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明細書 :悪性腫瘍のPET診断用トレーサー

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-030671 (P2015-030671A)
公開日 平成27年2月16日(2015.2.16)
発明の名称または考案の名称 悪性腫瘍のPET診断用トレーサー
国際特許分類 C07D 487/22        (2006.01)
A61K  51/00        (2006.01)
FI C07D 487/22 CSP
A61K 49/02 A
請求項の数または発明の数 12
出願形態 OL
全頁数 40
出願番号 特願2013-159132 (P2013-159132)
出願日 平成25年7月31日(2013.7.31)
発明者または考案者 【氏名】松井 裕史
【氏名】田村 磨聖
【氏名】廣原 志保
【氏名】谷原 正夫
【氏名】垣内 喜代三
出願人 【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
【識別番号】504143441
【氏名又は名称】国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学
【識別番号】504237050
【氏名又は名称】独立行政法人国立高等専門学校機構
個別代理人の代理人 【識別番号】100092783、【弁理士】、【氏名又は名称】小林 浩
【識別番号】100120134、【弁理士】、【氏名又は名称】大森 規雄
【識別番号】100128761、【弁理士】、【氏名又は名称】田村 恭子
【識別番号】100104282、【弁理士】、【氏名又は名称】鈴木 康仁
審査請求 未請求
テーマコード 4C050
4C085
Fターム 4C050PA05
4C085HH03
4C085KA09
4C085KA29
4C085KB56
4C085LL18
要約 【課題】陽電子放出同位体を用いた悪性腫瘍のPET診断用トレーサーの提供。
【解決手段】下記式、
JP2015030671A_000072t.gif
で例示される、ポルフィリン化合物に陽電子亜鉛などの陽電子放出金属同位体を錯体化した物質で、これを用いてPET診断を行うことにより従来よりも効果的に腫瘍を検出し得るポルフィリン化合物。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
次式(I):
【化1】
JP2015030671A_000048t.gif
(式中、R1、R2、R4、R5、R7、R8、R10及びR11は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アゾメチンイリド、任意に置換されてもよいC1-10アルキル、任意に置換されてもよいC2-10アルケニル、又は任意に置換されてもよいC2-10アルキニルを表し、ここで、置換基は、アミド結合を有する基、並びにOR20及びCOOR20(R20は、水素原子、C1-6アルキル、C2-6アルケニル又はC2-6アルキニルを表す。)からなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
R3、R6、R9及びR12は、それぞれ独立して、水素原子、任意に置換されてもよいC1-10アルキル、任意に置換されてもよいC2-10アルケニル、任意に置換されてもよいC2-10アルキニル、任意に置換されてもよいC6-14アリール、任意に置換されてもよいC7-20アリールアルキル、又は任意に置換されてもよい5~14員ヘテロアリールを表し、ここで、置換基は、C1-6アルキル、C6-14アリール、C7-20アリールアルキル、OR20及びCOOR20(R20は前記と同様である。)、酸素原子、窒素原子、炭素原子又は硫黄原子が結合してもよい糖、ハロゲン原子、並びに次式:
【化2】
JP2015030671A_000049t.gif
(式中、nは1~200の整数を表す。)
で示される基からなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
各置換基は、アミノ酸、葉酸、抗体、次式:
【化3】
JP2015030671A_000050t.gif
(式中、nは1~200の整数を表す。)
で示される基、アジ化物又はこれらの組み合わせを含む基でさらに置換されてもよく、
Mは、[64Cu]、[52Mn] 、[52Fe]、[99mTc]、[111In]、[68Ga]及び[62Zn]から選択される陽電子放出核種であり、
【化4】
JP2015030671A_000051t.gif
は単結合又は二重結合を表す。)
で示されるポルフィリン化合物を含む、腫瘍のPET診断用トレーサー。
【請求項2】
R1、R2、R4、R5、R7、R8、R10及びR11は、それぞれ独立して、水素原子、又は任意に置換されてもよいC1-10アルキルを表し、ここで、置換基は、アミド結合を有する基、並びにOR20及びCOOR20(R20は、水素原子、C1-6アルキル、C2-6アルケニル又はC2-6アルキニルを表す。)からなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項1に記載のトレーサー。
【請求項3】
R3、R6、R9及びR12は、それぞれ独立して、水素原子、又は任意に置換されてもよいC6-14アリールを表し、ここで、置換基は、OR20及びCOOR20(R20は前記と同様である。)、酸素原子、窒素原子、炭素原子又は硫黄原子が結合してもよい糖、ハロゲン原子、並びに次式:
【化5】
JP2015030671A_000052t.gif
(式中、nは1~200の整数を表す。)
で示される基からなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
各置換基は、葉酸、次式:
【化6】
JP2015030671A_000053t.gif
(式中、nは1~200の整数を表す。)
で示される基、アジ化物又はこれらの組み合わせを含む基でさらに置換されてもよい、
請求項1または2に記載のトレーサー。
【請求項4】
R1、R2、R4、R5、R7、R8、R10及びR11は、水素原子を表し、
R3、R6、R9及びR12は、それぞれ独立して、任意に置換されてもよいC6-14アリールを表し、ここで、置換基は、酸素原子、窒素原子、炭素原子又は硫黄原子が結合してもよい糖、ハロゲン原子、並びに次式:
【化7】
JP2015030671A_000054t.gif
(式中、nは1~200の整数を表す。)
で示される基からなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項1~3のいずれか1項に記載のトレーサー。
【請求項5】
アミド結合を有する基が、-CONHCH2CH2NHCOCH2CH2COOR40(R40は次式:
【化8】
JP2015030671A_000055t.gif
(式中、nは1~200の整数を表す。)
で示される基を表す。)で示される基である請求項1~3のいずれか1項に記載のトレーサー。
【請求項6】
Mが[62Zn] である請求項1~5のいずれか1項に記載のトレーサー。
【請求項7】
ハロゲン原子がFである請求項1~6のいずれか1項に記載のトレーサー。
【請求項8】
ポルフィリン化合物が、次式(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)及び(VIII)のいずれかで示されるものである請求項1に記載のトレーサー。
【化9】
JP2015030671A_000056t.gif
(式中、PEG1000は分子量1000のポリエチレングリコールを表し、Znは[62Zn]を表す。)
【化10】
JP2015030671A_000057t.gif
(式中、PEG5000は分子量5000のポリエチレングリコールを表し、Znは[62Zn]を表す。)
【化11】
JP2015030671A_000058t.gif
(式中、Znは[62Zn]を表す。)
【化12】
JP2015030671A_000059t.gif
(式中、PEG3000は分子量3000のポリエチレングリコールを表し、Znは[62Zn]を表す。)
【化13】
JP2015030671A_000060t.gif
(式中、R31、R32、R33及びR34は、それぞれ独立して、フッ素原子又はエチレングリコールを表し、Znは[62Zn]を表す。)
【化14】
JP2015030671A_000061t.gif
(式中、Znは[62Zn]を表す。)
【化15】
JP2015030671A_000062t.gif
(式中、Znは[62Zn]を表す。)
【請求項9】
次式(IX)で示されるポルフィリン化合物を含む、腫瘍のPET診断用トレーサー。
【化16】
JP2015030671A_000063t.gif
(式中、Rbは-CH(OH)CH3又は-CH=CH2を表し、Znは[62Zn]を表し、nは1~6の整数を表す。)
【請求項10】
次式(IV)で示されるポルフィリン化合物。
【化17】
JP2015030671A_000064t.gif
(式中、Znは[62Zn]を表す。)
【請求項11】
次式(VII)で示されるポルフィリン化合物。
【化18】
JP2015030671A_000065t.gif
(式中、Znは[62Zn]を表す。)
【請求項12】
次式(I'):
【化19】
JP2015030671A_000066t.gif
(式中、R1、R2、R4、R5、R7、R8、R10及びR11は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アゾメチンイリド、任意に置換されてもよいC1-10アルキル、任意に置換されてもよいC2-10アルケニル、任意に置換されてもよいC2-10アルキニルを表し、ここで、置換基は、アミド結合を有する基、並びにOR20及びCOOR20(R20は、水素原子、C1-6アルキル、C2-6アルケニル又はC2-6アルキニルを表す。)からなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
R3、R6、R9及びR12は、それぞれ独立して、水素原子、任意に置換されてもよいC1-10アルキル、任意に置換されてもよいC2-10アルケニル、任意に置換されてもよいC2-10アルキニル、任意に置換されてもよいC6-14アリール、任意に置換されてもよいC7-20アリールアルキル、又は任意に置換されてもよい5~14員ヘテロアリールを表し、ここで、置換基は、C1-6アルキル、C6-14アリール、C7-20アリールアルキル、OR20及びCOOR20(R20は前記と同様である。)、酸素原子、窒素原子、炭素原子又は硫黄原子が結合してもよい糖、ハロゲン原子、並びに次式:
【化20】
JP2015030671A_000067t.gif
(式中、nは1~200の整数を表す。)
で示される基からなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
各置換基は、アミノ酸、葉酸、抗体、次式:
【化21】
JP2015030671A_000068t.gif
(式中、nは1~200の整数を表す。)
で示される基、アジ化物又はこれらの組み合わせを含む基でさらに置換されてもよく、
【化22】
JP2015030671A_000069t.gif
は単結合又は二重結合を表す。)
で示されるポルフィリン化合物に、[64Cu]、[52Mn]、[52Fe]、[99mTc]、[111In]、[68Ga]及び[62Zn]から選択される陽電子放出核種を導入することを特徴とする、次式(I):
【化23】
JP2015030671A_000070t.gif
(式中、R1~R12及び
【化24】
JP2015030671A_000071t.gif
は前記と同様であり、Mは、[64Cu]、[52Mn]、[52Fe]、[99mTc]、[111In]、[68Ga]及び[62Zn]から選択される陽電子放出核種を表す。)
で示される化合物の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、陽電子放出同位体を用いた悪性腫瘍のPET診断用トレーサーに関する。
【背景技術】
【0002】
腫瘍に対するポルフィリン類の親和性はよく知られており、比較的長い三重項寿命を有するポルフィリン化合物は、光線力学療法(PDT)を用いた悪性腫瘍の治療に使用されている。
他方、ポルフィリン化合物は、腫瘍の治療のみならず、腫瘍を可視化して腫瘍を検出又は診断するツールとして利用することが可能である。ポルフィリンはそれ自身が赤色に蛍光する物質であることから光線力学診断(PDD)として用いられてもいる。しかしこの診断では、多量の薬剤が必要となりこの薬剤によって正常部位に損傷(光細胞毒性)を与えてしまう。一方、陽電子放射断層撮影(Positron Emission Tomography:PET)に用いる薬剤濃度は光細胞毒性の起こらない低濃度で診断することから、ポルフィリンに由来する副作用がほぼないという利点がある。
【0003】
18F-FDG(フルオロデオキシグルコース)は、主にPETに使用されている診断薬である。しかし、18F-FDGは、糖を必要としない部位や通常でも糖代謝が高い部位の診断には適用することができないため、脳腫瘍や胃癌の診断をすることが困難である。また、18Fは半減期(t1/2 = 1.83時間)が短いため、使用しにくいという問題がある。
【0004】
また、胃癌や脳腫瘍に特異的に集積するポルフィリン誘導体(Photochlor)に124I核(t1/2= 4.13日)を導入したSingle-photon emission computed tomography (SPECT)用薬剤として、124I-Photochlor誘導体が開発された。マウス大腸癌(Colon26)腫瘍を移植したBALB/cマウスに対し、この化合物を用いた生体動態が報告されている(文献名:Suresh K. Pandey, J.Med. Chem. 2005, 48, 6286-6296(非特許文献1))。この化合物はPDT薬剤の誘導体であるが、放射核種を導入するための前駆体合成が特別に必要となり、放射核種の導入にも時間がかかる。このため、123I核(t1/2= 13時間)が使えず、半減期の長い124I核を用いたSPECT診断しかできない。この124I-Photochlor誘導体は腫瘍に集積するものの集積までの時間が遅く(48時間かかる)、また遊離したヨウ素が甲状腺に集まるという問題がある。
【先行技術文献】
【0005】

【非特許文献1】Suresh K. Pandey, J.Med. Chem. 2005, 48, 6286-6296
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、悪性腫瘍のPET診断用トレーサーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、 ポルフィリン化合物に陽電子亜鉛などの陽電子放出金属同位体を錯体化した物質を作製し、これを用いてPET診断を行うことにより従来よりも効果的に腫瘍を検出し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、次の[1]~[12]に記載の発明を提供するものである。
[1]次式(I):
【化25】
JP2015030671A_000002t.gif
(式中、R1、R2、R4、R5、R7、R8、R10及びR11は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アゾメチンイリド、任意に置換されてもよいC1-10アルキル、任意に置換されてもよいC2-10アルケニル、又は任意に置換されてもよいC2-10アルキニルを表し、ここで、置換基は、アミド結合を有する基、並びにOR20及びCOOR20(R20は、水素原子、C1-6アルキル、C2-6アルケニル又はC2-6アルキニルを表す。)からなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
R3、R6、R9及びR12は、それぞれ独立して、水素原子、任意に置換されてもよいC1-10アルキル、任意に置換されてもよいC2-10アルケニル、任意に置換されてもよいC2-10アルキニル、任意に置換されてもよいC6-14アリール、任意に置換されてもよいC7-20アリールアルキル、又は任意に置換されてもよい5~14員ヘテロアリールを表し、ここで、置換基は、C1-6アルキル、C6-14アリール、C7-20アリールアルキル、OR20及びCOOR20(R20は前記と同様である。)、酸素原子、窒素原子、炭素原子又は硫黄原子が結合してもよい糖、ハロゲン原子、並びに次式:
【化26】
JP2015030671A_000003t.gif
(式中、nは1~200の整数を表す。)
で示される基からなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
各置換基は、アミノ酸、葉酸、抗体、次式:
【化27】
JP2015030671A_000004t.gif
(式中、nは1~200の整数を表す。)
で示される基、アジ化物又はこれらの組み合わせを含む基でさらに置換されてもよく、
Mは、[64Cu]、[52Mn] 、[52Fe]、[99mTc]、[111In]、[68Ga]及び[62Zn]から選択される陽電子放出核種であり、
【化28】
JP2015030671A_000005t.gif
は単結合又は二重結合を表す。)
で示されるポルフィリン化合物を含む、腫瘍のPET診断用トレーサー。
[2]R1、R2、R4、R5、R7、R8、R10及びR11は、それぞれ独立して、水素原子、又は任意に置換されてもよいC1-10アルキルを表し、ここで、置換基は、アミド結合を有する基、並びにOR20及びCOOR20(R20は、水素原子、C1-6アルキル、C2-6アルケニル又はC2-6アルキニルを表す。)からなる群から選ばれる少なくとも1つである、[1]に記載のトレーサー。
[3]R3、R6、R9及びR12は、それぞれ独立して、水素原子、又は任意に置換されてもよいC6-14アリールを表し、ここで、置換基は、OR20及びCOOR20(R20は前記と同様である。)、酸素原子、窒素原子、炭素原子又は硫黄原子が結合してもよい糖、ハロゲン原子、並びに次式:
【化29】
JP2015030671A_000006t.gif
(式中、nは1~200の整数を表す。)
で示される基からなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
各置換基は、葉酸、次式:
【化30】
JP2015030671A_000007t.gif
(式中、nは1~200の整数を表す。)
で示される基、アジ化物又はこれらの組み合わせを含む基でさらに置換されてもよい、
[1]または[2]に記載のトレーサー。
[4] R1、R2、R4、R5、R7、R8、R10及びR11は、水素原子を表し、
R3、R6、R9及びR12は、それぞれ独立して、任意に置換されてもよいC6-14アリールを表し、ここで、置換基は、酸素原子、窒素原子、炭素原子又は硫黄原子が結合してもよい糖、ハロゲン原子、並びに次式:
【化31】
JP2015030671A_000008t.gif
(式中、nは1~200の整数を表す。)
で示される基からなる群から選ばれる少なくとも1つである、[1]~[3]のいずれか1項に記載のトレーサー。
[5]アミド結合を有する基が、-CONHCH2CH2NHCOCH2CH2COOR40(R40は次式:
【化32】
JP2015030671A_000009t.gif
(式中、nは1~200の整数を表す。)
で示される基を表す。)で示される基である、[1]~[3]のいずれか1項に記載のトレーサー。
[6]Mが[62Zn] である[1]~[5]のいずれか1項に記載のトレーサー。
[7]ハロゲン原子がFである[1]~[6]のいずれか1項に記載のトレーサー。
[8]ポルフィリン化合物が、次式(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)及び(VIII)のいずれかで示されるものである[1]に記載のトレーサー。
【化33】
JP2015030671A_000010t.gif
(式中、PEG1000は分子量1000のポリエチレングリコールを表し、Znは[62Zn]を表す。)
【化34】
JP2015030671A_000011t.gif
(式中、PEG5000は分子量5000のポリエチレングリコールを表し、Znは[62Zn]を表す。)
【化35】
JP2015030671A_000012t.gif
(式中、Znは[62Zn]を表す。)
【化36】
JP2015030671A_000013t.gif
(式中、PEG3000は分子量3000のポリエチレングリコールを表し、Znは[62Zn]を表す。)
【化37】
JP2015030671A_000014t.gif
(式中、R31、R32、R33及びR34は、それぞれ独立して、フッ素原子又はエチレングリコールを表し、Znは[62Zn]を表す。)
【化38】
JP2015030671A_000015t.gif
(式中、Znは[62Zn]を表す。)
【化39】
JP2015030671A_000016t.gif
(式中、Znは[62Zn]を表す。)
[9]次式(IX)で示されるポルフィリン化合物を含む、腫瘍のPET診断用トレーサー。
【化40】
JP2015030671A_000017t.gif
(式中、Rbは-CH(OH)CH3又は-CH=CH2を表し、Znは[62Zn]を表し、nは1~6の整数を表す。)
[10]次式(IV)で示されるポルフィリン化合物。
【化41】
JP2015030671A_000018t.gif
(式中、Znは[62Zn]を表す。)
[11] 次式(VII)で示されるポルフィリン化合物。
【化42】
JP2015030671A_000019t.gif
(式中、Znは[62Zn]を表す。)
[12]次式(I'):
【化43】
JP2015030671A_000020t.gif
(式中、R1、R2、R4、R5、R7、R8、R10及びR11は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アゾメチンイリド、任意に置換されてもよいC1-10アルキル、任意に置換されてもよいC2-10アルケニル、任意に置換されてもよいC2-10アルキニルを表し、ここで、置換基は、アミド結合を有する基、並びにOR20及びCOOR20(R20は、水素原子、C1-6アルキル、C2-6アルケニル又はC2-6アルキニルを表す。)からなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
R3、R6、R9及びR12は、それぞれ独立して、水素原子、任意に置換されてもよいC1-10アルキル、任意に置換されてもよいC2-10アルケニル、任意に置換されてもよいC2-10アルキニル、任意に置換されてもよいC6-14アリール、任意に置換されてもよいC7-20アリールアルキル、又は任意に置換されてもよい5~14員ヘテロアリールを表し、ここで、置換基は、C1-6アルキル、C6-14アリール、C7-20アリールアルキル、OR20及びCOOR20(R20は前記と同様である。)、酸素原子、窒素原子、炭素原子又は硫黄原子が結合してもよい糖、ハロゲン原子、並びに次式:
【化44】
JP2015030671A_000021t.gif
(式中、nは1~200の整数を表す。)
で示される基からなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
各置換基は、アミノ酸、葉酸、抗体、次式:
【化45】
JP2015030671A_000022t.gif
(式中、nは1~200の整数を表す。)
で示される基、アジ化物又はこれらの組み合わせを含む基でさらに置換されてもよく、
【化46】
JP2015030671A_000023t.gif
は単結合又は二重結合を表す。)
で示されるポルフィリン化合物に、[64Cu]、[52Mn]、[52Fe]、[99mTc]、[111In]、[68Ga]及び[62Zn]から選択される陽電子放出核種を導入することを特徴とする、次式(I):
【化47】
JP2015030671A_000024t.gif
(式中、R1~R12及び
【化48】
JP2015030671A_000025t.gif
は前記と同様であり、Mは、[64Cu]、[52Mn]、[52Fe]、[99mTc]、[111In]、[68Ga]及び[62Zn]から選択される陽電子放出核種を表す。)
で示される化合物の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、ポルフィリン化合物に陽電子放出金属同位体を錯体化した化合物が提供される。本発明の化合物は、悪性腫瘍のPET診断用トレーサーとして利用できる点で極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明のポルフィリン化合物の癌様細胞への取り込み実験を行った結果を示す図である。
【図2】本発明のポルフィリン化合物の癌様細胞への取り込み実験を行った結果を示す図である。
【図3】本発明のポルフィリン化合物を用いてPET評価を行った結果を示す図である。
【図4】 65Zn-TFPP(SGlc)trans-2の組織分布を示す図である。
【図5】 65Zn-TFPP(SGlc)trans-2の血中サンプル量測定結果を示す図である。
【図6】 65Zn-TFPP(SGlc)trans-2の全組織合計ID%を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、ポルフィリン化合物に陽電子放出金属同位体を錯体化した化合物であり、悪性腫瘍のPET(Positron Emission Tomography)の診断用トレーサーとして利用することができるものである。

【0012】
本発明者は、ポルフィリンの腫瘍特異的集積性に着目し、陽電子放出金属同位体を用いてポルフィリンに錯体形成し、さらに必要に応じて錯体を糖鎖やエチレングリコール等で修飾した。この修飾された錯体は、腫瘍特異的に集積することからPET用造影剤として利用することができる。

【0013】
腫瘍細胞は、ブドウ糖の細胞膜輸送が正常細胞に比較すると亢進しているため、増殖することができる。フルオロデオキシグルコース(FDG)は、ブドウ糖の類似物質であり、ブドウ糖と同様に細胞に取り込まれてFDG6リン酸に変化する。その後、解糖系で代謝されずに細胞内に蓄積される。FDGにおけるF18(フッ素18)(18F-FDGという)はγ線を発生するので、PETでは、そのγ線を検出して画像化させる。従って、PET造影においては、患者に18F-FDGを投与してその集積を診断する。しかし、脳や胃などの正常でも糖利用の多い臓器では、腫瘍を検出することが困難であった。

【0014】
そこで本発明者は、脳などの糖利用の多い臓器でも腫瘍を検出することを可能とするべく鋭意研究を行った結果、62Zn等の陽イオン放出金属同位体を用いて錯体を形成させることにより高感度に腫瘍を検出することを見出した。
本発明は、金属が導入されていないポルフィリン化合物に陽電子放出核種を導入することを特徴とするポルフィリン誘導体の迅速合成法を提供する。また、本発明は、合成されたポルフィリン誘導体がin vitro及びin vivoにおいて特異的に胃癌に集積するという知見に基づき、新規PET診断用トレーサーを提供する。

【0015】
本発明において使用されるポルフィリン化合物は次式(I)に示されるものである。
式(I):
【化49】
JP2015030671A_000026t.gif
式中、R1、R2、R4、R5、R7、R8、R10及びR11は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アゾメチンイリド、任意に置換されてもよいC1-10アルキル、任意に置換されてもよいC2-10アルケニル、又は任意に置換されてもよいC2-10アルキニルを表し、ここで、置換基は、アミド結合を有する基、並びにOR20及びCOOR20(R20は、水素原子、C1-6アルキル、C2-6アルケニル又はC2-6アルキニルを表す。)からなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
R3、R6、R9及びR12は、それぞれ独立して、水素原子、任意に置換されてもよいC1-10アルキル、任意に置換されてもよいC2-10アルケニル、任意に置換されてもよいC2-10アルキニル、任意に置換されてもよいC6-14アリール、任意に置換されてもよいC7-20アリールアルキル、又は任意に置換されてもよい5~14員ヘテロアリールを表し、ここで、置換基は、C1-6アルキル、C6-14アリール、C7-20アリールアルキル、OR20及びCOOR20(R20は前記と同様である。)、酸素原子、窒素原子、炭素原子又は硫黄原子が結合してもよい糖、ハロゲン原子、並びに次式:
【化50】
JP2015030671A_000027t.gif
(nは1~200の整数を表す。)
で示される基からなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
各置換基は、アミノ酸、葉酸、抗体、次式:
【化51】
JP2015030671A_000028t.gif
(nは1~200の整数を表す。)
で示される基、アジ化物又はこれらの組み合わせを含む基でさらに置換されてもよく、
Mは、[64Cu]、[52Mn] 、[52Fe]、[99mTc]、[111In]、[68Ga]及び[62Zn]から選択される陽電子放出核種であり、
【化52】
JP2015030671A_000029t.gif
は単結合又は二重結合を表す。

【0016】
本発明において、「C1-10アルキル」、「C1-6アルキル」とは、炭素数がそれぞれ1~10個、1~6個の直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基を意味する。このようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、1-プロピル基、2-プロピル基、2-メチル-1-プロピル基(i-ブチル基)、2-メチル-2-プロピル基(t-ブチル基)、1-ブチル基、2-ブチル基、1-ペンチル基、ヘキシル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基などが挙げられ、好ましくは、メチル基、エチル基、1-プロピル基、2-プロピル基などである。

【0017】
「C2-10アルケニル」、「C2-6アルケニル」とは、炭素数がそれぞれ1~10個、2~6個の直鎖状又は分枝鎖状のアルケニル基を意味する。このようなアルケニル基としては、例えばエテニル基(ビニル基)、1-プロペニル基、2-プロペニル基(アリル基)、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、ペンテニル基などが挙げられる。
「C2-10アルキニル」、「C2-6アルキニル」とは、炭素数がそれぞれ2~10個、2~6個の直鎖状又は分枝鎖状のアルキニル基を意味する。このようなアルキニル基としては、例えばエチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、1-ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、ペンチニル基などが挙げられる。

【0018】
「C6-14アリール」とは、炭素数が6~14個の芳香族炭化水素基を意味し、例えばフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、インデニル基などが挙げられ、好ましくはフェニル基である。
「C7-20アリールアルキル」は、C7~C12アリールアルキル基であることが好ましい。アリールアルキル基の例としては、例えばベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、1-ナフチルメチル、2-ナフチルメチル、2,2-ジフェニルエチル、3-フェニルプロピル、4-フェニルブチル、5-フェニルペンチル等を挙げることができる。
「5~14員ヘテロアリール」とは、環を構成する原子数が5~14個であり、その原子中に1~5個のヘテロ原子(窒素原子、酸素原子又は硫黄原子)を含有する芳香族基を意味する。このようなヘテロアリール基としては、例えばフリル基、チエニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、チアゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、フラザニル基、チアジアゾリル基、オキサジアゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基などが挙げられる。

【0019】
本発明において、「アミド結合」とは、カルボニル基と窒素との結合を意味し、「アミド結合を有する基」としては、例えば-CONHCH2CH2NHCOCH2CH2COOR40(R40は次式:
【化53】
JP2015030671A_000030t.gif
(nは1~200の整数を表す。)
で示される基を表す。)で示される基が挙げられる。

【0020】
本発明において、「ハロゲン原子」とは、フッ素原子(F)、塩素原子(Cl)、臭素原子(Br)又はヨウ素原子(I)を意味し、好ましくはFである。
本発明において、「糖」としては、グルコース、ガラクトース、アラビノース、キシロース、フコース、グルコサミン、ガラクトサミンなどが挙げられ、酸素原子、窒素原子、炭素原子又は硫黄原子が結合した糖も含まれる。中でも、硫黄原子(チオール基)が結合したグルコースが好ましい。

【0021】
また、本発明において、「アミノ酸」は、同一分子内にカルボキシル基とアミノ基を有する化合物をいうが、プロリン、ヒドロキシプロリン等のイミノ酸もアミノ酸に含まれる。アミノ酸としては、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、リシン、ヒドロキシリシン、アルギニン、システイン、シスチン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジン、プロリン、4-ヒドロキシプロリンなどが挙げられる。

【0022】
「葉酸」は、プテロイルグルタミン酸であり、下記式:
【化54】
JP2015030671A_000031t.gif
のいずれかで示される。
「抗体」としては、モノクロナール抗体などが挙げられる。
「アジ化物」は、-N3原子団を持つ化合物であり、アジドともいう。本発明においては、アジ化物には、トリアゾリル基なども含まれる。

【0023】
また、式(I)において、
【化55】
JP2015030671A_000032t.gif
は単結合又は二重結合を示すが(式(I)の7位と8位、17位と18位)、単結合の場合は、7位と8位、及び17位と18位には、それぞれR4及びR5、R10及びR11以外に水素原子が結合している。

【0024】
本発明の好ましい態様において、 R1、R2、R4、R5、R7、R8、R10及びR11は、それぞれ独立して、水素原子、又は任意に置換されてもよいC1-10アルキルを表し、ここで、置換基は、アミド結合を有する基、並びにOR20及びCOOR20(R20は、水素原子、C1-6アルキル、C2-6アルケニル又はC2-6アルキニルを表す。)からなる群から選ばれる少なくとも1つである。

【0025】
また、本発明の好ましい態様において、R3、R6、R9及びR12は、それぞれ独立して、水素原子、又は任意に置換されてもよいC6-14アリールを表し、ここで、置換基は、OR20及びCOOR20(R20は前記と同様である。)、酸素原子、窒素原子、炭素原子又は硫黄原子が結合してもよい糖、ハロゲン原子、並びに次式:
【化56】
JP2015030671A_000033t.gif
(nは1~200の整数を表す。)
で示される基からなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
各置換基は、葉酸、次式:
【化57】
JP2015030671A_000034t.gif
(nは1~200の整数を表す。)
で示される基、アジ化物又はこれらの組み合わせを含む基でさらに置換されてもよい。
これらの中でも、本発明においては、R1、R2、R4、R5、R7、R8、R10及びR11は、水素原子を表し、
R3、R6、R9及びR12は、それぞれ独立して、任意に置換されてもよいC6-14アリールを表し、ここで、置換基は、酸素原子、窒素原子、炭素原子又は硫黄原子が結合してもよい糖、ハロゲン原子、並びに次式:
【化58】
JP2015030671A_000035t.gif
(nは1~200の整数を表す。)
で示される基からなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
本発明において「これらの組み合わせを含む基」としては、例えば、次式で示される基などが挙げられる。
【化59】
JP2015030671A_000036t.gif

【0026】
また、本発明において、「アミド結合を有する基」は、-CONHCH2CH2NHCOCH2CH2COOR40(R40は前記と同様である。)で示される基であることが好ましい。
次式:
【化60】
JP2015030671A_000037t.gif
で示される基においてnは1から200の整数を表すが、本発明においては、nが1のときはエチレングリコールであり、nが2以上のものをポリエチレングリコールという。従って、ポリエチレングリコールには、ジエチレングリコール(n=2)、トリエチレングリコール(n=3)等も含まれる。
ポリエチレングリコールの場合の分子量は124(n=2)以上であり12,500(n=200)以下である。好ましくは1000~8000であり、さらに好ましくは1000~5000である。

【0027】
また本発明において、 Mは、62Znであることが好ましい。
このようなポルフィリン化合物のさらに好ましい具体例としては、例えば次式(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)及び(VIII)のいずれかで示されるものを挙げることができる。
【化61】
JP2015030671A_000038t.gif
(式中、PEG1000は分子量1000のポリエチレングリコールを表し、Znは[62Zn]を表す。)
【化62】
JP2015030671A_000039t.gif
(式中、PEG5000は分子量5000のポリエチレングリコールを表し、Znは[62Zn]を表す。)
【化63】
JP2015030671A_000040t.gif
(式中、Znは[62Zn]を表す。)
式(IV)において、R21~R24の少なくとも一つは、硫黄原子が結合したグルコース(SGlc)であることが好ましい。

【0028】
式(IV)において、R21がSGlc、R22、R23及びR24がフッ素原子のものを「ZnTFPP(SGlc)1」という。
R21及びR22がSGlc、R23及びR24がフッ素原子のものを「ZnTFPP(SGlc)cis-2」という。
R21及びR23がSGlc、R22及びR24がフッ素原子のものを「ZnTFPP(SGlc)trans-2」という。
R21、R22及びR23がSGlc、R24がフッ素原子のものを「ZnTFPP(SGlc)3」という。
R21、R22、R23及びR24がSGlcのものを「ZnTFPP(SGlc)4」という。
【化64】
JP2015030671A_000041t.gif
(式中、PEG3000は分子量3000のポリエチレングリコールを表し、Znは[62Zn]を表す。)
【化65】
JP2015030671A_000042t.gif
(式中、R31、R32、R33及びR34は、それぞれ独立して、フッ素原子又はエチレングリコールを表し、Znは[62Zn]を表す。)

【0029】
式(VI)において、R31~R34の少なくとも一つは、エチレングリコール(EG)であることが好ましい。
式(VI)において、R31がEG、R32、R33及びR34がフッ素原子のものを「Zn1EG」という。
R31及びR32がEG、R33及びR34がフッ素原子のものを「Zncis-2EG」という。
R31及びR33がEG、R32及びR34がフッ素原子のものを「Zntrans-2EG」という。
R31、R32及びR33がEG、R34がフッ素原子のものを「Zn3EG」という。
R31、R32、R33及びR34がEGのものを「Zn4EG」という。
【化66】
JP2015030671A_000043t.gif
(式中、Znは[62Zn]を表す。)
式(VII)で示される化合物を「Zn1propa」という。
【化67】
JP2015030671A_000044t.gif
(式中、Znは[62Zn]を表す。)
式(VIII)で示される化合物を「ZnTFPP-triazole-TEG-FA」という。

【0030】
さらに、本発明においては、次式(IX):
【化68】
JP2015030671A_000045t.gif
(式中、Rbは-CH(OH)CH3又は-CH=CH2を表し、Znは[62Zn]を表し、nは1~6の整数を表す。)
で示される化合物(「Zn-Photofrin」)も好ましい具体例として挙げることができる。

【0031】
これらの化合物は、PET診断用のトレーサーとして使用することができる。
これらの中でも、本発明のPET診断用のトレーサーとしては、次式(IV)で示される化合物が好ましく、硫黄原子が結合した糖がトランス型に配置した化合物(ZnTFPP(SGlc)trans-2)を特に好ましく使用することができる。
【化69】
JP2015030671A_000046t.gif
(式中、Znは[62Zn]を表す。)

【0032】
式(I)で示される化合物は、
次式(I'):
【化70】
JP2015030671A_000047t.gif
で示されるポルフィリン化合物に、[64Cu]、[52Mn]、[52Fe]、[99mTc]、[111In]、[68Ga]及び[62Zn]から選択される陽電子放出核種を導入することで製造することができる。

【0033】
本発明の一態様においては、例えば、金属が導入されていないポルフィリン化合物(式(I'))含有溶液に金属イオン(例えば62Znの金属イオン)含有溶液を加えて反応させることにより、陽電子放出核種が導入されたポルフィリン化合物を得ることができる。
陽電子放出核種を導入するためのポルフィリン骨格としては、例えば、フッ素ポルフィリン(TFPP)だけでなく、テトラフェニルポルフィリン(TPP)、プロトポルフィリン、ヘマトポルフィリンなどが挙げられる。

【0034】
TFPPは、式(I)で示される化合物のR3、R6、R9及びR12がC6-14アリール(例えばフェニル)で置換され、さらにC6-14アリール(例えばフェニル)がフッ素原子、糖(例えば硫黄原子が結合した糖)又はエチレングリコールで置換されたものである。
式(I')で示される化合物の製造方法は、例えば、Hirohara S. et al., Bioconjugate Chem. 2009, 20, 944-952; Hirohara S. et al., Bioorganic & Medicinal Chemistry 18 (2010) 1526-1535、F.C. Santos et al., Tetrahedron Letters, 2008, 49, 7268-7270.を参照することができる。また、式(II)、(III)及び(V)などで示されるPEG含有ポルフィリン化合物は、S. K. Sahoo et al., Bioconjugate Chem. 2002, 13, 1031-1038を参照することができる。また、市販品を用いることもできる。

【0035】
ポルフィリン化合物に陽電子放出核種を導入するには、ポルフィリン含有溶液と金属イオン含有溶液(例えば、陽電子放出核種を有する塩化亜鉛や酢酸亜鉛など)とを混合したのち、溶媒を留去すればよい。本発明においては、上記のように簡便でかつ迅速な方法でポルフィリン化合物に陽電子核種を導入することができる。
溶媒としては、ポルフィリン化合物及び金属イオンに不活性なものであればよく、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、クロロベンゼン、ベンゾニトリルなどを使用できる。

【0036】
反応は、常温で行うことができるが、必要に応じて加熱還流などを行うことが好ましい。
また、金属の導入に際しては窒素またはアルゴン雰囲気下で行うことが望ましい。
式(IX)で示される化合物も上記と同様にして得ることができる。例えば、ファイザー株式会社より市販されている「Photofrin」(登録商標)に、塩化亜鉛や酢酸亜鉛などの金属イオン含有溶液を加え、必要に応じて加熱することで得ることができる。
ポルフィリン化合物に金属イオンが導入されたことの確認は、例えば核磁気共鳴分光法(NMR)、紫外可視分光光度法(UV-Vis)や質量分析(MS)等により行なうことができる。

【0037】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0038】
ポルフィリン化合物の合成
(1) 精製62Zn水の作製
真空中のタングステンボート中ニッケル粉を1800℃で加温溶解して蒸発させ、アルミ箔に蒸着した。このニッケル蒸着アルミ箔をターゲットとして、ニッケル蒸着面を後方に設置し、加速した3Heを入射させた。このときの最適加速エネルギーは597KeVであった。ニッケルと3He間との核反応によって、62Znが形成された。この62Znは反跳エネルギーによって後方へ放出されるので、ニッケル蒸着アルミ箔後方にKClを置き、62Znを捕捉した。この62Zn 含有KClを水溶液とし、イオン交換樹脂カラムTOYO PEARL CM-650とイオン交換水を用いて精製62Zn水を得た。
【実施例1】
【0039】
(2) 金属が導入されていない糖鎖結合ポルフィリン化合物(1OH, cis-2OH, trans-2OH, 3OH, 4OH)の合成
市販品である5,10,15,20-テトラキス (ペンタフルオロフェニル)ポルフィリン(H2TFPP)に2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシルチオアセテート(AcGlcSAc)を反応させ、その後ナトリウムメトキシドにより糖鎖のアセチル基を脱保護した。この反応は、公知方法(Hirohara S. et al., Bioconjugate Chem. 2009, 20, 944-952; Hirohara S. et al., Bioorganic & Medicinal Chemistry 18 (2010) 1526-1535)に従って行なった。
具体的化合物の合成法を以下に示す。
【実施例1】
【0040】
5-[4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシルチオ)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)]-10,15,20-トリス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ポルフィリン(1Ac)
100 mLナスフラスコにH2TFPP (49.3 mg, 50.6μmol)とAcGlcSAc(20.9mg, 51.5μmol)をDMF(10 mL)に溶解させた。この溶液にジエチルアミンを(37μL,724μmol)加えて、室温で24時間撹拌した。反応溶液をCH2Cl2で抽出した後、蒸留水(15 mL) 5回で分液した。無水硫酸ナトリウムで有機層を乾燥させた後、溶媒留去した。その後、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(silicagel, CH2Cl2 to CH2Cl2/AcOEt = 100 - 60:40)で各置換体を分離した後、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により精製し1置換体(1Ac)を収率41.7%で得た。
【実施例1】
【0041】
5,10-ビス[4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシルチオ)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)]-15,20-ビス (2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ポルフィリン (cis-2Ac)
H2TFPP (50.0 mg, 51.3μmol), AcGlcSAc(41.6 mg,102.5μmol)を用いて1置換体の合成法と同様の合成法により、cis-2置換体(cis-2Ac)を収率18.5%で得た。
【実施例1】
【0042】
5,15-ビス[4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシルチオ)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)]-10,20-ビス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ポルフィリン (trans-2Ac)
H2TFPP (50.0 mg, 51.3μmol), AcGlcSAc(41.6 mg,102.5μmol)を用いて1置換体の合成法と同様の合成法により、trans-2置換体(trans-2Ac)を収率13.5%で得た。
【実施例1】
【0043】
5,10,15-トリス[4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシルチオ)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)]-20-(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル) ポルフィリン (3Ac)
H2TFPP (49.5 mg, 50.8μmol), AcGlcSAc(61.9 mg,152.5μmol)を用いて1置換体の合成法と同様の合成法により、3置換体(3Ac)を収率31.5%で得た。
【実施例1】
【0044】
5,10,15,20-テトラキス(4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシルチオ)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル) ポルフィリン (4Ac)
H2TFPP (64.9 mg, 66.6μmol), AcGlcSAc(113 mg, 278μmol)を用いて1置換体の同様の合成法により、4置換体(4Ac)を収率74.0%で得た。
【実施例1】
【0045】
5-[4-(β-D-グルコピラノシルチオ)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)]-10,15,20-トリス (2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル) ポルフィリン (1OH)
100 mLナスフラスコに、1Ac(23.7 mg, 18.0μmol)をCH2Cl2(20 mL)とMeOH(20 mL)の混合溶液に溶解させた。この溶液にpH9になるようにナトリウムメトキシドを加えた。この溶液を、45~50℃の水浴で約10分間還流した。反応溶液に酢酸を加え中和した後、溶媒留去した。粗生成物を逆相カラムクロマトグラフィー(acetonitrile / H2O = 8 / 2)により精製し、1OHを60.9%で得た。
【実施例1】
【0046】
5,10-ビス[4-(β-D-グルコピラノシルチオ)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)]-15,20-ビス (2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル) ポルフィリン (cis-2OH)
cis-2Ac (81.2 mg, 48.8μmol)を用いて1置換体(1OH)の同様の合成法により、cis-2置換体(cis-2OH)を収率54.9%で得た。
【実施例1】
【0047】
5,15-ビス[4-(β-D-グルコピラノシルチオ)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)]-10,20-ビス (2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル) ポルフィリン(trans-2OH)
trans-2Ac (23.2 mg, 13.9μmol)を用いて1置換体(1OH)の同様の合成法により、trans-2置換体(trans-2OH)を収率50.9%で得た。
【実施例1】
【0048】
5,10,15-トリス[4-(β-D-グルコピラノシルチオ)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)]-20-ビス (2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル) ポルフィリン (3OH)
3Ac (47.9 mg, 23.9μmol)を用いて1置換体(1OH)の同様の合成法により、3置換体(3OH)を収率52.4%で得た。
【実施例1】
【0049】
5,10,15,20-テトラキス(4-(β-D-グルコピラノシルチオ)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル) ポルフィリン (4OH)
4Ac (51.1 mg, 21.7μmol)を用いて1置換体(1OH)の同様の合成法により、4置換体(4OH)を収率68.8%で得た。
【実施例1】
【0050】
(3) 金属が導入された糖鎖結合ポルフィリン化合物の合成
上記のとおり作製したサンプルにZn核を下記のように導入した。なお、65Zn含有ポルフィリン誘導体及び62Zn含有ポルフィリン誘導体は、(3-3)のように金属が導入されていない各フリーベースポルフィリン誘導体に65Zn核または62Zn核を導入することにより合成した。
【実施例1】
【0051】
(3-1) 65Zn含有ポルフィリン誘導体の合成
150μM in MeOHのポルフィリン溶液を30 mLナスフラスコに264μL分注し、65ZnCl2in MeOHを26.4μL (26.5 kBq)を加えた。その後、ナスフラスコをエバポレータで回転させながら10分間ドライヤーで加熱した後、溶媒留去した。その後、ナスフラスコに生化学用DMSOを396μL加えたのち、2 mLのエッペンチューブに溶液を移した。その後10分間溶液を静置させ殺菌した。
【実施例1】
【0052】
(3-2) 62Zn含有ポルフィリン誘導体の合成
150μM in MeOHのポルフィリン溶液を10 mLナスフラスコに317μL分注し、62ZnCl2in MeOHを31.7μL (31.7 kBq)を加えた。その後、ナスフラスコをエバポレータで回転させながら10分間ドライヤーで加熱した後、溶媒留去した。その後、ナスフラスコに生化学用DMSOを317μL加えたのち、2 mLのエッペンチューブに溶液を移した。その後10分間溶液を静置させ殺菌した。
【実施例1】
【0053】
(3-3)64Zn含有ポルフィリン誘導体の合成
5-[4-(β-D-グルコピラノシルチオ)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル]-10,15,20-トリス (ペンタフルオロフェニル)ポルフィナート亜鉛(II) (Zn1OHまたは64ZnTFPP(SGlc)1)
50 mLナスフラスコに1OH (53.0 mg, 46.1μmol)とメタノール10 mLを加え、化合物を溶解させた。このナスフラスコに安定同位体元素である64Zn核を有する塩化亜鉛(31.3 mg, 231μmol)を加え10分間加熱還流させた。その後、粗生成物をゲル浸透クロマトグラフィー(LH20)で精製し、目的化合物Zn1OHを収率89.3%で得た。
Purity(HPLC): 99%. Anal. Calcd. for C50H19O5N4F19SZn + CH3CN: C, 47.84; H, 1.53; N, 4.46. Found: C, 47.97; H, 1.76; N, 4.84. 1H NMR (600.17 MHz, CD3OD, CHD2OD = 3.30 ppm):δ(ppm) = 9.03 (8H, brs, 2,3,7,8,12,13,17,18-pyrroleH), 5.10 (1H, d, 3J = 8.5 Hz, 1-GlcH), 3.93 (1H, m, 6-GlcH), 3.71 (1H, m, 6-GlcH), 3.49-3.38 (4H, m, 2,3,4,5-GlcH). 13C NMR (150.92 MHz, CD3OD, CD3OD = 49.0 ppm):δ(ppm) = 151.7 (1,9,11,14,16,19-pyrroleC), 151.6 (4,6-pyrroleC), 149.3, 147.6 (5-(2,6-PhC)), 148.9, 147.2 (10,15,20-(2,6-PhC)), 148.5, 146.9 (5-(3,5-PhC)), 144.3, 142.6 (10,15,20-(4-PhC)), 139.9, 138.2 (10,15,20-(3,5-PhC)), 133.2 (3,7-pyrroleC), 133.0 (2,8,12,13,17,18-pyrroleC), 123.5 (5-(4-PhC)), 118.4 (1-PhC), 113.3 (5-(1-PhC)), 106.0 (5-mesoC), 104.8 (10,15,20-mesoC), 87.0 (1-GlcC), 82.7 (5-GlcC), 79.8 (3-GlcC), 76.0 (2-GlcC), 71.7 (4-GlcC), 63.1 (6-GlcC). 19F NMR (564.72 MHz, CD3OD, CF3CO2H = -76.50 ppm):δ(ppm) = -133.6 (2F, m, 5-(3,5-PhF)), -137.9 (6F, m, 10,15,20-(3,5-PhF)), -138.2 (2F, m, 5-(2,6-PhF)), -154.4 (3F, m, 10,15,20-(4-PhF)), -163.6 (6F, m, 10,15,20-(2,6-PhF)). UV-vis (c = 1.00μM, DMSO, path length = 1 cm, 25°C):λ/ nm(ε×10-4 / M-1cm-1) = 423 (50.8), 553 (2.65), 587 (0.38).
【実施例1】
【0054】
5,10-ビス[4-(β-D-グルコピラノシルチオ)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル]-15,20-ビス (ペンタフルオロフェニル)ポルフィナート亜鉛(II) (Zncis-2OHまたは64ZnTFPP(SGlc)cis-2)
cis-2OH (37.5 mg, 28.3μmol)を用いて1OHと同様の実験を行い、目的化合物Zncis-2OHを86.6%で得た。
Purity(HPLC): 99%. Anal. Calcd. for C56H30O10N4F18S2Zn + 2CH3CN: C, 45.68; H, 2.05; N, 3.80. Found: C, 46.12; H, 2.23; N, 4.94. 1H NMR (600.17 MHz, CD3OD, CHD2OD = 3.30 ppm):δ(ppm) = 9.03 (8H, m, 2,3,7,8,12,13,17,18-pyrroleH), 5.17 (2H, d, 3J = 8.0 Hz, 1-GlcH), 3.94 (2H, m, 6-GlcH), 3.70 (2H, m, 6-GlcH), 3.50-3.39 (8H, m, 2,3,4,5-GlcH). 13C NMR (150.92 MHz, CD3OD, CD3OD = 49.0 ppm):δ(ppm) = 151.7 (1,14,16,19-pyrroleC), 151.6 (4,6,9,11-pyrroleC), 149.4, 147.7 (5,10-(2,6-PhC)), 148.9, 147.3 (15,20-(2,6-PhC)), 148.6, 147.0 (5,10-(3,5-PhC)), 144.3, 142.6 (15,20-(4-PhC)), 139.8, 138.2 (15,20-(3,5-PhC)), 133.2 (3,7,8,12-pyrroleC), 132.9 (2,13,17,18-pyrroleC), 123.6 (5,10-(4-PhC)), 118.4 (15,20-(1-PhC)), 114.2 (5,10-(1-PhC)), 105.9 (5,10-mesoC), 104.7 (15,20-mesoC), 86.9 (1-GlcC), 82.7 (5-GlcC), 79.8 (3-GlcC), 76.0 (2-GlcC), 71.7 (4-GlcC), 63.1 (6-GlcC). 19F NMR (564.72 MHz, CD3OD, CF3CO2H = -76.50 ppm):δ(ppm) = -133.3 (4F, m, 5,10-(3,5-PhF)), -137.6 (4F, 15,20-(3,5-PhF)), -137.9 (4F, m, 5,10-(2,6-PhF)), -154.2 (2F, m, 15,20-(4-PhF)), -163.3 (4F, m, 15,20-(2,6-PhF)). UV-vis (c = 1.00μM, DMSO, path length = 1 cm, 25°C):λ/ nm(ε×10-4 / M-1cm-1) = 424 (52.0), 553 (2.73), 587 (0.35).
【実施例1】
【0055】
5,15-ビス[4-(β-D-グルコピラノシルチオ)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル]-10,20-ビス (ペンタフルオロフェニル) ポルフィナート亜鉛(II) (Zntrans-2OHまたは64ZnTFPP(SGlc)trans-2)
trans-2OH (30.1 mg, 22.7μmol)を用いて1OHと同様の実験を行い、目的化合物Zntrans-2OHを91.7%で得た。
Purity(HPLC): 99%. Anal. Calcd. for C56H30O10N4F18S2Zn + 2CH3CN: C, 45.68 H, 2.05; N, 3.80. Found: C, 45.89; H, 2.38; N, 5.44. 1H NMR (600.17 MHz, CD3OD, CHD2OD = 3.30 ppm):δ(ppm) = 9.01 (8H, brs, 2,3,7,8,12,13,17,18-pyrroleH), 5.11 (2H, d, 3J = 7.6 Hz, 1-GlcH), 3.94 (2H, m, 6-GlcH), 3.71 (2H, m, 6-GlcH), 3.49-3.38 (8H, m, 2,3,4,5-GlcH). 13C NMR (150.92 MHz, CD3OD, CD3OD = 49.0 ppm):δ(ppm) = 151.7 (1,9,11,19-pyrroleC), 151.6 (4,6,14,16-pyrroleC), 149.3, 147.6 (5,15-(2,6-PhC)), 148.9, 147.3 (10,20-(2,6-PhC)), 148.6, 146.9 (5,15-(3,5-PhC)), 144.2, 142.6 (10,20-(4-PhC)), 139.9, 138.2 (10,20-(3,5-PhC)), 133.2 (3,7,13,17-pyrroleC), 132.9 (2,8,12,18-pyrroleC), 123.6 (5,15-(4-PhC)), 118.4 (10,20-(1-PhC)), 114.2 (5,15-(1-PhC)), 105.9 (5,15-mesoC), 104.7 (10,20-mesoC), 87.0 (1-GlcC), 82.7 (5-GlcC), 79.8 (3-GlcC), 76.0 (2-GlcC), 71.7 (4-GlcC), 63.0 (6-GlcC). 19F NMR (564.72 MHz, CD3OD, CF3CO2H = -76.55 ppm):δ(ppm) = -133.5 (4F, m, 5,15-(3,5-PhF)), -137.7 (4F, m, 10,20-(3,5-PhF)), -138.1 (4F, m, 5,15-(2,6-PhF)), -154.4 (2F, m, 10,20-(4-PhF)), -163.3 (4F, m, 10,20-(2,6-PhF)). UV-vis (c = 1.00μM, DMSO, path length = 1 cm, 25°C):λ/ nm(ε×10-4 / M-1cm-1) = 424 (52.5), 553 (2.82), 588 (0.37).
【実施例1】
【0056】
5,10,15-トリス [4-(β-D-グルコピラノシルチオ)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル]-20-ペンタフルオロフェニル)ポルフィナート亜鉛(II) (Zn3OHまたは64ZnTFPP(SGlc)3)
3OH (64.0 mg, 42.6μmol)を用いてZn1OHと同様の実験を行い、目的化合物Zn3OHを87.4%で得た。
Purity(HPLC): 98%. Anal. Calcd. for C62H41O15N4F17S3+ H2O + 2CH3CN: C, 44.68; H, 2.60; N, 3.36. Found: C, 44.6; H, 2.84; N, 4.40. 1H NMR (600.17 MHz, CD3OD, CHD2OD = 3.30 ppm):δ(ppm) = 9.00 (8H, m, 2,3,7,8,12,13,17,18-pyrroleH), 5.10 (3H, d, 3J = 8.2 Hz, 1-GlcH), 3.94 (3H, m, 6-GlcH), 3.71 (3H, m, 6-GlcH), 3.49-3.38 (12H, m, 2,3,4,5-GlcH). 13C NMR (150.92 MHz, CD3OD, CD3OD = 49.0 ppm):δ(ppm) = 151.7 (1,19-pyrroleC), 151.6 (4,6,9,11,14,16-pyrroleC), 149.3, 147.6 (5,10,15-(2,6-PhC)), 148.9, 147.2 (20-(2,6-PhC)), 148.5, 146.9 (5,10,15-(3,5-PhC)), 144.3, 142.6 (20-(4-PhC)), 139.8, 138.2 (20-(3,5-PhC)), 133.1 (3,7,8,12,13,17-pyrroleC), 132.9 (2,18-pyrroleC), 123.6 (5,10,15-(4-PhC)), 118.4 (20-(1-PhC)), 114.2 (5,10,15-(1-PhC)), 105.8 (5,10,15-mesoC), 104.6 (20-mesoC), 86.9 (1-GlcC), 82.7 (5-GlcC), 79.8 (3-GlcC), 76.0 (2-GlcC), 71.7 (4-GlcC), 63.1 (6-GlcC). 19F NMR (564.72 MHz, CD3OD, CF3CO2H = -76.50 ppm):δ(ppm) = -133.3 (6F, m, 5,10,15-(3,5-PhF)), -137.6 (2F, m, 20-(3,5-PhF)), -137.9 (6F, m, 5,10,15-(2,6-PhF)), -154.2 (1F, m, 20-(4-PhF)), -163.3 (2F, m, 20-(2,6-PhF)). UV-vis (c = 1.00μM, DMSO, path length = 1 cm, 25°C):λ/ nm (ε×10-4 / M-1cm-1) = 424 (51.6), 553 (2.69), 588 (0.35).
【実施例1】
【0057】
5,10,15,20-テトラキス(4-(β-D-グルコピラノシルチオ)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル) ペンタフルオロフェニル) ポルフィナート亜鉛(II) (Zn4OHまたは64ZnTFPP(SGlc)4)
4OH (50.5 mg, 30.1μmol)を用いてZn1OHと同様の実験を行い、目的化合物Zn4OHを79.9%で得た。
Anal. calcd. for C68H52O20N4F16S4Zn + 10H2O: C, 42.47; H, 2.73; N, 2.91. Found: C, 42.50; H, 3.34; N, 2.85. 1H NMR (600.07 MHz, CD3OD, CHD2OD = 3.30 ppm):δ(ppm) = 8.99 (8H, s,β-pyrroleH), 5.08 (4H, m, 1-GlcH), 3.91 (4H, m, 6-GlcH), 3.69 (4H, m, 6-GlcH), 3.44 - 3.22 (16H, m, 2,3,4,5-GlcH). 13C NMR (100.40 MHz, CD3OD, CD3OD = 49.0 ppm):δ(ppm) = 151.20 (α-pyrroleC), 149.11 (2,6-PhC), 146.67 (3,5-PhC), 133.77 - 131.87 (β-pyrroleC), 132.82 (4-PhC), 123.47 (1-PhC), 114.00 (mesoC), 86.69 (1-GlcC), 82.80 (5-GlcC), 79.25 (3-GlcC), 75.43 (2-GlcC), 71.07 (4-GlcC), 63.13 (6-GlcC). 19F NMR (376 MHz, CD3OD, CF3CO2H = -76.05 ppm):δ(ppm) = -134.06 (8F, dd, 3JF-F = 24 Hz, 5JF-F= 12 Hz, 3,5-PhF), -138.57 (8F, dd, 3JF-F = 26 Hz, 5JF-F= 12 Hz, 2,6-PhF). UV-vis (c = 5.16μM, DMSO, path length = 1 cm, 25 oC):λ/ nm (ε×10-3 / M-1・cm-1) = 425 (50.2), 554 (2.63), 597 (0.16). FL (c = 5.16μM, DMSO, path length = 1 cm,λex = 415 nm, 25 oC):λ/ nm = 599, 650.
【実施例1】
【0058】
(3-4) エチレングリコール結合ポルフィリン化合物(62Zn-TFPP-(EG)3またはZn3EG)の合成
テトラフルオロ-プロトポルフィリン(エチレングリコール(EG))3メタノール溶液と62Zn水を3:1で混和し、70℃10分処理することで62Zn-TFPP-(EG)3を得た。反応後、溶液のメタノールを加温で分溜し、ゲルクロマトグラフィー(LH20)で精製することで目的の62Zn-TFPP-(EG)3水溶液とした。405nmの吸収を測定し、標品の値と比較して濃度決定した。
【実施例2】
【0059】
本実施例は、合成されたポルフィリン誘導体(ZnTFPP(SGlc)trans-2)がin vitro, in vivoにおいて特異的に胃癌に集積するという知見に基づきPET診断薬として利用可能なことを示すものである。
in vitro及びin vivoの実験とそのデータを以下に示す。
【実施例2】
【0060】
(1)62Zn含有ポルフィリン誘導体の in vitro試験(細胞取り込み試験)
6 wellプレートにRGM-1, RGK-1細胞株を播種(1×106cells/well, 1.0 mL)し、37oC, 5% CO2インキュベータで終夜培養した。
15 mL遠沈管に10% FCS入り培地3430μLに実施例1で合成したポルフィリン化合物のDMSO溶液を70μL加え、添加溶液を調製した。この添加溶液を、1.5 mL/well (n = 3)ずつ6 wellプレートに暗所下で添加し、6 wellプレートを37oC, 5% CO2インキュベータで6時間薬剤(ZnTFPP(SGlc)cis-2, ZnTFPP(SGlc)trans-2)を接触させた。
薬剤濃度:4.5μM in 1% DMSO/10% FCS/培地, 62Zn濃度:3.0 kBq/well
薬剤接触後、各wellをPBS 1 mL×2で洗浄し、0.02% EDTA/0.25% trypsin in PBS (1:1)溶液を各wellに0.5 mL加え細胞をはがした。その後1% Triton-X 100 in PBSを加えた後、新しい15 mL遠沈管に各wellの溶液をうつし、細胞抽出液をシンチレータで測定した。
時間に対する薬剤の取り込み量を、亜鉛の同位体元素である64Znを導入した64Znポルフィリン誘導体(c = 0.5μM)、又は62Znを導入した62Znポルフィリン誘導体を用いて行った。その結果を図1、図2に示す。
64Zn-TFPP(SGlc)trans-2は薬剤接触12, 24時間後にガン細胞株(RGK-1)に特異的に取り込まれた(図1)。
放射核種(62Zn)の導入したポルフィリン誘導体(62Zn-TFPP(SGlc)trans-2)の細胞取り込み試験においても、図1と同様の結果が得られた(図2)。
【実施例2】
【0061】
(2) 62Zn導入の動物試験(PET評価)
ナシ型フラスコに150μMの薬剤メタノール溶液を200μL分注し、62ZnCl2in NaClaq.を500μL (16 MBq/mL)を加えた。その後、ナスフラスコをあらかじめ滅菌したエバポレータを用い回転させながら10分間ドライヤーで加熱した後、溶媒留去した。その後、ナスフラスコにあらかじめ滅菌したEtOH:PEG400:water (2:3:5)を300μL加えたのち1.5 mLのエッペンチューブに溶液を移した。
【実施例2】
【0062】
PET撮影
RGK-36細胞を左後肢に移植したヌードマウス(BALB/cSLC-nu/nu)に、62Znポルフィリンの溶液100μLを尾静脈投与した。
薬剤濃度:3μM in EtOH:PEG400:water (2:3:5), 62Zn濃度:4.0 kBq
薬剤投与1,3, 8, 24時間後、iPET/MRI装置を用いてマウスの全身のPET画像を撮影した。
その結果、薬剤投与8時間後までは、どちらの薬剤も肝臓や腸管に集積し、腫瘍へはほぼ集積していなかった。しかし24時間後では肝臓や腸管に高い集積(黄色)が見られたが、腫瘍部位にも薬剤が集積(赤色)した。投与3時間後と24時間後のPET画像を図3に示す。
【実施例3】
【0063】
ポルフィリン化合物の合成
5-[4-(3-ヒドロキシエトキシ)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル]-10,15,20-トリス (2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ポルフィリン (H21EG)
5-[4-(3-ヒドロキシエトキシ)-2,3,5,6- テトラフルオロフェニル]-10,15,20-tris(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ポルフィナート亜鉛 (II) (Zn1EG)
100 mLフラスコを三本用意し、一本当たり約200 mgのH2TFPPを加え、DMF 30 mLを加えた後、6当量のエチレングリコールとカリウム-t-ブトキシドを加えて-15℃で15分間反応させた。使用したH2TFPP総量613 mg (629μmol)、エチレングリコール総量210μL (3.78 mmol)、カリウム-t-ブトキシド総量は423 mg (3.78 mmol)、DMF 60 mLで反応を行い、反応後は反応溶液を合わせた。この反応溶液に、冷CH2Cl2 100 mL加え、冷水100 mLで5回分液した。有機層を無水Na2SO4で乾燥後、溶媒留去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2~CH2Cl2 : EtOAc : acetone = 5 : 3 :3)で目的物を分離精製した後、フラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2 : EtOAc = 7 : 3)で精製を行い、H21EGを収率15.3% (収量97.7 mg, 96.2μmol)、HPLC純度99%以上で得た。
得られたH21EGを100 mLフラスコに、酢酸亜鉛二水和物を5当量加えCH2Cl2 10 mLで溶解し、30℃で終夜撹拌した。その後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2: EtOAc : hexane = 7 : 5 : 8)で精製し、Zn1EGを収率98.6%、HPLC純度99%以上で得た。化合物は、1H NMRのインナーピロールプロトンピークの消失とUV-visスペクトルにより亜鉛導入を確認した。
【実施例3】
【0064】
H21EG; 1H NMR (500.16 MHz, CDCl3, Si(CH3)4= 0 ppm)δ(ppm)= 8.95 (2H, m,β-pyrroleH), 8.91 (6H, m,β-pyrroleH), 4.73 (2H, t, 3J= 4.5 Hz, CH2), 4.18 (2H, q, 3J= 4.5 Hz, OCH2) 2.26 (1H, t, CH2OH), -2.92 (2H, s, inner pyrroleH). 19F NMR (470.62 MHz, CDCl3, CF3CO2H= -76.50 ppm):δ(ppm)= -137.2 (6F, m, 2,6-PhF), -139.0 (2F, m, 2,6-PhFEG), -152.0 (3F, m, 4-PhF), -157.6 (2F, m, 3,5-PhFEG), -162.0 (6F, m, 3,5-PhF). 13C NMR (100.53 MHz, CDCl3, CDCl3= 77.00 ppm):δ(ppm)= 147.8, 145.3, 143.6, 142.1, 140.9, 139.6, 138.8, 136.3 (PhC), 131.2 (β-pyrroleC), 115.6 (1-PhC), 114.1 (1-PhCEG), 104.8 (meso-PhCEG), 103.5 (meso-PhC), 76.8 (-OCH2), 62.0 (CH2OH). ESI-MS (m/ z)= [M+Na+] calcd for C46H15F19N4O2Na, 1039.07893; found, 1039.07886. UV-vis (c = 5.00μM, DMSO, path length = 1 cm, 25°C):λ/nm(ε×10-3/M-1・cm-1) = 412 (369), 506 (28.4), 535 (5.51), 582 (9.37), 633 (1.75).
【実施例3】
【0065】
Zn1EG; 1H NMR (399.65 MHz, acetone-d6, (CD3)2CO = 2.05 ppm):δ(ppm)= 9.25-9.22 (8H, m,β-pyrroleH), 4.69 (2H, t, 3J= 4.6 Hz, OCH2), 4.11 (2H, q, 3J= 5.5 Hz, CH2OH). UV-vis (c = 5.00μM, DMSO, path length = 1 cm, 25°C):λ/nm(ε×10-3/M-1・cm-1) = 422 (434), 507 (4.42), 553 (18.1).
【実施例3】
【0066】
5,15-トリス [4-(3-ヒドロキシエトキシ)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル]-10,20-(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル) ポルフィリン(H2trans-2EG)
5,10-トリス [4-(3-ヒドロキシエトキシ)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル]-15,20-(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ポルフィリン (H2cis-2EG)
5,10,15-トリス [4-(3-ヒドロキシエトキシ)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル]-20-(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ポルフィリン(H23EG)
5,15-トリス [4-(3-ヒドロキシエトキシ)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル]-10,20-(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ポルフィナート亜鉛(Zntrans-2EG)
5,10-トリス [4-(3-ヒドロキシエトキシ)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル]-15,20-(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ポルフィナート亜鉛(II) (Zncis-2EG)
5,10,15-トリス [4-(3-ヒドロキシエトキシ)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル]-20-(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ポルフィナート亜鉛(II) (Zn3EG)
H2TFPP総量1.252 g (1.29 mmol)、エチレングリコール総量575μL (10.32 mmol)、カリウム-t-ブトキシド総量は1.158 g (10.32 mmol)、DMF 60 mLを用いてH21EGと同様の実験を行い、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2~CH2Cl2 : EtOAc : acetone = 5 : 3 :3)で目的物を分離精製した後、フラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2 : EtOAc = 7 : 3 (H2trans-2EG, H2trans-2EG), CH2Cl2 : EtOAc : acetone = 5 : 3 :3 (H23EG))で精製を行い、H2trans-2EGを収率3.0% (収量40.7 mg, 38.5μmol)、HPLC純度96%、H2cis-2EGを収率9.7% (収量132 mg, 125μmol)、HPLC純度99%、またH23EGを収率35.8% (収量506 mg, 460μmol)、HPLC純度99%で得た。Zn1EGと同様の方法を用い、これらのポルフィリンに亜鉛を導入しシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2: EtOAc : hexane = 5 : 2 : 3)で精製し、Zntrans-2EGを収率63.5% HPLC純度96%、またZncis-2EGを収率59.3% HPLC純度99%、Zn3EGを収率52.9% HPLC純度97%で得た。
【実施例3】
【0067】
H2cis-2EG; 1H NMR (500.16 MHz, CDCl3, Si(CH3)4= 0 ppm)δ(ppm)= 8.94 (4H, m,β-pyrroleH), 8.90 (4H, m,β-pyrroleH), 4.73 (4H, t, 3J= 4.5 Hz, CH2), 4.17 (4H, q, 3J= 4.5 Hz, OCH-2) 2.32 (2H, t, CH2OH), -2.92 (2H, s, inner pyrroleH). 1H NMR (500.16 MHz, C6D6, C6D6= 7.16 ppm):δ(ppm)= 8.87 (2H, d, 3J= 2.0 Hz, CH), 8.80 (2H, s, CH), 8.71 (2H, s, CH), 8.66 (2H, d, 3J= 2.0Hz, CH), 4.12(4H, t, 3J= 5.0 Hz, CH2), 3.53(4H, q, 3J= 5.0 Hz, CH2OH), 1.41(2H, t, 3J= 6.0 Hz, CH2OH), -3.22 (2H, s, inner pyrroleH). 19F NMR (470.62 MHz, CDCl3, CF3CO2H= -76.50 ppm):δ(ppm) = -137.2 (4F, m, 2,6-PhF), -139.0 (4F, m, 2,6-PhFEG), -152.1 (2F, m, 4-PhF), -157.7 (4F, m, 3,5-PhFEG), -162.1 (4F, m, 3,5-PhF). 13C NMR (100.53 MHz, CDCl3, CDCl3= 77.00 ppm):δ(ppm)= 147.8, 145.3, 143.6, 142.1, 140.9, 139.6, 138.8, 136.3 (PhC), 131.2 (β-pyrroleC), 115.6 (1-PhC), 114.1 (1-PhCEG), 104.6 (meso-PhCEG), 103.2 (meso-PhC), 76.8 (-OCH2), 62.0 (CH2OH). 13C NMR (100.53 MHz, CD3OD, CD3OD= 49.0 ppm):δ(ppm)= 146.9, 145.1, 143.9, 142.6, 141.3, 140.6, 139.5, 138.0, 135.9 (PhC), 129.6 (β-pyrroleC), 116.8 (1-PhC), 114.8 (1-PhCEG), 106.1 (meso-PhCEG), 104.6 (meso-PhC), 78.0 (-OCH2), 62.5 (CH2OH). ESI-MS (m/ z)= [M+Na+] calcd for C48H20F18N4O4Na, 1081.10948; found, 1081.10953. UV-vis (c = 5.00μM, DMSO, path length = 1 cm, 25°C):λ/nm(ε×10-3/M-1・cm-1) = 413 (373), 506 (27.9), 535 (5.27), 581 (9.20), 632 (1.63).
【実施例3】
【0068】
Zncis-2EG; 1H NMR (399.65 MHz, acetone-d6, (CD3)2CO = 2.05 ppm):δ(ppm)= 9.17-9.14 (8H, m,β-pyrroleH), 4.61 (4H, t, 3J= 4.5 Hz, OCH2), 4.00 (4H, q, 3J= 5.1 Hz, CH2OH). UV-vis (c = 5.00μM, DMSO, path length = 1 cm, 25°C):λ/nm(ε×10-3/M-1・cm-1) = 422 (434), 507 (4.42), 553 (18.1).
【実施例3】
【0069】
H2trans-2EG; 1H NMR (500.16 MHz, CDCl3, Si(CH3)4= 0 ppm):δ(ppm)= 8.96 (4H, m,β-pyrroleH), 8.91 (4H, m,β-pyrroleH), 4.72 (4H, t, 3J= 4.5 Hz, CH2), 4.17 (4H, q, 3J= 4.5 Hz, OCH-2) 2.35 (2H, t, CH2OH), -2.92 (2H, s, inner pyrroleH). 1H NMR (500.16 MHz, C6D6, C6D6= 7.16 ppm):δ(ppm)= 8.86 (4H, d, 3J= 2.5 Hz, CH), 8.66 (4H, d, 3J= 2.5Hz, CH), 4.12(4H, t, 3J= 4.0 Hz, CH2), 3.53(4H, q, 3J= 4.0 Hz, CH2OH), 1.38(2H, t, 3J= 6.0 Hz, CH2OH), -3.21 (2H, s, inner pyrroleH). 19F NMR (470.62 MHz, CDCl3, CF3CO2H= -76.50 ppm):δ(ppm) = -137.2 (4F, m, 2,6-PhF), -139.0 (4F, m, 2,6-PhFEG), -152.1 (2F, m, 4-PhF), -157.7 (4F, m, 3,5-PhFEG), -162.1 (4F, m, 3,5-PhF). 13C NMR (100.53 MHz, CD3OD, CD3OD= 49.0 ppm):δ(ppm)= 146.9, 145.1, 143.9, 142.6, 141.3, 140.6, 139.5, 138.0, 135.9 (PhC), 129.6 (β-pyrroleC), 116.8 (1-PhC), 114.8 (1-PhCEG), 106.0 (meso-PhCEG), 104.7 (meso-PhC), 78.0 (-OCH2), 62.5 (CH2OH). ESI-MS (m/ z)= [M+Na+] calcd for C48H20F18N4O4Na, 1081.10948; found, 1081.10988. UV-vis (c = 5.00μM, DMSO, path length = 1 cm, 25°C):λ/nm(ε×10-3/M-1・cm-1) = 413 (333), 506 (24.9), 535 (4.85), 581 (8.14), 632 (1.41).
【実施例3】
【0070】
Zntrans-2EG; 1H NMR (399.65 MHz, acetone-d6, (CD3)2CO = 2.05 ppm):δ(ppm)= 9.18-9.14 (8H, m,β-pyrroleH), 4.60 ppm (4H, t, 3J= 4.8 Hz, OCH2), 4.00 ppm (4H, q, 3J= 5.1 Hz, CH2OH). UV-vis (c = 5.00μM, DMSO, path length = 1 cm, 25°C): λ/nm(ε×10-3/M-1・cm-1) = 423 (579), 508 (2.88), 553 (25.6).
H23EG; 1H NMR (500.16 MHz, CDCl3, Si(CH3)4= 0 ppm):δ(ppm)= 8.94 (6H, m,β-pyrroleH), 8.90 (2H, m,β-pyrroleH), 4.72 (6H, t, 3J= 4.5 Hz, CH2), 4.17 (6H, q, 3J= 4.5 Hz, OCH2) 2.34 (3H, t, CH2OH), -2.92 (2H, s, inner pyrroleH). 1H NMR (500.16 MHz, (CD3)2CO, (CD3)2CO = 2.05 ppm)δ(ppm)= 9.61-9.02 (8H, m,β-pyrroleH), 4.70 (6H, t, 3J= 5.5 Hz, CH2), 4.10 (6H, q, 3J= 5.5 Hz, CH2OH).
19F NMR (470.62 MHz, CDCl3, CF3CO2H= -76.50 ppm):δ(ppm) = -137.2 (2F, m, 3,5-PhF), -139.0 (6F, m, 2,6-PhFEG), -152.2 (1F, m, 4-PhF), -157.7 (6F, m, 3,5-PhFEG), -162.1 (2F, m, 2,6-PhF). 19F NMR (470.62 MHz, (CD3)2CO, CF3CO2H= -76.50 ppm)δ(ppm) = -139.4 (2F, m, 2,6-PhF), -141.5 (6F, m, 2,6-PhFEG), -155.0 (1F, m, 4-PhF), -158.3 (6F, m, 3,5-PhFEG), -164.0 (2F, m, 3,5-PhF).
13C NMR (100.53 MHz, CD3OD, CD3OD= 49.0 ppm):δ(ppm)= 146.9, 145.1, 143.9, 142.6, 141.3, 140.6, 139.5, 138.0, 135.9 (PhC), 129.6 (β-pyrroleC), 114.9 (1-PhCEG), 105.8 (meso-PhCEG), 104.5 (meso-PhC), 78.0 (-OCH2), 62.5 (CH2OH). ESI-MS (m/ z)= [M+Na+] calcd for C50H25F17N4O6Na, 1123.14003; found, 1123.13974. UV-vis (c = 5.00μM, DMSO, path length = 1 cm, 25°C): λ/nm(ε×10-3/M-1・cm-1) = 414 (322), 506 (23.9), 535 (4.90), 581 (7.96), 633 (1.48).
【実施例3】
【0071】
Zn3EG; 1H NMR (399.65 MHz, acetone-d6, (CD3)2CO = 2.05 ppm):δ(ppm)= 9.24 (8H, m,β-pyrroleH), 4.62 ppm (4H, t, 3J= 5.1 Hz, OCH2), 4.02 ppm (4H, q, 3J= 4.9 Hz, CH2OH). UV-vis (c = 5.00μM, DMSO, path length = 1 cm, 25°C): λ/nm(ε×10-3/M-1・cm-1) = 423 (483), 508 (2.42), 553 (2.10).
【実施例3】
【0072】
5,10,15,20-テトラキス [4-(3-ヒドロキシエトキシ)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル] ポルフィリン (H24EG)
5,10,15,20-テトラキス [4-(3-ヒドロキシエトキシ)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル] ポルフィナート亜鉛(II) (Zn4EG)
H2TFPP総量234 mg (240μmol)、エチレングリコール総量120μL (2.16 mmol)、カリウム-t-ブトキシド総量は242 mg (10.32 mmol)、DMF 60 mLを用いてH21EGと同様の実験を行い、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2~CH2Cl2 : EtOAc : acetone = 5 : 3 :3)で目的物を分離精製した後、フラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2 : EtOAc : acetone = 5 : 3 :3)で精製を行い、H24EGを収率11.2% (収量26.9 mg, 23.6μmol)、HPLC純度96%で得た。Zn1EGと同様の方法を用い、これらのポルフィリンに亜鉛を導入しシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2: EtOAc : acetone = 5 : 3 :3)で精製し、Zn4EGを収率35.0% HPLC純度95%で得た。

H24EG; 1H NMR (500.16 MHz, CDCl3, Si(CH3)4= 0 ppm)δ(ppm)= 8.93 (8H, s,β-pyrroleH), 4.72(8H, t, 4J= 4.5 Hz, CH2), 4.17 (8H, q, 4J= 4.5 Hz, OCH-2), 2.32 (4H, t, CH2OH), -2.92 (2H, s, inner pyrroleH). 19F NMR (470.62 MHz, (CD3)2CO, CF3CO2H= -76.50 ppm)δ(ppm) = -141.5 (8F, m, 2,6-PhFEG), -158.3 (8F, m, 3,5-PhFEG). 13C NMR (100.53 MHz, CD3OD, CD3OD= 49.0 ppm):δ(ppm)= 146.9, 145.1, 143.9, 142.6, 141.3, 140.6, 139.5, 138.0, 135.9 (PhC), 129.6 (β-pyrroleC), 114.9 (1-PhCEG), 105.7 (meso-PhCEG), 78.0 (-OCH2), 62.5 (CH2OH). ESI-MS(m/z)= [M+Na+] calcd for C52H30F16N4O8Na, 1165.17058; found, 1165.18026. UV-vis (c = 5.00μM, DMSO, path length = 1 cm, 25°C): λ/nm(ε×10-3/M-1・cm-1) = 414 (419), 507 (30.4), 535 (6.20), 581 (9.95), 633 (1.67).
【実施例3】
【0073】
Zn4EG; 1H NMR (399.65 MHz, acetone-d6, (CD3)2CO = 2.05 ppm):δ(ppm)= 9.12 (8H, brs,β-pyrroleH), 4.62 ppm (4H, t, 3J= 5.1 Hz, OCH2), 4.00 ppm (4H, q, 3J= 5.0 Hz, CH2OH). UV-vis (c = 5.00μM, DMSO, path length = 1 cm, 25°C):λ/nm(ε×10-3/M-1・cm-1) = 424 (764), 508 (5.19), 553 (34.7).
【実施例3】
【0074】
ZnTFPP-OCH2CCH (Zn1propa)
100 mLフラスコにZnTFPP (96.8 mg, 93.1μmol)、propargylalchol (5.43μL, 93.3μmol)とK2CO3 (106.3 mg, 745μmol)をDMSO 30 mLを50℃で15時間加熱撹拌した。この反応溶液に、冷CH2Cl2 100 mL加え、冷水100 mLで5回分液した。有機層を無水Na2SO4で乾燥後、溶媒留去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2 : hexane = 20:80 - 50:50)で目的物の分離精製を行い、Zn1propaを収率13%で得た。
1H NMR (500.16 MHz, CDCl3, Si(CH3)4= 0 ppm):δ(ppm)= 9.05-9.04 (2H, m,β-pyrroleH), 9.01-9.00 (6H, m,β-pyrroleH), 5.22 (2H, d, 3J= 2.47 Hz, CH2), 2.81 (1H, t, 3J= 2.47 Hz, CCH). 19F NMR (470.62 MHz, CDCl3, CF3CO2H= -76.50 ppm):δ(ppm)= -136.65 (2F, m, 3,5-PhF), -138.46 (2F, t, 2,6-PhFpropa), -151.81 (1F, m, 4-PhF), -155.63 (2F, m, 3,5-PhFpropa), -161.60 (2F, m, 2,6-PhF).
【実施例3】
【0075】
ZnTFPP-triazole-TEG-FA
50 mLナスフラスコにZn1propa (34.5 mg, 32.2μmol)とテトラエチレングリコールアジドを連結した葉酸誘導体(FA-TEG-N3, 45.8 mg, ca. 1eq.)をDMF 20 mLに溶解させ、減圧脱気しアルゴン置換した。この溶液に臭化銅(11.2 mg, 78.1μmol)とN,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA, 13.5μL, 64.3μmol)を加えアルゴン雰囲気下、室温で48時間撹拌した。この反応溶液に、冷CH2Cl2 100 mL加え、飽和食塩水100 mLで1回、水100 mLで3回分液した。有機層を無水Na2SO4で乾燥後、溶媒留去した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2 : MeOH = 1:0 - 4:1)で目的物の分離を行い、葉酸連結ポルフィリン(ZnTFPP-triazole-TEG-FA)を収率2.4%, HPLC純度97%で得た。
1H NMR (600.17MHz, acetone-d6, (CD3)2CO = 2.05 ppm):δ(ppm)=9.26-9.19 (9H, m,β-pyrroleH + pteridineC7H), 7.78-7.64 (5H, m, Ph-CONH + CH2CONHCH2 + 2-PhH ), 6.99-6.36 (3H, m, pteridineNH + pteridineC6-CH2NH-Ph +3-PhH), 5.72 (2H, m, propargylCH2), 4.71-3.99 (4H, m, pteridineC6-CH2NH-Ph + NHCH), 3.65-3.32 (16H, m, NHCH2CH2O, CH2CH2O, OCH2, CH2CH2N3), 2.37-0.83 (4H, m, CHCH2CH2, CH2CONH). 19F NMR (470.62 MHz, acetone-d6, CF3CO2H= -76.50 ppm):δ(ppm)= -140.63 (2F, m, 3,5-PhF), -142.38 (2F, m, 2,6-PhFtriazole-TEG-FA), -157.16 (1F, m, 4-PhF), -158.68 (2F, m, 3,5-PhFtriazole-TEG-FA), -165.89 (2F, m, 2,6-PhF).
【実施例4】
【0076】
65Znポルフィリンの合成と体内動態評価
(1) PETサンプルの調製
使用サンプル濃度
TFPP(SGlc)trans-2: 2 mg/mL (1.5 mM)
Glu連結ポルフィリン TFPP(SGlc)trans-2を1.5 mMとなるようメタノール中に溶解し、溶解サンプル160μLに65Znを10 MBq 加えた。10分間のドライヤーによる加熱で錯体反応を起こし、その後エバポレータにより溶媒を除去した。得られた回収物に、PET造影剤の溶媒(EtOH:PEG 400:water = 2:3:5 (v:v:v))を2.4 mLを加えて1.0μMの65Zn-TFPP(SGlc)trans-2を得た。
【実施例4】
【0077】
(2) 担癌マウスによる体内動態評価
担癌マウスは、BALB系ヌードマウスにRGK細胞を1×106cells (100μL)皮下移植して、1週間以上飼育することにより作成した。担癌マウスに対して上記要領で作成したPETサンプル血中投与後、1、3、24時間後にマウスを麻酔下で解剖し、臓器を摘出、摘出臓器のγカウンターによる放射線量の測定を行った。
摘出臓器:腫瘍、脳、心、肺、肝、腎、脾臓、血液
65Zn濃度:1×105 cpm/100μL
【実施例4】
【0078】
(3) 実験結果
65Zn標識TFPP(SGlc)trans-2をマウスに尾静脈より血中投与した結果、TFPP(SGlc)trans-2は高いがん集積性を示した(図4:図中、左から1時間後、3時間後、24時間後のがん集積性を示す。)。TFPP(SGlc)trans-2は全臓器で高い値を示し、血液含有量が高い肝臓・腎臓・脾臓ではその傾向が顕著であった。血中の濃度をみるとTFPP(SGlc)trans-2は一定の値であり、経時的な変化は認められなかった(図5)。ここでマウスの体重を約20g、循環血液量1.7mLとして今回摘出した全臓器のTotal ID%を算出すると、24時間後にTFPP(SGlc)trans-2はTotal ID%≒73%(Blood ID%≒41.4)と投与したサンプルのほとんどが体内に残留していた(図6)。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5