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明細書 :センサおよびセンシング方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5485268号 (P5485268)
登録日 平成26年2月28日(2014.2.28)
発行日 平成26年5月7日(2014.5.7)
発明の名称または考案の名称 センサおよびセンシング方法
国際特許分類 G01S   7/523       (2006.01)
FI G01S 7/52 D
請求項の数または発明の数 4
全頁数 19
出願番号 特願2011-520840 (P2011-520840)
出願日 平成22年6月1日(2010.6.1)
国際出願番号 PCT/JP2010/059236
国際公開番号 WO2011/001775
国際公開日 平成23年1月6日(2011.1.6)
優先権出願番号 2009158329
優先日 平成21年7月3日(2009.7.3)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成25年5月14日(2013.5.14)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504255685
【氏名又は名称】国立大学法人京都工芸繊維大学
発明者または考案者 【氏名】山下 馨
個別代理人の代理人 【識別番号】100141586、【弁理士】、【氏名又は名称】沖中 仁
審査官 【審査官】山下 雅人
参考文献・文献 特開平10-127634(JP,A)
特開昭57-125741(JP,A)
特開平02-199994(JP,A)
調査した分野 G01S 7/00-17/95
A61B 8/00
H04R 3/00
H04R17/00
特許請求の範囲 【請求項1】
検知対象の方向を検出するセンサであって、
前記検知対象から到来する複数の周波数を有する波動を検知する検知部と、
前記波動の到来方向に関する情報を取得する情報取得部と、
前記検知対象の方向を判定する判定部と
を備え、
前記検知部は、少なくとも、前記複数の周波数のうちの第1周波数を有する第1波動と前記複数の周波数のうちの第2周波数を有する第2波動とを検知し、
前記情報取得部は、前記第1波動の到来方向を示す第1到来方向情報及び前記第1波動の到来方向とは異なる方向を示す第1偽情報と、前記第2波動の到来方向を示す第2到来方向情報及び前記第2波動の到来方向とは異なる方向を示す第2偽情報とを取得し、ここで、前記第1偽情報と前記第2偽情報とは異なる情報であり、
前記判定部は、少なくとも、前記第1到来方向情報及び前記第1偽情報と前記第2到来方向情報及び前記第2偽情報との算術積に基づいて、前記検知対象の方向を判定する、センサ。
【請求項2】
前記複数の周波数は、前記検出素子が有する複数の共振周波数を含み、
前記第1周波数は前記複数の共振周波数のうちの第1共振周波数に対応し、
前記第2周波数は前記複数の共振周波数のうちの第2共振周波数に対応する、請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記センサは、
前記検知部が検知する波動の周波数を前記第1周波数から前記第2周波数に調整する周波数調整部をさらに含む、請求項1に記載のセンサ。
【請求項4】
検知対象の方向を検出するセンシング方法であって、
前記検知対象から到来する複数の周波数を有する波動を検知する検知ステップと、
前記波動の到来方向に関する情報を取得する情報取得ステップと、
前記検知対象の方向を判定する判定ステップと
を包含し、
前記検知ステップは、少なくとも、前記複数の周波数のうちの少なくとも第1周波数を有する第1波動と前記複数の周波数のうちの第2周波数を有する第2波動とを検知することにより実行され、
前記情報取得ステップは、前記第1波動の到来方向を示す第1到来方向情報及び前記第1波動の到来方向とは異なる方向を示す第1偽情報と、前記第2波動の到来方向を示す第2到来方向情報及び前記第2波動の到来方向とは異なる方向を示す第2偽情報とを取得することにより実行され、ここで、前記第1偽情報と前記第2偽情報とは異なる情報であり、
前記判定ステップは、少なくとも、前記第1到来方向情報及び前記第1偽情報と前記第2到来方向情報及び前記第2偽情報との算術積に基づいて、前記検知対象の方向を判定することにより実行される、センシング方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、検知対象の方向を検出するセンサおよび検知対象の方向を検出するセンシング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フェイズドアレイ・センシングは、「アレイとして並べた各素子の位置により入射角度に依存して到達波の位相がずれること」を利用した入射角度計測法である。例えば、特許文献1には、圧電ダイアフラム型センサを用いたセンシングについて記載されている。入射角度計測法による検知対象の方位検出の精度(角度分解能)を検討する際、アレイの直径およびアレイの素子間隔(正確には繰り返し周期)と、検知対象の方位を検出するために用いる到来波の波長との関係が本質的に重要である。
【0003】
非特許文献1では、角度分解能を幾何学的に分析している。低周波波動に関する情報に対応する指向性パターンにはグレーティングローブは生じない。また、高周波波動に関する情報に対応する指向性パターンには広がりの少ないメインローブが示され、高分解能であることが理解し得る。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2003-284182号公報
【0005】

【非特許文献1】レビュー オブ プログレス イン クアンティテイティブ ノンデストラクティブ エバリュエイション 第17巻 プレナム プレス ニューヨーク 1998年 p.883~p.890(Review ofProgress in Quantitative Nondestructive Evaluation, vol.17, Plenum Press, NewYork (1998) 883-890)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、フェイズドアレイセンサを実現する場合、角度方向の高い精度を得ようとすると、「角度分解能を細かくするためアレイの直径を大きくする」ことと「グレーティングローブが生じないようにするために素子周期を短くする」ことが必要となり、必然的に多数の素子を必要とすることになる。グレーティングローブの存在は、ゴーストの原因になり得る。
【0007】
具体的には、素子数が十分大きければメインローブの半値幅はアレイの直径に反比例し、アレイの直径が大きいほど角度分解能は細かくなる。一方、走査角度範囲(最大走査角度)をθとし、検出波の波長をλとすると、素子周期がλ/(1+sinθ)を超えるとグレーティングローブが発生し得る。
【0008】
簡単のため、対象物までの距離がアレイ径に比べて十分大きく、入射波が平面波とみなせるとすると、φ方向にセンサを走査したときのθ方向の相対感度d(θ,φ)は、
d(θ,φ)=cos(θ)|sinc(p)||sinn(N,q-r)|
で示し得る。ここで、
aは素子サイズ
bは素子周期
α=a/λ
β=b/λ
sinc(p)=sin(p)/p
p=παsin(θ)
sinn(N,q)=sin(Nq)/(Nsin(q))
q=πβsin(θ)
r=πβsin(φ)
である。
【0009】
図12(a)は、低周波波動に関する情報に対応する指向性パターンを示すチャートである。半径軸は相対感度を示し、円周軸は方位θを示す。従来のセンサでは、所定の値より小さい周波数を有する波動に関する情報について、当該情報に対応する指向性パターンにはグレーティングローブは生じない。一方、小さい周波数を有する波動に関する情報について、当該情報に対応する指向性パターンには鋭くないメインローブが示される。
【0010】
図12(b)は、高周波波動に関する情報に対応する指向性パターンを示すチャートである。半径軸は相対感度を示し、円周軸は方位θを示す。従来のセンサでは、大きい周波数を有する波動に関する情報について、当該情報に対応する指向性パターンには鋭いメインローブが示される。一方、所定の値より大きい周波数を有する波動に関する情報について、当該情報に対応する指向性パターンにはグレーティングローブが生じる。
【0011】
なお、指向性パターンには、周波数に応じてメインローブとサイドローブとが示される。また、サイドローブのうち、メインローブと強度が同等かそれより大きいものをグレーティングローブと定義する。
【0012】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、フェイズドアレイ・センシングにおいて、高い方の周波数だけでは大きく発生してしまうグレーティングローブに基づくゴーストを低減化し、低い方の周波数だけでは得られない鋭い指向性(高分解能)を実現することができるセンサおよびセンシング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するための本発明に係るセンサの特徴構成は、検知対象の方向を検出するセンサであって、検知対象から到来する複数の周波数を有する波動を検知する検知部と、波動の到来方向に関する情報を取得する情報取得部と、検知対象の方向を判定する判定部とを備え、検知部は、少なくとも、複数の周波数のうちの第1周波数を有する第1波動と複数の周波数のうちの第2周波数を有する第2波動とを検知し、情報取得部は、第1波動の到来方向を示す第1到来方向情報及び第1波動の到来方向とは異なる方向を示す第1偽情報と、第2波動の到来方向を示す第2到来方向情報及び第2波動の到来方向とは異なる方向を示す第2偽情報とを取得し、ここで、第1偽情報と第2偽情報とは異なる情報であり、判定部は、少なくとも、第1到来方向情報及び第1偽情報と第2到来方向情報及び第2偽情報との算術積に基づいて、検知対象の方向を判定することにある。
【0014】
背景技術の項目で説明したように、従来のセンサでは、高周波波動に関する情報に対応する指向性パターンには、鋭いメインローブが示され、さらに、大きなグレーティングローブが生じる。低周波波動に関する情報に対応する指向性パターンには、グレーティングローブは生じないが鋭くないメインローブが示される(低分解能)。
【0015】
この点、本発明のセンサによれば、複数の周波数のうちの少なくとも第1周波数を有する第1波動と第2周波数を有する第2波動とを検知し、第1波動の到来方向を示す第1到来方向情報及び第1波動の到来方向とは異なる方向を示す第1偽情報と、第2波動の到来方向を示す第2到来方向情報及び第2波動の到来方向とは異なる方向を示す第2偽情報とを取得し、少なくとも、第1到来方向情報及び第1偽情報と第2到来方向情報及び第2偽情報との算術積に基づいて、検知対象の方向を判定するので、高い方の単一の周波数だけでは大きく発生してしまうグレーティングローブを低減化し、低い方の単一の周波数だけでは得られない鋭い指向性(高分解能)のセンサを実現することができる。
【0016】
このように、本発明のセンサの構成によれば、単一のセンサで複数の情報を取得することにより、素子間隔を狭めることなくグレーティングローブの影響を無くすことができる。従って、同じ精度の角度分解能を得るため(すなわち、同じ径を持つアレイを構成するため)の素子数を大幅に削減できる。特に、三次元計測において素子を二次元に配置した場合は、この削減効果も二乗で効くのでさらに効果的である。
【0017】
本発明のセンサの構成によれば、素子数を大幅に削減した構造にてゴーストの生じない三次元計測が可能となり、医療用の診断装置(例えば、エコー診断装置)や自動車分野でのMEMS関連主要部品(三次元センサ)への適用が効果的である。
【0018】
また、本発明のセンサの構成によれば、第1偽情報と第2偽情報とは異なるので、第1情報と第2情報とに基づいて検知対象の方向を判定することによって確実にグレーティングローブの発生を抑制しゴースト低減を実現し得る。
【0019】
また、判定部は、第1到来方向情報及び第1偽情報と第2到来方向情報及び第2偽情報との算術積によって、検知対象の方向を判定する。算術積を実行することによりグレーティングローブの影響を無くすことができるため、ゴースト低減を実現し得る。算術積は、簡易な演算回路で求め得るため、簡易且つ安価なセンサ構造を構築し得る。
【0020】
例えば、予め幾何学的に分析することによって第1偽情報と第2偽情報とのうち第2偽情報にのみグレーティングローブに対応する情報が含まれるよう第1周波数と第2周波数とを選択しておけば、算術積を実行することによりグレーティングローブの影響を無くすことができるため、ゴースト低減を実現し得る。この場合、第1周波数が低周波数に対応し、第2周波数が高周波数に対応する。
【0021】
本発明に係るセンサにおいて、複数の周波数は、検出素子が有する複数の共振周波数を含み、第1周波数は複数の共振周波数のうちの第1共振周波数に対応し、第2周波数は複数の共振周波数のうちの第2共振周波数に対応してもよい。
【0022】
本発明の構成によれば、例えば、センサ素子は、特定の複数の周波数で共振する共振型のものとする。計測に用いる単パルスは広い周波数スペクトルを持つので、共振型のセンサはそのようなパルスを受信して自分の共振周波数で振動し、その共振周波数に応じた出力波形を生じる。その結果、検知部が検知する波動の周波数を調整するための回路や、周波数フィルタを用いることなく簡易な構成で本発明のセンサを実現し得る。
【0023】
本発明に係るセンサにおいて、センサは、検知部が検知する波動の周波数を第1周波数から第2周波数に調整する周波数調整部をさらに含んでもよい。
【0024】
本発明の構成によれば、予め幾何学的に分析することによってゴースト低減効率のよい周波数と最も高分解である周波数とを認識しておれば、検知部が検知する波動の周波数をそれらの周波数に任意に調整することができる。その結果、ゴーストが最も低減化され、最も高分解能なセンサを実現し得る。
【0025】
例えば、予め幾何学的に分析することによって第1偽情報と第2偽情報とのうち第2偽情報にのみグレーティングローブに対応する情報が含まれるよう第1周波数と第2周波数とを認識しておけば、周波数調整部によって検知部が検知する周波数を第1周波数と第2周波数とに調整し得る。この場合、第1周波数が低周波数に対応し、第2周波数が高周波数に対応する。
【0026】
上記課題を解決するための本発明に係るセンシング方法は、検知対象から到来する複数の周波数を有する波動を検知する検知ステップと、波動の到来方向に関する情報を取得する情報取得ステップと、検知対象の方向を判定する判定ステップとを包含し、検知ステップは、少なくとも、複数の周波数のうちの少なくとも第1周波数を有する第1波動と複数の周波数のうちの第2周波数を有する第2波動とを検知することにより実行され、情報取得ステップは、第1波動の到来方向を示す第1到来方向情報及び第1波動の到来方向とは異なる方向を示す第1偽情報と、第2波動の到来方向を示す第2到来方向情報及び第2波動の到来方向とは異なる方向を示す第2偽情報とを取得することにより実行され、ここで、第1偽情報と第2偽情報とは異なる情報であり、判定ステップは、少なくとも、第1到来方向情報及び第1偽情報と第2到来方向情報及び第2偽情報との算術積に基づいて、検知対象の方向を判定することにより実行される。
【0027】
本発明に係るセンシング方法によれば、高い方の周波数だけでは大きく発生してしまうグレーティングローブに基づくゴーストを低減化し、低い方の周波数だけでは得られない鋭い指向性(高分解能)のセンサを実現することができる。また、第1到来方向情報及び第1偽情報と第2到来方向情報及び第2偽情報との算術積を実行することによりグレーティングローブの影響を無くすことができるため、ゴースト低減を実現し得る。算術積は、簡易な演算回路で求め得るため、簡易且つ安価なセンサ構造を構築し得る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1実施形態のセンサの構成を示す模式図である。
【図2】複数の検知素子のうちの1つを示す断面図である。
【図3】第1検知素子によって検知された超音波に基づく波動に対応する応答波形を示す波形図(a)、及び波形図(a)をフーリエ変換して得られた応答波形のスペクトルを示すスペクトル図(b)である。
【図4】情報取得部を示す模式図である。
【図5】第1情報に対応する指向性パターンと第2情報に対応する指向性パターンとを示すチャート(a)、及び第1情報を示す値と第2情報を示す値との算術積に対応する指向性パターンを示すチャート(b)である。
【図6】本発明の第1実施形態のセンサを用いたセンシング方法を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2実施形態のセンサの構成を示す模式図である。
【図8】複数の検知素子のうちの1つを示す断面図である。
【図9】第5検知素子によって検知された超音波に基づく波動に対応する応答波形を示す波形図である。
【図10】外側電極への印加電圧に対する第5検知素子の共振周波数変化を示す履歴図である。
【図11】本発明の第2実施形態のセンサを用いたセンシング方法を示すフローチャートである。
【図12】低周波波動に関する情報に対応する指向性パターンを示すチャート(a)、及び高周波波動に関する情報に対応する指向性パターンを示すチャート(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1から図11を参照して本発明のセンサおよびセンシング方法に関する実施形態を説明する。本発明は、以下に説明する実施形態や図面に記載される構成に限定されることを意図せず、当該構成と均等な構成も含む。

【0030】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態のセンサ100の構成を示す模式図である。センサ100は、検知対象の方位を検出するセンサである。波動発生源の一例である超音波発生部1から発生された超音波は、検知対象2に到達し、検知対象2で反射する。検知対象2で反射した超音波は、センサ100の入射面の鉛直方向に対して、角度θでセンサ100に到来する。センサ100は、検知対象2の方向を検出する。表示部3には、検出結果が表示される。

【0031】
センサ100は、検知対象2から到来する複数の周波数を有する超音波を検知する検知部102と、検知した情報を処理する情報処理部104とを備える。例えば、複数の遅延回路および加算回路を含むユニット回路、またはコンピュータのCPUが情報処理部104として機能する。情報処理部104は、超音波の到来方向に関する情報を取得する情報取得部106と、検知対象2の方向を判定する判定部108とを含む。検知部102は、複数の検知素子(第1検知素子102a、第2検知素子102b、第3検知素子102c、及び第4検知素子102d)を含む。なお、複数の検知素子の数は、任意に変更することができる。例えば、圧電ダイアフラム型マイクロセンサが複数の検知素子の各々として機能する。図1において、ダイアフラム部分の長さ(アレイの直径)を長さaで示し、素子周期(素子間隔)を長さbで示す。

【0032】
図2は、複数の検知素子のうちの1つ(第1検知素子102a)の例として圧電ダイアフラム型マイクロセンサを示す断面図である。第1検知素子102aは、Si基板202と、SiO層204と、下部電極層206と、圧電体層208と、上部電極層210とを含む。

【0033】
下部電極層206は、PtとTiとを含む。例えばPt/Ti電極が下部電極層206として機能する。圧電体層208は、ジルコニウム酸チタン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O):以下、「PZT」と記す。)を含む。例えばPZT層が圧電体層208として機能する。上部電極層210は、Auを含む。例えば、Au電極が上部電極層210として機能する。第2検知素子102b、第3検知素子102c、及び第4検知素子102dの各々の構成は、第1検知素子102aの構成と等価である。

【0034】
図3は、第1検知素子102aによって検知された超音波に基づく波動に対応する応答波形を示す波形図(a)、及び波形図(a)をフーリエ変換して得られた応答波形のスペクトルを示すスペクトル図(b)である。波形図(a)の縦軸は出力電圧を示し、横軸は時間を示す。スペクトル図(b)の縦軸は出力電圧を示し、横軸は周波数を示す。

【0035】
第1検知素子102aは共振型検知素子に相当する。第1検知素子102aは、複数の共振周波数に感度を有する。検知部102は、検知対象から到来する複数の周波数のうちの固有の第1共振周波数を有する超音波と複数の周波数のうちの固有の第2共振周波数を有する超音波とを検知する。

【0036】
例えば、第1検知素子102aは固有の共振周波数(一例として、第1共振周波数141kHz、及び第2共振周波数278kHz)で共振する。第1検知素子102aは、広い周波数スペクトルを持つパルスを受信して固有の共振周波数で振動し、当該固有の共振周波数に応じた出力波形を出力する。

【0037】
図4は、情報取得部106を示す模式図である。情報取得部106は、複数の可変遅延器(第1可変遅延器107a、第2可変遅延器107b、第3可変遅延器107c、及び第4可変遅延器107d)と加算器107eとを含む。情報取得部106は、例えば、第1共振周波数を有する第1超音波の到来方向に関する情報(第1情報)と第2共振周波数を有する第2超音波の到来方向に関する情報(第2情報)とを取得する。

【0038】
第1情報は、第1方向情報と第1偽情報とを含む。第2情報は、第2方向情報と第2偽情報とを含む。第1方向情報は第1超音波の到来方向を示す情報であり、第2方向情報は第2超音波の到来方向を示す情報である。第1超音波の到来方向と第2超音波の到来方向とが同じ場合は、第1方向情報と第2方向情報とは同一であり、第1超音波の到来方向と第2超音波の到来方向とが異なる場合は、第1方向情報と第2方向情報とは異なる。第1偽情報は第1超音波の到来方向ではない方向を示す情報であり、第2偽情報は第2超音波の到来方向ではない方向を示す情報である。また、少なくとも第1偽情報及び第2偽情報は互いに異なる情報である。

【0039】
情報取得部106は、複数の検知素子の各々から第1共振周波数に応じた第1出力波形情報を受け取り、これらを加算し、判定部108に加算結果(第1情報)を出力する。複数の可変遅延器の各々には、走査角度φに対応する遅延パターンが設定されている。加算器107eは、入力された複数の波形情報を加算し、加算結果を出力する。

【0040】
更に、情報取得部106は、複数の検知素子の各々から第2共振周波数に応じた第2出力波形情報を受け取り、これらを加算し、判定部108に加算結果(第2情報)を出力する。

【0041】
図5(a)は、第1情報に対応する指向性パターンと第2情報に対応する指向性パターンとを示すチャートである。半径軸は相対感度を示し、円周軸は方位θを示す。実線で示された指向性パターンは、第1情報に対応して示され、点線で示された指向性パターンは、第2情報に対応して示される。このチャートでは、方位30°に発現する指向性パターンは、第1方向情報及び第2方向情報に対応してメインローブを示す。それ以外の方位に発現する指向性パターンは、第1偽情報及び第2偽情報に対応してサイドローブを示す。さらに、方位-30°に発現する指向性パターンはグレーティングローブを示す。グレーティングローブは、サイドローブのうち、メインローブと強度が同等かそれより大きい。なお、本発明において、グレーティングローブが示されない指向性パターンに対応する周波数は低周波数に相当し、グレーティングローブが示される指向性パターンに対応する周波数は高周波数に相当する。

【0042】
判定部108は、例えば、第1情報を示す値と第2情報を示す値との算術積によって、検知対象2の方向を判定する。

【0043】
予め幾何学的に分析することによって、情報取得部106が第1偽情報および第1偽情報と異なる第2偽情報を取得するように、検知部102は第1周波数と第2周波数とを選択し得る。第1偽情報と第2偽情報とは異なるので、第1情報と第2情報とに基づいて演算することによって確実にゴースト低減を実現し得る。

【0044】
図5(b)は、第1情報を示す値と第2情報を示す値との算術積に対応する指向性パターンを示すチャートである。半径軸は相対感度を示し、円周軸は方位θを示す。方位30°に発現する指向性パターンは、第1方向情報の値と第2方向情報の値との算術積が取られたことにより鋭くなったメインローブを示す。それ以外の方位では、指向性パターンは、第1偽情報の値と第2偽情報の値との算術積が取られたことによりほとんど消滅している。

【0045】
算術積を取った後の図示された指向性パターンから、方向情報と偽情報との差が顕著化され、高い方の周波数(第2周波数)だけでは大きく発生してしまうゴーストを低減化し、低い方の周波数(第1周波数)だけでは得られない鋭い指向性を実現していることが理解し得る。

【0046】
ところで、より鋭いメインローブを得るとともに、ゴーストをさらに低減するには、さらに多くの波動を上記算術積に追加適用することが有効である。一例として、第1周波数、第2周波数、及び第3周波数を夫々有する波動の算術積を取った演算について、基準周波数である第1周波数fのちょうど一波長の素子周期を持つ7素子のリニアアレイを用いた場合を例に挙げて説明する。

【0047】
ここでは、電子走査を行う方位角度範囲、すなわちアレイセンサの「視野」に相当する範囲を±60度として、メインローブの強度に対する最大のサイドローブ(グレーティングローブを含む)の強度の比(これを、「サイドローブレベル」と称する)をもってアレイの性能を評価する。

【0048】
一つの周波数(すなわち、第1周波数を有する波動)のみを用いた計測においては、サイドローブレベルは192%におよぶ。これに対し二つの周波数(すなわち、第1周波数を有する波動と、より低周波数の第2周波数を有する波動)を用いた場合は、当該第2周波数fとしてf=0.57fを選択すると、算術積を取ることにより、サイドローブレベルは17.3%に押さえられる。さらに、三つの周波数(すなわち、第1周波数を有する波動と、より低周波数の第2周波数を有する波動と、更により低周波数の第3周波数を有する波動)を用いた計測では、当該第2周波数fとしてf=0.74f、当該第3周波数fLLとしてfLL=0.42fを夫々選択すると、算術積を取ることにより、サイドローブレベルは2.7%まで低下させることができる。

【0049】
このように、算術積の対象となる波動の数を増加させると、サイドローブレベルを顕著に低下させることができるため、ゴーストの低減効果、及びメインローブの鋭化に非常に有効である。

【0050】
図6は、本発明の第1実施形態のセンサ100を用いたセンシング方法を示すフローチャートである。以下、図1と図4と図6とを参照して、第1実施形態のセンサ100を用いたセンシング方法を説明する。

【0051】
ステップ702:超音波発生部1から超音波を発信する。超音波は検知対象2に到達し、検知対象2で反射する。検知対象2で反射した超音波は、センサ100の入射面の鉛直方向に対して、所定の角度でセンサ100に入射する。所定の角度として、例えば、入射角30°とすることができる。

【0052】
ステップ704:センサ100は、検知対象2で反射した超音波を受信する。

【0053】
ステップ706:検知部102は、複数の周波数のうちの第1周波数を有する第1超音波と複数の周波数のうちの第2周波数を有する第2超音波とを検知する。

【0054】
複数の検知素子は固有の共振周波数(例えば、第1共振周波数141kHz、及び第2共振周波数278kHz)で共振する。例えば、複数の検知素子の各々は、広い周波数スペクトルを持つパルスを受信して固有の共振周波数で振動し、複数の可変遅延器の各々に共振周波数に応じた出力波形情報を出力する。複数の検知素子の各々から出力される出力波形情報は、複数の検知素子の各々の時間遅れを含む信号波形情報である。

【0055】
ステップ708:複数の可変遅延器の各々は、第1共振周波数に応じた第1出力波形情報を遅延し、遅延後の第1出力波形情報を加算器107eに出力する。

【0056】
以下、第1出力波形情報に関する複数の可変遅延器の機能を説明する。

【0057】
第1可変遅延器107aは、第1検知素子102aから出力された第1出力波形情報を受け取り、第1出力波形情報を遅延し、遅延後の第1出力波形情報を加算器107eに出力する。第2可変遅延器107b、第3可変遅延器107c、及び第4可変遅延器107dも同様に、夫々の対応する検知素子102b、102c、及び102dから出力された第1出力波形情報を受け取り、第1出力波形情報を遅延し、遅延後の第1出力波形情報を加算器107eに出力する。

【0058】
第1出力波形情報を複数の可変遅延器で処理することにより、加算器107eへの入力波形情報の位相を揃えることができる。

【0059】
ステップ710:複数の可変遅延器の各々は、第2共振周波数に応じた第2出力波形情報を遅延し、遅延後の第2出力波形情報を加算器107eに出力する。

【0060】
以下、第2出力波形情報に関する複数の可変遅延器の機能を説明する。

【0061】
第1可変遅延器107aは、第1検知素子102aから出力された第2出力波形情報を受け取り、第2出力波形情報を遅延し、遅延後の第2出力波形情報を加算器107eに出力する。第2可変遅延器107b、第3可変遅延器107c、及び第4可変遅延器107dも同様に、夫々の対応する検知素子102b、102c、及び102dから出力された第2出力波形情報を受け取り、第2出力波形情報を遅延し、遅延後の第2出力波形情報を加算器107eに出力する。

【0062】
第2出力波形情報を複数の可変遅延器で処理することにより、加算器107eへの入力波形情報の位相を揃えることができる。

【0063】
ステップ712:加算器107eは、複数の可変遅延器の各々から出力された遅延後の第1出力波形情報を加算(同相合成)し、判定部108に加算結果(第1情報)を出力する。さらに、加算器107eは、複数の可変遅延器の各々から出力された遅延後の第2出力波形情報を加算(同相合成)し、判定部108に加算結果(第2情報)を出力する。

【0064】
ステップ708~ステップ712を実行することによって、情報取得部106は、第1超音波の到来方向に関する第1情報と第2超音波の到来方向に関する第2情報とを取得する。

【0065】
なお、上記センシング方法の例では、ステップ708を実行した後にステップ710を実行する例を示したが、ステップ708で遅延後の第1出力波形情報を加算器107eに出力するステップを実行し、ステップ710で遅延後の第2出力波形情報を加算器107eに出力するステップを実行し得る限りは、ステップ708とステップ710との実行順は問わない。例えば、ステップ708とステップ710とは並行して実行し得る。

【0066】
ステップ713:ステップ708~ステップ712を走査角度(φ)に亘って複数回繰り返す。これにより、走査範囲における全ての情報を取得し得る。

【0067】
ステップ714:判定部108は、第1情報を示す値と第2情報を示す値との算術積によって、検知対象の方向を判定する。

【0068】
ステップ716:表示部3には、検出結果が表示される。

【0069】
以上、図1から図6を参照して本発明の第1実施形態のセンサ100およびセンシング方法を説明した。

【0070】
なお、第1実施形態のセンサ100では、検知部102は、固有の共振周波数を有する超音波を検知する形態を説明したが、検知する超音波が、固有の共振周波数を有する超音波であることに限定されない。情報取得部106が、第1周波数を有する超音波の到来方向に関する情報と第2周波数を有する超音波の到来方向に関する情報とを取得し得る限りは、例えば、検知部102は、周波数フィルタを備え得る。周波数フィルタは、例えば、所望の第1周波数と第1周波数とは異なる所望の第2周波数とをフィルタリングする。検知部102は、第1周波数と第2周波数とに感度を有する。

【0071】
予め幾何学的に分析することによってゴースト低減効率のよい周波数と最も高分解である周波数とを認識しておれば、周波数フィルタによって検知部が検知する超音波の周波数をそれらの周波数に任意に設計することができる。その結果、周波数変換等の特別な処理を行うことなく、ゴーストが最も低減化され、最も高分解能なセンサを容易に実現し得る。

【0072】
例えば、予め幾何学的に分析することによって第1偽情報と第2偽情報とのうち第2偽情報にのみグレーティングローブに対応する情報が含まれるよう第1周波数と第2周波数とを認識しておけば、検知部102が検知する超音波の周波数を第1周波数と第2周波数とに設計し得る。この場合、第1周波数が低周波数に対応し、第2周波数が高周波数に対応する。

【0073】
さらに、例えば、予め幾何学的に分析することによって、検知部102は、計測走査範囲内に第1共振周波数に対応する指向性パターンを示す第1グレーティングローブを示すことなく、かつ第1グレーティングローブと第2共振周波数に対応する指向性パターンを示す第2グレーティングローブとが共通部分を有さないように、第1周波数と第2周波数とを選択し得る。

【0074】
本発明のセンサによれば、検知部102は、複数の周波数のうちの少なくとも第1周波数を有する第1超音波と第2周波数を有する第2超音波とを検知し、第1超音波の到来方向に関する第1情報と第2超音波の到来方向に関する第2情報とを取得し、少なくとも第1情報と第2情報とに基づいて、検知対象の方向を判定するので、高い方の単一の周波数だけでは大きく発生してしまうゴーストを低減化し、低い方の単一の周波数だけでは得られない鋭い指向性(高分解能)のセンサを実現することができる。

【0075】
このように、本発明のセンサの構成によれば、単一のセンサで複数の情報を取得することにより、素子間隔を狭めることなくグレーティングローブの影響を無くすことができる。従って、同じ精度の角度分解能を得るため(すなわち、同じ径を持つアレイを構成するため)の素子数を大幅に削減できる。特に、三次元計測において素子を二次元に配置した場合は、この削減効果も二乗で効くのでさらに効果的である。

【0076】
また、上記第1実施形態で説明したように、第1偽情報と第2偽情報とが異なるように第1周波数と第2周波数とを選択した場合は、第1情報と第2情報とに基づいて検知対象の方向を判定することによって確実にゴースト低減を実現し得る。

【0077】
さらに、検知対象の方向を判定する際に、上記第1実施形態で説明したように、第1情報を示す値と第2情報を示す値との算術積を求めると、グレーティングローブの影響を無くすことができるため、ゴースト低減を実現し得る。なお、算術積は、簡易な演算回路で求め得るため、簡易且つ安価なセンサ構造を構築し得る。

【0078】
〔第2実施形態〕
図7は、本発明の第2実施形態のセンサ800の構成を示す模式図である。センサ800は、検知対象2から到来する複数の周波数を有する超音波を検知する検知部802と、情報処理部104とを備える。情報処理部104は、情報取得部106と、判定部108とを含む。検知部802は、複数の検知素子(第5検知素子802a、第6検知素子802b、第7検知素子802c、及び第8検知素子802d)を含む。センサ800の構成は、検知部802を除いて第1実施形態のセンサ100の構成と同一である。例えば、圧電ダイアフラム型マイクロセンサが複数の検知素子の各々として機能する。図7において、ダイアフラム部分の長さ(アレイの直径)を長さaで示し、素子周期(素子間隔)を長さbで示す。

【0079】
図8は、複数の検知素子のうちの1つ(第5検知素子802a)の例として圧電ダイアフラム型マイクロセンサを示す断面図である。第5検知素子802aは、Si基板202と、SiO層204と、下部電極層206と、圧電体層208と、上部電極層210と、外側電極912と、周波数調整部914とを含む。第5検知素子802aの構成は、外側電極912と、周波数調整部914を除いて第1実施形態の第1検知素子102aの構成と同一である。

【0080】
外側電極912は、Auを含む。Au電極は、例えば、外側電極912として機能する。周波数調整部914は、外側電極912に電圧を印加して逆圧電効果によりダイアフラムに応力を発生させることによって、第5検知素子802aが検知する超音波の周波数を第1周波数から第2周波数に調整する。

【0081】
第6検知素子802b、第7検知素子802c、及び第8検知素子802dの各々の構成は、第5検知素子802aの構成と等価である。

【0082】
図9は、第5検知素子802aによって検知された超音波に基づく波動に対応する応答波形を示す波形図である。縦軸は出力電圧を示し、横軸は時間を示す。図9に示した二つの波形図のうち、(a)は外側電極912に電圧0vを印加した場合の応答波形を示し、(b)は外側電極912に電圧5vを印加した場合の応答波形を示す。電圧印加により応答波形の周期が変化している。

【0083】
図10は、外側電極912への印加電圧に対する第5検知素子802aの共振周波数変化を示す履歴図である。縦軸は共振周波数の変化を示し、横軸は外側電極への印加電圧を示す。

【0084】
第5検知素子802aの共振周波数が、外側電極912への印加電圧に応じて強誘電体特有のバタフライカーブを描いて変化している。外側電極912への電圧印加によって5v印加で50%近い周波数調整幅を実現し得る。

【0085】
図11は、本発明の第2実施形態のセンサ800を用いたセンシング方法を示すフローチャートである。以下、図7と図8と図11とを参照して、第2実施形態のセンサ800を用いたセンシング方法を説明する。第2実施形態のセンサ800を用いたセンシング方法のステップは、ステップ1205、ステップ1206、ステップ1209、ステップ1210、ステップ1213を除いて第1実施形態のセンサ100を用いたセンシング方法のステップと同一である。

【0086】
ステップ702、ステップ704に続いてステップ1205、ステップ1206を実行する。

【0087】
ステップ1205:周波数調整部914は、複数の検知素子が検知する超音波の周波数を第1周波数に調整する。

【0088】
ステップ1206:検知部802は、複数の周波数のうちの第1周波数を有する第1超音波を検知する。

【0089】
複数の検知素子は固有の共振周波数(例えば、第1共振周波数141kHz)で共振する。例えば、複数の検知素子の各々は、広い周波数スペクトルを持つパルスを受信して固有の共振周波数で振動し、複数の可変遅延器の各々に共振周波数に応じた出力波形情報を出力する。複数の検知素子の各々から出力される出力波形情報は、複数の検知素子の各々の時間遅れを含む信号波形情報である。

【0090】
ステップ1206に続いてステップ708、ステップ1209、ステップ1210を実行する。

【0091】
ステップ1209:周波数調整部914は、外側電極912に電圧を印加して複数の検知素子が検知する超音波の周波数を第2周波数に調整する。

【0092】
ステップ1210:超音波発生部1から超音波を発生する。検知部802は、第2超音波を検知する。

【0093】
ステップ1210に続いてステップ710、ステップ1213を実行する。

【0094】
ステップ1213:ステップ708~ステップ712を走査角度(φ)に亘って複数回繰り返す。

【0095】
ステップ1213に続いてステップ714、ステップ716を実行する。

【0096】
以上、図7から図11を参照して本発明の第2実施形態のセンサ800およびセンシング方法を説明した。

【0097】
本発明のセンサによれば、複数の周波数のうちの少なくとも第1周波数を有する第1超音波と第2周波数を有する第2超音波とを検知し、第1超音波の到来方向に関する第1情報と第2超音波の到来方向に関する第2情報とを取得し、少なくとも第1情報と第2情報とに基づいて、検知対象の方向を判定するので、高い方の単一の周波数だけでは大きく発生してしまうグレーティングローブに基づくゴーストを低減化し、低い方の単一の周波数だけでは得られない鋭い指向性(高分解能)のセンサを実現することができる。

【0098】
このように、本発明のセンサの構成によれば、単一のセンサで複数の情報を取得することにより、素子間隔を狭めることなくグレーティングローブの影響を無くすことができる。従って、同じ精度の角度分解能を得るため(すなわち同じ径を持つアレイを構成するため)の素子数を大幅に削減できる。特に、三次元計測において素子を二次元に配置した場合は、この削減効果も二乗で効くのでさらに効果的である。

【0099】
なお、周波数調整部914は、第1共振周波数を第1共振周波数とは異なる周波数に調整し得る限りは、外側電極912に電圧を印加することにより調整することに限定されない。例えば、周波数調整部914は、複数の検知素子に熱、磁場、光等の外部エネルギーを加えることによって複数の検知素子が検知する超音波の周波数を第1周波数から第2周波数に調整し得る。

【0100】
本発明の構成によれば、予め幾何学的に分析することによってゴースト低減効率のよい周波数と最も高分解である周波数とを認識しておれば、検知部が検知する超音波の周波数をそれらの周波数に任意に調整することができる。その結果、ゴーストが最も低減化され、最も高分解能なセンサを実現し得る。

【0101】
例えば、予め幾何学的に分析することによって第1偽情報と第2偽情報とのうち第2偽情報にのみグレーティングローブに対応する情報が含まれるよう第1周波数と第2周波数とを認識しておけば、周波数調整部914によって検知部802が検知する周波数を第1周波数と第2周波数とに調整し得る。この場合、第1周波数が低周波数に対応し、第2周波数が高周波数に対応する。

【0102】
さらに、例えば、予め幾何学的に分析することによって、計測走査範囲内に第1共振周波数に対応する指向性パターンを示す第1グレーティングローブを示すことなく、かつ第1グレーティングローブと第2共振周波数に対応する指向性パターンを示す第2グレーティングローブとが共通部分を有さないように、周波数調整部914は、検知部802が検知する第1周波数と第2周波数とを調整し得る。

【0103】
以上、図1から図11を参照して本発明のセンサおよびセンシング方法を説明した。

【0104】
なお、上記説明では、検知素子は、圧電ダイアフラム(四辺固定)型を想定しているが、検知対象から到来する複数の周波数を有する波動を検知し得る限りは、圧電ダイアフラム(四辺固定)型に限定されない。例えば、ブリッジ(二辺固定)型、カンチレバー(一辺固定)型でも適用可能である。

【0105】
さらに、上記説明では、検知部によって検知される波動が有する周波数は、2つを想定しているが複数であれば2つに限定されない。例えば、3つ以上の周波数を有する波動を検知することも、本発明の範囲である。この場合、検知した3つ以上の周波数を有する波動を全て利用してセンシングを行ってもよいし、検知したものの中から任意の2つの波動を選択してセンシングを行ってもよい。さらに、上記説明では一方が低周波数で他方が高周波数である形態を説明したが、両周波数が低周波数である形態、両周波数が高周波数である形態をも想定し得え、高分解能化とゴースト低減とうちの少なくとも一方の効果が見込まれ得る。

【0106】
さらに、上記説明では、判定部108は、第1情報を示す値と第2情報を示す値との算術積を算出したが、算術積に限定されない。例えば、ミニマム演算によって算出してもよく、さらには、算術積、及びミニマム演算を組み合わせて行った算出も、本発明の範囲である。例えば、検知する周波数が3つの場合には、第1情報を示す値と第2情報を示す値との算術積を求め、さらに算術積と第3情報を示す値とのミニマム演算を実行し得る。なお、ミニマム演算とは、複数の値の中から最小の値を選択することを意味する。

【0107】
さらに、上記説明では、波動として主に超音波に基づく波動を想定しているが、検知部が、検知対象から到来する複数の周波数を有する波動を検知し得る限りは、到来する波動は、超音波に基づく波動に限定されない。例えば、到来する波動が、電磁波(光、赤外線、X線等)に基づく波動でもよい。

【0108】
到来する波動が光に基づく波動である場合、検知素子として、例えば光電素子を採用し得る。光発生部(発光素子)は検知対象に向けて光を発する。光は、検知対象に到達し、検知対象で反射する。検知対象で反射した光は、センサに到来する。

【0109】
光電素子は、検知対象から到来する複数の周波数を有する波動を検知する。光電素子が光を受光することによって、光電素子に電流が流れる。センサは電流に基づいて検知対象の方向を検出する。

【0110】
上記光電素子としては、例えば硫化カドミウム素子(CdS素子)を採用し得る。CdS素子に到来する光の強弱を制御することにより、CdS素子の抵抗値を変更し得、明るさに応じてCdS素子の抵抗値が変化する。周囲が暗い時はCdS素子の抵抗値が高く、CdS素子にはほとんど電流が流れない。周囲が明るくなると、CdS素子の抵抗値が低くなり、CdS素子に電流が流れる。

【0111】
検知素子として、例えば、フォト・ダイオードを採用し得る。フォト・ダイオードのPN接合に光が当たると電位差が生じ、フォト・ダイオードに電流が流れる。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明によるセンサおよびセンシング方法は、センシング分野(例えば、障害物検知(車庫入れ、縦列駐車、自律移動ロボット)、姿勢検知(ドライバの居眠り防止、被介護者のモニタリング))に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0113】
100 センサ
102 検知部
102a 第1検知素子
102b 第2検知素子
102c 第3検知素子
102d 第4検知素子
104 情報処理部
106 情報取得部
108 判定部
914 周波数調整部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11