニットからの蛍光が生じることになる。これは、あたかも蛍光が増強されたかのように観察されることになる。

【0028】
このような作用により、本発明のRNA検出用試薬は、標的となるRNAが存在すると、当該RNAと結合してその事実を蛍光発光として発信することができる。すなわち、本発明のRNA検出用試薬は、励起光が照射された際に、溶液中に標的となるRNAが存在すれば蛍光を増強させ、溶液中に標的となるRNAが存在しなければ蛍光を増強させない。以上のような作用により、本発明のRNA検出用試薬は、標的となるRNAの存在の有無を検出することができる。

【0029】
標的となるRNAと相補的な配列をもつオリゴヌクレオチドは、標的となるRNAと二重鎖を形成することで、これを捕捉する認識部位として機能する。既に述べたように、この認識部位は、標的となるRNAを捉えるとともに、標的となるRNAの3’-末端側のcis-2,3-ジオール構造をボロン酸ユニットの側へ配向させる働きをもつ。

【0030】
標的となるRNAと相補的な配列をもつオリゴヌクレオチドは、標的となるRNAの塩基配列に基づいて塩基配列が決定され、この決定された塩基配列に基づいてオリゴヌクレオチドの自動合成機(DNA/RNA自動合成機)等により合成される。オリゴヌクレオチドの自動合成機によるオリゴヌクレオチドの合成は、既に確立された手法であり、本発明における上記標的となるRNAと相補的な配列をもつオリゴヌクレオチドもそのような手法に基づいて合成すればよい。

【0031】
なお、言うまでもないが、相補的なオリゴヌクレオチド同士は、一方のオリゴヌクレオチドの5’-末端側と他方のオリゴヌクレオチドの3’-末端側とが組み合い、かつ、一方のオリゴヌクレオチドの3’-末端側と他方のオリゴヌクレオチドの5’-末端側とが組み合うように、ペアとなる塩基同士が結合して二重鎖を形成する。これも言うまでもないが、ペアになる塩基とは、互いに、C(シトシン)及びG(グアニン)、又はA(アデニン)及びU若しくはT(ウラシル若しくはチミン)の組み合わせとなるような塩基のことをいい、一方の塩基配列のある位置にCGAUの塩基配列が存在すれば、他方の塩基配列におけるそれと対応する位置にはGCUAという塩基配列が存在することになる。

【0032】
標的となるRNAと相補的な配列をもつオリゴヌクレオチドの5’-末端側の水酸基には、二価のリンカーユニットの一端側が縮合して結合される。このリンカーユニットの他端側には、後述する蛍光発色ユニットが結合される。これにより、標的となるRNAと相補的な配列をもつオリゴヌクレオチド(すなわち認識部位)の5’-末端側と蛍光発光ユニットとがリンカーユニットを介して互いに結合される。

【0033】
二価のリンカーユニットとしては、特に限定されない。このようなリンカーユニットとしては、標的となるRNAと相補的な配列をもつオリゴヌクレオチド(すなわち認識部位)及び蛍光発色ユニットと結合するための結合基を両端に備えた、ヘテロ原子を有してもよい炭素鎖を例示することができる。この場合、両端の結合基は互いに独立に決定可能であり、そのような結合基としては、エーテル結合、エステル結合、リン酸ジエステル結合、アミド結合、カーボネート結合、ウレタン結合、アルキレン基等が例示されるが特に限定されない。

【0034】
ヘテロ原子を有してもよい炭素鎖は、鎖中に炭素原子でない原子を何個でも有してもよい炭素鎖であり、炭素鎖には単結合の他、二重結合や三重結合も含まれてよい。また、炭素鎖の端がヘテロ原子であってもよい。ヘテロ原子を有してもよい炭素鎖に含まれる原子数としては、特に限定されないが、1~25個程度を例示することができる。なお、ヘテロ原子を有してもよい炭素鎖は、標的となるRNAと相補的な配列をもつオリゴヌクレオチド(すなわち認識部位)と蛍光発色ユニットとの間の結合部分に相当するので、その始点は、上記認識部位の5’-末端に存在する酸素原子(すなわち5’-末端水酸基から水素原子を除いたあとに残る酸素原子)に結合している原子となり、終点は、蛍光発色ユニットに結合している原子となる。

【0035】
蛍光発色ユニットとしては、紫外光や可視光といった光の照射を受けて蛍光を発する基であって、これに近接して設けられた窒素原子からのPET現象により蛍光が消光する基が用いられる。このような基としては、ヘテロ原子を有してもよい縮合多環芳香族化合物から水素原子でもよい置換基を2つ除いて得られる二価の有機基が挙げられる。「二価の有機基」である理由は、蛍光発色ユニットが上記二価のリンカーユニットと結合されるとともに後述のボロン酸ユニットにも結合されるためである。

【0036】
ヘテロ原子を有してもよい縮合多環芳香族化合物としては、アントラセン、ナフタセン、ペンタセン、ベンゾピレン、クリセン、ピレン、トリフェニレン、ペリレン、フルオレセイン等が例示される。これらの中でも、アントラセンやピレンを好ましく例示できる。

【0037】
ボロン酸ユニットは、上述の蛍光発色ユニットに結合されるユニットであり、下記の一般式(1)で表される。既に説明したように、ボロン酸ユニットにはフェニルボロン酸基と3級アミノ基とが含まれる。フェニルボロン酸基は、標的となるRNAの3’-末端に存在するcis-2,3-ジオール構造と結合を形成させるために用いられる。そして、本発明のRNA検出用試薬に光が照射された際、フェニルボロン酸基がフリーのときには、3級アミノ基に含まれる非共有電子対電子のPETにより蛍光発色ユニットの蛍光が消光され、フェニルボロン酸が結合を形成しているときには、上記PETが生じないので蛍光発色ユニットからの蛍光が観察される。こうして、本発明のRNA検出用試薬は、溶液中に標的となるRNAの存在の有無を検出することができる。

【0038】
【化8】
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【0039】
上記一般式(1)中、Rは水素原子又はアルキル基であり、m及びnはそれぞれ独立に0~4の整数である。また、上記一般式(1)で表されるボロン酸ユニットは、波線を付した単結合により上記蛍光発色ユニットに結合される。なお、上記一般式(1)において、ボロン酸基は、ボロン酸基が結合するベンゼン環における置換可能な炭素原子のいずれに結合してもよい。Rとしては、メチル基が好ましく例示される。

【0040】
本発明のRNA検出用試薬は以上の構成を備えるが、本発明のRNA検出用試薬の好ましい一例として、下記一般式(2)で表される化合物を挙げることができる。

【0041】
【化9】
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【0042】
上記一般式(2)中、Nuは、標的となるRNAと相補的な配列をもつオリゴヌクレオチドから5’-末端の水酸基を除いてなる基である。Xは、ヘテロ原子を有してもよい縮合多環芳香族化合物から水素原子でもよい置換基を2つ除いて得られる二価の有機基であり、上記蛍光発色ユニットである。Lは2価の有機基である上記リンカーユニットである。Rは上記一般式(1)と同様である。なお、上記一般式(2)において、NuとLとの間に存在する酸素原子は、上記オリゴヌクレオチドの5’-末端の水酸基から水素原子を除いたあとに残る酸素原子である。各ユニットの詳細については、既に説明した通りである。上記一般式(2)におけるL(リンカーユニット)をより具体的に示したRNA検出用試薬の一例として、下記一般式(3)で表される化合物を挙げることができる。

【0043】
【化10】
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【0044】
上記一般式(3)中、Nuは、上記の通り、標的となるRNAと相補的な配列をもつオリゴヌクレオチドから5’-末端の水酸基を除いてなる基である。Xは、上記の通り、ヘテロ原子を有してもよい縮合多環芳香族化合物から水素原子でもよい置換基を2つ除いて得られる二価の有機基であり、上記蛍光発色ユニットである。Rは、上記一般式(1)と同様であり、Rは水素原子又はアルキル基であり、Zは二価の基又は単結合であり、nは1~18の整数である。なお、上記一般式(3)において、NuとZとの間に存在する酸素原子は、上記オリゴヌクレオチドの5’-末端の水酸基から水素原子を除いたあとに残る酸素原子である。

【0045】
上記一般式(3)において、リンカーユニットに相当する部分は、ZからC(=O)N(R)CHまでとなる。このリンカーユニットは、結合基としてZ及びメチレン基を備えることになる。リンカーユニットにおける炭素鎖は、アルキレン基及びアミド基となる。

【0046】
リンカーユニットにおける一方の結合基であるZとしては、-P(=O)(-OH)O-を好ましく挙げることができる。この場合、Nuで表されるオリゴヌクレオチドと、リンカーユニット、蛍光発色ユニット及びボロン酸ユニットからなるその他の部分とは、リン酸ジエステル結合(ホスホジエステル結合)により連結されることになる。例えば、上記一般式(3)におけるZからボロン酸ユニットまでに相当する構造をもつホスホアミダイド化合物を用意し、Nuで表されるオリゴヌクレオチドを自動合成機で合成する際の最終工程として当該ホスホアミダイド化合物を作用させる工程を実行すれば、Zがホスホジエステル結合に相当するものになる。このような手法によれば、本発明のRNA検出用試薬をオリゴヌクレオチドの自動合成機で合成できるので好ましい。次に、本発明のRNA検出用試薬の合成方法の一例として、上記ホスホアミダイド化合物を使用した合成方法について説明する。

【0047】
この合成方法では、下記一般式(4)で表されるホスホアミダイド化合物を、RNA検出用試薬を合成するための試薬として用いる。このようなRNA検出用試薬を合成するための試薬も本発明の一つである。下記一般式(4)で表されるホスホアミダイド化合物は、上述のリンカーユニット、蛍光発色ユニット及び保護基を有するボロン酸ユニットに相当する部分を含んだものであり、オリゴヌクレオチドの5’-末端に作用させることにより、当該オリゴヌクレオチドにこれらのユニットを導入することができる。すなわち、標的となるRNAと相補的な配列をもつオリゴヌクレオチドの5’-末端に下記一般式(4)で表されるホスホアミダイド化合物を作用させてから脱保護を行うことにより、本発明のRNA検出用試薬が合成される。

【0048】
【化11】
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【0049】
上記一般式(4)中、Xは、ヘテロ原子を有してもよい縮合多環芳香族化合物から水素原子でもよい置換基を2つ除いて得られる二価の有機基である。このXは、上述の蛍光発色ユニットに相当する。Lは、2価の有機基であり、上述のリンカーユニットに相当する。Rは、水素原子又はアルキル基であり、R及びRは、それぞれ独立にボロン酸の保護基である。なお、R及びRは互いに結合して環を形成してもよい。Rは、亜リン酸基の保護基であり、R及びRはそれぞれ独立にアルキル基である。なお、R及びRは、互いに結合して環を形成してもよい。

【0050】
ボロン酸の保護基であるR及びRとしては、公知のボロン酸保護基を特に限定なく挙げることができる。このような保護基として、N-メチルイミノ二酢酸エステル(MIDA保護基とも呼ぶ。)を好ましく挙げることができる。MIDA保護基は、ボロン酸ユニットに含まれるフェニルボロン酸にN-メチルイミノ二酢酸を作用させることで導入される。また、MIDA保護基を有するボロン酸化合物が各種市販されているので、これを用いて上記化合物(4)のホスホアミダイド化合物を合成してもよい。MIDA保護基についての理解を助けるために、MIDA保護基が導入されたフェニルボロン酸の化学式を下記に示す。下記化学式からも理解できるように、ボロン酸の保護基としてMIDA保護基を用いる場合、上記一般式(4)におけるR及びRは、互いに結合して環を形成することになる。

【0051】
【化12】
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【0052】
MIDA保護基は塩基性条件下で容易に脱保護される。そのため、オリゴヌクレオチドの自動合成機を用いて、オリゴヌクレオチド部分及びフェニルボロン酸基に保護基を有する状態で固相担体上に合成された本発明のRNA検出用試薬を、塩基性条件下で固相担体から切り出す際に、これらの保護基が全て脱離して本発明のRNA検出用試薬が得られる。

【0053】
亜リン酸基の保護基であるRは、特に限定されない。このような保護基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基等のアルキル基や、シアノエチル基等が例示される。それぞれ独立にアルキル基であるR及びRは、特に限定されない。このようなアルキル基としてはイソプロピル基を例示できる。なお、R及びRは、互いに結合して環を形成してもよい。

【0054】
上記一般式(4)におけるL(リンカーユニット)をより具体的に示したホスホアミダイド化合物の一例として、下記一般式(5)で表される化合物を挙げることができる。

【0055】
【化13】
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【0056】
上記一般式(5)中、X、R、R、R、R、R及びRは、上記一般式(4)と同様である。Rは、水素原子又はアルキル基であり、メチル基が好ましく例示される。nは、1~18の整数である。

【0057】
このようなホスホアミダイド化合物として、さらに具体的には、下記化学式(6)で表される化合物を挙げることができる。

【0058】
【化14】
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【0059】
次に、上記ホスホアミダイド化合物の合成経路の一例を下記に示す。なお、下記では、本発明のRNA検出用試薬を合成するための試薬の一例として上記化学式(6)で表されるホスホアミダイド化合物についての合成経路を示したが、本発明は上記化学式(6)で表されるホスホアミダイド化合物に限定されるものではない。

【0060】
【化15】
JP2013198426A_000017t.gif

【0061】
【化16】
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【0062】
上記合成経路にて、Bocとはtert-ブチロキシカルボニル基を表し、BocOとは二炭酸ジ-tert-ブチルを表し、SO-pyridineとは三酸化硫黄-ピリジン錯体を表し、TEAはトリエチルアミンを表し、MIDAはN-メチルイミノ二酢酸を表し、DIPEAはN,N-ジイソプロピルエチルアミンを表す。

【0063】
上記のホスホアミダイド化合物は、ホスホアミダイド法が適用されるオリゴヌクレオチドの自動合成機において、RNA検出用試薬を合成するための試薬として用いることができる。オリゴヌクレオチドの自動合成機において使用されるホスホアミダイド法は、固相法であり、固相である担体粒子の表面に、ホスホアミダイド化合物の縮合反応を利用してオリゴヌクレオチドを化学合成する方法である。本発明のRNA検出用試薬を合成する手順としては、まず、公知のホスホアミダイド法に従って、標的となるRNAと相補的な配列をもつオリゴヌクレオチドを合成し、次いで、当該オリゴヌクレオチドの5’-末端の水酸基が脱保護された状態で上記のホスホアミダイド化合物を作用させることにより、オリゴヌクレオチドの5’-側の末端にリンカーユニット、蛍光発色ユニット及びボロン酸ユニットを導入し、最後に、塩基性条件下にて、固相担体の表面からオリゴヌクレオチドを切り出すことが挙げられる。この切り出しの際に、オリゴヌクレオチドに付加された各種の保護基や、フェニルボロン酸に付加された保護基が脱離して、本発明のRNA検出用試薬が得られる。要するに、本発明のRNA検出用試薬を合成するための試薬は、オリゴヌクレオチドを伸長させる際に使用されるヌクレオシドのホスホアミダイドと同様にホスホアミダイド部位を有するので、ヌクレオシドのホスホアミダイドと同様に自動合成機に適用することが可能である。したがって、自動合成機を適切にプログラムすることにより、オリゴヌクレオチドが所望の長さとなった後に本発明のRNA検出用試薬を合成する試薬を自動的に反応系内に投入し、オリゴヌクレオチドの5’-側の末端にリンカーユニット、蛍光発色ユニット及びボロン酸ユニットを導入することが可能である。

【0064】
以上、本発明のRNA検出用試薬及びRNA検出用試薬を合成するための試薬について説明したが、本発明のRNA検出用試薬を検査対象に添加し、当該検査対象に紫外線又は可視光線を照射した際に、RNA検出用試薬の有する蛍光が増強するか否かを観察することにより、上記検査対象内に標的となるRNAが含まれるか否かを判断する検査方法もまた、本発明の一つである。このような検査方法については、上記本発明のRNA検出用試薬の説明で既に述べたので、ここでの説明を省略する。
【実施例】
【0065】
以下、実施例を示すことにより本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0066】
[合成例1]trans-ジスピロ[オキシラン-2,9’(10H)-アントラセン-10’,2’’-オキシラン](8)の合成
【化17】
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【実施例】
【0067】
市販のアントラキノン(7)(6.2g、30mmol)を乾燥DMSO(ジメチルスルホキシド)120mLに溶解させ、系内をアルゴンガスで置換した後、水素化ナトリウム(2.2eq、2.4g、66mmol、純度60%)を加え、室温・遮光下で撹拌し、そこに乾燥DMSO80mLに溶解させたトリメチルスルホニウムヨージド(2.2eq、13.4g、66mmol)を30分間かけて滴下した。5時間後、TLC(薄層クロマトグラフィ-)で反応の進行を確認し、ガラスフィルターで濾過した。濾液を氷水300mLに加え、1時間撹拌した。析出した固体を濾取し、水で洗浄し、目的物である化合物(8)を黄色固体(4.9g、20.6mmol、収率69%)として得た。
化合物(8)の各物性値は、以下の通りである。
H NMR(500MHz、DMSO-d)δ(ppm):7.42-7.40(m,4H,An-1,4,5,8),7.32-7.29(m,4H,An-2,3,6,7),3.12(s,4H,O-CH
【実施例】
【0068】
[合成例2]10-ヒドロキシメチル-9-アントラアルデヒド(9)の合成
【化18】
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【実施例】
【0069】
化合物(8)(4.9g、20.6mmol)を乾燥アセトニトリル400mLに溶解させ、臭化リチウム(2.0eq、3.6g、41.2mmol)を加えて60℃で撹拌した。91時間後、TLCで反応の進行を確認し、反応溶液を室温まで冷却し、さらに-40℃で30分間冷却した。析出した固体を濾取し、水で洗浄し、目的物である化合物(9)を黄色固体(3.3g、13.8mmol、収率67%)として得た。
化合物(9)の各物性値は、以下の通りである。
H NMR(500MHz、DMSO-d)δ(ppm):11.46(s,1H,CH=O),8.95(d,J=9.0Hz,2H,An-1,8),8.61(d,J=8.5Hz,2H,An-4,5),7.74-7.65(m,4H,An-2,3,6,7),5.57(t,J=5.3Hz,1H,OH),5.49(d,J=5.5Hz,2H,CH
【実施例】
【0070】
[合成例3](10-メチルアミノメチルアントラセン-9-イル)メタノール(10)の合成
【化19】
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【実施例】
【0071】
化合物(9)(3.3g、13.8mmol)にメタノール150mL、THF(テトラヒドロフラン)70mL、及びメチルアミンの40%水溶液30mLを加え、アルゴン雰囲気下、室温で1時間撹拌した。その溶液に、水素化ホウ素ナトリウム(2.8eq、1.5g、38.6mmol)を加え、さらに4時間撹拌し、TLCで反応の進行を確認した。溶媒を減圧下で留去し、酢酸エチルに溶解させ、水で洗浄した後、飽和食塩水で洗浄した。洗浄に使用した水系液からも酢酸エチルで抽出した。有機層を集め、硫酸マグネシウムで乾燥させた後、濾過して溶媒を留去し、目的物である化合物(10)を黄色固体(3.3g、13.2mmol、収率95%)として得た。
化合物(10)の各物性値は、以下の通りである。
H NMR(500MHz、DMSO-d)δ(ppm):8.49-8.43(m,4H,An-1,4,5,8),7.61-7.54(m,4H,An-2,3,6,7),5.43(d,J=5.5Hz,2H,CH),5.30(t,J=5.3Hz,1H,OH),4.59(s,2H,N-CH
【実施例】
【0072】
[合成例4](10-ヒドロキシメチルアントラセン-9-イルメチル)メチルカルバミン酸tert-ブチルエステル(11)の合成
【化20】
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(上記化学式中、Bocは、tert-ブチロキシカルボニル基を表す。以下、同様である。)
【実施例】
【0073】
化合物(10)(3.3g、13.2mmol)にメタノール180mL及び二炭酸ジ-tert-ブチル(2.1eq、6.4mL、27.7mmol)を加え、室温で64時間撹拌した。TLCで反応の進行を確認し、溶媒を減圧下で留去し、残渣を酢酸エチルに溶解させ、水で2回、10%炭酸ナトリウム水溶液で1回、塩化ナトリウム水溶液で2回洗浄した。洗浄に使用した水系液からも酢酸エチルで抽出した。有機層を集め、硫酸マグネシウムで乾燥させた後、濾過し、溶媒を減圧下で留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。目的物を含むフラクションを集め、溶媒を減圧下で留去し、目的物である化合物(11)を淡黄色泡状固体(4.0g、11.5mmol、収率87%)として得た。
化合物(11)の各物性値は、以下の通りである。
H NMR(500MHz、DMSO-d)δ(ppm):8.54-8.50(m,4H,An-1,4,5,8),7.59-7.58(m,4H,An-2,3,6,7),5.46-5.45(m,4H,N-CH),5.35(m,1H,OH),2.38(s,3H,N-CH),1.58-1.47(br,9H,H-Boc)
【実施例】
【0074】
[合成例5](10-ホルミルアントラセン-9-イルメチル)メチルカルバミン酸tert-ブチルエステル(12)の合成
【化21】
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【実施例】
【0075】
化合物(11)(4.0g、11.5mmol)を乾燥DMSO40mLに溶解させ、トリエチルアミン(TEA)40mLを加え、アルゴン雰囲気下、室温で撹拌し、そこに乾燥DMSO35mLに溶解させた三酸化硫黄-ピリジン錯体(SO-pyridine、7.0eq、12.6g、80.5mmol)を30分間かけて滴下した。1時間後、TLCで反応の進行を確認し、反応液を氷水100mLに注いだ。反応液を分液ロートに洗い移し、酢酸エチルで抽出し、水で2回、10%次亜塩素酸ナトリウム水溶液で2回洗浄した。洗浄に使用した水系液からも酢酸エチルで抽出した。有機層を集め、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で留去することにより、目的物である化合物(12)を黄色あめ状固体(5.1g、14.6mmol)として定量的に得た。
化合物(12)の各物性値は、以下の通りである。
H NMR(500MHz、DMSO-d)δ(ppm):11.46(s,1H,CH=O),8.92(d,J=9.0Hz,2H,An-4,5),8.63(d,J=9.0Hz,2H,An-1,8),7.74-7.61(m,4H,An-2,3,6,7),5.54(s,2H,N-CH),2.40(s,3H,N-CH),1.75-1.48(brs,9H,H-Boc)
【実施例】
【0076】
[合成例6]メチル-(10-メチルアミノメチルアントラセン-9-イルメチル)カルバミン酸tert-ブチルエステル(13)の合成
【化22】
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【実施例】
【0077】
化合物(12)(5.1g、14.6mmol)にメタノール120mL、THF120mL、及びメチルアミンの40%水溶液60mLを加え、アルゴン雰囲気下、室温で30分間撹拌した。その溶液に、水素化ホウ素ナトリウム(4.0eq、2.2g、54.4mmol)を加え、さらに2時間撹拌した。TLCで反応の進行を確認し、溶媒を減圧下で留去した。残渣を酢酸エチルに溶解させ、水で3回洗浄した。洗浄に使用した水系液からも酢酸エチルで抽出した。有機層を集め、硫酸マグネシウムで乾燥させた後、濾過して溶媒を留去し、目的物である化合物(13)を黄色固体(4.0g、11.1mmol、収率76%)として得た。
化合物(13)の各物性値は、以下の通りである。
H NMR(500MHz、DMSO-d)δ(ppm):8.54-8.49(m,4H,An-1,4,5,8),7.61-7.55(m,4H,An-2,3,6,7),5.46(s,2H,N-CH),4.56(s,2H,N-CH),2.37(s,3H,N-CH),1.47(br,9H,H-Boc)
【実施例】
【0078】
[合成例7]tert-ブチル((10-((6-ヒドロキシ-N-メチルヘキサンアミド)メチル)アントラセン-9-イル)メチル)(メチル)カルバメート(14)の合成
【化23】
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【実施例】
【0079】
化合物(13)(2.0g、5.0mmol)にメタノール30mLを加えて溶解させ、6-ヒドロキシカプロン酸(1.2eq、786mg、6.0mmol)及び4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウム(3.0eq、4.2g、15mmol)を加え、系内をアルゴン置換し、室温で45分間撹拌した。TLCで反応の進行を確認し、溶媒を減圧下で留去した。残渣を酢酸エチルに溶解させ、水で2回、塩化ナトリウム水溶液で2回洗浄した。洗浄に使用した水系液からも酢酸エチルで抽出した。有機層を集め、硫酸マグネシウムで乾燥させた後、濾過し、溶媒を減圧下で留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。目的物を含むフラクションを集め、溶媒を減圧下で留去し、目的物である化合物(14)を黄色泡状固体(1.9g、3.97mmol、収率79%)として得た。
化合物(14)の各物性値は、以下の通りである。
H NMR(600MHz、DMSO-d)δ(ppm):8.52(m,4H,An-1,4,5,8),7.54(m,4H,An-2,3,6,7),5.59(s,2H,N-CH),5.45(s,2H,N-CH),4.31(t,J=5.2Hz,1H,OH),3.35(m,2H,OHに結合したCH),2.49(s,3H,N-CH),2.35(s,3H,N-CH),2.29(t,J=7.2Hz,2H,O=C-CH),1.46(br,15H,H-Boc,CH-CH-CH
【実施例】
【0080】
[合成例8]6-ヒドロキシ-N-メチル-N-((10-((メチルアミノ)メチル)アントラセン-9-イル)メチル)ヘキサンアミド(15)の合成
【化24】
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【実施例】
【0081】
化合物(14)(1.9g、3.97mmol)をジクロロメタン80mLに溶解させ、トリフルオロ酢酸30mLを加え、系内をアルゴン置換し、室温で1時間撹拌した。TLCで反応の進行を確認し、溶媒を減圧下で留去した。残渣をクロロホルムに溶解させ、水で1回、塩化ナトリウム及び炭酸ナトリウムの水溶液で2回洗浄した。洗浄に使用した水系液からもクロロホルムで抽出した。有機層を集め、硫酸マグネシウムで乾燥させた後、濾過し、溶媒を減圧下で留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。目的物を含むフラクションを集め、溶媒を減圧下で留去し、目的物である化合物(15)を黄色あめ状固体(1.1g、2.88mmol、収率73%)として得た。
化合物(15)の各物性値は、以下の通りである。
H NMR(500MHz、DMSO-d)δ(ppm):8.44(m,4H,An-1,4,5,8),7.56(m,4H,An-2,3,6,7),5.57(s,2H,N-CH),4.77(s,2H,N-CH),4.30(s,1H,NH),3.33(m,2H,OHに結合したCH),2.58(s,3H,N-CH),2.45(s,3H,NHに結合したCH),2.29(t,J=7.2Hz,2H,O=C-CH),1.54-1.32(m,6H,CH-CH-CH
【実施例】
【0082】
[合成例9]化合物(16)の合成
【化25】
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【実施例】
【0083】
化合物(15)(1.1g、2.99mmol)をDMF(ジメチルホルムアミド)25mLに溶解させ、4-ホルミルフェニルボロン酸-N-メチルイミノ二酢酸エステル(1.2eq、937mg、3.59mmol)及びナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(1.4eq、889mg、4.19mmol)を加え、系内をアルゴン置換し、室温で23時間撹拌した。TLCで反応の進行を確認した後、反応溶液に酢酸エチルを加えて抽出し、有機層を水で2回、塩化ナトリウム水溶液で3回洗浄した。洗浄に使用した水系液からも酢酸エチルで10回抽出した。有機層を集め、硫酸マグネシウムで乾燥させた後、濾過し、溶媒を減圧下で留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。目的物を含むフラクションを集め、溶媒を減圧下で留去し、少量のジクロロメタンに溶解させ、再沈殿法により目的物と副生成物とを分離し、濾液を減圧下で濃縮し、目的物である化合物(16)を淡黄色泡状固体(1.1g、1.73mmol、収率58%)として得た。
化合物(16)の各物性値は、以下の通りである。
H NMR(500MHz、DMSO-d)δ(ppm):8.54(m,2H,An-1,8)8.40(d,2H,An-4,5),7.52(m,4H,phenyl),7.33(d,J=8.0Hz,2H,An-2,7),7.24(d,J=8.0Hz,2H,An-3,6),5.56(s,2H,N-CH),4.47(s,2H,N-CH),4.32(t,J=5.0Hz,1H,OH),4.25(d,J=17.0Hz,2H,N-CH-C=O),4.02(d,J=17.0Hz,2H,N-CH-C=O),3.65(s,2H,N-CH),3.34(q,J=6.3Hz,2H,OHに結合したCH),2.49(s,3H,N-CH),2.40(s,3H,N-CH),2.28(t,J=7.3Hz,2H,O=C-CH),2.04(s,3H,N-CH),1.53-1.28(m,6H,CH-CH-CH
【実施例】
【0084】
[合成例10]ホスホアミダイド化合物(6)の合成
【化26】
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【実施例】
【0085】
化合物(16)(400mg、0.64mmol)を乾燥ピリジンで共沸脱水し、乾燥トルエンでピリジンを共沸除去した後、系内をアルゴン置換し、ジクロロメタンに溶解させ、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(2.4eq、268μL、1.54mmol)及び2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピルクロロホスホアミダイド(1.2eq、191μL、0.77mmol)を加え、アルゴン雰囲気下、室温で1時間撹拌した。TLCで反応の進行を確認した後、溶媒を減圧下で留去した。残渣をクロロホルムに溶解させ、炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、塩化ナトリウム水溶液で2回洗浄した。有機層を集め、硫酸マグネシウムで乾燥させた後、濾過し、溶媒を減圧下で留去した。残渣をアセトニトリルに溶解させ、リサイクル分取HPLCで精製した。目的物を含むフラクションを集め、溶媒を減圧下で留去し、目的物である化合物(6)を淡黄色泡状固体(246mg、0.30mmol、収率47%)として得た。
化合物(6)の各物性値は、以下の通りである。
H NMR(600MHz、CDCl)δ(ppm):8.54(m,2H,An-1,8),8.33(m,2H,An-4,5),7.53(m,4H,phenyl),7.41(d,J=7.8Hz,An-2,3),7.32(d,J=8.4Hz,2H,An-6,7),5.66(s,2H,N-CH),4.51(s,2H,N-CH),3.95(d,J=16.2Hz,2H,N-CH-C=O),3.85(m,2H,O-CH),3.77(m,2H,O-CH),3.72(d,J=16.8Hz,2H,N-CH-C=O),3.59(m,2H,N-CH),2.62(t,J=6.3Hz,2H,CH-CN),2.56(s,3H,N-CH),2.47(s,3H,N-CH),2.37(t,J=7.5Hz,2H,CH-CH-C=O),2.24(s,3H,N-CH),1.74-1.27(m,6H,CH-CH-CH),1.18(m,12H,i-Pr)
31P NMR(243MHz,CDCl)δ(ppm):147.8
【実施例】
【0086】
[実施例1]オリゴヌクレオチドの合成
オリゴヌクレオチドの自動合成機を用いて、下記(B12)、(T12)及び(U12)で表す配列を有する3種のオリゴヌクレオチドを合成した。(B12)にて「B」の符号で示したものは、オリゴヌクレオチドの5’-末端に付加された、下記化学式で表されるリンカーユニット、蛍光発色ユニット及びボロン酸ユニットである。これは、自動合成機によりオリゴヌクレオチドの合成が完了した後に化合物(6)を作用させることにより、オリゴヌクレオチドの5’-末端に付加されたものである。なお、RNAが溶液中で比較的不安定であることに鑑み、下記(B12)、(T12)及び(U12)では、DNAにおけるヌクレオチドを由来としたオリゴヌクレオチドとした。但し、(U12)のみ、3’-末端のヌクレオチドをウリジン(U)とすることで3’-末端をRNAと同様の構造とし、これをRNAの模擬オリゴヌクレオチドとして用いた。(B12)及び(T12)は、互いに相補的な塩基配列を有するオリゴヌクレオチドであり、(B12)及び(U12)は、互いに相補的な塩基配列を有するオリゴヌクレオチドである。つまり、(B12)は、標的となるRNA(RNAの模擬オリゴヌクレオチドであるU12)と相補的な配列をもつオリゴヌクレオチドと、二価のリンカーユニットと、蛍光発色ユニットとボロン酸ユニットとを備える本発明のRNA検出用試薬である。
【実施例】
【0087】
5’ B AAC GCA TGT CAC 3’ (B12)
5’ GTG ACA TGC GTT 3’ (T12)
5’ GTG ACA TGC GTU 3’ (U12)
【実施例】
【0088】
【化27】
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(上記化学式において、波線は、「B」に結合したオリゴヌクレオチド鎖を表す。)
【実施例】
【0089】
なお、オリゴヌクレオチドの自動合成では、自動合成機(Applied Biosystems 394 DNA/RNA Synthesizer)上、ホスホアミダイド法に従った固相合成法を用いた。オリゴヌクレオチドを合成するための各種ホスホロアミダイドユニットは、Glen Research社からの市販品を用いた。固相担体(CPG;controlled pore grass)に結合されたヌクレオシド保護体(1μmol)から出発し、Applied Biosystems社の推奨するプロトコールに、若干の修正を加えたプロトコールを用いた。すなわち、化合物(6)のアミダイドユニットの縮合時間を300秒とし、通常用いられる天然型アミダイドユニットのそれよりも長時間の縮合時間とした。(T12)及び(U12)については、5’-末端にDMTr基(ジメトキシトリチル保護基)を残した状態で合成を終了した。合成終了時、アルゴンガスを100秒間通じて固相担体を乾燥させた。完全保護オリゴヌクレオチドの結合した固相担体をバイアル瓶に移し、固相担体からオリゴヌクレオチドの切り出しを行った。この切り出し操作により、合成されたオリゴヌクレオチドが固相担体から切り出されるとともに、オリゴヌクレオチドに結合していた全ての保護基が脱離することになる。切り出しの操作は、(T12)及び(U12)については28%アンモニア水溶液を用い、(B12)については0.4M水酸化ナトリウムメタノール溶液を用い、固相担体を綿栓濾過により取り除き、精製操作を行った。その後、逆相シリカゲル担体を用いたHPLCにより、目的物の分取を行った。得られた各オリゴヌクレオチドは、UV測定及びMALDI-TOF MASSにて分析を行い、目的物であることを確認した。下記に、(B12)の固相担体からの切り出し操作における化学反応式を示す。下記の化学反応式において、黒丸で示したものは固相担体を表し、Baseは核酸塩基を表し、Bproは保護基を有する核酸塩基を表す。
【実施例】
【0090】
【化28】
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【実施例】
【0091】
[蛍光測定試験]
オリゴヌクレオチド鎖の末端にジオール構造を有する(U12)、及びオリゴヌクレオチド鎖の末端にジオール構造が存在しない(T12)のそれぞれについて、これらと相補的なオリゴヌクレオチド鎖を備えた(B12)を加えた際の蛍光スペクトルを測定した。この測定は、pHが(a)7.0、(b)7.5及び(c)8.0のリン酸緩衝溶液にてそれぞれ行った。その測定結果を図1に示す。なお、図1では、(B12)+(U12)、(B12)+(T12)、及び対照用として(B12)単独のそれぞれについての蛍光スペクトルを示している。なお、蛍光スペクトルの測定は、励起光の波長を379nmとし、(U12)、(T12)及び(B12)のそれぞれの濃度を2μMとし、1MNaClOを含んだ100mMリン酸緩衝溶液中にて実施した。
【実施例】
【0092】
図1に示すように、(B12)+(T12)における蛍光スペクトルは、相補鎖を加えていない(B12)単独の場合の蛍光スペクトルとほぼ同様だった。すなわち、(T12)を相補鎖とした場合には、ボロン酸エステルが形成されないため、PETの解消が起こらず、蛍光強度に変化が見られないと考えられる。一方、(U12)+(B12)における蛍光スペクトルは、(B12)単独の場合や(T12)+(B12)の場合に比べて、強度が増加した。このことは、本発明のRNA検出用試薬である(B12)が、(U12)の3’-末端におけるcis-2,3-ジオール構造を認識してボロン酸エステルを形成した結果、PETが解消され、蛍光が回復したことによりもたらされていると考えられる。つまり、本発明のRNA検出用試薬によれば、標的となるRNAが溶液中に存在するか否かを蛍光強度の観察により判断できることが理解される。
図面
【図1】
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