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明細書 :ATLLの診断のためのデータ取得方法、ATLL診断用キットおよびATLL診断システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6156621号 (P6156621)
公開番号 特開2013-188208 (P2013-188208A)
登録日 平成29年6月16日(2017.6.16)
発行日 平成29年7月5日(2017.7.5)
公開日 平成25年9月26日(2013.9.26)
発明の名称または考案の名称 ATLLの診断のためのデータ取得方法、ATLL診断用キットおよびATLL診断システム
国際特許分類 C12Q   1/68        (2006.01)
G01N  33/50        (2006.01)
C12N  15/09        (2006.01)
FI C12Q 1/68 A
G01N 33/50 P
C12N 15/00 F
請求項の数または発明の数 7
全頁数 29
出願番号 特願2013-026614 (P2013-026614)
出願日 平成25年2月14日(2013.2.14)
優先権出願番号 2012029463
優先日 平成24年2月14日(2012.2.14)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成27年12月15日(2015.12.15)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504147243
【氏名又は名称】国立大学法人 岡山大学
発明者または考案者 【氏名】岡 剛史
【氏名】大内田 守
【氏名】吉野 正
個別代理人の代理人 【識別番号】110001070、【氏名又は名称】特許業務法人SSINPAT
審査官 【審査官】藤澤 雅樹
参考文献・文献 特表2011-517932(JP,A)
特表2011-520454(JP,A)
特表2010-516249(JP,A)
特表2008-529557(JP,A)
国際公開第2010/122109(WO,A1)
国際公開第2010/123043(WO,A1)
特開2009-254357(JP,A)
Genes, Chromosomes & Cancer (2009) Vol.48, pp.1069-1082
Blood (2009) Vol.113, No.20, pp.4914-4917
Blood (2005) Vol.105, No.3, pp.1204-1213
Braz. J. Med. Biol. Res. (2010) Vol.43, No.7, pp.619-626
Cell Cycle (2011) Vol.10, No.17, pp.2845-2849
Cancer Res. (2009) Vol.69, No.10, pp.4443-4453
Leukemia Research (2011) Vol.35, pp.208-213
Nature Genetics (2011) Vol.43, No.7, pp.673-678
Mol. Cell Biochem. (2011) Vol.346, pp.103-116
Leukemia Research (2012) Vol.36, pp.293-298,Available online 17 November 2011
調査した分野 C12Q 1/68
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS/WPIX(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
hsa-miR-34b、hsa-miR-205hsa-miR-483、hsa-miR-125aおよびhsa-miR-486からなる群より選ばれる少なくとも一種のmiRNAについて、
サンプル中の発現量を定量するステップ、および
HTLV-Iキャリアー由来の末梢血、末梢血単核球またはCD4陽性T細胞、あるいはそのモデルとしてのHTLV-I感染し不死化したCD4陽性T細胞培養株中の発現量に対する、前記サンプル中の発現量の比率が、0.5倍以下であるかどうかを判定するステップを有することを特徴とする、急性型ATLLの診断のためのデータ取得方法。
【請求項2】
hsa-miR-296hsa-miR-15bhsa-miR-484hsa-miR-16hsa-miR-195およびhsa-miR-769-5pからなる群より選ばれる少なくとも一種のmiRNAについて、
サンプル中の発現量を定量するステップ、および
HTLV-Iキャリアー由来の末梢血、末梢血単核球またはCD4陽性T細胞中の発現量に対する、前記サンプル中の発現量の比率が、2倍以上であるかどうかを判定するステップを有することを特徴とする、急性型ATLLの診断のためのデータ取得方法。
【請求項3】
hsa-miR-34aについて、
サンプル中の発現量を定量するステップ、および
健常者由来の末梢血、末梢血単核球または活性化CD4陽性T細胞中の発現量に対する、前記サンプル中の発現量の比率が、0.5倍以下であるかどうかを判定するステップを有し、
急性型ATLL、くすぶり型ATLLまたはその両方の診断のためのデータを取得することを特徴とするATLLの診断のためのデータ取得方法。
【請求項4】
hsa-miR-99aまたはhsa-miR-125bについて、
サンプル中の発現量を定量するステップ、および
健常者由来の末梢血、末梢血単核球または活性化CD4陽性T細胞中の発現量に対する、前記サンプル中の発現量の比率が、2倍以上であるかどうかを判定するステップを有し、
急性型ATLL、くすぶり型ATLLまたはその両方の診断のためのデータを取得することを特徴とするATLLの診断のためのデータ取得方法。
【請求項5】
前記定量対象miRNAを定量RT-PCR法により定量する、請求項1~のいずれかに記載のデータ取得方法。
【請求項6】
請求項1~のいずれかに記載のデータ取得方法において定義される前記定量対象miRNAを定量するためのキットであって、少なくとも当該定量対象miRNAを増幅するためのプライマーを内容物に含むことを特徴とする、ATLL診断用キット。
【請求項7】
請求項1~のいずれかに記載のデータ取得方法において定義される前記定量対象miRNAについて、サンプル中の発現量を定量する定量手段と、
前記miRNAについての基準となる発現量および発現量比率の条件を記録した記録手段と、
前記定量手段により得られた定量対象miRNAの発現量の測定データを、前記記録手段に記録された定量対象miRNAの発現量の基準データと比較し、当該定量対象miRNAの発現量比率の条件を満たす場合、前記サンプルはくすぶり型ATLL患者由来のもの、または急性型ATLL患者由来のものであると判定し、それ以外の場合には、前記サンプルは健常者、HTLV-Iキャリアー、または前記の型以外のATLL患者由来のものであると判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果を出力する出力手段とを備えることを特徴とする、ATLL診断システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトT細胞白血病ウイルスI型(human T-cell leukemia virus I、HTLV-I)キャリアーが成人T細胞白血病・リンパ腫(Adult T cell leukemia/lymphoma, ATLL)、特に高悪性型ATLLを発症するのを早期に診断するためなどに有用な、ATLLの診断のためのデータ取得方法、および当該方法を実施するためのキットおよびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ATLLは、その原因ウイルスであるHTLV-Iのキャリアーの中から日本で年間約700例が発症、キャリアー1000人あたりの年間ATLL発症率は男性で1.0~1.5人、女性で0.5~0.7人、30歳以上のキャリアーで生涯発症率は男性で4~7%、女性で2%台となる難治性の白血病・リンパ腫である。現在日本で約108万人、世界で約2000万人のキャリアーが存在する。
【0003】
ATLLは、HTLV-IがCD4陽性T細胞に感染し、細胞-細胞間で感染し、長い潜伏期間の中で免疫機構から逃れたクローンが遺伝子異常、染色体異常、エピジェネティックな異常などを集積して、細胞を腫瘍化させることで発症すると考えられている。HTLV-Iのキャリアーの3~5%が、HTLV-I感染後40~60年してATLLを発症する。また、感染経路は主として母乳感染、輸血、性交である。
【0004】
ATLLには、くすぶり型、慢性型、リンパ腫型および急性型の4つの病型が存在し、急性型およびリンパ腫型は治療抵抗性で、予後は極めて不良であるといわれている。実際、図1はある研究者により作成されたATLL患者の臨床病型別生存曲線であるが、この図を見ればわかるように、急性型およびリンパ腫型ATLLの患者の生存率は、観察開始から1年以内に50%以下にまで低下する。
【0005】
このような難治性のATLLの従来の診断方法は、患者の末梢血における腫瘍細胞の同定の他、リンパ節腫脹、肝脾腫、高カルシウム血症などATLLに特異的な臨床症状を基準とするものである。しかし、このような方法では、特に急性型やリンパ腫型ATLLでは、発症し、症状が出始めた段階にならなければ診断ができず、それゆえ早期にこれらを診断することができないため、治療が手遅れになってしまう可能性がある。
【0006】
ここで、特許文献1に示されるように、本発明者は、ATLLの予後を推定するためのデータの収集において、末梢血単核細胞(PBMC)の特定の遺伝子群について、それらの遺伝子のプロモーター領域におけるCpG島のメチル化状態を測定することにより、前記遺伝子のプロモーター領域におけるCpG島のメチル化プロファイルを作成するとともに、予後因子としてCIMPを算出し、メチル化遺伝子、メチル化遺伝子数及びCIMP値から算出されるATLL発症・進展危険度スコアによる危険度の階層化および/または特定の遺伝子のメチル化状態を表示することにより、HTLV-Iのキャリアーの発症またはindolent型(緩徐進行型)であるくすぶり型および慢性型ATLLがaggressive型(高悪性型)である急性型およびリンパ腫型ATLLへの進展を予測することを可能とするATLL予後推定用データを作成する方法を開発している。
【0007】
ところで、マイクロRNA(miRNA)とは、19~25塩基程度のタンパク質をコードしないRNAであり、mRNAの3'非翻訳領域に結合し、リボソームにおける翻訳を阻害したり、mRNAを直接切断して、翻訳を阻害する。現在851種類のmiRNAがヒトで同定されており、1つのmiRNAが100個以上の遺伝子(由来のmRNA)を標的としている。
【0008】
このようなmiRNAは、通常細胞では適切な量が作られており、標的mRNAの翻訳を阻害し、幹細胞の維持、細胞増殖や発生・分化、細胞死といった細胞の生命現象を適切に制御していると考えられている(非特許文献1参照)。実際、あるmiRNAが大腸癌に関連することが知見されている(非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【0009】

【特許文献1】特開2009-254357号公報
【0010】

【非特許文献1】Esquela-Kerscher A & Slack F.J.Nature Reviews Cancer (6): 259-269, (2006)
【非特許文献2】Tazawa et al., PNAS 2007, vol.104, No.39, 15472-15477
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、HTLV-IのキャリアーのATLLの発症、特に高悪性型ATLLの発症を早期に高感度・高精度に診断したり、さらにはATLLの治療効果の判定や、ATLLの再発の兆候(高悪性型ATLLの発症には至らない程度の腫瘍細胞の再増殖)を早期に発見し、再発を予防したりすることを可能とする手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、特定のmiRNAの発現量とATLLの発症、特に高悪性型ATLLの発症との間に関連があることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明は、健常者由来の末梢血、末梢血単核球または活性化CD4陽性T細胞、HTLV-I(ヒトT細胞白血病ウイルスI型)キャリアー由来の末梢血、末梢血単核球またはCD4陽性T細胞、くすぶり型もしくは慢性型ATLL患者由来の末梢血、末梢血単核球またはCD4陽性T細胞、あるいはHTLV-I感染し不死化したCD4陽性T細胞培養株またはATLL非腫瘍細胞由来CD4陽性T細胞培養株中の発現量を基準としたときに、くすぶり型もしくは慢性型ATLL患者から採取した末梢血、末梢血単核球またはCD4陽性T細胞、急性型もしくはリンパ腫型ATLL患者から採取した末梢血、末梢血単核球またはCD4陽性T細胞、あるいはATLL腫瘍細胞由来CD4陽性T細胞培養株中の発現量の当該基準に対する比率が、2倍以上または0.5倍以下であるmiRNAおよびこれらの変異型からなる群より選ばれる少なくとも一種の定量対象miRNAについて、サンプル中の発現量を定量するステップを有することを特徴とする、ATLLの診断のためのデータ取得方法を提供する。
【0014】
前記定量対象miRNAとしては、たとえば、
hsa-miR-34a、hsa-miR-221、hsa-miR-222、hsa-miR-146a、hsa-miR-34b、hsa-miR-205、hsa-miR-146b、hsa-miR-193a、hsa-miR-582、hsa-miR-483、hsa-miR-125a、hsa-miR-182、hsa-miR-660、hsa-let-7b、kshv-miR-K12-8、hsa-miR-342、hsa-miR-148a、hsa-miR-133b、hsa-miR-210、hsa-miR-486、hsa-miR-362、hsa-miR-210、hsa-miR-27a、hsa-miR-551b、hsa-miR-625、hsa-miR-183、hsa-miR-23a、hsa-miR-150、hsa-miR-363、hsa-miR-525*、hsa-miR-124a、hsa-miR-200c、ebv-miR-BART20-3p、hsa-miR-630、hsa-miR-223、hsa-miR-22、hsa-miR-26a、hsa-miR-768-5p;
hsa-miR-99a、hsa-miR-125b、hsa-miR-152、hsa-miR-490、hsa-miR-100、hsa-miR-571、hsa-miR-296、hsa-miR-9*、hsa-miR-196a、hsa-miR-9、hsa-miR-7、hsa-miR-92b、hsa-miR-15b、hsa-miR-10a、hsa-miR-484、hsa-let-7c、hsa-miR-16、hsa-miR-193b、hsa-miR-15a、hsa-miR-301、hsa-miR-320、hsa-miR-196b、hsa-miR-107、hsa-miR-195、hsa-miR-103、hsa-miR-186、hsa-miR-769-5p、hsa-miR-365、hsa-miR-490、hsa-miR-550、hsa-miR-183、hsa-miR-182、hsa-miR-324-5p、hsa-miR-663、hsa-miR-422b、hsa-miR-345、kshv-miR-K12-8、hsa-miR-96、hsa-miR-193a、hsa-let-7d、hsa-miR-17-5p、hsa-miR-339、hsa-miR-155、hsa-let-7a;および
これらの変異型からなる群より選ばれる少なくとも一種のmiRNAが挙げられる。
【0015】
このうち、好ましい定量対象miRNAとしては、たとえば、
hsa-miR-34a、hsa-miR-221、hsa-miR-222、hsa-miR-146a、hsa-miR-34b、hsa-miR-205、hsa-miR-146b、hsa-miR-193a、hsa-miR-582、hsa-miR-483、hsa-miR-125a、hsa-miR-182、hsa-miR-150、hsa-miR-363、hsa-miR-525*、hsa-miR-124a、hsa-miR-342;
hsa-miR-99a、hsa-miR-125b、hsa-miR-152、hsa-miR-9*、hsa-miR-193b、hsa-miR-196a、hsa-miR-365、hsa-miR-100、hsa-miR-9;および
これらの変異型からなる群より選ばれる少なくとも一種のmiRNAが挙げられる。
【0016】
さらに、特に好ましい定量対象miRNAとしては、たとえば、
hsa-miR-34b、hsa-miR-205、hsa-miR-483、hsa-miR-125a、hsa-miR-486、hsa-miR-124a、hsa-miR-525*、hsa-miR-150、hsa-miR-363;
hsa-miR-296、hsa-miR-15b、hsa-miR-484、hsa-miR-16、hsa-miR-195、hsa-miR-769-5p、hsa-miR-550、hsa-miR-422b;および
これらの変異型からなる群より選ばれる少なくとも一種のmiRNAが挙げられる。
【0017】
上記のATLLの診断のためのデータ取得方法は、より具体的には、次のような実施形態をとることができる。
【0018】
第1の実施形態として、hsa-miR-34a、hsa-miR-221、hsa-miR-222、hsa-miR-146a、hsa-miR-34b、hsa-miR-205、hsa-miR-146b、hsa-miR-193a、hsa-miR-582、hsa-miR-483、hsa-miR-125a、hsa-miR-182、hsa-miR-660、hsa-let-7b、kshv-miR-K12-8、hsa-miR-342、hsa-miR-148a、hsa-miR-133b、hsa-miR-210、hsa-miR-486、hsa-miR-362、hsa-miR-210、hsa-miR-27a、hsa-miR-551b、hsa-miR-625、hsa-miR-183およびhsa-miR-23aからなる群より選ばれる少なくとも一種のmiRNAについて、サンプル中の発現量を定量するステップ、およびHTLV-Iキャリアー由来の末梢血、末梢血単核球またはCD4陽性T細胞、あるいはそのモデルとしてのHTLV-I感染し不死化したCD4陽性T細胞培養株中の発現量に対する、前記サンプル中の発現量の比率が、0.5倍以下であるかどうかを判定するステップを有することを特徴とする、ATLLの診断のためのデータ取得方法が挙げられる。
【0019】
第2の実施形態として、hsa-miR-150、hsa-miR-363、hsa-miR-34a、hsa-miR-525*、hsa-miR-146b、hsa-miR-146a、hsa-miR-222、hsa-miR-221、hsa-miR-124a、hsa-miR-34b、hsa-miR-125a、hsa-miR-342、hsa-miR-200c、ebv-miR-BART20-3p、hsa-miR-625、hsa-miR-630、hsa-miR-223、hsa-miR-660、hsa-let-7b、hsa-miR-582、hsa-miR-22、hsa-miR-26aおよびhsa-miR-768-5pからなる群より選ばれる少なくとも一種のmiRNAについて、サンプル中の発現量を定量するステップ、および健常者由来の末梢血、末梢血単核球または活性化CD4陽性T細胞中の発現量に対する、前記サンプル中の発現量の比率が、0.5倍以下であるかどうかを判定するステップを有することを特徴とする、ATLLの診断のためのデータ取得方法が挙げられる。
【0020】
第3の実施形態として、hsa-miR-99a、hsa-miR-125b、hsa-miR-152、hsa-miR-490、hsa-miR-100、hsa-miR-571、hsa-miR-296、hsa-miR-9*、hsa-miR-196a、hsa-miR-9、hsa-miR-7、hsa-miR-92b、hsa-miR-15b、hsa-miR-10a、hsa-miR-484、hsa-let-7c、hsa-miR-16、hsa-miR-193b、hsa-miR-15a、hsa-miR-301、hsa-miR-320、hsa-miR-196b、hsa-miR-107、hsa-miR-195、hsa-miR-103、hsa-miR-186およびhsa-miR-769-5pからなる群より選ばれる少なくとも一種のmiRNAについて、サンプル中の発現量を定量するステップ、およびHTLV-Iキャリアー由来の末梢血、末梢血単核球またはCD4陽性T細胞中の発現量に対する、前記サンプル中の発現量の比率が、2倍以上であるかどうかを判定するステップを有することを特徴とする、ATLLの診断のためのデータ取得方法が挙げられる。
【0021】
第4の実施形態として、hsa-miR-9*、hsa-miR-99a、hsa-miR-125b、hsa-miR-193b、hsa-miR-196a、hsa-miR-365、hsa-miR-100、hsa-miR-9、hsa-miR-7、hsa-miR-92b、hsa-miR-490、hsa-miR-196b、hsa-miR-550、hsa-let-7c、hsa-miR-571、hsa-miR-183、hsa-miR-182、hsa-miR-320、hsa-miR-324-5p、hsa-miR-296、hsa-miR-663、hsa-miR-422b、hsa-miR-769-5p、hsa-miR-186、hsa-miR-301、hsa-miR-345、kshv-miR-K12-8、hsa-miR-96、hsa-miR-193a、hsa-let-7d、hsa-miR-17-5p、hsa-miR-339、hsa-miR-152、hsa-miR-155およびhsa-let-7aからなる群より選ばれる少なくとも一種のmiRNAについて、サンプル中の発現量を定量するステップ、および健常者由来の末梢血、末梢血単核球または活性化CD4陽性T細胞中の発現量に対する、前記サンプル中の発現量の比率が、2倍以上であるかどうかを判定するステップを有することを特徴とする、ATLLの診断のためのデータ取得方法が挙げられる。
【0022】
このようなATLLの診断のためのデータは、少なくとも急性型ATLLの診断のためのデータを含むものであることが好ましい。
さらに具体的な実施形態として、hsa-miR-34aについて、サンプル中の発現量を定量するステップ、および健常者由来の末梢血、末梢血単核球または活性化CD4陽性T細胞中の発現量に対する、前記サンプル中の発現量の比率が、0.5倍以下であるかどうかを判定するステップを有し、急性型ATLL、くすぶり型ATLLまたはその両方の診断のためのデータを取得することを特徴とする、ATLLの診断のためのデータ取得方法が挙げられる。
【0023】
また、hsa-miR-99aまたはhsa-miR-125bについて、サンプル中の発現量を定量するステップ、および健常者由来の末梢血、末梢血単核球または活性化CD4陽性T細胞中の発現量に対する、前記サンプル中の発現量の比率が、2倍以上であるかどうかを判定するステップを有し、急性型ATLL、くすぶり型ATLLまたはその両方の診断のためのデータを取得することを特徴とする、ATLLの診断のためのデータ取得方法も挙げられる。
【0024】
これらの定量対象miRNAを定量するための方法としては、定量RT-PCR法が好適である。
また、本発明は上述したようなデータ取得方法を実施することのできる高悪性型ATLL診断用キットとして、上述したようなデータ取得方法において定義される前記定量対象miRNAを定量するためのキットであって、少なくとも当該定量対象miRNAを増幅するためのプライマーを内容物に含むことを特徴とする、ATLL診断用キットを提供する。
【0025】
さらに本発明は、上述したようなデータ取得方法を実施し、高悪性型ATLLの診断を行うことができる高悪性型ATLL診断システムとして、上述したようなデータ取得方法において定義される前記定量対象miRNAについて、サンプル中の発現量を定量する定量手段と、前記定量対象miRNAについての基準となる発現量および発現量比率の条件を記録した記録手段と、前記定量手段により得られた定量対象miRNAの定量データを、前記記録手段に記録された定量対象miRNAの発現量の基準データと比較し、当該定量対象miRNAの比率の条件を満たす場合、前記サンプルはくすぶり型もしくは慢性型ATLL患者由来のもの、または急性型もしくはリンパ腫型ATLL患者由来のものであると判定し、それ以外の場合には、前記サンプルは健常者、HTLV-Iキャリアー、または前記の型以外のATLL患者由来のものであると判定する判定手段と、前記判定手段の判定結果を出力する出力手段とを備えることを特徴とする、ATLL診断システムを提供する。
【発明の効果】
【0026】
本発明により、ATLL、特に高悪性型ATLLの発症の早期診断、治療効果の判定、および再発の予防を行う上で有用なデータを取得することができるようになる。なお、miRNAは比較的安定であり、塩基長も短いため、特定のmiRNAの定量を通じて実施する本発明は、遺伝子を取り扱う特許文献1に記載の方法よりも操作に熟練を要せず、より簡便に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、ATLL患者の臨床病型別生存曲線を示す(かっこ内の数値は観察した患者数を表す)。
【図2】図2は、実施例の(4)マイクロアレイ解析における、ATLL腫瘍細胞由来培養細胞株(縦軸:ATL)およびHTLV-1感染させ不死化した培養感染株(横軸:HTVL-I immortal-1)の各miRNAの発現量(シグナル)を比較した散布図である。
【図3】図3は、上記図2に対応する、各miRNAの、HTLV-1感染させ不死化した培養感染株中の発現量に対する高悪性型ATLL腫瘍細胞由来培養細胞株の発現量の比率(横軸)とそのP値(縦軸)を表す散布図である(網掛け部分は上記比率が1/2倍以下の範囲である)。
【図4】図4は、実施例の(5)Real-Time RT-PCR解析における、培養細胞株についてのhsa-miR-34aの発現量を示すグラフである。
【図5】図5は、実施例の(5)Real-Time RT-PCR解析における、患者検体についてのhsa-miR-34aの発現量を示すグラフである。
【図6】図6は、(a)同一患者がくすぶり型ATLLから急性型ATLLに進展した症例における臨床データ(WBC:白血球数、Abnorm lymph:異形リンパ球、sIL2R:可溶性IL2R、LDH:LDH値)および(b)Real-Time RT-PCR解析による各時点でのhas-miR-34aの発現量を示すグラフである。
【図7】図7は、くすぶり型ATLLおよび急性型ATLLにおける、has-miR-125bおよびhas-miR-99aの発現量(TaqMan miRNA assayによる定量PCR)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明のATLLの診断のためのデータ取得方法、ATLL診断用キットおよびATLL診断システムの順に説明する。
-(高悪性型)ATLLの診断のためのデータ取得方法-
本発明の(高悪性型)ATLLの診断のためのデータ取得方法(以下単に「本発明のデータ取得方法」ともいう)は、診断対象者(患者)から採取されたサンプル中の、特定のmiRNA(本発明において「定量対象miRNA」と称する。)の発現量を定量するステップを含む。

【0029】
サンプルは、末梢血(全血)であってもよいし、末梢血から分離した末梢血単核球(CD4陽性T細胞およびCD8陽性T細胞を含有する混合物)であってもよいし、末梢血または末梢血単核球から分離した、あるいは末梢血等以外のサンプルから分離したCD4陽性T細胞であってもよい。すなわち、定量対象miRNAは、末梢血(全血)に含まれる量を定量しても、末梢血単核球に含まれる量を定量しても、CD4陽性T細胞に含まれる量を定量してもよいが、前者2つの定量値は、CD4陽性T細胞に含まれる量とほぼ同量とみなすことができる。以下の説明において、上記のように末梢血(全血)、末梢血単核球または(活性化)CD4陽性T細胞の形態をとりうるサンプルを「(活性化)CD4陽性T細胞等」と総称する。

【0030】
[定量対象miRNA]
後述する実施例から明らかなように、(高悪性型)ATLLの発症時には特定のmiRNAの発現量が大きく変化する(典型的には2倍以上に増加するまたは0.5倍以下に減少する)ため、これを検出することにより(高悪性型)ATLLの診断をすることができる。

【0031】
診断の対象とするATLLは、低悪性型(くすぶり型もしくは慢性型)ATLLであってもよいし、高悪性型(急性型もしくはリンパ腫型)ATLLであってもよい。たとえば、後述する実施例に示すように、くすぶり型ATLLおよび急性型ATLLを診断の対象とすることができる。本発明では高悪性型、特に急性型ATLLを診断の対象とすることが好適である。そのため、本明細書の記載において用語「ATLL」の前に括弧書きで「高悪性型」と付記する場合があるが、その記載事項は「低悪性型」のものにも同様に適用可能である。

【0032】
本発明のデータ取得方法における定量ステップを実施する際の、発現量を定量する対象となるmiRNA(定量対象miRNA)を選択する上で、あらかじめ上記のような発現量の変化を起こすmiRNAを決定しておく必要がある。

【0033】
定量対象miRNAを決定するためには、まず、健常者由来の活性化CD4陽性T細胞等、HTLV-Iキャリアー(HTLV-Iに感染はしているがATLLを発症していないものを指す。)、くすぶり型もしくは慢性型ATLL患者由来のCD4陽性T細胞等、あるいはHTLV-I感染し不死化したCD4陽性T細胞培養株またはATLL非腫瘍細胞由来CD4陽性T細胞培養株中のmiRNAの発現量を定量し、そのデータ(A)を取得する。

【0034】
一方で、くすぶり型もしくは慢性型ATLL患者から採取したCD4陽性T細胞等、急性型もしくはリンパ腫型ATLL患者から採取したCD4陽性T細胞等、あるいはATLL腫瘍細胞由来CD4陽性T細胞培養株中のmiRNAの発現量を定量し、そのデータ(B)を取得する。

【0035】
そして、データ(A)における発現量を基準としたときに、データ(B)における発現量の当該基準に対する比率が一定の値以上または一定の値以下であるmiRNAを、定量対象miRNAとして決定することができる。

【0036】
定量対象miRNAを決定する際のmiRNAの定量手段は、後述する「定量ステップ」に用いるような手段、たとえばmiRNAのマイクロアレイを用いた定量法や定量RT-PCR(リアルタイムRT-PCR)法を用いればよい。それぞれの一般的なプロトコールに従い、たとえばマイクロアレイを用いる場合はトータルRNAを揃えて標準化したり、定量RT-PCRを用いる場合は内在性コントロールに基づき定量したりすればよい。

【0037】
この際、データ(A)および(B)の平均値を単純に算出して比較し、たとえばデータ(B)の平均値がデータ(A)の平均値の2倍以上であるmiRNAを判定基準比率(詳細は後述する。)を2倍とする定量対象miRNAとして選択することができるが、データ(B)の平均値がデータ(A)の平均値の10倍以上であるmiRNA、あるいは統計学的な処理により一定の有意水準(たとえばp<0.05)においてデータ(B)の平均値がデータ(A)の平均値の2倍以上であることが示されたmiRNAを定量対象miRNAとして選択することが好ましい。

【0038】
データ(A)および(B)は、それぞれとして何を選択するかは、診断の目的や定量対象miRNAの種類を考慮しながら、それぞれ適切なものを選択することができる。データ(A)として「くすぶり型もしくは慢性型ATLL患者由来のCD4陽性T細胞等」またはそのモデルとなる「ATLL非腫瘍細胞由来CD4陽性T細胞培養株」を選択した場合に、それと組み合わせるデータ(B)として、それと等しい「くすぶり型もしくは慢性型ATLL患者由来のCD4陽性T細胞等」を組み合わせることが不適切であることは自明である。

【0039】
なお、HTLV-Iキャリアー由来のCD4陽性T細胞が、何十年もかけて染色体異常を含む遺伝子構造異常、エピジェネティック異常(HTLV-I感染と関係のない異常も含まれる)を蓄積しているのに対し、HTLV-I感染し不死化したCD4陽性T細胞培養株(たとえば、後記実施例で用いられているIWA-1、MT4)は、純粋にHTLV-I感染により引き起こされる異常を反映していると考えられるが、後者は前者のモデルとして扱うことができる。急性型ATLL患者由来で非腫瘍細胞(非白血病細胞)由来CD4陽性T細胞培養株(たとえば、後記実施例で用いられているATL16T、ATL35T、ATL45T、ED50823)は、HTLV-Iキャリアーまたは低悪性型(くすぶり型または慢性型)ATLLのモデルとして扱うことができる。また、急性型ATLL腫瘍細胞(白血病細胞)由来CD4陽性T細胞培養株(たとえば、後記実施例で用いられているATL43Tb、ATL55T、ED40515)は、高悪性型ATLL患者から採取したCD4陽性腫瘍性T細胞のモデルとして扱うことができる。

【0040】
たとえば、HTLV-Iキャリアーが高悪性型ATLLを発症していない状態(無症状)から高悪性型ATLLを発症した状態に移行したかどうかを診断する場合は、HTLV-Iキャリアー由来のCD4陽性T細胞等またはHTLV-I感染し不死化したCD4陽性T細胞培養株中のmiRNAの発現量と比較して、高悪性型ATLL患者から採取したCD4陽性T細胞またはATLL腫瘍細胞由来CD4陽性T細胞培養株中のmiRNAの発現量が上昇しているmiRNAを定量対象miRNAとして選択することが適切である。

【0041】
上記のようにして決定される定量対象miRNAは、ATLL発症前、つまり健常者、HTLV-Iキャリアー、または診断対象以外の型のATLL患者における発現量を基準としたときに、この基準に対するATLL発症時の発現量の比率(以下「発症時比率」と称する。)が所定の比率以上または所定の比率以下であると推定されるものである。たとえば、急性型ATLLについての定量対象miRNAとしては、健常者、HTLV-Iキャリアー、またはくすぶり型もしくは慢性型ATLL患者における発現量を基準としたときに、急性型ATLL患者における発現量が所定の比率以上または所定の比率以下になるmiRNAを選択することが適切である。一方、くすぶり型ATLLについての定量対象miRNAとしては、健常者またはHTLV-Iキャリアーにおける発現量を基準としたときに、くすぶり型ATLL患者における発現量が所定の比率以上または所定の比率以下になるmiRNAを選択することが適切である。

【0042】
本発明では基本的に、2倍または0.5倍を「判定基準比率」とし、サンプル中の定量対象miRNAの発現量が基準に対して2倍以上または0.5倍以下である場合に当該判定基準を満たすものとして取り扱うようにするが、必要に応じて上記判定基準比率を変更する(たとえば10倍または0.15倍)に変更することも可能である。

【0043】
後記実施例に示すように、本発明では、発症時比率が2倍以上であると推定されるmiRNA(本発明において「miRNA群(U1)」と称する。)、および発症時比率が0.5倍以下であると推定されるmiRNA(本発明において「miRNA群(D1)」と称する。)が具体的に見いだされており、これらはそれぞれ、判定基準比率を2倍または0.5倍とする定量対象miRNAとして利用することができる。これらのmiRNAには、発症時比率が10倍以上と推定されるmiRNA(本発明において「miRNA群(U2)」と称する。)および0.15倍以下と推定されるmiRNA(本発明において「miRNA群(D2)」と称する。)も含まれており、これらを定量対象miRNAとすることにより検出精度の向上を期待することができる。また、これらのmiRNAには、P値が0.05未満の確率をもって発症時比率が2倍以上であると推定されるmiRNA(本発明において「miRNA群(U3)」と称する。)および同じくP値が0.05未満の確率をもって発症時比率が0.5倍以下であると推定されるmiRNA(本発明において「miRNA群(D3)」と称する。)も含まれており、これらを定量対象miRNAとすることにより診断の信頼性を向上させることができる。上記miRNA群U1およびU2ならびにmiRNA群D1およびD2には、サンプル数等の関係によりP値が0.05未満とはならなかったかもしれないものの、実用上有用な指標となり得るmiRNAが含まれている可能性がある。

【0044】
さらに、これらのmiRNAには、進化の過程や個人差として形成された変異型(遺伝子多型)が存在しうるため、必要に応じて変異型のmiRNAも定量対象miRNAに含めることができる。

【0045】
定量対象miRNAとしては、上記の群から選ばれるいずれか一種を用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、本発明に用いられる定量対象miRNAの塩基配列は、その変異型も含めて、たとえばSanger miRBase database(http://www.mirbase.org/index.shtml)に公開されている。

【0046】
また、本発明において使用することのできる定量対象miRNAは、以下に具体的に記載する(後記実施例を通じて決定された)miRNAに限定されるものではなく、同等の作用効果を奏する範囲において、他のmiRNAを使用することが可能である。以下に具体的に記載するmiRNAは、特に、高悪性型(急性型等)ATLLの診断、すなわち無症状(健常者またはHTLV-Iキャリアー)から高悪性型ATLLの発症への変遷があったかどうかの判断のために有用である。しかしながら、これらのmiRNAの中には、たとえばhsa-miR-34aなどのように、低悪性型(くすぶり型等)ATLLの診断、すなわち無症状から低悪性型ATLLの発症への変遷があったかどうかの判断のために有用であるものも含まれている。

【0047】
(miRNA群U1)
HTLV-I感染し不死化したCD4陽性T細胞培養株(HTLV-Iキャリアー由来の末梢血、末梢血単核球またはCD4陽性T細胞のモデル)中のmiRNAの発現量に対する、ATLL腫瘍細胞由来CD4陽性T細胞培養株(高悪性型ATLL患者由来の末梢血、末梢血単核球またはCD4陽性T細胞のモデル)中のmiRNAの発現量の比率が2倍以上であるmiRNAとしては、たとえば次の27種類(U1a群)が挙げられる:
hsa-miR-99a、hsa-miR-125b、hsa-miR-152、hsa-miR-490、hsa-miR-100、hsa-miR-571、hsa-miR-296、hsa-miR-9*、hsa-miR-196a、hsa-miR-9、hsa-miR-7、hsa-miR-92b、hsa-miR-15b、hsa-miR-10a、hsa-miR-484、hsa-let-7c、hsa-miR-16、hsa-miR-193b、hsa-miR-15a、hsa-miR-301、hsa-miR-320、hsa-miR-196b、hsa-miR-107、hsa-miR-195、hsa-miR-103、hsa-miR-186、hsa-miR-769-5p。

【0048】
また、健常者由来の活性化CD4陽性T細胞中のmiRNAの発現量に対する、ATLL腫瘍細胞由来CD4陽性T細胞培養株中のmiRNAの発現量の比率が2倍以上であるmiRNAとしては、たとえば次の35種類(U1b群)が挙げられる:
hsa-miR-9*、hsa-miR-99a、hsa-miR-125b、hsa-miR-193b、hsa-miR-196a、hsa-miR-365、hsa-miR-100、hsa-miR-9、hsa-miR-7、hsa-miR-92b、hsa-miR-490、hsa-miR-196b、hsa-miR-550、hsa-let-7c、hsa-miR-571、hsa-miR-183、hsa-miR-182、hsa-miR-320、hsa-miR-324-5p、hsa-miR-296、hsa-miR-663、hsa-miR-422b、hsa-miR-769-5p、hsa-miR-186、hsa-miR-301、hsa-miR-345、kshv-miR-K12-8、hsa-miR-96、hsa-miR-193a、hsa-let-7d、hsa-miR-17-5p、hsa-miR-339、hsa-miR-152、hsa-miR-155、hsa-let-7a。

【0049】
したがって、これらのmiRNAを、それぞれHTLV-1キャリアーおよび健常者と比較したときの高悪性型ATLL患者における発現量の比率が2倍以上と推定されるmiRNA群(U1)として取り扱うことができる。

【0050】
上に挙げたmiRNA(U1)のうち、hsa-let-7c、hsa-miR-100、hsa-miR-125b、hsa-miR-152、hsa-miR-186、hsa-miR-193b、hsa-miR-196a、hsa-miR-196b、hsa-miR-296、hsa-miR-301、hsa-miR-320、hsa-miR-571、hsa-miR-7、hsa-miR-769-5p、hsa-miR-9、hsa-miR-9*、hsa-miR-92b、hsa-miR-99aの18種類は、HTLV-1キャリアーおよび健常者のどちらと比較したときにも共通して、高悪性型ATLL患者における比率が2倍以上と推定されるmiRNAである。

【0051】
(miRNA群U2)
上記miRNA群U1に属するmiRNAのうち、HTLV-I感染し不死化したCD4陽性T細胞培養株中のmiRNAの発現量に対する、ATLL腫瘍細胞由来CD4陽性T細胞培養株中のmiRNAの発現量の比率が10倍以上であるmiRNAとしては、たとえば次の3種類が挙げられる:
hsa-miR-99a、hsa-miR-125b、hsa-miR-152。

【0052】
また、健常者由来の活性化CD4陽性T細胞中のmiRNAの発現量に対する、ATLL腫瘍細胞由来CD4陽性T細胞培養株中のmiRNAの発現量の比率が10倍以上であるmiRNAとしては、たとえば次の8種類が挙げられる:
hsa-miR-9*、hsa-miR-99a、hsa-miR-125b、hsa-miR-193b、hsa-miR-196a、hsa-miR-365、hsa-miR-100、hsa-miR-9。

【0053】
したがって、これらのmiRNAを、それぞれHTLV-1キャリアーおよび健常者と比較したときの高悪性型ATLL患者における発現量の比率が10倍以上と推定されるmiRNA群(U2)として取り扱うことができる。

【0054】
上に挙げたmiRNA(U2)のうち、hsa-miR-99a、hsa-miR-125bの2種類は、HTLV-1キャリアーおよび健常者のどちらと比較したときにも共通して、高悪性型ATLL患者における発現量の比率が10倍以上と推定されるmiRNAである。

【0055】
(miRNA群U3)
上記miRNA群U1に属するmiRNAのうち、HTLV-I感染し不死化したCD4陽性T細胞培養株中のmiRNAの発現量に対する、ATLL腫瘍細胞由来CD4陽性T細胞培養株中のmiRNAの発現量の比率が2倍以上であり、かつそのP値が0.05未満であるmiRNAとしては、たとえば次の6種類が挙げられる:
hsa-miR-296、hsa-miR-15b、hsa-miR-484、hsa-miR-16、hsa-miR-195、hsa-miR-769-5p。

【0056】
また、健常者由来の活性化CD4陽性T細胞中のmiRNAの発現量に対する、ATLL腫瘍細胞由来CD4陽性T細胞培養株中のmiRNAの発現量の比率が2倍以上であり、かつそのP値が0.05未満であるmiRNAとしては、たとえば次の3種類が挙げられる:
hsa-miR-550、hsa-miR-422b、hsa-miR-769-5p。

【0057】
したがって、これらのmiRNAを、それぞれHTLV-1キャリアーおよび健常者と比較したときの高悪性型ATLL患者における発現量の比率が比較的高い確率で2倍以上であると推定されるmiRNA群(U3)として取り扱うことができる。

【0058】
上に挙げたmiRNA(U3)のうち、hsa-miR-769-5pは、HTLV-1キャリアーおよび健常者のどちらと比較したときにも共通して、比較的高い確率で高悪性型ATLL患者における発現量の比率が2倍以上であると推定されるmiRNAである。

【0059】
なお、miRNA群(U1)等に分類されるmiRNAは、細胞の腫瘍化あるいは悪性化を直接的または間接的に促進する働きを有すると考えられ、高悪性型ATLLではこのmiRNAの発現量が増加しているため、細胞の腫瘍化あるいは悪性化が通常よりも強く促進され、腫瘍化あるいは悪性化が進行していると考えられる。

【0060】
(miRNA群D1)
HTLV-I感染し不死化したCD4陽性T細胞培養株(HTLV-Iキャリアー由来の末梢血、末梢血単核球またはCD4陽性T細胞のモデル)中のmiRNAの発現量に対する、ATLL腫瘍細胞由来CD4陽性T細胞培養株(高悪性型ATLL患者由来の末梢血、末梢血単核球またはCD4陽性T細胞のモデル)中のmiRNAの発現量の比率が0.5倍以下であるmiRNA(D1a群)としては、たとえば次の26種が挙げられる:
hsa-miR-34a、hsa-miR-221、hsa-miR-222、hsa-miR-146a、hsa-miR-34b、hsa-miR-205、hsa-miR-146b、hsa-miR-193a、hsa-miR-582、hsa-miR-483、hsa-miR-125a、hsa-miR-182、hsa-miR-660、hsa-let-7b、kshv-miR-K12-8、hsa-miR-342、hsa-miR-148a、hsa-miR-133b、hsa-miR-210、hsa-miR-486、hsa-miR-362、hsa-miR-210、hsa-miR-27a、hsa-miR-551b、hsa-miR-625、hsa-miR-183、hsa-miR-23a。

【0061】
また、健常者由来の活性化CD4陽性T細胞中のmiRNAの発現量に対する、ATLL腫瘍細胞由来CD4陽性T細胞培養株中のmiRNAの発現量の比率が0.5倍以下であるmiRNA(D1b群)としては、たとえば次の23種が挙げられる:
hsa-miR-150、hsa-miR-363、hsa-miR-34a、hsa-miR-525*、hsa-miR-146b、hsa-miR-146a、hsa-miR-222、hsa-miR-221、hsa-miR-124a、hsa-miR-34b、hsa-miR-125a、hsa-miR-342、hsa-miR-200c、ebv-miR-BART20-3p、hsa-miR-625、hsa-miR-630、hsa-miR-223、hsa-miR-660、hsa-let-7b、hsa-miR-582、hsa-miR-22、hsa-miR-26a、hsa-miR-768-5p。

【0062】
したがって、これらのmiRNAを、それぞれHTLV-1キャリアーおよび健常者と比較したときの高悪性型ATLL患者における発現量の比率が0.5倍以下と推定されるmiRNA群(D1)として取り扱うことができる。

【0063】
上に挙げたmiRNA(D1)のうち、hsa-let-7b、hsa-miR-125a、hsa-miR-146a、hsa-miR-146b、hsa-miR-221、hsa-miR-222、hsa-miR-342、hsa-miR-34a、hsa-miR-34b、hsa-miR-582、hsa-miR-625、hsa-miR-660の12種は、HTLV-1キャリアーおよび健常者のどちらと比較したときにも共通して、高悪性型ATLL患者における発現量の比率が0.5倍以下と推定されるmiRNAである。

【0064】
(miRNA群D2)
上記miRNA群D1に属するmiRNAのうち、HTLV-I感染し不死化したCD4陽性T細胞培養株中のmiRNAの発現量に対する、ATLL腫瘍細胞由来CD4陽性T細胞培養株中のmiRNAの発現量の比率が0.15倍以下であるmiRNAとしては、たとえば次の12種が挙げられる:
hsa-miR-34a、hsa-miR-221、hsa-miR-222、hsa-miR-146a、hsa-miR-34b、hsa-miR-205、hsa-miR-146b、hsa-miR-193a、hsa-miR-582、hsa-miR-483、hsa-miR-125a、hsa-miR-182。

【0065】
また、健常者由来の活性化CD4陽性T細胞中のmiRNAの発現量に対する、ATLL腫瘍細胞由来CD4陽性T細胞培養株中のmiRNAの発現量の比率が0.15倍以下であるmiRNAとしては、たとえば次の12種が挙げられる:
hsa-miR-150、hsa-miR-363、hsa-miR-34a、hsa-miR-525*、hsa-miR-146b、hsa-miR-146a、hsa-miR-222、hsa-miR-221、hsa-miR-124a、hsa-miR-34b、hsa-miR-125a、hsa-miR-342。

【0066】
したがって、これらのmiRNAを、それぞれHTLV-1キャリアーおよび健常者と比較したときの高悪性型ATLL患者における発現量の比率が0.15倍以下と推定されるmiRNA群(D2)として取り扱うことができる。

【0067】
上に挙げたmiRNA(D2)のうち、hsa-miR-363、hsa-miR-146b、hsa-miR-146a、hsa-miR-222、hsa-miR-221、hsa-miR-34b、hsa-miR-125aの7種類は、HTLV-1キャリアーおよび健常者のどちらと比較したときにも共通して、高悪性型ATLL患者における比率が0.15倍以下と推定されるmiRNAである。

【0068】
(miRNA群D3)
上記miRNA群D1に属するmiRNAのうち、HTLV-I感染し不死化したCD4陽性T細胞培養株中のmiRNAの発現量に対する、ATLL腫瘍細胞由来CD4陽性T細胞培養株中のmiRNAの発現量の比率が0.5倍以下であり、かつそのP値が0.05未満であるmiRNAとしては、たとえば次の5種が挙げられる:
hsa-miR-34b、hsa-miR-205、hsa-miR-483、hsa-miR-125a、hsa-miR-486。

【0069】
また、健常者由来の活性化CD4陽性T細胞中のmiRNAの発現量に対する、ATLL腫瘍細胞由来CD4陽性T細胞培養株中のmiRNAの発現量の比率が0.5倍以下であり、かつそのP値が0.05未満であるmiRNAとしては、たとえば次の6種が挙げられる:
hsa-miR-125a、hsa-miR-34b、hsa-miR-124a、hsa-miR-525*、hsa-miR-150、hsa-miR-363。

【0070】
したがって、これらのmiRNAを、それぞれHTLV-1キャリアーおよび健常者と比較したときの高悪性型ATLL患者における発現量の比率が比較的高い確率で0.5倍以下であると推定されるmiRNA群(D3)として取り扱うことができる。

【0071】
上に挙げたmiRNA(D3)のうち、hsa-miR-125a、hsa-miR-34bの2種類は、HTLV-1キャリアーおよび健常者のどちらと比較したときにも共通して、比較的高い確率で高悪性型ATLL患者における発現量の比率が0.5倍以下であると推定されるmiRNAである。

【0072】
なお、miRNA群(D1)等に分類されるmiRNAは、細胞の腫瘍化あるいは悪性化を直接的または間接的に抑制する働きを有すると考えられ、高悪性型ATLLではこのmiRNAの発現量が低下しているため、細胞の腫瘍化あるいは悪性化が十分に抑制されず、腫瘍化あるいは悪性化が進行していると考えられる。

【0073】
上記の各群に属するmiRNAは高悪性型ATLL(急性型ATLL等)の診断にとって有用であるが、たとえばD1(D1aおよびD1bの両方)に分類されているhsa-miR-34aや、U1(U1aおよびU1bの両方)に分類されているhsa-miR-99a、hsa-miR-125bは、後記実施例2に示すように、低悪性型ATLL(くすぶり型ATLL等)の診断にとっても有用である。

【0074】
[定量ステップ]
定量ステップでは、上記のようにして決定された定量対象miRNAについて、診断対象者(キャリアー、患者)から採取したサンプル中の発現量を定量する。

【0075】
診断対象者から採取するサンプルと、前記定量対象miRNAが含まれる、健常者、HTLV-Iキャリアー、低悪性型(くすぶり型もしくは慢性型)ATLL患者、および高悪性型(急性型もしくはリンパ腫型)ATLL患者から採取するサンプルは、一致させることが望ましい。たとえば、診断対象者から採取した末梢血(全血)をサンプルとする、つまりその末梢血に含まれるあるmiRNAの全量を当該miRNAの発現量として定量することが予定されている場合は、基準とする健常者等から同じく末梢血(全血)をサンプルとし、その末梢血に含まれるあるmiRNAの全量を当該miRNAの発現量として定量することにより、前記定量対象miRNAを決定しておくことが望ましい。

【0076】
miRNAの定量のために診断対象者から採取するサンプルの例としては、扁桃腺、骨髄、リンパ節、消化器、呼吸器、脾臓、肝臓、感覚器、中枢神経系、運動器、皮膚、末梢血などの器官ないし組織から採取された細胞含有検体、あるいは喀痰、尿、肺洗浄液、胃洗浄液、糞便などの細胞含有検体が挙げられる(定量対象miRNAを決定するために採取するサンプルも同様である)が、末梢血あるいはそこから分離した末梢血単核球またはCD4陽性T細胞が好適である。このようなサンプルは、生検材料などとして採取される場合の一般的な手順に従って採取、分離すればよい。

【0077】
続いて、一般的なmiRNAの抽出・精製キットなどにより、当該サンプル中に含まれるmiRNAを抽出・精製して、miRNAの定量に供する。末梢血単核球またはCD4陽性T細胞をサンプルとしてそれらの細胞が含有するmiRNAを定量する場合は、末梢血を採取した後、それらの細胞を分離する処理を行えばよい。

【0078】
miRNA量を定量する方法としては、定量の正確性および操作の簡便さの観点から定量RT-PCR(リアルタイムRT-PCR)法が好ましいが、その他のRT-PCR法やmiRNAのマイクロアレイを用いた定量法等を用いてもよい。

【0079】
(定量RT-PCR法)
定量RT-PCR法では、miRNAに応じた適切なフォワードおよびリバースプライマーを使用して、当該miRNAの逆転写および増幅をおこない、蛍光シグナルによる増幅産物の定量を通じて当初のmiRNAの量(すなわちサンプル中の発現量)を定量する。前述したように、定量対象miRNAの塩基配列の情報は公開されているので、たとえば市販されているソフトウェアを使用して前記の適切なプライマーの設計が可能であるが、公知の(市販されている)プライマーを利用することもできる。相対定量の標準として、実験条件下での変動の小さい、安定した内在性コントロールを用いることが適切である。

【0080】
[判定ステップ]
上述したような定量ステップにより取得したmiRNAの発現量は、さらに、基準とするmiRNAの発現量に対する比率を算出するステップ、およびこの算出比率が前述したような判定基準比率の条件を満たすか否かを判定するステップを経ることにより、高悪性型ATLLの診断のためのデータとして利用することができるようになる。

【0081】
上記「基準とするmiRNAの発現量」としては、定量対象miRNAを決定する際の基礎とされた、一定数のサンプルについて測定されたmiRNAの発現量の平均値を用いることができるが、あらかじめ診断対象者自身が健常者またはHTLV-Iキャリアーの状態であるときに採取したサンプルについて測定されたmiRNAの発現量を用いることも可能である。

【0082】
判定ステップにおいて算出された比率が判定基準比率の条件を満たす場合、たとえば定量対象miRNAとして判定基準比率が2倍であるものを選択した場合に、算出がされた比率が2倍以上である場合には、診断対象者が(高悪性型)ATLLを発症している患者である(より具体的には、(高悪性型)ATLLの腫瘍細胞がサンプル中に存在する)と診断することができる。

【0083】
また、上記のような情報は、診断対象者が(高悪性型)ATLLを発症しているかどうかの診断だけでなく、HTLV-Iキャリアーが(高悪性型)ATLLを発症する以前に(高悪性型)ATLLの腫瘍細胞が末梢血中に微量に存在していることの検出(末梢血中などに微量に(高悪性型)ATLL腫瘍細胞が存在している、(高悪性型)ATLLの発症予備軍とも呼ぶべき状態にあるといえる)、(高悪性型)ATLLを治療中の患者の治療効果のモニター(治療が奏功していれば定量対象miRNAの発現量は基準値の2倍以上でも0.5倍以下でもなくなると考えられる)、寛解した(高悪性型)ATLLの再発の兆候の早期発見などのための情報にも役立てることができ、それにより発症ないし再発の予防を行うことができる。すなわち、本発明における「(高悪性型)ATLLの診断のためのデータ」には、上述したような、HTLV-Iキャリアーの(高悪性型)ATLL発症前診断、(高悪性型)ATLL療養中の患者の治療効果のモニター、寛解した(高悪性型)ATLLの再発の兆候の早期発見などのためのデータも含まれるものと解釈される。

【0084】
[その他のステップ]
本発明のデータ取得方法において、前記定量ステップで得られたデータに加えて、たとえば特許文献1に記載の方法により得られるデータを併せて検討することによって、より(高悪性型)ATLLの診断精度が高まると期待される場合には、そのような他の方法に係るデータを取得するためのステップおよび得られたデータを加えて診断等に関する情報を取得するためのステップを加えてもよい。

【0085】
-(高悪性型)ATLL診断用キット-
上述したような(高悪性型)ATLLの診断のためのデータ取得方法を実施し、測定対象miRNAを定量するために好適な、本発明の(高悪性型)ATLL診断用キットは、前記データ取得方法において定義されるmiRNA、すなわち前記定量対象miRNAを定量するための試薬を内容物に含むものである。

【0086】
上記試薬には、少なくとも、定量対象miRNAを増幅するためのプライマー、具体的には、本発明のデータ取得方法の説明においてmiRNA群(U1)~(U3)およびmiRNA群(D1)~(D3)として挙げたmiRNAおよびその変異型からなる群より選ばれる少なくとも一種のmiRNAを増幅することのできるフォワードおよびリバースプライマーのプライマーセットが含まれる。前述のように、本発明のデータ取得方法に用いられる定量対象miRNAの塩基配列の情報は公開されているので、それらを増幅するためのプライマーの設計は容易である。定量対象miRNAの定量方法として蛍光を利用した方法(たとえばリアルタイム定量RT-PCR)を採用する場合には、前記プライマーセットにはさらに、たとえばTaqMan(登録商標)miRNAプローブのように蛍光物質およびクエンチャーが結合したプローブ、あるいはドナーまたはアクセプターが結合したペアのFRETプローブなどのように、miRNAの相補鎖の伸長反応に伴って蛍光を発するようになるものが含まれる。

【0087】
定量対象miRNAを定量するためのその他の試薬の例としては、miRNAを抽出・精製するための試薬や、定量方法に応じた試薬、たとえばリアルタイム定量RT-PCRを行う場合は(耐熱性ポリメラーゼ、塩化マグネシウム等の塩、dNTP,特異的プライマー、対照用プライマー、PCR用バッファー等)が挙げられる。さらに、miRNAの定量が、一枚のプレート上に設けられた複数のウェルのそれぞれにおいて複数のmiRNAについて一括して処理することのできる、マイクロアレイ形式で行われる場合は、そのようなマイクロアレイのプレートを本発明のキットの内容物に含めておくことができる。

【0088】
なお、本発明のデータ取得方法において、前記特許文献1に記載の方法を組み合わせて実施する場合、そのためのキットにはさらに、その方法を実施するのに必要な、検体を溶解するための溶解液、重亜硫酸塩含有試薬およびメチル化検出増幅試薬が含まれていてもよい。

【0089】
-(高悪性型)ATLL診断システム-
上述したような(高悪性型)ATLLの診断のためのデータ取得方法を実施し、(高悪性型)ATLLの診断を行うために好適な、本発明の(高悪性型)ATLL診断システムは、所定の以下に述べるような定量手段、記録手段、判定手段および出力手段を備えたものである。

【0090】
[定量手段]
前記定量手段は、本発明のデータ取得方法において実施される定量ステップを実施するための手段であって、前記定量対象miRNAについて、サンプル中の発現量を定量する手段である。たとえば、miRNAを定量するための方法としてRT-PCRを採用する場合は、それを実施するためのPCRサイクラー、miRNAを増幅するためのプライマーやその他の試薬とサンプルを混合し、前記PCRサイクラーに供給する機器、増幅されたmiRNAからの蛍光や放射能を測定する機器などから構成される。

【0091】
なお、miRNAの定量は、一つのサンプルについて複数回行い(通常はサンプルを一定数に等分する)、その平均値を求めるというかたちで行うことが、データの客観性や信頼性など統計学的な観点から好ましいので、定量手段はそのような複数回の定量が行えるような態様とすることが好ましい。

【0092】
[記録手段]
前記記録手段は、定量対象miRNAについての、前述したようなデータ取得方法において定義される前記基準となる発現量、すなわち、健常者由来の活性化CD4陽性T細胞等、HTLV-Iキャリアー由来のCD4陽性T細胞等、またはくすぶり型もしくは慢性型ATLL患者由来のCD4陽性T細胞等、あるいはHTLV-I感染し不死化したCD4陽性T細胞培養株またはATLL非腫瘍細胞由来CD4陽性T細胞培養株中の発現量と、その発現量比率の条件、すなわち測定された定量対象miRNAの発現量が基準に対してどのような比率である場合に(高悪性型)ATLLであると判定するかという条件を記録している。これらのデータは、少なくとも前記定量手段により実際に定量されるmiRNAについて記録しておけばよいが、定量対象miRNAを変更しても対応できる汎用的な記録手段とするため、他のmiRNAについても記録しておくことが好ましい。

【0093】
[判定手段]
前記判定手段は、まず、前記定量手段により得られた、診断対象者(患者)のサンプル中の定量対象miRNAの発現量の測定データと、前記記録手段に記録された、定量対象miRNAの発現量の基準データとを比較する処理を行う。具体的には、たとえばmiRNA群(U1)に属するmiRNAを定量対象miRNAとする場合は、前記測定データの数値が前記基準データの数値の2倍以上か否かを判定する。そして、当該定量対象miRNAの発現量比率の条件を満たす場合、前記サンプルはくすぶり型もしくは慢性型(低悪性型)ATLL患者由来のもの、または急性型もしくはリンパ腫型(高悪性型)ATLL患者由来のものである、つまり診断対象者はそのようなATLL患者であると判定し、それ以外の場合には、前記サンプルはそのようなATLL患者由来のものではない、つまり診断対象者はそのようなATLL患者ではなく、健常者、HTLV-Iキャリアー、または前記の型以外のATLL患者であると判定する処理を行う。このような処理を行う判定手段は、一般的な情報処理手段を用いて構築することができる。

【0094】
[出力手段]
前記出力手段は、前記判定手段の判定結果を出力する手段であり、判定結果をデータとして他のコンピュータに出力する手段、ディスプレイなどに表示する手段、紙媒体などに印刷する手段等が、その例として挙げられる。

【0095】
システムの利便性の観点からは、本発明のシステムにおける前記記録手段、判定手段及び出力手段は、1つのコンピュータおよびディスプレイによって一体的に構成されており、さらに当該コンピュータは前記定量手段と制御可能な状態で接続されていることが好ましい。
【実施例】
【0096】
[実施例1]
[材料及び方法]
(1)培養細胞株
HTLV-1感染し不死化した培養感染細胞株:HTLV-1キャリアーのモデル細胞株として、HTLV-1産生培養細胞株あるいはATLL患者末梢血との混合培養により、HTLV-1感染させ、不死化させたT細胞培養株であるIWA-1、MT4を用いた。
【実施例】
【0097】
高悪性型ATLL患者由来の非ATLL腫瘍細胞由来培養細胞株:HTLV-1キャリアーまたはくすぶり型/慢性型ATLLのモデル細胞株として、高悪性型ATLL患者由来であるが、T細胞受容体(TCR)の遺伝子再構成様式とHTLV-1遺伝子の染色体への挿入部位の解析からATLL腫瘍細胞由来培養細胞株ではないことが確認されている、ATL16T、ATL35T、ATL45T、ED50823を使用した。
【実施例】
【0098】
高悪性型ATLL患者由来培養腫瘍細胞株:高悪性型ATLLのモデル細胞株として、T細胞受容体(TCR)の遺伝子再構成様式とHTLV-1遺伝子の染色体への挿入部位の解析とからATLL腫瘍細胞由来培養細胞株であることが確認されている、ATL43Tb、ATL55T、ED40515を使用した。
【実施例】
【0099】
高悪性型ATLL患者由来培養細胞株:高悪性型ATLL患者由来であるがcDNA発現アレイの解析の結果ATLL非腫瘍細胞由来であることが示唆されている(HTLV-1感染により不死化しているが未だ腫瘍化にまでは進展していない状態に対応する)培養細胞株として、MT1、SALT3を用いた。
【実施例】
【0100】
非HTLV-1感染急性リンパ性T細胞白血病株:ヒトT細胞白血病由来培養細胞株として非HTLV-1感染急性リンパ性T細胞白血病株(T細胞性ALL)であるJurkatを用いた。
以上の細胞株の培養培地は、RPMI1640培地(Nissui Pharm, Tokyo, Japan)に10%FCS、50U/mlペニシリン、50μg/mlストレプトマイシンを添加したものである。なお、ATL55TおよびED50823はIL2依存細胞株であるため、これらの細胞株の培養培地にはさらに、20U/ml rIL-2(PEPROTECH, London, UK)を添加した。全ての細胞培養はCO2インキュベーターで37℃、5%CO2の条件下で行った。
【実施例】
【0101】
(2)採取した細胞(分離及び活性化法)
急性型ATLLの患者、くすぶり型ATLLの患者、HTLV-1キャリアーおよびHTLV-1(-)健常者の末梢血よりFicoll/Hypaque法により末梢血単核球を分離した。これらの患者、キャリアーおよび健常者の末梢血検体は、出願人の学内倫理委員会に於いて承認された方法により採血が行われたものを使用した。
【実施例】
【0102】
分離した急性型ATLLの患者、くすぶり型ATLLの患者、HTLV-1キャリアーおよび健常者の末梢血単核球(CD4陽性T細胞およびCD8陽性T細胞が混在している)は、EasySep Human CD4陽性 T-Cell Enrichment Kit (StemCell Technologies, Vancouver, BC)を用いて、そのマニュアルに記載の操作に従って、CD4陽性T細胞をネガティブセレクションにより分離した。
【実施例】
【0103】
また、健常者から分離した末梢血単核球は、CD3/CD28Tcell Expander (Invitrogen Dynal AS, Oslo, Norway )を用いて、そのマニュアルに記載の操作に従って、Short Term Stimulation of Human T cells (1-3 days)の条件によって処理して、健常者由来活性化CD4陽性T細胞を調製した。
【実施例】
【0104】
(3)RNA抽出
上記培養細胞株からのmiRNA抽出は、miRNeasy Minikit(QIAGEN, Tokyo, Japan)を用いておこなった。また急性型ATLL患者、HTLV-1キャリアーおよび健常者の末梢血からのmiRNA抽出は、PAXgene Blood miRNA Kit(QIAGEN, Tokyo, Japan)を用いておこなった。
【実施例】
【0105】
(4)マイクロアレイ解析
「HTLV-1感染し不死化した培養感染株」、「ATLL腫瘍細胞由来培養細胞株」、「健常者由来の活性化CD4陽性T細胞」等について、Human miRNA Microarray Kit(G4470A; Agilent Technology,Tokyo, Japan)を用いて、添付のプロトコールに従い、miRNA マイクロアレイ解析(miRNAの定量)を行った。なお、当該Kitの利用者に対してプローブ(ProbeUID)の塩基配列の情報は公開されている。さらに、Subio microarray analysis software (Subio Japan, Tokyo, Japan)を用いて、各サンプル間の同一のmiRNAの発現量について、比較解析をおこなった。
【実施例】
【0106】
(5)Real-Time RT-PCR解析
上記miRNAマイクロアレイのクラスタリング解析において、「HTLV-1感染し不死化した培養感染株」と「ATLL腫瘍細胞由来培養細胞株」とを比較したときに後者で発現量が低下しているmicroRNAの中から、著しく変化が大きかったhsa-miR-34aについて改めて、培養細胞株および患者検体の各サンプルにおける発現量をReal-Time RT-PCRにより解析した。
【実施例】
【0107】
各サンプルの全RNAをTaqMan-MicroRNA Reverse Transcription Kit (Applied Biosystems, Foste City, CA)を用いて逆転写した。成熟miRNA検出はTaqMan-MicroRNA Detectio kit (Applied Biosystems, Foste City, CA)を用いてReal time RT-PCRを行い、2-ΔΔCt法を用いて解析した。hsa-miR-34a、hsa-miR-99aおよびhsa-miR-125bのプライマー及びプローブは Applied Biosystems, Foste City, CA社製を用た。miRNA内在性コントロールとしてRNU6B(Applied Biosystems, Foste City, CA; P/N 4373381)を使用した。
【実施例】
【0108】
[結果]
(4)マイクロアレイ解析について
「HTLV-1感染し不死化した培養感染株」(HTVL-1 immortal)に対する「ATLL腫瘍細胞由来培養細胞株」(ATL)中の発現量の比率(ATL vs HTVL-1 immortal)を表1~4に示し、「健常者由来の活性化CD4陽性T細胞」(Norm)に対する「ATLL腫瘍細胞由来培養細胞株」(ATL)中の発現量の比率(ATL vs Norm)を表5~8に示す。また、「ATLL腫瘍細胞由来培養細胞株」(ATL)と「HTLV-1感染し不死化した培養感染株」(HTVL-I immortal)における発現量の比較解析の結果を図2および図3に示す。「ATLL腫瘍細胞由来培養細胞株」(ATL)と「健常者由来の活性化CD4陽性T細胞」(Norm)における発現量の比較解析についても類似する散布図が得られた。
【実施例】
【0109】
表1には、上記比率(ATL vs HTVL-1 immortal)が0.5以下かつP値が0.05未満であり、miRNA群(D3)に該当する、5種類のmiRNA(hsa-miR-34b、hsa-miR-205、hsa-miR-483、hsa-miR-125a、hsa-miR-486)が含まれる。
【実施例】
【0110】
【表1】
JP0006156621B2_000002t.gif
【実施例】
【0111】
表2には、上記比率(ATL vs HTVL-1 immortal)が2以上かつP値が0.05未満であり、miRNA群(U3)に該当する、6種類のmiRNA(hsa-miR-296、hsa-miR-15b、hsa-miR-484、hsa-miR-16、hsa-miR-195、hsa-miR-769-5p)が含まれる。
【実施例】
【0112】
【表2】
JP0006156621B2_000003t.gif
【実施例】
【0113】
表3には、上記比率(ATL vs HTVL-1 immortal)が0.5以下であり、miRNA群(D1)に該当する26種類のmiRNA(hsa-miR-34a、hsa-miR-221、hsa-miR-222、hsa-miR-146a、hsa-miR-34b、hsa-miR-205、hsa-miR-146b、hsa-miR-193a、hsa-miR-582、hsa-miR-483、hsa-miR-125a、hsa-miR-182、hsa-miR-660、hsa-let-7b、kshv-miR-K12-8、hsa-miR-342、hsa-miR-148a、hsa-miR-133b、hsa-miR-210、hsa-miR-486、hsa-miR-362、hsa-miR-210、hsa-miR-27a、hsa-miR-551b、hsa-miR-625、hsa-miR-183、hsa-miR-23a)が含まれる。このうち、hsa-miR-34a、hsa-miR-221、hsa-miR-222、hsa-miR-146a、hsa-miR-34b、hsa-miR-205、hsa-miR-146b、hsa-miR-193a、hsa-miR-582、hsa-miR-483、hsa-miR-125a、hsa-miR-182の12種類は、上記比率(ATL vs HTVL-1 immortal)が0.15以下である、miRNA群(D2)に該当するmiRNAである。また、これらの中には、表1に示した、P値が0.05未満である、miRNA群(D3)に該当するmiRNAも包含されている。
【実施例】
【0114】
【表3】
JP0006156621B2_000004t.gif
【実施例】
【0115】
表4には、上記比率(ATL vs HTVL-1 immortal)が2以上であり、miRNA群(U1)に該当する27種類のmiRNA(hsa-miR-99a、hsa-miR-125b、hsa-miR-152、hsa-miR-490、hsa-miR-100、hsa-miR-571、hsa-miR-296、hsa-miR-9*、hsa-miR-196a、hsa-miR-9、hsa-miR-7、hsa-miR-92b、hsa-miR-15b、hsa-miR-10a、hsa-miR-484、hsa-let-7c、hsa-miR-16、hsa-miR-193b、hsa-miR-15a、hsa-miR-301、hsa-miR-320、hsa-miR-196b、hsa-miR-107、hsa-miR-195、hsa-miR-103、hsa-miR-186、hsa-miR-769-5p)が含まれる。このうち、hsa-miR-99a、hsa-miR-125b、hsa-miR-152の3種類は、上記比率(ATL vs HTVL-1 immortal)が10以上である、miRNA群(U2)に該当するmiRNAである。また、これらの中には、表2に示した、P値が0.05未満である、miRNA群(U3)に該当するmiRNAも包含されている。
【実施例】
【0116】
【表4】
JP0006156621B2_000005t.gif
【実施例】
【0117】
表5には、上記比率(ATL vs norm)が0.5以下かつP値が0.05未満であり、miRNA群(D3)に該当する、6種類のmiRNA(hsa-miR-125a、hsa-miR-34b、hsa-miR-124a、hsa-miR-525*、hsa-miR-150、hsa-miR-363)が含まれる。
【実施例】
【0118】
【表5】
JP0006156621B2_000006t.gif
【実施例】
【0119】
表6には、上記比率(ATL vs norm)が2以上かつP値が0.05未満であり、miRNA群(U3)に該当する、3種類のmiRNA(hsa-miR-550、hsa-miR-422b、hsa-miR-769-5p)が含まれる。
【実施例】
【0120】
【表6】
JP0006156621B2_000007t.gif
【実施例】
【0121】
表7には、上記比率(ATL vs norm)が0.5以下であり、miRNA群(D1)に該当する23種類のmiRNA(hsa-miR-150、hsa-miR-363、hsa-miR-34a、hsa-miR-525*、hsa-miR-146b、hsa-miR-146a、hsa-miR-222、hsa-miR-221、hsa-miR-124a、hsa-miR-34b、hsa-miR-125a、hsa-miR-342、hsa-miR-200c、ebv-miR-BART20-3p、hsa-miR-625、hsa-miR-630、hsa-miR-223、hsa-miR-660、hsa-let-7b、hsa-miR-582、hsa-miR-22、hsa-miR-26a、hsa-miR-768-5p)が含まれる。このうち、hsa-miR-150、hsa-miR-363、hsa-miR-34a、hsa-miR-525*、hsa-miR-146b、hsa-miR-146a、hsa-miR-222、hsa-miR-221、hsa-miR-124a、hsa-miR-34b、hsa-miR-125a、hsa-miR-342の12種類は、上記比率(ATL vs norm)が0.15以下である、miRNA群(D2)に該当するmiRNAである。また、これらの中には、表5に示した、P値が0.05未満である、miRNA群(D3)に該当するmiRNAも包含されている。
【実施例】
【0122】
【表7】
JP0006156621B2_000008t.gif
【実施例】
【0123】
表8-1および8-2には、上記比率(ATL vs norm)が2以上であり、miRNA群(U1)に該当する35種類のmiRNA(hsa-miR-9*、hsa-miR-99a、hsa-miR-125b、hsa-miR-193b、hsa-miR-196a、hsa-miR-365、hsa-miR-100、hsa-miR-9、hsa-miR-7、hsa-miR-92b、hsa-miR-490、hsa-miR-196b、hsa-miR-550、hsa-let-7c、hsa-miR-571、hsa-miR-183、hsa-miR-182、hsa-miR-320、hsa-miR-324-5p、hsa-miR-296、hsa-miR-663、hsa-miR-422b、hsa-miR-769-5p、hsa-miR-186、hsa-miR-301、hsa-miR-345、kshv-miR-K12-8、hsa-miR-96、hsa-miR-193a、hsa-let-7d、hsa-miR-17-5p、hsa-miR-339、hsa-miR-152、hsa-miR-155、hsa-let-7a)が含まれる。このうち、hsa-miR-9*、hsa-miR-99a、hsa-miR-125b、hsa-miR-193b、hsa-miR-196a、hsa-miR-365、hsa-miR-100、hsa-miR-9の8種類は、上記比率(ATL vs norm)が10以上である、miRNA群(U2)に該当するmiRNAである。また、これらの中には、表6に示した、P値が0.05未満である、miRNA群(U3)に該当するmiRNAも包含されている。
【実施例】
【0124】
【表8-1】
JP0006156621B2_000009t.gif
【実施例】
【0125】
【表8-2】
JP0006156621B2_000010t.gif
【実施例】
【0126】
(5)Real-Time RT-PCR解析について
培養細胞株についてのhsa-miR-34aの発現量および患者検体についてのhsa-miR-34aの発現量を、それぞれ図4および図5に示す。
【実施例】
【0127】
図4に示されるように、全体的にマイクロアレイ解析と同じ傾向が見られ、HTLV-1感染し不死化した培養感染株でmiR-34aの発現量が高く、ATLL腫瘍細胞由来培養細胞株で低いことが明らかになった。
【実施例】
【0128】
そして、図5に示されるように、キャリアーの患者検体ではHTLV-1感染し不死化した培養感染株と同様にhsa-miR-34aの発現量が高くなり、高悪性型ATLLの患者検体ではATLL腫瘍細胞由来培養細胞株と同様にhsa-miR-34aの発現量が低くなることが明らかになった。
【実施例】
【0129】
[実施例2]
同一患者がくすぶり型(smoldering)ATLLから急性型(acute)ATLLに進展した症例において、臨床データ(白血球数およびそれに占める異形リンパ数の割合、可溶性IL2R、LDH値)を測定すると共に、各時点における末梢血単核球(PBMC)のhsa-miR-34aの発現量を、前記実施例1の(5)Real-Time RT-PCR解析についてと同様の手順で測定した。結果を図6(a)および(b)に示す。くすぶり型および急性型ATLLが発症すると、hsa-miR-34aの発現量が健常者と比べて明らかな低下が検出された。
【実施例】
【0130】
また、各時点における末梢血単核球(PBMC)のhsa-miR-125bおよびhsa-miR-99aの発現量も、前記実施例1の(5)Real-Time RT-PCR解析についてと同様の手順で測定した。結果を図7に示す。くすぶり型および急性型ATLLが発症すると、hsa-miR-125bおよびhsa-miR-99aの発現量が健常者と比べて明らかな上昇が検出された。
以上の結果から、本発明の高悪性型ATLLの診断に対する有用性が確認された。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6