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明細書 :光学活性超原子価ヨウ素型トリフルオロメチル化試薬及びその製造法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-086144 (P2015-086144A)
公開日 平成27年5月7日(2015.5.7)
発明の名称または考案の名称 光学活性超原子価ヨウ素型トリフルオロメチル化試薬及びその製造法
国際特許分類 C07C  29/40        (2006.01)
C07C  29/42        (2006.01)
C07C  33/46        (2006.01)
C07C  35/52        (2006.01)
C07C  33/48        (2006.01)
C07C  41/30        (2006.01)
C07C  43/178       (2006.01)
C07D 347/00        (2006.01)
C07B  53/00        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI C07C 29/40 CSP
C07C 29/42
C07C 33/46
C07C 35/52
C07C 33/48
C07C 41/30
C07C 43/178 A
C07D 347/00
C07B 53/00 B
C07B 61/00 300
請求項の数または発明の数 6
出願形態 OL
全頁数 18
出願番号 特願2013-223811 (P2013-223811)
出願日 平成25年10月29日(2013.10.29)
発明者または考案者 【氏名】柴田 哲男
【氏名】西峯 貴之
【氏名】平等 尋巳
【氏名】徳永 恵津子
出願人 【識別番号】304021277
【氏名又は名称】国立大学法人 名古屋工業大学
審査請求 未請求
テーマコード 4H006
4H039
Fターム 4H006AA02
4H006AC21
4H006AC41
4H006AC81
4H006BA51
4H006BA65
4H006BB25
4H006FC52
4H006FC54
4H006FC56
4H006FC80
4H006FE11
4H006FE12
4H006FE71
4H006FE73
4H006FE74
4H006FE77
4H006GP01
4H006GP22
4H039CA60
4H039CF30
要約 【課題】ケトン類に対する求核的不斉フルオロアルキル化反応を鍵反応とした光学活性超原子価ヨウ素型トリフルオロメチル化試薬の合成方法の開発
【解決手段】発明者らは鍵反応として,フルオロアルキルトリメチルシランとシンコナアルカロイド相間移動触媒を用い,o-ヨウ化アリールケトン類に対する求核的不斉フルオロアルキル化反応に成功した。また,得られた光学活性なフルオロアルキルアルコールを酸化,配位子交換,トリフルオロメチル化することで,光学活性超原子価ヨウ素型トリフルオロメチル化試薬を得ることに成功した。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
下記一般式(1)で示されるo-ヨウ化アリールケトンと,下記一般式(2)で示されるフルオロアルキルトリメチルシランを溶媒中,塩基存在下,触媒量のシンコナアルカロイド相間移動触媒存在下で反応させることにより,高エナンチオ選択的に上記一般式(3)で示される,光学活性フルオロアルキルアルコールを製造する方法。
【化1】
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(式中,R,R2,R3,Rはそれぞれ独立に水素原子,アルキル基,アルコキシ基,アラルキル基,ハロゲン原子,置換基を有していてもよいアミノ基,ヒドロキシル基,アルキルチオ基,カルボニル基,置換基を有していてもよいカルバモイル基,シアノ基,ニトロ基,アリール基,アリールオキシ基,アルケニル基,又はアルキニル基を示す。式中,Rは置換もしくは未置換のアルキル基,アルケニル基,アルキニル基,アラルキル基,アリール基を示す。なおRおよびR,RおよびR,RおよびR,RおよびR,RおよびR,RおよびR,RおよびR,RおよびR,RおよびR,又はRおよびRが一体となって,ヘテロ原子の介在もしくは非介在で環状構造の一部を形成してもよい。)
【化2】
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(式中,Rはペルフルオロアルキル基を示す。)
【化3】
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(式中,R,R2,R3,R,R及びRは式(1)及び式(2)に記載の通りである。)
【請求項2】
請求項1記載の製造方法により製造される下記一般式(3)で示される光学活性フルオロアルキルアルコール。
【化3】
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(式中,R,R2,R3,R,R及びRは式(1)及び式(2)に記載の通りである。)
【請求項3】
請求項2記載の一般式(3)で示される光学活性フルオロアルキルアルコールを酸化剤により酸化することからなる,下記一般式(4)で表される光学活性超原子価ヨウ素塩化物を製造する方法。
【化4】
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(式中,R,R2,R3,R,R及びRは式(1)及び式(2)に記載の通りである。)
【請求項4】
請求項3記載の製造方法により製造される下記一般式(4)で示される光学活性超原子価ヨウ素塩化物。
【化4】
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(式中,R,R2,R3,R,R及びRは式(1)及び式(2)に記載の通りである。)
【請求項5】
請求項4記載の一般式(4)で示される光学活性超原子価ヨウ素塩化物を酢酸塩または無水酢酸による配位子交換をした後,トリフルオロメチルトリメチルシランと塩基によるトリフルオロメチル化を連続的に行うことからなる,下記一般式(5)で表される光学活性超原子価ヨウ素型トリフルオロメチル化試薬を製造する方法。
【化5】
JP2015086144A_000027t.gif

(式中,R,R2,R3,R,R及びRは式(1)及び式(2)に記載の通りである。)
【請求項6】
請求項5記載の製造方法により製造される一般式(5)で示される光学活性超原子価ヨウ素型トリフルオロメチル化試薬。
【化5】
JP2015086144A_000028t.gif

(式中,R,R2,R3,R,R及びRは式(1)及び式(2)に記載の通りである。)
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は,光学活性超原子価ヨウ素型トリフルオロメチル化試薬及びその製造法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
不斉中心にトリフルオロメチル基を有する化合物は抗HIV薬であるEfavirenzをはじめ,医農薬や候補化合物として多く見られるため,その簡便かつ広範囲な合成法の開発が望まれている。特に合成過程の最終段階にてトリフルオロメチル基を導入できる直接法は合成化学的に興味深く,それは求核的反応または求電子的反応の二つに大別される。求核的トリフルオロメチル化反応はトリフルオロメチルトリメチルシラン(Ruppert-Prakash試薬)の開発により,近年飛躍的な発展を遂げてきた(非特許文献1,2)。一方,トリフルオロメチルカチオンを有機化合物に導入する求電子的トリフルオロメチル化反応は研究例が極めて少ないという状況である。現在開発されている代表的な求電子的トリフルオロメチル化試薬としては,Yagupol’skii,梅本,発明者らによって開発されたトリフルオロメチルカルコゲニウム塩型,Togniらによって開発された超原子価ヨウ素型,発明者らによって開発されたスルホキシイミン型の3種が挙げられる(非特許文献3,4,5,6,7)。これらの試薬を用いた炭素,酸素,硫黄,リン求核剤等,様々な求核種に対する反応が開発されているが,不斉反応はわずか数例に限られる(非特許文献8,9,10)。また,その戦略は不斉触媒や不斉補助基と求電子的トリフルオロメチル化試薬を組み合わせるものであるが,いずれもその選択性は満足のできるものではない。今回我々が発明した光学活性超原子価ヨウ素型トリフルオロメチル化試薬は試薬自身に不斉炭素を有した新しいコンセプトの求電子的トリフルオロメチル化試薬であり,現在に至るまで困難とされてきた求電子的不斉トリフルオロメチル化反応の新たな戦略として期待される。
【先行技術文献】
【0003】

【非特許文献1】Ruppert, I.; Shilic, K; Volbach, W. Tetrahedoron Lett. 1984, 25, 2195.
【非特許文献2】Ramaiah, P.; Krishnamurti, R.; Prakash, G. K. S. Org. Synth. 1995, 72, 232.
【非特許文献3】Yagupol'skii, L. M.; Kondratenko, N. V.; Timofeeva, G. N. J. Org. Chem. USSR (Engl.Transl.) 1984, 20, 103.
【非特許文献4】Umemoto, T.; Ishihara, S. Tetrahedron Lett. 1990, 31, 3579.
【非特許文献5】Matsnev, A.; Noritake, S.; Nomura, Y.; Tokunaga, E.; Nakamura, S.; Shibata, N. Angew. Chem. Int. Ed., 2010, 49, 572.
【非特許文献6】Eisenberger, P.; Gischig, S.; Togni, A. Chem. Eur. J. 2006, 12, 2579.
【非特許文献7】Noritake, S.; Shibata, N.; Nakamura, S.; Toru, T.; Shiro, M. Eur. J. Org. Chem. 2008, 3465.
【非特許文献8】Umemoto, T.; Adachi, K. J. Org. Chem. 1994, 59, 5692.
【非特許文献9】Ma, J.-A.; Cahard, D. J. Fluorine Chem., 2007,128, 975.
【非特許文献10】Matousek, V.; Togni, A.; Bizet, V.; Cahard, D. Org. Lett. 2011, 13, 5762.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記点に鑑みて,ケトン類に対する求核的不斉フルオロアルキル化反応を鍵反応とした光学活性超原子価ヨウ素型トリフルオロメチル化試薬の開発を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために,以前発明者らが開発したケトン類に対する求核的不斉トリフルオロメチル化反応を参考に(非特許文献11:Mizuta, S.; Shibata, N.; Akiti, S. Fujimoto, H. Nakamura, S.; Toru, T. Org. Lett. 2007, 9, 3707.),鍵反応として下記一般式(2)で示されるフルオロアルキルトリメチルシランとシンコナアルカロイド相間移動触媒を用い,下記一般式(1)で示されるo-ヨウ化アリールケトン類に対する求核的不斉フルオロアルキル化反応に成功し,下記一般式(3)で示される光学活性なフルオロアルキルアルコールを合成できることを見出した。また得られた光学活性なフルオロアルキルアルコールを酸化剤により酸化することにより,下記一般式(4)で示される光学活性な超原子価ヨウ素塩化物を合成できることを見出した。さらに得られた光学活性超原子価ヨウ素塩化物を酢酸塩または無水酢酸によって配位子交換し,トリフルオロメチルトリメチルシランと塩基によるトリフルオロメチル化を行うことで,目的である,下記一般式(5)で示される光学活性超原子価ヨウ素型トリフルオロメチル化試薬を得ることに成功した。
【0006】

すなわち,請求項1に記載の発明は,下記一般式(1)で示されるo-ヨウ化アリールケトンと,下記一般式(2)で示されるフルオロアルキルトリメチルシランを溶媒中,塩基存在下,触媒量のシンコナアルカロイド相間移動触媒存在下で反応させることにより,高エナンチオ選択的に上記一般式(3)で示される,光学活性フルオロアルキルアルコールを製造する方法にある。
【0007】
【化1】
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【0008】
(式中,R,R2,R3,Rはそれぞれ独立に水素原子,アルキル基,アルコキシ基,アラルキル基,ハロゲン原子,置換基を有していてもよいアミノ基,ヒドロキシル基,アルキルチオ基,カルボニル基,置換基を有していてもよいカルバモイル基,シアノ基,ニトロ基,アリール基,アリールオキシ基,アルケニル基,又はアルキニル基を示す。式中,Rは置換もしくは未置換のアルキル基,アルケニル基,アルキニル基,アラルキル基,アリール基を示す。なおRおよびR,RおよびR,RおよびR,RおよびR,RおよびR,RおよびR,RおよびR,RおよびR,RおよびR,又はRおよびRが一体となって,ヘテロ原子の介在もしくは非介在で環状構造の一部を形成してもよい。)
【0009】
【化2】
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【0010】
(式中,Rはペルフルオロアルキル基を示す。)
【0011】
【化3】
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【0012】
(式中,R,R2,R3,R,R及びRは式(1)及び式(2)に記載の通りである。)
請求項2に記載の発明は,前記請求項1記載の方法により製造される光学活性フルオロアルキルアルコールである。
請求項3に記載の発明は,前記請求項2記載の一般式(3)で示される光学活性フルオロアルキルアルコールを酸化剤により酸化することからなる,下記一般式(4)で表される光学活性超原子価ヨウ素塩化物を製造する方法にある。
【0013】
【化4】
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【0014】
(式中,R,R2,R3,R,R及びRは式(1)及び式(2)に記載の通りである。)
請求項4に記載の発明は,請求項3記載の製造方法により製造される上記一般式(4)で示される光学活性超原子価ヨウ素塩化物である。
請求項5に記載の発明は,前記請求項4記載の一般式(4)で示される光学活性超原子価ヨウ素塩化物を酢酸塩または無水酢酸による配位子交換,トリフルオロメチルトリメチルシランと塩基によるトリフルオロメチル化を連続的に行うことからなる,下記一般式(5)で表される光学活性超原子価ヨウ素型トリフルオロメチル化試薬を製造する方法にある。
【0015】
【化5】
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【0016】
(式中,R,R2,R3,R,R及びRは式(1)及び式(2)に記載の通りである。)
請求項6に記載の発明は,前記請求項5記載の製造方法により製造される一般式(5)で示される光学活性超原子価ヨウ素型トリフルオロメチル化試薬である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書において,R,R,R,R及びRが示すアルキル基としては,例えば,炭素数1乃至20程度のアルキル基を用いることができる。具体的には,メチル基,エチル基,プロピル基,ブチル基,プロピル基,ペンチル基,ヘキシル基,ヘプチル基,オクチル基,ノニル基,デシル基,ウンデシル基,ドデシル基,トリデシル基,テトラデシル基,ペンタデシル基,ヘキサデシル基,ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基,イコシル基,又はこれらの環状アルキル基,分鎖アルキル基などを用いることができる。アルキル基はハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アリール基、アシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基などの置換基で置換されていてもよい。
,R,R,R及びRが示すアルケニル基又はアルキニル基に含まれる不飽和結合の数は特に限定されないが,好ましくは1乃至2個程度である。該アルケニル基又はアルキニル基は,直鎖状又は分枝鎖状のいずれでもよい。
,R,R,R及びRが示すアラルキル基は,例としてベンジル基,ペンタフルオロベンジル基,o-メチルベンジル基,m-メチルベンジル基,p-メチルベンジル基,p-ニトロベンジル基,ナフチルメチル基,フルフリル基,α-フェネチル基等が挙げられる。
,R,R,R及びRが示すアリール基としては,ヘテロアリール基も含有し,具体例としては,例えば炭素数2~30のアリール基,具体的にはフェニル基,ナフチル基,アンスラニル基,ピレニル基,ビフェニル基,インデニル基,テトラヒドロナフチル基,ピリジル基,ピリミジニル基,ピラジニル基,ピリダニジル基,ピペラジニル基,ピラゾリル基,イミダゾリル基,キニリル基,ピロリル基,インドリル基,フリル基などが挙げることができる。
,R,R及びRが示すアリールオキシ基としては,ヘテロアリールオキシ基も含有し,具体例としては,例えば炭素数2~30のアリール基,具体的にはフェニルオキシ基,ナフチルオキシ基,アンスラニルオキシ基,ピレニルオキシ基,ビフェニルオキシ基,インデニルオキシ基,テトラヒドロナフチルオキシ基,ピリジルオキシ基,ピリミジニルオキシ基,ピラジニルオキシ基,ピリダニジルオキシ基,ピペラジニルオキシ基,ピラゾリルオキシ基,イミダゾリルオキシ基,キニリルオキシ基,ピロリルオキシ基,インドリルオキシ基,フリルオキシ基などが挙げることができる。
,R,R及びRが示すアルコキシ基としては,例えば,炭素数1~6程度のアルコキシ基を用いることができる。より具体的には,メトキシ基,エトキシ基,n-プロポキシ基,イソプロポキシ基,n-ブトキシ基,sec-ブトキシ基,tert-ブトキシ基,シクロプロピルメチルオキシ基,n-ペントキシ基,n-ヘキソキシ基,トリエチレングリコシル基などを挙げることができる。
,R,R及びRが示すハロゲン原子はフッ素原子,塩素原子,臭素原子,又はヨウ素原子のいずれでもよい。
,R,R及びRが示すアミノ基が置換基を有する場合,置換基として,例えば,上記に説明した炭素数1~10程度のアルキル基又はハロゲン化アルキル基等を有していてもよい。より具体的には,炭素数1~6程度のアルキル基で置換されたモノアルキルアミノ基,又は炭素数1~6程度の2個のアルキル基で置換されたジアルキルアミノ基(2個のアルキル基は同一でも異なっていてもよい)などを挙げることができる。
,R,R及びRが示すアルキルチオ基としては,上記に説明した炭素数1~10程度のアルキルチオ基を用いることができる。例えば,メチルチオ基,エチルチオ基などを挙げることができる。
,R,R及びRが示すカルボキシ基としては,例えば,アルキル基,アルコキシ基,アルケニル基,アルキニル基,又はアリール基を有するカルボキシ基を用いることができる。具体的には,アセトキシ基,プロピオノキシ基,ブタノキシ基,ペンタノキシ基,ヘキサノキシ基,メトキシカルボニル基,エトキシカルボニル基などが挙げられる。
,R,R及びRが示すカルバモイル基が置換基を有する場合,置換基として,例えば,上記に説明した炭素数1~6程度のアルキル基又はハロゲン化アルキル基等を有していてもよい。カルバモイル基が2個の置換基を有する場合には,それらは同一でも異なっていてもよい。
,R,R,R及びRを組み合わせて形成されうる前記環状構造の例としては,3員環から20員環でなる単環,双環,またはそれ以上の多環の構造を示すことができる。これらの環状構造はヘテロ原子を有してもよい。
アルキル基又はアルキル部分を含む置換基(例えば,アルコキシ基,アルキルチオ基,アルコキシカルボニル基など)のアルキル部分,アリール基又はアリール部分を含む置換基(例えば,アリールオキシ基など)のアリール部分は,フッ素原子,塩素原子,臭素原子,及びヨウ素原子からなる群から選ばれる1又は2個以上のハロゲン原子有していてもよく,2個以上のハロゲン原子が置換している場合には,それらは同一でも異なっていてもよい。
,R,R,R及びRはそれぞれ独立に上記に定義されたいずれかの置換基を示すが,全部が同一の置換基であってもよい。
が示すペルフルオロアルキル基は炭素数が1~10の,水素がフッ素で置換された枝分かれがあっても良いアルキル基または炭素数が3~20のシクロアルキル基が好ましく,場合によってはハロゲン原子などで置換されていてもよい。
シンコナアルカロイド相間移動触媒は特に限定されないが,下記の一般式(6),(7),(8)及び(9)で表される。

【0018】
【化6】
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【0019】
(式中,R7は置換もしくは未置換のアルコキシ基またはアミノ基,ウレア基,チオウレア基を示す。式中,R8は,エチル基もしくはビニル基を示す。式中,R9はアルキル基,アルケニル基,アルキニル基,アリール基を示す。式中,R10は,置換もしくは未置換のアルキル基,アルケニル基,アラルキル基,アルキニル基,アリール基,アルコキシ基またはアミノ基を示す。)
本明細書において,R9及びR10のアルキル基としては,例えば,炭素数1乃至20程度のアルキル基を用いることができる。具体的には,メチル基,エチル基,プロピル基,ブチル基,ペンチル基,ヘキシル基,ヘプチル基,オクチル基,ノニル基,デシル基,ウンデシル基,ドデシル基,トリデシル基,テトラデシル基,ペンタデシル基,ヘキサデシル基,ヘプタデシル基,オクタデシル基,ノナデシル基,イコシル基,又はこれらの環状アルキル基,分鎖アルキル基などを用いることができる。
9及びR10のアルケニル基又はアルキニル基に含まれる不飽和結合の数は特に限定されないが,好ましくは1乃至2個程度である。該アルケニル基又はアルキニル基は,直鎖状又は分枝鎖状のいずれでもよい。
9及びR10が示すアリール基としては,ヘテロアリール基も含有し,具体例としては,例えば炭素数2~30のアリール基,具体的にはフェニル基,ナフチル基,アンスラニル基,ピレニル基,ビフェニル基,インデニル基,テトラヒドロナフチル基,ピリジル基,ピリミジニル基,ピラジニル基,ピリダニジル基,ピペラジニル基,ピラゾリル基,イミダゾリル基,キニリル基,ピロリル基,インドリル基,フリル基などが挙げることができる。
アルキル基はフッ素原子,塩素原子,臭素原子,ヨウ素原子,シアノ基,ニトロ基,アリール基,アシル基,アルコキシ基,アリールオキシ基,アシルオキシ基などの置換基で置換されていてもよく,2個以上の置換基を有する場合には,それらは同一でも異なっていてもよい。
アルケニル基はフッ素原子,塩素原子,臭素原子,ヨウ素原子,シアノ基,ニトロ基,アリール基,アシル基,アルコキシ基,アリールオキシ基,アシルオキシ基などの置換基で置換されていてもよく,2個以上の置換基を有する場合には,それらは同一でも異なっていてもよい。
アルキニル基はフッ素原子,塩素原子,臭素原子,ヨウ素原子,シアノ基,ニトロ基,アリール基,アシル基,アルコキシ基,アリールオキシ基,アシルオキシ基などの置換基で置換されていてもよく,2個以上の置換基を有する場合には,それらは同一でも異なっていてもよい。
アラルキル基は,例としてベンジル基,ペンタフルオロベンジル基,o-メチルベンジル基,m-メチルベンジル基,p-メチルベンジル基,p-ニトロベンジル基,ナフチルメチル基,フルフリル基,α-フェネチル基等が挙げられる。
アリール基はアルキル基,フッ素原子,塩素原子,臭素原子,ヨウ素原子,シアノ基,ニトロ基,アリール基,アシル基,アルコキシ基,アリールオキシ基,アシルオキシ基などの置換基で置換されていてもよく,2個以上の置換基を有する場合には,それらは同一でも異なっていてもよい。
7およびR10が示すアミノ基は,N上に水素,置換もしくは未置換のアルキル基,アルケニル基,アラルキル基,アルキニル基,アリール基の置換基が1つか2つ置換しているものが挙げられる。置換基はそれぞれ独立しており,同一である必要はない。アミノ基は,置換基を組み合わせて形成されうる環状構造を形成することができる。特に3員環から20員環でなる単環,双環,またはそれ以上の多環の構造を示すことができる。また,ヘテロ原子の介在もしくは非介在で環状構造の一部を形成してもよい。
7およびR10が示すアルコキシ基は炭素数が1~20のアルコキシ基が好ましく,炭素数が1~10のアルコキシ基がさらに好ましい。アルコキシ基の場合も上記のアルキル基の場合と同様の置換基により置換されていてもよい。
7が示すウレア基は置換もしくは未置換のアルキル基,アルケニル基,アルキニル基,アラルキル基,アリール基有する。
7が示すチオウレア基は置換もしくは未置換のアルキル基,アルケニル基,アルキニル基,アラルキル基,アリール基有する。
Xが示すカウンターアニオンはフロリド,クロリド,ブロミド,ヨード,フェノキシド,トリフルオロボレート(BF4),ヘキサフルオロフォスフェート(PF6)などが挙げられる。
溶媒の種類は特に限定されないが,ジエチルエーテル,ジイソプロピルエーテル,n-ブチルメチルエーテル,tert-ブチルメチルエーテル,テトラヒドロフラン,ジオキサン等のエーテル系溶媒;ヘプタン,ヘキサン,シクロペンタン,シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒;クロロホルム,四塩化炭素,塩化メチレン,ジクロロエタン,トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;ベンゼン,トルエン,キシレン,クメン,シメン,メシチレン,ジイソプロピルベンゼン,ピリジン,ピリミジン,ピラジン,ピリダジン等の芳香族系溶媒;酢酸エチル等のエステル系溶媒;アセトン,メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;ジメチルスルホキシド,ジメチルホルムアミド等の溶媒;メタノール,エタノール,プロパノール,i-プロピルアルコール,アミノエタノール,N,N-ジメチルアミノエタノール等のアルコール系溶媒;アセトニトリル等のニトリル系溶媒;1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン,1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン等のフルオロカーボン系溶媒;超臨界二酸化炭素,イオン性液体が挙げられる。これらは単独で使用し得るのみならず,2種類以上を混合して用いることも可能である。フルオロアルキルアルコールのエナンチオ選択的合成にはテトラヒドロフランが最も好ましく,酸化剤による光学活性超原子価ヨウ素塩化物の合成には塩化メチレンが最も好ましく,酢酸塩による配位子交換,トリフルオロメチルトリメチルシランによるトリフルオロメチル化による光学活性超原子価ヨウ素型トリフルオロメチル化試薬の合成にはアセトニトリルが最も好ましい。
用いる塩基は無機塩基,有機塩基等が使用できるが,例えば,炭酸カリウム,炭酸セシウム等の炭酸塩;酢酸ナトリウム,酢酸カリウムなどの酢酸塩;テトラメチルアンモニウムフロリド,テトラエチルアンモニウムフロリド,テトラブチルアンモニウムフロリド,テトラブチルアンモニウムジフルオロトリフェニルシリケートなどのアンモニウムフロリド;フッ化カリウム,フッ化セシウムなどのフッ化アルカリ金属類;水酸化ナトリウム,水酸化カリウム等の水酸化物;ナトリウムメトキシド,カリウムtert-ブトキシド等のアルコキシド化合物;DABCO,DBU,トリエチルアミン,N,N-ジメチルアミノピリジン等の有機塩基などが挙げられる。フルオロアルキルアルコールのエナンチオ選択的合成にはテトラメチルアンモニウムフロリドが最も好ましく,使用量は一般的に式(1)に対して,0.05~3当量で,好ましくは0.1~0.3当量である。トリフルオロメチルトリメチルシランによるトリフルオロメチル化による光学活性超原子価ヨウ素型トリフルオロメチル化試薬の合成にはテトラブチルアンモニウムジフルオロトリフェニルシリケートが最も好ましく,使用量は一般的に式(4)に対して,0.001~1当量で,好ましくは0.003~0.1当量である。
用いる酸化剤は特に限定されないが,例えば,過酢酸,過酸化水素水,尿素・過酸化水素,過炭酸ナトリウム,次亜塩素酸ナトリウム,亜塩素酸ナトリウム,臭素酸カリウム,過ヨウ素酸ナトリウム,過ホウ酸ナトリウム,過ホウ酸カリウム,四ホウ酸ナトリウム,ぺルオキソ二硫酸ジナトリウム,ぺルオキソ二硫酸ジカリウム,Oxone(登録商標),過硫酸テトラブチルアンモニウム,三酸化クロム,二酸化マンガン,過マンガン酸カリウム,二クロム酸カリウム,3-クロロ過安息香酸, Selectfluor(登録商標),酸素,フッ素,塩素,臭素,ジメチルジオキシラン,硝酸,発煙硝酸, tert-ブチルヒドロペルオキシド,次亜塩素酸tert-ブチル,ビス(モノペルオキシフタル酸) マグネシウム 六水和物,N-ブロモスクシンイミド,N-ヒドロキシフタルイミド,二酸化ケイ素,などの群から選らばれる1または2以上の物質が挙げられ,特に好ましくは次亜塩素酸tert-ブチルである。使用量は一般的に式(3)に対して,1.0~10当量で,好ましくは1.05~1.2当量である。
用いる酢酸塩は特に限定されないが,例えば,酢酸アンモニウム,酢酸ナトリウム,酢酸カリウム,酢酸亜鉛,酢酸銅,酢酸銀などが挙げられ,特に好ましくは酢酸銀である。使用量は一般的に式(4)に対して,1.0~10当量で,好ましくは1.05~1.2当量である。
本発明のフルオロアルキルアルコール化合物,超原子価ヨウ素塩化物及び超原子価ヨウ素型トリフルオロメチル化試薬の絶対配置は(S)又は(R)配置のいずれであってもよく,光学異性体又はジアステレオ異性体などの立体異性体はいずれも本発明の範囲に包含される。光学的に純粋な形態の異性体は本発明の好ましい態様である。また,立体異性体の任意の混合物,ラセミ体なども本発明の範囲に包含される。
前記式(3)の製造は加圧下に行うこともできるが,通常は常圧で行う。反応温度は-80℃から溶媒の沸点までの間で行うことができるが,好ましくは-80℃乃至室温付近である。反応時間は特に限定されるものではないが,通常1時間~5日で反応は完結する。
前記式(4)の製造は加圧下に行うこともできるが,通常は常圧で行う。反応温度は-80℃から溶媒の沸点までの間で行うことができるが,好ましくは-20℃乃至室温付近である。反応時間は特に限定されるものではないが,通常1時間~5日で反応は完結する。
前記式(5)の製造は加圧下に行うこともできるが,通常は常圧で行う。反応温度は-80℃から溶媒の沸点までの間で行うことができるが,好ましくは-20℃乃至室温付近である。反応時間は特に限定されるものではないが,通常1時間~5日で反応は完結する。
反応後,前記一般式(3)で示される光学活性フルオロアルキルアルコールは一般的な手法によって反応液から単離および精製することができ,例えば反応液を濃縮した後,シリカゲル,アルミナ等の吸着剤を用いたカラムクロマトグラフ法での精製,塩析,再結晶,昇華等が挙げられる。
反応後,前記一般式(4)で示される光学活性超原子価ヨウ素塩化物の合成は一般的な手法によって反応液から単離および精製することができ,例えば反応液を濃縮した後,シリカゲル,アルミナ等の吸着剤を用いたカラムクロマトグラフ法での精製,塩析,再結晶,昇華等が挙げられる。
反応後,前記一般式(5)で示される光学活性超原子価ヨウ素型トリフルオロメチル化試薬は一般的な手法によって反応液から単離および精製することができ,例えば反応液を濃縮した後,シリカゲル,アルミナ等の吸着剤を用いたカラムクロマトグラフ法での精製,塩析,再結晶,昇華等が挙げられる。
本発明の光学活性フルオロアルキルアルコールの製造方法は特に限定されないが,前記式(1)で示される市販又は非特許文献12(Barr, K. J.; Watson, B. T.; Buchwald, S. L. Tetrahedron Lett. 1991, 32, 5465.)及び非特許文献13(Schroder, N.; Joanna, W.-D.; Glorius, F. J. Am .Chem. Soc, 2012, 134, 8298.)などによって合成されるo-ヨウ化アリールケトン類に対して,前記式(2)で示される公知又は市販のフルオロアルキルトリメチルシランを塩基存在下,溶媒中において反応させることによって前記式(3)の光学活性フルオロアルキルアルコールを製造することができる。

【0020】


本発明の光学活性超原子価ヨウ素塩化物の製造方法は特に限定されないが,前記式(3)で表される光学活性フルオロアルキルアルコールに対して,酸化剤の存在下,溶媒中において反応させることによって前記式(4)の光学活性超原子価ヨウ素塩化物を製造することができる。
本発明の光学活性超原子価ヨウ素型トリフルオロメチル化試薬の製造方法は特に限定されないが,前記式(4)で表される光学活性超原子価ヨウ素塩化物に対して,酢酸塩または無水酢酸の存在下,溶媒中において反応させることによって配位子交換し,さらに公知又は市販のトリフルオロメチルトリメチルシランを塩基存在下,溶媒中において反応させることによって前記式(5)の光学活性超原子価ヨウ素型トリフルオロメチル化試薬を製造することができる。
以下,実施形態により本発明をさらに具体的に説明するが,本発明の範囲は下記の実施形態に限定されることはない。
(第1実施形態)
前記一般式(3)の一般的な製造方法:
o-ヨウ化アリールケトン1(0.18 mmol),テトラメチルアンモニウムフロリド(0.036 mmol),下記の構造式6aで示すシンコナアルカロイド相間移動触媒(0.018 mmol)をテトラヒドロフラン1 mLに溶かし,-60℃においてトリフルオロメチルトリメチルシラン(0.36 mmol)を加えた。12~48時間撹拌した後,飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止した。酢酸エチルを用いて抽出し,集めた有機相を飽和食塩水で洗浄し,無水硫酸ナトリウムで乾燥させ,減圧下で溶媒を留去した。得られた残渣をテトラヒドロフラン1 mLに溶かし,テトラブチルアンモニウムフロリド水和物(0.18 mmol)加えて室温にて1~12時間撹拌した。反応終了後減圧下で溶媒を留去し,得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製することで光学活性フルオロアルキルアルコール3を得た。

【0021】
【化7】
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【0022】
【化8】
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【0023】
Compound 3a: (R)-1,1,1-トリフルオロ-2-(2-ヨードフェニル)プロパン-2-オール
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ 1.93 (s, 3H), 3.38 (s, 1H), 7.00 (dd, J = 7.5, 7.5 Hz, 1H), 7.37 (dd, J = 7.5, 7.5, 1H), 7.54 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 8.04 (d, J = 7.8 Hz, 1H) ; 13C NMR (CDCl3, 151 MHz): δ 23.5 (d, J= 1.5 Hz), 76.5 (q, J = 28.7 Hz), 92.1, 125.6 (q, J = 286.9 Hz), 128.0, 129.2 (q, J = 2.4 Hz), 130.0, 138.8, 143.6; 19F NMR (CDCl3, 282 MHz): δ -78.5 (s, 3F); IR (neat): 3478, 3001, 1584, 1461, 1284, 1168, 1010, 758, 635 cm-1;HRMS (EI) calcd. for C9H8F3IO: 315.9572, found: 315.9556; [α]D25 = -0.3 (c = 0.28, CHCl3); 67%収率,89% ee.

【0024】
【化9】
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【0025】
Compound 3b: (R)-1,1,1-トリフルオロ-2-(2-ヨードフェニル)ブタン-2-オール
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ 0.88(t, J = 7.2 Hz, 3H), 2.11 (dq, J = 7.2, 14.2 Hz, 1H), 2.64 (dq, J = 7.2, 14.2 Hz, 1H), 3.26 (s, 1H), 6.99 (dd, J = 7.2, 7.8 Hz, 1H), 7.39 (dd, J = 7.2, 8.1 Hz, 1H), 7.55 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 8.04 (d, J = 7.8 Hz, 1H); 13C NMR (CDCl3, 151 MHz): δ 7.1, 27.8, 78.9 (q, J = 28.7 Hz), 92.3, 125.7 (q, J = 288.4 Hz), 127.9, 130.0, 130.5 (d, J = 1.5 Hz), 136.6, 143.8; 19F NMR (CDCl3, 282 MHz): δ -78.1 (s, 3F); IR (neat): 3503, 2978, 1561, 1465, 1272, 1167, 1010, 757, 682 cm-1; MS (EI): m/z = 330 (M+); HRMS (EI) calcd. for C10H10F3IO: 329.9729, found: 329.9745; [α]D25= +15.3 (c = 0.95, CHCl3); 70%収率,96% ee.


【0026】
【化10】
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【0027】
Compound 3c: (R)-1,1,1-トリフルオロ-2-(2-ヨードフェニル)-3-メチルブタン-2-オール
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ 0.84 (d, J = 6.9 Hz, 3H), 1.13 (d, J= 6.6 Hz, 3H), 2.94 (s, 1H), 2.97 (brs, 1H), 6.97 (dd, J = 7.8, 8.1, 1H), 7.37 (dd, J= 7.2, 8.1, 1H), 7.59 (d, J = 7.5, 1H), 8.05 (d, J = 8.1, 1H); 13C NMR (CDCl3, 151 MHz): δ 16.8, 17.1, 33.3, 80.8 (q, J = 27.2 Hz), 91.2, 125.8 (q, J = 288.4 Hz), 127.8, 129.3, 129.7, 138.4, 144.0; 19F NMR (CDCl3, 282 MHz): δ -71.3 (s, 3F); IR (neat): 3523, 2885, 1563, 1470, 1252, 1164, 1009, 754, 675 cm-1; MS (EI): m/z = 344 (M+); HRMS (EI) calcd. for C11H12F3IO: 343.9885, found: 343.9860; [α]D25= +16.1 (c = 1.05, CHCl3); 70%収率, 90% ee.

【0028】
【化11】
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【0029】
Compound 3d: (R)-1,1,1-トリフルオロ-2-(1-ヨードナフタレン-2-イル)プロパン-2-オール
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ 2.06 (s, 3H), 3.95 (s, 1H), 7.53-7.64 (m, 3H), 7.75-7.84 (m, 2H), 8.52 (d, J = 8.4 Hz, 1H); 13C NMR (CDCl3, 151 MHz): δ 24.3 (d, J = 1.5 Hz), 77.8 (q, J = 28.7 Hz), 100.5, 125.9 (q, J = 286.9 Hz), 125.9, 127.6, 128.1, 128.3, 129.1, 133.5, 134.0, 135.7, 138.3; 19F NMR (CDCl3, 282 MHz): δ -77.7 (s, 3F); IR (neat): 3479, 2926, 1546, 1463, 1280, 1174, 1089, 746, 719 cm-1; MS (EI): m/z = 366 (M+); HRMS (EI) calcd. for C13H10F3IO: 365.9729, found: 365.9706; [α]D25= +0.2 (c = 0.41, CHCl3); 67%収率, 86% ee.


【0030】
【化12】
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【0031】
Compound 3e: (R)-1-トリフルオロメチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-8-ヨードナフタレン-1-オール
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ 1.85-2.03 (m, 3H), 2.44-2.47 (m, 1H), 2.97-2.99 (m, 2H), 4.46 (s, 1H), 6.88 (dd, J = 8.1, 8.1 Hz, 1H), 7.17 (d, J= 7.8, 1H), 7.85 (d, J = 8.1, 1H); 13C NMR (CDCl3, 151 MHz): δ 17.1 (d, J = 1.5 Hz), 30.6, 33.4, 74.4 (q, J = 28.7 Hz), 91.7, 126.2 (q, J = 288.4 Hz),130.0, 130.3, 133.6, 141.4, 142.0; 19F NMR (CDCl3, 282 MHz): δ -73.2 (s, 3F); IR (neat):3495, 2971, 1556, 1443, 1253, 1165, 1018, 770, 665 cm-1; HRMS (EI) calcd. for C11H10F3IO: 341.9729, found: 341.9706; [α]D25= -14.1 (c = 0.68, CHCl3); 69%収率 88% ee.


【0032】
【化13】
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【0033】
Compound 3f: (S)-1,1,1-トリフルオロ-2-(2-ヨードフェニル)-5,5-ジメチルヘキシ-3-イン-2-オール
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ 1.29 (s, 9H), 3.31(s, 1H), 7.02 (dd, J = 7.5, 7.8 Hz, 1H), 7.39 (dd, J = 7.5, 8.1 Hz, 1H), 7.02 (dd, J = 7.5, 7.8 Hz, 1H), 7.82 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 8.06 (d, J = 8.1 Hz, 1H); 13C NMR (CDCl3, 151 MHz): δ 27.7, 30.1, 73.7 (q, J = 32.7 Hz), 74.1, 93.7, 99.0, 123.5 (q, J = 287.3 Hz), 127.8, 129.6 (d, J = 1.7 Hz), 130.4, 136.6, 143.3; 19F NMR (CDCl3, 282 MHz): δ -77.9 (s, 3F); IR (neat):3483, 2972, 2246, 1564, 1463, 1364, 1184, 1008, 920, 761 cm-1; HRMS (ESI) calcd. for C14H13F3IO: (M-H+) 380.9963, found: 380.9966; [α]D25= -1.0 (c = 0.63, CHCl3); 60%収率,93% ee.


【0034】
【化14】
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【0035】
Compound 3g: (S)-5-(ベンゾイロキシ)-1,1,1-トリフルオロ-2-(2-ヨードフェニル)-5-メチルヘキシ-3-イン-2-オール
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ 1.61 (s, 6H), 3.32 (s, 1H), 4.65 (s, 2H), 7.03 (dd, J = 7.5, 7.5 Hz, 1H), 7.29-7.40 (m, 6H), 7.78 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 8.05 (d, J = 7.8 Hz, 1H); 13C NMR (CDCl3, 151 MHz): δ 28.1, 28.2, 67.0, 70.7, 73.8 (q, J = 33.2 Hz), 79.2, 92.8, 93.7, 123.4 (q, J = 288.4 Hz), 127.5, 127.7, 127.9, 128.3, 129.5 (d, J = 3.0 Hz), 130.6, 136.0, 138.7, 143.3; 19F NMR (CDCl3, 282 MHz): δ -77.5 (s, 3F); IR (neat):3324, 2989, 2239, 1565, 1463, 1363, 1188, 1010, 922, 731 cm-1; HRMS (ESI) calcd. for C20H18F3INaO2: (M+Na+) 497.0201, found: 497.0203; [α]D25= -1.1 (c = 0.97, CHCl3); 55%収率,76% ee.


【0036】
【化15】
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【0037】
Compound 3h: (R)-3,3,4,4,4-ペンタフルオロ-2-(2-ヨードフェニル)ブタン-2-オール
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ 1.98 (s, 3H), 3.74 (s, 1H), 7.00 (dd, J = 7.5, 7.5 Hz, 1H), 7.41 (dd, J = 7.2, 8.4, 1H), 7.56 (d, J = 8.1, 1H), 8.03 (d, J = 7.8, 1H); 13C NMR (CDCl3, 151 MHz): δ 25.0, 76.7, 91.7, 114.7 (tq, J = 36.2, 264.3 Hz), 119.3 (tq, J = 36.2, 288.4 Hz), 128.0, 130.1, 130.4, 139.2, 143.6; 19F NMR (CDCl3, 282 MHz): δ -78.4 (s, 3F), -118.1 (d, J= 277.2 Hz, 1F) , -119.6 (d, J = 277.2 Hz, 1F); IR (neat):3496, 3010, 1562, 1461, 1341, 1225, 1141, 1006, 763, 662 cm-1; HRMS (EI) calcd. for C10H8F5IO: 365.9540, found: 365.9534; [α]D25= +7.3 (c = 1.88, CHCl3); 58%収率,74% ee.

【0038】
(第2実施形態)
前記一般式(4)の一般的な製造方法:
光学活性フルオロアルキルアルコール3(0.80 mmol)を塩化メチレン2 mLに溶かし,0℃において次亜塩素酸 tert-ブチル(0.84 mmol)を加えた。その後室温に昇温し,1~24時間撹拌した後,減圧下で溶媒を留去した。得られた残渣を再結晶により精製することで光学活性超原子価ヨウ素塩化物4を得た。



【0039】
【化16】
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【0040】
Compound 4a: (R)-1-クロロ-3-メチル-3-トリフルオロメチル-1,2-ベンゾヨードオキソール
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ 1.74 (s, 3H), 7.39 (d, J = 6.9 Hz, 1H), 7.61-7.75 (m, 2H), 8.05 (d, J = 8.4, 1H); 13C NMR (CDCl3, 75.5 MHz): δ 23.2, 84.0 (q, J = 29.5 Hz), 114.2, 125.9 (q, J = 288.4 Hz), 128.3, 128.8 (d, J = 1.4 Hz), 131.2, 132.3, 140.0; 19F NMR (CDCl3, 282 MHz): δ -81.2 (s, 3F); Mp = 121.6-122.3 oC (n-hexane); 91%収率.


【0041】
【化17】
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【0042】
Compound 4b: (R)-1-クロロ-3-エチル-3-トリフルオロメチル-1,2-ベンゾヨードオキソール
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ 0.75 (dd, J = 7.5, 7.5 Hz, 3H), 2.07-2.26 (m, 2H), 7.31 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.61 (dd, J = 7.2, 7.5 Hz, 1H), 7.70 (dd, J = 7.2, 8.1 Hz, 1H), 8.03 (d, J = 8.4 Hz, 1H); 13C NMR (CDCl3, 151 MHz): δ 6.4, 28.0, 87.1 (q, J = 28.7 Hz), 115.0, 126.0 (q, J = 288.4 Hz), 128.3, 128.8, 131.1, 132.3, 138.2; 19F NMR (CDCl3, 282 MHz): δ -80.3 (s, 3F); Mp = 149.8.6-150.5 oC (n-hexane); 88%収率.

【0043】
(第3実施形態)
前記一般式(5)の一般的な製造方法:
光学活性超原子価ヨウ素塩化物4(0.70 mmol)と酢酸銀(0.74 mmol)をアセトニトリル2 mLに溶かし,遮光しながら室温で12~24時間撹拌した。反応液に塩化メチレンを5 mL加えてセライト濾過し,減圧下で溶媒を留去した。得られた残渣をアセトニトリル1 mLに溶かし,-20℃においてトリフルオロメチルトリメチルシラン(1.12 mmol)を加えた。続いてアセトニトリル(1 mL)に溶かしたテトラブチルアンモニウムジフルオロトリフェニルシリケート(0.007 mmol)をゆっくりと滴下し,12~24時間撹拌した。その後-12℃に昇温し,トリフルオロメチルトリメチルシラン(0.35 mmol)を加え,1~3時間かけてゆっくりと室温に昇温しながら撹拌した。室温到達後もさらに3~6時間撹拌した後,減圧下で溶媒を留去した。得られた残渣を再結晶により精製することで光学活性超原子価ヨウ素型トリフルオロメチル化試薬5を得た。



【0044】
【化18】
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【0045】
Compound 5a: (R)-3-メチル-1,3-ビス(トリフルオロメチル)-1,2-ベンゾヨードオキソール
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ 1.67 (s, 3H), 7.60-7.66 (m, 4H); 13C NMR (CDCl3, 151 MHz): δ 24.1, 78.1 (q, J = 28.5 Hz), 108.8 (q, J = 390.3 Hz), 111.0 (d, J = 2.1), 126.4 (q, J = 289.4 Hz), 128.1 (q, J = 2.8 Hz), 129.9 (d, J = 1.4), 130.9, 131.8, 139.4; 19F NMR (CDCl3, 282 MHz): δ -38.6 (s, 3F), -81.3 (s, 3F); Mp = 84.5-85.3 oC (n-hexane); [α]D25= +69.2 (c = 2.01, CHCl3); 75%収率.


【0046】
【化19】
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【0047】
Compound 5b: (R)-3-エチル-1,3-ビス(トリフルオロメチル)-1,2-ベンゾヨードオキソール
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ 0.70 (dd, J = 7.2, 7.2 Hz, 3H), 2.07 (dq, J= 7.2, 17.6 Hz, 1H), 2.12 (dq, J = 7.2, 17.6 Hz, 1H), 7.53-7.73 (m, 4H); 13C NMR (CDCl3, 151 MHz): δ 6.5, 28.3, 81.3 (q, J = 27.4 Hz), 108.6 (q, J = 389.6 Hz), 111.7 (d, J = 3.0), 126.4 (q, J = 289.4 Hz), 128.2 (q, J = 2.7 Hz), 129.9, 130.9, 131.9, 137.4; 19F NMR (CDCl3, 282 MHz): δ -38.6 (s, 3F), -80.5 (s, 3F); Mp = 87.1-87.9 oC (n-hexane); [α]D25= +95.8 (c = 1.18, CHCl3); 71%収率.