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明細書 :カリックスレゾルシンアレーン誘導体及びその製法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4553647号 (P4553647)
公開番号 特開2006-016342 (P2006-016342A)
登録日 平成22年7月23日(2010.7.23)
発行日 平成22年9月29日(2010.9.29)
公開日 平成18年1月19日(2006.1.19)
発明の名称または考案の名称 カリックスレゾルシンアレーン誘導体及びその製法
国際特許分類 C07C  69/63        (2006.01)
C07C  67/14        (2006.01)
C07C 319/14        (2006.01)
C07C 323/52        (2006.01)
C07C 327/28        (2006.01)
C07C 327/32        (2006.01)
C08F 299/02        (2006.01)
C08G  65/26        (2006.01)
C08G  75/08        (2006.01)
FI C07C 69/63
C07C 67/14
C07C 319/14
C07C 323/52
C07C 327/28
C07C 327/32
C08F 299/02
C08G 65/26
C08G 75/08
請求項の数または発明の数 11
全頁数 17
出願番号 特願2004-196329 (P2004-196329)
出願日 平成16年7月2日(2004.7.2)
審査請求日 平成19年6月7日(2007.6.7)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000004455
【氏名又は名称】日立化成工業株式会社
【識別番号】592218300
【氏名又は名称】学校法人神奈川大学
発明者または考案者 【氏名】高崎 俊彦
【氏名】高橋 敦之
【氏名】柴田 智章
【氏名】西久保 忠臣
【氏名】工藤 宏人
個別代理人の代理人 【識別番号】100086759、【弁理士】、【氏名又は名称】渡辺 喜平
審査官 【審査官】増永 淳司
参考文献・文献 特開2003-321423(JP,A)
特開平11-246540(JP,A)
調査した分野 C07C 69/63
C07C 67/14
C07C 319/14
C07C 323/52
C07C 327/28
C07C 327/32
C08F 299/02
C08G 65/26
C08G 75/08
CA/REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
式(1)で表されるカリックスレゾルシンアレーン誘導体。
【化1】
JP0004553647B2_000020t.gif
(式(1)中、Rは炭素数1~20のアルキレン基を示し、R炭素数1~20のアルキル基、フェニル基、ナフチル基又は下記式で表される有機基を示す
【化2】
JP0004553647B2_000021t.gif

【請求項2】
式(2)で表されるカリックスレゾルシンアレーン誘導体。
【化3】
JP0004553647B2_000022t.gif
(式(2)中、Rは炭素数1~20のアルキレン基を示し、R炭素数1~20のアルキル基、フェニル基、ナフチル基又は下記式で表される有機基を示し、Rは炭素数1~20のアルキル基、フェニル基又はナフチル基を示す
【化4】
JP0004553647B2_000023t.gif

【請求項3】
式(3)で表されるカリックスレゾルシンアレーン誘導体。
【化5】
JP0004553647B2_000024t.gif
(式(3)中、nは1~1000の整数を表し、Rは炭素数1~20のアルキレン基を示し、R炭素数1~20のアルキル基、フェニル基、ナフチル基又は下記式で表される有機基を示し、Rは炭素数1~20のアルキル基、フェニル基又はナフチル基を示し、R及びRはそれぞれ水素、炭素数1~20のアルキル基、フェニル基、ナフチル基又はフェニルオキシアルキル基を示し、また、RとRは結合して環を形成してもよい。
【化6】
JP0004553647B2_000025t.gif

【請求項4】
式(4)で表されるカリックスレゾルシンアレーン誘導体。
【化7】
JP0004553647B2_000026t.gif
(式(4)中、nは1~1000の整数を表し、mは1~1000の整数を表し、Rは炭素数1~20のアルキレン基を示し、R炭素数1~20のアルキル基、フェニル基、ナフチル基又は下記式で表される有機基を示し、Rは炭素数1~20のアルキル基、フェニル基又はナフチル基を示し、R及びRはそれぞれ水素、炭素数1~20ののアルキル基、フェニル基、ナフチル基又はフェニルオキシアルキル基を示し、また、RとRは結合して環を形成してもよく、R及びRはそれぞれ水素、炭素数1~20のアルキル基、フェニル基、ナフチル基、フェニルオキシアルキル基又は(メタ)アクリロイルオキシアルキル基を示し、また、RとRは結合して環を形成してもよく、Xは酸素又はイオウを示す。
【化8】
JP0004553647B2_000027t.gif

【請求項5】
Xが酸素で、mが1である請求項4に記載のカリックスレゾルシンアレーン誘導体。
【請求項6】
請求項3~5のいずれか一項に記載のカリックスレゾルシンアレーン誘導体を硬化させて得られる3次元硬化物。
【請求項7】
下記式に示されるレゾルシノール体にアセチルクロリド誘導体を反応させる請求項1に記載のカリックスレゾルシンアレーン誘導体の製造方法。
【化9】
JP0004553647B2_000028t.gif
(式中、R2'炭素数1~20のアルキル基、フェニル基、ナフチル基又はp-ヒドロキシフェニル基を示す)
【請求項8】
請求項1に記載の誘導体に、チオエステル誘導体のカリウム塩を反応させる請求項2に記載のカリックスレゾルシンアレーン誘導体の製造方法。
【請求項9】
請求項2に記載の誘導体に、チイラン誘導体を反応させる請求項3に記載のカリックスレゾルシンアレーン誘導体の製造方法。
【請求項10】
請求項3に記載の誘導体に、エポキシ化合物又はチイラン化合物を反応させる請求項4又は請求項5に記載のカリックスレゾルシンアレーン誘導体の製造方法。
【請求項11】
請求項3~5のいずれか一項に記載のカリックスレゾルシンアレーン誘導体を、加熱又は活性エネルギー線照射を行うことによって硬化させる請求項6に記載の3次元硬化物の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なカリックスレゾルシンアレーン誘導体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カリックスレゾルシンアレーンはレゾルシノールとアルデヒド類が脱水縮合した大環状化合物であり、分子内水素結合により、主にレゾルシン環が4のものが生成する。カリックスレゾルシンアレーンは、比較的安価に製造することが可能で、また比較的容易に官能基を導入することが可能である。例えば特許文献1では、レゾルシン水酸基をオキセタン官能基を有する化合物で修飾し各種機能性材料への応用について報告されている。また、カリックスレゾルシンアレーンは、高耐熱性と分子サイズが小さいという観点から、半導体デバイス用レジストへの応用例も報告されている(特許文献2参照)。
【0003】
一方、カリックスレゾルシンアレーンは、芳香族環を多数有しかつ環状物であることから、高屈折率透明耐熱樹脂としても応用が可能である。代表的な高耐熱透明樹脂として例えばポリカーボネート類があるが、屈折率調整が難しくかつ線状高分子であるため複屈折が大きいという欠点を有している。また、ポリアクリレート類は透明性が高くかつ屈折率調整が比較的容易であるが、耐熱性に劣ることが知られている。

【特許文献1】特開平11-246540公報
【特許文献2】特開平2003-321423号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、高屈折率を有するカリックスレゾルシンアレーン誘導体及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、以下のカリックスレゾルシンアレーン誘導体及びその製造方法等を提供できる。
1.式(1)で表されるカリックスレゾルシンアレーン誘導体。
【化1】
JP0004553647B2_000002t.gif
(式(1)中、Rは炭素数1~20の2価の有機基を示し、Rは1価の有機基を示す)
2.式(2)で表されるカリックスレゾルシンアレーン誘導体。
【化2】
JP0004553647B2_000003t.gif
(式(2)中、Rは炭素数1~20の2価の有機基を示し、Rは1価の有機基を示し、Rは炭素数1~20の1価の有機基を示す)
3.式(3)で表されるカリックスレゾルシンアレーン誘導体。
【化3】
JP0004553647B2_000004t.gif
(式(3)中、nは1~1000の整数を表し、Rは炭素数1~20の2価の有機基を示し、Rは1価の有機基を示し、Rは炭素数1~20の1価の有機基を示し、R及びRはそれぞれ水素、又は炭素数1~20の1価の有機基を示し、また、RとRは結合して環を形成してもよい)
4.式(4)で表されるカリックスレゾルシンアレーン誘導体。
【化4】
JP0004553647B2_000005t.gif
(式(4)中、nは1~1000の整数を表しmは1~1000の整数を表し、Rは炭素数1~20の2価の有機基を示し、Rは1価の有機基を示し、Rは炭素数1~20の1価の有機基を示し、R及びRはそれぞれ水素、又は炭素数1~20の1価の有機基を示し、また、RとRは結合して環を形成してもよく、R及びRはそれぞれ水素、又は炭素数1~20の1価の有機基を示し、また、RとRは結合して環を形成してもよく、Xは酸素又はイオウを示す)
5.Xが酸素で、mが1である4に記載のカリックスレゾルシンアレーン誘導体。
6.3~5のいずれか一に記載のカリックスレゾルシンアレーン誘導体を含む化合物を硬化させて得られる3次元硬化物。
7.下記式に示されるレゾルシノール誘導体にアセチルクロリド誘導体を反応させる1に記載のカリクスレゾルシンアレーン誘導体の製造方法。
【化5】
JP0004553647B2_000006t.gif
(式中、Rは1価の有機基を示す)
8.1に記載の誘導体に、チオエステル誘導体のカリウム塩を反応させる2に記載のカリックスレゾルシンアレーン誘導体の製造方法。
9.2に記載の誘導体に、チイラン誘導体を反応させる3に記載のカリックスレゾルシンアレーン誘導体の製造方法。
10.3に記載の誘導体に、エポキシ化合物又はチイラン化合物を反応させる4又は5に記載のカリックスレゾルシンアレーン誘導体の製造方法。
11.3~5のいずれか一項に記載のカリックスレゾルシンアレーン誘導体を、加熱又は活性エネルギー線照射を行うことによって硬化させる6に記載の3次元硬化物の製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、高屈折率を有するカリックスアレーン誘導体及びその製造方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明者らは、カリックスレゾルシンアレーンのレゾルシン水酸基について化学修飾の検討を詳細に行い、塩素基を有する誘導体を出発原料にしてポリチオエーテル鎖を伸長することにより、高屈折率樹脂を見出すことができた。
【0008】
本発明の原材料であるカリックスレゾルシンアレーンは、レゾルシノール化合物とアルデヒド類から合成するが、レゾルシン基の水酸基の分子内水素結合により主にレゾルシン基4つのものが生成する。
【0009】
式(1)~(4)中のRは、1~20の2価の有機基であり、例えばメチレン基やエチレン基等のアルキレン基やフェニレン基などの芳香族基及びそれらの置換化合物であるが、塩素基の反応性の観点からメチレン基等の炭素数1~3のアルキレン基又はジニトロ置換フェニレン基等の電子吸引性基が望ましい。
【0010】
式(2)~(4)中のRは、炭素数1~20の1価の有機基であり、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基等の飽和アルキル基や、ビニル基、アリル基等の不飽和アルキル基や、シクロヘキシル基、ノルボルネン基等の飽和又は不飽和環状アルキル基や、フェニル基、ナフチル基等の芳香族基や、エーテル類、エステル類、及びそれらの置換化合物である。好ましくは、メチル基、エチル基、フェニル基である。
【0011】
式(3)、(4)中のR及びRはそれぞれ水素、又は炭素数1~20の1価の有機基であり、例えば、互いに独立してメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基等の飽和アルキル基や、ビニル基、アリル基等の不飽和アルキル基や、シクロヘキシル基、ノルボルネン基等の飽和又は不飽和環状アルキル基や、フェニル基、ナフチル基等の芳香族基や、エーテル類、エステル類、及びそれらの置換化合物である。また、RとRが結合して環を形成してもよく、例えばシクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、ノルボルナン環である。好ましくは、水素、メチル基、フェニルオキシアルキレン基である。
式(3)の誘導体の好適な分子量は、3000~200000である。
【0012】
式(4)中のR及びRはそれぞれ水素、又は炭素数1~20の1価の有機基であり、例えば、互いに独立してメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基等の飽和アルキル基や、ビニル基、アリル基等の不飽和アルキル基や、シクロヘキシル基、ノルボルネン基等の飽和又は不飽和環状アルキル基や、フェニル基、ナフチル基等の芳香族基や、エーテル類、エステル類、及びそれらの置換化合物である。また、RとRが結合して環を形成してもよく、例えばシクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、ノルボルナン環である。好ましくは、R又はRは重合性基を有し、例えば、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基等である。
式(4)の誘導体の好適な分子量は、3000~200000である。
【0013】
また式(1)~(4)中のRは、炭素数1~20の1価の有機基であり、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基等の飽和アルキル基や、ビニル基、アリル基等の不飽和アルキル基や、シクロヘキシル基、ノルボルネン基等の飽和又は不飽和環状アルキル基や、フェニル基、ナフチル基等の芳香族基や、エーテル類、エステル類、及びそれらの置換化合物である。また、出発原料を合成する際、アルデヒド類にp-ヒドロキシベンズアルデヒドを用いれば、Rのベンゼン環のパラ位に、式(1)中のレゾルシン水酸基付加体と同様のものを導入することができる。
具体的には、式(1)中のRは好ましくは炭素数1~3のアルキル基又は下記式で表される有機基である。
【化6】
JP0004553647B2_000007t.gif
また、式(2)中のRは、好ましくは下記式で表される有機基である。
【化7】
JP0004553647B2_000008t.gif
また、式(3)中のRは、好ましくは下記式で表される有機基である。
【化8】
JP0004553647B2_000009t.gif
また、式(4)中のRは、好ましくは下記式で表される有機基である。
【化9】
JP0004553647B2_000010t.gif
なお、上記式中のR、R、R、R、R、R、m、n及びXは、上述のR、R、R、R、R、R、m、n及びXと同じである。
【0014】
式(1)で示されるカリックスレゾルシンアレーン誘導体は、対応するレゾルシン水酸基に対応するアセチルクロリド誘導体を塩基存在下で反応させることにより得ることができる。用いる塩基としては、ピリジン、トリエチルアミン等のアミン化合物、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等の金属水酸化物等がある。塩基の量はフェノール水酸基に対し1~10倍量用いる。反応に用いる溶剤は、ジエチルエーテルやテトラヒドロフラン等のエーテル類、ジクロロメタンやクロロホルム等のハロゲン系溶媒、ヘキサンやトルエン等の炭化水素系溶媒である。また、無溶媒でも反応させることができる。反応温度は-78℃~100℃の間で行うが好ましくは-50℃~50℃、さらに好ましくは-50℃~20℃である。反応温度が低いと反応時間が長くなり、また反応温度が高すぎると副反応が起こりやすくなる。
【0015】
式(2)で示されるカリックスレゾルシンアレーン誘導体は、式(1)で示される化合物に、チオエステル誘導体のカリウム塩を塩触媒存在下反応させることにより得ることができる。塩触媒としては、テトラブチルアンモニウムブロミドやテトラエチルアンモニウムクロリド等の4級アンモニウム塩や、リチウムクロリド、リチウムブロミド等の金属塩が用いられる。触媒量は、式(1)で示される化合物100部に対し1~10部である。チオエステル誘導体のカリウム塩は式(1)で示される化合物に対し大過剰加え、反応途中でさらに追加してもよい。反応に用いる溶媒はエーテル類、ハロゲン系溶媒、炭化水素系溶媒の他に、N,N-ジメチルホルムアミドやN-メチルピロリドン等のアミド系溶媒、アセトンやシクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル等のエステル類を用いることができる。反応温度は-78℃~100℃の間で行うが、好ましくは-50℃~80℃、さらに好ましくは-50℃~50℃である。反応温度が低いと反応時間が長くなり、また反応温度が高すぎると副反応が起こりやすくなる。
【0016】
式(3)で示されるカリックスレゾルシンアレーン誘導体は、式(2)で示される化合物に、対応するチイラン化合物を塩触媒存在下反応させることによって得ることができる。塩触媒としては、テトラブチルアンモニウムブロミドやテトラエチルアンモニウムクロリド等の4級アンモニウム塩や、リチウムクロリド、リチウムブロミド等の金属塩が用いられる。触媒量は、式(1)で示される化合物の官能基量と等量が好ましい。反応に用いる溶媒はエーテル類、ハロゲン系溶媒、炭化水素系溶媒の他に、N,N-ジメチルホルムアミドやN-メチルピロリドン等のアミド系溶媒、アセトンやシクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル等のエステル類を用いることができる。また、無溶媒でも反応させることができる。反応温度は0~150℃の間で行うが、好ましくは20℃~100℃、さらに好ましくは50℃~100℃である。反応温度が低いと反応時間が長くなり、また反応温度が高すぎると副反応が起こりやすくなる。反応は、アンプル封管等、水分を除去できる状態で行うのが望ましい。
【0017】
式(4)で示されるカリックスレゾルシンアレーン誘導体は、式(3)で示される化合物に、対応するチイラン化合物又はエポキシ化合物を塩触媒存在下反応させることによって得ることができる。塩触媒としては、テトラブチルアンモニウムブロミドやテトラエチルアンモニウムクロリド等の4級アンモニウム塩や、リチウムクロリド、リチウムブロミド等の金属塩が用いられる。触媒量は、式(3)で示される化合物の官能基量と等量が好ましい。反応に用いる溶媒はエーテル類、ハロゲン系溶媒、炭化水素系溶媒の他に、N,N-ジメチルホルムアミドやN-メチルピロリドン等のアミド系溶媒、アセトンやシクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル等のエステル類を用いることができる。また、無溶媒でも反応させることができる。反応温度は0~150℃の間で行うが、好ましくは20℃~100℃、さらに好ましくは50℃~100℃である。反応温度が低いと反応時間が長くなり、また反応温度が高すぎると副反応が起こりやすくなる。反応は、アンプル封管等、水分を除去できる状態で行うのが望ましい。
【0018】
式(3)及び式(4)で示される化合物中に、2重結合や3重結合をもつ不飽和炭化水素基や、アクリル基やメタクリル基、シクロプロパン基やシクロブタン基等の高歪炭化水素基、ビニルエーテル基、ビニルエステル基、エポキシ基やオキセタン基等の環状エーテル基などラジカル重合性やカチオン、アニオン重合性を有する基を含む場合、対応する重合触媒を加え加熱又は光等の活性エネルギー線を照射することによって、3次元硬化物を得ることができる。
【0019】
熱ラジカル重合開始剤としては、特に制限されず公知のものが使用できる。代表的なものを例示すると、ベンゾイルパーオキシド、p-クロルベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、t-ブチルパーオキシジカーボネート等のパーオキシド、アゾイソブチロニトリル等のアゾ化合物である。熱ラジカル重合開始剤の使用量は、重合条件や開始剤の種類、重合性モノマーの種類や組成によって異なるため一概に限定できないが、一般には重合性基に対して0.01~10当量%の範囲で用いるのが好適である。重合温度及び重合時間は、重合開始剤の種類と量や重合性モノマーの種類によって大きく変化するので限定できないが、一般には2~40時間で重合が完結するように条件を選ぶのが好ましい。
【0020】
また紫外線、可視光、あるいは放射線等の活性エネルギー線を用いたラジカル重合の開始剤としては、特に制限されず公知のものが使用できる。代表的なものとして、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンジルメチルケタール、2-イソプロピルチオキサントン等が用いられる。これらの重合開始剤は、重合性基に対して0.001~5当量%の範囲で用いるのが一般的である。
【0021】
熱カチオン重合開始剤としては、特に制限されず公知のものが使用できる。代表的なものを例示すると、塩化アルミニウム、4塩化スズ、4塩化チタン等が用いられる。熱カチオン重合開始剤の使用量は、重合条件や開始剤の種類、重合性モノマーの種類や組成によって異なるため一概に限定できないが、一般には重合性基に対して0.01~10当量%の範囲で用いるのが好適である。重合温度及び重合時間は、重合開始剤の種類と量や重合性モノマーの種類によって大きく変化するので限定できないが、一般には2~40時間で重合が完結するように条件を選ぶのが好ましい。
【0022】
また紫外線、可視光、あるいは放射線等の活性エネルギー線を用いたカチオン重合の開始剤としては、特に制限されず公知のものが使用できる。代表的なものとして、スルホニウム塩類、ヨードニウム塩類等が用いられる。これらの重合開始剤は、重合性基に対して0.001~5当量%の範囲で用いるのが一般的である。アニオン重合開始剤としては、特に制限されず公知のものが使用できる。代表的なものを例示すると、水酸化カリウムや水酸化ナトリウム、金属リチウム等が用いられる。
【0023】
以上の触媒に、各種増感剤や助触媒を加えてもよい。また、3次元硬化物の物性を制御するために、酸化防止剤、金属不活性化剤、紫外線吸収剤、難燃剤、安定剤、レベリング剤等の各種添加剤を加えてもよい。
【0024】
さらに、3次元硬化物の特性を高める目的で、シリカや酸化チタン等無機フィラーや有機フィラーを任意の割合で加えてもよい。
【0025】
式(3)及び式(4)で示される化合物中に、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリオレフィン、シロキサンポリマー等の各種ポリマーを任意の割合でブレンドしてもよい。
【実施例】
【0026】
以下、実施例により本発明の樹脂の製造法について詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に制限されない。
【0027】
(実施例1)
式(5)で示される化合物(以下(5)と略す)を下記の方法で合成した。
【化10】
JP0004553647B2_000011t.gif
500ml三つ口フラスコに、式(6)で示される化合物(以下(6)と略す)カリックスレゾルシンアレーン2.14g(4mmol)、ピリジン7.59ml(96mmol)、テトラヒドロフラン100mlを加え、0℃窒素雰囲気下で攪拌する。クロロアセチルクロリド10.8ml(96mmol)を滴下し24時間攪拌後、酢酸エチル100mlを加え、5mol%炭酸水素ナトリウム水溶液100mlで3回洗浄し、さらに水100mlで3回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒留去により(5)を淡黄色粉末固体として0.64g(収率13%)得た。
得られた化合物の分析結果を以下に示す。
質量分析(MALDI-TOF MS)
計算値(m/z)1179.44(M+Na)
実測値(m/z)1177.30(M+Na)
IR(cm-1):2968、1769、1491、1234
H-NMR(500MHz、DMSO-d):δ(ppm)1.51(d、3H)、4.09~4.36(m、5H)、5.98~7.41(m、2H)
【0028】
(実施例2)
式(7)で示される化合物(以下(7)と略す)を下記の方法で合成した。
【化11】
JP0004553647B2_000012t.gif
JP0004553647B2_000013t.gif 500ml三つ口フラスコに、式(8)で示される化合物(以下(8)と略す)のカリックスレゾルシンアレーン2.14g(4mmol)、ピリジン7.59ml(96mmol)、テトラヒドロフラン100mlを加え、0℃窒素雰囲気下で攪拌する。クロロアセチルクロリド10.8ml(96mmol)を滴下し24時間攪拌後、酢酸エチル100mlを加え、5mol%炭酸水素ナトリウム水溶液100mlで3回洗浄し、さらに水100mlで3回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒留去により(7)を淡黄色粉末固体として0.64g(収率13%)得た。
得られた化合物の分析結果を以下に示す。
質量分析(MALDI-TOF MS)
計算値(m/z)1179.44(M+Na)
実測値(m/z)1177.30(M+Na)
IR(cm-1):2968、1769、1491、1234
H-NMR(500MHz、DMSO-d6):δ(ppm)1.51(d、3H)、4.09~4.36(m、5H)、5.98~7.41(m、2H)
【0029】
(実施例3)
式(9)で示される化合物(以下(9)と略す)を下記の方法で合成した。
【化12】
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50ml三つ口フラスコに、チオ安息香酸カリウム3.0g(18mmol)、(7)0.89g(0.5mmol)、テトラブチルアンモニウムブロミド0.1g(0.31mmol)、N-メチルピロリドン5mlを加え室温で攪拌する。24時間攪拌後、チオ安息香酸カリウム3.1g(19mmol)とN-メチルピロリドン2mlを加え、室温で攪拌する。24時間攪拌後、酢酸エチル20mlを加え水20mlで3回洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し溶媒留去により(9)を白色粉末固体として0.7g(収率56%)得た。
得られた化合物の分析結果を以下に示す。
融点86.5~88.0℃
IR(cm-1):3026、1764、1667、1595、1504、1123、772
H-NMR(500MHz、CDCl):δ(ppm)3.67~4.19(m、9H)、5.71(s、1H)、6.20~7.32(m、6H)、7.40~8.00(m、15H)
【0030】
(実施例4)
式(10)で示される化合物(以下(10)と略す)を下記の方法で合成した。
【化13】
JP0004553647B2_000015t.gif
湿度10%以下に保ったドライボックス中で、アンプル管にテトラブチルアンモニウムクロリド0.0447g(0.16mmol)、(9)0.055g(0.02mmol)、3-フェノキシプロピレンスルフィド1.064g(6.4mmol)、N-メチルピロリドン1mlを加え封管する。アンプル管を90℃で24時間攪拌後、テトラヒドロフラン5mlを加えメタノール100ml中に滴下し、得られた固体をさらにテトラヒドロフラン5mlに溶解させてメタノール100ml中に滴下して(10)を黄色固体として1.10g(収率96%)得た。
得られた化合物の分子量をGPC法で測定したところ、数平均分子量1.7x10、分散度1.8であった。
また、3-フェノキシプロピレンスルフィドの量を変えて同様の条件で反応を行い、屈折率を測定したところ以下の値が得られた。
【表1】
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【0031】
(実施例5)
式(11)で示される化合物(以下(11)と略す)を下記の方法で合成した。
【化14】
JP0004553647B2_000017t.gif
湿度10%以下に保ったドライボックス中で、アンプル管にテトラブチルアンモニウムクロリド0.0447g(0.16mmol)、(10)1.10g(0.02mmol)、3-フェノキシプロピレンオキシド0.048g(0.32mmol)、N-メチルピロリドン1mlを加え封管する。アンプル管を90℃で24時間攪拌後、テトラヒドロフラン5mlを加えメタノール100ml中に滴下し、得られた固体をさらにテトラヒドロフラン5mlに溶解させてメタノール100ml中に滴下して(11)を黄色固体として1.10g(収率98%)得た。
得られた化合物の分子量をGPC法で測定したところ、数平均分子量9.2x10、分散度1.5であった。
【0032】
(実施例6)
式(12)で示される化合物(以下(12)と略す)を下記の方法で合成した。
【化15】
JP0004553647B2_000018t.gif
湿度10%以下に保ったドライボックス中で、アンプル管にテトラブチルアンモニウムクロリド0.0447g(0.16mmol)、(10)1.10g(0.02mmol)、グリシジルメタクリレート0.045g(0.32mmol)、N-メチルピロリドン1mlを加え封管する。アンプル管を90℃で24時間攪拌後、テトラヒドロフラン5mlを加えメタノール100ml中に滴下し、得られた固体をさらにテトラヒドロフラン5mlに溶解させてメタノール100ml中に滴下して(12)を黄色固体として1.10g(収率98%)得た。
得られた化合物の分子量をGPC法で測定したところ、数平均分子量1.5x10、分散度1.9であった。
【0033】
(実施例7)
式(13)で示される化合物(以下(13)と略す)を下記の方法で合成した。
【化16】
JP0004553647B2_000019t.gif
湿度10%以下に保ったドライボックス中で、アンプル管にテトラブチルアンモニウムクロリド0.0447g(0.16mmol)、(10)0.055g(0.02mmol)、3-フェノキシプロピレンスルフィド0.998g(6.0mmol)、3-メタクリルプロピレンスルフィド0.063g(0.4mmol)、N-メチルピロリドン1mlを加え封管する。アンプル管を90℃で24時間攪拌後、テトラヒドロフラン5mlを加えメタノール100ml中に滴下し、得られた固体をさらにテトラヒドロフラン5mlに溶解させてメタノール100ml中に滴下して(13)を黄色固体として1.10g(収率96%)得た。
得られた化合物の分子量をGPC法で測定したところ、数平均分子量9.5x10、分散度1.9であった。
【0034】
(実施例8)
(12)の3次元硬化物を下記の方法で合成した。
(12)1.0gをN,N-ジメチルアセトアミド1mlに溶解し、アゾイソブチロニトリル0.01gを加える。溶液をポリエチレンテレフタレートフィルム上にキャストし、オーブン中60℃で20時間加熱後ポリエチレンテレフタレートフィルムからはがしフィルム状の淡黄色固体を得た。
得られた固体のガラス転移温度をDSC法で測定したところ、Tg=145℃であった。固体の熱分解開始温度を測定したところ、空気中で5%重量減少する温度は290℃であった。また固体の屈折率をアッベ法で測定したところ、nD=1.69であった。
【0035】
(実施例9)
(13)の3次元硬化物を下記の方法で合成した。
(13)1.0gをN,N-ジメチルアセトアミド1mlに溶解し、アゾイソブチロニトリル0.01gを加える。溶液をポリエチレンテレフタレートフィルム上にキャストし、オーブン中60℃で20時間加熱後ポリエチレンテレフタレートフィルムからはがしフィルム状の淡黄色固体を得た。
得られた固体のガラス転移温度をDSC法で測定したところ、Tg=130℃であった。固体の熱分解開始温度を測定したところ、空気中で5%重量減少する温度は289℃であった。また固体の屈折率をアッベ法で測定したところ、nD=1.68であった。
【産業上の利用可能性】
【0036】
新規カリックスレゾルシンアレーン誘導体を用いることにより、高耐熱性を有し屈折率調整可能であり、さらに高屈折率を有する樹脂を提供でき、この樹脂を用いることにより光学レンズ、光学フィルム、光学フィルムを用いた液晶表示装置などの用途に適用することができる。