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明細書 :下水処理方法及び下水処理装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5091515号 (P5091515)
公開番号 特開2008-237958 (P2008-237958A)
登録日 平成24年9月21日(2012.9.21)
発行日 平成24年12月5日(2012.12.5)
公開日 平成20年10月9日(2008.10.9)
発明の名称または考案の名称 下水処理方法及び下水処理装置
国際特許分類 C02F   3/12        (2006.01)
C02F   3/34        (2006.01)
FI C02F 3/12 S
C02F 3/34 101A
請求項の数または発明の数 4
全頁数 11
出願番号 特願2007-078058 (P2007-078058)
出願日 平成19年3月26日(2007.3.26)
審査請求日 平成21年12月4日(2009.12.4)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】507214083
【氏名又は名称】メタウォーター株式会社
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
発明者または考案者 【氏名】古屋 勇治
【氏名】田中 良春
【氏名】中山 敬
【氏名】福嶋 俊貴
【氏名】田中 宏明
【氏名】山下 尚之
個別代理人の代理人 【識別番号】100086689、【弁理士】、【氏名又は名称】松井 茂
審査官 【審査官】伊藤 紀史
参考文献・文献 特開2004-255268(JP,A)
特開2007-050375(JP,A)
特開2005-218991(JP,A)
特開平09-206793(JP,A)
特開平09-220595(JP,A)
特開2001-219193(JP,A)
特開2003-136088(JP,A)
特開2003-154211(JP,A)
特開2005-034763(JP,A)
特開2007-038092(JP,A)
特開2008-000697(JP,A)
特開2005-021725(JP,A)
特開2003-088885(JP,A)
特開2000-140878(JP,A)
特開2004-041953(JP,A)
特開2000-301198(JP,A)
調査した分野 C02F 3/12
C02F 3/34
特許請求の範囲 【請求項1】
下水を生物反応槽で生物処理し、その処理液を最終沈殿池で分離液と汚泥とに沈降分離する下水処理方法において、
前記生物反応槽への下水の流入水量が設計流入水量以下の場合、流入下水の全量を前記生物反応槽で生物処理した後、その処理液の全量を最終沈殿池で沈降分離し、
前記生物反応槽への下水の流入水量が設計流入水量を超える場合、流入下水の全量を前記生物反応槽で生物処理した後、設計流入水量の処理液を前記最終沈殿池で沈降分離すると共に、設計流入水量を超過した水量の処理液を、前記最終沈殿槽に導入する前に活性汚泥濃縮装置に供給して分離液と活性汚泥濃縮液とに濃縮分離し、この活性汚泥濃縮液を前記生物反応槽に返送することを特徴とする下水処理方法。
【請求項2】
下水を生物反応槽で生物処理し、その処理液を最終沈殿池で分離液と汚泥とに沈降分離する下水処理方法において、
前記生物反応槽への下水の流入水量が設計流入水量以下の場合、流入下水の全量を前記生物反応槽で生物処理した後、その処理液の全量を最終沈殿池で沈降分離し、
前記生物反応槽への下水の流入水量が設計流入水量を超える場合、流入下水の全量を前記生物反応槽で生物処理した後、その処理液の全量を最終沈殿池に供給し、その後前記最終沈殿池から設計流入水量を超過した水量の処理液を取り出して活性汚泥濃縮装置に供給して分離液と活性汚泥濃縮液とに濃縮分離し、この活性汚泥濃縮液を前記生物反応槽に返送すると共に、前記残った処理液を前記最終沈殿池で沈降分離することを特徴とする下水処理方法。
【請求項3】
下水を生物処理する生物反応槽と、
生物処理後の処理液を分離液と汚泥に沈降分離する最終沈殿池と、
生物処理後の処理液を分離液と活性汚泥濃縮液に濃縮分離する活性汚泥濃縮装置と、
前記生物反応槽から前記最終沈殿池に処理液を通水させる第1の通水経路と、
設計流入水量を超過した水量の処理液を、前記生物反応槽から活性汚泥濃縮装置に通水させる第2の通水経路と、
前記最終沈殿池から前記生物反応槽に前記汚泥を返送する第1の返送経路と、
前記活性汚泥濃縮装置から前記生物反応槽に前記活性汚泥濃縮液を返送する第2の返送経路とを備えることを特徴とする下水処理装置。
【請求項4】
下水を生物処理する生物反応槽と、
生物処理後の処理液を分離液と汚泥に沈降分離する最終沈殿池と、
生物処理後の処理液を分離液と活性汚泥濃縮液に濃縮分離する活性汚泥濃縮装置と、
前記生物反応槽から前記最終沈殿池に処理液を通水させる第1の通水経路と、
設計流入水量を超過した水量の処理液を、前記最終沈殿池から活性汚泥濃縮装置に通水させる第2の通水経路と、
前記最終沈殿池から前記生物反応槽に前記汚泥を返送する第1の返送経路と、
前記活性汚泥濃縮装置から前記生物反応槽に前記活性汚泥濃縮液を返送する第2の返送経路とを備えることを特徴とする下水処理装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、下水を生物反応を用いて処理する下水処理方法及び下水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な下水処理装置は、例えは、図3に示すように、生物反応槽1と最終沈殿池2とを備えており、生物反応槽1にて、まず、生物反応を利用して主として有機物や、BODや、窒素分等を除去し、その後、最終沈殿池2にて、生物反応により生じたフロック等を沈降分離して分離液を河川や海に放流している。このような下水処理装置の処理能力は、主として生物反応槽1での処理能力に基づいて決定しており、通常、晴天時における最大流入水量を基準として設計流入水量を決定し、下水処理が行われている。
【0003】
しかしながら、汚水と雨水を遮集する合流式下水道の下水処理装置では、雨天時に下水処理装置に流入する下水量が急増し、処理に供せられる下水量が、設計流入水量を超過してしまう。
【0004】
そこで、雨天時下水の水質は、雨水により希釈化されていることから、そのまま放流してもあまり問題を生じることが少ないという事情により、従来は、雨水時の増水分の下水を、生物反応槽1にて処理することなく、そのまま放流もしくは薬剤などで消毒して放流している。
【0005】
また、汚水のみを遮集する分流式下水道の下水処理においても、雨天時に浸入水等の影響で、流入下水が設計流入水量を超過する場合があり、その設計流入水量を超えた水量については、そのまま放流もしくは薬剤などで消毒して放流が行われている。
【0006】
また、下記特許文献1には、合流式下水道において下水流入量が計画最大流入量に対して一定割合の超過量を超えない場合には、流入下水の全量を最初沈殿池、生物反応槽、最終沈殿池で二次処理まで行い、さらに、ろ材を充填したろ過槽に流入させて処理する一方、下水流入量が計画最大流入量に対して一定割合の超過量を超えた場合には、計画最大流入量に対して一定割合の超過量分の流入下水については前記二次処理まで行い放流するとともに、計画最大流入量に対して一定割合の超過量を超えた量の流入下水については最初沈殿池で一次処理した後にろ過槽へ流入させて処理するか、最初沈殿池を通さずにきょう雑物を除去した後にろ過槽へ流入させて処理することが開示されている。
【0007】
また、下記特許文献2には、雨天時に増量した流入下水の少なくとも一部を導入して分離水と凝集分離汚泥に分離する凝集分離装置と、前記分離水を放流する配管と、前記流入下水の一部を導入して分離水と沈殿汚泥に分離する最初沈殿池と、前記最初沈殿池からの分離水と該凝集分離装置からの凝集沈殿汚泥とを導入して脱リンする嫌気部、脱窒部、又は好気部を有する嫌気好気式生物脱リン設備と、前記脱リン設備からの汚泥を含有する被脱リン水を導入して分離液と沈殿汚泥に分離する最終沈殿池とを有する下水処理装置が開示されている。
【0008】
また、下記特許文献3には、下水を沈殿処理した後、その上澄水を生物処理部で生物処理し、その処理液を分離液と汚泥とに固液分離し、分離汚泥の一部を生物処理部の入口側に返送する下水処理方法において、該生物処理部として、嫌気処理用の前段生物処理部と、好気処理用の後段生物処理部とが設けられており、該上澄水の流量が所定流量以下のときには、前記上澄水の全量を該前段生物処理部と後段生物処理部とにこの順で流通させ、該上澄水の流量が該所定流量を超えるときには、該上澄水の一部を該前段生物処理部と後段生物処理部とにこの順で流通させ、該上澄水の残部は前段生物処理部を経ることなく後段生物処理部に流入させて処理することが開示されている。

【特許文献1】特開2005-218991号公報
【特許文献2】特開2004-49941号公報
【特許文献3】特開2005-262140号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
下水の水質によっては、雨天時の増水によって希釈化されているとはいえ、有機物や、BODや、窒素分等が、放流限界値を超過している場合がある。このため、上記特許文献1、2のように、これらを何ら除去することなく河川や海などに放流した場合、放流先である河川や海などの水質に影響が生じるおそれがあった。
【0010】
一方、上記特許文献3では、設計流入水量を超過する場合であっても、生物反応槽にその全量を投入して生物処理する方法を行っている。しかしながら、生物反応槽に設計流入水量を超えた水量を流入させると、生物反応槽内の汚泥濃度が希釈されて処理能力が低下するので、有機物や、BODや、窒素分等が十分低減されないまま放流されるおそれがあった。更には、最終沈殿池に設計流入水量を超える処理液を供給して沈降分離しているので、沈殿池の滞留時間に影響して、汚泥の沈降が不十分となり、分離液に汚泥が流出することがあり、下水処理が破綻するおそれがあった。
【0011】
したがって、本発明の目的は、雨天時の増水等によって、処理の対象となる下水の流入量が設計流入水量を超過した場合であっても、下水を効率よく処理することができ、更には、汚泥の流出を防止できる水処理方法及び水処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の下水処理方法は、下水を生物反応槽で生物処理し、その処理液を最終沈殿池で分離液と汚泥とに沈降分離する下水処理方法において、前記生物反応槽への下水の流入水量が設計流入水量以下の場合、流入下水の全量を前記生物反応槽で生物処理した後、その処理液の全量を最終沈殿池で沈降分離し、前記生物反応槽への下水の流入水量が設計流入水量を超える場合、流入下水の全量を前記生物反応槽で生物処理した後、設計流入水量の処理液を前記最終沈殿池で沈降分離すると共に、設計流入水量を超過した水量の処理液を、前記最終沈殿槽に導入する前に活性汚泥濃縮装置に供給して分離液と活性汚泥濃縮液とに濃縮分離し、この活性汚泥濃縮液を前記生物反応槽に返送することを特徴とする。
【0013】
本発明の下水処理方法によれば、下水を生物反応槽1に供して生物反応処理すると共に、設計流入水量を超過した水量の処理液を活性汚泥濃縮装置に送って濃縮分離し、活性汚泥濃縮液を生物反応槽に返送する構成としているので、生物反応槽への下水の流入水量が設計流入水量を超過した場合であっても、生物反応槽内の活性汚泥の濃度が低下しにくく、ほぼ一定濃度を維持できるので、生物反応槽における下水の処理効率が損なわれにくい。そして、最終沈殿池には、設計量を超えた処理液は導入されないので、最終沈殿池から排出される分離液には汚泥が流出しにくく、放流先の河川や海などへの影響が小さい。
【0014】
本発明の下水処理方法のもう一つは、下水を生物反応槽で生物処理し、その処理液を最終沈殿池で分離液と汚泥とに沈降分離する下水処理方法において、前記生物反応槽への下水の流入水量が設計流入水量以下の場合、流入下水の全量を前記生物反応槽で生物処理した後、その処理液の全量を最終沈殿池で沈降分離し、前記生物反応槽への下水の流入水量が設計流入水量を超える場合、流入下水の全量を前記生物反応槽で生物処理した後、その処理液の全量を最終沈殿池に供給し、その後前記最終沈殿池から設計流入水量を超過した水量の処理液を取り出して活性汚泥濃縮装置に供給し、分離液と活性汚泥濃縮液とに濃縮分離して、この活性汚泥濃縮液を前記生物反応槽に返送すると共に、前記残った処理液を、前記最終沈殿池で沈降分離することを特徴とする。
【0015】
この態様によれば、下水を生物反応槽に供して生物反応処理すると共に、生物反応槽での超過水量分を含む処理液を一旦最終沈殿池に導入し、その後、最終沈殿池から超過水量分の処理液を取り出して活性汚泥濃縮装置へ送り濃縮分離し、活性汚泥濃縮液を生物反応槽に返送するようにしているので、生物反応槽への下水の流入水量が増えても、生物反応槽内の活性汚泥の濃度が低下しにくく、ほぼ一定濃度を維持できるので、生物反応槽における下水の処理効率が損なわれにくい。また、活性汚泥濃縮装置へ供給される処理液は、最終沈殿池に導入した際に、多少なりとも処理が行われているので、活性汚泥濃縮装置の負荷を低減できる。
【0016】
また、本発明の下水処理装置は、下水を生物処理する生物反応槽と、生物処理後の処理液を分離液と汚泥に分離処理する最終沈殿池と、生物処理後の処理液を分離液と活性汚泥濃縮液に濃縮分離する活性汚泥濃縮装置と、前記生物反応槽から前記最終沈殿池に処理液を通水させる第1の通水経路と、設計流入水量を超過した水量の処理液を、前記生物反応槽から活性汚泥濃縮装置に通水させる第2の通水経路と、前記最終沈殿池から前記生物反応槽に前記汚泥を返送させる第1の返送経路と、前記活性汚泥濃縮装置から前記生物反応槽に前記活性汚泥濃縮液を返送させる第2の返送経路とを備えることを特徴とする。
【0017】
本発明の下水処理装置によれば、流入下水の全量が生物反応槽で処理された後、設計流入水量を超過した水量の処理液は、第2の通水経路から活性汚泥濃縮装置に導入されて濃縮分離されるので、最終沈殿池には設計量を超過する水量の処理液は導入されない。このため、最終沈殿池での処理効率は損なわれにくく、分離液中に汚泥が極めて流出しにくい。また、活性汚泥濃縮装置に導入された処理液は濃縮分離され、活性汚泥濃縮液は生物反応槽に返送されるので、生物反応槽の汚泥濃度は低下しにくく、生物反応槽での処理効率は損なわれにくい。
【0018】
本発明の下水処理装置のもう一つは、下水を生物処理する生物反応槽と、生物処理後の処理液を分離液と汚泥に分離処理する最終沈殿池と、生物処理後の処理液を分離液と活性汚泥濃縮液に濃縮分離する活性汚泥濃縮装置と、前記生物反応槽から前記最終沈殿池に処理液を通水させる第1の通水経路と、設計流入水量を超過した水量の処理液を前記最終沈殿池から活性汚泥濃縮装置に通水させる第2の通水経路と、前記最終沈殿池から前記生物反応槽に前記汚泥を返送させる第1の返送経路と、前記活性汚泥濃縮装置から前記生物反応槽に前記活性汚泥濃縮液を返送させる第2の返送経路とを備えることを特徴とする。
【0019】
この態様によれば、流入下水の全量が生物反応槽で処理された後、超過水量分を含む処理液の全量を一旦最終沈殿池に導入し、その後、最終沈殿池から超過水量分の処理液を取り出して活性汚泥濃縮装置へ送り、活性汚泥濃縮液を生物反応槽に返送するようにしているので、生物反応槽への下水の流入水量が設計流入水量を超過した場合であっても、生物反応槽内の活性汚泥の濃度が低下しにくく、生物反応槽での処理効率が損なわれにくい。また、活性汚泥濃縮装置へ供給される処理液は、最終沈殿池に導入された際に、多少なりとも処理が行われているので、活性汚泥濃縮装置の負荷は低減される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、下水を生物反応槽に供して生物反応処理すると共に、設計流入水量を超過した水量の処理液を活性汚泥濃縮装置に送って濃縮分離し、活性汚泥濃縮液を生物反応槽に返送するようにしているので、生物反応槽への下水の流入量が増えても、生物反応槽内の活性汚泥の濃度が低下しにくく、ほぼ一定濃度を維持できるので、生物反応槽における下水の処理効率が損なわれにくい。そして、最終沈殿池では、設計流入水量以下の処理液を沈降分離するので、最終沈殿池には過剰汚泥が蓄積されにくく、また、最終沈殿池から排出される分離液には汚泥が流出しにくいので、放流先の河川や海などへの影響が小さい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明について図面を用いて更に詳細に説明する。図1は、本発明の下水処理装置の第1の実施形態の概略構成図である。
【0022】
この下水処理装置は、生物反応槽1と、最終沈殿池2と、活性汚泥濃縮装置3とで構成されている。
【0023】
生物反応槽1は、槽内に微生物を含む活性汚泥が滞留し、微生物の作用によって下水を脱窒処理、脱リン処理できる処理槽であれば特に限定はなく、例えば、アンモニア酸化菌や亜硝酸酸化菌などの好気性微生物を含む曝気槽、亜硝酸酸化菌などの好気性微生物と脱窒菌などの嫌気性微生物を含む間欠曝気槽などを用いることができる。
【0024】
この生物反応槽1には、図示しない最初沈殿池等の下水供給源から伸びた配管L1と、最終沈殿池2から伸びた配管L2と、活性汚泥濃縮装置3から伸びた配管L3とが接続している。
【0025】
生物反応槽1からは、配管L4が伸びて、最終沈殿池2に接続している。また、生物反応槽1からは、配管L5が伸びて活性汚泥濃縮装置3に接続しており、設計流入水量を超過した水量の処理液を、配管L5から活性汚泥濃縮装置3に導入できるように構成されている。
【0026】
最終沈殿池2は、導入された処理水を分離液と汚泥とに沈降分離できる処理槽であれば特に限定ない。そして、最終沈殿池2から、配管L6が伸びて、沈降分離後の分離液を系外に放流できるように構成されている。また、最終沈殿池2からは、配管L2と、配管L7とが伸びて、沈降分離後の汚泥を系外に引き抜くことができるように構成されている。
【0027】
活性汚泥濃縮装置3は、導入された処理液を、分離液と活性汚泥濃縮液とに濃縮分離できる処理装置であれば特に限定はなく、例えば、精密ろ過膜(MF膜)、限外ろ過膜(UF膜)、ナノろ過膜(NF膜)等のろ過膜を備えた、中空糸膜モジュール、平膜型モジュール、スパイラル型モジュール、管型モジュール等の形態の膜モジュールが挙げられる。そして、活性汚泥濃縮装置3からは配管L8が伸びて、濃縮分離後の分離液を系外に放流できるように構成されている。また、活性汚泥濃縮装置3からは、配管L3が伸びて、濃縮分離後の活性汚泥濃縮液を系外に引き抜くことができるように構成されている。
【0028】
次に、この下水処理装置を用いた本発明の下水処理方法について説明する。
【0029】
生物反応槽1への下水の流入水量が設計流入水量以下の場合においては、配管L1から流入された下水が、生物反応槽1にて槽内の微生物の作用によって、脱窒処理、脱リン処理されて、有機物、窒素成分、リン成分が低減ないし除去される。
【0030】
次いで、生物反応槽1内の流入下水に相当する水量と、生物反応槽1に返送された汚泥量に相当する水量の処理液が、配管L4から最終沈殿池2に送られ、ここで沈降分離が行われる。最終沈殿池2では、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、塩化第二鉄(FeCl)、硫酸バンド、ポリ硫酸第二鉄、重合珪酸—鉄塩(PSI)、ポリアクリルアミド系高分子、カチオン系高分子、アルギン酸ナトリウム等の凝集剤を注入して、処理液を沈降分離させやすくしてもよい。
【0031】
そして、最終沈殿池2から汚泥の一部又は全部を配管L2から引き抜き、好ましくは、生物反応槽1への返送量が一定量となるように配管L2から引き抜いて返送し、その残部を配管L7から引き抜いて余剰汚泥として排出する。また、分離液は、配管L6から系外に放流する。
【0032】
一方、生物反応槽1への下水の流入水量が設計流入水量を超過する場合においては、以下のようにして処理が行われる。以下、設計流入水量をQ、設計流水量を超過する水量をq、最終沈殿池2からの汚泥返送量をS1、活性汚泥濃縮装置3からの汚泥返送量をS2として説明する。
【0033】
まず、生物反応槽1において、設計流入水量を超過する下水(水量:Q+q)と最終沈殿池2からの汚泥返送量をS1、活性汚泥濃縮装置3からの汚泥返送量をS2が導入され、槽内の微生物の作用によって、脱窒処理、脱リン処理されて、有機物、窒素成分、リン成分が低減ないし除去される。
【0034】
次に、生物反応槽1からは、設計流入水量に相当する水量と、最終沈殿池2から生物反応槽1に返送された汚泥量に相当する水量の処理液(水量:Q+S1)が、配管L4から最終沈殿池2に供給され、設計流入水量を超過した水量と、活性汚泥濃縮装置3から生物反応槽1に返送された汚泥量に相当する水量の処理液(水量:q+S2)が、配管L5から引き抜かれて、活性汚泥濃縮装置3に供給される。
【0035】
最終沈殿池2では、供給された処理液(水量:Q+S1)を、分離液と汚泥とに沈降分離させる。そして、最終沈殿池2から汚泥の一部又は全部を配管L2から引き抜き、好ましくは、生物反応槽1の汚泥濃度が低下しないように配管L2から引き抜いて生物反応槽1に返送し、その残部を配管L7から引き抜いて余剰汚泥として排出する。また、分離液は、配管L6から系外に放流する。
【0036】
活性汚泥濃縮装置3では、供給された処理液(水量:q+S2)を、分離液と活性汚泥濃縮液とに濃縮分離させる。そして、生物反応槽1から汚泥の全部を配管L3から引き抜き、好ましくは、生物反応槽1の汚泥濃度が低下しないように配管L3から引き抜いて生物反応槽1に返送する。また、分離液は、配管L8から系外に放流する。
【0037】
この実施形態によれば、下水を生物反応槽1に供して生物反応処理すると共に、設計流入水量を超過した水量の処理液を活性汚泥濃縮装置3に送って分離液と活性汚泥濃縮液とに濃縮分離して活性汚泥濃縮液を生物反応槽に返送するようにしているので、生物反応槽1への下水の流入水量が設計流水量を超過した場合であっても、生物反応槽1内の活性汚泥濃度が低下しにくく、ほぼ一定濃度を維持できるので、生物反応槽1における下水の処理効率が損なわれにくい。また、最終沈殿池2には、設計量を超えた処理液は導入されないので、最終沈殿池2から排出される分離液には汚泥が流出しにくく、放流先の河川や海などへの影響が小さい。
【0038】
図2に、本発明の下水処理装置の第2の実施形態の概略構成図を示す。なお、上記第1の実施形態と実質的に同一部分には、同符号を付してその説明を省略することとする。
【0039】
この実施形態においては、活性汚泥濃縮装置3が、最終沈殿池2から伸びた配管L10と接続している点が、上記第1の実施形態との相違点である。
【0040】
生物反応槽1への下水の流入水量が設計流入水量以下の場合においては、上記第1の実施形態と同様に、配管L1から流入された下水が、生物反応槽1にて槽内の微生物の作用によって処理され、生物反応槽1内の流入下水に相当する水量と、最終沈殿池2から生物反応槽1に返送された汚泥量に相当する水量の処理液が、配管L4から最終沈殿池2に引き抜かれ、ここで沈降分離が行われる。そして、最終沈殿池2から汚泥の一部又は全部を配管L2から引き抜き、好ましくは、生物反応槽1の汚泥濃度が低下しないように配管L2から引き抜いて生物反応槽1に返送し、その残部を配管L7から引き抜いて余剰汚泥として排出させる。また、分離液は、配管L6から系外に放流される。
【0041】
一方、生物反応槽1への下水の流入水量が設計流入水量を超過する場合においては、まず、生物反応槽1において、設計流入水量を超過する下水(水量:Q+q)と最終沈殿池2からの汚泥返送量をS1、活性汚泥濃縮装置3からの汚泥返送量をS2が導入されて、槽内の微生物の作用によって、脱窒処理、脱リン処理されて、有機物、窒素成分、リン成分が低減ないし除去される。
【0042】
次に、生物反応槽1からは、生物反応槽1内の流入下水に相当する水量と、最終沈殿池2から生物反応槽1に返送された汚泥量に相当する水量と、活性汚泥濃縮装置3から生物反応槽1に返送された汚泥量に相当する水量の処理液(水量:Q+q+S1+S2)が、配管L4から最終沈殿池2に送られる。
【0043】
最終沈殿池2では、設計流入水量を超過した水量と、活性汚泥濃縮装置3から生物反応槽1に返送された汚泥量に相当する水量の処理液(水量:q+S2)を配管L10から引き抜いて活性汚泥濃縮装置3に供給すると共に、その残部の処理液[設計流入水量に相当する水量と、最終沈殿池2から生物反応槽1に返送された汚泥量に相当する水量の処理液(水量:Q+S1)]を、分離液と汚泥とに沈降分離させる。そして、最終沈殿池2から汚泥の一部又は全部を配管L2から引き抜き、好ましくは、生物反応槽1の汚泥濃度が低下しないように配管L2から引き抜いて生物反応槽1に返送し、その残部を配管L7から引き抜いて余剰汚泥として排出する。また、分離液は、配管L6から系外に放流する。
【0044】
活性汚泥濃縮装置3では、供給された処理液(水量:q+S2)を、分離液と活性汚泥濃縮液とに濃縮分離させる。そして、生物反応槽1から汚泥の全部を配管L3から引き抜き、好ましくは、生物反応槽1の汚泥濃度が低下しないように配管L3から引き抜いて生物反応槽1に返送する。また、分離液は、配管L8から系外に放流する。
【0045】
この実施形態によれば、下水を生物反応槽1に供して生物反応処理すると共に、流入下水に相当する水量の処理液、すなわち生物反応槽での超過水量分を含む処理液を一旦最終沈殿池2に導入し、その後、最終沈殿池2から、設計流入水量を超過した水量の処理液を取り出して活性汚泥濃縮装置3へ送って分離液と活性汚泥濃縮液とに濃縮分離して活性汚泥濃縮液を生物反応槽に返送するようにしているので、生物反応槽1への下水の流入水量が設計流水量を超過した場合であっても、生物反応槽1内の活性汚泥濃度が低下しにくく、ほぼ一定濃度を維持できるので、生物反応槽1における下水の処理効率が損なわれにくい。また、活性汚泥濃縮装置3へ供給される処理液は、最終沈殿池2に導入した際に、多少なりとも処理が行われているので、活性汚泥濃縮装置3での装置負荷を低減できる。
【0046】
この実施形態では、生物反応槽1への下水の流入水量が設計流入水量を超過する場合において、下水の流入水量が、生物反応槽の汚泥濃度が薄まると想定できる水量で、かつ、供給水量が反応槽容積の20%以上のとき、好ましくは設計流入水量の2倍以上の時は、最終沈殿池2に処理液を供給すると同時に、設計流入水量を超過した水量の処理液を配管L10から引き抜いて活性汚泥濃縮装置3に供給することが好ましい。
【0047】
また、下水の流入水量が、生物反応槽の汚泥濃度が薄まらないと想定できる水量で、かつ、供給水量が反応槽容積の20%以上のとき、好ましくは設計流入水量の2倍未満の時は、最終沈殿池2に汚泥が蓄積していき、汚泥が系外に流出する前に設計流入水量を超過した水量の処理液を配管L10から引き抜いて活性汚泥濃縮装置3に供給することが好ましい。
【実施例】
【0048】
以下、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明する。
【0049】
なお、以下の実施例、比較例において、流入下水として、下水処理場の最初沈殿池での処理水を用いた。また、下水処理装置での設計流入水量Qを、1.0m/日として処理を行った。また、生物反応槽1として標準活性汚泥法による処理槽を用いた。また、最終沈殿池2の水面積負荷を20m/日とした。活性汚泥濃縮装置3として、中空糸膜モジュールを用いた。
【0050】
(実施例1)
図1に示す下水処理装置を用いて下水処理を行った。配管L1から供給される流入下水の水量を1.0Q、配管L2から供給される最終沈殿池2からの返送汚泥流量を0.5Q、生物反応槽1から最終沈殿池2への送液量を1.5Qとして運転したところ、生物反応槽1の活性汚泥濃度は約2000mg/Lであり、最終沈殿池2の配管L6から排出される分離液の流出汚泥濃度は10mg/Lであった。なお、最終沈殿池2から返送される返送汚泥濃度は約6000mg/Lであった。
【0051】
また、配管L1から供給される流入下水の水量を2.0Q、配管L2から供給される最終沈殿池2からの返送汚泥流量を0.5Q、配管L3から供給される活性汚泥濃縮装置3からの返送汚泥流量を0.5Q、生物反応槽1から最終沈殿池2への処理液の送液量を1.5Q、生物反応槽1から活性汚泥濃縮装置3への処理液の送液量を1.5Qとして運転したところ、生物反応槽1の活性汚泥濃度は約2000mg/Lであり、このとき最終沈殿池2の配管L6から排出される分離液の流出汚泥濃度は12mg/Lで、設計流水量で運転した場合とほぼ同程度であった。なお、最終沈殿池2及び活性汚泥濃縮装置3から返送される返送汚泥濃度は約6000mg/Lであった。
【0052】
(実施例2)
図2に示す下水処理装置を用いて下水処理を行った。配管L1から供給される流入下水の水量を1.0Q、配管L2から供給される最終沈殿池2からの返送汚泥流量を0.5Q、生物反応槽1から最終沈殿池2への送液量を1.5Qとして運転したところ、生物反応槽1の活性汚泥濃度は約2000mg/L、最終沈殿池2の配管L6から排出される分離液の流出汚泥濃度は10mg/Lであった。なお、最終沈殿池2から返送される返送汚泥濃度は約6000mg/Lであった。
【0053】
また、配管L1から供給される流入下水の水量を2.0Q、配管L2から供給される最終沈殿池2からの返送汚泥流量を0.5Q、配管L3から供給される活性汚泥濃縮装置3からの返送汚泥流量を0.5Q、生物反応槽1から最終沈殿池2への処理液の送液量を3.0Q、最終沈殿池2から活性汚泥濃縮装置3への処理液の送液量を1.5Qとして運転したところ、生物反応槽1の活性汚泥濃度は約2000mg/Lであり、このとき最終沈殿池2の配管L6から排出される分離液の流出汚泥濃度は15mg/Lで、設計流水量で運転した場合とほぼ同程度であった。なお、最終沈殿池2及び活性汚泥濃縮装置3から返送される返送汚泥濃度は約6000mg/Lであった。また、生物反応槽1から最終沈殿池2に処理液を供給するのとほぼ同時に最終沈殿池2から活性汚泥濃縮装置3に処理液を送液した。
【0054】
(比較例1)
図3に示す、活性汚泥濃縮装置3を備えていない従来の下水処理装置を用いて下水処理を行った。
配管L1から供給される流入下水の水量を1.0Q、配管L2から供給される最終沈殿池2からの返送汚泥流量を0.5Q、生物反応槽1から最終沈殿池2への送液量を1.5Qとして運転したところ、生物反応槽1の活性汚泥濃度は、約2000mg/L、最終沈殿池2の配管L6から排出される分離液の流出汚泥濃度は10mg/Lであった。なお、最終沈殿池2から返送される返送汚泥濃度は約6000mg/Lであった。
配管L1から供給される流入下水の水量を2.0Q、配管L2から供給される最終沈殿池2からの返送汚泥流量を0.5Q、生物反応槽1から最終沈殿池2への送液量を2.5Qとして運転したところ、生物反応槽1の活性汚泥濃度は、入口付近では約1500mg/Lまで低下した。また、最終沈殿池2の配管L6から排出される分離液の流出汚泥濃度は100mg/L以上となり、汚泥の流出が確認できた。なお、最終沈殿池2から返送される返送汚泥濃度は約8000mg/Lであった。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の下水処理装置の第1の実施形態の概略構成図である。
【図2】本発明の下水処理装置の第2の実施形態の概略構成図である。
【図3】従来の下水処理装置の概略構成図である。
【符号の説明】
【0056】
1:生物反応槽
2:最終沈殿池
3:活性汚泥濃縮装置
L1~L10:配管
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2