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明細書 :椎弓根スクリュー用挿入穴作製ワイヤーの三次元ガイド具

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5935218号 (P5935218)
登録日 平成28年5月20日(2016.5.20)
発行日 平成28年6月15日(2016.6.15)
発明の名称または考案の名称 椎弓根スクリュー用挿入穴作製ワイヤーの三次元ガイド具
国際特許分類 A61B  90/00        (2016.01)
A61B  17/56        (2006.01)
FI A61B 19/00 502
A61B 17/56
請求項の数または発明の数 2
全頁数 9
出願番号 特願2012-528659 (P2012-528659)
出願日 平成23年8月5日(2011.8.5)
国際出願番号 PCT/JP2011/067955
国際公開番号 WO2012/020707
国際公開日 平成24年2月16日(2012.2.16)
優先権出願番号 2010181119
優先日 平成22年8月12日(2010.8.12)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成26年6月19日(2014.6.19)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】305060567
【氏名又は名称】国立大学法人富山大学
発明者または考案者 【氏名】川口 善治
個別代理人の代理人 【識別番号】100114074、【弁理士】、【氏名又は名称】大谷 嘉一
審査官 【審査官】井上 哲男
参考文献・文献 特開2009-061132(JP,A)
特表2008-522665(JP,A)
特開2003-199757(JP,A)
実開平06-048611(JP,U)
国際公開第2008/138137(WO,A1)
国際公開第2007/097854(WO,A2)
調査した分野 A61B 90/00
A61B 17/56
A61B 17/16
特許請求の範囲 【請求項1】
脊椎を撮像したCT画像に基づいて製作される椎弓根スクリュー用挿入穴作製ワイヤーの三次元ガイド具であって、
三次元ガイド具は、刺入部位の骨形態面に面状に突き当て当接する当接面部と、当該当接面部から立設したガイドブロック部とを有し、
ガイドブロック部は挿入穴作製ワイヤーのガイド孔を有し、
当該ガイド孔は挿入穴作製ワイヤーの外径よりもわずかに大きい内径を有し、孔の長さが15mmを超え、30mm以下の範囲にすることで、当該挿入穴作製ワイヤーの刺入位置と刺入方向を規制するものであり、
前記当接面部は、緩やかな凹凸曲面からなる刺入部位の骨の形態面部と、急激な斜面からなる椎弓に有する横突起、棘突起及び関節突起のうちいずれかの突起部の突起形状に合致した凹部形状の突起当接部とを有することを特徴とする三次元ガイド具。
【請求項2】
脊椎をCT画像として取り込んだ当該CT画像に基づいて椎弓根スクリューを刺入する部位を抽出するステップと、
当該抽出した刺入部位に基づいて鋳型を製作するステップと、
当該鋳型に基づいて成形したものであり、刺入部材の骨形態面に面状に突き当て当接する当接面部と、椎弓根スクリュー用挿入穴作製ワイヤーの刺入の位置と方向を規制するためのガイド孔を有するガイドブロック部とを有し、
前記ガイド孔は挿入穴作製ワイヤーの外径よりもわずかに大きい内径を有し、孔の長さが15mmを超え、30mm以下の範囲にすることで、当該挿入穴作製ワイヤーの刺入位置と刺入方向を規制するものであり、
前記当接面部は、緩やかな凹凸曲面からなる刺入部位の骨の形態面部と、急激な斜面からなる椎弓に有する横突起、棘突起及び関節突起のうちいずれかの突起部突起形状に合致した凹部形状の突起当接部とを有することを特徴とする椎弓根スクリュー用挿入穴作製ワイヤーの三次元ガイド具の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、脊椎外科手術において使用される椎弓根スクリューを解剖学的に適切な部位に刺入するのに好適な椎弓根スクリュー用挿入穴作製ワイヤーの刺入ガイド具及び、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
脊柱の骨は、自在な方向に動くのを許容するだけでなく、体内の数多くの静脈、動脈及び神経等を内包保護する働きがある。
成人にあっては、脊椎は20個余りの別個の骨からなり、隣接する椎骨の間に位置する後側椎間関節及び軟骨板(椎間板)を介して相互に連結されている。
脊椎の骨は解剖学的に四つに分類され、頚椎、胸椎、腰椎及び、仙椎と称されている。
また、これらの区域は特有の弯曲を形成していて、頚椎前弯、胸椎後弯、腰椎前弯及び仙椎後弯として知られている。
【0003】
このような脊椎の外科手術においては、脊椎を固定することで治療効果を得るために、椎弓根スクリューが用いられる場合がある。
しかし、脊椎の形態は人それぞれによって大きく異なり、特に脊椎側弯症等の場合には大きな変形が生じていて、椎弓根スクリューの刺入の際に脊髄損傷による四肢麻痺や椎骨動脈損傷による死亡例が報告されるなど、重篤な合併症を引き起こす恐れもあった。
そこで、非特許文献1にCT像を等倍に現像し、椎弓根スクリューを刺入する位置、角度をCTフィルム上に直接描き、そのラインを椎弓背側の輪郭を含むようにカットしたCTフィルムを使用するCTcutout法が提案されている。
しかし、同技術は刺入位置が正確に得られても、刺入方向の安定性に不安があった。
【0004】

【非特許文献1】宮本 裕史、日本脊椎脊髄病学会雑誌19(1)2008、P31
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、解剖学的に適切な位置に椎弓根スクリューを刺入するにあたり、この椎弓根スクリューを挿入するための挿入穴を作製するのに用いるワイヤーの三次元ガイド具及び、その製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る三次元ガイド具は、脊椎を撮像したCT画像に基づいて製作される椎弓根スクリュー用挿入穴作製ワイヤーの三次元ガイド具であって、三次元ガイド具は、刺入部位の骨形態面に面状に突き当て当接する当接面部と、当該当接面部から立設したガイドブロック部とを有し、ガイドブロック部は挿入穴作製ワイヤーの刺入方向を規制するガイド孔を有することを特徴とする。
椎弓根に椎弓根スクリューを刺入するためには、解剖学的に適切な方向及び深さで椎弓根スクリューの挿入穴を椎弓根に予め作製する必要がある。
そのような場合に椎弓根にKワイヤーを刺入し、次にこの椎弓根に刺入したKワイヤーをたよりに中心が中空のドリルを用いて椎弓根に下穴を作製する。
次に、ドリルを、Kワイヤーを残したまま抜き取り、中心が中空のタップを用いてこのKワイヤーをたよりに前に作製した下穴の内周部にねじ山を形成することが必要となる。
本発明は、このKワイヤーの刺入位置及び刺入方向の安定化に寄与する三次元ガイド具の提供に特徴がある。
この場合に、脊椎の椎弓には横突起、棘突起及び関節突起等が存在することから、外科手術の際に三次元ガイド具の位置が安定しやすいように、前記当接面部は、刺入部位の骨の形態面の他に椎弓の突起部に当接する突起当接部を有するようにするのが好ましく、また、刺入安定性からは、前記ガイド孔の長さは15mm~30mm程度が好ましい。
ガイド孔の長さが15mm未満では刺入の方向性が不安定になり、30mmを超えると刺入方向は安定するが、ガイドブロックの立設高さが高くなる。
【0007】
このような三次元ガイド具の製造方法としては、脊椎をCT画像として取り込むステップと、当該CT画像に基づいて椎弓根スクリューを刺入する部位を抽出するステップと、当該抽出した刺入部位の骨形態面に合致する当接面部を有するブロック状の方案を作成するステップと、当該方案に基づいて鋳型を製作するステップと、当該鋳型に基づいて成形することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る椎弓根スクリュー用挿入穴作製ワイヤーの三次元ガイド具は、骨の形態面に面で合致するように当接面部を有するとともに、当該ワイヤーの刺入方向を立体的にガイドするガイド孔を有するため、脊椎のあらゆる部位の適切な場所に安心して且つ安定的に刺入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】頚椎の骨模型の例を示し、この骨の形態面に面状に突き当て当接するように製作した三次元ガイド具の例を示す。
【図2】本発明に係る三次元ガイド具を頚椎に当接し、ガイド孔の位置決めをする例を示し、(a)は、三次元ガイド具を後方から見た頚椎に当接する前の状態であり、(b)は突起当接部14を骨の突起部2に当てがうことでガイド孔13を位置決めした例を示す。
【図3】頚椎を側方から見た状態を示し、椎骨動脈3に損傷を与えないためにガイド孔13によりKワイヤーの刺入方向を定めた例を示す。(a)は三次元ガイド具を頸椎に当てがう前で(b)はその後を示す。
【図4】椎弓根と三次元ガイド具との位置関係を椎弓根の断面図を用いて示す。(a)は三次元ガイド具を椎弓根に当てがう前であり、(b)は三次元ガイド具に形成した凹部状の突起当接面14aを骨の突起2に当接させた状態を示す。(c)は三次元ガイド具を下から見た図を示す。
【図5】三次元ガイド具を椎弓根に当てがう正面図を示す。(a)は当てがう前で(b)は当てあった状態の部分断面図を示す。
【図6】三次元ガイド具に形成したガイド孔に沿ってKワイヤーを刺入する状態を示す。(a)はKワイヤーの刺入前、(b)は刺入した状態を示す。(c)はKワイヤーから三次元ガイド具を外す状態を示す。
【図7】Kワイヤーをたよりに中空ドリルを用いて椎弓根にドリリングする例を示す。(a)はKワイヤーにドリルの中空部を通した状態、(b)はドリリングした状態、(c)は下穴Pを形成した状態を示す。
【図8】Kワイヤーをたよりに下穴の内周に中空タップを用いてタッピングする例を示す。(a)はタップをKワイヤーに通した状態を示し、(b)はタッピングした状態を示し、(c)は椎弓根スクリューの挿入ねじ穴を形成した状態を示す。
【図9】椎弓根に形成した挿入ねじ穴に椎弓根スクリューを専用ドライバーを用いて挿入する例を示す。(a)は椎弓根スクリューの挿入前、(b)は挿入した状態を示し、(c)はドライバーを外した状態を示す。
【図10】複数の椎弓根スクリューをロッドで連結した例を示す。
【符号の説明】
【0010】
1 骨
2 突起
10 三次元ガイド具
11 当接面部
12 ガイドブロック部
13 ガイド孔
14 突起当接部
20 椎弓根スクリュー
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明に係る三次元ガイド具は、脊椎のあらゆる部位に適用できるが、頚椎を例に以下説明する。
まず、手術部位の骨の形態をCT画像として撮像取り込みを行い、セッコウ等で図1に例として示した骨模型Aを製作する。
骨は、椎弓が椎間板を介して連絡された複雑な形態を有しているので、この骨模型AとCT画像から解剖学的に適切な椎弓根スクリューの刺入方向と深さを計画する。
【0012】
脊椎の骨(椎弓)1には横突起、棘突起及び関節突起等の突起2が存在し、骨の表面は複雑な凹凸の有する形態になっている。
また、図3,図4に示すように椎骨動脈3が走っている。
これらを考慮して刺入する部位及び刺入方向が解剖学的に定まると、このCT画像に基づいて複数の、例えば図1において3つの三次元ガイド具10、10A、10Bの形状(方案)を作定する。
三次元ガイド具10、10A、10Bの形状を作定するにあたり、刺入部位の骨の凹凸の形態に沿って面状に接触した状態で当接する当接面部11、11A、11Bの大きさ、及びガイドブロック部12、12A、12Bの形状、大きさを設定する必要がある。
以下、三次元ガイド具10にて説明し、他は対応する符号を付けて説明を省略する。
その場合に三次元ガイド具10を椎弓に当接するだけで位置決めできるように、当接面部は椎弓の突起(棘突起)2にも当接する突起当接部14を設ける。
このようにすると、三次元ガイド具10を刺入部位付近に当てがうだけで、刺入部位の骨の緩やかな凹凸曲面からなる当接面形状と、急激な斜面からなる突起当接部の形状にて三次元ガイド具10の位置が必然的に正確に定まり、且つ、ずれない。
なお、詳細は後述するが、椎弓根スクリューを挿入するための挿入穴を形成するためにKワイヤーを刺入後は、三次元ガイド具10を後方から抜くように取り外す必要があることから、当接面部11及び突起当接部14の形状にアンダーカット部が生じないようにする。
本実施例では突起当接部14に棘突起2の形状に合致した凹部形状の突起当接面14aを形成した例になっているが、三次元ガイド具10の位置決めに有効な突起部であればこれに限定されない。
【0013】
ガイドブロック部12の形状は、ガイドブロック部12に沿ってガイド孔13を形成することでKワイヤー20の刺入方向を規制し、ガイドするものである。
【0014】
三次元ガイド具10の形状(方案)が定まると、この方案を有する鋳型を製作する。
鋳型に樹脂等を注入し、所定の形状の三次元ガイド具を製作する。
このようにして製作された三次元ガイド具10は、脊椎の刺入部位に当てがうだけでKワイヤーの刺入位置と方向が正確に定まる。
【0015】
次に、このようにして製作された三次元ガイド具10を用いて椎弓根スクリューの挿入穴を作製する手順を説明する。
図2は頸椎の後方から見た図であり、図3は側方から見た図を示す。
また、図4は椎弓根の断面図を示し、図5は棘突起2部分の拡大図を示す。
図2~図5の(a)に示すように予めCT画像に基づいて製作した三次元ガイド具10には棘突起2の突起形状に合致した凹部形状の突起当接面14aを形成した突起当接部14と、棘突起2から椎弓根スクリュー50の挿入部位にわたって骨の形態面に沿った面で当接する当接面部11と、ガイド孔13を形成したガイドブロック部12を有する。
ここで、当接面部11は骨の形態面に沿って概ね面で接触するようにする趣旨であって、必ずしも当接面部11の全面で接触する必要はない。
【0016】
三次元ガイド具10を予め計画していた手術部位に対応した骨の形態面に当てがうと、凹部形状の突起当接面14aが骨の棘突起2の形状に合致し、棘突起2からガイド孔13までの面当接部の凹凸面形状が骨の凹凸状の形態面に合致することで位置決めが行われ、図6(a)に示すように、Kワイヤー20の刺入方向がガイド孔13の貫通孔の方向により正確に定まる。
Kワイヤーは1~2mmの直径からなるワイヤーであり、ガイド孔13はKワイヤーの外径よりもわずかに大きい内径を有し、その長さは15mm以上あるのが望ましい。
ガイド孔13は長い方が刺入方向の安定性が向上するが、挿入作業性及びガイドブロック部12の製作性を考えると30mm以下でよい。
このようにKワイヤー20を三次元ガイド具10のガイド孔13に沿って刺入するので動脈3等の損傷の恐れもない。
図6(b)に示すようにKワイヤー20が椎弓根に刺入されると、(c)に示すように三次元ガイド具10をKワイヤー20から取り外す。
次に図7に示すようにKワイヤー20をたよりに中心部が中空のドリル30を椎弓根に回転しながら差し込むことで、図7(c)に示すように下穴Pが形成される。
その後に図8に示すようにKワイヤー20をたよりに下穴Pに沿ってタップ40(タッピングドリル)を回転させながら差し込むことでねじ溝が形成された椎弓根スクリューの挿入穴Pが得られる。
次に、図9に示すように専用ドライバー60を用いて椎弓根スクリュー50の雄ねじ部50aを螺入する。
このようにして挿入された椎弓根スクリュー50の頭部50bの角度を調整し、図10に示すようにロッド70にて連結することで骨1が固定される。
椎弓根スクリュー50の雄ねじ部外径は3.5~4mmが一般的である。
【産業上の利用可能性】
【0017】
脊椎手術を実施している多くの施設にて利用できる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
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【図9】
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【図10】
9