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明細書 :ZnOナノロッドアレイへのレーザー溶融による電極形成方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-117171 (P2015-117171A)
公開日 平成27年6月25日(2015.6.25)
発明の名称または考案の名称 ZnOナノロッドアレイへのレーザー溶融による電極形成方法
国際特許分類 C01G   9/02        (2006.01)
H01G   9/20        (2006.01)
FI C01G 9/02 B
H01G 9/20 111C
請求項の数または発明の数 4
出願形態 OL
全頁数 6
出願番号 特願2013-263145 (P2013-263145)
出願日 平成25年12月20日(2013.12.20)
発明者または考案者 【氏名】市川 洋
【氏名】廣芝 伸哉
出願人 【識別番号】304021277
【氏名又は名称】国立大学法人 名古屋工業大学
審査請求 未請求
テーマコード 4G047
Fターム 4G047AA02
4G047AB01
4G047AB02
4G047AB04
4G047AC03
4G047AD04
要約 【課題】簡便な方法でロッド状の酸化亜鉛微粒子を基板上に配向させ、微粒子端面に電極を形成する。
【解決手段】基板上に酸化亜鉛の薄膜を形成し、該薄膜を核として、亜鉛塩水溶液に塩基を加えて基板面に垂直に配向したロッド状の酸化亜鉛微粒子を複数形成し、配向した酸化亜鉛微粒子の端面にレーザーを照射して端面近傍を溶融させ、連続的な端面を形成する。さらに、ロッド状酸化亜鉛微粒子の連続的な端面に、金属あるいは合金からなる電極膜を形成する。
【選択図】図2
特許請求の範囲 【請求項1】
基板上に酸化亜鉛の薄膜を形成し、該薄膜を核として、亜鉛塩水溶液に塩基を加えて基板面に垂直に配向したロッド状の酸化亜鉛微粒子を複数形成し、配向した酸化亜鉛微粒子の端面にレーザーを照射して端面近傍を溶融させ、連続的な端面を形成するロッド状酸化亜鉛微粒子への電極形成方法。
【請求項2】
前記ロッド状酸化亜鉛微粒子が、径が50nm~300nm、長さが1μm~20μmである請求項1に記載の電極形成方法。
【請求項3】
前記ロッド状酸化亜鉛微粒子の連続的な端面に、金属あるいは合金からなる膜を形成する請求項1または2に記載の電極形成方法。
【請求項4】
基板上の酸化亜鉛薄膜を形成後、800~1100℃で熱処理を行う、請求項1~3のいずれかに記載の電極形成方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は発光デバイス、色素増感太陽電池等に用いられるナノサイズ酸化亜鉛構造体への電極形成に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化亜鉛(ZnO)は紫外線発光デバイス、圧電センサー、化学センサー、光触媒、さらには色素増感太陽電池用等電極等として幅広い用途が検討されている。これらの用途には薄膜化あるいは微粒子化が求められる。酸化亜鉛薄膜は主に気相成長法(CVD法あるいはPVD法)により製造されている。このうち、CVD法では基板の加熱処理温度や亜鉛源として用いる亜鉛化合物の種類によって膜の緻密さ、配向などを制御することが出来る。しかし、プロセス全体を極めて高精度に温度制御できる装置で行わなければならず、また、基板も数百℃以上の加熱処理に耐えることの出来るものでなくてはならない。したがって、CVD法は高品質な膜を製造することはできるが、省エネルギー・工程の簡便化・成膜可能な基板材料という点で大きな改善の余地を有する技術である。一方、PVD法も高真空が保てるスパッタ装置で行わなければならず、工程の簡便化・成膜可能な基板材料という点で制約を受ける。
【0003】
気相法の他に液相法として、電解析出法、ゾルーゲル法等が検討されている。ゾルーゲル法の場合、コーティング液を基板に塗布した後、400℃以上の温度で焼成しなければ酸化亜鉛膜を形成することが出来ない。また、1マイクロメートル以上の膜厚を有する膜を調製するには、基板への塗布と焼成とを繰り返し行わなければならないという問題点がある。
【0004】
一方、液相法の一つとして、pH8以上で安定なテトラヒドロキシ亜鉛酸イオンを含有する水溶液を酸化亜鉛粒子又は酸化亜鉛膜製造のための前駆体として用い、この水溶液中で100℃未満の温度での加熱処理により一次粒子径が1μm以上の酸化亜鉛粒子又は酸化亜鉛膜を製造する方法が開示されている(特許文献1参照)。この方法によれば、例えば、容器に入れた蒸留水に硝酸亜鉛6水和物を室温で溶解して0.1mol/lの濃度の亜鉛塩水溶液50mlを調製し、室温で攪拌しながら1.5mol/lのアンモニア水50mlを加え、最終的に得られた透明なテトラヒドロキシ亜鉛酸イオンを含有する水溶液にガラス基板を設置し、容器を密封して95℃の恒温槽中に2時間静置した後、ガラス基板を取り出し、蒸留水ですすいで乾燥することで酸化亜鉛膜が付着したガラス基板が得られるとのことである。そして、得られた酸化亜鉛膜の膜厚は0.1mmであり、長さが5μmから10μmの酸化亜鉛ウイスカーが凝集した構造が観察されている。
【0005】
上記液相法は簡便な酸化亜鉛微粒子の製造方法であるが、紫外線発光デバイス、圧電センサー、あるいは化学センサーに利用する場合、各種デバイスの特性を向上させるためには、酸化亜鉛微粒子がランダムに配向しているよりも一方向に配向していることが好ましい。そして、デバイスにするには配向した複数微粒子の端面を連続化して電極を形成することが必要である。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開2004-149367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、簡便な方法で酸化亜鉛微粒子を基板上に配向させ、微粒子端面に電極を形成することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、基板上に核となる酸化亜鉛の膜を形成し、その後、亜鉛塩水溶液に塩基を
加えて、多数の配向した酸化亜鉛微粒子を形成し、その後これら複数の酸化亜鉛微粒子の端面を溶融させて連続化することを想到して、上記課題を解決しうることを見出した。すなわち、本発明によれば、酸化亜鉛ナノロッドアレイへのレーザー溶融による電極形成方法を提供する。
【0009】
[1]基板上に酸化亜鉛の薄膜を形成し、該薄膜を核として、亜鉛塩水溶液に塩基を加えて基板面に垂直に配向したロッド状の酸化亜鉛微粒子を複数形成し、配向した酸化亜鉛微粒子の端面にレーザーを照射して端面近傍を溶融させて、連続的な端面を形成するロッド状酸化亜鉛微粒子への電極形成方法。
【0010】
[2]前記ロッド状酸化亜鉛微粒子が、径が50nm~300nm、長さが1μm~20μmである前記[1]に記載の電極形成方法。
【0011】
[3]前記ロッド状酸化亜鉛微粒子の連続的な端面に、金属あるいは合金からなる膜を形成する前記[1]または[2]に記載の電極形成方法。
【0012】
[4]基板上の酸化亜鉛薄膜を形成後、800~1100℃で熱処理を行う、前記[1]~[3]のいずれかに記載の電極形成方法。

【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】レーザーパルス光を1秒間(10パルス)照射したときの酸化亜鉛ロッド表面の微細構造SEM画像である。照射したエネルギー密度は、(a)0.13J/cm、(b)0.26J/cm、(c)0.39J/cm、(d)0.52J/cm、(e)0.65J/cm、(f)0.78J/cmである。
【図2】レーザー照射を0.78J/cmで行った場合の、酸化亜鉛ロッドの断面SEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加え得るものである。

【0015】
本発明に用いる基板には、A面またはC面のサファイア、シリコン(Si)の単結晶もしくは多結晶、ガラス、石英(SiO2)等が使用できる。基板上にナノサイズ酸化亜鉛のロッドを成長させるには、成長の核になる酸化亜鉛薄膜を基板上に堆積することが好ましい。酸化亜鉛薄膜は、スパッタ法、例えば高周波マグネトロンスパッタ法で形成することができ、膜厚は0.05μm~0.20μmが好ましい。酸化亜鉛薄膜は、電極として利用する場合は導電性が必要である。成膜直後の酸化亜鉛薄膜は導電率が小さいので、800℃~1100℃で熱処理を施すことで導電性が向上する。また、導電性を大きくするには、基板加熱をしながらスパッタを行う方法、あるいはガリウム(Ga)、アルミニウム(Al)などの元素を1~5原子%混入させたターゲットを用いてスパッタすることでも得られる。

【0016】
ナノサイズの酸化亜鉛のロッド(以下、酸化亜鉛ナノロッドという)を形成する水溶液として、亜鉛塩と塩基を含むことが好ましい。亜鉛塩としては、硝酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、クエン酸亜鉛、硫酸亜鉛などを用いることができる。一方塩基は、LiOH,NaOH,KOH,Ba(OH)2,Ca(OH),NH水,NaCO3,COなどを用いることができる。亜鉛塩と塩基を含む水溶液に塩基を加えてpHを11~13とすることが基板上にナノサイズの酸化亜鉛粒子を配向成長するために好ましい。水溶液の温度は50~95℃が好ましく、80~95℃がロッドの成長速度が大きく好ましい。ロッドの径は50nm~300nm、長さが1μm~20μmが好ましい。

【0017】
酸化亜鉛ナノロッド形成後、その表面を溶融して電極とすることが好ましい。酸化亜鉛のバンドギャップエネルギーは3.37eVであり、368nmの紫外線域の光の波長に相当する。すなわち、酸化亜鉛は波長368nm以下の光を吸収することが予想され、レーザーには、Nd:YAGレーザーを用い、三倍高調波である波長355nmの紫外線パルス光をZnOナノロッド表面に照射することが好ましい。レーザー光は例えば持続時間5~15nsのパルス光で、5~20Hzで酸化亜鉛膜に照射される。ロッド状酸化亜鉛微粒子の端面が溶融して連続的になり、この連続的な端面に金、白金等の金属あるいは合金からなる膜を形成することができる。
【実施例】
【0018】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定さ
れない。
【実施例】
【0019】
基板には鏡面仕上げをしたサファイアのC面単結晶を用いた。酸化亜鉛薄膜は、高周波マグネトロンスパッタ法で作製した。スパッタターゲットには、酸化亜鉛の焼結ターゲット(高純度化学研究所社製、直径100mm、厚み5mm、純度99.99%)を用い、アルゴン(Ar)ガスを導入し、1Paの圧力下で、周波数13.56MHzの高周波100Wを注入して15分間スパッタを行った。このとき、基板とターゲットの距離は50mmで、基板を加熱せずにスパッタを行った。基板上には膜厚400nmの酸化亜鉛薄膜が堆積していた。酸化亜鉛薄膜は、電極としても用いるので、成膜後に、窒素雰囲気で1000℃、1時間熱処理を施し、薄膜の導電率向上を図った。
【実施例】
【0020】
酸化亜鉛薄膜を形成後、これを核として酸化亜鉛ナノロッドを形成した。0.1Mの硝酸亜鉛(Zn(NO)水溶液50ml、1.5Mの水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液50mlをガラス製のビーカーに入れ攪拌した。この状態での水溶液のpHは10程度であるが、pH11~13のとき、ZnOナノロッドが基板上に配向成長することが、予備実験でわかっているので、水溶液にNaOHを加え、pHを調整して実験を行った。水熱合成の反応温度を90℃に設定して実験を行った。水溶液の入ったフラスコをホットプレートに載せ、温度を上げ、90℃に到達してから90分間、温度を一定に保ちながら水熱反応を起こさせた。このとき、太さ100nm程度、長さ5μm程度の多数配向成長したナノロッドが得られた。
【実施例】
【0021】
次に、レーザー照射による酸化亜鉛ナノロッドの表面を溶融させた。レーザー光は持続時間8nsのパルス光で、10Hzで照射した。図1に、エネルギー密度を変えて、レーザーパルス光を1秒間(10パルス)照射したときのZnOナノロッド表面の微細構造SEM画像を図1に示す。図1において、照射したエネルギー密度は、(a)0.13J/cm、(b)0.26J/cm、(c)0.39J/cm、(d)0.52J/cm、(e)0.65J/cm、(f)0.78J/cmを示している。レーザーパルス光の照射エネルギー密度の上昇に従い、酸化亜鉛ナノロッドの溶融が進行し、0.78J/cm(図1(f))では、ナノロッド先端が消え、平坦な表面になることがわかった。図2に、図1(f)試料の断面SEM像を示す。これによると、レーザー照射により、ZnOナノロッドの先端のみが溶融し、厚み数10nmの薄膜層が形成されていることがわかる。この溶融層と下地の酸化亜鉛薄膜層がZnOナノロッドを挟み込んでいることがわかる。また、酸化亜鉛ナノロッド先端と酸化亜鉛薄膜との抵抗値を測定したところ、図1(f)では、レーザー照射前に比べて、1/50以下に低下していることがわかった。これは、ZnOナノロッドを抵抗体と考えると、レーザー照射前はナノロッド1本の抵抗値、図1(f)に示す試料では、溶融部分とZnO薄膜間にある複数本のナノロッドの並列した抵抗体の測定値になっていることを示している。このことから、図1(f)に示す試料では、複数のZnOナノロッドを挟み込む構造ができていることがわかる。この表面溶融層に金、白金等の金属を形成して電極層とする。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明の電極形成方法は酸化亜鉛微粒子を使った各種デバイスの電極形成に利用でき
る。
図面
【図1】
0
【図2】
1