TOP > 国内特許検索 > 長尺部材の先端に振動部を備えるデバイス > 明細書

明細書 :長尺部材の先端に振動部を備えるデバイス

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5557190号 (P5557190)
公開番号 特開2012-011014 (P2012-011014A)
登録日 平成26年6月13日(2014.6.13)
発行日 平成26年7月23日(2014.7.23)
公開日 平成24年1月19日(2012.1.19)
発明の名称または考案の名称 長尺部材の先端に振動部を備えるデバイス
国際特許分類 A61B  17/00        (2006.01)
A61B  17/22        (2006.01)
A61B  17/32        (2006.01)
FI A61B 17/00 320
A61B 17/22
A61B 17/32
請求項の数または発明の数 3
全頁数 11
出願番号 特願2010-150714 (P2010-150714)
出願日 平成22年7月1日(2010.7.1)
審査請求日 平成25年5月17日(2013.5.17)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304020177
【氏名又は名称】国立大学法人山口大学
発明者または考案者 【氏名】江 鐘偉
【氏名】森田 実
【氏名】モハマド アジョダニアン
個別代理人の代理人 【識別番号】100158702、【弁理士】、【氏名又は名称】岡野 卓也
審査官 【審査官】木村 立人
参考文献・文献 特表2007-513729(JP,A)
特開昭64-027548(JP,A)
実公平6-021653(JP,Y2)
特開平5-256828(JP,A)
実開平3-013111(JP,U)
特表2007-531563(JP,A)
米国特許第4320659(US,A)
米国特許出願公開第2008/0294087(US,A1)
米国特許出願公開第2009/0264770(US,A1)
調査した分野 A61B 17/00
A61B 17/22 — 17/225
A61B 17/32
A61F 9/007
特許請求の範囲 【請求項1】
後方から伝播する縦弾性波の進行方向を前方へ向かう範囲内で変更させて横振動を誘起する振動部が先端に設けられる長尺部材と、
該長尺部材の後端に縦弾性波を付与する振動付与手段と、
を備えるデバイスであって、
前記振動部は、前記長尺部材の周方向における一部側面を前方へ向けて傾斜させることで当該長尺部材の外形形状を変化させて形成される反射面により、前記縦弾性波の進行方向を変更させる変更部と、当該振動部の先端に位置し前記変更部で進行方向が変更した縦弾性波により横振動が誘起される動作部と、を有し、
前記動作部は、前記変更部の外形形状を不連続に拡大してなるデバイス。
【請求項2】
後方から伝播する縦弾性波の進行方向を前方へ向かう範囲内で変更させて横振動を誘起する振動部が先端に設けられる長尺部材と、
該長尺部材の後端に縦弾性波を付与する振動付与手段と、
を備えるデバイスであって、
前記振動部は、前記長尺部材の周方向における一部側面を前方へ向けて傾斜させることで当該長尺部材の外形形状を変化させて形成される反射面により、前記縦弾性波の進行方向を変更させる変更部と、当該振動部の先端に位置し前記変更部で進行方向が変更した縦弾性波により横振動が誘起される動作部と、前記変更部と前記動作部との間に位置し前記変更部において進行方向を変更させた縦弾性波を集約する集約部と、を有し、
前記動作部は、前記集約部の外形形状を不連続に拡大してなるデバイス。
【請求項3】
前記長尺部材はカテーテルである請求項1又は2記載のデバイス。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺部材の先端に横振動を誘起する長尺部材の横振動生成方法及び長尺部材の先端部に振動部が設けられるデバイスに関し、特に、血管内に付着する血栓や生体内に発生する腫瘍等を除去するためのカテーテルを備える医療用マイクロデバイス等、ミクロンオーダーの用途にも用いて好適なデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
脳梗塞や心筋梗塞は命に関わる病気であり、その原因となる脳の血管や心臓の冠状動脈等にできた血栓は速やかに除去する必要がある。
【0003】
従来より、血栓症治療法として、侵襲性が少なくかつ迅速で有効な血栓溶解治療法が注目されており、本件出願人は、先に血栓を効果的に溶解し除去するカテーテルを提案した(特許文献1参照)。
【0004】
図10は、従来の医療用機器110の使用状況の概略説明図を示す。また、図11は、該医療用機器110のカテーテル111における作動状況の概略説明図を示す。
従来の医療用機器110は、カテーテル111と該カテーテル111に配設される圧電素子112を備えるものである。
そして、該医療用機器110は、血管120内に血栓溶解剤を注入しながら前記圧電素子112によって前記カテーテル111の先端を横振動させることで、血栓121を速やかに溶解し除去することができる。
【0005】
ところで、前記カテーテル111に配設される圧電素子112は、前記医療用機器110の先端側に位置するものであるが、該医療用機器110の先端側は末梢血管内にまで挿入されるため、該圧電素子112のサイズが著しく制限されて大きな出力を得ることができず、前記カテーテル111の先端を十分に横振動させることができない。
【0006】
そこで、前記カテーテル111を長尺なものとして、圧電素子112を医療用機器110の先端側から遠く離れた位置に配設し、該圧電素子112により前記長尺なカテーテル111の後方に横弾性波を与えることで該カテーテル111の先端を横振動させることが考えられる。
【0007】
ところが、前記長尺となるカテーテル111において、圧電素子112により先端から離れた位置に横弾性波を与えた場合、該カテーテル111を伝播する横弾性波はその伝播途中において当該カテーテル111を内包するチューブ状部材等にエネルギーを吸収されるため、該カテーテル111の先端を十分に横振動させることができないという問題がある。
【先行技術文献】
【0008】

【特許文献1】特開2006-263125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、発明は、長尺部材の先端から離れた位置に振動付与手段を配設する場合であっても、該長尺部材の先端が確実に横振動するデバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の参考発明である長尺部材の横振動生成方法は、後方から伝播する縦弾性波の進行方向を外形形状の変化により前方へ向かう範囲内で変更させて先端に横振動を誘起する。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明のデバイスは、後方から伝播する縦弾性波の進行方向を前方へ向かう範囲内で変更させて横振動を誘起する振動部が先端部に設けられる長尺部材と、該長尺部材の後端に縦弾性波を付与する振動付与手段と、を備える。
【0012】
また、本発明のデバイスは、前記振動部が、前記長尺部材の周方向における一部側面を前方へ向けて傾斜させることで当該長尺部材の外形形状を変化させて形成される反射面により前記縦弾性波の進行方向を変更させる変更部と、当該振動部の先端側に位置し前記変更部で進行方向が変更した縦弾性波により横振動が誘起される動作部と、を少なくとも有する。
【0013】
本発明のデバイスは、前記振動部における前記変更部と前記動作部との間に、前記変更部において進行方向を変更させた縦弾性波を集約する集約部を有することが好ましい。
【0014】
本発明のデバイスは、前記動作部が、前記変更部又は前記集約部の外形形状を不連続に拡大してなることが好ましい。
【0015】
本発明のデバイスは、前記動作部が、前記変更部における前方端の外形形状を一定のまま延長してなることが好ましい。
【0016】
本発明のデバイスは、前記長尺部材がカテーテルであることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の参考発明である長尺部材の横振動生成方法は、後方から伝播する縦弾性波の進行方向を外形形状の変化により前方へ向かう範囲内で変更させるが、その際に一部が横弾性波に変換され、前記進行方向を変更した縦弾性波と前記横弾性波との相乗作用により先端に横振動を誘起するものであるので、長尺部材の先端から離れた位置に振動を付与する場合であっても、該長尺部材の先端部を確実に横振動させることができる。
【0018】
また、本発明のデバイスは、長尺部材の後端に縦弾性波を付与する振動付与手段を備えるものであり、該長尺部材の先端から離れた位置に振動付与手段を配設するものであるため、該振動付与手段についてサイズの制約が小さく、出力の大きな振動付与手段を用いることができる。また、本発明のデバイスは、長尺部材の後端に縦弾性波を付与するものであるので、前記長尺部材の伝播途中における弾性波のエネルギー損失を低く抑えることができる。そして、本発明のデバイスは、後方から伝播する縦弾性波の進行方向を前方へ向かう範囲内で変更させて横振動を誘起する振動部が先端部に設けられる長尺部材を備えるものであるため、長尺部材の先端から離れた位置に振動付与手段を配設する場合であっても、前記縦弾性波が進行方向を変更するに際し一部が横弾性波に変換され、該進行方向を変更した縦弾性波と該横弾性波との相乗作用により当該長尺部材の先端が確実に横振動する。
【0019】
本発明のデバイスは、前記振動部が、長尺部材の周方向における一部側面を前方へ向けて傾斜させることで当該長尺部材の外形形状を変化させて形成される反射面により縦弾性波の進行方向を変更させる変更部と、当該振動部の先端側に位置し前記変更部で進行方向が変更した縦弾性波により横振動が誘起される動作部と、を少なくとも有するので、前記変更部で進行方向が変更した縦弾性波と該縦弾性波の進行方向の変更に際し一部が変換された横弾性波との相乗作用により長尺部材の先端に位置する前記動作部が確実に横振動する。
【0020】
本発明のデバイスは、前記振動部における前記変更部と前記動作部との間に、前記変更部において進行方向を変更させた縦弾性波を集約する集約部を有するものであれば、該集約部で縦弾性波のエネルギーが集約され、前記動作部に大きな横振動が誘起される。
【0021】
本発明のデバイスは、前記動作部が、前記変更部又は前記集約部の外形形状を不連続に拡大してなるものであれば、当該不連続に拡大する前記動作部の質量と曲げ剛性により該動作部の変位を拡大することができるとともに、断面積の違いを利用して該動作部から後方への縦弾性波の戻りを遮断することができるため、当該動作部の横振動による動作を適切に制御することが可能となる。
【0022】
本発明のデバイスは、前記動作部が、前記変更部における前方端の外形形状を一定のまま延長してなるものであれば、当該動作部に微細な横振動が誘起される。
【0023】
本発明のデバイスは、前記長尺部材がカテーテルであれば、生体内における病変部、例えば血管内における血栓溶解やその他生体内における腫瘍切除等を適切に行うことができる。
【0024】
なお、本発明において「長尺部材」とは、特定の長さや特定のアスペクト比以上の部材に限定することを意味するものでなく、本発明によって当該部材の先端を横振動させることができる全てを包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態における医療用マイクロデバイスの概略説明図。
【図2】図1に示す医療用マイクロデバイスにおけるカテーテルの先端側斜視図。
【図3】図2に示すカテーテルの説明図。
【図4】図1に示す医療用マイクロデバイスにおけるカテーテル先端部の各種態様の模式図。
【図5】本発明の他の実施の形態におけるデバイスの概略説明図。
【図6】本発明の他の実施の形態におけるデバイスの概略説明図。
【図7】本発明の他の実施の形態におけるデバイスの概略説明図。
【図8】本発明においてデバイスを構成する長尺部材の他の例を示す先端側斜視図。
【図9】本発明においてデバイスを構成する長尺部材先端部の他の態様を示す側方から見た模式図。
【図10】従来の医療用機器の使用状況の概略説明図。
【図11】従来の医療用機器におけるカテーテルの作動状況の概略説明図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<本発明の実施の形態>
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の実施の形態における医療用マイクロデバイスの概略説明図であって、(a)は該医療用マイクロデバイスの使用状況の説明図、(b)は該医療用マイクロデバイスにおける振動部4の側面拡大図、(c)は(a)におけるA-A断面図を示す。
また、図2は、図1の医療用マイクロデバイスにおけるカテーテルの先端側斜視図を示す。
図3は、図2に示すカテーテルの説明図であって、(a)は図2におけるB方向から見た図、(b)は(a)のC方向から見た図、(c)は(a)のD方向から見た図を示す。

【0027】
図1に示す本実施の形態における医療用マイクロデバイス1は、カテーテル2と、該カテーテル2を内包する透明チューブ3を備える。該カテーテル2の先端部には振動部4が一体的に設けられている。また、該カテーテル2の後端には圧電素子5が配設されている。当該圧電素子5は、前記カテーテル2の後端に対し縦弾性波を付与するものである。さらに、前記チューブ3内には薬剤注入路6と病変部吸入路7が形成されている。

【0028】
図1乃至図3に示すように、本実施の形態において、カテーテル2は、ワイヤ等の長尺な弾性体材料からなり軸方向に同一又は略同一な円形の外形形状を有する部材であって、先端部に振動部4が設けられるものである。

【0029】
本実施の形態において、カテーテル2の先端部に設けられる振動部4は、図1乃至図3に示すように変更部41と集約部42と動作部43から構成される。
ここで、前記振動部4は、カテーテル2の先端部を加工して形成するものでもよいし、別部材で形成した後にカテーテル2の先端に接着剤等の適宜の手段により取り付けるものでもよい。振動部4を別部材で形成する場合は、カテーテル2先端との界面における縦弾性波の反射や減衰への影響を考慮して、カテーテル2と材料密度が同程度の弾性体材料を用いることが好ましい。

【0030】
前記振動部4における変更部41は、後方からカテーテル2を伝播する縦弾性波の進行方向を、該縦弾性波が当該振動部4の先端に向かう範囲内で変更させる部位である。図1乃至図3に示す例では、当該変更部41は、図3(a)におけるC方向から見た図において外形の一部を削るように前方に向けて傾斜させた縦弾性波の反射面411を有するものである。
ここで、当該変更部41は、後方からカテーテル2を伝播する縦弾性波の進行方向を、該縦弾性波が当該振動部4の先端に向かう範囲内で変更させることができれば、該縦弾性波が複数回反射を繰り返しても後方への戻り波を生じることがない範囲内で適宜な構造とすることができる。
本実施の形態において、前記カテーテル2は、当該振動部4の変更部41において前記縦弾性波の進行方向を変更させるが、その際に一部が横弾性波に変換され、前記進行方向を変更した縦弾性波と前記横弾性波との相乗作用により前記動作部43に横振動が誘起される。

【0031】
次に、前記振動部4における集約部42は、前記変更部41において進行方向を変更させた縦弾性波を繰り返し反射させ、前記動作部43を横振動させるためのエネルギーを集約する部位である。図1乃至図3に示す例では、前記集約部42は、前記変更部41における前方端の外形形状を一定のまま前方に延長してなるものである。
本実施の形態において、前記カテーテル2は、前記変更部41で進行方向が変更した縦弾性波のエネルギーを当該集約部42において集約することで前記動作部43に大きな横振動が誘起されるものである。

【0032】
前記振動部4における動作部43は、前記集約部42で集約した縦弾性波のエネルギーにより大きな横振動が誘起される部位である。図1乃至図3に示す例では、前記動作部43は、前記集約部42における前方端の外形形状を不連続に拡大してなるものである。
本実施の形態において、前記カテーテル2は、前記集約部42の前方端から外形形状が拡大する動作部43の質量と曲げ剛性により該動作部43の変位を拡大することができる。
また、本実施の形態において、前記カテーテル2の先端部に設けられる振動部4の動作部43は、前記集約部42における前方端の外形形状を不連続に拡大してなるものであるので、断面積の違いを利用して該動作部43から後方への縦弾性波の戻りを遮断することができ、前記動作部43の前記横振動による動作を適切にコントロールすることが可能となる。

【0033】
図1に示すように、本実施の形態における医療用マイクロデバイス1は、生体外に配設される圧電素子5からカテーテル2後端に付与される縦弾性波により、生体内、例えば血管内に挿入され該カテーテル2の先端部に設けられる振動部4の動作部43が横振動するものである。そして、本実施の形態における医療用マイクロデバイス1は、カテーテル2
を内包するチューブ3に形成される薬剤注入路6の先端から薬剤を注入し前記動作部43を横振動させて撹拌することで血栓を効果的に溶解させ、血管中に溶解しきれずに残る細かな血栓を該チューブ3に形成される病変部吸入路7の先端から吸入し生体外に排出するものである。

【0034】
本実施の形態における医療用マイクロデバイス1は、圧電素子5が生体外に配設されるので、該圧電素子5についてサイズが制限されず大きな出力を確保することができる。また、本実施の形態における医療用マイクロデバイス1は、圧電素子5からカテーテル2の後端に縦弾性波を付与するので、横弾性波を付与する場合のようにカテーテル2の伝播途中においてチューブ3にエネルギーをあまり多く吸収されずに済む。そして、本実施の形態における医療用マイクロデバイス1は、カテーテル2の先端部に設けられる振動部4の上記構造によって、カテーテル2の後端に付与される縦弾性波により該振動部4の動作部43を確実に横振動させることができる。

【0035】
図4は、上記本実施の形態の医療用マイクロデバイスにおけるカテーテル先端部の各種態様の模式図を示す。これらは、図3(a)におけるC方向から見たものに対応する。
図4(a)は、図1乃至図3に示されるカテーテルに対応するものであって、カテーテル2の先端部に変更部41と集約部42と動作部43を有する振動部4が設けられ、カテーテル2の後端に当該カテーテル2に縦弾性波を付与する圧電素子5が配設されるものである。

【0036】
図4(b)及び図4(c)は、上記本実施の形態の医療用マイクロデバイスにおけるカテーテル先端部の他の態様を示す模式図である。
図4(b)に示すカテーテル2は、外形の一部を前方に向けて直線状に傾斜させた縦弾性波の反射面411を有する変更部41と、該変更部41における前方端の外形形状を不連続に拡大する動作部43とを有する振動部4が先端部に設けられるものである。

【0037】
図4(c)に示すカテーテル2は、外形の一部を前方へ向けて直線状に傾斜させた縦弾性波の反射面411を有する変更部41と、該変更部41における前方端の外形形状を一定のまま延長してなる動作部43とを有する振動部4が先端部に設けられるものである。本態様において、前記カテーテル2先端部に設けられる振動部4の動作部43には微細な横振動が誘起される。

【0038】
上記本発明の実施の形態において、圧電素子5は生体外に位置する状態で使用するものとして説明したが、サイズ制限が厳しくなければ当該圧電素子5は生体内に位置する状態で使用するものでもよい。

【0039】
上記本発明の実施の形態における医療用マイクロデバイスは、カテーテルの先端部に設けられる振動部の動作部を横振動させるものであったが、本発明は上記医療用マイクロデバイスに限らない。本発明は、縦弾性波が伝播する弾性体材料からなり軸方向に同一又は略同一な外形形状を有する長尺な部材を備える他のデバイスに適用できるものである。

【0040】
<本発明の他の実施の形態>
図5は、本発明の他の実施の形態における二液混合デバイス60を示す。
本実施の形態における二液混合デバイス60は、二つの配管61a,61bが合流する地点に撹拌部材62が配置され、当該撹拌部材62によって前記二つの配管61a,61bから供給される二液を合流地点において撹拌混合し集合配管63に供給するものである。
当該二液混合デバイス60においても、前記撹拌部材62は、長尺部材の先端部に振動部64が設けられるとともに、該長尺部材の後端に圧電素子65が配設されるものである。
そして、当該二液混合デバイス60は、前記撹拌部材62が長尺部材の後端に対し前記圧電素子65により縦弾性波を付与され、当該縦弾性波によって振動部64先端の動作部が横振動することにより、二液を混合撹拌するものである。

【0041】
図6は、本発明の他の実施の形態における微小粒子等の分別デバイス70を示す。
本実施の形態における分別デバイス70は、一つの配管71が二つの配管73a,73bに分岐する地点に分別部材72が配置され、当該分別部材72によって前記一つの配管71から供給される複数の微小粒子等の中から特定の微粒粒子76を二つの配管73a,73bの内の一方の配管73aに分別するものである。
当該分別デバイス70においても、前記分別部材72は、長尺部材の先端部に振動部74が設けられるとともに、該長尺部材の後端に圧電素子75が配設されるものである。
そして、当該分別デバイス70は、前記分別部材72が長尺部材の後端に対し前記圧電素子75により縦弾性波を付与され、当該縦弾性波によって振動部74先端の動作部が横振動することにより、微小粒子等を分別するものである。

【0042】
図7は、本発明の他の実施の形態におけるマイクロマシンにおける伝動装置80を示す。
本実施の形態における伝動装置80は、二つのマイクロ歯車81a,81bを備え、一方のマイクロ歯車81aを駆動部材82によって駆動し、当該マイクロ歯車81aの回転を他方のマイクロ歯車81bに伝動することで、往復動部材83を往復動させるものである。
当該伝動装置80においても、前記駆動部材82は、長尺部材の先端部に振動部84が設けられるとともに、該長尺部材の後端に圧電素子85が配設されるものである。
そして、当該伝動装置80は、前記駆動部材82が長尺部材の後端に対し前記圧電素子85により縦弾性波を付与され、当該縦弾性波によって振動部84先端の動作部が横振動することにより、前記一方のマイクロ歯車81aを回転駆動するものである。
ここで、前記駆動部材82は、振動部84の先端にマイクロ歯車81aと噛み合う歯が形成され、当該振動部84の先端が、図7において下方に移動する場合にのみ前記マイクロ歯車81aと噛み合うように横振動させればよい。

【0043】
上記本発明の各実施の形態におけるデバイスは、長尺部材の外形形状を、図1乃至図3に示す円形に代えて、用途や目的に応じた適宜なものとすることができる。
図8は、本発明においてデバイスを構成する長尺部材の他の例の先端側斜視図を示す。
図8に示す長尺部材は、軸方向に同一又は略同一な角形の外形形状を有するものであり、その先端部に変更部、集約部、動作部からなる振動部が設けられるものである。

【0044】
上記本発明の各実施の形態におけるデバイスは、長尺部材の先端部に設けられる振動部の構造を、前記長尺部材の後方から伝播する縦弾性波の進行方向を前方へ向かう範囲内で変更させて先端動作部を横振動させることができる範囲内において適宜変更することが可能である。
図9は、本発明においてデバイスを構成する長尺部材の先端部の他の態様を側方から見た模式図を示す。
上記本発明の各実施の形態において、振動部における変更部は、側方から見て該振動部の外形の一部を進行方向前方へ向けて例えば直線状に傾斜させた縦弾性波の反射面を有するものであったが、例えば図9(a)に示すように、振動部24における変更部241の縦弾性波の反射面2411は、側面視において指数関数的な形状の曲面であってもよい。また、図9(b)に示すように、振動部24を長尺部材の先端部に当該長尺部材の軸心に対し屈折した状態で設け、該屈折状態を利用した反射面2411を有するものとしてもよい。

【0045】
本発明の各実施の形態におけるデバイスは、長尺部材の材料、振動部における変換部、集約部、動作部の各寸法や構造、圧電素子により長尺部材の後端に付与する周波数などを適宜組み合わせることにより、当該長尺部材先端の動作部に誘起される振動の周期や振幅、その他の動きを用途や目的に応じて調整可能である。

【0046】
上記本発明の各実施の形態として、医療用マイクロデバイス、二液混合デバイス、微小粒子等の分別デバイス、マイクロマシンにおける伝動装置を例示したが、本発明は、上記実施の形態に例示したデバイスに限るものではなく、例えば、各種配管内に付着する付着物を除去するデバイス等、様々な分野の様々なデバイスに適用できるものである。
そして、長尺部材の先端部に設けられる振動部の動作部は、それぞれの用途や目的に応じた適宜の構造とすることができる。

【0047】
なお、上記本発明の各実施の形態において、長尺部材の後端には圧電素子5により縦弾性波を付与するものとしたが、それ以外の振動子を用いてもよいことはいうまでもない。

【0048】
本発明において「長尺部材」とは、特定の長さや特定のアスペクト比以上の部材に限定することを意味するものでなく、本発明によって当該部材の先端を横振動させることができる全てを包含するものである。

【0049】
本発明は、上記実施の形態に限るものでなく発明の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜構成を変更できることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の長尺部材の先端に横振動を誘起する長尺部材の横振動生成方法及び長尺部材の先端部に振動部が設けられるマイクロデバイスは、幅広い分野で利用可能であり非常に有用である。
【符号の説明】
【0051】
1 医療用マイクロデバイス
2 カテーテル(長尺部材)
3 透明チューブ
4 振動部
41 変更部
411 反射面
42 集約部
43 動作部
5 圧電素子
6 薬剤注入路
7 病変部吸入路
12 長尺部材
14 振動部
24 振動部
60 二液混合デバイス
61a,61b 配管
62 撹拌部材(長尺部材)
63 集合配管
64 振動部
65 圧電素子
70 微小粒子等の分別デバイス
71 配管
72 分別部材(長尺部材)
73a,73b 配管
74 振動部
75 圧電素子
76 特定の微粒粒子
80 マイクロマシンにおける伝動装置
81a,81b マイクロ歯車
82 駆動部材(長尺部材)
84 振動部
85 圧電素子
110 医療用機器
111 カテーテル
112 圧電素子
120 血管
121 血栓
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10