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明細書 :窒素原子を含む環構造を有する光学活性な芳香族化合物の製法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2014-240365 (P2014-240365A)
公開日 平成26年12月25日(2014.12.25)
発明の名称または考案の名称 窒素原子を含む環構造を有する光学活性な芳香族化合物の製法
国際特許分類 C07D 233/90        (2006.01)
C07D 401/06        (2006.01)
C07D 403/06        (2006.01)
C07B  53/00        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI C07D 233/90 CSPC
C07D 401/06
C07D 403/06
C07B 53/00 B
C07B 61/00 300
請求項の数または発明の数 9
出願形態 OL
全頁数 19
出願番号 特願2013-123423 (P2013-123423)
出願日 平成25年6月12日(2013.6.12)
発明者または考案者 【氏名】石原 一彰
【氏名】ウヤヌク ムハメット
【氏名】鈴木 大介
出願人 【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人名古屋大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000017、【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4C063
4H006
4H039
Fターム 4C063AA01
4C063BB04
4C063CC25
4C063DD06
4C063DD12
4C063EE05
4H006AA02
4H006AC81
4H039CA42
4H039CH40
要約 【課題】窒素原子を含む環構造を有する光学活性な芳香族化合物であって修飾基を高収率かつ光学純度を保持したままで除去できるものを、高収率かつ高エナンチオ選択的に得る製造法の提供。
【解決手段】ベンゼン環を構成する隣り合う2つの炭素原子における、一方に-NHR11(R11はアレーンスルホニル基である)で表されるアミノ基が、他方に-R13-CHR15-C(=O)-Z(R13は、置換基を有していてもよいメチレン又はエチレンであり、R15は、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてよいシクロアルキル基であり、Zは、置換基を有していてもよいヘテロアリール基である)が結合している芳香族化合物を基質として用い、該基質を、N-スピロC2軸不斉四級アンモニウムヨージド及び酸化剤が供給されてなる系にて反応させ、前記アミノ基に由来する窒素原子を含む環構造を有する芳香族化合物を得る。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
ベンゼン環を構成する隣り合う2つの炭素原子における、一方に-NHR11(R11はアレーンスルホニル基である)で表されるアミノ基が、他方に-R13-CHR15-C(=O)-Z(R13は、置換基を有していてもよいメチレン又はエチレンであり、R15は、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてよいシクロアルキル基であり、Zは、置換基を有していてもよいヘテロアリール基である)が結合している芳香族化合物を基質として用い、該基質を、N-スピロC2軸不斉四級アンモニウムヨージド及び酸化剤が供給されてなる系にて反応させ、前記アミノ基に由来する窒素原子を含む環構造を有する芳香族化合物の製法。
【請求項2】
前記芳香族化合物を製造したあと、更に、-C(=O)-ZのC-Z結合の開裂及び前記窒素原子上のR11の脱保護を順不同で行う、請求項1に記載の製法。
【請求項3】
前記R11は、p-トルエンスルホニル基、4-ニトロベンゼンスルホニル基、2-ニトロベンゼンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基又は2,4-ジニトロベンゼンスルホニル基である、請求項1又は2に記載の製法。
【請求項4】
前記R15は、水素原子である、請求項1~3のいずれか1項に記載の製法。
【請求項5】
前記Zは、Zは1-アリール-イミダゾ-2-イル、1-アリール-ピラゾ-2-イル、2-アリール-1,2,4-トリアゾ-3-イル、1-アリール-テトラゾ-2-イル又はこれらとアリール環との縮合環である、請求項1~4のいずれか1項に記載の製法。
【請求項6】
前記基質は、下記式(1)で表される化合物であり、
前記アミノ基に由来する窒素原子を含む環構造を有する化合物は、下記式(2)で表される化合物である、請求項1~5のいずれか1項に記載の製法。
【化1】
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【化2】
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(式(1),(2)中、R11,R13,R15及びZは前出の通りであり、R21~R24は、それぞれ独立して、水素原子、電子求引基若しくは電子供与基であるか又は隣接するいずれか2つが1~5個の炭素を介して結合して環を形成している)
【請求項7】
前記アンモニウムヨージドが下記一般式(3)~(8)で表されるアンモニウムヨージドである、請求項1~6のいずれか1項に記載の製法。
【化3】
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(式(3)~(8)中、Rは水素原子、フェニル基、アルキル基を有するフェニル基、ペルフルオロアルキル基を有するフェニル基、アルコキシ基を有するフェニル基又はアリール基を有するフェニル基である)
【請求項8】
前記Rは、3,5-ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)フェニル基又は3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル基である、請求項7に記載の製法。
【請求項9】
前記酸化剤は、有機ヒドロペルオキシドである、請求項1~8のいずれか1項に記載の製法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、窒素原子を含む環構造を有する光学活性な芳香族化合物の製法に関する。
【背景技術】
【0002】
生理活性物質、医薬品、農薬、化粧品等を製造する際の中間体として、2-アシルインドリン誘導体などが知られている。こうした中間体は、最終製品の作用等の観点から、光学活性化合物を用いることがある。本発明者らは、特許文献1において、N-スピロC2軸不斉四級アンモニウムヨージドと酸化剤とを用いる分子内酸化的環化反応をケトアニリン誘導体に適用することにより2-アシルインドリン誘導体を良好なエナンチオ選択率(不斉収率)で定量的に得ることに成功した(下記式参照、特許文献1の実施例1-31)。
【0003】
【化1】
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【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】国際公開第2012/111449号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の手法では、高いエナンチオ選択率を得るためには、アニリンの保護基をメシル(Ms,メタンスルホニル)基にする必要があった。例えば、下記式に示すように、ケトアニリン誘導体のアニリンの保護基をMs基、イミダゾリル基のN上の置換基を簡素な構造のフェニル基とし、MTBEを溶媒として用いたところ、対応する2-アシルインドリン誘導体がエナンチオ選択率91%ee、化学収率98%で得られた。
【0006】
しかしながら、得られた2-アシルインドリン誘導体の脱保護では、次のような問題が生じた。まず、イミダゾリル基のアルコキシ基への変換では、エピメリ化が起きて、光学純度が大幅に減少し(45%ee)、化学収率も低かった(17%)。また、Ms基の脱保護も困難であり、フッ化テトラ-n-ブチルアンモニウムを用いて種々の条件で検討したが、脱保護された生成物はすぐにアキラルなインドールへ過剰酸化されてしまった。このように、アニリンの保護基がMs基の場合には、酸化的環化反応の化学収率及びエナンチオ選択率が高いものの、カルボニル炭素とイミダゾリル基との開裂やMs基の脱保護に課題があった。
【0007】
【化2】
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【0008】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、窒素原子を含む環構造を有する光学活性な芳香族化合物であって修飾基を高収率かつ光学純度を保持したままで除去できるものを、高収率かつ高エナンチオ選択的に得ることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成するために、本発明者らは、ケトアニリン誘導体のイミダゾリル基のN上の置換基をフェニル基、アニリンの保護基をトシル(Ts,p-トルエンスルホニル)基とし、N-スピロC2軸不斉四級アンモニウムヨージドと酸化剤とを用いる分子内酸化的環化反応に適用したところ、対応する2-アシルインドリン誘導体が高い化学収率及びエナンチオ選択率で得られること、更に、これに続くTs基の脱保護やカルボニル炭素とイミダゾリル基との開裂も高い化学収率及び光学純度を保持したままで実施できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明の製法は、ベンゼン環を構成する隣り合う2つの炭素原子における、一方に-NHR11(R11はアレーンスルホニル基である)で表されるアミノ基が、他方に-R13-CHR15-C(=O)-Z(R13は、置換基を有していてもよいメチレン又はエチレンであり、R15は、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてよいシクロアルキル基であり、Zは、置換基を有していてもよいヘテロアリール基である)が結合している芳香族化合物を基質として用い、該基質を、N-スピロC2軸不斉四級アンモニウムヨージド及び酸化剤が供給されてなる系にて反応させ、前記アミノ基に由来する窒素原子を含む環構造を有する芳香族化合物を製造するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の製法によれば、分子内酸化的環化反応によりケトアニリン誘導体から対応する2-アシルインドリン誘導体又は2-アシルテトラヒドロキノリン誘導体を高い化学収率及びエナンチオ選択率で得ることができる。しかも、これに続く修飾基の除去、具体的には保護基(R11)の脱保護や-C(=O)-ZのC-Z結合の開裂、も高い化学収率及び光学純度を保持したままで実施することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の製法では、基質として、ベンゼン環を構成する隣り合う2つの炭素原子における、一方に-NHR11(R11はアレーンスルホニル基である)で表されるアミノ基が、他方に-R13-CHR15-C(=O)-Z(R13は、置換基を有していてもよいメチレン又はエチレンであり、R15は、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてよいシクロアルキル基であり、Zは、置換基を有していてもよいヘテロアリール基である)が結合している芳香族化合物を用いる。

【0013】
ここで、R11は、アレーンスルホニル基であれば特に限定されるものではないが、例えば、p-トルエンスルホニル(Ts)基、4-ニトロベンゼンスルホニル基、2-ニトロベンゼンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、2,4-ジニトロベンゼンスルホニル基、1-ナフタレンスルホニル基、2-ナフタレンスルホニル基などが挙げられる。

【0014】
13は、置換基を有していてもよいメチレン又はエチレンである。置換基としては、例えば、分岐又は環を有していてもよく、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されていてもよい、炭素原子数1~20の炭化水素基などが挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基などが挙げられる。

【0015】
15は、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてよいシクロアルキル基である。置換基としては、例えば、ハロゲン原子が挙げられる。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基などが挙げられ、シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基などが挙げられる。R15が水素原子の場合、得られる芳香族化合物のうち環構造中の窒素原子に隣接する炭素原子(カルボニル炭素のα位の炭素原子)は第3級炭素となるため、例えば-C(=O)-ZのC-Z結合を開裂する際にエピメリ化が起きて光学純度が低下しやすい。しかし、本発明の製法によれば、R15が水素原子であっても、このようなエピメリ化がほとんど起きない。したがって、R15が水素原子の場合に、本発明の製法を適用する意義が高い。

【0016】
Zは、置換基を有していてもよいヘテロアリール基である。置換基としては、例えば、分岐又は環を有していてもよく、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されていてもよい、炭素原子数1~20の炭化水素基などが挙げられる。ヘテロアリール基としては、例えば、炭素原子数3~20のヘテロアリール基などが挙げられる。具体的には、1-アリール-イミダゾ-2-イル、2-アリール-1,2,4-トリアゾ-3-イル、1-アリール-テトラゾ-2-イル、1-アリール-ピラゾ-2-イル又はこれらとアリール環との縮合環が挙げられる。このうち、1-アリール-イミダゾ-2-イル、2-アリール-1,2,4-トリアゾ-3-イル、1-アリール-テトラゾ-2-イル又はこれらとアリール環との縮合環であることが好ましい。これらは、脱保護が容易な補助基であるため、得られた窒素原子を含む環構造を有する芳香族化合物をエステル、アミド、アルデヒド、3級アルコールなどへ変換することが可能だからである。ここで、アリールとしては、例えば、フェニル、アルキルを有するフェニル、ペルフルオロアルキルを有するフェニル、アルコキシを有するフェニル、ハロゲン原子を有するフェニル、ナフチル、アルキルを有するナフチル、ペルフルオロアルキルを有するナフチル、アルコキシを有するナフチル、ハロゲン原子を有するナフチルなどが挙げられるが、合成が簡便なことからフェニルが好ましい。アルキルとしては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチルなどの分岐を有していてもよい炭素数1~4のアルキルが挙げられる。ペルフルオロアルキルとしては、例えば、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチルなどが挙げられる。アルコキシとしては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシなどの分岐を有していてもよい炭素数1~4のアルコキシが挙げられる。ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。また、アリール環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環などが挙げられる。

【0017】
本発明の製法で用いる基質としては、例えば、下記式(1)で表される化合物が好ましい。その場合、得られる芳香族化合物は、下記式(2)で表される化合物である。ここで、R11,R13,R15及びZは前出の通りである。また、R21~R24は、それぞれ独立して、水素原子、電子求引基若しくは電子供与基であるか又は隣接するいずれか2つが1~5個の炭素を介して結合して環を形成している。電子求引基としては、例えば、ハロゲン原子、ニトリル基、エステル基、ケトン基などが挙げられ、電子供与基としては、例えば、アルコキシ基、シリルオキシ基、アルキルアミノ基、ベンジロキシ基などが挙げられる。R21~R24のうち隣接するいずれか2つが1~5個の炭素原子を介して結合して環を形成しているとは、例えば、R23とR24が水素原子でありR21とR22が-CH=CH2-CH=CH2-を介して結合している場合には、ナフチルアミン誘導体となる。また、結合部位の構造を適宜選択することによりフェナントリルアミン誘導体になる。

【0018】
【化3】
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【0019】
【化4】
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【0020】
本発明の製法で用いるN-スピロC2軸不斉四級アンモニウムヨージドとしては、例えば、下記式(3)~(8)で表されるアンモニウムヨージドが好ましい。ここで、Rは水素原子、フェニル基、アルキル基を有するフェニル基、ペルフルオロアルキル基を有するフェニル基、アルコキシ基を有するフェニル基又はアリール基を有するフェニル基である。ここで、アルキルとしては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチルなどの分岐を有していてもよい炭素数1~4のアルキルが挙げられる。ペルフルオロアルキルとしては、例えば、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチルなどが挙げられる。アルコキシとしては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシなどの分岐を有していてもよい炭素数1~4のアルコキシが挙げられる。アリールとしては、例えば、フェニル、ナフチルなどのほか、ペルフルオロアルキルを有するフェニルなどが挙げられる。こうしたRを、3,5-ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)フェニル基又は3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル基とした場合、得られる芳香族化合物のエナンチオ選択率が高くなるため好ましい。

【0021】
【化5】
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【0022】
こうしたN-スピロC2軸不斉四級アンモニウムヨージドは、基質に対して0.1~50mol%使用するのが好ましく、1~10mol%使用するのがより好ましい。0.1mol%未満だと、反応の進行が遅く反応時間が長時間になるため好ましくない。また、50mol%を超えても化学収率やエナンチオ選択率が大きく向上することはないため経済的見地から好ましくない。こうしたアンモニウムヨージドは、酸化剤によって酸化されてアンモニウムヨージドを含む触媒(構造は不明であるが、R4+IO- 又はR4+I(=O)O- と推定している)となると考えられる。そして、酸化剤は、この触媒の存在下に基質を酸化させると同時に分子内環化反応を進行させると考えられる。分子内環化反応は脱水を伴うため、触媒が分解し(還元されて)、アンモニウムヨージドが再生されると考えられる。こうしたことから、反応系に供給されるアンモニウムヨージドを、触媒前駆体又はプレ触媒と称する。

【0023】
本発明の製法で用いる酸化剤としては、有機ヒドロペルオキシドが好ましい。有機ヒドロペルオキシドとしては、例えば、tert-ブチルヒドロペルオキシド、tert-アミルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシドなどが挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。こうした酸化剤は、基質に対してモル比で1~10倍用いるのが好ましく、1.5~3倍用いるのがより好ましい。下限値未満だと、反応が終結しないことがあるため好ましくなく、上限値を超えても化学収率が大きく向上しないため経済的見地から好ましくない。

【0024】
本発明の製法では、反応溶媒として、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、ニトリル系溶媒、ニトロアルカン、炭化水素系溶媒を用いることが好ましい。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。エステル系溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec-ブチル、酢酸tert-ブチルなどが挙げられる。エーテル系溶媒としては、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル-tert-ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテルなどが挙げられる。ニトリル系溶媒としては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリルなどが挙げられる。ニトロアルカンとしては、ニトロメタン、ニトロエタンなどが挙げられる。炭化水素系溶媒としては、トルエン、ベンゼン、メシチレン、キシレン、ヘキサン、ヘプタンなどが挙げられる。反応溶媒の使用量は、基質の濃度が0.001~0.5mol/Lとなるように設定するのが好ましく、0.01~0.1mol/Lとなるように設定するのがより好ましい。

【0025】
本発明の製法では、反応温度は、-10℃~100℃が好ましく、0~50℃がより好ましい。-10℃未満だと反応速度が遅くなるため好ましくなく、100℃を超えるとエナンチオ選択率が低下するおそれがあるため好ましくない。反応系の雰囲気は、窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性雰囲気とする必要はなく、大気雰囲気でも支障なく反応は進行する。

【0026】
本発明の製法では、窒素原子を含む環構造を有する光学活性な芳香族化合物を製造したあと、更に、-C(=O)-ZのC-Z結合の開裂及び前記窒素原子上のR11の脱保護を順不同で行ってもよい。このような反応を行ったとしても、R11がアレーンスルホニル基の場合には、光学純度は高く維持される。なお、C-Z結合の開裂を行う場合、-C(=O)-Zを他の官能基(例えばエステル、カルボン酸、アルデヒド、アミドなど)へ変換してもよい。また、反応の順序は、C-Z結合の開裂を行ったあと窒素原子上のR11の脱保護を行うのが好ましい。

【0027】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【実施例】
【0028】
以下の実施例においては1H NMRスペクトルをJEOL ECS-400 (400 MHz)スペクトロメータで、13C NMRスペクトルをJEOL ECS-400 (100MHz)スペクトロメータ測定した。反応の進行は、薄層クロマトグラフィー(TLC)で、Merck precoated TLCプレート(シリカゲル60 GF254, 0.25 mm)を用いてモニタリングした。反応生成物の光学純度は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を、4.6 mm × 25 cm Daicel CHIRALCEL IA-3を用いて、Shimadzu LC-10 装置で測定した。
【実施例】
【0029】
[参考例]
【実施例】
【0030】
【化6】
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【実施例】
【0031】
分子内酸化的環化反応に供する基質の合成例を以下に示す(上記式参照)。1-フェニルイミダゾール(1.26mL,10mmol)の無水THF溶液(50mL)にn-BuLi(1.6Mヘキサン溶液,7.5mL,12mmol)を-78℃で加え、30分撹拌した。反応溶液にN,N-ジメチルアセトアミド(1.12mL,12mmol)を-78℃で滴下し、反応系を室温に調整し、2時間撹拌した。その後、反応生成物を含む反応液に飽和塩化アンモニウム溶液を加え、酢酸エチルで2回抽出した。得られた有機層を食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを投入した。その後、溶媒を減圧下、留去し、粗生成物を含む濃縮物を得た。得られた固体をクロロホルム/ヘキサン混合溶媒中で再結晶させることで、生成物である2-アセチル-1-フェニルイミダゾールを87%収率(1.62g)で白色固体として得た。次に、水素化ナトリウム(224mg,5.6mmol)と無水トルエン(2mL)の懸濁液に炭酸ジエチル(0.48mL,4mmol)を加え、5分間加熱還流した。反応溶液に、先の反応で得られた2-アセチル-1-フェニルイミダゾール(372mg,2mmol)のトルエン(2mL)溶液を加え、1時間撹拌した。反応系を室温に調整し、飽和塩化アンモニウム溶液を加えて反応を終結させ、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを投入した。その後、溶媒を減圧下、留去し、粗生成物を含む濃縮物を得た。次いで、この濃縮物をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィーに供して、反応生成物である3-オキソ-3-(1-フェニル-1H-イミダゾール-2-イル)プロパン酸エチルエステルを75%収率(387mg)で白色固体として得た。
【実施例】
【0032】
2-アミノベンジルアルコール(1.2g,10mmol)とピリジン(1.6mL,20mmol)のジクロロメタン溶液(40mL)にp-トルエンスルホニルクロリド(TsCl,2.3g,12mmol)を0℃で加えた。反応系を室温に調整して4時間撹拌した後、クロロホルムで希釈した。得られた有機層を1N塩酸と飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸ナトリウムを投入した。その後、溶媒を減圧下、留去し、粗生成物を含む濃縮物を得た。得られた固体をジクロロエタン(50mL)の溶液にし、この反応液に三臭化りん(PBr3,0.95mL,10mmol)を0℃で滴下した。反応系を室温に調整して2時間撹拌した後、反応液に水(20mL)を加えて反応を終結させ、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを投入した。その後、溶媒を減圧下、留去し、粗生成物を含む濃縮物を得た。得られた固体をジクロロメタン/ヘキサン混合溶媒中で再結晶させることで、生成物であるN-(2-(ブロモメチル)フェニル)-4-メチルベンゼンスルホンアミドを66%収率(2.26g)で白色固体として得た。水素化ナトリウム(120mg,3mmol)と無水THF(10mL)の懸濁液に3-オキソ-3-(1-フェニル-1H-イミダゾール-2-イル)プロパン酸エチルエステル(517mg,2mmol)の無水THF(2mL)溶液を0℃で加え、30分撹拌した。この反応液にN-(2-(ブロモメチル)フェニル)-4-メチルベンゼンスルホンアミド(680mg,2mmol)の無水THF(4mL)溶液を0℃で加え、反応系を室温に調整して室温で1時間撹拌した。その後、反応液に飽和塩化アンモニウム溶液を加え、そして、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを投入した。その後、溶媒を減圧下、留去し、粗生成物を含む濃縮物を得た。得られた粗生成物にエタノール(3mL)と2M水酸化ナトリウム(3mL)を加え、加熱還流しながら12時間撹拌した。反応系を室温に調整して1N塩酸を加え、そして、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを投入した。その後、溶媒を減圧下、留去し、粗生成物を含む濃縮物を得た。次いで、この濃縮物をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィーに供して、反応生成物である4-メチル-N-(2-(3-オキソ-3-(1-フェニル-1H-イミダゾール-2-イル)プロピル)フェニル)ベンゼンスルホンアミド(基質a)を60%収率(535mg)で白色固体として得た。
【実施例】
【0033】
その他の基質b~h(下記式参照)も同様に合成した。基質a~hのデータを以下に示す。なお、「Ns」は4-ニトロベンゼンスルホニル基、「TBS」はtert-ブチルジメチルシリル基を表す。
【実施例】
【0034】
【化7】
JP2014240365A_000008t.gif
【実施例】
【0035】
基質a:白色固体。TLC, Rf = 0.43 (hexane-EtOAc = 1:1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 2.34 (s, 3H), 2.70-2.79 (m, 2H), 2.92-3.00 (m, 2H), 6.99-7.08 (m, 2H), 7.14 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.17-7.23 (m, 1H), 7.25 (d, J = 0.88 Hz, 1H), 7.28-7.35 (m, 2H), 7.47-7.53 (m, 3H), 7.59 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.66-7.70 (m, 2H), 10.26 (s, 1H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 21.5, 29.1, 42.7, 122.5, 124.6, 125.8 (2C), 126.9 (2C), 127.1, 127.6, 129.1 (3C), 129.4 (2C), 129.9, 130.1, 132.1, 135.7, 137.3, 137.8, 141.4, 143.2, 189.5.
【実施例】
【0036】
基質b:白色固体。TLC, Rf = 0.46 (hexane-EtOAc = 1:1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 2.66-2.74 (m, 2H), 2.92-3.00 (m, 2H), 7.08 (d, J = 4.6 Hz, 2H), 7.21-7.26 (m, 1H), 7.28 (d, J = 0.92 Hz, 1H), 7.29-7.34 (m, 2H), 7.48-7.54 (m, 3H), 7.67 (s, 1H), 7.70 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.87 (d, J = 9.0 Hz, 2H), 8.20 (d, J = 9.0 Hz, 2H), 10.66 (s, 1H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 28.8, 42.8, 122.9, 124.0 (2C), 125.6, 125.8 (2C), 127.3, 127.8, 128.0 (2C), 129.1 (2C), 129.2, 130.1, 130.2, 132.6. 134.6, 137.6, 141.3, 145.9, 149.8, 189.1.
【実施例】
【0037】
基質c:白色固体。TLC, Rf = 0.56 (hexane-EtOAc = 1:1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 2.35 (s, 3H), 2.66-2.73 (m, 2H), 2.89-2.96 (m, 2H), 7.15 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.18 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 7.27-7.35 (m, 4H), 7.46-7.53 (m, 3H), 7.58 (d, J = 8.2 Hz, 3H), 7.68 (s, 1H), 10.39 (s, 1H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 21.5, 28.9, 42.4, 117.5, 124.1, 125.8 (2C), 126.8 (2C), 127.2, 129.1 (2C), 129.2, 129.5 (2C), 130.4, 130.5, 132.5, 134.2, 134.9, 137.0, 137.6, 141.2, 143.4, 188.9.
【実施例】
【0038】
基質d:白色固体.TLC, Rf = 0.47 (hexane-EtOAc = 1:1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 2.34 (s, 3H), 2.47-2.54 (m, 2H), 2.93-3.00 (m, 2H), 5.00 (s, 2H), 6.67 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 6.84 (dd, J = 2.7, 9.2 Hz, 1H), 7.10 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.24-7.34 (m, 4H), 7.34-7.46 (m, 4H), 7.46-7.54 (m, 5H), 7.57 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 7.63 (d, J = 0.88 Hz, 1H), 9.70 (s, 1H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 21.4, 28.3, 42.4, 70.0, 113.2, 116.0, 125.7 (2C), 126.5, 126.8 (2C), 127.1, 127.5 (2C), 128.0, 128.3, 128.5 (2C), 129.0 (3C), 129.2 (2C), 130.3, 135.7, 136.7, 137.1, 137.7, 141.4, 143.0, 156.3, 189.4.
【実施例】
【0039】
基質e:白色固体。TLC, Rf = 0.62 (hexane-EtOAc = 1:1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 0.16 (s, 6H), 0.95 (s, 9H), 2.33 (s, 3H), 2.43-2.50 (m, 2H), 2.90-2.96 (m, 2H), 6.52 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 6.69 (dd, J = 3.2, 8.7 Hz, 1H), 7.08 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.24 (d, J = 0.88 Hz, 1H), 7.25-7.32 (m, 2H), 7.44 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.46-7.54 (m, 4H), 7.64 (d, J = 0.92 Hz, 1H), 9.69 (s, 1H).
【実施例】
【0040】
基質f:白色固体。TLC, Rf = 0.37 (hexane-EtOAc = 1:1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 2.33 (s, 3H), 2.46-2.53 (m, 2H), 2.93-3.00 (m, 2H), 3.75 (s, 3H), 6.58 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 6.76 (dd, J = 2.8, 9.2 Hz, 1H), 7.10 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.24 (s, 1H), 7.25-7.32 (m, 2H), 7.43-7.52 (m, 5H), 7.57 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 7.63 (s, 1H), 9.67 (s, 1H).
【実施例】
【0041】
基質g:白色固体。TLC, Rf = 0.53 (hexane-EtOAc = 1:1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 2.31 (s, 3H), 2.91-3.04 (m, 4H), 7.11 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 7.27 (d, J = 0.92 Hz, 1H), 7.31-7.54 (m, 8H), 7.62-7.69 (m, 3H), 7.75 (d, J = 0.92 Hz, 1H), 7.80 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 8.15 (s, 1H), 10.60 (s, 1H).
【実施例】
【0042】
基質h:白色固体。TLC, Rf = 0.37 (hexane-EtOAc = 1:1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 1.67-1.76 (m, 2H), 2.14-2.22 (m, 2H), 2.32 (s, 3H), 3.07 (t, J = 6.0 Hz, 2H), 7.07-7.11, (m, 4H), 7.13-7.19 (m, 1H), 7.23 (s, 1H), 7.34-7.42 (m, 4H), 7.48-7.58 (m, 4H), 8.02 (s, 1H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 21.5, 24.7, 30.0, 37.7, 124.8, 125.7, 126.0 (2C), 126.9 (2C), 127.0, 127.4, 128.9, 129.0 (2C), 129.2 (2C), 129.6, 129.8, 134.7, 134.8, 137.1, 138.0, 142.6, 143.1, 191.6.
【実施例】
【0043】
[実施例1]
【実施例】
【0044】
【化8】
JP2014240365A_000009t.gif
【実施例】
【0045】
基質の分子内酸化的環化反応により窒素原子を含む環構造を有する芳香族化合物を合成する例を以下に示す(上記式参照)。反応容器に、4-メチル-N-(2-(3-オキソ-3-(1-フェニル-1H-イミダゾール-2-イル)プロピル)フェニル)ベンゼンスルホンアミド(基質a,44.6mg,0.1mmol)、触媒前駆体(17.0mg,0.01mmol)、及び、溶媒としてtert-ブチルメチルエーテル(MTBE,5mL)を収容して溶液を得た。その後、酸化剤として5.5Mtert-ブチルヒドロペルオキシド デカン溶液(TBHP)を、基質に対して2当量に相当する量(36μL,0.2mmol)を添加した。なお、触媒前駆体の構造は、上記式の化合物(9)である。次いで、反応系を室温に調整し、4時間攪拌して反応を行った。その後、反応生成物を含む反応液を飽和のチオ硫酸ナトリウム水溶液に入れ、そして、酢酸エチルで2回抽出した。得られた有機層を水及び食塩水により順次洗浄した後、無水硫酸ナトリウムを投入した。その後、溶媒を減圧下留去し、粗生成物を含む濃縮物を得た。次いで、この濃縮物をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィーに供して、生成物である(R)-(1-フェニル-1H-イミダゾール-2-イル)(1-トシルインドリン-2-イル)メタノン(生成物A)を99%収率(44.3mg)で白色固体として得た。
【実施例】
【0046】
得られた生成物Aの分析データを以下に示す。生成物A:白色固体。TLC, Rf = 0.29 (hexane-EtOAc = 1:1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 2.38 (s, 3H), 3.07 (dd, J = 6.0, 16.5 Hz, 1H), 3.46 (dd, J = 11.0, 16.5 Hz, 1H), 6.06 (dd, J = 6.0, 11.0 Hz, 1H), 6.90-6.97 (m, 1H), 6.98-7.02 (m, 1H), 7.13-7.20 (m, 1H), 7.24 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 7.29 (s, 1H), 7.32-7.40 (m, 3H), 7.41-7.50 (m, 3H), 7.59 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.74 (d, J = 8.3 Hz, 2H).HPLC測定(キラルカラム:「DAICEL CHIRALPAK IA-3」、溶離液:ヘキサン/エタノール(4/1)、流速:1.0 mL/min、t1=19分、t2=23分)の結果から、エナンチオ選択率は95%eeであった。
【実施例】
【0047】
[実施例2]
実施例2では、触媒前駆体の使用量を1mol%とし、反応時間を85時間とした以外は、実施例1と同様にして基質aから生成物Aを得た。実施例2の結果を、実施例1の結果と共に表1に示す。なお、表1中、「Z」は1-フェニル-イミダゾ-2-イル基である。
【実施例】
【0048】
[実施例3~9]
実施例3~9では、表1に記載した反応条件で基質b~hから生成物B~Hを得た。合成手順は実施例1に準じた。その結果を表1に示す。得られた生成物B~Hの分析データを以下に示す。
【実施例】
【0049】
【表1】
JP2014240365A_000010t.gif
【実施例】
【0050】
生成物B:白色固体。TLC, Rf = 0.37 (hexane-EtOAc = 1:1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 3.12 (dd, J = 5.5, 16.5 Hz, 1H), 3.52 (dd, J = 11.0, 16.5 Hz, 1H), 6.12 (dd, J = 5.5, 11.0 Hz, 1H), 6.97-7.06 (m, 2H), 7.17-7.23 (m, 1H), 7.31 (d, J = 0.92 Hz, 1H), 7.32-7.36 (m, 2H), 7.37 (d, J = 0.92 Hz, 1H), 7.43-7.49 (m, 3 H), 7.57 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 8.06 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 8.30 (d, J = 8.7 Hz, 2H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 33.8, 64.4, 114.5, 124.3 (2C), 124.6, 125.3, 125.7 (2C), 128.0, 128.2, 128.6 (2C), 129.0, 129.1 (2C), 129.3, 130.4, 137.5, 140.6, 141.1, 143.4, 150.3, 184.5.HPLC測定(キラルカラム:「DAICEL CHIRALPAK IA-3」、溶離液:ヘキサン/エタノール(4/1)、流速:1.0 mL/min、t1=23分、t2=42分)の結果から、エナンチオ選択率は84%eeであった。
【実施例】
【0051】
生成物C:白色固体。TLC, Rf = 0.38 (hexane-EtOAc = 1:1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 2.40 (s, 3H), 3.05 (dd, J = 5.5, 16.5 Hz, 1H), 3.42 (dd, J = 11.1, 16.5 Hz, 1H), 6.04 (dd, J = 5.5, 11.1 Hz, 1H), 7.10-7.13 (m, 1H), 7.24-7.32 (m, 4H), 7.33-7.39 (m, 3H), 7.43-7.50 (m, 4H), 7.72 (d, J = 8.2 Hz, 2H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 21.6, 33.4, 64.4, 116.3, 116.5, 125.7 (2C), 127.4 (2C), 127.8, 127.9, 128.9, 129.1 (2C), 129.9 (2C), 130.3, 130.9, 131.8, 134.3, 137.6, 140.8, 141.3, 144.4, 185.2.HPLC測定(キラルカラム:「DAICEL CHIRALPAK IA-3」、溶離液:ヘキサン/エタノール(1/4)、流速:0.4 mL/min、t1=20分、t2=25分)の結果から、エナンチオ選択率は93%eeであった。
【実施例】
【0052】
生成物D:白色固体。TLC, Rf = 0.40 (hexane-EtOAc = 1:1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 2.38 (s, 3H), 2.99 (dd, J = 5.5, 16.5 Hz, 1H), 3.33 (dd, J = 11.0, 16.5 Hz, 1H), 4.95 (s, 2H), 6.01 (dd, J = 5.5, 11.0 Hz, 1H), 6.62 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 6.77-6.82 (m, 1H), 7.20-7.29 (m, 4H), 7.30-7.40 (m, 7H), 7.40-7.48 (m, 3H), 7.53 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 7.68 (d, J = 8.2 Hz, 2H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 21.5, 33.9, 64.5, 70.4, 111.7, 113.9, 116.4, 125.7 (2C), 127.4 (4C), 127.7, 127.9, 128.5 (2C), 128.8, 129.0 (2C), 129.7 (2C), 130.2, 131.4, 134.3, 135.7, 136.8, 137.6, 140.9, 144.0, 156.1, 185.6HPLC測定(キラルカラム:「DAICEL CHIRALPAK IA-3」、溶離液:ヘキサン/エタノール(1/4)、流速:0.4 mL/min、t1=26分、t2=34分)の結果から、エナンチオ選択率は90%eeであった。
【実施例】
【0053】
生成物E:白色固体。TLC, Rf = 0.49 (hexane-EtOAc = 1:1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 0.12 (d, J = 5.0 Hz, 6H), 0.93 (s, 9H), 2.38 (s, 3H), 2.96 (dd, J = 5.5, 16.5 Hz, 1H), 3.30 (dd, J = 11.0, 16.5 Hz, 1H), 5.99 (dd, J = 5.5, 11.0 Hz, 1H), 6.46 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 6.64 (dd, J = 2.3, 8.7 Hz, 1H), 7.21 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.28 (s, 1H), 7.33-7.38 (m, 3H), 7.42-7.50 (m, 4H), 7.66 (d, J = 8.2 Hz, 2H).HPLC測定(キラルカラム:「DAICEL CHIRALPAK IA-3」、溶離液:ヘキサン/エタノール(4/1)、流速:1.0 mL/min、t1=10分、t2=11分)の結果から、エナンチオ選択率は93%eeであった。
【実施例】
【0054】
生成物F:白色固体。TLC, Rf = 0.26 (hexane-EtOAc = 1:1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 2.38 (s, 3H), 2.99 (dd, J = 5.5, 16.5 Hz, 1H), 3.32 (dd, J = 11.0, 16.5 Hz, 1H), 3.71 (s, 3H), 6.00 (dd, J = 5.5, 11.0 Hz, 1H), 6.54 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 6.71 (dd, J = 2.8, 9.2 Hz, 1H), 7.23 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 7.28 (d, J = 0.92 Hz, 1H), 7.32-7.38 (m, 3H), 7.41-7.48 (m, 3H), 7.54 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 7.68 (d, J = 8.3 Hz, 2H).HPLC測定(キラルカラム:「DAICEL CHIRALPAK IA-3」、溶離液:ヘキサン/エタノール(1/4)の結果から、流速:0.4 mL/min、t1=20分、t2=25分)、エナンチオ選択率は77%eeであった。
【実施例】
【0055】
生成物G:白色固体。TLC, Rf = 0.44 (hexane-EtOAc = 1:1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 2.35 (s, 3H), 3.24 (dd, J = 5.5, 17.0 Hz, 1H), 3.60 (dd, J = 11.0, 17.0 Hz, 1H), 6.15 (dd, J = 5.5, 11.0 Hz, 1H), 7.21 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.28-7.50 (m, 10H), 7.62 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.76-7.83 (m, 3H), 7.94 (s, 1H).HPLC測定(キラルカラム:「DAICEL CHIRALPAK IA-3」、溶離液:ヘキサン/エタノール(1/4)、流速:0.4 mL/min、t1=24分、t2=33分)の結果から、エナンチオ選択率は95%eeであった。
【実施例】
【0056】
生成物H:白色固体。TLC, Rf = 0.46 (hexane-EtOAc = 1:1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 1.63-1.72 (m, 1H), 1.76-1.85 (m, 1H), 2.33-2.37 (m, 1H), 2.38 (s, 3H), 2.60-2.69 (m, 1H), 5.91 (dd, J = 6.9, 10.5 Hz, 1H), 6.93 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 7.05 (dt, J = 0.70, 7.3 Hz, 1H), 7.16-7.26 (m, 4H), 7.28-7.36 (m, 3H), 740-7.48 (m, 5H), 7.85 (d, J = 8.3 Hz, 1H).HPLC測定(キラルカラム:「DAICEL CHIRALPAK IA-3」、溶離液:ヘキサン/エタノール(4/1)、流速:1.0 mL/min、t1=13分、t2=15分)の結果から、エナンチオ選択率は84%eeであった。
【実施例】
【0057】
なお、基質aのアミノ基をBoc基やCbz基で保護したものを用いて実施例1と同様に反応を行ったところ、対応する2-アシルインドリン誘導体の化学収率はそれぞれ91%、99%と高かったものの、エナンチオ選択率はそれぞれ10%ee,14%eeとかなり低い値になった。
【実施例】
【0058】
[実施例10]
【実施例】
【0059】
【化9】
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【実施例】
【0060】
生成物Aのカルボニル炭素とイミダゾリル基との開裂及びTs基の脱保護を以下の手順で行った(上記式参照)。反応容器に、生成物A(95%ee,24.4mg,0.055mmol)とモレキュラーシーブ4Å(50mg)及び溶媒であるジクロロメタン(1mL)を収容し、そこにメチルトリフラート(MeOTf,62μL,0.55mmol)を室温で滴下し、そのまま室温で24時間攪拌した。原料がなくなったことをTLCで確認し、減圧下において溶媒や過剰反応剤の留去を行い、粗生成物を含む濃縮物を得た。これに、MeOH(1mL)及びジアザビシクロウンデセン(DBU,16μL,0.11mmol)を加え、室温で2時間撹拌した。反応容器に水を加え、反応を終了した。得られた反応液に含まれる反応生成物をクロロホルムで抽出した。回収した有機層に過剰量の無水硫酸ナトリウムを投入し、減圧下における溶媒の留去を行い、粗生成物を含む濃縮物を得た。次いで、この濃縮物を、シリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィーに供して、(R)-1-トシルインドリン-2-カルボン酸メチルエステルを99%収率(生成物A1,18.2mg)で白色固体として得た。生成物A1のデータを以下に示す。
【実施例】
【0061】
生成物A1:TLC, Rf = 0.46 (hexane-EtOAc = 1:1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 2.37 (s, 3H), 3.09 (dd, J = 5.0, 16.0 Hz, 1H), 3.19 (dd, J = 10.6, 16.0 Hz, 1H), 3.80 (s, 3H), 4.79 (dd, J = 5.0, 16.0 Hz, 1H), 6.97-7.08 (m, 2H), 7.17-7.26 (m, 3H), 7.58 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.68 (d, J = 8.7 Hz, 2H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 21.5, 33.0, 52.9, 62.2, 115.6, 124.3, 124.8, 127.3 (2C), 128.1, 129.6, 129.7 (2C), 134.5, 141.3, 144.4, 171.6. HPLC測定(キラルカラム:「DAICEL CHIRALPAK IA-3」、溶離液:ヘキサン/エタノール(4/1)、流速:1.0 mL/min、t1=12分、t2=15分)の結果から、エナンチオ選択率は94%eeであった。
【実施例】
【0062】
続いて、反応容器に、生成物A1(94%ee,18.2mg,0.055mmol)とMeOH(1mL)を収容し、そこにマグネシウム(13.4mg,0.55mmol)を加えて室温で3時間撹拌した。反応終了後、反応液をクロロホルムで希釈し、飽和食塩水で洗浄した。得られた有機層に過剰量の無水硫酸ナトリウムを投入し、減圧下における溶媒の留去を行い、粗生成物を含む濃縮物を得た。次いで、この濃縮物を、シリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィーに供して、(R)-インドリン-2-カルボン酸メチルエステルを94%収率(生成物A2,9.2mg)で黄色液体として得た。HPLC測定(キラルカラム:「DAICEL CHIRALPAK IA-3」、溶離液:ヘキサン/エタノール(4/1)、流速:1.0 mL/min、t1=11分、t2=12分)の結果から、エナンチオ選択率は94%eeであった。TLC, Rf = 0.51 (hexane-EtOAc = 2:1); 1H NMR データは文献(Cativiela, C. et al Tetrahedron Asymmetry 2008, 19, 1714)と合致した。
【実施例】
【0063】
なお、生成物B~Hも、実施例10に準じてカルボニル炭素とイミダゾリル基との開裂及びTs基(又はNs基)の脱保護を行うことができる。Ns基の脱保護は、例えば、炭酸カリウムやトリエチルアミンなどの弱塩基存在下、チオール(チオフェノールなど)を作用させることで脱離できる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明の製法によって得られる化合物は、生理活性物質、医薬品、農薬、化粧品等の合成中間体として好適であり、例えば、下記に示すような天然物や生理活性物質を合成するのに有用である。
【0065】
【化10】
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