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明細書 :植物栽培システム及び植物栽培システムを用いた植物栽培方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5999552号 (P5999552)
公開番号 特開2014-007988 (P2014-007988A)
登録日 平成28年9月9日(2016.9.9)
発行日 平成28年9月28日(2016.9.28)
公開日 平成26年1月20日(2014.1.20)
発明の名称または考案の名称 植物栽培システム及び植物栽培システムを用いた植物栽培方法
国際特許分類 A01G   7/00        (2006.01)
A01G  17/00        (2006.01)
FI A01G 7/00 601Z
A01G 7/00 601A
A01G 7/00 601C
A01G 17/00
請求項の数または発明の数 26
全頁数 16
出願番号 特願2012-146088 (P2012-146088)
出願日 平成24年6月28日(2012.6.28)
審査請求日 平成27年5月29日(2015.5.29)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504132881
【氏名又は名称】国立大学法人東京農工大学
発明者または考案者 【氏名】荻原 勲
【氏名】車 敬愛
【氏名】澁澤 栄
【氏名】有江 力
【氏名】高柳 正夫
【氏名】帖佐 直
【氏名】遠山 茂樹
【氏名】水内 郁夫
【氏名】秋澤 淳
【氏名】櫻井 誠
【氏名】堀内 尚美
個別代理人の代理人 【識別番号】100091096、【弁理士】、【氏名又は名称】平木 祐輔
【識別番号】100118773、【弁理士】、【氏名又は名称】藤田 節
審査官 【審査官】門 良成
参考文献・文献 特開2011-120555(JP,A)
特開2011-120557(JP,A)
国際公開第2012/161351(WO,A1)
特開2003-201201(JP,A)
特開2005-323545(JP,A)
調査した分野 A01G 7/00
A01G 1/00
A01G 17/00-02
特許請求の範囲 【請求項1】
環境条件をコントロールすることができ、栽培対象の植物を育成するための複数の区画を備える植物栽培システムであって、上記複数の区画のうち少なくとも1つの区画を栽培対象の植物における休眠後に当該植物を低温で保存する低温区画とし、当該低温区画にエチレン除去装置を備えることを特徴とする植物栽培システム。
【請求項2】
上記低温区画は、湿度調節装置を備えることを特徴とする請求項1記載の植物栽培システム。
【請求項3】
上記低温区画は、内部温度を5.5±1.5℃の範囲に調節し、上記湿度調節装置により湿度を95~99%の範囲に調節していることを特徴とする請求項2記載の植物栽培システム。
【請求項4】
上記複数の区画のうち少なくとも1つの区画を栽培対象の植物の受粉を行う受粉区画とし、当該受粉区画にエチレン除去装置を備えることを特徴とする請求項1記載の植物栽培システム。
【請求項5】
上記受粉区画は、授粉処理時の湿度を30~50%とし、授粉処理後の湿度を50~70%とすることを特徴とする請求項4記載の植物栽培システム。
【請求項6】
上記受粉区画は、上記低温区画から移動した栽培対象の植物に対して照射する光強度を移動直後から徐々に強くすることを特徴とする請求項4記載の植物栽培システム。
【請求項7】
上記複数の区画のうち少なくとも1つの区画を栽培対象の植物の光合成を促進する光合成促進区画とし、人工光源を用いて長日条件とすることを特徴とする請求項1記載の植物栽培システム。
【請求項8】
上記光合成促進区画における上記人工光源は、波長660nmの赤色を含む人工光を照射する光源であることを特徴とする請求項7記載の植物栽培システム。
【請求項9】
上記光合成促進区画はエチレン除去装置を備えることを特徴とする請求項7記載の植物栽培システム。
【請求項10】
上記光合成促進区画は、上記人工光源を用いて長日条件から短日条件へと照射条件を調節することを特徴とする請求項7記載の植物栽培システム。
【請求項11】
環境条件をコントロールすることができ、栽培対象の植物を育成するための複数の区画を備える植物栽培システムを利用した植物の栽培方法であって、上記複数の区画のうち少なくとも1つの区画を栽培対象の植物における休眠後に当該植物を低温で保存する低温区画とし、当該低温区画内のエチレンを除去しながら植物を保存することを特徴とする植物栽培方法。
【請求項12】
上記低温区画内の湿度を調節しながら、植物を保存することを特徴とする請求項11記載の植物栽培方法。
【請求項13】
上記低温区画の内部温度を5.5±1.5℃の範囲に調節し、上記低温区画の湿度を95~99%の範囲に調節することを特徴とする請求項12記載の植物栽培方法。
【請求項14】
上記複数の区画のうち少なくとも1つの区画を栽培対象の植物の受粉を行う受粉区画とし、当該受粉区画内のエチレンを除去することを特徴とする請求項11記載の植物栽培方法。
【請求項15】
上記受粉区画の授粉処理時の湿度を30~50%とし、授粉処理後の湿度を50~70%とすることを特徴とする請求項14記載の植物栽培方法。
【請求項16】
上記受粉区画は、上記低温区画から移動した栽培対象の植物に対して照射する光強度を移動直後から徐々に強くすることを特徴とする請求項14記載の植物栽培方法。
【請求項17】
上記複数の区画のうち少なくとも1つの区画を栽培対象の植物の光合成を促進する光合成促進区画とし、人工光源を用いて長日条件とすることを特徴とする請求項11記載の植物栽培方法。
【請求項18】
上記光合成促進区画における上記人工光源は、波長660nmの赤色を含む人工光を照射する光源であることを特徴とする請求項17記載の植物栽培方法。
【請求項19】
上記光合成促進区画内のエチレンを除去することを特徴とする請求項17記載の植物栽培方法。
【請求項20】
上記光合成促進区画は、上記人工光源を用いて長日条件から短日条件へと照射条件を調節することを特徴とする請求項17記載の植物栽培方法。
【請求項21】
上記複数の区画のうち少なくとも1つの区画を栽培対象の植物の光合成を促進する光合成促進区画とし、当該光合成促進区画の環境条件を高温長日とする第1条件と、当該光合成促進区画の環境条件を低温短日とする第2条件とを繰り返すことを特徴とする請求項1記載の植物栽培システム。
【請求項22】
上記第1条件の温度条件を28.0±3.0℃とし、上記第2条件の温度条件を22.0±3.0℃とすることを特徴とする請求項21記載の植物栽培システム。
【請求項23】
上記第1条件下で果実が肥大すると共に、新梢の葉が5枚から8枚展開した段階で上記第2条件へと移行し、上記第2条件下で新梢の先端、えき芽(側芽)に花芽が形成され、その後に花芽が肥厚した、あるいは開花が開始した段階又は所定の日数が経過した段階で上記第1条件へと移行することを特徴とする請求項21記載の植物栽培システム。
【請求項24】
上記複数の区画のうち少なくとも1つの区画を栽培対象の植物の光合成を促進する光合成促進区画とし、当該光合成促進区画の環境条件を高温長日とする第1条件と、当該光合成促進区画の環境条件を低温短日とする第2条件とを繰り返すことを特徴とする請求項11記載の植物栽培方法。
【請求項25】
上記第1条件の温度条件を28.0±3.0℃とし、上記第2条件の温度条件を22.0±3.0℃とすることを特徴とする請求項24記載の植物栽培方法。
【請求項26】
上記第1条件下で果実が肥大すると共に、新梢の葉が5枚から8枚展開した段階で上記第2条件へと移行し、上記第2条件下で新梢の先端、えき芽(側芽)に花芽が形成され、その後に花芽が肥厚した、あるいは開花が開始した段階又は所定の日数が経過した段階で上記第1条件へと移行することを特徴とする請求項24記載の植物栽培方法。
発明の詳細な説明 【背景技術】
【0001】
ブルーベリーの収穫期間は、日本の自然条件(太陽光のみ)では6月から9月までとなっており、一方ハウスを利用した施設栽培の収穫時期は4月中旬から6月上旬となっている。したがって、10月から翌年の3月は、国内産ブルーベリーの収穫・出荷のオフシーズンとなる。また、10月から翌年の5月まで市場においては、ブルーベリー果実の需要に対して供給が不足し、チリなど南半球の国々から輸入により供給を賄っており価格高騰の原因となっている。
【0002】
上述した国内産ブルーベリーの収穫・出荷についてオフシーズンがある理由は、高温期における受粉不良及び結実不良にある。ブルーベリーは開花から収穫までに2か月以上(60日以上)かかるので、仮に10月に出荷するためには高温期の8月に開花させる必要がある。そして、8月に開花させるには、冬季の12月から2月に株を低温庫(5℃)に保存し、続いて7月に株を低温庫から出庫し、その後、目的の8月に開花させることとなる。しかし、8月は最高温度が38℃程度、最低温度が25℃程度と高いため、開花はするものの、その後、結実しない場合が多い。このように、10月から翌年の3月の期間に、国内産ブルーベリーを収穫し、需要に見合った出荷量を達成するのは非常に困難であった。
【0003】
特許文献1及び2には、ブルーベリー栽培に特化した技術ではないものの、特にブルーベリー果実の高収率化を可能とする植物栽培システムが開示されている。この植物栽培システムは、環境条件をコントロールすることができる複数の区画を備え、所定の環境条件のもとにブルーベリーを栽培できるものである。この植物栽培システムによれば、高温期における環境温度を低くなるように設定(例えば、日中30℃、夜間25℃)した区画を用いることで、上述したような高温期における受粉不良及び結実不良が解決されるようにも考えられる。しかしながら、このような設定によっても結実率は大幅に改善されず、高温期におけるブルーベリーの結実不良は解消できなかった。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2011-120555号公報
【特許文献2】特開2011-120557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のように、特許文献1等に開示された植物栽培システムを利用したとしても、ブルーベリー果実を周年収穫することはできないという問題があった。換言すれば、特許文献1等に開示された植物栽培システムを利用して、ブルーベリー果実を周年収穫できる技術が求められていた。そこで、本発明は、上述した実情に鑑み、夏季の高温時でも閉鎖系室内の環境を適切に制御して、開花率と結実率とを向上させ、オフシーズンの期間であってもブルーベリー等の果実を安定して収穫することができる植物栽培システム及び植物栽培方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上述した目的を達成するために鋭意検討した結果、ブルーベリー等の植物を低温庫内でエチレンを除去しながら保存した場合には、長期の保存であっても開花率及び結実率の低下が見られず、ブルーベリー等の果実を収穫できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、以下を包含する。
(1)環境条件をコントロールすることができ、栽培対象の植物を育成するための複数の区画を備える植物栽培システムであって、上記複数の区画のうち少なくとも1つの区画を栽培対象の植物における休眠後に当該植物を低温で保存する低温区画とし、当該低温区画にエチレン除去装置を備えることを特徴とする植物栽培システム。
(2)上記低温区画は、湿度調節装置を備えることを特徴とする(1)記載の植物栽培システム。
(3)上記低温区画は、内部温度を5.5±1.5℃の範囲に調節し、上記湿度調節装置により湿度を95~99%の範囲に調節していることを特徴とする(2)記載の植物栽培システム。
(4)上記複数の区画のうち少なくとも1つの区画を栽培対象の植物の受粉を行う受粉区画とし、当該授粉区画にエチレン除去装置を備えることを特徴とする(1)記載の植物栽培システム。
(5)上記受粉区画は、授粉処理時の湿度を30~50%とし、授粉処理後の湿度を50~70%とすることを特徴とする(4)記載の植物栽培システム。
(6)上記受粉区画は、上記低温区画から移動した栽培対象の植物に対して照射する光強度を移動直後から徐々に強くすることを特徴とする(4)記載の植物栽培システム。
(7)上記複数の区画のうち少なくとも1つの区画を栽培対象の植物の光合成を促進する光合成促進区画とし、人工光源を用いて長日条件とすることを特徴とする(1)記載の植物栽培システム。
(8)上記光合成促進区画における上記人工光源は、波長660nmの赤色を含む人工光を照射する光源であることを特徴とする(7)記載の植物栽培システム。
(9)上記光合成促進区画はエチレン除去装置を備えることを特徴とする(7)記載の植物栽培システム。
(10)上記光合成促進区画は、上記人工光源を用いて長日条件から短日条件へと照射条件を調節することを特徴とする(7)記載の植物栽培システム。
(11)環境条件をコントロールすることができ、栽培対象の植物を育成するための複数の区画を備える植物栽培システムを利用した植物の栽培方法であって、上記複数の区画のうち少なくとも1つの区画を栽培対象の植物における休眠後に当該植物を低温で保存する低温区画とし、当該低温区画内のエチレンを除去しながら植物を保存することを特徴とする植物栽培方法。
(12)上記低温区画内の湿度を調節しながら、植物を保存することを特徴とする(11)記載の植物栽培方法。
(13)上記低温区画の内部温度を5.5±1.5℃の範囲に調節し、上記低温区画の湿度を95~99%の範囲に調節することを特徴とする(12)記載の植物栽培方法。
(14)上記複数の区画のうち少なくとも1つの区画を栽培対象の植物の受粉を行う受粉区画とし、当該授粉区画内のエチレンを除去することを特徴とする(11)記載の植物栽培方法。
(15)上記受粉区画の授粉処理時の湿度を30~50%とし、授粉処理後の湿度を50~70%とすることを特徴とする(14)記載の植物栽培方法。
(16)上記受粉区画は、上記低温区画から移動した栽培対象の植物に対して照射する光強度を移動直後から徐々に強くすることを特徴とする(14)記載の植物栽培方法。
(17)上記複数の区画のうち少なくとも1つの区画を栽培対象の植物の光合成を促進する光合成促進区画とし、人工光源を用いて長日条件とすることを特徴とする(11)記載の植物栽培方法。
(18)上記光合成促進区画における上記人工光源は、波長660nmの赤色を含む人工光を照射する光源であることを特徴とする(17)記載の植物栽培方法。
(19)上記光合成促進区画内のエチレンを除去することを特徴とする(17)記載の植物栽培方法。
(20)上記光合成促進区画は、上記人工光源を用いて長日条件から短日条件へと照射条件を調節することを特徴とする(17)記載の植物栽培方法。
【0008】
一方、本発明者らは、上述した目的を達成するために鋭意検討した結果、ブルーベリー等の植物の光合成を促進する段階において、高温長日の条件と低温短日の条件とを所定のタイミングで所定の期間となるように繰り返すことで、連続的に果実を収穫できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は以下を包含する。
(21)環境条件をコントロールすることができ、栽培対象の植物を育成するための複数の区画を備える植物栽培システムであって、上記複数の区画のうち少なくとも1つの区画を栽培対象の植物の光合成を促進する光合成促進区画とし、当該光合成促進区画の環境条件を高温長日とする第1条件と、当該光合成促進区画の環境条件を低温短日とする第2条件とを繰り返すことを特徴とする植物栽培システム。
(22)上記第1条件の温度条件を28.0±3.0℃とし、上記第2条件の温度条件を22.0±3.0℃とすることを特徴とする(21)記載の植物栽培システム。
(23)上記第1条件下で果実が肥大すると共に、新梢の葉が5枚から8枚展開した段階で上記第2条件へと移行し、上記第2条件下で新梢の先端,えき芽(側芽)に花芽が形成され、その後に花芽が肥厚した、あるいは、開花が開始した段階又は所定の日数が経過した段階で上記第1条件へと移行することを特徴とする(21)記載の植物栽培システム。
(24)環境条件をコントロールすることができ、栽培対象の植物を育成するための複数の区画を備える植物栽培システムを利用した植物の栽培方法であって、上記複数の区画のうち少なくとも1つの区画を栽培対象の植物の光合成を促進する光合成促進区画とし、当該光合成促進区画の環境条件を高温長日とする第1条件と、当該光合成促進区画の環境条件を低温短日とする第2条件とを繰り返すことを特徴とする植物栽培方法。
(25)上記第1条件の温度条件を28.0±3.0℃とし、上記第2条件の温度条件を22.0±3.0℃とすることを特徴とする(24)記載の植物栽培方法。
(26)上記第1条件下で果実が肥大すると共に、新梢の葉が5枚から8枚展開した段階で上記第2条件へと移行し、上記第2条件下で新梢の先端、えき芽(側芽)に花芽が形成され、その後に花芽が肥厚した、あるいは、開花が開始した段階又は所定の日数が経過した段階で上記第1条件へと移行することを特徴とする(24)記載の植物栽培方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、休眠後において低温にて保存する際にエチレンを除去することで、花の老化を抑制して、受粉、受精率を向上できる植物栽培システム及び植物栽培方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】低温条件下でエチレンを除去して保存したブルーベリー果樹を撮像した写真である。
【図2】低温条件下でエチレンを除去せずに保存したブルーベリー果樹を撮像した写真である。
【図3】光源として青色LED、緑色LED及び赤色LEDを使用したときの光合成速度を測定した結果を示す特性図である。
【図4】光合成促進工程に移行して開花したブルーベリー果樹を撮像した写真である。
【図5】図4に示した段階から更に2ヵ月が経過したブルーベリー果樹を撮像した写真である。
【図6】図5に示した段階から更に2ヵ月が経過したブルーベリー果樹を撮像した写真である。
【図7】短日条件及び低温条件に移行し、新梢の先端の花芽形成及び花芽からの開花を誘導したブルーベリー果樹を撮像した写真である。
【図8】図7に示した段階から更に1ヵ月が経過したブルーベリー果樹を撮像した写真である。
【図9】図8に示した段階から更に1ヵ月が経過したブルーベリー果樹を撮像した写真である。
【図10】本発明の植物栽培システムの一実施の形態を示した図である。
【図11】図10の植物栽培システムの地下平面図を示した図である。
【図12】図10の植物栽培システムの1階平面図を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。

【0013】
本発明に係る植物栽培システム及び植物栽培方法は、ブルーベリー果実を代表例として、閉鎖系(人工光)栽培室において高品質な果実を連続的に生産する方法の開発に伴って提案される技術である。なお、以下の説明では、栽培対象の植物の具体的な例示としてブルーベリーを挙げる。栽培対象はブルーベリーに限定されるものではなく、如何なる植物を栽培対象としてもよい。栽培対象の植物としては、一年性植物若しくは二年性植物でもよいし、永年性植物でも良い。育成管理システムは、詳細を後述するように、生育サイクルにおける各段階を複数の区画で実現できる。また、育成管理システムは、栽培対象の植物を自動又は手動により所望の区画に移動することができる。このため、育成管理システムは、複数の生育サイクルを経ることができる永年性植物を栽培対象とすることが好ましい。

【0014】
永年性植物とは、複数の生育サイクルを繰り返す植物を意味し、一年又は二年に亘って一回の生育サイクルで枯死する植物(一年性植物又は二年生植物)を除く植物を意味する。永年性植物としては、代表的には果樹を挙げることができる。育成管理システムでは、特に限定されないが、ブルーベリー、ラズベリー、ビルベリー、ストロベリー、ミカンやレモン等の柑橘類、桜桃、リンゴ、梨、ビワ、ブドウ、マンゴー、パパイヤ、ドラゴンフルーツ、バナナ等を栽培対象とすることができる。さらに,花を観賞する樹木等も栽培対象とすることもできる。

【0015】
特に、本発明に係る植物栽培システム及び植物栽培方法は、休眠導入したブルーベリーを低温環境下に保存する際に、エチレンを除去した環境とするものである。休眠導入したブルーベリーを低温環境下に保存する期間が長くなると、一部の株において萌芽し、開花が始まる。この状態で、エチレンを除去することによって、花の老化を抑制することができ、花粉や雌花の受精能力を維持することができる。

【0016】
このとき、低温環境下とは、休眠を維持できる温度範囲に温度条件を整えることを意味するが、具体的な温度に特に限定されるものではない。栽培対象とする植物の種類や品種によっても、休眠を維持できる温度範囲は異なっており、一義的な数値範囲として定義できるものではない。例えば、ブルーベリーについては、5.5±1.5℃の温度範囲とすれば低温環境下ということができる。

【0017】
本発明に係る植物栽培システム及び植物栽培方法では、休眠導入したブルーベリーを低温環境下に保存する際に、低温環境下における保存の開始から終了までの全期間でエチレンを除去しても良いが、少なくとも一部の株において萌芽が観察された時から低温環境下の保存が終了するまでの間でエチレンを除去しても良い。

【0018】
なお、休眠導入したブルーベリーを低温環境下に保存する期間は、いわゆる低温要求時間とすることができる。低温要求時間とは、休眠期を打破するために必要とされる低温状態を維持する時間であり、具体的には7.2℃以下の低温条件下に曝される時間の積算値として定義される。ブルーベリーに関する低温要求時間は、Method to determine chilling requirement in blueberry. J. M. Spiers, D. A. Marshall, B. J. Smith and J. H. Braswell. Acta Horticulturae. 715: VIII International Symposium on VacciniumCulture.に記載されている。

【0019】
また、休眠導入したブルーベリーを低温環境下に保存する期間では、湿度を80~99%、好ましくは95~99%に維持することが好ましい。また、休眠導入したブルーベリーを低温環境下に保存する期間では、土壌水分含有率を75~85%に維持することが好ましい。湿度条件及び土壌水分含有率を上記範囲に維持することによって、枝の乾燥を防ぎ、花芽及び葉芽を除々に発達させることができる。

【0020】
より具体的に、ブルーベリー果樹を休眠期(12~2月)に低温環境下に保存する場合、8月には低温環境下となってから8カ月となり、徐々に萌芽して開花する株が出現する。このような状態でも、環境中のエチレンを除去することで花の劣化を防止して花粉や雌花の受精能力を維持することができる。一例として、11ヶ月間エチレンを除去しながら低温環境下に保存したブルーベリー果樹を図1に示す。また、対照としてエチレンを除去せずに低温環境下に保存したブルーベリー果樹を図2に示す。図1及び2に示すように、11ヵ月といった長期に亘って低温保存する場合、エチレンを除去することで花の劣化を防止できることが判る。

【0021】
以上のように、休眠導入したブルーベリーを低温環境下に保存した後、受粉工程を行う。受粉工程は、人工授粉による受粉でもよいし、昆虫を媒介した自然の受粉でもよい。本発明においては、上述したように、休眠導入したブルーベリーを低温環境下に保存する際にエチレンを除去しているため受精能力を維持することができ、結実率を向上させることができる。したがって、受粉工程における各種環境条件は、特に限定されることなく、優れた結実率を維持できる観点で設定して良い。

【0022】
ただし、更に結実率を向上させるには、例えば、授粉処理時の湿度を30~50%とし、授粉処理後の湿度を50~70%とすることが好ましい。詳細には、先の工程から受粉工程に移行し、光照射を開始してから3時間後に除湿器により周囲の湿度を除々に低下させ、約4時間後には30%程度にするといった条件を挙げることができる。湿度が30%程度になると花粉が飛散してくるので、それを採取し授粉を行うといった条件を設定することが好ましい。そして、授粉作業の際には、除湿器、必要であれば加湿器を用いて、湿度を30~50%の範囲に維持することが好ましい。授粉作業が終了した後、加湿器等を利用して湿度を除々に上げ、湿度が50~70%の範囲を維持するように設定する。

【0023】
また、受粉工程では、先の工程と同様にエチレンを除去することが好ましい。受粉工程にでは、受粉すると花弁が落下しエチレンが発生する。したがって、受粉工程においてエチレンを除去することによって老化を防止して、結実率の低下を防止することができる。受粉工程においてエチレン除去は、受粉及び結実が終了するまで行うことが好ましい。

【0024】
さらに、受粉工程では、ブルーベリーに対して照射する光の強度を、先の工程から受粉工程に移行した直後から徐々に強くすることが好ましい。具体的には、先の工程から移行した直後においては、200~300μmol/m2/sの強度、好ましくは200μmol/m2/sの強度で光を照射する条件とする。このように、先の工程から受粉工程に移行した直後には、比較的弱い強度の光を照射することで、花器から水分が奪われ結実率が低下することや、葉が枯死することを防止することができる。

【0025】
さらにまた、受粉工程では、萌芽した葉の光合成能が十分に高まった段階で比較的に強い強度で光を照射することが好ましい。より具体的には、葉が萌芽して20~30日後に葉の光合成能が最大になるため、萌芽後20~30日後には光強度を500μmol/m2/s程度にすることが好ましい。このように、葉の光合成能が十分に高まった段階で光強度が高くする条件により、結実した果実の落下を防止することができる。

【0026】
なお、受粉工程においては、明期を12時間とし、暗期を12時間とすることが好ましい。また、受粉工程における明期の温度は23~25℃とすることが好ましく、暗期の温度を12~16℃とすることが好ましい。ただし、これら明期及び暗期の時間や、各期の温度等の条件は、これら具体的な数値範囲に限定されず、栽培対象の植物種、品種やその他の環境条件などに応じて適宜設定することができる。

【0027】
以上のように、受粉工程により受粉したブルーベリーは、光合成を促進する光合成促進工程へと移行する。ここで、光合成促進工程は、光合成性能を向上させることで高品質な果実に生長させる段階である。特に、光合成促進工程では、所定の波長の光を照射できる人工光源を使用し、長日条件とする。人工光源としては、蛍光灯、高圧ナトリウムランプ、発光ダイオード(LED)ランプ等を挙げることができる。特に、人工光源は、波長660nmの赤色を含む人工光を照射できる光源であることが好ましい。波長660nmの赤色を含む人工光を照射できる光源としては、高圧ナトリウムランプ及び赤色LEDランプを挙げることができる。図3には、光源として青色LED、緑色LED及び赤色LEDを使用したときの光合成速度を測定した結果を示している。図3から判るように、赤色LEDを使用した場合には、青色LED及び緑色LEDを使用した場合と比較して光合成速度が高いことが判る。

【0028】
なお、光合成促進工程においては、明期の時間が暗期よりも長い長日条件であれば特に限定されない。ここで長日条件とは、例えば、明期を12~14時間とし、暗期を10~12時間未満とする条件を挙げることができ、明期を14時間、暗期を10時間とする条件が好ましい。また、光合成促進工程における明期の温度は、例えば28.0±3.0℃とすることが好ましく(以下、この温度条件を高温条件と称す)、暗期の温度を16℃程度とすることが好ましい。さらに、光合成促進工程における明期の光強度としては、300~500μmol/m2/sの範囲が好ましく、500μmol/m2/sとすることがより好ましい。光合成促進工程における明期の光強度をこの範囲とすることで、葉の光合成速度を高くすることができ、結実した果実の落下を防止できる。さらにまた、光合成促進工程の明期における湿度は50~70%とすることが好ましく、同暗期における湿度は80~90%とすることが好ましい。ただし、これら明期及び暗期の時間や、各期の温度及び湿度、光強度等の条件は、これら具体的な数値範囲に限定されず、栽培対象の植物種、品種やその他の環境条件などに応じて適宜設定することができる。

【0029】
また、光合成促進工程においても、先の工程と同様にエチレンを除去することが好ましい。果実の成熟とエチレンガス(植物ホルモン、老化ホルモン)との関係は公知であるが、収穫期にエチレンが大量に発生すると、小果であってもエチレンに反応して成熟が進むことがある。よって、この光合成促進工程においてもエチレンを除去することで、小果の成熟を防止することができる。これにより、より高品質な果実を生産することができる。

【0030】
以上のように、光合成促進工程によれば、閉鎖系環境下で光合成を促進しても落果が遅く、完熟した果実を生産できる。特に、完熟した果実の糖度は、13%以上と高い値を示すこととなり極めて高品質な果実を生産することができる。また、本発明によれば、果実の酸度が低いため、結果として糖酸比が高く、食味が良好なものとなる。

【0031】
一例として、上述した方法によりブルーベリー果樹を栽培して得られた果実と、太陽光を用いた通常の栽培方法により得られた果実とについて、一粒当たりの重さ(1果重)、果実硬度、果皮硬度及び果肉硬度を比較した結果を表1に示し、アントシアニン含量(ABS値)、糖度及び酸度を比較した結果を表2に示した。

【0032】
【表1】
JP0005999552B2_000002t.gif

【0033】
【表2】
JP0005999552B2_000003t.gif

【0034】
この結果から判るように、上述した方法によれば、太陽光を用いた通常の栽培方法と比較して1果重には相違がないが、果肉は柔らかく、アントシアニン含量が多く、糖度が高く、酸度が小さく、糖酸比が高い果実を生産できる。このように、上述した方法によれば、品質に優れ、食味も良好な果実を生産できることが明らかとなった。

【0035】
ところで、本発明に係る植物栽培システム及び植物栽培方法は、休眠導入したブルーベリーを低温環境下に保存する際に区画内のエチレンを除去する又は除去しないに拘わらず、光合成促進区画の環境条件を高温長日とする第1条件と、当該光合成促進区画の環境条件を低温短日とする第2条件とを繰り返すものであってもよい。すなわち、休眠導入したブルーベリーを低温環境下にエチレンを除去することなく保存し、その後は同様に受粉工程を実行する。

【0036】
そして、光合成促進工程においては、上述したような長日条件、高温条件に栽培対象の植物をおいた後、所定のタイミングで短日条件及び低温条件に移行する。ここで、短日条件及び低温条件に移行するタイミングとしては、特に限定されないが、第1条件開始50日~80日後といった予め定めた期間が経過した時点としても良いし、果実が肥大(着色)すると共に、新梢(新たに伸びた枝)の葉が5枚から8枚展開した時点としても良い。ここで、短日条件とは、暗期の時間を明期の時間以上の長さに設定する条件を意味する。具体的に短日条件とは、明期を10~12時間とし、暗期を12~14時間とする条件、好ましくは明期を10時間とし、暗期を14時間とする条件を挙げることができる。また、低温条件とは、上述した高温条件よりも低い温度条件を意味し、例えば明期の温度が10~25℃の範囲、好ましくは19~25℃(すなわち22.0±3.0℃)の範囲を意味する。また、短日条件における光強度は、200~650μmol/m2/sとすることが好ましい。

【0037】
光合成促進工程において、上述した長日条件、高温条件から短日条件、低温条件に移行して所定の期間、当該条件を維持することで、新梢の先端の花芽形成及び花芽からの開花を誘導することができる。ここで、短日条件、低温条件を維持する期間としては、特に限定されないが、新梢の先端,えき芽(側芽)に花芽が形成され、その後に花芽が肥厚した、あるいは開花が開始した期間とすることもできるし、予め定めた期間、例えば70~100日という期間とすることもできる。

【0038】
短日条件、低温条件を所定の期間維持した後、再び上述した長日条件、高温条件へと移行することで、新梢の先端に形成された花器から新たに果実の成熟を促すことができる。これにより、ブルーベリー果実といった栽培対処の植物果実を連続的に生産することができる。

【0039】
この場合でも、新梢の先端に形成された花器から新たに果実の成熟を促すことができる。これにより、ブルーベリー果実といった栽培対処の植物果実を連続的に生産することができる。

【0040】
具体的に、光合成促進工程に移行して開花した段階のブルーベリー果樹の写真を図4に示し、その2ヵ月後の写真を図5に示し、更に2ヵ月後の写真を図6に示す。すなわち、図4~6には、受粉工程の後に開花した段階から、着果し、果実が成熟し始める時点までが示されている。

【0041】
そして、図6に示した段階の果樹を、上述した短日条件及び低温条件に移行し、新梢の先端の花芽形成及び花芽からの開花を誘導した段階のブルーベリー果樹の写真を図7に示し、その1ヵ月後の写真を図8に示し、更に1ヵ月後の写真を図9に示す。図7に示すように、熟成した果実を有する一株のブルーベリー果樹において、新梢の先端に新たな花器が形成されていることが判る。このように、上述した短日条件及び低温条件に移行することで、連続的に開花を誘導できることが明らかとなった。そして、図8及び9に示すように、1回目の着果の後、4ヵ月で2回目の着果を実現できることが明らかとなった。

【0042】
図4~9に示したブルーベリー果樹の栽培例は、培養土としてピートモス,バーミキュライト,鹿沼土を1:1:1の割合で混合したものを用い、pHが4~6でECが0.8~1.2に調整された養液を毎日灌水時に施与した。なお、図4~9に示したブルーベリー果樹は、サザンハイブッシュ種の“ミスティ”である。詳細には、収穫の終わったブルーベリー果樹を2011年11月~2012年2月に、明期12時間、気温8~26℃、光強度200~650μmol/m2/sの条件に処した(図4~6)。次いで、2012年2月~2012年6月まで、明期10時間、気温8~22℃,光強度200~650μmol/m2/sの条件に処した(図7~9)。その結果、図4に示すように2011年12月に開花が見られ、図5及び6に示すように2012年2月~4月に果実を収穫できた。さらに、図7に示すように2012年4月から再び開花が見られ、図8及び9に示すように2012年6月から果実を収穫することができた。

【0043】
以上で説明した、本発明を適用した植物栽培方法は、例えば、図10に示すような植物栽培システム400を利用して実施することができる。なお、図示する植物栽培システム400は、地上1階、地下1階から構成されているが、その地上や地下の階数は、図示例に限定されるものではないことは言うまでも無く、各々の階層を構成する処置ブース(区画)の配列や、各ブースの装置の配置も、図示例に限定されるものではない。

【0044】
図10に示す植物栽培システム400は、地上階200と地下階300を有し、上述したブルーベリー等の植物100を栽培対象としている。なお、本例では、植物100として、いわゆるポット栽培されたブルーベリーを示している。なお、植物100としては、例えば、特開2011-120555号公報や特開2011-120557号公報にて開示されている、自走可能な移送装置を用いて栽培しているものでも良い。この場合でも、本発明を限定することなく適用することができる。

【0045】
本例に示す植物栽培システム400の地上階200は、受粉ブース201、光合成促進ブース202及び養分蓄積ブース203からなる複数の区画を備えている。一方、植物栽培システム400の地下階300は、休眠導入ブース301、休眠管理ブース302、萌芽促進ブース303からなる複数の区画を備えている。また、栽培対象の植物の種類によっては、環境条件の異なる複数の光合成促進ブース202を備えることもできる。すなわち、植物栽培システム400において、上述した複数の区分は、栽培対象の植物が自生可能な自然環境における気候区分に併せて、各区画における環境条件がそれぞれ制御される。例えば、複数の季節から構成される気候区分、一例として春夏秋冬といった4つの季節から構成される温帯気候については、これら季節のうち少なくとも1つの季節を1つの区分に実現することができる。また、例えば、栽培対象の植物が雨期及び乾期を有する気候区分において熟成する果実を付けるものである場合、雨期の環境条件を実現した果実成熟(収穫)ブースと乾期の環境条件を実現した光合成促進ブースを備えることが好ましい。

【0046】
また、植物栽培システム400において地上階200に設置された受粉ブース201には、地下階300の萌芽促進ブース303と連絡するリフト401が設置されている。同様に、養分蓄積ブース203には、地下の休眠導入ブース301と連絡するリフト402が設置されている。

【0047】
ここで、休眠管理ブース302は、図11に示すように、エチレン除去装置310を備える区画である。この休眠管理ブース302を利用することによって、休眠導入したブルーベリーを低温環境下に保存する際にエチレンを除去した環境を構築することができる。エチレン除去装置310としては、特に限定されず、エチレンガスをバイオセラミックカートリッジフィルターで吸着して除去するタイプ、紫外線ランプやオゾン、触媒でエチレンを分解して除去するタイプのいずれであっても良い。

【0048】
なお、図示しないが、休眠管理ブース302は、光量調節装置、温度調節装置、湿度調節装置、排気装置、炭酸ガス供給装置等をそれぞれ備えていてもよい。これら各装置により、休眠管理ブース302内の光量、温度、湿度、炭酸ガス濃度といった各種環境条件を適宜調整することができる。

【0049】
なお、図11に示す休眠導入ブース301及び萌芽促進ブース303は、図示しないが、光量調節装置、温度調節装置、湿度調節装置、排気装置及び炭酸ガス供給装置、並びに休眠管理ブース302と同様エチレン除去装置を備えていても良い。これら各装置により、休眠導入ブース301及び萌芽促進ブース303の内部をそれぞれ、休眠導入及び萌芽促進に適した環境条件に適宜調整することができる。

【0050】
一方、受粉ブース201は、図12に示すように、萌芽促進ブース303から搬送した植物に対して上述した受粉工程を実施する区画である。よって、受粉ブース201は、上述したように、エチレン除去装置210を備えていることが好ましい。なお、図示しないが、受粉ブース201は、光量調節装置、温度調節装置、湿度調節装置、排気装置、炭酸ガス供給装置等をそれぞれ備えていてもよい。これら各装置により、受粉ブース201内の光量、温度、湿度、炭酸ガス濃度といった各種環境条件を上述した範囲に適宜調整することができる。

【0051】
また、光合成促進ブース202は、図12に示すように、受粉ブース201から搬送した植物に対して上述した光合成促進工程を実施する区画である。よって、光合成促進ブース202は、上述したように、エチレン除去装置210を備えていることが好ましい。なお、図示しないが、光合成促進ブース202は、光量調節装置、温度調節装置、湿度調節装置、排気装置、炭酸ガス供給装置等をそれぞれ備えていてもよい。これら各装置により、光合成促進ブース202内の光量、温度、湿度、炭酸ガス濃度といった各種環境条件を上述した範囲に適宜調整することができる。

【0052】
なお、養分蓄積ブース203は、上述した光合成促進工程において、収穫前に青色光及び/又はUV-A波をブルーベリーに照射する処理を行う区画である。よって、養分蓄積ブース20には、図示しないが、青色光及び/又はUV-A波を照射するための蛍光灯、青色LED及び/又はブラックライト等が備わっている。なお、養分蓄積ブース20は、エチレン除去装置210を備えていてもよい。

【0053】
また、植物栽培システム400は、上述した受粉ブース201、光合成促進ブース202、養分蓄積ブース203、休眠導入ブース301、休眠管理ブース302及び萌芽促進ブース303における各種環境条件の設定及び制御を集中的に管理する情報処理装置207aを設置した総合管理ブース207を備えている。

【0054】
例えば、情報処理装置207aは、上述した各区画における環境条件をコントロールすることができる。ここで、環境条件とは、植物の生育に対して影響を与えうる条件であれば特に限定されず、例えば、エチレンガス濃度条件、光量条件、温度条件、湿度条件、炭酸ガス濃度条件、個葉の蒸散量、土壌水分条件、養水分吸収量条件、植物体重等を挙げることができる。管理者が上述した各区画における所望の環境条件を情報処理装置207aに入力することで、情報処理装置207aは、各区画の環境条件を適宜コントロールすることができる。なお、情報処理装置207aは、栽培対象の植物の種類毎と各区分の具体的な環境条件とを対応させたデータベースを有していてもよい。このデータベースを有する場合、管理者が栽培対象の植物の種類を入力することで、情報処理装置207aが各区分の環境条件をデータベースから検索して適宜コントロールを行うことができる。

【0055】
また、例えば、情報処理装置207aは、栽培対象の植物の生育サイクルに応じて、上述した各区画に植物を移動するタイミングや、所定の区画に留置する期間を制御することができる。なお、情報処理装置207aは、栽培対象の植物の種類とその生育サイクルとを対応させたデータベースを有していてもよい。このデータベースを有する場合、管理者が栽培対象の植物の種類を入力することで、情報処理装置207aが栽培対象の生育サイクルをデータベースから検索し、各区画に植物を留置するタイミングや期間を制御することができる。

【0056】
さらに、例えば、情報処理装置207aは、栽培対象のブルーベリーに供給する肥料の種類、肥料供給時期、供給量、水分供給時期及び水分供給量等を制御することができる。なお、情報処理装置207aは、栽培対象の植物の種類とその植物に関する施肥方法及び給水方法とを対応させたデータベースを有していてもよい。このデータベースを有する場合、管理者が栽培対象の植物の種類を入力することで、情報処理装置207aが栽培対象の植物に関する施肥方法及び給水方法をデータベースから検索し、肥料の種類、肥料供給時期、供給量、水分供給時期及び水分供給量等を制御することができる。

【0057】
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0058】
200…植物栽培システムの地上階、201…受粉ブース、202…光合成促進ブース、203…養分蓄積ブース、207…総合管理ブース、207a…情報処理装置、300…植物栽培システムの地下階、301…休眠導入ブース、302…休眠管理ブース、303…萌芽促進ブース、400…植物栽培システム、401,402…リフト
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11