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明細書 :ベンゾヘキサフィリン誘導体

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4776920号 (P4776920)
公開番号 特開2006-182734 (P2006-182734A)
登録日 平成23年7月8日(2011.7.8)
発行日 平成23年9月21日(2011.9.21)
公開日 平成18年7月13日(2006.7.13)
発明の名称または考案の名称 ベンゾヘキサフィリン誘導体
国際特許分類 C07D 487/22        (2006.01)
FI C07D 487/22 CSP
請求項の数または発明の数 1
全頁数 10
出願番号 特願2004-380348 (P2004-380348)
出願日 平成16年12月28日(2004.12.28)
審査請求日 平成19年11月13日(2007.11.13)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
発明者または考案者 【氏名】大須賀 篤弘
個別代理人の代理人 【識別番号】100064908、【弁理士】、【氏名又は名称】志賀 正武
【識別番号】100074206、【弁理士】、【氏名又は名称】鎌田 文二
【識別番号】100084858、【弁理士】、【氏名又は名称】東尾 正博
【識別番号】100087538、【弁理士】、【氏名又は名称】鳥居 和久
審査官 【審査官】早川 裕之
参考文献・文献 特開2004-099522(JP,A)
特開2002-037788(JP,A)
特開2001-354674(JP,A)
Tetrahedron Lett.,2003年,44,2505-2507
J. Am. Chem. Soc.,2004年,126,12280-12281
調査した分野 C07D 487/22
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII)
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
下記式(1)に示されるベンゾヘキサフィリン誘導体。
【化1】
JP0004776920B2_000004t.gif
(式(1)中、Ar~Arは、ペンタフルオロフェニル基を示す

発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、新規なベンゾヘキサフィリン誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
環状の拡張ポルフィリン類としては、ペンタフィリン、ヘキサフィリン、ヘプタフィリン類、オクタフィリン類、ノナフィリン類、デカフィリン類、ウンデカフィリン類、ドデカフィリン類等が特許文献1に記載されている。そして、これらの拡張ポルフィリン類は、大きなπ-共鳴系を有し、吸収バンドが長波長側にシフトし、さらに、各種の金属と置換可能である。これらから、光学材料、触媒材料の合成用等の分野での使用が期待できる旨、記載されている。
【0003】

【特許文献1】特開2001-354674号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記化合物は、発光現象が確認されていない。可視光~赤外領域で発光を有すると、レーザー源としての利用が期待できる。
【0005】
そこで、この発明は、可視光~赤外領域で発光を有する化合物を得、これをレーザー源として提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、下記式(1)に示されるベンゾヘキサフィリン誘導体を用いることにより、上記課題を解決したのである。
【化2】
JP0004776920B2_000002t.gif
(式(1)中、Ar~Arは、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基、置換基を有してもよい芳香族複素環基、又は置換基を有してもよいシクロヘキシル基を示す。また、上記Ar~Arは、それぞれ互いに同じであっても、異なってもよい。)
【発明の効果】
【0007】
この発明によると、特定のベンゾヘキサフィリン誘導体を用いるので、近赤外領域で発光し、これをレーザー源として使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
この発明は、下記式(1)に示されるベンゾヘキサフィリン誘導体にかかる発明である。
【化3】
JP0004776920B2_000003t.gif

【0009】
上記の式(1)中、Ar~Arは、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基、置換基を有してもよい芳香族複素環基、又は置換基を有してもよいシクロヘキシル基を示す。また、上記Ar~Arは、それぞれ互いに同じであっても、異なってもよい。
【0010】
上記芳香族炭化水素基や芳香族複素環基としては、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、アントラニル基等があげられる。
【0011】
また、上記置換基としては、炭素数1~6の置換又は非置換アルキル基、低級アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、置換又は非置換アリール基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルシアノ基、アリールシアノ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、カルボキシ基、カルバルコキシ基、若しくはそれらのエステルやアミド、塩等、又はフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン等があげられる。これらのなかでも、アルキルシアノ基、アリールシアノ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン等の電子吸引性基が特に好ましい。
【0012】
次に、上記のAr~ArやArが所定の1つの基、ペンタフルオロフェニル基である場合における、環状ポルフィリン類の製造法について説明する。
【0013】
まず、図1に示す反応式<1>にしたがい、各種ポルフィリン類を製造する。なお、反応式<1>において、nは整数を示す。まず、4,7-ジヒドロ-4,7-エタノ-2H-イソインドール(以下、「化合物(2)」と称する。)とペンタフルオロベンズアルデヒド反応させ、反応式<1>の右辺に示すポルフィリン類を得る。得られる化合物は、ポルフィリン(n=1、以下、「化合物(3)」と称する。)、ペンタフィリン(n=2、以下、「化合物(4)」と称する。)、ヘキサフィリン(n=3、以下、「化合物(5)」と称する。)、ヘプタフィリン(n=4、以下、「化合物(6)」と称する。)、オクタフィリン(n=5、以下、「化合物(7)」と称する。)等である。
【0014】
次いで、上記のうち、化合物(5)をretro-Diels-Alder反応を行う。これにより、図1の(8)で示される、doubly N-fused β-bennzo[28]hexaphyrin(1.1.1.1.1.1)(以下、「化合物(8)」と称する。))が得られる。
【0015】
この化合物(8)を酸化する。この反応の詳細は不明であるが、図1の反応式<2>の反応が進行すると推定され、この発明にかかるベンゾヘキサフィリン誘導体である化合物(1)が製造される。
【0016】
得られたベンゾヘキサフィリン誘導体は、近赤外に強い発光を有する。このため、近赤外レーザー用に使用することが可能となる。
また、近赤外~可視全体にわたって吸収を有するものがあり、太陽電池、光メモリ、トランジスタ材料等として使用することも期待できる。
【実施例】
【0017】
次に、この発明について、より具体的に実施例を用いて説明する。
(化合物(1)の製造)
まず、図1に示す反応式<1>にしたがい、各種ポルフィリン類を製造する。
4,7-ジヒドロ-4,7-エタノ-2H-イソインドール(既に報告されている製法に従い別途調整)3.44mmolとペンタフルオロベンザルアルデヒド(アルドリッチ社製)3.44mmolを塩化メチレン50mlに溶解させた。これに、2.5M BF・OEtの塩化メチレン溶液0.136mlを加え、撹拌した。空気存在下、暗所で、終夜、撹拌した後、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン(以下、「DDQ」と略する。)8.6mmolを加えて、終夜、撹拌した。その後、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥し、溶媒を除去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン/ヘキサン=1/2)にかけた。
その結果、化合物(3)が18%、化合物(4)が11%、化合物(5)が9.4%の収率で得られた。
【0018】
次いで、上記のうち、化合物(5)53.9μmolを0.1mmHgで30分間、170℃に加熱した。反応物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン/ヘキサン=1/2)にかけたところ、化合物(8)が46.5%の収率で得られた。得られた化合物(8)のH-NMR等の結果は次の通りである。
【0019】
H NMR(600MHz,CDCl) δ=17.87(br s,2H,NH),8.69(d,J=7.6Hz,2H,benzo),7.40(br t,J=10.3Hz,2H,benzo),7.09-7.04(m,10H,benzo),7.00(t,J=8.2Hz,2H,benzo),6.45(d,J=8.2Hz,2H,benzo),6.33(d,J=8.3Hz,2H,benzo),6.29(d,J=8.9Hz,2H,benzo),and 6.16ppm(d,J=6.2Hz,2H,benzo)
【0020】
19F NMR(565MHz,CDCl,C as an external reference)δ=-135.0(d,J=24Hz,2F),-138.5(t,J=32Hz,2F),-138.7(d,J=24Hz,2F),-139.5(br d,2F),-139.7(br d,2F),-148.6(br,2F),-148.9(t,J=20Hz,2F),-150.4(t,J=21Hz,2F),-158.4,-158.7(m,6F),-158.9(br,2F),-159.5(br t,J=19,2F),and -161.3ppm(br t,J=19Hz,2F)
【0021】
13C NMR(150MHz,CDCl)δ=152.2,143.6,141.8,137.6,136.0,134.4,133.6,132.3,132.0,130.5,130.0,129.9,129.8,129.7,128.8,127.1,126.2,125.6,123.5,121.9,121.0,119.9,119.7,119.6,114.7,104.6,and 101.0ppm.
【0022】
・Due to C-F multiple coupling, thecarbon atom signals at the pentafluorophenyl groups could not be clearly observed.
・HR ESI-TOF Mass(positive mode);m/z=1722.1767(calc.for C902628=1722.1766[M]
・UV/Vis(CHCl):λmax[nm](ε[M-1cm-1])=367(41000),524(41900),and 677(27700).

【0023】
次に、化合物(1)を製造する反応について説明する。この反応において、クロロホルムとDDQは、以下の方法で精製して使用した。まず、市販のクロロホルムは、蒸留水で3度洗浄し安定化剤であるエタノールを除去した。その後、炭酸カリウムで乾燥させ、硫酸ナトリウムを用いて蒸留した。得られた蒸留クロロホルムを以下の反応に使用した。また、DDQは、蒸留クロロホルムを用いて再結晶させて、精製DDQを得、以下の反応に使用した。
【0024】
得られた化合物(8)7.66μmolをクロロホルム8mlに溶解させ、アルゴン存在下で、常温で、3日間撹拌した。この溶液は、赤茶色からネービーブルーに変色した。得られた溶液に短いアルミナカラムに通し、DDQの残渣を除いたのち、シリカゲルカラムクロマトグラフィー((塩化メチレン/ヘキサン=1/2)にかけ、青色のフラクションとして、化合物(1)が回収された(収率47.6%)。
【0025】
H NMR、19F NMR、13C NMR、FAB-Massの測定)
得られた化合物のH NMR、19F NMR、13C NMR、FAB-Massを測定した。その結果を下記に示す。
【0026】
H NMR(600MHz,CDCl)13.95(brs,2H,NH),7.77(d,J=7.3Hz,2H,benzo),7.73(d,J=8.3Hz,2H,benzo),7.30(t,J=7.3Hz,2H,benzo),7.25(t,J=7.2Hz,2H,benzo),7.21(t,J=8.2Hz,2H,benzo),7.16(t,J=7.4Hz,2H,benzo),7.01(d,J=7.3Hz,2H,benzo),6.93(t,J=8.3Hz,2H,benzo),6.81-6.79(d and t,4H,benzo),6.35(d,J=8.3Hz,2H,benzo),and 6.17(d,J=9.2Hz,2H,benzo)
【0027】
19F NMR(565MHz,CDCl)-127.7(d,J=24Hz,2F),-137.6(d,J=21Hz,2F),-138.0(d,J=16Hz,2F),-148.8(t,J=21Hz,2F),-149.0(t,J=19Hz,1F),-149.1(t,J=20Hz,1F),-149.7(t,J=20Hz,2F),-151.2(t,J=22Hz,2F),-159.1(d,J=19Hz,2F),-159.3(t,J=22Hz,2F),-160.1(t,J=19Hz,2F),-160.6(t,J=20Hz,2F),-160.9(t,J=24Hz,2F),and -162.5(d,J=19Hz,2F)
【0028】
13C NMR(150MHz,CDCl)186.2(C=O),152.2,138.7,138.6,135.7,135.6,132.6,131.5(2C),130.5,130.1,129.2,128.4,127.9,127.7,126.2,126.2,125.8,125.6,124.8,124.5(2C),121.7,121.5,120.2,119.2,118.4,102.7,37.3(sp carbon)
【0029】
・FAB-Mass(NBA)m/z=1754(calc.for C902628=1754)
【0030】
(X線構造回折)
得られた化合物の単結晶を成長させ、X線構造回折にかけたところ、図2に示すような立体構造を有していることが明らかとなった。
【0031】
(吸収スペクトル、発光スペクトルの測定)
得られた化合物をジクロロメタンに溶解させて、10μmol/lの溶液を調整し、SHIMADZU UV-3100PCを用いて、吸収スペクトルを測定し、また、SHIMADZU RF-5300PCを用いて、発光スペクトルを測定した。その結果を図3に示す。なお、図2において、Aが吸収スペクトルを、Bが発光スペクトルを示す。
【0032】
また、溶媒をかえて、発光スペクトルを測定した。その結果を図4に示す。なお、図4において、a~mは、下記に示す溶媒を用いた場合の測定結果を示す。
・a…トルエン
・b…クロロベンゼン
・c…ベンゼン
・d…酢酸エチル
・e…ジクロロメタン
・f…THF
・g…ピリジン
・h…ベンゾニトリル
・i…アセトン
・j…メタノール
・k…ニトロメタン
・l…DMF
・m…アセトニトリル
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】化合物(1)を製造する反応式等を示す図
【図2】X線構造回折で得られたデータから組み立てた3次元構造図
【図3】吸収スペクトル及び発光スペクトルを示すグラフ
【図4】溶媒による吸収スペクトルの変化を示すグラフ
図面
【図1】
0
【図3】
1
【図4】
2
【図2】
3