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明細書 :金属ナノ粒子焼結体から成る機能性膜を形成する方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2013-247181 (P2013-247181A)
公開日 平成25年12月9日(2013.12.9)
発明の名称または考案の名称 金属ナノ粒子焼結体から成る機能性膜を形成する方法
国際特許分類 H05K   3/12        (2006.01)
B23K  26/00        (2006.01)
B23K  26/14        (2006.01)
B22F   3/105       (2006.01)
B22F   7/04        (2006.01)
H05K   3/10        (2006.01)
B82Y  30/00        (2011.01)
FI H05K 3/12 610D
B23K 26/00 M
B23K 26/00 N
B23K 26/14 Z
B23K 26/00 G
B22F 3/105
B22F 7/04 D
H05K 3/10 C
H05K 3/12 610J
B82Y 30/00
請求項の数または発明の数 4
出願形態 OL
全頁数 9
出願番号 特願2012-118587 (P2012-118587)
出願日 平成24年5月24日(2012.5.24)
発明者または考案者 【氏名】前川 克廣
【氏名】山崎 和彦
【氏名】御田 護
出願人 【識別番号】504203572
【氏名又は名称】国立大学法人茨城大学
【識別番号】512136400
【氏名又は名称】株式会社 M&M研究所
個別代理人の代理人 【識別番号】100074631、【弁理士】、【氏名又は名称】高田 幸彦
審査請求 未請求
テーマコード 4E068
4K018
5E343
Fターム 4E068AH03
4E068CA02
4E068CA17
4E068CB02
4E068CC03
4E068CJ06
4E068DB01
4K018AA02
4K018AA03
4K018AA07
4K018BA01
4K018BA02
4K018BA04
4K018BB05
4K018DA24
4K018DA33
4K018DA50
4K018JA22
4K018KA32
5E343AA02
5E343AA15
5E343AA16
5E343AA17
5E343AA18
5E343AA22
5E343AA23
5E343BB23
5E343BB25
5E343BB44
5E343BB72
5E343DD03
5E343DD12
5E343ER37
5E343ER45
5E343FF02
5E343FF13
5E343FF30
5E343GG02
要約 【課題】レーザ焼結雰囲気中の酸素濃度を最適化することにより、各種基板との密着性に優れた金属ナノ粒子焼結体から成る機能性膜の形成方法を提供すること。
【解決手段】
基板に金属ナノ粒子ペーストを印刷した後、不活性ガス雰囲気中で前記ペーストにレーザ光を照射し、前記基板上に金属ナノ粒子焼結体の機能性膜を形成する方法において、前記ペーストを取り囲む雰囲気の酸素濃度を測定し、測定された酸素濃度に応じて不活性ガスの噴射量を決定し、前記ペーストを取り囲む雰囲気に当該量の不活性ガスを噴射して、前記酸素濃度を、予め求めた前記基板が劣化しない値、例えば0.1容量%以下に調整する。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
基板に金属ナノ粒子ペーストを印刷した後、前記金属ナノ粒子ペーストにレーザ光を照射し、前記基板上に金属ナノ粒子焼結体から成る機能性膜を形成する方法において、
前記レーザ光が照射されている前記金属ナノ粒子ペーストを取り囲む雰囲気に常時不活性ガスを供給すると同時に、前記雰囲気の酸素濃度を測定し、
測定された酸素濃度に応じて前記不活性ガスの前記雰囲気への供給量を制御して、前記酸素濃度を予め求めた前記基板が劣化しない値以下に調整する、
ことを特徴とする金属ナノ粒子焼結体から成る機能性膜の形成方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記酸素濃度を予め求めた前記基板が劣化しない値以下に調整するための、前記酸素濃度と前記不活性ガスの前記雰囲気への供給量との関係を予め求め、それらの関係を記憶しておき、前記測定された酸素濃度を基に前記記憶された関係に基づいて前記不活性ガスの供給量を制御することを特徴とする金属ナノ粒子焼結体から成る機能性膜の形成方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法において、前記酸素濃度を0.1容量%以下に調整することを特徴とする金属ナノ粒子焼結体から成る機能性膜の形成方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の方法において、前記レーザ光が照射されている金属ナノ粒子ペーストの局所的温度を測定し、測定された温度に基づいて前記レーザ光の出力を調整することを特徴とする金属ナノ粒子焼結体から成る機能性膜の形成方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電子回路等の製造時に、レーザ光を用いて、金属基板または樹脂基板などの上に金属ナノ粒子焼結体から成る機能性膜を形成する方法に係り、特に、各種基板との密着性に優れた金属ナノ粒子焼結体から成る機能性膜を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ焼結技術を用いて、各種基板上に金属ナノ粒子焼結体から成る機能性膜を形成する方法として、従来、特許文献1や特許文献2に記載された方法が知られている。特許文献1は本願発明者らの文献であり、ここには、電気絶縁基板または金属銅などの導電体層を有する基板上に、本発明と同様の目的である基板との密着性に優れたレーザ焼結機能性膜を形成する方法が示されている。この特許文献1に示された発明では、印刷された金属ナノ粒子ペーストをレーザ焼結するにあたり、基板の前処理等を含めて、それぞれ用途別に異なる波長のレーザ光(λ、λ、λ)を順次照射して、レーザ焼結膜と基板との密着性を高めるようにしている。また、特許文献2には、レーザ光による金属ナノ粒子焼結において、反射率測定器を用いて焼結状態をフィードバックしてレーザ照射時間を制御することで、基板温度を上げずに基板上に線状もしくは突起状の形状を形成する方法が示されている。
【0003】
さらにまた、基板上への機能性膜の形成方法については触れていないが、類似の技術であるレーザ加工技術において、レーザ照射される被加工物の表面温度を検知して、レーザ光の出力を制御することにより被加工物を高品質に加工する技術も知られている。例えば、特許文献3に記載された発明においては、その明細書の段落[0009]、[0010]および[0016]に記載されているように、レーザ光照射部であるワーク(被加工物)表面の温度を赤外線放射温度計により測定し、その赤外線放射温度計の出力する温度データを予め記憶してある制御パターンと比較し、その比較結果に応じて、レーザ光の出力をレーザ光出力調整部で調整し、ワーク表面のレーザ光照射部の温度を一定に保つようにしている。ここに開示された発明によれば、レーザ光が安定してワーク表面に吸収されるようになるため、高品質の加工が可能となる。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2009-283783号公報
【特許文献2】特開平6-340901号公報
【特許文献3】特開平5-8062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、不活性ガス雰囲気下のレーザ焼結法では、レーザ光が照射される箇所での局所的な基板の温度上昇により基板の劣化が促進されるという問題がある。また、不活性ガス雰囲気下のレーザ焼結法では、レーザ光エネルギーによる瞬間的な高温熱分解効果により焼結が可能であるが、温度が高いために、酸素がたとえ極微量であっても基板の酸化劣化が加速され、焼結膜の密着性が低下するという問題がある。前者の問題に対しては、特許文献1のように、予め照射するレーザ光の波長、位置、強度などを設定しておくとか、特許文献2や3のように、直接焼結状態あるいは被加工物の表面温度を検知して、その情報をフィードバックし、レーザ光の照射時間を制御するとか、レーザ光の照射強度を制御する方法が取られている。しかし、後者の問題に対しては、これまで有効な手立てがなされて来なかった。
【0006】
従って、本発明の目的は、レーザ焼結雰囲気中の酸素濃度を、基板の表面に形成した導電性薄膜が参加劣化しない(以下、これを基板の酸化劣化という。)値以下に最適化することにより、各種基板との密着性に一層優れた金属ナノ粒子焼結体から成る機能性膜の形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの観点によれば、基板に金属ナノ粒子ペーストを印刷した後、ペーストにレーザ光を照射し、基板上に金属ナノ粒子焼結体から成る機能性膜を形成する方法において、レーザ光が照射されているペーストを取り囲む雰囲気に常時不活性ガスを供給すると同時に、上記雰囲気の酸素濃度を測定し、測定された酸素濃度に応じて不活性ガスの供給量を制御することによって、酸素濃度を予め求めた前記基板が酸化劣化しない値以下に調整するようにしている。
【0008】
上述の方法においては、前記酸素濃度を予め求めた前記基板が酸化劣化しない値以下に調整するための、前記酸素濃度と前記不活性ガスの供給量との関係を予め求め、それらの関係を例えばコンピュータの記憶装置にテーブルとして記憶しておき、前記測定された酸素濃度を基に前記テーブルを参照して前記不活性ガスの供給量を制御することが好ましい。
【0009】
上述の方法においては、酸素濃度の測定に加え、前記レーザ光が照射されている金属ナノ粒子ペーストの局所的温度を測定し、測定された温度に基づいて前記レーザ光の出力を調整することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、機能性膜の形成対象である基板の酸化劣化を防止できる。その結果、基板とそこに形成される膜間の密着性に優れた金属ナノ粒子焼結体から成る機能性膜を、安定的に形成することができる。すなわち、本発明では、予め基板の酸化劣化と酸素濃度との関係を調べ、レーザ焼結雰囲気中の酸素濃度が最適な値になるように、不活性ガスのレーザ焼結雰囲気中への供給量を制御する方法を取っているため、基板の酸化劣化を防止でき、各種基板との密着性に優れた金属ナノ粒子焼結体から成る機能性膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る方法を実施するための装置の概略構成図である。
【図2】予め求められた酸素濃度と不活性ガス供給量との関係を示すグラフである。
【図3】レーザ焼結膜の密着性試験方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の金属ナノ粒子焼結体から成る機能性膜の形成方法について、図1に示された装置を参照して説明する。図1は本発明に係る方法を実施するための装置の概略構成図であって、図において、符号1は、金属または樹脂製の基板である。この基板1は平坦なステージ12上に配置される。基板1の表面には、印刷等によって金属ナノ粒子ペースト膜2が形成されている。また、符号3は金属ナノ粒子ペースト膜2を焼結するためのレーザ光照射装置である。

【0013】
また、符号4は前記レーザ光が照射されているペーストを取り囲む雰囲気の酸素濃度を検知するための酸素濃度計であり、雰囲気ガスが、先端がペースト近傍まで延びている雰囲気ガス定量吸入管5を介して酸素濃度計4に取り込まれるようになっている。酸素濃度計4としては、ガルバノ式酸素濃度計が好適である。ガルバノ式酸素濃度計としては、ガルバノ電池式酸素濃度計や酸素励起蛍光感知式酸素濃度計などの市販品を使用でき、例えば、0~100容量%の酸素濃度測定が可能である大榮エンジニアリング株式会社製のガルバノ電池式酸素濃度計「オキシマン」(登録商標)が好適である。

【0014】
さらにまた、レーザ焼結時に、レーザ光が照射されている金属ナノ粒子ペースト膜2の局所的温度を測定するため、赤外線放射温度計6も設けられている。局所的温度を測定するため、赤外線放射温度計6からペースト近傍まで赤外線放射温度測定プローブ7が設けられている。赤外線放射温度計6としては、赤外線中空ファイバー、石英系光ファイバー、赤外線カメラなどの市販品を使用でき、例えば、日立電線株式会社製の赤外線用中空ファイバー放射温度計を使用できる。

【0015】
レーザ光が照射されているペーストを取り囲む雰囲気に不活性ガス15を供給するため、不活性ガスタンク8、不活性ガスの供給量を制御するための制御弁9、制御された不活性ガス15をレーザ焼結部に供給するための不活性ガス供給ノズル10とノズル上部を取り囲むように設けられたカバー11が設けられている。カバー11は不活性ガス15の上方への漏洩を極力抑え、焼結部に効率的に送り込むためのものであり、その材質は、金属、樹脂など加工の容易なものであれば良く、特に制約はない。また、符号100は、例えばマイクロコンピュータなどのコンピュータで、処理装置(CPU)、記憶装置(M)及び入出力装置(I/O)を備えていれば、どのようなものであっても良い。コンピュータ100には、酸素濃度計4と赤外線放射温度計6からの信号が入力され、コンピュータ100において所定のプログラムに従って処理された結果が、制御信号としてレーザ光照射装置3や制御弁9に与えられるようになっている。

【0016】
次に、図1に示された装置の動作について説明する。
最初に、ステージ12上の所定の位置に、金属ナノ粒子ペースト膜2が印刷された基板1が配置される。コンピュータ100からの指令により、制御弁9が開放され、不活性ガスが不活性ガスタンク8から不活性ガス供給ノズル10を介して、焼結部に常時供給される。その後、レーザ光照射装置3から照射されるレーザ光によって金属ナノ粒子ペースト膜2が焼結される。焼結時には、酸素濃度計4によって、前記レーザ光が照射されている金属ナノ粒子ペーストを取り囲む雰囲気の酸素濃度が雰囲気ガス定量吸入管5を介して測定され、その測定値が所定のサンプリング間隔でコンピュータ100に取り込まれる。同時に、赤外線放射温度計6によって、レーザ光が照射されている金属ナノ粒子ペースト膜2の局所的温度が赤外線放射温度測定プローブ7を介して測定され、同様に、その測定値が所定のサンプリング間隔でコンピュータ100に取り込まれる。これらのサンプリング間隔は、焼結速度を考慮して設定されるが、両者のサンプリング間隔はかならずしも同じである必要はない。

【0017】
コンピュータ100の記憶装置(M)には、後述する図2のグラフに相当するテーブルが予め記憶されており、このデータベースを参照して、測定された酸素濃度に対応する不活性ガス流量を与えるための制御弁9の開度が処理装置(CPU)で求められ、求められた開度制御信号がコンピュータ100の入出力装置(I/O)を介して、制御弁9に送られる。その結果、不活性ガス供給ノズル10から実質的に現時点の酸素濃度に見合った適切な量の不活性ガス量が供給される。その結果、過剰酸素濃度による基板の酸化や劣化を防止できるので、各種基板との密着性に優れた金属ナノ粒子焼結体から成る機能性膜を形成することができるようになる。

【0018】
赤外線放射温度計6の測定温度は、周期的にコンピュータ100の記憶装置(M)に記憶されたしきい値と比較され、必要に応じてレーザ光照射装置3に制御信号を出力し、レーザ光の発振出力を調整する。

【0019】
図2に酸素濃度(容量%)とアルゴンガス流量(L/min)との関係を示すグラフを示す。図2のグラフは、図1の装置を用いて、予め実験で、アルゴンガス流量を0、0,5、1,0、1,5、2,0、2,5、3,0 L/minと変化させ、その時の酸素濃度の測定結果を示めしている。この実験は3回行ったが、アルゴンガス流量が1,5 L/minで、酸素濃度はほぼ0.2 容量%よりもやや低い値を示し、アルゴンガス流量が2,0 L/minで、酸素濃度は0.1 容量%よりもかなり低い値を示した。

【0020】
図2のグラフにおいて、酸素濃度が0.2容量%を超える範囲(矢印200で示される範囲)では、レーザ焼結膜2の基板1への密着性が十分ではなかった。レーザ焼結膜2と基板1の密着性は、図3に示される方法で調べた。まず、図3(a)に示されたようなパンチ30とダイス31の組み合わせを使用して、焼結膜を内側にして90度に曲げた。このときパンチ30の先端のRは0.1mmで行った。次に、図3の(b)に示すように、曲げ部を戻し開いてからテープ32を貼り付け、剥離させた。このテープの接着力は、所定の剥離力を作用させたときの剥離の有無で評価した。所定の剥離力は、例えば100gf/cm2であった。

【0021】
なお、図示はしていないが、レーザ出力と金属ナノ粒子ペースト膜の焼結温度の相関関係を示すテーブルは、次のようにして求めることができる。赤外線用中空ファイバー放射温度計を用いて、銀ナノ粒子ペースト印刷パッドの焼結時の温度を測定する。そして、レーザ照射時間50msにおける、レーザ出力と焼結温度の関係を、レーザ出力を50Wから100Wの範囲で変化させて測定する。その結果、焼結時の温度はレーザ出力上昇と共に上昇し、レーザ出力と焼結時温度の相関関係を得ることができる。
【実施例1】
【0022】
平均粒子径6ナノメートルの銀ナノ粒子ペーストを用いて、インクジェット印刷装置(図示せず)により、厚さ0.1mmの銅基板1上に、直径0.2mm、厚さ4μmの印刷パッド(膜2)を形成した。この印刷パッド(膜2)にアルゴンガスを噴射ノズル10により噴射しながら、波長1064ナノメートルのNd:YAGレーザを照射して銀ナノ粒子ペーストを焼結した。このとき、銀ナノ粒子ペースト印刷パッドのレーザ焼結時の酸素濃度を、上述の大榮エンジニアリング株式会社製のガルバノ電池式酸素濃度計4を用いて測定し、アルゴンガス流量を、レーザ出力100W、照射時間50msにおけるレーザ照射時の印刷パッド近傍の酸素濃度データから、印刷パッド近傍の酸素濃度が0~0.1容量%になるように調節した。その結果、銅基板との密着性に優れ、かつ空孔のない良質の銀ナノ粒子焼結膜を得ることができた。
【実施例2】
【0023】
平均粒子径6ナノメートルの銀ナノ粒子ペーストを用いて、インクジェット印刷装置(図示せず)により、厚さ50μmのポリイミドフィルム上に、直径0.2mm、厚さ4μmの印刷パッド(膜2)を形成した。この印刷パッド(膜2)にアルゴンガスを噴射ノズル10により噴射しながら、波長1064ナノメートルのNd:YAGレーザを照射して銀ナノ粒子ペーストを焼結した。このとき、銀ナノ粒子ペースト印刷パッドのレーザ焼結時の酸素濃度を、上述の大榮エンジニアリング株式会社製のガルバノ電池式酸素濃度計4を用いて測定し、アルゴンガス流量を、レーザ出力100W、照射時間50msにおけるレーザ照射時の印刷パッド近傍の酸素濃度データから、印刷パッド近傍の酸素濃度が0~0.1容量%になるように調節した。その結果、ポリイミド基板との密着性に優れ、かつ空孔のない良質の銀ナノ粒子焼結膜を得ることができた。
〔比較例〕
【実施例2】
【0024】
平均粒子径6ナノメートルの銀ナノ粒子ペーストを用いて、インクジェット印刷装置(図示せず)により、厚さ0.1mmの銅基板1上に、直径0.2mm、厚さ4μmの印刷パッド(膜2)を形成した。この印刷パッド(膜2)に波長1064ナノメートルのNd:YAGレーザを照射して銀ナノ粒子ペーストを焼結した。このとき、銀ナノ粒子ペースト印刷パッドのレーザ焼結時の酸素濃度を、上述の大榮エンジニアリング株式会社製のガルバノ電池式酸素濃度計4を用いて測定したところ、印刷パッド近傍の酸素濃度が0.2容量%であった。このようにして作製したレーザ焼結膜について、図3の方法で密着性試験を行ったところ、剥離が発生した。
【実施例2】
【0025】
上述の実施例では、大榮エンジニアリング製のガルバノ電池式酸素濃度計を使用したが、オーシャンオプティクス社製(東京)の光学式酸素濃度測定システムを使用しても良い。この場合は、酸素濃度0~10容量%の測定が可能なFOSPOR式がある。これは、励起酸素から発せられる蛍光強度を検知する光学式測定装置であり、レーザ焼結における雰囲気ガスを定量吸引するガルバノ方式と異なり、センサーを金属ナノ粒子印刷パッド近傍に配置して、蛍光の受光強度から酸素濃度を求める。
【実施例2】
【0026】
また、上述の実施例では、いずれもレーザ光源として波長1064ナノメートルのNd:YAGレーザを用いたが、波長980ナノメートルの半導体レーザ、波長10.6μmの炭酸ガスレーザ、波長2.94μmのEr:YAGレーザなどを用いることもできる。
【実施例2】
【0027】
上述の説明では、機能性膜を形成する基板として、銅基板またはポリイミド樹脂基板の場合について説明したが、基板については特に限定されるものではなく、例えば、金属基板としては、銅合金、鉄系金属、アルミニウム系基板などを用いても良い。また、金属系以外の基板として、ガラスエポキシ、液晶ポリマー、セラミック基板などを用いても良い。また、金属ナノ粒子ペーストとして、銀ナノ粒子ペーストの例について説明したが、金、銅、ニッケルなどの金属ナノ粒子ペーストを用いても良い。
【実施例2】
【0028】
さらに、上述の説明では、インクジェット印刷によって金属ナノ粒子ペーストを基板に印刷したが、ディスペンサー装置やスクリーン印刷装置などで印刷しても良い。
【符号の説明】
【0029】
1・・・基板
2・・・金属ナノ粒子ペースト膜
3・・・レーザ光照射装置
4・・・酸素濃度計
5・・・雰囲気ガス定量吸入管
6・・・赤外線放射温度計
7・・・赤外線放射温度測定プローブ
8・・・不活性ガスタンク
9・・・制御弁
10・・・不活性ガス供給ノズル
11・・・カバー
12・・・ステージ
15・・・不活性ガス
30・・・パンチ
31・・・ダイス
32・・・接着剤付テープ
100・・・コンピュータ
200・・・温度範囲説明用矢印
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2