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明細書 :界面抵抗を低減したSiC光電極およびその製造方法、ならびにSiC光電極を用いた水素製造装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-140471 (P2015-140471A)
公開日 平成27年8月3日(2015.8.3)
発明の名称または考案の名称 界面抵抗を低減したSiC光電極およびその製造方法、ならびにSiC光電極を用いた水素製造装置
国際特許分類 C25B  11/06        (2006.01)
C25B   9/00        (2006.01)
B01J  35/02        (2006.01)
B01J  27/224       (2006.01)
B01J  37/02        (2006.01)
C01B   3/04        (2006.01)
FI C25B 11/06 B
C25B 9/00 A
B01J 35/02 J
B01J 27/224 M
B01J 37/02 301P
C01B 3/04 A
請求項の数または発明の数 4
出願形態 OL
全頁数 8
出願番号 特願2014-015515 (P2014-015515)
出願日 平成26年1月30日(2014.1.30)
発明者または考案者 【氏名】加藤 正史
【氏名】長谷川 貴大
出願人 【識別番号】304021277
【氏名又は名称】国立大学法人 名古屋工業大学
審査請求 未請求
テーマコード 4G169
4K011
4K021
Fターム 4G169AA03
4G169AA08
4G169BA48A
4G169BB15A
4G169BB15B
4G169BD05A
4G169BD05B
4G169CC33
4G169DA05
4G169EA11
4G169FA03
4G169FB03
4G169HB10
4G169HD14
4G169HE09
4K011AA01
4K011AA20
4K011AA24
4K011AA66
4K011BA02
4K011BA09
4K011DA01
4K021AA01
4K021BA02
4K021BA04
4K021BC01
4K021BC08
4K021BC09
4K021CA01
4K021CA05
4K021CA15
4K021DB18
4K021DB19
4K021DB40
4K021DC03
要約 【課題】SiCを用いた光照射による水分解のエネルギー変換効率を向上させることである。
【解決手段】相対的に低い不純物濃度を有するSiCからなる光電極と、当該光電極と対をなす金属電極と、前記光電極と前記金属電極との間に相対的に高い不純物濃度を有するSiCとを含むSiC光電極。前記相対的に低い不純物濃度が1015/cm~1017/cm、前記相対的に高い不純物濃度が前記不純物濃度より10~10高い。

【選択図】図2
特許請求の範囲 【請求項1】
相対的に低い不純物濃度を有するSiCからなる光電極と、当該光電極とオーミック接触となる金属電極と、前記光電極と前記金属電極との間に相対的に高い不純物濃度を有するSiCとを含むSiC光電極。
【請求項2】
前記相対的に低い不純物濃度が1015/cm~1017/cm、前記相対的に高い不純物濃度が前記相対的に低い不純物濃度より10~10高い、請求項1に記載のSiC光電極。
【請求項3】
SiC単結晶基板上に相対的に低い不純物濃度の低不純物濃度SiC膜をエピタキシャル成長させ、次に、相対的に高い不純物濃度の高不純物濃度SiC膜を形成し、さらに高不純物濃度SiC上に金属電極を形成し、その後SiC単結晶基板を除去する、SiC光電極の製造方法。
【請求項4】
請求項1または2に記載のSiC光電極を用いた水素製造装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、光触媒用のシリコンカーバイド、特に光照射による水の分解に適したシリコンカーバイドに関する。
【背景技術】
【0002】
光触媒による有機物分解あるいは水分解の技術は広く知られているところである。特にシリコンカーバイド(SiC)等の半導体を用いて光照射による水の分解は太陽エネルギーを水素エネルギーに変換できるため、再生可能エネルギー生成技術として有望なものである。従来からこの用途に用いる半導体材料として酸化チタンなどが広く知られているところであるが、エネルギー変換効率が低いという課題がある。
【0003】
それに対して本発明者らはSiCをこの光照射による水分解技術に用いるという提案をしており、それは特許文献1に記載の多結晶SiCではなく、非特許文献1および非特許文献2に記載の単結晶SiCを用いるという提案である。理論的には単結晶SiCにより5%以上のエネルギー変換効率(以下、単に「変換効率」ということがある。)が期待できるものの、非特許文献1では0.17%という変換効率が報告されている。一方、本発明者らは非特許文献2にて報告した単結晶SiCのエネルギー変換効率は0.38%であり、理論値とは未だ大きな差異があるのが現状である。その理由の一つとして、光電流がSiC光電極と金属電極との界面での電気抵抗により制限されている点があった。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特表2012-505962
【0005】

【非特許文献1】“Photoelectrolysis of water to hydrogen in p-SiC/Pt and p-SiC/n-TiO2 cells” J. Akikusa and S. U. M. Khan, Int. J. Hydrogen Energy 27 (2002) 863.
【非特許文献2】“SiC photoelectrodes for a self-driven water-splitting cell” T. Yasuda, M. Kato, M. Ichimura, and T. Hatayama, Appl. Phys. Lett. 101, 53902 (2012).
【非特許文献3】“Solar-to-Hydrogen Conversion Efficiency of Water Photolysis with Epitaxially Grown p-Type SiC “ T. Yasuda, M. Kato, M. Ichimura, and T. Hatayama, Mater. Sci. Forum 740, 859 (2013).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、SiCを用いた光照射による水分解のエネルギー変換効率を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、低い不純物濃度のSiCを光電極として、SiC光電極と金属電極との間の電気抵抗を下げる方策を検討した結果、上記課題を解決しうることを見出した。すなわち、本発明によれば、SiCを用いた光照射による水分解のエネルギー変換効率を向上する構造を提供する。
【0008】
[1]相対的に低い不純物濃度を有するSiCからなる光電極と、当該光電極とオーミック接触となる金属電極と、前記光電極と前記金属電極との間に相対的に高い不純物濃度を有するSiCとを含むSiC光電極。
【0009】
[2]前記相対的に低い不純物濃度が1015/cm~1017/cm、前記相対的に高い不純物濃度が前記相対的に低い不純物濃度より10~10高い、前記[1]に記載のSiC光電極。
【0010】
[3]SiC単結晶基板上に相対的に低い不純物濃度の低不純物濃度SiC膜をエピタキシャル成長させ、次に、相対的に高い不純物濃度の高不純物濃度SiC膜を形成し、さらに高不純物濃度SiC膜上に金属電極を形成し、その後SiC単結晶基板を除去する、SiC光電極の製造方法。
【0011】
[4]前記[1]または[2]に記載のSiC光電極を用いた水素製造装置。

【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】SiC単結晶基板に相対的に低い不純物濃度のSiC膜および相対的に高い不純物濃度のSiC膜をエピタキシャル成長させた後のSiCエピタキシャル基板の不純物分布を示す図である。
【図2】SiC単結晶基板に相対的に低い不純物濃度のSiC膜、相対的に高い不純物濃度のSiC膜、さらに金属電極を順次形成し、その後SiC単結晶基板を除去して得られるSiC光電極を示す図である。
【図3】実施例1の二極式電気化学セル(SiC光電極)による水素生成原理を示す図である。
【図4】実施例1の二極式電気化学セルの電極の詳細を示す図である。
【図5】実施例2のSiC光電極による水素生成原理を示す図である。
【図6】本発明のSiC光電極を用いた実施例1において、SiC光電極を挟む2つの金属電極間の電流‐電圧特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加え得るものである。

【0014】
本発明に用いるSiCは単結晶であることが好ましく、結晶形態としては4H‐SiC、6H‐SiC、3C‐SiC等が好ましい。本発明のSiC光電極は、図1に示すように、相対的に低い不純物濃度を有するSiCからなる光電極層と、当該光電極と対をなす金属電極と、前記光電極と前記金属電極との間に相対的に高い不純物濃度を有するSiC層とを含む構成が好ましい。前記相対的に低い不純物濃度が1015/cm~1017/cm、前記相対的に高い不純物濃度が前記相対的に低い不純物濃度より10~10高いことが好ましい。不純物としてはP型SiCとするためにアルミニウム(Al)、ホウ素(B)がドープされるか、あるいは、N型SiCとするためにリン(P)、窒素(N)がドープされるが、前者の方が製造上好ましい。相対的に低い不純物濃度を有するSiCからなる光電極の厚みは10~100μmであることが好ましい。相対的に高い不純物濃度を有するSiC層の厚みは0.1~20μmであることが好ましい。低不純物濃度SiC層の形成はMOCVDが好ましい。高不純物濃度SiC層の形成はMOCVDで行うが、低不純物濃度SiCあるいは不純物が実質的にないSiCにイオンインプランテーションによりドープすることもできる。

【0015】
本発明のSiC光電極は、図2に示すように、SiC単結晶基板上に相対的に低い不純物濃度の低不純物濃度SiC膜をエピタキシャル成長させ、次に、相対的に高い不純物濃度の高不純物濃度SiC膜を形成し、さらに高不純物濃度SiC膜上に金属電極を形成し、その後SiC単結晶基板を除去する製造方法が好ましい。

【0016】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定さ
れない。

【0017】
(実施例1)
本発明の実施例1である、二極式電気化学セル(光電極)による水素生成原理を図3に示す。Ni板(7mm×70mm×0.1mm厚)からなる対向電極2、SiCを含む作用電極3を導線4で接続し、双方の電極を1mol/lの硫酸からなる電解液5に浸漬した。なお、作用電極2は図4に示すように、不純物低濃度SiC層と不純物高濃度SiC層の2層膜9(7mm×7mm×0.015mm厚)に電極金属8(Ni、Al、およびTi)を蒸着し1000℃で熱処理した後、SiCの表面のみが露出するように、この双方を作用電極固定絶縁部材(ポリカーボネート)にエレクトロンワックスの接着剤7で固定した。そして、SiC板の表面に光(発光源は太陽光と同じスペクロルを有するソーラシミュレータ(照射強度:1W/cm))を照射して、水素生成に伴う電流値を測定したところ、SiC層全体が低不純物濃度である場合に比して電流値が2~3倍になった。なお、SiC層と金属電極との界面の接触抵抗の低減効果を直接確認するために、SiC層の両側に金属電極を形成して電流‐電圧特性を測定した結果を図6に示す。SiC層全体が不純物低濃度である場合に比して、不純物低濃度SiC層と不純物高濃度SiC層の2層膜の場合は3~5倍の電流値を示しており、不純物高濃度SiC層を設ける効果が確認できた。

【0018】
(実施例2)
実施例1では対向電極と作用電極を電解液中で分離させたが、SiCと直接接触させた金属を対向電極とすることにより、実施例1に比べて製作工程の簡略化を図ることができた。
【産業上の利用可能性】
【0019】
光触媒、特に光照射による水の分解に用いることができる。

【符号の説明】
【0020】
1…電解液収納容器、2…対向電極、3…作用電極、4…導線、5…電解液、6…作用電極固定部材、7…接着剤、8…作用電極、9…SiC、11…電解液収納容器、12…対向電極、13…SiC
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5