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明細書 :新規ビスイミダゾリン触媒およびこれを用いる水中での光学活性プロパルギルアミンの製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-136665 (P2015-136665A)
公開日 平成27年7月30日(2015.7.30)
発明の名称または考案の名称 新規ビスイミダゾリン触媒およびこれを用いる水中での光学活性プロパルギルアミンの製造方法
国際特許分類 B01J  31/02        (2006.01)
C07C 213/02        (2006.01)
C07C 217/84        (2006.01)
B01J  31/12        (2006.01)
FI B01J 31/02 102Z
C07C 213/02
C07C 217/84
B01J 31/12 Z
請求項の数または発明の数 3
出願形態 OL
全頁数 8
出願番号 特願2014-010058 (P2014-010058)
出願日 平成26年1月23日(2014.1.23)
発明者または考案者 【氏名】中村 修一
【氏名】小原 睦代
【氏名】原 善睦
出願人 【識別番号】304021277
【氏名又は名称】国立大学法人 名古屋工業大学
審査請求 未請求
テーマコード 4G169
4H006
Fターム 4G169AA06
4G169BA21A
4G169BA21B
4G169BA27A
4G169BA27B
4G169BC31A
4G169BC31B
4G169BE01A
4G169BE01B
4G169BE13A
4G169BE13B
4G169BE16A
4G169BE16B
4G169BE20A
4G169BE20B
4G169BE22A
4G169BE22B
4G169BE34A
4G169BE34B
4G169BE37A
4G169BE37B
4G169BE38A
4G169BE38B
4G169CB25
4G169CB57
4G169CB64
4G169CB77
4H006AA02
4H006AC52
4H006BA51
4H006BJ50
4H006BP30
4H006BU46
要約 【課題】
水中においても利用可能な新規な高機能性不斉触媒の創製を目的とする。
【解決手段】
ビスイミダゾリン触媒の窒素原子上に疎水性置換基を導入し、水中においても利用可能な新規不斉触媒の創製、及びこれを用いる水中での光学活性プロパルギルアミンの製造方法を確立した。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
次式(1)
【化1】
JP2015136665A_000013t.gif

で表されることを特徴とするビスイミダゾリン触媒。

【請求項2】
次式(2)
【化2】
JP2015136665A_000014t.gif

で表されることを特徴とするビスイミダゾリン触媒。
【請求項3】
請求項1または2に記載の触媒のうちのいずれかの不斉触媒とトリフルオロメタンスルホン酸銅(I)の存在下で、次式(3)の反応式により、水中においてイミンに対するアルキニル化反応を行い、光学活性プロパルギルアミンを製造する方法。
【化3】
JP2015136665A_000015t.gif

(式中、R1、R2は、アリール基または、アルキル基である。SDSはドデシル硫酸ナトリウムであり、また、前記触媒はビスイミダゾリン触媒である。)
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、新規ビスイミダゾリン触媒およびこれを用いる水中での光学活性プロパルギルアミンの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
新規な不斉合成手法の開発は、医薬品合成、ファインケミカル合成において非常に重要な研究であり、そのために新規な高機能性不斉触媒の開発が強く望まれている。また近年では、グリーンケミストリーの観点から水中においても利用可能な触媒が注目されている。(非特許文献1~3)。しかしながら、これら触媒においても高度の立体選択性を発現することができない場合が多く、より高度な不斉反応場を設計した不斉触媒の創製が強く望まれている。一方、光学活性なプロパルギルアミンは、生理活性物質等に広く含まれ、その効率的な合成手法が求められているものの、水中においてアルキル置換アルキンを用いた光学活性プロパルギルアミンの合成手法は、十分に検討はされていない(非特許文献4~5)。
【先行技術文献】
【0003】

【非特許文献1】C. M. Marson, Chem. Soc. Rev.2012, 41, 7712-772
【非特許文献2】C. de Graaff, E. Ruijiter, R. V. A. Orru, Chem. Soc. Rev. 2012, 41, 3969-4009;
【非特許文献3】S. Kobayashi, K. Manabe, Acc. Chem. Res. 2002, 35, 209-217
【非特許文献4】C. Wei, C. -J. Li, J. Am. Chem. Soc. 2002, 124, 5638-5639
【非特許文献5】C. Wei, J. Mague, C. -J. Li, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.2004, 101, 5749-5754
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この出願の発明が解決しようとする課題は、これまでに開発されている従来触媒を用いる水中反応では、高度の立体選択性の発現、収率、反応性に課題がある点である。本発明は、上記点に鑑みて、新規なビスイミダゾリン触媒を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この出願の発明は、上記目的を達成するものとして、次式(1)、(2)で示されるビスイミダゾリン触媒を提供する (請求項1、2)。
【0006】
【化1】
JP2015136665A_000002t.gif

【0007】
【化2】
JP2015136665A_000003t.gif


【0008】
また、この出願の発明は、請求項1または2に記載の触媒のうちのいずれかの不斉触媒とトリフルオロメタンスルホン酸銅(I)の存在下で、次式(3)の反応式により、水中において三成分連結型でイミンに対するアルキニル化反応を行い、光学活性プロパルギルアミンを製造する方法を提供する。
【0009】
【化3】
JP2015136665A_000004t.gif

【0010】
(式中、R1、R2は、アリール基または、アルキル基である。ここで、SDSはドデシル硫酸ナトリウムであり、また、前記触媒はビスイミダゾリン触媒である。)
【発明を実施するための形態】
【0011】
発明者らは、アルデヒド、アミン、アルキンを用いる三成分連結型イミンに対するアルキニル化反応を水中において実施検討した。また、水中において高エナンチオ選択的な成功例のない本手法を成功させるために、これまでに使用例のないビスイミダゾリン触媒を新規不斉触媒として用い、新しい合成手法の実施検討を行った。
(第1実施形態)
ビスイミダゾリン触媒の合成法について説明する。
次式(4)

【0012】
【化4】
JP2015136665A_000005t.gif

【0013】
式中、Rはデカノイル基、またはピバロイル基を示す。ここで、DMAPは、4-ジメチルアミノピリジンを、CHClは、ジクロロメタンを示す。式(4)は、第2実施形態で記述する反応に使用する前記式(1)乃至(2)の新規不斉触媒であるビスイミダゾリン触媒の合成法である。
前記式(4)の合成法の実施により上記式(1)乃至(2)の新規不斉触媒の合成したことについて次の実施例1乃至2に記述する。
(実施例1)
前記式(1)の化学式で与えられる目的生成物2,6-bis-(1-decanoyl-[4S,5S]-
4,5-diphenyl-4,5-dihydro-1H-imidazol-2-yl)pyridineを前記式(4)の合成法により次のようにして合成した。

【0014】
既知反応にて得られた2,6-bis-([4S,5S]-4,5-diphenyl-4,5-dihydro-1H-imidazol
-2-yl)-pyridine(300.0 mg, 0.58 mmol)と4-ジメチルアミノピリジン(211.0 mg, 1.59 mmol)をジクロロメタン5.3 mLに溶かし、0 °Cまで冷却した。ここへ、デカノイルクロライド(0.3 mL, 1.43 mmol)をゆっくり滴下した後、反応温度を室温に昇温し、1時間撹拌した。反応溶液を飽和塩化アンモニウム水溶液、ジクロロメタンで洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒を減圧下で留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー (Hexane:AcOEt = 70:30)で行い、次式(1)で表わされる目的生成物を383.0 g (80 %)で得た。

【0015】
【化5】
JP2015136665A_000006t.gif

【0016】
当該目的生成物のスペクトル等を以下に示す。
1H NMR (CDCl3) δ 0.84 (t, J = 7.2 Hz, 6H, CH3), 1.02-1.26 (m, 24H, CH2), 1.40-1.42 (m, 4H, CH2), 1.96-2.06 (m, 2H, CH2), 2.14-2.22 (m, 2H, CH2), 5.14 (d, J= 2.7 Hz, 2H, CH), 5.31 (d, J = 2.7 Hz, 2H, CH), 7.26-7.50 (m, 20H, Ar), 8.03 (s, 3H, Ar)
HRMS (ESI) m/z for C55H65N5NaO2[M+Na]+calcd. 850.5036, found 850.5026
(実施例2)
前記式(2)の化学式で与えられる目的生成物2,6-bis-(1-pivaloyl-[4S,5S]-
4,5-diphenyl-4,5-dihydro-1H-imidazol-2-yl)pyridineを前記式(4)の合成法により次のようにして合成した。
既知反応にて得られた2,6-bis-([4S,5S]-4,5-diphenyl-4,5-dihydro-1H-imidazol
-2-yl)-pyridine(500.0 mg, 0.96 mmol)と4-ジメチルアミノピリジン(469.1 mg, 3.90 mmol)をジクロロメタン120.0 mLに溶かし、0 °Cまで冷却した。ここへ、ピバロイルクロライド(0.59 mL, 4.80 mmol)をゆっくり滴下した後、反応温度を室温に昇温し、96時間撹拌した。反応溶液を飽和塩化アンモニウム水溶液、ジクロロメタンで洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒を減圧下で留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー (Hexane:AcOEt = 70:30)で行い、次式(2)で表わされる目的生成物を437.0 mg (66 %)で得た。

【0017】
【化6】
JP2015136665A_000007t.gif

【0018】
当該目的生成物のスペクトル等を以下に示す。
1H NMR (CDCl3) δ 1.03 (s,18H, CH3), 5.14 (d, J = 2.1 Hz, 2H, CH), 5.30 (s, 2H, CH), 7.26-7.49 (m, 20H, Ar), 7.95 (t, J = 8.1 Hz, 1H, Ar), 8.13 (d, J = 8.1 Hz, 2H, Ar)
HRMS (ESI) m/z for C45H46N5O2[M+H]+ calcd. 688.3652, found 688.3657

(第2実施形態)三成分連結型でのイミンに対するアルキニル化反応
次式(5)は本発明の反応の概要である。この式(5)のような種々のアルデヒドとアミンから生成するイミンにトリフルオロメタンスルホン酸銅(I)と不斉触媒存在下で種々のアルキンを反応させると、高エナンチオ選択的に生成物を与える。式中、R1 、R2は、アリール基または、アルキル基である。

【0019】
【化7】
JP2015136665A_000008t.gif

【0020】
ここで、R1はアリール基、またはアルキル基であり、また、Rは、アルキル基、またはアリール基でも良い。また、用いる不斉触媒は、第1実施形態に記述したピバロイル基を導入したビスイミダゾリン触媒が最も良い。

【0021】

(他の実施形態)
用いる触媒は他のビスイミダゾリン触媒でもよい。
(実施例1)
乾燥させたフラスコに前記式(2)の化学式で与えられる目的生成物2,6-Bis-(1-pivaloyl-[4S,5S]-4,5-diphenyl-4,5-dihydro-1H-imidazol-2-yl)pyridine(16.9 mg, 0.025 mmol)、トリフルオロメタンスルホン酸銅(I)(6.4 mg, 0.025 mmol)、ドデシル硫酸ナトリウム(14.2 mg, 0.050 mmol)を超純水0.8 mLに溶解させ、室温で1時間攪拌した。ここへ、ベンズアルデヒド(25.0 mL,0.25 mmol)、p-アニシジン(36.3 mg,0.30 mmol)、超純水0.8 mLを加えた後、4-フェニル-1-ブチン(52.0 mL,0.37 mmol)を加えて室温で反応させた。反応はTLCにて確認後、塩化ナトリウムを加え、上澄み水溶液を取り除いた。精製はシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Dichloromethane:Hexane = 70:30)で行い、下式で表わされる生成物の(R)-N-(4-methoxyphenyl)-1,5-diphenyl-2-pentyn-1-amine を 99 %の収率で得た。

【0022】
【化8】
JP2015136665A_000009t.gif

【0023】
得られた(R)-N-(4-methoxyphenyl)-1,5-diphenyl-2-pentyn-1-amine のスペクトル等は次のとおりである。
1H NMR (CDCl3) δ 2.52 (dt, J = 1.8, 7.5 Hz, 2H, CH2), 2.80 (t, J = 7.5 Hz, 2H, CH2), 3.75 (s, 3H, CH3), 3.75 (s, 1H, NH), 5.12 (s, 1H, CH), 6.65 (d, J = 9.2 Hz, 2H, Ar), 6.77 (d, J = 9.2 Hz, 2H, Ar), 7.13-7.36 (m, 8H, Ar), 7.49 (dd, J = 2.0, 7.8 Hz, 2H, Ar)
HPLC (CHIRALPAK(R) OZ-H, hexane/i-PrOH=99:1, 1.0 mL/min) tS12.0 (fast), tR 13.8 (slow) min.
(実施例2-9)
前記式(2)の化学式で与えられる目的生成物2,6-bis-(1-pivaloyl-[4S,5S]-4,5-diphenyl-4,5-dihydro-1H-imidazol-2-yl)pyridineの代わりに窒素上の置換基を種々変更したビスイミダゾリン触媒を用いた実施例の結果を表1に示す。

【0024】
【化9】
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【0025】
【表1】
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【0026】
表1から、触媒はピバロイル基を導入したビスイミダゾリン触媒1fが最も良い。また、超純水の代わりに有機溶媒としてジクロロメタンを用いることにより、反応性が低下することが分かっている。
(実施例10-29)
下式で4-フェニル-1-ブチンの代わりに、他のアルキンによる付加反応を表2に示す。さらには、ベンズアルデヒドの代わりに、他のアルデヒドから生成するイミンに対する付加反応の結果も同様に表2に示す。

【0027】
【化10】
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