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明細書 :ナフトビスチアジアゾール誘導体

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6057364号 (P6057364)
公開番号 特開2013-227260 (P2013-227260A)
登録日 平成28年12月16日(2016.12.16)
発行日 平成29年1月11日(2017.1.11)
公開日 平成25年11月7日(2013.11.7)
発明の名称または考案の名称 ナフトビスチアジアゾール誘導体
国際特許分類 C07D 513/04        (2006.01)
C07F   5/02        (2006.01)
C08G  61/12        (2006.01)
FI C07D 513/04 301
C07F 5/02 C
C08G 61/12
請求項の数または発明の数 3
全頁数 9
出願番号 特願2012-101625 (P2012-101625)
出願日 平成24年4月26日(2012.4.26)
審査請求日 平成27年3月31日(2015.3.31)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
【識別番号】000175618
【氏名又は名称】三協化成株式会社
発明者または考案者 【氏名】瀧宮 和男
【氏名】尾坂 格
【氏名】川島 和彰
個別代理人の代理人 【識別番号】100154405、【弁理士】、【氏名又は名称】前島 大吾
【識別番号】100201341、【弁理士】、【氏名又は名称】畠山 順一
【識別番号】100079005、【弁理士】、【氏名又は名称】宇高 克己
【識別番号】230116296、【弁護士】、【氏名又は名称】薄葉 健司
【識別番号】100095407、【弁理士】、【氏名又は名称】木村 満
【識別番号】100138955、【弁理士】、【氏名又は名称】末次 渉
【識別番号】100109449、【弁理士】、【氏名又は名称】毛受 隆典
審査官 【審査官】早川 裕之
参考文献・文献 中国特許出願公開第102060982(CN,A)
特開2011-119435(JP,A)
特開2011-247992(JP,A)
特表2002-505663(JP,A)
特表2011-528383(JP,A)
Itaru Osaka,Synthesis, Characterization, and Transistor and Solar Cell Applications of a Naphthobisthiadiazole-Based Semiconducting Polymer,Jounal of American Chemical Society,2012年 1月,134 (7),3498-3507
Ming Wang,Donor-Acceptor Conjugated Polymer Based on Naphtho[1,2-c:5,6-c]bis[1,2,5]thiadiazole for High-Performance Polymer Solar Cells,Journal Of American Chemical Society,2011年 1月,133 (25),9638-9641
調査した分野 C07D 513/04
C07F 5/02
CAplus/REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
下記一般式(1)で表されるナフトビスチアジアゾール誘導体と複素芳香族環または芳香族環を有するハロゲン化物とを反応させ、ナフトビスチアジアゾール骨格を有する化合物を合成する方法。
一般式(1)
JP0006057364B2_000011t.gif (式(1)中、Zは水素、ボロン酸基、ボロン酸エステル基、トリフルオロボレート塩基又はトリオールボレート塩基を表し、少なくとも一つがボロン酸基、ボロン酸エステル基、トリフルオロボレート塩基又はトリオールボレート塩基である。)
【請求項2】
ハロゲン化物との反応に用いられるナフトビスチアジアゾール誘導体であって、
下記一般式(1)で表されることを特徴とするナフトビスチアジアゾール誘導体。
一般式(1)
JP0006057364B2_000012t.gif (式(1)中、Zは水素、ボロン酸基、ボロン酸エステル基、トリフルオロボレート塩基又はトリオールボレート塩基を表し、少なくとも一つがボロン酸基、ボロン酸エステル基、トリフルオロボレート塩基又はトリオールボレート塩基である。)
【請求項3】
下記一般式(1)で表されることを特徴とするナフトビスチアジアゾール誘導体。
一般式(1)
JP0006057364B2_000013t.gif (式(1)中、Zは水素、ボロン酸基、ボロン酸エステル基、トリフルオロボレート塩基又はトリオールボレート塩基を表し、少なくとも一つがボロン酸基、ボロン酸エステル基、トリフルオロボレート塩基又はトリオールボレート塩基である。)
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ナフトビスチアジアゾール誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の有機半導体材料の研究、開発、実用化が進められており、ナフトビスチアジアゾール骨格を有する有機半導体材料が有望視されている。非特許文献1では、ナフトビスチアジアゾール骨格を有する高分子化合物及びその合成方法が開示されている。
【先行技術文献】
【0003】

【非特許文献1】Ming Wang, Xiaowen Hu, Peng Liu, Wei Li, Xiong Gong, Fei Huang, and Yong Cao;「Donor-Acceptor Conjugated Polymer Based on Naphtho[1,2-c:5,6-c]bis[1,2,5]thiadiazole for High Performance Polymer Solar cells」; J. Am. Chem. Soc., 133, 9638-9641, (2011).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1では、ナフトビスチアジアゾールを臭素化し、この臭素化物を有機スズ等の有機金属を有するチオフェン環等の複素芳香環或いは芳香環と遷移金属触媒を用いて結合して有機半導体材料として利用可能な高分子化合物を得ている。しかし、結合する複素芳香環或いは芳香環によっては有機金属を導入できないことがあることや、また、有機スズ等は毒性があるため工業上の使用は困難であることから、汎用性に乏しいという問題がある。
【0005】
本発明は上記事項に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、種々のナフトビスチアジアゾール骨格を有する有機半導体材料への展開が可能で汎用性に優れるナフトビスチアジアゾール誘導体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るナフトビスチアジアゾール誘導体は、
式1で表される、
【化1】
JP0006057364B2_000002t.gif
(式1中、Zは水素、ボロン酸基、ボロン酸エステル基、トリフルオロボレート塩基又はトリオールボレート塩基を表し、少なくとも一つがボロン酸基、ボロン酸エステル基、トリフルオロボレート塩基又はトリオールボレート塩基である。)
ことを特徴とする。
【0007】
また、前記Zが式11乃至19のいずれかで表されることが好ましい。
【化2】
JP0006057364B2_000003t.gif
(式12中、Rはアルキル基を表す。)
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るナフトビスチアジアゾール誘導体は、ボロン酸基、ボロン酸エステル基、トリフルオロボレート塩基又はトリオールボレート塩基を有している。ボロン酸基、ボロン酸エステル基、トリフルオロボレート塩基又はトリオールボレート塩基は、鈴木・宮浦カップリングなどのカップリング反応によって多用な化合物への変換が可能で、複雑な化合物の前駆体として利用でき汎用性に優れる。したがって、ナフトビスチアジアゾール誘導体を基に、種々の有機半導体材料等に有用なナフトビスチアジアゾール骨格を有する低分子化合物や高分子化合物の研究、開発、実用化を図ることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(ナフトビスチアジアゾール誘導体)
本実施の形態に係るナフトビスチアジアゾール誘導体は、式1で表される。
【化3】
JP0006057364B2_000004t.gif

【0010】
上記式1中、Zは水素、ボロン酸基、ボロン酸エステル基、トリフルオロボレート塩基又はトリオールボレート塩基であり、少なくとも一つがボロン酸基、ボロン酸エステル基、トリフルオロボレート塩基又はトリオールボレート塩基である。ボロン酸基、ボロン酸エステル基、トリフルオロボレート塩基又はトリオールボレート塩基は特に限定されるものではないが、例として、式11乃至19で表される官能基が挙げられる。なお、式12中、Rはアルキル基を表す。
【化4】
JP0006057364B2_000005t.gif

【0011】
ナフトビスチアジアゾール誘導体は有機ホウ素化合物であり、鈴木・宮浦カップリングなどのカップリング反応によって多用な化合物への変換が可能で、複雑な化合物の前駆体として利用できる。

【0012】
このため、ナフトビスチアジアゾール誘導体とドナー性官能基やアクセプター性官能基、チオフェン環等のπ共役電子構造などを有するハロゲン化物とを反応させて、ナフトビスチアジアゾール骨格を有する低分子化合物や高分子化合物等の合成を容易に行い得る。

【0013】
したがって、ナフトビスチアジアゾール誘導体を基に、種々の有機半導体材料等に有用なナフトビスチアジアゾール骨格を有する低分子化合物や高分子化合物の研究、開発、実用化を図ることが可能となる。また、ナフトビスチアジアゾール誘導体は、水や空気などに対して比較的安定であり、操作性にも優れる。

【0014】
(ナフトビスチアジアゾール誘導体の合成方法)
上述した本実施の形態に係るナフトビスチアジアゾール誘導体の合成方法に特に制限はなく、公知の合成方法を組み合わせて合成することができる。一例として以下のようにして合成され得る。

【0015】
ナフトビスチアジアゾール(ナフト[1,2-c:5,6-c’]ビス[1,2,5]チアジアゾール)とジボロン酸エステルとを反応させる。ナフトビスチアジアゾールの4位及び9位に位置する炭素と水素との結合が切断され、同位置にボロン酸エステル基が結合し、式1で表されるナフトビスチアジアゾール誘導体が得られる。
【化5】
JP0006057364B2_000006t.gif

【0016】
用いるジボロン酸エステルとして特に制限はなく、例えば、ビス(ピナコラト)ジボロンやビス(ネオペンチルグリコラト)ジボロン、ビス(ヘキシレングリコラト)ジボロン、ビス(カテコラト)ジボロンなどのジボロン酸エステルが挙げられる。

【0017】
また、CH活性化触媒を添加して反応させるとよい。ナフトビスチアジアゾールの4位及び9位の炭素と水素との結合が切断されやすくなる。これにより、水素が脱離した炭素とボロン酸エステル基との結合が促進される。CH活性化触媒として、炭素-水素結合を切断し得るものであれば制限されるものではなく、例えば、パラジウム、イリジウム、ルテニウム等の遷移金属或いはこれらを含有する触媒が挙げられる。なお、CH活性化触媒としてイリジウム或いはイリジウムを含有する触媒を用いる場合、配位子となる化合物も添加するとよい。

【0018】
また、ボロン酸を有するナフトビスチアジアゾール誘導体は、上記ボロン酸エステルを有するナフトビスチアジアゾール誘導体を脱エステル化することで得ることができる。

【0019】
さらにトリフルオロボレート塩基やトリオールボレート塩基を有するナフトビスチアジアゾール誘導体は、ボロン酸或いはボロン酸エステルを有するナフトビスチアジアゾール誘導体を用いて、例えばPotassium Organotrifluoroborates: New Perspectives in Organic Synthesis; Sylvain Darses and Jean-Pierre Genet, Chem. Rev., 108, 288-325 (2008)やCyclic Triolborates: Air- and Water-Stable Ate Complexes of Organoboronic Acids; Yasunori Yamamoto, Miho Takizawa, Xiao-Qiang Yu, Norio Miyaura, Angewandte Chemie International Edition, 47, 928-931 (2007)に開示の方法で得られる。

【0020】
また、ジブロモナフトチアジアゾール(4,9-ジブロモナフト[1,2-c:5,6-c’]ビス[1,2,5]チアジアゾール)とジボロン酸エステルとを反応させて、ボロン酸エステル基を有するナフトビスチアジアゾール誘導体を合成することも可能である。

【0021】
なお、ナフトビスチアジアゾール(ナフト[1,2-c:5,6-c’]ビス[1,2,5]チアジアゾール)やジブロモナフトチアジアゾール(4,9-ジブロモナフト[1,2-c:5,6-c’]ビス[1,2,5]チアジアゾール)は、Sulfur Nitride in Organic Chemistry. Part 19. Selective Formation of Benzo- and Benzobis[1,2,5]thiadiazole Skeleton in the Reaction of Tetrasulfur Tetranitride with Naphthalenols and Related Compounds; Shuntaro MATAKA, Kazufumi TAKAHASHI, Youji IKEZAKI, Taizo Hatta, Akiyoshi TORII, and Masashi TASHIRO; Bull. Chem. Soc. Jpn, 64, 68-73 (1991)に開示の方法等で得られる。
【実施例】
【0022】
以下、実施例に基づき、ナフトビスチアジアゾール誘導体及びその合成方法について詳述するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0023】
(ナフト[1,2-c:5,6-c’]ビス[1,2,5]チアジアゾール-4,9-ビス(ボロン酸ピナコールエステル)(以下、化合物1)の合成)
窒素雰囲気下、三口フラスコに溶媒としてシクロヘキサン20mL、CH活性化触媒としてビス(1,5-シクロオクタジエン)ジ-μ-メトキシジイリジウム(I)(33mg, 0.05mmol)、CH活性化触媒の配位子として4,4’-ジ-tert-ブチル-2,2’-ジピリジル化合物(27mg,0.1mmol)を入れ、遮光下にて約1時間還流攪拌した。
次に、ビス(ピナコラト)ジボロン(283mg,1.1mmol)を加えて、さらに30分還流した。
その後、ナフト[1,2-c:5,6-c’]ビス[1,2,5]チアジアゾール(122mg,0.5mmol)を加え、12時間還流させた。
室温まで冷却後、シクロヘキサンを除去し、クロロホルムを用いて粗精製物を再結晶することで化合物1(174mg,70%)を乳白色針状結晶として得た。
【実施例】
【0024】
上記の反応式を以下に示す。
【化6】
JP0006057364B2_000007t.gif
【実施例】
【0025】
また、得られた化合物1の測定結果を以下に示す。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3, ppm) δ 1.50 (s, 24H, CH3), 9.52 (s, 2H, ArH)
【実施例】
【0026】
(4,9-ビス(チオフェン-2-イル)-ナフト[1,2-c:5,6-c’]ビス[1,2,5]チアジアゾール(以下、化合物2)の合成)
窒素雰囲気下、化合物1(99.2mg,0.2mmol)、2-ブロモチオフェン(72.7mg,0.44mmol)、Pd(PPh(4.8mg,0.004mmol)、炭酸カリウム(1.11g,8mmol)、蒸留水(4ml)、トルエン(10ml)を三口フラスコに加え、12時間還流攪拌した。
反応溶液を室温まで放冷し、水に注ぎ、析出した固体をろ取した。得られた固体をクロロホルムを用いて再結晶することで化合物2(67mg,82%)を赤色固体として得た。
【実施例】
【0027】
上記の反応式を以下に示す。
【化7】
JP0006057364B2_000008t.gif
【実施例】
【0028】
また、得られた化合物2の測定結果を以下に示す。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3, ppm) δ 7.29 (d, 2H, ArH), 7.55(d, 2H, ArH), 8.33(d, 2H, ArH), 8.99 (s, 2H)
【実施例】
【0029】
(4,9-ジブロモナフト[1,2-c:5,6-c’]ビス[1,2,5]チアジアゾール(以下、化合物3)の合成)
反応容器に化合物1(49.6mg,0.1mmol)、臭化銅(II)(134mg,0.6mmol)、メタノール(4mL)、蒸留水(2mL)、NMP(12mL)を加え還流させた。冷却後、析出した固体をろ取し、塩酸、水、メタノールで洗浄することで化合物(3mg,70%)を得た。
【実施例】
【0030】
上記の反応式を以下に示す。
【化8】
JP0006057364B2_000009t.gif
【実施例】
【0031】
また、得られた化合物3の測定結果を以下に示す。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3, ppm) δ 9.14 (s, 2H, ArH)
【実施例】
【0032】
(ポリ{ナフト[1,2-c:5,6-c’]ビス[1,2,5]チアジアゾール-4,9-ジイル-alt-(3’4’’-ジ(2-デシルテトラデシル)-2,2’;5’ ,2’’;5’’ ,2’’’-クオーターチオフェン-5,5’’’-ジイル)}(化合物4)の合成)
窒素雰囲気下、化合物1(24.8mg,0.05mmol)、化合物A(58.1mg,0.05mmol)、Pd(PPhCl(1.7mg,0.0025mmol)、2MのKCO水溶液(1.6ml)、トルエン(2.4ml)及び1滴のAliquat336を反応用バイアルに入れて密封した。
これをマイクロ波合成装置にセットし、180℃で2時間反応させた。その後、反応液を大過剰のメタノールに注ぎ、攪拌した。
沈殿物をソックスレー抽出用フィルターでろ取し、メタノール及びクロロホルムを用いソックスレー抽出にてこれらの溶媒に可溶な成分を除去した。
さらに、クロロベンゼンを用いてフィルター残をソックスレー抽出し、得られた溶液を大過剰のメタノールに注いだ。
沈殿物をろ取することで、化合物4(27mg,43%)を濃緑色の固体として得た。
【実施例】
【0033】
上記の反応式を以下に示す。
【化9】
JP0006057364B2_000010t.gif
【実施例】
【0034】
また、得られた化合物4の測定結果を以下に示す。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3, ppm) δ 9.0付近 (br, 2H, ArH), δ7~8付近(br, 6H, ArH), δ2.5付近(br, 4H), δ0.8~2付近(br, 94H)
【産業上の利用可能性】
【0035】
以上、説明したように、ナフトビスチアジアゾール誘導体は、鈴木・宮浦カップリングなどのカップリング反応によって多用な化合物への変換が可能で、複雑な化合物の前駆体として利用でき汎用性に優れる。したがって、ナフトビスチアジアゾール誘導体を基に、種々の有機半導体材料等に有用なナフトビスチアジアゾール骨格を有する低分子化合物や高分子化合物の研究、開発、実用化が期待される。