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明細書 :ポリシルセスキオキサン液体及びポリシルセスキオキサンガラスならびにその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6146856号 (P6146856)
公開番号 特開2013-253223 (P2013-253223A)
登録日 平成29年5月26日(2017.5.26)
発行日 平成29年6月14日(2017.6.14)
公開日 平成25年12月19日(2013.12.19)
発明の名称または考案の名称 ポリシルセスキオキサン液体及びポリシルセスキオキサンガラスならびにその製造方法
国際特許分類 C08G  77/06        (2006.01)
FI C08G 77/06
請求項の数または発明の数 2
全頁数 8
出願番号 特願2013-024792 (P2013-024792)
出願日 平成25年2月12日(2013.2.12)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 (1)平成23年9月7日 公益社団法人 日本セラミックス協会発行の「第24回秋季シンポジウム講演予稿集」に発表 (2)平成24年1月12日 セラミックス基礎科学討論会発行の「セラミックス基礎科学討論会第50回記念大会講演要旨集」に発表
特許法第30条第2項適用 平成24年9月3日、http://dx.doi.org/10.1039/C2RA21377Jを通じて発表 平成25年1月9日 第51回セラミックス基礎科学討論会実行委員会発行の「第51回セラミックス基礎科学討論会講演要旨集、17頁」に発表 平成24年9月12日 日本セラミックス協会発行の「日本セラミックス協会 第25回秋季シンポジウム 講演予稿集(CD-ROM)、3J04」に発表 平成24年10月25日 公益財団法人日本セラミックス協会発行の「第53回ガラスおよびフォトニクス材料討論会講演要旨集、p.178-179」に発表
優先権出願番号 2012049553
優先日 平成24年3月6日(2012.3.6)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成28年1月28日(2016.1.28)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】305027401
【氏名又は名称】公立大学法人首都大学東京
発明者または考案者 【氏名】梶原 浩一
【氏名】櫻木 新
【氏名】五十嵐 雄太
【氏名】金村 聖志
個別代理人の代理人 【識別番号】100140109、【弁理士】、【氏名又は名称】小野 新次郎
【識別番号】100075270、【弁理士】、【氏名又は名称】小林 泰
【識別番号】100096013、【弁理士】、【氏名又は名称】富田 博行
【識別番号】100092967、【弁理士】、【氏名又は名称】星野 修
【識別番号】100112634、【弁理士】、【氏名又は名称】松山 美奈子
審査官 【審査官】小森 勇
参考文献・文献 特表平6-502677(JP,A)
調査した分野 C08G 77/06
特許請求の範囲 【請求項1】
有機溶媒を用いずに、3官能ケイ素アルコキシド1モルに対して、水1.5モル以上5モル以下、酸触媒0モルよりも多く0.01モル以下で混合して、3官能ケイ素アルコキシドと水と酸触媒とからなる混合物を得て、当該混合物を加水分解及び重縮合させた後、3官能ケイ素アルコキシドの加水分解によって生じるアルコールを除去することを含む無色透明なポリシルセスキオキサン液体の製造方法。
【請求項2】
有機溶媒を用いずに、3官能ケイ素アルコキシド1モルに対して、水1.5モル以上5モル以下、酸触媒0モルよりも多く0.01モル以下で混合して、3官能ケイ素アルコキシドと水と酸触媒とからなる混合物を得て、当該混合物を加水分解及び重縮合させた後、3官能ケイ素アルコキシドの加水分解によって生じるアルコールを除去して無色透明なポリシルセスキオキサン液体を得て、
当該ポリシルセスキオキサン液体を熱処理することを含む、波長230~850nmの吸収係数が5cm-1以下である紫外透明ポリシルセスキオキサンガラスの製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリシルセスキオキサン液体及びポリシルセスキオキサンガラスの製造方法並びに当該方法により得られるポリシルセスキオキサン液体及びポリシルセスキオキサンガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
ケイ素系有機-無機ハイブリッド材料は、骨格元素としてケイ素(Si)を含有する。ケイ素(Si)は、4本の結合手を有しており、結合する原子や官能基によって多様な性質を発現する。Siに結合する主な原子は酸素(O)及び炭素(C)である。酸素はSi-O-Si結合を形成することによってSi原子同士を架橋し、高分子を形成する。炭素はSi-O-Si結合の形成を抑制する作用がある。このようなケイ素系有機-無機ハイブリッド材料は、耐熱性、化学的耐久性、透明性、電気絶縁性等に優れていることから、光学材料や電子材料に用いられている。
【0003】
現在最も多用されているケイ素系有機-無機ハイブリッド材料は、2本のSi-O結合と2本のSi-C結合を有する一般式RSiO2/2(Rは有機官能基)で示されるポリシロキサンである。ポリシロキサンは、Si原子1個あたり2本のSi-O結合を有するため直鎖状のSi-O-Si骨格を有しており、Si-O-Si鎖の長さによって液体から固体まで変化する。
【0004】
ポリシルセスキオキサンは、Si原子1個あたり1本のSi-C結合と3本のSi-O結合を有する一般式RSiO3/2(Rは有機官能基)で示されるシルセスキオキサン骨格からなる。ポリシルセスキオキサンは、ポリシロキサンよりSi原子1個あたりのSi-O結合の数が多く三次元的な架橋構造を形成するため、一般に室温で固体である。分子量が小さい籠型ポリシルセスキオキサンや梯子(ラダー)型ポリシルセスキオキサンのように構造が精密に制御されたポリシルセスキオキサンは液体として得られる場合があるが、それ以外のポリシルセスキオキサンを液体で得ることは難しい。一方で、ポリシルセスキオキサンはSi-C結合よりも安定なSi-O結合をポリシロキサンよりも多く含むため、ポリシロキサンよりも優れた機械的強度や化学的及び熱的安定性が期待でき、シルセスキオキサン系絶縁膜の製造方法(特許文献1)、光素子封止材としてのポリシルセスキオキサン化合物の使用(特許文献2及び3)、電気絶縁膜としての含硫黄有機-無機ハイブリッド材料の使用(特許文献4)などの提案がなされている。
【0005】
これら各種材料の原料として用いるためには、成膜、成形、他の試薬との均一混合などが容易な液体であることが望ましいが、これまでに提案されているポリシルセスキオキサンの製造方法は固体の製造方法もしくは有機溶媒を用いるポリシルセスキオキサンの製造方法(非特許文献1、特許文献1)もしくは煩雑な工程を必要とする籠型又は梯子型ポリシルセスキオキサンの製造方法(特許文献2、3、4、5)であって、精密に制御された構造をもたず、かつ液体であるポリシルセスキオキサンを簡易に製造する方法は提案されていない。
【0006】
また、ポリシルセスキオキサンガラスの製造方法に関しては、膜状のガラス及び構造が精密に制御された籠型もしくは梯子型構造のポリシルセスキオキサンを前駆体とするバルク状ガラスの製造方法が提案されている(特許文献3)が、バルク状のポリシルセスキオキサンガラスを簡易に製造する方法は提案されていない。特許文献3には、365nm、400nm、450nm、及び500nmの波長の光の透過率が改善された光素子用封止材が記載されているが、365nm未満の波長の光の透過率については記載されていない。一方、現在市販されているLED用封止材は、200~300nm範囲の波長の透過率が低い(図6参照)。発明者らの知る限りにおいて、これまで300nm以下の波長の紫外光に対する透過率が高いケイ素系有機-無機ハイブリッドガラス材料は提案されていない。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特開2009-60007号公報
【特許文献2】特開2011-202057号公報
【特許文献3】特開2009-030013号公報
【特許文献4】特開2011-052065号公報
【特許文献5】特開2010-083981号公報
【0008】

【非特許文献1】K. Matsukawa, T. Fukuda, S. Watase, H. Goda, J. Photopolym. Sci. Technol. 23, 115 (2010)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、機能性材料として高い有用性が期待されるポリシルセスキオキサン液体およびポリシルセスキオキサンガラス並びにそれらを製造する簡易な方法を提供するとともに、波長230~850nmの吸収係数が5cm-1以下である紫外透明ポリシルセスキオキサンガラスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、ポリシルセスキオキサン液体及びポリシルセスキオキサンガラス並びにこれらを有機溶媒を使用せず簡易に製造する方法が提供される。
本発明によれば、有機溶媒を用いずに、3官能ケイ素アルコキシドと水と酸触媒とからなる混合物を加水分解及び重縮合させた後、3官能ケイ素アルコキシドの加水分解によって生じるアルコールを除去することを含むポリシルセスキオキサン液体の製造方法が提供される。
【0011】
前記3官能ケイ素アルコキシドと水と酸触媒とは、3官能ケイ素アルコキシド1モルに対して、水1.5モル以上5モル以下、酸触媒0モルよりも多く0.01モル以下で混合することが好ましい。また、加水分解及び重縮合は好適には20~60℃の温度範囲で行うことができる。
【0012】
また本発明によれば、有機溶媒を用いずに、ケイ素アルコキシドと水と酸触媒とからなる混合物を加水分解及び重縮合させた後、3官能ケイ素アルコキシドが分解して生じるアルコールを除去してポリシルセスキオキサン液体を製造し、次いで、得られたポリシルセスキオキサン液体を熱処理することを含む、ポリシルセスキオキサンガラスの製造方法が提供される。
【0013】
本発明の製造方法により、波長230~850nmの吸収係数が5cm-1以下の紫外透明ポリシルセスキオキサンガラスが得られる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、簡易な方法でポリシルセスキオキサン液体を製造することができる。従来の方法では、ポリシルセスキオキサンの合成には有機溶媒が必須とされていた。本発明によれば、有機溶媒を用いずに、3官能ケイ素アルコキシドと水と酸触媒とからなる混合物を加水分解及び重縮合した後、3官能ケイ素アルコキシドの加水分解によって生じるアルコールを除去するという簡易な方法で、光学材料や電子材料の原材料として有用なポリシルセスキオキサン液体を製造することができる。
【0015】
また、本発明によれば、得られたポリシルセスキオキサン液体を前駆体とすることで簡易にポリシルセスキオキサンガラスを製造することができ、また、波長230~850nmの吸収係数が5cm-1以下の紫外透明ガラスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明のポリシルセスキオキサン液体及びガラスの製造スキームの概略説明図である。
【図2】図2は、実施例2でエチルトリメトキシシランから調製したポリシルセスキオキサン液体を示す図面代用写真である。
【図3】図3は、実施例2でエチルトリメトキシシランから調製したポリシルセスキオキサン液体の1H NMRスペクトルである。
【図4】図4は、実施例3でエチルトリメトキシシランから調製したポリシルセスキオキサンガラスを示す図面代用写真である。
【図5】図5は、実施例3でエチルトリメトキシシランから調製したポリシルセスキオキサンガラスの光透過スペクトルである。
【図6】図6は、Electronics-Siliconeカタログ(東レダウコーニング2010年版)掲載の市販品の光封止材の光透過スペクトルである。
【好ましい実施形態】
【0017】
本発明は、有機溶媒を用いずに、3官能ケイ素アルコキシドと水と酸触媒とからなる混合物を加水分解及び重縮合させた後、3官能ケイ素アルコキシドが分解して生じるアルコールを除去することを含むポリシルセスキオキサン液体の製造方法である。
【0018】
本発明の製造方法を適用できる3官能ケイ素アルコキシドとしては、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシランなどから選択される少なくとも1種を好ましく挙げることができる。
【0019】
酸触媒としては、従来の有機溶媒を用いるゾル-ゲル法で用いられる硝酸、塩酸、硫酸、酢酸、ギ酸などを好ましく用いることができる。
前記3官能ケイ素アルコキシドと水と酸触媒とは、3官能ケイ素アルコキシド1モルに対して、水1.5モル以上5モル以下、酸触媒0モルよりも多く0.01モル以下で混合することが好ましい。水は、3官能ケイ素アルコキシドから、対応するポリシルセスキオキサンを得るために最低1.5モル、3官能ケイ素アルコキシドをすみやかに加水分解させるために最低3モル必要であるが、過剰な水分は最終的に除去されるため必要以上に用いることは好ましくない。酸触媒の使用量は、用いる3官能ケイ素アルコキシドと酸の種類によって異なるが、少ないほど好ましく、例えば3官能ケイ素メトキシドに対して希硝酸を用いる場合には0.002モル程度とすることが好適である。
【0020】
本発明の製造法は、従来の方法と異なり、有機溶媒を使用しない点を特徴とする。本発明では、3官能ケイ素アルコキシドと水と酸触媒とからなる混合物を好ましくは20~60℃程度の温度で24時間程度保持し、加水分解及び重縮合を行う。その後、加水分解により生じたアルコールを除去する。アルコールの除去には、乾燥や液液抽出などの方法を用いることができる。特に、本発明の製造方法では、3官能ケイ素メトキシドをケイ素源として用いた場合、加水分解及び重縮合により、ポリシルセスキオキサンに富む相と、アルコールに富む相とに液液相分離するため、液液抽出を行うことができ、より簡易にポリシルセスキオキサン液体を製造することが可能となる。
【0021】
得られたポリシルセスキオキサン液体を熱処理することによって、ポリシルセスキオキサンガラスを製造することができる。熱処理は、特に限定されないが100~200℃程度の温度で1時間~1週間程度、空気中又は窒素雰囲気中あるいは真空下にて行うことができる。
【0022】
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン0.1molに、希硝酸を加え、アルコキシド:水:硝酸のモル比を1:3:0.002とした溶液を調製した。この溶液を密閉容器中にて20℃で3時間撹拌し、さらに60℃で24時間熟成させ、加水分解と重縮合を進行させた。アルコール除去のために、空気中にて60℃で2時間乾燥させ、次いで真空下にて40℃で2時間乾燥させた。得られたポリシルセスキオキサン液体の写真を図2に示す。
【0023】
[実施例2]
エチルトリメトキシラン、またはプロピルトリメトキシシラン、またはフェニルトリメトキシシラン、または3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン0.1molに希硝酸を加え、アルコキシド:水:硝酸のモル比を1:3:0.002とした溶液を調製した。この溶液を密閉容器中にて20℃で3時間撹拌し、さらに60℃で24時間熟成させ、加水分解と重縮合を進行させた。その後、反応によって生じたメタノールに富む上相を液液抽出によって除去し、次いでポリシルセスキオキサンに富む下相を真空下にて乾燥させることでポリシルセスキオキサン液体が得られた。
【0024】
例として、エチルトリメトキシシランから調製したポリシルセスキオキサン液体(真空乾燥条件:60℃、1時間)のH NMRスペクトルを図3に示す。NMRスペクトルは、日本電子株式会社製JMN-ECS300を用いて、溶媒としてCDClを用い、300MHzにて測定した。図3から、3.5ppm付近のメタノールのメチル基水素由来のピーク(d)の強度(0.10)をエチルトリメトキシシラン1molあたりのメトキシ基水素数(9)で除して求めた残留メタノール分率はほぼ1%であり、3.6ppm付近の加水分解されていないメトキシ基水素由来のピーク(c)の強度(0.28)をエチルトリメトキシシラン1molあたりのメトキシ基水素数(9)で除して求めた残留メトキシ基分率はほぼ3%であり、加水分解がほとんど完了していることがわかる。
【0025】
[実施例3]
実施例2で調製したポリシルセスキオキサン液体を熱処理して、厚さ4.3mmのバルク状のガラスを得た。例として、エチルトリメトキシシランから調製したポリシルセスキオキサン液体を大気中160℃で24時間熱処理して得たエチル基修飾ポリシルセスキオキサンガラスの写真を図4に、その光透過スペクトルを図5に示す。図5に示すように、厚さ4.3mmと肉厚であるにもかかわらず近赤外域から紫外域まで高い透過率を有していることがわかる。透過率Tと吸収係数α(cm-1)との関係は以下の式で与えられる。
【0026】
【数1】
JP0006146856B2_000002t.gif
【0027】
ここで、t(cm)は試料の厚さである。
図5から計算した吸収係数は波長230nmで4.4cm-1(厚さ4.3mmの場合透過率0.10に相当)である。一方、市販品のケイ素系有機-無機ハイブリッド材料(東レダウコーニング)は250nm~300nm範囲で透過率が急激に落ち込んでおり(図6)、この領域での吸収係数が5cm-1(厚さ1mmの場合透過率0.61に相当)より大きいことと比較すると、本発明のポリシルセスキオキサンガラスは230nmより長波長の光の透過性に優れている。これは、エチルトリメトキシシランから製造されたポリシルセスキオキサンガラスが、フェニル基やカルボニル基などの紫外光を吸収する官能基を含まないためであると考えられる。
【0028】
また、得られたエチル基修飾ポリシルセスキオキサンガラスの密度を比重瓶を用いて測定したところ、1.22±0.03g/cmであった。この値は、シリカガラス(2.2g/cm)やソーダ石灰ガラス(2.5g/cm)と比較して1/2程度に小さく、汎用光学ポリマーと同程度の低密度ガラスが得られることがわかった。
【0029】
[実施例4]
フェニルトリエトキシシラン0.1molに希硝酸を加え、フェニルトリエトキシシラン:水:硝酸のモル比を1:3:0.002とした溶液を調製した。この溶液を密閉容器中にて20℃で3時間撹拌し、さらに60℃で72時間熟成させ、加水分解と重縮合を進行させた。アルコール除去のために、空気中にて60℃で24時間乾燥させてポリシルセスキオキサン液体を得た。得られたポリシルセスキオキサン液体を大気中160℃で36時間間熱処理することによってフェニル基修飾ポリシルセスキオキサンガラスが得られた。
【0030】
得られたフェニル基修飾ポリシルセスキオキサンガラスの密度を比重瓶を用いて測定したところ、1.32±0.03g/cmであった。この値は、シリカガラス(2.2g/cm)やソーダ石灰ガラス(2.5g/cm)と比較して1/2程度に小さく、汎用光学ポリマーと同程度の低密度ガラスが得られることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明によって、光学材料及び電子材料として有望視されているポリシルセスキオキサンを取り扱いの容易な液体として簡易に製造することができる。また、本発明の製造法によって得られるポリシルセスキオキサン液体から、ポリシルセスキオキサンガラスを容易に製造することができ、有機置換基としてエチル基やプロピル基のような飽和炭化水素系官能基を用いる場合、波長およそ230nmまで透明な紫外透明ポリシルセスキオキサンガラスを製造することができる。これらの材料は、従来のケイ素系有機-無機ハイブリッド材料では実現されていなかった波長300nmより短波長の紫外域で透明な光封止材や低融点封止剤、絶縁膜材料、コーティング材料としての用途が期待される。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5