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明細書 :粗大粒子添加によるナノ粒子スラリーの分散処理方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-105217 (P2015-105217A)
公開日 平成27年6月8日(2015.6.8)
発明の名称または考案の名称 粗大粒子添加によるナノ粒子スラリーの分散処理方法
国際特許分類 C01B  33/18        (2006.01)
FI C01B 33/18 Z
請求項の数または発明の数 4
出願形態 OL
全頁数 9
出願番号 特願2013-248960 (P2013-248960)
出願日 平成25年12月2日(2013.12.2)
発明者または考案者 【氏名】藤 正督
【氏名】佐藤 絵美子
【氏名】白井 孝
【氏名】高井 千加
出願人 【識別番号】304021277
【氏名又は名称】国立大学法人 名古屋工業大学
審査請求 未請求
テーマコード 4G072
Fターム 4G072AA25
4G072BB05
4G072BB13
4G072DD04
4G072DD06
4G072EE01
4G072GG03
4G072MM28
4G072MM33
4G072MM40
4G072TT01
4G072UU30
要約 【課題】シリカ粒子等のナノセラミクス粒子を超音波照射によりスラリー中で効率的に分散させる方法を提供する。
【解決手段】分散させたいナノ粒子に加えてナノ粒子より粒径の大きい粒子を溶液に投入し、超音波照射を付与後、静置して沈降粒子を除いて上澄み液を採取する、ナノセラミクス粒子を含むスラリーの分散方法。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
ナノセラミクス粒子と平均一次粒子径1μm~30μmの粗大セラミクス粒子を溶液に混合したスラリーに超音波を付与後、静置して沈降粒子を除いて上澄み液を採取する、ナノセラミクス粒子を含むスラリーの分散方法。
【請求項2】
固形分濃度0.1~10質量%のナノセラミクス粒子を含むスラリーに、ナノセラミクス粒子と粗大セラミクス粒子との重量比が1:1~50:1となるように粗大セラミクス粒子を添加する請求項1に記載のナノセラミクス粒子を含むスラリーの分散方法。
【請求項3】
前記超音波の周波数が35kHz~1MHzである、請求項1または2に記載のナノセラミクス粒子を含むスラリーの分散方法。
【請求項4】
前記粗大セラミクス粒子がアモルファスシリカまたは結晶性シリカのいずれかである、請求項1~3のいずれかに記載のナノセラミクス粒子を含むスラリーの分散方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、シリカ等のナノセラミクス粒子の分散性に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ナノメートルサイズのセラミクス粒子(以下、ナノセラミクス粒子という)は、熱伝導制御材、光学材料、電子材料、あるいは医療分野等の幅広い分野で応用されている。セラミクス粒子の中でもナノシリカ粒子は、それぞれ研究開発が活発になされており、それ自体が透明性を有すること、粒子径が可視光波長以下であること、特に中空粒子の場合は内部が空洞のため、空気とシリカ殻との界面の面積が増加して、シリカ表面での光の散乱が起こりやく、光透過性と光散乱性を併せて有し、上記用途等を念頭に研究開発が活発になされている。ナノシリカの他に、チタニアは光触媒用にナノメートルサイズの微粒子化が検討され、セリアあるいはジルコニアは排ガス浄化用の触媒として同じくナノメートルサイズの微粒子化が検討されている。
【0003】
ナノシリカ粒子、あるいは他のセラミクス粒子を上記の用途等に利用するに際しては、スラリー中での粒子分散性が極めて重要である。セラミクス粒子のスラリーでの分散性を良くするには、コロイド化学的な分散手法に加えて、凝集体の機械的な解砕が必要となる。ナノ粒子の機械的解砕・分散手法として、ビーズミル、ジェットミル、あるいは超音波照射等が挙げられる。超音波照射は装置あるいは操作の簡便さのため、解砕手法として頻繁に用いられている。(特許文献1参照)。具体的には、ナノ粒子スラリーに超音波を照射し、キャビテーション効果や溶媒と粒子の位相差などにより、ナノ粒子の解砕が行われてきた。しかし、スラリー中超音波照射によるナノ粒子凝集体の解砕には限度がある。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2004-269311
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、シリカ粒子等のナノセラミクス粒子を超音波照射によりスラリー中で効率的に分散させる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、分散させたいナノ粒子に加えてナノ粒子より粒径の大きい粒子を溶液に投入し、超音波照射を行うことによって、凝集粒子の解砕が進み、上記課題を解決しうることを見出した。すなわち、本発明によれば、以下の分散方法が提供される。
【0007】
[1]ナノセラミクス粒子と平均一次粒子径1μm~30μmの粗大セラミクス粒子を溶液に混合したスラリーに超音波を付与後、静置して沈降粒子を除いて上澄み液を採取する、ナノセラミクス粒子を含むスラリーの分散方法。
【0008】
[2]固形分濃度0.1~10質量%のナノセラミクス粒子を含むスラリーに、ナノセラミクス粒子と粗大セラミクス粒子との重量比が1:1~50:1となるように粗大セラミクス粒子を添加する前記[1]に記載のナノセラミクス粒子を含むスラリーの分散方法。
【0009】
[3]前記超音波の周波数が35kHz~1MHzである、前記[1]または[2]に記載のナノセラミクス粒子を含むスラリーの分散方法。
【0010】
[4]前記ナノセラミクス粒子および粗大セラミクス粒子がアモルファスシリカまたは結晶性シリカのいずれかである、前記[1]~[3]のいずれかに記載のナノセラミクス粒子を含むスラリーの分散方法。

【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】粗大粒子を混合した場合と混合しない場合の水中ナノシリカ粒子の凝集粒子径分布を示す図である。
【図2】超音波周波数を変えた場合の、粗大粒子振幅と媒体の振幅との比と粗大粒子径との関係を模式的に示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加え得るものである。

【0013】
本発明は、ナノ(微細)セラミクス粒子と平均一次粒子径1μm~30μmの粗大セラミクス粒子とを溶液中に混合したスラリーに超音波を付与後、静置して沈降粒子を除いて上澄み液を採取する、ナノセラミクス粒子を含むスラリーの分散方法である。ナノセラミクス粒子とは、平均一次粒子径が1000nm未満の粒子であり、シリカ、アルミナの他に周期律表第4周期~第6周期の、4A~4Bの元素の酸化物、窒化物、炭化物等の化合物、またはそれらの複合材が対象である。粗大セラミクス粒子としては、ナノセラミクス粒子と同質材であっても異質材であってもよい。好適にはセラミクス粒子および粗大セラミクス粒子がアモルファスシリカまたは結晶性シリカのいずれかである。前記溶液は水溶液以外に、アルコール等の有機溶液等が含まれるが、なかでも水溶液が好ましい。スラリー中に含まれる固形分濃度は、0.1~10質量%(wt%)のナノセラミクス粒子を含むことが好ましく、1~5質量%がより好ましい。さらに、ナノセラミクス粒子と粗大セラミクス粒子との重量比が1:1~50:1となるように粗大セラミクス粒子を含むことが好ましく、1:1~5:1となるように粗大セラミクス粒子を含むことがより好ましい。前記超音波はその周波数が35kHz~1MHzであることが好ましく、35~200KHzであることがより好ましい。

【0014】
(実施例)
本実施例では、微細粒子(分散粒子)スラリーに粗大粒子スラリーを添加し、超音波を照射することにより、溶媒の振動位相を変化させ、微細粒子凝集体のさらなる解砕を試みた。超音波を照射した後は、添加した粗大粒子を沈降除去させ、上澄みの微細粒子スラリーを取り出した。粗大粒子をスラリー添加して水中超音波照射による分散処理方法の有効性を、微細粒子の平均一次粒子径、粗大粒子の平均一次粒子径、微細粒子のスラリー中濃度、微細粒子と粗大粒子の重量比、および超音波周波数を変えて、分散効果を確認した。

【0015】
微細粒子として、ナノメートルサイズの粒子を主に、一部1μm超の粒子も検討した。より具体的には、アモルファスシリカ (日本アエロジル製Aerosil 130/平均一次粒子径16nm、日本アエロジル製Aerosil OX50/平均一次粒子径40nm、アドマテックス製SO-C3/平均一次粒子径0.9mm、アドマテックス製SO-C6/平均一次粒子径2.2mm)、粗大粒子として、結晶性シリカ(山森土本鉱業所製S6-5/平均一次粒子径4mm、山森土本鉱業所製S-3/平均一次粒子径8mm) 、アモルファスシリカ(トクヤマ製エクセリカSE-15/平均一次粒子径15mm、トクヤマ製エクセリカSE-30/平均一次粒子径30mm)を分級して用いた。分級方法としては、3質量%の粗大粒子スラリーを3分間超音波照射し、ストークスの沈降速度式より、粗大粒子4μmの場合は60分、8μmの場合は20分、15μmの場合は10分、30μmの場合は3分静置させ、上澄みを取り除き、沈降部分のみを用いた。沈降部分はマイクロピペットで1mL取り、200℃で1時間トラップを用いて真空乾燥した。乾燥後の重量を測定し、濃度を求め、蒸留水を分散媒とし、固形分濃度1質量%、3質量%、5質量%のスラリーを調製した。

【0016】
微細粒子のみの各固形分濃度のスラリーに、微細粒子スラリーと粗大粒子スラリーを1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、10:1、50:1の割合で、粗大粒子を添加した。さらに、解砕効果をより顕著にするため、硝酸を用いてpHをシリカの等電点付近に調整した。混合スラリーに、出力40Wで3種類の周波数(35KHz、200KHz、1MHz)で超音波を3分間照射した。超音波照射後、粗大粒子を確実に沈降分離するため、ストークスの沈降速度式より求めた沈降時間より少し長めの時間かけ、粗大粒子4μmの場合は70分、8μmの場合は40分、15μmの場合は15分、30μmの場合は5分間静置した。粗大粒子を沈降分離させた上澄み液のナノ粒子スラリーの粒度分布を日機装製MicrotracIMT/MT3300EX2にて測定した。上澄み液を200℃、1時間でトラップを用いて真空乾燥し、粗大粒子として用いた結晶性シリカが残っていないことをXRD解析により確認した。なお、分散粒子:AEROSIL130(16nm)、粗大粒子:S6-5(4mm)、固形分濃度:3質量%、分散粒子と粗大粒子の比:10/1の場合の、上澄みの分散粒子の収率は89.7%であった。収率は、上澄み液に含まれる分散粒子の重量を、添加した分散粒子の重量で割ったものである。上澄み液に含まれる分散粒子の重量は、上澄み液を1mL取得し、200℃で1時間トラップを用いて真空乾燥後、重量を測定し、上澄み液の濃度を求め、上澄み液の体積を用いて求めた。なお、用いた粗大粒子の粒子径や超音波周波数は、以下の式(1)(XP:粒子の振幅、XM:媒体の振幅、ρ:粒子の密度、f:周波数、d:粒子の直径、μ:媒体の粘性係数) より、粗大粒子が振動する周波数を選択した(図2参照)。

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【0017】
実験結果を表1、表2、表3および表4に示す。表中のD50は、粒度分布におけるメジアン径であり、粉体をある粒子径から2つに分けたとき、大きい側と小さい側が等量となる径径をいう。本出願では、平均一次粒子径D50と言う。解砕効果の判断基準として、粗大粒子なしの場合のD50を基準として、1/2以下まで解砕できたものを「○」、1/2超2/3以下まで解砕できたものを「△」、2/3超となったものを「×」(比較例)とした。


【0018】





【表1】
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【0019】
【表2】
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【0020】
【表3】
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【0021】
【表4】
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【0022】
表1(分散粒子径16nm、固形分濃度3質量%)では、粗大粒子径4μmかつ超音波周波数35KHzの場合は、分散粒子/粗大粒子の重量比が10/1、50/1,さらに粗大粒子なしの順に、分散粒子のメジアン径D50(粉体をある粒子径から2つに分けたとき、大きい側と小さい側が等量となる径)が大きくなり、粗大粒子の効果がよく現れている。一方、粗大粒子径8μmかつ超音波周波数200KHzの場合は、分散粒子/粗大粒子の重量比が大きくなるとともに、D50が概して小さくなる傾向があった。

【0023】
表2(分散粒子径40nm、粗大粒子径4μm)では、固形分濃度3質量%および5質量%の双方において、分散粒子/粗大粒子の重量比が大きくなると、分散粒子のD50が大きくなる傾向が明確に現れた。また、固形分濃度が3質量%より5質量%の方が、相対的に分散粒子のD50が大きくなった。固形分濃度3質量%のナノ粒子(Aerosil OX50)スラリーに、粗大粒子(S-3)スラリーを1:1の割合で混合した場合(実施例14)と、粗大粒子スラリーを混合しない場合(比較例6)について、超音波照射後の凝集粒子径分布を図1に示す。粗大粒子を混合させた場合には、粗大粒子を沈降分離させ、上澄み液の凝集粒子径分布を示している。上澄み液には、粗大粒子である結晶性シリカがないことをXRD分析により確認した。この粒度分布より、粗大粒子スラリーをナノ粒子スラリーに混合することによって、超音波照射後のナノ粒子凝集体の凝集粒子径が小さくなることがわかる。

【0024】
表3(分散粒子径40nm、粗大粒子径8μm)では、各固形分濃度で、分散粒子/粗大粒子の重量比が大きくなると、分散粒子のD50が大きくなる傾向が顕著に現れ、粗大粒子なしの場合は分散粒子のD50がさらに大きくなった。なお、粗大粒子径を15μmあるいは30μmと大きくした場合、固形分濃度が3質量%と小さくし、かつ分散粒子/粗大粒子の重量比を小さくするとD50が比較的小さくなった。

【0025】
表4では、分散粒子径を0.9μm、2.2μmと表1~3に比べて格段に大きくし、
粗大粒子径も8μm~30μmと大きくした。粗大粒子径が8μmの方が15~30μmより相対的に分散粒子のD50が小さくなった。また分散粒子/粗大粒子の重量比を大きくしても、分散粒子のD50が大きくなる傾向が見られなかった。

【0026】
固形分濃度を3質量%、超音波周波数200KHzに固定した場合、ナノ粒子と粗大粒子の割合の最適な条件は、Aerosil 130(16nm)ではナノ粒子と粗大粒子の割合:10/1(実施例10)、Aerosil OX50(40nm)ではナノ粒子と粗大粒子の割合:3/1(実施例16)であった。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明のシリカ等のナノメートルサイズの粒子の分散に利用することができる。
図面
【図1】
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【図2】
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