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明細書 :多層導波路およびその作製方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4911569号 (P4911569)
公開番号 特開2007-193008 (P2007-193008A)
登録日 平成24年1月27日(2012.1.27)
発行日 平成24年4月4日(2012.4.4)
公開日 平成19年8月2日(2007.8.2)
発明の名称または考案の名称 多層導波路およびその作製方法
国際特許分類 G02B   6/122       (2006.01)
G02B   6/13        (2006.01)
FI G02B 6/12 A
G02B 6/12 M
請求項の数または発明の数 8
全頁数 19
出願番号 特願2006-010078 (P2006-010078)
出願日 平成18年1月18日(2006.1.18)
審査請求日 平成19年12月25日(2007.12.25)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
発明者または考案者 【氏名】平林 克彦
【氏名】神原 浩久
【氏名】栗原 隆
【氏名】森 裕平
【氏名】八木 生剛
【氏名】檜山 爲次郎
【氏名】藤田 静雄
【氏名】清水 正毅
【氏名】堀口 ▲高▼浩
個別代理人の代理人 【識別番号】100064908、【弁理士】、【氏名又は名称】志賀 正武
【識別番号】100108453、【弁理士】、【氏名又は名称】村山 靖彦
審査官 【審査官】和田 将彦
参考文献・文献 特開2003-228848(JP,A)
特開平09-101735(JP,A)
特開平08-059651(JP,A)
特表2005-513001(JP,A)
国際公開第2006/098296(WO,A1)
特開2003-240996(JP,A)
特開2002-258082(JP,A)
特開平03-209442(JP,A)
特開2002-222592(JP,A)
調査した分野 G02B 6/12 - 6/14
G03H 1/00 - 1/34
G11B 7/00 - 7/30
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII)
CiNii

特許請求の範囲 【請求項1】
熱軟化型の高分子からなり、ペンタチオフェンが含有されたクラッド層(屈折率nに設定)と、熱軟化型の高分子または溶媒を含まない透明接着剤からなるコア層(厚さd及び屈折率n(但し、n>n)に設定)とが交互に重畳するようにして積層された多層構造を有し、前記厚さdおよび前記クラッド層と前記コア層との屈折率差Δnが、波長λの前記ペンタチオフェンの第二励起光に対し、
【数1】
JP0004911569B2_000010t.gif
を満たすように設定されており、導波する光のロスが10dB/cm以下に設定され、光を導入するため光導入部が積層された層が延びる方向に対して直交する方向あるいは45度の方向に沿って延びる端面で形成されていることを特徴とする多層導波路。
【請求項2】
請求項1に記載の多層導波路において、
ホログラムメモリ機能を有することを特徴とする多層導波路。
【請求項3】
第1のフィルム上に、スピンコート法、ブレード法、あるいはスクリーン印刷の何れかによって、熱軟化型の高分子からなり、ペンタチオフェンを含有するクラッド、あるいは熱軟化型の高分子からなるコアの何れか一方の膜を塗膜して溶媒を飛ばして第1の積層用膜を形成し、
この第1の積層用膜を挟み込むように、新たに用意された第2のフィルムに前記第1のフィルムを、熱ラミネート法、熱プレス圧着法、あるいは熱ロール圧着法の何れかによって貼り合わせた後に、前記第2のフィルムから前記第1のフィルムを剥がして、前記第1の積層用膜を前記第1のフィルムから前記第2のフィルムに移し替えるようにして前記第2のフィルムにクラッド層あるいはコア層を形成し、
次いで、前記第1のフィルム上に、スピンコート法、ブレード法、あるいはスクリーン印刷の何れかによって、前記第1の積層用膜とは異なる、熱軟化型の高分子からなり、ペンタチオフェンを含有するクラッドあるいは熱軟化型の高分子からなるコアの何れか他方の膜を塗膜して溶媒を飛ばして第2の積層用膜を形成し、
この第2の積層用膜を前記第2のフィルムに形成されたクラッド層あるいはコア層と接着させるように、前記第2のフィルムに前記第1のフィルムを、熱ラミネート法、熱プレス圧着法、あるいは熱ロール圧着法の何れかによって貼り合わせた後に、前記第2のフィルムから前記第1のフィルムを剥がして、前記第2の積層用膜を前記第1のフィルムから前記第2のフィルムに移し替えるようにして、前記第2のフィルムに形成されたクラッド層あるいはコア層に、これと異なる新たなクラッド層あるいはコア層が重畳するように積層させてゆき、
このような積層手順が繰り返されることによって、前記第2のフィルムにクラッド層とコア層とが交互に重畳するようにして積層された多層部を形成し、
前記多層部のうち、その積層された層が延びている方向に対して直交する方向あるいは45度の方向に切り出して光導入部となる端面を形成し
前記コア層の厚さdおよび前記クラッド層と前記コア層との屈折率差Δnが、波長λの前記ペンタチオフェンの第二励起光に対し、
【数2】
JP0004911569B2_000011t.gif
を満たすように設定されていることを特徴とする多層導波路の作製方法。
【請求項4】
第1のフィルム上に、スピンコート法、ブレード法、あるいはスクリーン印刷の何れかによって、熱軟化型の高分子からなり、ペンタチオフェンを含有するクラッドの膜を塗膜して溶媒を飛ばして第1の積層用膜を形成し、
第2のフィルム上に、スピンコート法、ブレード法、あるいはスクリーン印刷の何れかによって、前記第1の積層用膜とは異なる、熱軟化型の高分子からなり、ペンタチオフェンを含有するクラッドの膜を塗膜して溶媒を飛ばして第2の積層用膜を形成し、
この第1及び第2の積層用膜を互いに向かい合わせるようにして、その間に熱硬化性を有し溶媒を含まない透明な接着剤を介装させながら、前記第1のフィルムと前記第2フィルムとをラミネート法、プレス圧着法、あるいはロール圧着法の何れかによって貼り合わせ、前記第2のフィルムから前記第1のフィルムを剥がして、前記第1の積層用膜を前記第1のフィルムから前記第2のフィルムに移し替えるようにして、前記第2のフィルムに2つのクラッド層と、2つの前記クラッド層の間に位置し、前記接着剤が硬化した接着剤層からなるコア層とを形成し、
次いで、前記第1のフィルム上に、スピンコート法、ブレード法、あるいはスクリーン印刷の何れかによって、前記第2のフィルムの最上面に形成されている前記クラッド層とは異なる、熱軟化型の高分子からなり、ペンタチオフェンを含有するクラッドの膜を塗膜して溶媒を飛ばして新たな積層用膜を形成し、
この新たな積層用膜を、前記第2のフィルムの最上面に形成されている前記クラッド層に向かい合わせるようにして、その間に熱硬化性を有し溶媒を含まない透明な接着剤を介装させながら、前記第1のフィルムと前記第2フィルムとをラミネート法、プレス圧着法、あるいはロール圧着法によって貼り合わせ、前記第2のフィルムから前記第1のフィルムを剥がして、前記新たな積層用膜を前記第1のフィルムから前記第2のフィルムに移し替えるようにして、形成されていた前記クラッド層および前記コア層に、新たなクラッド層および接着剤層からなる新たなコア層を積層させ、
このような積層手順が繰り返されることによって、前記第2のフィルムにクラッド層とコア層とが交互に重畳するようにして積層されて形成された多層部を形成し、
この積層された形成された多層部あるいは単層部を、一括あるいは積層ごとに加熱圧着させ、
前記多層部のうち、その積層された層が延びている方向に対して直交する方向あるいは45度の方向に切り出して光導入部となる端面を形成し、
前記コア層の厚さd および前記クラッド層と前記コア層との屈折率差Δnが、波長λ の前記ペンタチオフェンの第二励起光に対し、
【数3】
JP0004911569B2_000012t.gif
を満たすように設定されていることを特徴とする多層導波路の作製方法。
【請求項5】
請求項4に記載の多層導波路の作製方法において、
前記接着剤が2液性熱硬化型シリコーン樹脂であることを特徴とする多層導波路の作製方法。
【請求項6】
請求項3に記載の多層導波路の作製方法において、
前記クラッド膜がフッ素化ポリメチルメタクリレート(フッ素化率が1重量%から5重量%に設定、屈折率が、コア層の屈折率クラッド層の屈折率となるように設定)で形成され、
前記コア層がポリメチルメタクリレートで形成され、
加熱圧着させる際の温度が100~150℃に設定されていることを特徴とする多層導波路の作製方法。
【請求項7】
請求項3に記載の多層導波路の作製方法において、
前記クラッド膜及び前記コア膜が、シクロオレフィンポリマー(屈折率が、コア層の屈折率クラッド層の屈折率となるように設定)で形成され、
加熱圧着させる際の温度が150~180℃に設定されていることを特徴とする多層導波路の作製方法。
【請求項8】
請求項3から請求項7のうち何れか一項に記載の多層導波路の作製方法において、
前記第1のフィルムは、ポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする多層導波路の作製方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、クラッド層/コア層/クラッド層/コア層/クラッド層…と重畳された多層構造を有する多層導波路およびその作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多層導波路は、多層構造型光ホログラムメモリとして用いられてきた。この種の光ホログラムメモリに関しては、多数の特許出願がなされている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5参照)。

【特許文献1】特開2004-109871号公報
【特許文献2】特開2001-092339号公報
【特許文献3】特開2000-321964号公報
【特許文献4】特開2002-366017号公報
【特許文献5】特開平11-337756号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この種の多層構造型光ホログラムメモリは、読み出し専用に構成されるものとなっている。この構造と読み出し方法は、例えば、図9に示されるようになっている。すなわち、符号101は、多層ホログラム媒体を示しており、この多層ホログラム媒体101は、クラッド層103とコア層102とが交互に重畳するように積層されて多層構造を構成している。その厚さは、クラッド層103にあっては10~20μmとなっており、コア層102にあっては0.5~1μmとなっている。また、符号104は、計算機ホログラムを示しており、クラッド層103とコア層102との間に設けられた凸凹によって構成されている。また、符号105は読み出し光を示しおり、符号106はシリンドリカルレンズを示しており、符号107は回折された光を示しており、符号108は二次元情報を読み取る撮像素子を示している。
【0004】
このように構成された多層ホログラム媒体101にあっては、読み出し光105を、多層ホログラム媒体101のうち選択された層の側端面に入射させる。その入った読み出し光105は、この多層ホログラム媒体101の内部を伝搬してゆき、凹凸に構成された計算機ホログラム104によって回折させられる。そして、その回折された光107は、この多層ホログラム媒体101と対向するように配置された二次元情報読み出し用の撮像素子108によって、読み出されるようになっている。そして、このように構成された多層ホログラム媒体101は、クラッド層とコア層とによって多層構造となっているので、コンパクトでありながら、大容量の記憶媒体を実現することができるものとなっていた。
【0005】
また、この読み出し専用の多層膜ホログラムメモリ101は、図10の作製工程図のように、作製される。すなわち、図10(a)に示すように、フィルム基板111に、クラッド層112、コア層113を積層する。このクラッド層112とコア層113とは、紫外線硬化性樹脂からなる。また、符号114は、このコア層113に積層される計算機ホログラムが書かれたスタンパであり、このスタンパ上には、紫外線硬化性の樹脂塗料が塗布される。次いで、図10(b)に示すように、このように積層されたクラッド層112とコア層113とを紫外線115を照射して、これらの積層をフィルム基板111に固着させるように硬化させる。そして、図10(c)に示すように、スタンパ114を剥離させる。
【0006】
この後、この図10(c)の積層物に、図10(a)及び図10(b)の手順が繰り返されるように、新たなクラッド層とコア層とを積層していく。つまり、図10(d)に示すように、この図10(c)の積層物に、新たな屈折率の低いクラッド116層と新たなコア層117とを積層させ、同様に、スタンパ114で押さえながら、図10(e)に示すように、紫外線115を照射して、これらの積層を、図10(c)の積層物に固着させるように硬化させる。そして、図10(f)に示すように、スタンパ114を剥離させる。
【0007】
このように図10(a)から図10(e)の工程を繰り返すことによって、上述した多層ホログラム媒体101を作製して、多層構造型光ホログラムメモリの作製を実現するようになっていた。なお、このように多層構造型光ホログラムメモリにおいては、読み出し専用メモリとして作製しているので、多層構造の作製のし易さから、紫外線硬化樹脂クラッド層や、紫外線硬化樹脂コア層を用いるものとなっていた。
【0008】
ところで、上述した多層構造型光ホログラムメモリを、書き込み可能や書き換え可能に構成しようという要請がある。このように書き込み可能や書き換え可能に、多層構造型光ホログラムメモリを構成しようとした場合には、2つの波長の光で屈折率に変化が生じるようになっている、2光子吸収あるいは2色吸収等の感光性媒体をドープさせる必要があった。
【0009】
しかしながら、このような感光性媒体は、紫外線が照射されると、この感光性媒体自体が感光してしまう性質を有しており、上述したような紫外線を照射して硬化させるような作製方法においては用いるには具合の悪さが残されていた。また、2光子吸収あるいは2色吸収等の感光性媒体は、光を大きく吸収してしまう性質を有しており、これをドープした導波路は非常にロスが大きくなるという問題点が残されていた。加えて、通常高分子からなる層状の膜を作製するにあたっては、スピンコート法、ブレード法によって積層してゆき多層化を行おうとした場合には、上に塗布された膜の溶媒が下地層に浸透してゆき、膜同士が混ざり合ってしまうという(インターミキシング)問題も発生してしまう。
【0010】
また一方、2光子吸収媒体を含む層を接着剤層で挟んでなる多層光メモリの開発も進んでいる。このような2光子吸収媒体を含む多層光メモリの場合、この多層光メモリからの光が、面に対して垂直に超短パルスレーザビームを入射させて、選択した層に焦点を合わせることによって、この層のみに選択的に2光子吸収効果を用いてピット(屈折率、反射率、透過率を変化させた点)を書き込むことができる。これによって、大容量のメモリを実現できるようになってきた。なお、この多層光メモリにおいて利用されていた導波構造を利用せずに構成する、多層膜ホログラムメモリにあっては、光を層に平行に伝搬させないという特質を有する。
【0011】
本発明は、上述したような事情に鑑みなされたものであって、その目的は、ロスの少ない感光性媒体を含む多層導波路および作製方法を提供することにある。特には、多層構造光メモリにおいて、λの光を選択した層のみに伝搬させ、λの光を層に垂直に当て、λとλの光が交差した点のみに情報を書き込み可能に構成された多層導波路構造を有する光メモリの構造および作製方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するにあたり、本発明は、その手段として、以下の多層導波路およびその作製方法を提供する。すなわち、多層導波路メモリ等の構造および作製方法において、2光子吸収、2色吸収等の感光性媒体を、光が伝搬しないクラッド層のみにドープし、紫外線硬化型の樹脂に代えて、熱軟化型の高分子層同士を、熱ラミネート、熱プレス圧着、熱ロール圧着によって貼り合わせることによって、感光性媒体を含む層を積層してなる多層導波路を作製する方法を提供する。また、高分子層同士を、熱硬化型の透明接着剤を介して、ラミネート、プレス圧着若しくはロール圧着によって貼り合わせて多層化させた後に、一括して熱圧着して、感光性媒体を含む層を積層してなる多層導波路を作製する方法を提供する。より具体的には、以下の通りである。
【0013】
すなわち、請求項1に係る多層導波路は、熱軟化型の高分子からなり、ペンタチオフェンが含有されたクラッド層(屈折率nに設定)と、熱軟化型の高分子または溶媒を含まない透明接着剤からなるコア層(厚さd及び屈折率n(但し、n>n)に設定)とが交互に重畳するようにして積層された多層構造を有し、前記厚さdおよび前記クラッド層と前記コア層との屈折率差Δnが、波長λの前記ペンタチオフェンの第二励起光に対し、
【数4】
JP0004911569B2_000002t.gif
を満たすように設定されており、導波する光のロスが10dB/cm以下に設定され、光を導入するため光導入部が積層された層が延びる方向に対して直交する方向あるいは45度の方向に沿って延びる端面で形成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項2に係る多層導波路は、請求項1に記載の多層導波路において、ホログラムメモリ機能を有することを特徴とする。
【0017】
また、請求項3に係る多層導波路の作製方法は、第1のフィルム上に、スピンコート法、ブレード法、あるいはスクリーン印刷の何れかによって、熱軟化型の高分子からなり、ペンタチオフェンを含有するクラッド、あるいは熱軟化型の高分子からなるコアの何れか一方の膜を塗膜して溶媒を飛ばして第1の積層用膜を形成し、
この第1の積層用膜を挟み込むように、新たに用意された第2のフィルムに前記第1のフィルムを、熱ラミネート法、熱プレス圧着法、あるいは熱ロール圧着法の何れかによって貼り合わせた後に、前記第2のフィルムから前記第1のフィルムを剥がして、前記第1の積層用膜を前記第1のフィルムから前記第2のフィルムに移し替えるようにして前記第2のフィルムにクラッド層あるいはコア層を形成し、次いで、前記第1のフィルム上に、スピンコート法、ブレード法、あるいはスクリーン印刷の何れかによって、前記第1の積層用膜とは異なる、熱軟化型の高分子からなり、ペンタチオフェンを含有するクラッドあるいは熱軟化型の高分子からなるコアの何れか他方の膜を塗膜して溶媒を飛ばして第2の積層用膜を形成し、この第2の積層用膜を前記第2のフィルムに形成されたクラッド層あるいはコア層と接着させるように、前記第2のフィルムに前記第1のフィルムを、熱ラミネート法、熱プレス圧着法、あるいは熱ロール圧着法の何れかによって貼り合わせた後に、前記第2のフィルムから前記第1のフィルムを剥がして、前記第2の積層用膜を前記第1のフィルムから前記第2のフィルムに移し替えるようにして、前記第2のフィルムに形成されたクラッド層あるいはコア層に、これと異なる新たなクラッド層あるいはコア層が重畳するように積層させてゆき、このような積層手順が繰り返されることによって、前記第2のフィルムにクラッド層とコア層とが交互に重畳するようにして積層された多層部を形成し、前記多層部のうち、その積層された層が延びている方向に対して直交する方向あるいは45度の方向に切り出して光導入部となる端面を形成し、前記コア層の厚さdおよび前記クラッド層と前記コア層との屈折率差Δnが、波長λの前記ペンタチオフェンの第二励起光に対し、
【数5】
JP0004911569B2_000003t.gif
を満たすように設定されていることを特徴とする。
【0018】
また、請求項4に係る多層導波路の作製方法は、 第1のフィルム上に、スピンコート法、ブレード法、あるいはスクリーン印刷の何れかによって、熱軟化型の高分子からなり、ペンタチオフェンを含有するクラッドの膜を塗膜して溶媒を飛ばして第1の積層用膜を形成し、第2のフィルム上に、スピンコート法、ブレード法、あるいはスクリーン印刷の何れかによって、前記第1の積層用膜とは異なる、熱軟化型の高分子からなり、ペンタチオフェンを含有するクラッドの膜を塗膜して溶媒を飛ばして第2の積層用膜を形成し、この第1及び第2の積層用膜を互いに向かい合わせるようにして、その間に熱硬化性を有し溶媒を含まない透明な接着剤を介装させながら、前記第1のフィルムと前記第2フィルムとをラミネート法、プレス圧着法、あるいはロール圧着法の何れかによって貼り合わせ、前記第2のフィルムから前記第1のフィルムを剥がして、前記第1の積層用膜を前記第1のフィルムから前記第2のフィルムに移し替えるようにして、前記第2のフィルムに2つのクラッド層と、2つの前記クラッド層の間に位置し、前記接着剤が硬化した接着剤層からなるコア層とを形成し、次いで、前記第1のフィルム上に、スピンコート法、ブレード法、あるいはスクリーン印刷の何れかによって、前記第2のフィルムの最上面に形成されている前記クラッド層とは異なる、熱軟化型の高分子からなり、ペンタチオフェンを含有するクラッドの膜を塗膜して溶媒を飛ばして新たな積層用膜を形成し、この新たな積層用膜を、前記第2のフィルムの最上面に形成されている前記クラッド層に向かい合わせるようにして、その間に熱硬化性を有し溶媒を含まない透明な接着剤を介装させながら、前記第1のフィルムと前記第2フィルムとをラミネート法、プレス圧着法、あるいはロール圧着法によって貼り合わせ、前記第2のフィルムから前記第1のフィルムを剥がして、前記新たな積層用膜を前記第1のフィルムから前記第2のフィルムに移し替えるようにして、形成されていた前記クラッド層および前記コア層に、新たなクラッド層および接着剤層からなる新たなコア層を積層させ、このような積層手順が繰り返されることによって、前記第2のフィルムにクラッド層とコア層とが交互に重畳するようにして積層されて形成された多層部を形成し、この積層された形成された多層部あるいは単層部を、一括あるいは積層ごとに加熱圧着させ、前記多層部のうち、その積層された層が延びている方向に対して直交する方向あるいは45度の方向に切り出して光導入部となる端面を形成し、前記コア層の厚さdおよび前記クラッド層と前記コア層との屈折率差Δnが、波長λの前記ペンタチオフェンの第二励起光に対し、
【数6】
JP0004911569B2_000004t.gif
を満たすように設定されていることを特徴とする。
【0019】
また、請求項5に係る多層導波路の作製方法は、請求項4に記載の多層導波路の作製方法において、前記接着剤が2 液性熱硬化型シリコーン樹脂であることを特徴とする。
また、請求項6に係る多層導波路の作製方法は、請求項3に記載の多層導波路の作製方法において、前記クラッド膜がフッ素化ポリメチルメタクリレート(フッ素化率が1重量%から5重量%に設定、屈折率が、コア層の屈折率クラッド層の屈折率となるように設定)で形成され、前記コア層がポリメチルメタクリレートで形成され、加熱圧着させる際の温度が100~150℃に設定されていることを特徴とする。
また、請求項7に係る多層導波路の作製方法は、請求項3に記載の多層導波路の作製方法において、前記クラッド膜及び前記コア膜が、シクロオレフィンポリマー(屈折率が、コア層の屈折率クラッド層の屈折率となるように設定)で形成され、加熱圧着させる際の温度が150~180℃に設定されていることを特徴とする。
また、請求項8に係る多層導波路の作製方法は、請求項3から請求項7のうち何れか一項に記載の多層導波路の作製方法において、前記第1のフィルムは、ポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る多層導波路およびその作製方法によれば、光感応性の2光子吸収、2色吸収等の感光性媒体を含む多層導波路でありながら、(1)ロスを少なくすることができ、(2)感光性媒体を感光することなく多層化することができ、(3)多層にしてもインターミキシングの問題は発生しない、という利点を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係る多層導波路の最良の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下において説明する多層導波路、及び、その作製方法においては、導波する光がシングルモード若しくはマルチモードの何れであっても何ら問題のないものとされる。ただ、ホログラムへの書き込みを鑑みれば、シングルモードが選択されることが望ましい。このシングルモードによって多層導波路を作製するにあたっては、次のような屈折率制御と膜厚制御とが必要とされる。
【0022】
すなわち、図1の符号1は、本発明に係る多層導波路の断面図を示している。この多層導波路1は、クラッド層10とコア層20とが交互に重畳するように積層されることによって多層化された多層構造を有するものである。また、この層は膜状に形成されてなるものとなっており、以下において膜と称する場合もある。また、図2は図1の部分拡大図であり、2つのクラッド層10と、その間に位置されているコア層20とを示している。このクラッド層10とコア層20との両者は、高分子で構成されている。ここで、クラッド層10にあっては厚さd及び屈折率nに設定されており、コア層20にあっては厚さd及び屈折率nに設定されている。なお、図2中の符号λは、この積層されたクラッド層10及びコア層20を伝搬していく光の波長を示している。このように設定されている多層導波路1は、シングルモードの伝搬条件を以下のように設定してある。
【0023】
【数2】
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【0024】
【数3】
JP0004911569B2_000006t.gif

【0025】
【数4】
JP0004911569B2_000007t.gif

【0026】
【数5】
JP0004911569B2_000008t.gif

【0027】
上述の多層導波路1に伝搬される光の波長λは、[数2]に示すように設定されており、この[数2]において用いられている、V、a、δについては、[数3]のように設定されている。そこで、この[数2]に、この[数3]を代入すると、[数4]のようになる。なお、Δn=n-nとしている。
ここで、クラッド層10の屈折率n、コア層20の屈折率nのそれぞれは、ほぼ「1.5」に近い値を取るので、その和を約「3」と近似した場合、上述の[数4]から[数5]を得ることができる。
【0028】
このように得られた[数5]において、例えば、伝搬される光の波長λを0.66μm、コア層20の厚みを5μmに設定した場合には、この多層導波路1に対するシングルモードの条件は、Δn<1.45×10-3となり、この多層導波路1を構成するクラッド層10及びコア層20を、「10-3」の精度で調整しなければならない。一方、例えば、伝搬される光の波長λを0.66μm、コア層20の厚みを1μmに設定した場合には、この多層導波路1に対するシングルモードの条件は、Δn<0.0364となり、この多層導波路1を構成するクラッド層10及びコア層20を、「10-2」の精度で調整すればよいものとなり、精度調整における要求が緩和される利点がある。なお、この多層導波路1には、特に図示していないが、光を導入するため光導入部が積層された層が延びる方向に対して直交する方向あるいは45度の方向に沿って延びる端面で形成されており、クラッド層10には感光性媒体が含有されている。
【0029】
次に、上述のように構成された多層導波路1についての基本作製工程を、図3を参照しながら説明する。すなわち、符号31は第1のフィルムであり、符号32は第2のフィルムであり、符号33は塗布乾燥してなるクラッド膜(第1の積層用膜)であり、符号34は塗布乾燥してなるコア膜(第2の積層用膜)であり、符号35はロールラミネータ(熱ラミネート法が採用されている。)である。なお、このクラッド膜33とコア膜34とは、第1のフィルム31上に形成されてなるものであって、この第1のフィルム31上に形成されている場合においては、膜状態となっているクラッド膜33及びコア膜34となっている。
【0030】
まず、図3(a)においては、スピンコート法、ブレード法、あるいはスクリーン印刷の何れかによって、クラッドを塗膜して溶媒を飛ばしてクラッド膜33を形成された第1のフィルム31に、このクラッド膜33を挟み込むように、新たに用意された第2のフィルム32に第1のフィルム31を、ロールラミネータ35によって貼り合わせている。そして、この第1のフィルム31と第2のフィルム32とを貼り合わせた後に、第2のフィルム32から第1のフィルム31を剥がす。この際、クラッド膜33を第1のフィルム31から第2のフィルム32に移し替えるようにして、第2のフィルム32にクラッド層33Aを形成している。
【0031】
次いで、図3(b)に示すように、再び、スピンコート法、ブレード法、あるいはスクリーン印刷の何れかによって、コアを塗膜して溶媒を飛ばしてコア膜34を形成された第1のフィルム31に、このコア膜34を、第2のフィルム32に形成されたクラッド層33Aと接着させるように、第2のフィルム32に第1のフィルム31を、ロールラミネータ35によって貼り合わせている。そして、この第1のフィルム31と第2のフィルム32とを貼り合わせた後に、第2のフィルム32から第1のフィルム31を剥がす。この際、コア膜34を第1のフィルム31から第2のフィルム32に移し替えるようにして、第2のフィルム32にコア層34Aを形成している。つまり、クラッド層33Aに対して、これと異なる新たなコア層34Aが重畳するように積層させてゆく。なお、この第1のフィルム31には、形成された膜の剥がれ易さの観点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いることが好ましい。
【0032】
このような積層手順が繰り返されることによって、図1に示すような第2のフィルム32にクラッド層33Aとコア層34Aとが交互に重畳するようにして積層された多層部1Aが形成されてゆく。この多層部1Aは、多層構造を有している、そして、特に図示していないが、この多層部1Aのうち、その積層された層33A,34Aが延びている方向に対して直交する方向あるいは45度の方向に切り出して光導入部となる端面を形成する。
【0033】
なお、このクラッド層33Aとコア層34Aとは、入れ換えられて交互に積層されるものであっても、何ら問題の無いもとされる。また、上述においては、ロールラミネータ35を用いた熱ラミネート法によって熱圧着させた例となっているが、これに限定されず、適宜のプレス圧着機(熱プレス圧着法)や、ロール圧着機(熱ロール圧着法)によって、第1のフィルム31と第2のフィルム32とが貼り合わされるものであってもよい。
【0034】
次に、上述の多層導波路1についての基本作製工程の別の例について、図4を参照しながら説明する。すなわち、符号41は第1のフィルムであり、符号42は第2のフィルムであり、符号43はクラッド層(請求項に規定される第2の積層用膜)であり、符号44はコア層(請求項に規定される第1の積層用膜)となる接着剤層であり、符号45はロールラミネータ(熱ラミネート法が採用されている。)である。なお、接着剤層44は、熱硬化性を有する透明な接着剤(例えば、シリコーン樹脂等)をスピンコート法、ブレード法、スクリーン法の何れかによって第2のフィルム42に塗布することによって形成されている。
【0035】
図4においては、予め、第1のフィルム41上に、スピンコート法、ブレード法、あるいはスクリーン印刷の何れかによって、クラッド層43が形成されている。そして、この第1のフィルム41上に形成されたクラッド層43に、熱硬化性樹脂となる透明な接着剤をスピンコート法、ブレード法、あるいはスクリーン印刷の何れかによって、接着剤層44を形成する。この接着剤層44は、上述したようにコア層44を構成している。
【0036】
次いで、予め、スピンコート法、ブレード法、あるいはスクリーン印刷の何れかによって、クラッド層43が形成されている第2のフィルム42に、この第1及び第2のフィルム形成された互いの層を向かい合わせるようにして、第2のフィルム42に第1のフィルム41を、ロールラミネータ45によって貼り合わせている。そして、この第1のフィルム41と第2のフィルム42とを貼り合わせた後に、第2のフィルム42から第1のフィルム41を剥がす。この際、予め形成されていたクラッド層43を第1のフィルム41から第2のフィルム42に移し替えるようにして、第2のフィルム42に新たなクラッド層43を形成している。つまり、クラッド層43とクラッド層43との間に、これと異なる、接着剤層44とされたコア層44Aが重畳するように積層させてゆく。なお、この第1のフィルム41には、上述の基本作製工程と同様に、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いることが好ましい。
【0037】
このような積層手順が繰り返されることによって、図1に示すような第1あるいは第2のフィルム41,42にクラッド層43とコア層44Aとが交互に重畳するようにして積層された多層部1Aが形成されてゆく。この多層部1Aは、多層構造を有している、そして、特に図示していないが、この多層部1Aのうち、その積層された層43A,44Aが延びている方向に対して直交する方向あるいは45度の方向に切り出して光導入部となる端面を形成する。また、第2のフィルム42は、クラッド層43の接着性の観点から、このクラッド層43やコア層44A(接着剤層44)に用いられる材料と同じ材料からなるフィルムが用いられることが好ましい。このように、第1のフィルム41上にクラッド層43等の積層転写を繰り返すことによって、積層するように層(膜)を多層化させていくことができる。
【0038】
〔実施例1〕
次に、上述した2つの基本作製工程に基づきなされる具体的な実施例について説明する。
図5は本発明に係る実施例1(ゼオネックス480R/ゼオネックスE48R/ゼオネックス480R/・・・による多層部を構成する例)の工程を示している。日本ゼオン株式会社のシクロオレフィンポリマーであるゼオネックス480R(屈折率n=1.525at589nm)とゼオネックスE48R(屈折率n=1.530at589nm)を、それぞれクラッド層、コア層として、交互に多層化させてゆく工程を示したものである。
【0039】
符号51は、厚さが250μmとなっているPETフィルムであり、フレキシブルであるが、この上に膜をスピンコートできる程度の硬さを有している。また、符号52はゼオネックスからなるフィルムである日本ゼオン株式会社のゼオノアであり、符号53はゼオネックス480Rであり、符号54はゼオネックスE48Rであり、符号55は熱ロールラミネータである。このゼオネックス480RとゼオネックスE48Rとを、それぞれメシチレンに5~30重量%溶かして溶液を作る。クラッド層であるゼオネックス480R溶液に感光性媒体(2色吸収媒体)であるペンタチオフェン(屈折率n=1.602at633nm)と、エネルギー受容体である東洋合成工業株式会社のDZDS(アジドの商品名、屈折率n=1.585at633nm)を1~10重量%添加する。この層の吸収係数は、410nmでの値が340cm-1であり、コア層に用いた場合には、100μm進んだだけで、1/100に減衰してしまう。これに対して、この2色吸収媒体を含むものをクラッドとして用いると、主な光はコア層を伝搬してゆき、漏れ光が、クラッドの感光性媒体を感光させるので、たとえ、1cm進んでも、光は1/10程度に減衰するのみとなって有利である。
【0040】
これらの溶液を暗室あるいはイエロールームで、PETからなるフィルム上にスピンコート法により膜を形成して、90℃の温度で乾燥させる。クラッドであるゼオネックス480Rは、厚さ10~20μmで、コアであるゼオネックスE48Eは、厚さ1~5μmで塗布する。ここで、ペンタチオフェンとDZDSの濃度により、クラッドとコアとの屈折率差(Δn)は異なるようになってくるが、上述して求められた、シングルモードの下記の条件は満足している。
【0041】
【数6】
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【0042】
ここで、波長λは、ペンタチオフェンの第二励起光であり、その波長は650nmである。また、ペンタチオフェンの第一励起光の波長は410nmであり、この波長においては、その吸収が大きいものとなっている。このため、光が伝搬するコア層であるゼオネックスE48Rには、ペンタチオフェンをドーブせずに、クラッド層を構成するゼオネックス480Rにペンタチオフェンをドープする。光は、コア層内に完全には閉じ込められずに、クラッド層にも浸み出すので、この浸み出し光を用いてペンタチオフェンに記録する。
【0043】
まず、ゼオネックス480R(10~20μm)/PETフィルムと、ゼオノアフィルムとを、150~180℃に加熱して、ロールラミネータによって互いを貼り合わせる。その後、このPETフィルムを剥がす。このPETフィルムとゼオノアフィルムとの密着性は低く、PETフィルムを簡単に剥がすことができる。この操作によってゼオネックス480Rは、ゼオネックスからなるフィルムに移し替えるように転写される。次に、ゼオネックスE48R(1~5μm)/PETフィルムと、ゼオネックス480R(10μm)/ゼオノアフィルムとを、同様に加熱したロールラミネータによって貼り合わせる。その後PETフィルムを剥がす。この操作によってゼオネックスE48Rは、ゼオネックス480R/ゼオノアフィルムに移し替えるように転写され、ゼオネックスE48R/ゼオネックス480R/ゼオノアフィルムの多層構造が実現できる。そして、この積層工程(積層手順)を繰り返すことにより、ゼオネックス480R/ゼオネックスE48R/ゼオネックス480R/・・・/ゼオノアフィルムの多層構造が実現できる。
【0044】
そして次に、光を入れるための光導入部となる端面を、このフィルムの端部をダイシングソーによって切断・研磨することによって形成する。この切断・研磨は、上述したクラッド層やコア層が延びる方向に対して直交する方向になされるものであってもよいし、これらの層が延びる方向に対して45度の角度が付けられた方向になされるものであってもよい。
【0045】
この実施例における工程で作製した多層導波路のうち、光導入部となっている層の端面から、410nmの半導体レーザからの光をレンズで絞って、選択したコア層の端面から光を入れ、そのコア層全体に光を伝搬させる。さらに、660nmの光を参照光として、この選択された同じ層に、この層に対して垂直方向から、物体光としての同じレーザからの光を入れる。この物体光は、空間光変調器を通して二次元の光の情報を書き込んであり、レンズで絞って面に垂直に入れる。
【0046】
この660nmの光は、この多層導波路をシングルモードで伝搬してゆき、選択した層の光の交差点で干渉を起こす。この交差点で、点で形成されたホログラムを書き込んで記録することができる。このホログラムを書き込んだ点には、空間光変調器で書き込んだ二次元の大容量の情報が記録されている。また、この点で形成されたホログラムは、この層の違う場所においても同様に記録することができる。つまり、1層において、多数のホログラムの点を書き込むことができる。またさらに、他の層においても、この1層と同様に、ホログラムの点を書き込むことができる。このようにして、1層の多点にホログラムを記録し、さらにそれを多層にすることによって、より大容量の記録をすることができるようになる。
【0047】
また、読み出す場合においては、任意に選択した層に、書き込んだ時と同じ波長となる660nmの光を絞って入れる。そうすると、660nmの光が入れられた層内のホログラムによって、層に対して垂直方向に回折した光(二次元の情報)を、CCDカメラによって読み出すことができる。但し、このような読み出しの場合には、1層に多数の点で形成されたホログラムが書き込まれているので、各ホログラムの点を選択するための二次元の光シャッタを用いる。この二次元の光シャッタによって、所望の点で形成されたホログラムを選択することができる。ここで、二次元の光シャッタとしては、例えば、液晶の空間変調器等が用いられる。このようにして、ホログラムメモリを実現することができる。
【0048】
また、多層導波路のうち、光導入部となっている層の端面から、410nmの半導体レーザからの光をレンズで絞って、選択したコア層の端面から光を入れ、そのコア層全体に光を伝搬させる。さらに660nmの光を導波路層に垂直に入れ、410nmの光と660nmの光が交差した部分の屈折率を2光子吸収によって変化させることができる。このようにして、2光子吸収を利用して多層導波路にピットで記録をすることができる。
【0049】
〔実施例2〕
次に、上述した実施例1とは異なる実施例2について説明する。図6は本発明に係る実施例2(ゼオネックス480R/シリコーン樹脂/ゼオネックス480R/・・・による多層部を構成する例)の工程を示している。符号61はPETフィルム、符号62はゼオノアフィルム、符号63は硬化していない2液性シリコーン樹脂接着剤層、符号64はゼオネックス480Rであり、符号65のロールラミネータである。符号66はフィルムスペーサであり、符号65のロールラミネータの圧力を調整するのに用いる。PETフィルム上に実施例1と同じ2色吸収色素(ペンタチオフェン)とエネルギー受容体(DZDS)をドープしたゼオネックス480Rの膜(10~20μm)を、スピンコート等で形成し、溶媒であるメシチレンを90℃で飛ばして、その上にシリコーン樹脂(GE東芝シリコーン社製2液性シリコーン樹脂XE5844とXE14-C1253とを重量比0.21:0.79に混合し、屈折率が1.530に設定したものであり、上述したシングルモードの条件[数6]を満たす。)をスピンコートして、熱硬化させていない状態でこれを保持する。
【0050】
通常、溶媒を含む2層で構成された膜をスピナーで塗った場合、インターミキシングが起きる。ところが、この2液性のシリコーン樹脂は溶媒を含んでいないため、下地のゼオネックスの層に浸み込むことないので、インターミキシングによる問題が生じない利点がある。このゼオノアフィルム上に2色吸収色素(ペンタチオフェン)とエネルギー受容体(DZDS)をドープしたゼオネックス480Rの膜(10~20μm)を、スピンコート法等により形成した。そして、これらフィルムを室温でロールラミネートにより貼り合わせた。フィルムスペーサ66を入れることにより、ラミネートの圧力を調整した。圧力が足らない場合やシリコーン樹脂の脱抱か足りない場合には、気泡が入るが、厚め(200μm厚)のPETフィルムをスペーサとして、真空中でシリコーン樹脂の脱抱を行うことによって、気泡を取り除くことができる。そして、この一体に貼り合わせたフィルム同士からPETフィルムを剥がす。このPETフィルムとゼオネックスとの密着性は低いので、簡単に剥がすことができる。

【0051】
そして、これらの積層工程(積層手順)を繰り返すことによって、ゼオネックス480R/シリコーン樹脂/ゼオネックス480Rのクラッド/コア/クラッド/・・・とする多層部を形成する。次いで、この多層部に一括で圧力をかけ、150℃、2時間でシリコーン樹脂を熱硬化させる。このようにして多層部を構成するゼオネックス480R/シリコーン樹脂/ゼオネックス480R・・・の一体化を高める。
【0052】
そして次に、光を入れるための光導入部となる端面を、このフィルムの端部をダイシングソーによって切断・研磨することによって形成する。この切断・研磨は、上述したクラッド層やコア層が延びる方向に対して直交する方向になされるものであってもよいし、これらの層が延びる方向に対して45度の角度が付けられた方向になされるものであってもよい。
【0053】
この実施例における工程で作製した多層導波路のうち、光導入部となっている層の端面から、410nmの半導体レーザからの光をレンズで絞って、選択したコア層の端面から光を入れ、そのコア層全体に光を伝搬させる。さらに、660nmの光を参照光として、この選択された同じ層に、この層に対して垂直方向から、物体光としての同じレーザからの光を入れる。この物体光は、空間光変調器を通して二次元の光の情報を書き込んであり、レンズで絞って面に垂直に入れる。
【0054】
この660nmの光は、この多層導波路をシングルモードで伝搬してゆき、選択した層の光の交差点で干渉を起こす。この交差点で、点で形成されたホログラムを書き込んで記録することができる。このホログラムを書き込んだ点には、空間光変調器で書き込んだ二次元の大容量の情報が記録されている。また、この点で形成されたホログラムは、この層の違う場所においても同様に記録することができる。つまり、1層において、多数のホログラムの点を書き込むことができる。またさらに、他の層においても、この1層と同様に、ホログラムの点を書き込むことができる。このようにして、1層の多点にホログラムを記録し、さらにそれを多層にすることによって、より大容量の記録をすることができるようになる。
【0055】
また、読み出す場合においては、任意に選択した層に、書き込んだ時と同じ波長となる660nmの光を絞って入れる。そうすると、660nmの光が入れられた層内のホログラムによって、層に対して垂直方向に回折した光(二次元の情報)を、CCDカメラによって読み出すことができる。但し、このような読み出しの場合には、1層に多数の点で形成されたホログラムが書き込まれているので、各ホログラムの点を選択するための二次元の光シャッタを用いる。この二次元の光シャッタによって、所望の点で形成されたホログラムを選択することができる。ここで、二次元の光シャッタとしては、例えば、液晶の空間変調器等が用いられる。このようにして、ホログラムメモリを実現することができる。
【0056】
〔実施例3〕
次に、上述した実施例1及び実施例2とは異なる実施例3について説明する。図7は本発明に係る実施例3(フッ素化PMMA/PMMA(1~5μm)/フッ素化PMMA/・・・による多層部を構成する例)の工程を示している。符号71はPETフィルムであり、符号72はPMMAのフィルム(例えば、住友化学株式会社の商品名テクノロイ)であり、符号73はPMMAを3.5重量%フッ素化したフッ素化PMMA(屈折率がPMMAよりも低く、屈折率n=1.489at633nm)であり、ここではクラッド層を構成する。符号74はPMMA(屈折率n=1.495at633nm)であり、ここではコア層を構成する。ここで、符号73のクラッド層は、2色吸収媒体あるいは2光子吸収媒体を含んでいる。また、符号75はロールラミネータである。
【0057】
まず、PETフィルム上に、3.5重量%フッ素化したフッ素化PMMAをモノクロロベンゼンに溶かした溶液をスピンコート法で塗布してゆき、90℃で乾燥させる。このようにして厚さ10~20μmの膜をPETフィルム上に形成する。次いで、このフィルムとPMMAフィルム(住友化学株式会社の商品名テクノロイの厚さ75μm)を、加熱ロールラミネータによって貼り合わせる。その際の温度は、100~150℃が望ましい。温度が低い場合には、フィルム同士が貼り付かず、温度が高い場合には、フィルムが溶けてしまう不具合が生じる。この層は、多層導波路になった場合に、クラッド層の役割を果たす。このフィルム同士を貼り合わせた後に、PETフィルムを剥がす。
【0058】
次いで、このPETフィルム上に、PMMAをモノクロロベンゼンに溶かした溶液をスピンコート法で塗布し、90℃で乾燥させて厚さ1~5μmの膜をPETフィルム上に形成する。このようにして多層導波路になった場合、この層がコア層になる。このフィルムと先ほど作製したテクノロイ上のフッ素化PMMAとを、加熱ロールラミネータで貼り合わせる。この加熱の際の温度も、先ほどと同様に100~150℃であることが望ましい。このように貼り合わせたフィルムから、PETフィルムを剥がす。このような積層工程(積層手順)を繰り返すことにより、クラッド/コア/クラッド/コア・・・の繰り返してなる多層構造を実現することができる。
【0059】
そして次に、光を入れるための光導入部となる端面を、このフィルムの端部をダイシングソーによって切断・研磨することによって形成する。この切断・研磨は、上述したクラッド層やコア層が延びる方向に対して直交する方向になされるものであってもよいし、これらの層が延びる方向に対して45度の角度が付けられた方向になされるものであってもよい。
【0060】
この実施例における工程で作製した多層導波路のうち、光導入部となっている層の端面から、410nmの半導体レーザからの光をレンズで絞って、選択したコア層の端面から光を入れ、そのコア層全体に光を伝搬させる。さらに、660nmの光を参照光として、この選択された同じ層に、この層に対して垂直方向から、物体光としての同じレーザからの光を入れる。この物体光は、空間光変調器を通して二次元の光の情報を書き込んであり、レンズで絞って面に垂直に入れる。
【0061】
この660nmの光は、この多層導波路をシングルモードで伝搬してゆき、選択した層の光の交差点で干渉を起こす。この交差点で、点で形成されたホログラムを書き込んで記録することができる。このホログラムを書き込んだ点には、空間光変調器で書き込んだ二次元の大容量の情報が記録されている。また、この点で形成されたホログラムは、この層の違う場所においても同様に記録することができる。つまり、1層において、多数のホログラムの点を書き込むことができる。またさらに、他の層においても、この1層と同様に、ホログラムの点を書き込むことができる。このようにして、1層の多点にホログラムを記録し、さらにそれを多層にすることによって、より大容量の記録をすることができるようになる。
【0062】
また、読み出す場合においては、任意に選択した層に、書き込んだ時と同じ波長となる660nmの光を絞って入れる。そうすると、660nmの光が入れられた層内のホログラムによって、層に対して垂直方向に回折した光(二次元の情報)を、CCDカメラによって読み出すことができる。但し、このような読み出しの場合には、1層に多数の点で形成されたホログラムが書き込まれているので、各ホログラムの点を選択するための二次元の光シャッタを用いる。この二次元の光シャッタによって、所望の点で形成されたホログラムを選択することができる。ここで、二次元の光シャッタとしては、例えば、液晶の空間変調器等が用いられる。このようにして、ホログラムメモリを実現することができる。
【0063】
〔実施例4〕
次に、上述した実施例1~3とは異なる実施例4について説明する。図8は本発明に係る実施例4(パターニングされた多層導波路の例)の工程を示している。符号81はPETフィルム、符号82はゼオノアフィルム、符号83aは厚さ10~20μmのゼオネックス480R(屈折率n=1.525at589nm)、符号83bは厚さ1~5μmのゼオネックス480R、符号84はフォトマスク、符号85は紫外線、符号86はゼオネックス480Rが紫外線照射によって屈折率が10-3~10-2程度小さくなった部分、符号87は直線導波路、符号88は多層直線導波路を示している。この例の多層導波路は、実施例1に挙げた多層導波路と似た構成を有しているが、クラッド層には感光性媒体が含有されていない。また、この例の多層導波路は、コア層をパターニングする工程が追加されている。
【0064】
図8中の左方に記載されているように、PETフィルム上にゼオネックス480R(メシチレン溶液)を塗布し、90℃で乾燥し、膜厚1~5μmに設定する。その上にフォトマスクを置き、紫外線を照射する。ここではストライプのパターンのマスクを用いて、紫外線によって、ゼオネックス480Rの屈折率は0.01程度小さくなった。ここでは、ゼオネックス480Rとフォトマスクと紫外線の組み合せを用いたが、その他の材料でも、レーザ照射でも、イオン注入でも、何れの方法によっても構わなく、屈折率が変化する工程となっていれば、本発明の趣旨を逸脱しない。
【0065】
その後、実施例1の工程で作製したゼオネックス480R/ゼオノアフィルムに紫外線85を照射してゼオネックス480R(符号83a)を前面露光し、屈折率を0.01程度小さくなった、つまり屈折率が10-3~10-2程度小さくなったゼオネックス480R(符号86)とする。このフィルムを、先ほどパターニング紫外線照射したフィルムの上に乗せて加熱ラミネートする。このようにすることによって、上下左右から、屈折率の高い直線部分を、屈折率の低い層で挟んだ構造となり、クラッド/コア/クラッド・・・を実現することができた直線導波路となる。このようにして符号88の直線導波路が実現でき、さらにこの操作を繰り返すことによって、符号89のような多層直線導波路を実現できる。
【0066】
なお、本発明に係る多層導波路およびその作製方法は、上述したような実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜に選択して構成することができる。例えば、上述した多層導波路にあっては、熱硬化性を有する透明な接着剤として、2液性シリコーン樹脂を選択していたが、この例に限定されることなく、熱硬化性を有した、適宜の光を伝搬可能な透明の樹脂接着剤を選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明に係る多層導波路の断面図である。
【図2】図1の多層導波路の拡大断面図である。
【図3】本発明に係る基本作製工程の例を示す図である。
【図4】図3の基本作製工程とは別の例を示す図である。
【図5】本発明に係る実施例1の工程を示す図である。
【図6】本発明に係る実施例2の工程を示す図である。
【図7】本発明に係る実施例3の工程を示す図である。
【図8】本発明に係る実施例4の工程を示す図である。
【図9】従来の多層光ホログラムメモリの構造を示す図である。
【図10】図8の多層光ホログラムメモリからの読み出し方法を示した図である。
【符号の説明】
【0068】
1 多層導波路
1A 多層部
10,43,53,63,73 クラッド層
20,44,54,64,74 コア層
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9