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明細書 :揺動体に対するコリオリ力を利用した吸振器

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4514046号 (P4514046)
公開番号 特開2006-258141 (P2006-258141A)
登録日 平成22年5月21日(2010.5.21)
発行日 平成22年7月28日(2010.7.28)
公開日 平成18年9月28日(2006.9.28)
発明の名称または考案の名称 揺動体に対するコリオリ力を利用した吸振器
国際特許分類 F16F  15/02        (2006.01)
B61B  12/04        (2006.01)
FI F16F 15/02 C
F16F 15/02 A
B61B 12/04
請求項の数または発明の数 7
全頁数 20
出願番号 特願2005-073701 (P2005-073701)
出願日 平成17年3月15日(2005.3.15)
審査請求日 平成20年3月14日(2008.3.14)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
【識別番号】000224994
【氏名又は名称】特許機器株式会社
発明者または考案者 【氏名】松久 寛
【氏名】安田 正志
個別代理人の代理人 【識別番号】100121441、【弁理士】、【氏名又は名称】西村 竜平
審査官 【審査官】竹村 秀康
参考文献・文献 特開平11-311685(JP,A)
特開平06-280934(JP,A)
特開平11-281763(JP,A)
調査した分野 F16F 15/00 -15/08
B61B 12/04
特許請求の範囲 【請求項1】
支点を中心に振り子運動可能に支持された揺動体に取り付けられて、当該揺動体の振り子運動を抑制するためのものであって、
質量要素と、その質量要素を揺動体に対し前記振り子運動における径方向に沿って進退移動可能なように支持するとともに、前記振り子運動に伴って、質量要素が径方向に進退移動する際の運動エネルギを吸収するエネルギ吸収支持機構とを備えたものであることを特徴とする吸振器。
【請求項2】
前記質量要素が、振り子運動の回転軸方向から見て、揺動体の振動の中心近傍又はその上下で移動可能に設定されている請求項1記載の吸振器。
【請求項3】
前記エネルギ吸収支持機構が、弾性体と減衰器とを少なくとも利用して構成した受動型のものである請求項1又は2記載の吸振器。
【請求項4】
前記エネルギ吸収支持機構が、揺動体の角度や加速度等に係る動きを検出し、その動きに応じて質量要素をアクチュエータで進退駆動して運動エネルギを吸収する能動型のものである請求項1又は2記載の吸振器。
【請求項5】
前記揺動体が、ロープ等に吊り下げられたゴンドラやリフト等の索動搬器である請求項1、2、3又は4記載の吸振器。
【請求項6】
前記索動搬器の側周壁に前記エネルギ吸収機構を設けている請求項5記載の吸振器。
【請求項7】
支点を中心に振り子運動可能に支持された揺動体と、質量要素と、その質量要素を揺動体に前記振り子運動における径方向に沿って進退移動可能に取り付けるとともに、前記振り子運動に伴って質量要素が径方向に進退移動する際の運動エネルギを吸収するエネルギ吸収支持機構とを備えたものであることを特徴とする吸振システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、振り子運動をするゴンドラやリフト、船舶等の揺動体に取り付けられる吸振器等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゴンドラのように索条によって支持された索動搬器は、モノレールなどに比べて建設費が安いという大きな長所がある一方、風等の外力を受けると容易に横揺れ(振り子運動)するという短所がある。例えば風速が15m/sになると、従来ゴンドラは運転を見合わせる。この短所を改善すれば、長所がクローズアップされ、汎用交通機関としてのゴンドラの利用価値を大きく高めることができる。そこで、この横揺れを抑制すべく、種々の吸振器が今までに種々考えだされている。
【0003】
そのうちの一つとして、動吸振器(Dynamic Dumper 又はDynamic Absorber)と称されるものが知られている。この動吸振器は、ゴンドラのような揺動体に対し移動可能に設けた質量要素を有し、揺動体が揺れ出すと、その質量要素が揺動体に対し相対移動し、それら相対移動の際にエネルギを消散させて吸振する仕組みになっている。動吸振器は、外部からの動力なしで作動させる構成が可能であり、ゴンドラのように外部電力供給が難しいものに特に好適である。
【0004】
そして従来、この種の動吸振器では、振り子運動する揺動体に対し質量要素を相対移動させるのだから、当然のことながら、質量要素の移動軌跡を、揺動体の揺れ方向(円周方向)と合致させつつ、質量要素と揺動体とが相対移動するような構成にしている。
【0005】
ところで、このような構成での制振効果は、ゴンドラのような剛体振子とみなせるものにおいて、質量要素と揺動体における振動の中心(単振子の場合、重心と一致し、剛体振子の場合、通常は重心よりやや下方になる)との距離の2乗に比例し、質量要素を揺動体における振動の中心に取り付けると制振効果を得ることができない。そのため、例えばゴンドラ等の索動搬器では、動吸振器がゴンドラの下方に突出する構造とならざるを得ず、駅頭の構造物に干渉する恐れから、従来は採用されていなかった。これに対して、本発明者は、揺動体よりも上方に取り付け可能な画期的な動吸振器を開発し(特許文献1)、権利化を経た現在では、索動搬器に用いられて実用化に至っている。

【特許文献1】特開平6-280934
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところがそれにしても、顕著な吸振効果を得ようとすると、質量要素を揺動体の振動の中心からなるべく上下に偏位した位置に設けざるを得ず、動吸振器の取り付け位置に制約があることには変わりはない。したがって場合によっては揺動体より上方又は下方に動吸振器が大きく突出する形となり、動吸振器が駅や鉄塔などの他の構造物に干渉して問題が生じる場合がでてくる。
【0007】
そこで、本発明は、揺動体の運動方向とは垂直に質量要素の運動方向を設定し、コリオリ力を利用して振動エネルギを吸収するという、従来とは全く異なった発想によって、揺動体の振動の中心近傍に取り付けて吸振効果を得られ、しかも外部動力を必ずしも必要としない吸振器を提供することをその所期課題としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明に係る吸振器は、支点(つりの中心)を中心に振り子運動可能に支持された揺動体に取り付けられて、当該揺動体の振り子運動を抑制するためのものであって、質量要素と、その質量要素を揺動体に対し前記振り子運動における径方向に沿って進退移動可能に支持するとともに、前記振り子運動に伴って質量要素が径方向に進退移動する際の運動エネルギを吸収するエネルギ吸収支持機構とを備えたものであることを特徴とする。
【0009】
このようなものであれば、揺動体の振り子運動のエネルギが、質量要素に流入してその径方向の進退運動エネルギとなり、そのエネルギがエネルギ吸収支持機構で吸収されるため、振り子運動のエネルギが結果的に減少して制振作用が得られる。一方、その際の質量要素の進退運動は、振り子運動によって、遠心力が変動することと、質量要素の重力の径方向成分が変動することとにより惹起されるため、下方の方が少し効率がよくなるという傾向はあるにせよ、質量要素を揺動体の振動の中心近傍をはじめとするどの部位に取り付けても、十分な制振効果を得ることが可能である。
なお、ここで「揺動」とは振り子運動のことをいい、直線上を進退並進運動する揺動は除くものとする。
【0010】
したがって、例えば、質量要素を揺動体の内部や側周壁等の余剰空間に取り付け、外部に大きく突出しないコンパクトな構造にすることができ、例えば既存のゴンドラ等に取り付けて、外部の他の構造物に干渉しないような構成に容易にすることができる。
【0011】
また、支点において揺動体がボールジョイントなどによって支持され、回転軸の方向の異なる種々の振り子運動が可能なように構成されている場合でも、そのあらゆる方向の振り子運動を、単一の吸振器で抑制できる。
【0012】
そしてこれらの新たな効果から、新たな用途への可能性を大きく広げることができる。
【0013】
コンパクト化を図るためのより効果的な態様としては、上述したように前記質量要素が、振り子運動の回転軸方向から見て、揺動体の重心又は振動の中心近傍で移動可能に設定されているものが好ましい。そのうちでも制振効果をより向上させるには、できるだけ下方に質量要素を設けておくことが望ましい。
【0014】
外部動力を必要としない前記エネルギ吸収支持機構の一つとしては、弾性体と減衰器とを少なくとも利用して構成したものを挙げることができる。
【0015】
本発明を適用してその効果が特に顕著になる態様としては、前記揺動体が、ロープ等に吊り下げられたゴンドラ等の索動搬器を挙げることができる。また、その索動搬器の側周壁に前記エネルギ吸収機構を設けているものであればさらに好ましい。ゴンドラやチェアリフト等においては、駅や鉄塔にぶつからないように吸振器そのものをコンパクトにしなければならないし、その取り付け位置に制限も設けたくないうえ、外部動力を導入しにくいという特性があり、それらの点から本発明の効果がよく発揮されるからである。
【0016】
さらにこの吸振器は、その原理からわかるように、振り子運動の振幅がある程度大きくならないと、制振効果が顕著にならないが、例えばゴンドラでは、制振効果を発揮させたいのは、運転を停止せざるを得ないほど振り子運動の振幅が大きくなったときであるため、振り子運動の振幅が小さいときには制振効果が少ないという本発明の特徴が問題にならないという利点も生まれる。
【0017】
揺動体そのものを質量要素とみなし、質量要素を省略した構成も可能である。このような吸振器としては、支点を中心に振り子運動可能に支持された揺動体に取り付けられて、当該揺動体の振り子運動を抑制するためのものであって、前記支点と揺動体との間に介在し、当該揺動体を振り子運動における径方向に沿って進退移動可能に支持するとともに、前記振り子運動に伴って揺動体が径方向に進退移動する際の運動エネルギを吸収するエネルギ吸収支持機構とを備えたものを挙げることができる。
【0018】
もちろん、船舶やクレーンの吊り荷など、その他の揺動体に本発明に係る吸振器を適用して構わないのは言うまでもない。
【発明の効果】
【0019】
以上のように構成した本発明によれば、質量要素を揺動体の重心近傍をはじめとするどの部位に取り付けても、十分な制振効果を得られるため、揺動体外部に大きく突出しないコンパクトな構造にすることができ、他の構造物に干渉しないような構成に容易にすることができる。
【0020】
また、揺動体が支点でボールジョイントなどによって支持され、回転軸の方向の異なる種々の振り子運動が可能なように構成されている場合でも、そのあらゆる方向の振り子運動を、単一の吸振器で抑制できる。
【0021】
さらに上述した新たな作用効果を奏し得ることから、揺動体に対する制振、吸振分野における新たな用途への可能性を大きく広げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、本発明の一実施形態につき、図面を参照して説明する。
【0023】
この実施形態における吸振システムは、揺動体であるゴンドラ1を含む索動施設と、そのゴンドラ1に取り付けられた吸振器とを備えたものである。索動施設は、図1に示すように、ゴンドラ1と、そのゴンドラ1を運行させる索条R及び索条Rを駆動する駆動機器(図示しない)等からなる。このゴンドラ1は、同図に示すように、索動搬器であるゴンドラ本体11の上端から剛体アーム12を延出し、そのアーム12の上端部を、架設された索条Rに支持させて移動する周知のものであり、その性質上、風などの外力が加わると、索条の延伸方向を回転軸方向とする振り子運動(以下揺動ともいう)が生じる。
【0024】
そして、前記ゴンドラ本体11における例えば側周壁13の外部に吸振器2を取り付け、ゴンドラ1が揺動したときに、その揺動をより早く鎮める吸振(制振ともいう)作用が営まれるように構成している。
【0025】
この吸振器2は、図2に模式的に構造を示すように、質量要素21と、その質量要素21を、前記振り子運動における径方向(ゴンドラ本体11の縦方向)に沿って進退移動可能に支持するとともに、その質量要素21の進退移動の際の運動エネルギを吸収するエネルギ吸収支持機構22とを備えている。
【0026】
各部を説明する。
【0027】
質量要素21は、いわゆる錘である。制振効果は、質量要素21の重さにほぼ比例するので、できるだけ重い方がよく、質量要素21を支持する構造物の強度等の制限からその重さは定められる。そして、後述するが、質量要素21の重さを決めたあと、制振効果をよく発揮できるように、例えば固有振動数がゴンドラ1の振り子運動の振動数の2倍になるバネ定数kを設定する。その際、必要に応じて質量要素21の重さの微調整を行う場合もある。
【0028】
エネルギ吸収支持機構22は、縦に(振り子運動の径方向に沿って延びるように)ゴンドラ本体11に取り付けられ、前記質量要素21をその延伸方向に沿って進退移動可能に支持する案内ロッド221と、質量要素21及びゴンドラ本体11の間に介在させた弾性体222及び減衰器223とを有したものである。そして、例えば前記質量要素21に設けた貫通孔に前記案内ロッド221を挿通させ、当該質量要素21が案内ロッド221に沿って進退移動する際の運動エネルギを、前記減衰器223によって吸収するようにしている。
【0029】
弾性体222は例えばバネであり、そのバネ定数を、質量要素21の進退移動の固有振動数が振り子運動の振動数の2倍となるように設定している。また、質量要素21の振幅ストロークの中心が、振り子運動の回転軸方向からみてゴンドラ本体11の中央付近(例えば振動の中心あるいは重心位置)又はそれより下方となるように設定するとともに、振幅範囲がゴンドラ本体11の上下端より上下に突出しないように構成している。
【0030】
減衰器223は、例えばダッシュポットであるが、その他に、発電器を回して電力消費させるようにしたものや、永久磁石を非磁性金属上で移動させ渦電流を発生させて減衰作用を営むように構成したものなど、要は、質量要素21の進退移動速度に比例した抵抗力を発生し、その抵抗力によるエネルギを消散又は他の用途に送出するようにしたものであればよい。
【0031】
このような構成の吸振器2の動作について、以下に説明する。
【0032】
図3に示すように、ゴンドラ1を1自由度の振り子とし、ゴンドラ1の質量をM、支点からゴンドラ1の重心までの距離をl、角変位をθとする。また、質量要素21の質量をmとし、定数kのバネ222、減衰係数cのダッシュポット223を介し取り付け、支点Pからの距離をlとする。質量要素21の変位uは上向きを正にとる。
【0033】
この時、ゴンドラ1の外部加振モーメントをNsinωtとすれば、運動方程式は、以下のようになる。
【0034】
【数1】
JP0004514046B2_000002t.gif

【0035】
【数2】
JP0004514046B2_000003t.gif

【0036】
この外部加振モーメントで、ゴンドラ1と動吸振器2(質量要素21)が共振する場合、ゴンドラ1の角変位はθ=Θsin(ωt+ψ)、質量要素21の変位はu=Usin(2ωt+ψ’)と表すことが出来る。この時、ゴンドラ1から質量要素21に移動するおおよそのエネルギは、以下の通りである。
【0037】
【数3】
JP0004514046B2_000004t.gif
この数式3の第1項は、コリオリ力によるもので、第2項は質量要素21に働く重力で発生するモーメントの差によるものである。
【0038】
すなわち、質量要素21が縦(径方向)に振動することによって、1周期あたりでゴンドラ1にかかる質量要素21の重力によるモーメントが変動する。この力(数式1の左辺第5項)とコリオリ力(数式1の左辺第3項)によって、ゴンドラ1から振動エネルギが流出する。一方、質量要素21には、重力の径方向成分(数式2の第5項)の変動と、遠心力(数式2の第4項)の変動によってエネルギが流入する。このエネルギがダッシュポットによる減衰によって消散されるため、ゴンドラ1は制振される。
【0039】
次に、制振効果の実例をシミュレーションで紹介する。以下は、揺動体(ゴンドラ)1と質量要素21との質量比μ=m/Mが0.24の場合に、揺動体1の固有振動数に対する質量要素21の振動数比β=(kl/mg)1/2を1.99、減衰比ζ=2c/(mk)1/2を0.045とした場合の結果である。
【0040】
吸振器2が無い場合,取り付け位置比γ=l/lが,1.00、1.50の場合の計算結果を図4に示す。吸振器2が無い場合に比べ、吸振器2をつけると共振周波数近傍では揺動体1の角変位θの最大値が減少することがわかる。また、取り付け位置は、下のほうが、制振性が良い。
【0041】
風速5m/s(図5)、10m/s(図6)、15m/s(図7)、20m/s(図8)の場合の揺動体(ゴンドラ)1の揺れを、吸振器2が無い場合(各図上段)と吸振器2がある場合(各図中段)で示す。また各図下段には、質量要素21の振動の時間応答を示す。
【0042】
風速5m/s程度では、吸振器2による制振効果は顕著には見られないが、風速10m/sから制振効果がみられはじめ、15m/sあるいは20m/sになると、その制振効果が顕著なものになる。ゴンドラ1は、風速15m/s以上になると運行が見合わされる場合が多いが、この結果から、ゴンドラ1の運転可能風速を上げることができ、汎用交通手段としてゴンドラ1を使用することも可能になる。
【0043】
次に、実験結果を以下に示す。実験機の諸元は、揺動体質量0.93kg、質量要素の質量0.22kg、β=2.00、揺動体減衰比0.012,吸振器減衰比0.045である。図9に周波数応答を示すように、吸振器2を取り付けることで,共振周波数近傍では揺動体角変位の最大値が減少することを実験でも確認できた.
【0044】
また、初期角30°から自由振動させたとき、吸振器2が無い場合とある場合とでの揺動体1の振り子運動の時間応答を図10上段に、またそのときの質量要素21の振動の時間応答を同図下段に示す。吸振器2をつけると、振り子運動に伴って吸振器2が振動し、制振効果を発揮することがわかる。
【0045】
このように本実施形態によれば、質量要素21の揺動体(ゴンドラ)1に対する配置位置とは無関係に十分な制振効果を得られるので、ゴンドラ本体11の側周壁13などの余剰空間に吸振器12を取り付け、外部に大きく突出しないコンパクトな構造にすることができる。したがってこの吸振器2は、既存のゴンドラ1等に取り付けやすく、外部の他の構造物に干渉しないような構成に容易にすることができる。
【0046】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0047】
例えば、前記実施形態では、質量要素21を受動素子のみによって進退させていたがこの方式であると、運搬物の重量が変わるなど、揺動体の質量が変動して振り子運動の周期が変わるような場合に、質量要素21の進退周期とのマッチングが図れずに制振効果が十分得られなくなる場合も考えられる。そのため例えば角度センサや加速度センサなどによってゴンドラの動き(振り子運動の角度等)を検出することにより、モータなどのアクチュエータによって質量要素21をアクティブに制御し、振り子運動とマッチングさせて進退させ、振り子運動のエネルギを効率的に吸収できるようにしてもよい(能動型)。例えば振り子運動で上昇していくときにアクチュエータに仕事をさせる、すなわち質量要素を径方向に沿って引き上げ、下降していくときに質量要素がアクチュエータに仕事をしてアクチュエータ側でそのエネルギを消費するようにすればよい。アクチュエータには回転モータ、リニアモータ、油圧ポンプ/モータなど、種々のものが使用可能である。
【0048】
吸振器2の配置位置や個数などは適宜設定可能であり、またゴンドラ等の索動搬器に限らず、船舶やクレーンの吊り荷、シャンデリアなど、外部からしっかりとした支持ができない回転揺動するものに本発明を適用しても、上記同様の効果を得ることができる。
【0049】
また、図11に示すように、揺動体1そのものを質量要素とみなし、質量要素を省略した構成も可能である。このような吸振器2としては、支点Pと揺動体1との間に介在し、当該揺動体1を振り子運動における径方向に沿って進退移動可能に支持するとともに、前記振り子運動に伴って揺動体が径方向に進退移動する際の運動エネルギを吸収するエネルギ吸収支持機構2とを備えたものを挙げることができる。
【0050】
さらに、本発明によれば、平面振子のみならず、支点において揺動体がボールジョイントなどによって支持され、回転軸の方向の異なる種々の振り子運動が可能なように構成されている立体振子の場合でも、そのあらゆる方向の振り子運動を、単一の吸振器で抑制できる。
【0051】
その他、本発明は前述した実施形態や変形例の一部又は全部を適宜組み合わせてよいし、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施形態におけるゴンドラを示す模式的斜視図。
【図2】同実施形態における吸振器を示す模式的構造図。
【図3】同実施形態における吸振器を示す模式的構造図。
【図4】同実施形態の吸振器を用いた場合とそうでない場合のシミュレーションによる周波数応答特性比較図。
【図5】同実施形態の吸振器を用いた場合とそうでない場合の模擬風5m/sにおけるシミュレーションでの振動比較図。
【図6】同実施形態の吸振器を用いた場合とそうでない場合の模擬風10m/sにおけるシミュレーションでの振動比較図。
【図7】同実施形態の吸振器を用いた場合とそうでない場合の模擬風15m/sにおけるシミュレーションでの振動比較図。
【図8】同実施形態の吸振器を用いた場合とそうでない場合の模擬風20m/sにおけるシミュレーションでの振動比較図。
【図9】同実施形態の吸振器を用いた場合とそうでない場合の実験による周波数応答特性比較図。
【図10】同実施形態の吸振器を用いた場合とそうでない場合の実験による自由応答比較図。
【図11】本発明の他の実施形態における吸振器を示す模式的構造図。
【符号の説明】
【0053】
P・・・支点
2・・・吸振器
1・・・揺動体(ゴンドラ)
21・・・質量要素
22・・・エネルギ吸収支持機構
222・・・弾性体(バネ)
223・・・減衰器(ダッシュポット)
13・・・側周壁
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10