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明細書 :状態検出システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-146870 (P2015-146870A)
公開日 平成27年8月20日(2015.8.20)
発明の名称または考案の名称 状態検出システム
国際特許分類 A61F   5/44        (2006.01)
FI A61F 5/44 S
請求項の数または発明の数 6
出願形態 OL
全頁数 24
出願番号 特願2014-020702 (P2014-020702)
出願日 平成26年2月5日(2014.2.5)
発明者または考案者 【氏名】更田 裕司
【氏名】横田 知之
【氏名】関谷 毅
【氏名】高宮 真
【氏名】染谷 隆夫
【氏名】桜井 貴康
出願人 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】国立研究開発法人科学技術振興機構
個別代理人の代理人 【識別番号】100064908、【弁理士】、【氏名又は名称】志賀 正武
【識別番号】100094400、【弁理士】、【氏名又は名称】鈴木 三義
【識別番号】100147267、【弁理士】、【氏名又は名称】大槻 真紀子
審査請求 未請求
テーマコード 4C098
Fターム 4C098CD07
要約 【課題】センサの出力値を非接触で安定的に検出することができる検出装置を提供する。
【解決手段】本発明の一態様による状態検出システムは、検出対象の状態を示すセンサの値に応じた周波数を有する検出信号を送信すると共に、周波数に関して前記検出信号と対応した電源電圧依存性を有する参照信号を送信する検出装置と、前記検出装置の電源電圧を与える電力を前記検出装置に送電すると共に前記検出装置から前記検出信号および前記参照信号を受信し、前記参照信号に基づいて前記検出装置に送電する電力を調整すると共に前記検出信号を読み取る読取装置と、を備える。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
検出対象の状態を示すセンサの値に応じた周波数を有する検出信号を送信すると共に、周波数に関して前記検出信号と対応した電源電圧依存性を有する参照信号を送信する検出装置と、
前記検出装置の電源電圧を与える電力を前記検出装置に送電すると共に前記検出装置から前記検出信号および前記参照信号を受信し、前記参照信号に基づいて前記検出装置に送電する電力を調整すると共に前記検出信号を読み取る読取装置と、
を備えた状態検出システム。
【請求項2】
前記読取装置は、
前記検出装置に送電する電力として交流電力を発生させる交流発生部と、
前記交流電力を電磁エネルギーに変換すると共に、前記検出装置から前記検出信号および前記参照信号を受信するための第1コイルと、
前記第1コイルの電流成分から前記検出信号および前記参照信号を抽出する抽出部と、
前記参照信号の周波数と所定値との偏差を縮小するように前記交流電力の電圧振幅を制御する制御部と、
前記検出信号の周波数から前記検出対象の状態を判定し、前記判定の結果を提示する提示部と、
を備えた、請求項1に記載の状態検出システム。
【請求項3】
前記検出装置は、
前記電磁エネルギーを交流電力に変換すると共に前記検出信号および前記参照信号を送信するための第2コイルと、
前記第2コイルにより変換された交流電力を整流する整流部と、
前記整流部から出力される直流電圧を電源電圧として作動し、前記センサの値と前記電源電圧とに基づき前記検出信号を生成して前記第2コイルに供給すると共に前記電源電圧に基づき前記参照信号を生成して前記第2コイルに供給する信号生成部と、
を備えた、請求項2に記載の状態検出システム。
【請求項4】
前記信号生成部は、
前記電源電圧で発振して前記参照信号を発生させる第1発振回路と、
前記電源電圧で発振して前記センサの値に応じた周波数を有する前記検出信号を発生させる第2発振回路と、
前記第1発振回路により発生された前記参照信号と前記第2発振回路により発生された前記検出信号とを順次的に選択する選択回路と、
を備えた、請求項3に記載の状態検出システム。
【請求項5】
前記選択回路は、
所定のプリアンプル信号によって規定される信号区間に前記参照信号と前記検出信号とを配置して出力する、請求項4に記載の状態検出システム。
【請求項6】
前記第2発振回路は、
従属接続された偶数段のインバータからなるインバータ回路と、
前記インバータ回路の入力部と前記電源電圧との間に電流路が接続され、前記インバータ回路の出力部に制御電極が接続されたトランジスタと、
前記インバータ回路の入力部と低電位ノードとの間に接続されたコンデンサと、
前記インバータ回路の入力部に接続された第1電極と、
前記低電位ノードに接続された第2電極と、
を備え、
前記センサは、前記第1電極と前記第2電極との間に接続された、請求項5に記載の状態検出システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、センサの値によって示される検出対象の状態を検出するための状態検出システムに関し、例えば乳幼児のおむつの状態(排泄の有無)を検出するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
水分の有無を検出するウェットセンサは、包帯の血液、下着の汗、おむつの排泄物の検出等のような、生理医学、看護、高齢者介護の用途では重要なツールである。この種の用途では、ウェットセンサは人間の皮膚に直接的または間接的に接することが多いため、柔軟性が乏しく有線式のウェットセンサでは利用者に違和感を与える。また、この種の用途では、衛生上の見地から、ウェットセンサは使い捨てであることが望ましい。このため、ウェットセンサの要件として、例えば、薄いこと、柔軟性を有すること、検出面積が広いこと、非接触方式による電力伝送機能とデータ伝送機能を有すること、低コストであること等が求められる。非接触方式によるデータ伝送機能に関し、特許文献1には、無線信号を利用した技術が開示されている。また、この種の用途では、ウェットセンサは、その出力値を読み取るためのリーダー(読取装置)と共に利用者に携行される場合を想定すると、バッテリ駆動である必要がある。この場合、電力の消費を抑制する必要がある。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特許第4912412号公報
【0004】

【非特許文献1】L. Yan, et al., “A 3.9mW 25-Electrode Reconfigured Thoracic Impedance/ECG SoC with Body-Channel Transponder,” IEEE ISSCC Dig. Of Tech. Papers, pp.490-491, Feb. 2010.
【非特許文献2】J. Yoo, et al., "A 5.2mW Self-Configured Wearable Body Sensor Network Controller and a 12μW 54.9% Efficiency Wirelessly Powered Sensor for Continuous Health Monitoring System," IEEE ISSCC Dig. Of Tech. Papers, pp.290-291, Feb. 2009.
【非特許文献3】K. Ishida, et al., “Insole Pedometer With Piezoelectric Energy Harvester and 2V Organic Digital and Analog Circuits,” IEEE ISSCC Dig. Of Tech. Papers, pp.308-309, Feb. 2012.
【非特許文献4】Y. Ai, et al., “14MHz Organic Diodes Fabricated Using Photolithographic Processes,” Appl. Phys. Lett. 90, 262105(2007).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、電力の消費を抑制しつつ、検出対象の状態を示すセンサの値を非接触で安定的に検出することができる状態検出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様による状態検出システムは、検出対象の状態を示すセンサの値に応じた周波数を有する検出信号を送信すると共に、周波数に関して前記検出信号と対応した電源電圧依存性を有する参照信号を送信する検出装置と、前記検出装置の電源電圧を与える電力を前記検出装置に送電すると共に前記検出装置から前記検出信号および前記参照信号を受信し、前記参照信号に基づいて前記検出装置に送電する電力を調整すると共に前記検出信号を読み取る読取装置と、を備えた状態検出システムの構成を有する。
【0007】
上記検出装置において、例えば、前記読取装置は、前記検出装置に送電する電力として交流電力を発生させる交流発生部と、前記交流電力を電磁エネルギーに変換すると共に、前記検出装置から前記検出信号および前記参照信号を受信するための第1コイルと、前記第1コイルの電流成分から前記検出信号および前記参照信号を抽出する抽出部と、前記参照信号の周波数と所定値との偏差を縮小するように前記交流電力の電圧振幅を制御する制御部と、前記検出信号の周波数から前記検出対象の状態を判定し、前記判定の結果を提示する提示部と、を備える。
【0008】
上記検出装置において、例えば、前記検出装置は、前記電磁エネルギーを交流電力に変換すると共に前記検出信号および前記参照信号を送信するための第2コイルと、前記第2コイルにより変換された交流電力を整流する整流部と、前記整流部から出力される直流電圧を電源電圧として作動し、前記センサの値と前記電源電圧とに基づき前記検出信号を生成して前記第2コイルに供給すると共に前記電源電圧に基づき前記参照信号を生成して前記第2コイルに供給する信号生成部と、を備える。
【0009】
上記検出装置において、例えば、前記信号生成部は、前記電源電圧で発振して前記参照信号を発生させる第1発振回路と、前記電源電圧で発振して前記センサの値に応じた周波数を有する前記検出信号を発生させる第2発振回路と、前記第1発振回路により発生された前記参照信号と前記第2発振回路により発生された前記検出信号とを順次的に選択する選択回路と、を備える。
【0010】
上記検出装置において、例えば、前記選択回路は、所定のプリアンプル信号によって規定される信号区間に前記参照信号と前記検出信号とを配置して出力する。
【0011】
上記検出装置において、例えば、前記第2発振回路は、従属接続された偶数段のインバータからなるインバータ回路と、前記インバータ回路の入力部と前記電源電圧との間に電流路が接続され、前記インバータ回路の出力部に制御電極が接続されたトランジスタと、前記インバータ回路の入力部と低電位ノードとの間に接続されたコンデンサと、前記インバータ回路の入力部に接続された第1電極と、前記低電位ノードに接続された第2電極と、を備え、前記センサは、前記第1電極と前記第2電極との間に接続される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様によれば、電力の消費を抑制しつつ、検出対象の状態を示すセンサの値を非接触で安定的に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態による状態検出システムの構成例を示す図である。
【図2】本発明の実施形態による状態検出システムが備える信号生成部の構成例を示す図である。
【図3】本発明の実施形態による状態検出システムの信号生成部が備えるリングオシレータの構成例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態による状態検出システムが備える検出装置の適用例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態による状態検出システムの検出装置の動作を説明するための図である。
【図6】本発明の実施形態による状態検出システムの選択回路の動作を説明するための図である。
【図7】本発明の実施形態による状態検出システムのリングオシレータの動作を説明するための図である。
【図8】本発明の実施形態による状態検出システムのコイルの屈曲に関する特性を説明するための図である。
【図9】本発明の実施形態による状態検出システムのESD保護回路を説明するための図である。
【図10】本発明の実施形態による状態検出システムの整流部とリングオシレータの各回路パターンの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
後述する図4に例示するように、ここでは、おむつの排泄物の有無を検出するためのセンサの値を検出する場合を例として説明するが、本発明は、この例に限定されず、検出対象は任意である。

【0015】
[構成の説明]
図1は、本発明の実施形態による状態検出システム1の構成例を示す図である。本実施形態による検出システム1は、検出装置100と読取装置200とを備える。本実施形態では、磁界共鳴現象を利用して検出装置100と読取装置200との間で電力およびデータ信号の伝送を実施する。ただし、この例に限定されず、非接触方式の伝送方式であれば、任意の伝送方式を用いることができる。

【0016】
検出装置100は、検出対象の状態を示すセンサ(図示なし)の値に応じた周波数を有する検出信号を送信すると共に、周波数に関して上記検出信号と対応した電源電圧依存性を有する参照信号を送信するものである。検出装置100は、電極111,112,113,114、ESD(Electro Static Discharge)保護回路120、信号生成部130、コンデンサ140、整流部150、p型MOSトランジスタ160、コンデンサ170、コイル180(第2コイル)を備える。

【0017】
電極111,112,113のそれぞれと電極114との間には、検出対象のおむつに吸収された水分量に応じて抵抗値が変化する抵抗体からなるセンサRS1,RS2,RS3が接続されている。これらセンサRS1,RS2,RS3のうち、センサRS2,RS3は、検出対象のおむつの所定部位に埋め込まれている。残りのセンサRS1は、後述の参照信号を得るためのダミーセンサとして機能するものであり、水分の有無にかかわらず一定の抵抗値を有する抵抗体から構成されている。本実施形態では、センサRS1は、おむつ側ではなく、検出装置100側と一体化されているものとするが、この例に限定されない。また、センサの個数も任意である。電極111,112,113には、ESD保護回路120を介して信号生成部130の入力部が接続され、電極114には、フルブリッジ回路からなる整流部150の負出力部が接続されている。信号生成部130の電源端子には整流部150の正出力部が接続され、信号生成部130のグランド端子には整流部150の負出力部が接続されている。これにより、信号生成部130には、整流部150により整流された直流電圧VDDが電源電圧として供給される。以下では、適宜、直流電圧VDDを「電源電圧VDD」と称す。

【0018】
整流部150の正出力部と負出力部との間には平滑用のコンデンサ140が接続されている。整流部150の二つの入力部のうち、一方の入力部には、コンデンサ170を介してコイル180の一端が接続されている。また、整流部150の他方の入力部には、コイル180の他端が接続されている。即ち、整流部150の二つの入力部の間には、コンデンサ170とコイル180とが直列接続されている。本実施形態では、コンデンサ170とコイル180は直列共振回路を構成し、その共振周波数は、読取装置200に備えられた交流発生部220が発生させる交流電力の周波数(13.56MHz)に設定されている。コンデンサ170とコイル180とからなる直列共振回路の両端間(即ち、整流部150の二つの入力部の間)には、p型MOSトランジスタ160の電流路が接続され、このp型MOSトランジスタ160のゲートには、信号生成部130の出力部が接続されている。

【0019】
読取装置200は、検出装置100の電源電圧(VDD)を与える電力を検出装置100に送電すると共に、検出装置100から上記検出信号および参照信号を受信し、上記参照信号に基づいて検出装置100に送電する電力を調整すると共に、上記検出信号を読み取るものである。読取装置200は、制御部210、交流発生部220、コンデンサ230、コイル240(第1コイル)、抽出部250、提示部260を備える。

【0020】
制御部210は、AAC(Adaptive Amplitude Controller)から構成される。制御部210の出力部には、交流発生部220の制御信号入力部が接続されている。交流発生部220は、交流電力を発生させるものである。本実施形態では、交流発生部220が発生させる交流電力の周波数は、13.56MHzとするが、この例に限定されない。交流発生部220が発生させる交流電力の電圧V1の振幅は可変であり、制御部210により制御される。交流発生部220の出力部には、コンデンサ230を介してコイル240の一端が接続されている。本実施形態では、コンデンサ230とコイル240とは直列共振回路を構成し、その共振周波数は、交流発生部220が発生させる交流電力の周波数(13.56MHz)に設定されている。即ち、読取装置200のコンデンサ230とコイル240から構成される直列共振回路の共振周波数は、前述の検出装置100のコンデンサ170とコイル180とから構成される直列共振回路の共振周波数と同じに設定されている。コイル240の他端は、抽出部250を構成するシャント抵抗251を介して接地されている。これにより、交流発生部220の出力部と接地との間には、コンデンサ230、コイル240、シャント抵抗251が直列接続されている。

【0021】
抽出部250は、コイル240の電流成分から上記検出信号および上記参照信号を抽出するためのものであり、シャント抵抗251、混合器252、増幅器253、低域通過フィルタ254から構成される。抽出部250は、抽出した上記参照信号を制御部210に供給し、上記検出信号を提示部260に供給する。

【0022】
図2は、本発明の実施形態による状態検出システム1が備える信号生成部130の構成例を示す図であり、(A)は、信号生成部130の全体構成を示し、(B)は、選択回路134の構成例を示し、(C)は、選択回路134を構成するトライステートインバータの構成例を示し、(D)は、選択回路134の回路パターンを示している。

【0023】
図2(A)に示すように、信号生成部130は、リングオシレータ131,132,133と選択回路134とを備える。このうち、リングオシレータ131(第1発振回路)は、電源電圧VDDで発振して上記参照信号を発生させるものである。リングオシレータ132,133(第2発振回路)は、それぞれ、電源電圧VDDで発振して、電極110(図1参照)に接続されたセンサ(図示なし)の値に応じた周波数を有する検出信号を発生させるものである。図2(A)では、図示していないが、リングオシレータ131,132,133には、それぞれ、図1に示すESD保護回路120を介して電極111,112,113が接続されており、これら電極111,112,113を介して、リングオシレータ131,132,133にはセンサRS1,RS2,RS3がそれぞれ電気的に接続されている。このうち、リングオシレータ131に接続されるセンサRS1は、上記参照信号を得るためのダミーセンサとして機能し、リングオシレータ132,133に接続される二つのセンサRS2,RS3は上記検出信号を得るためのセンサとして機能する。なお、リングオシレータの個数は、センサの個数に応じて任意である。また、リングオシレータに代えて、任意の回路形式のオシレータを用いることができる。

【0024】
また、図2(A)の例では、リングオシレータ131は、センサRS1の一定の抵抗値に対応した一定の周波数(10Hz)の発振信号を参照信号として出力している。また、リングオシレータ132に入力されるセンサRS2の値は「ドライ」を示し、この値に対応して、リングオシレータ132は周波数が0Hzの検出信号を出力している。また、リングオシレータ133に入力されるセンサRS3の値は「ウェット」を示し、この値に対応して、リングオシレータ133は周波数が5Hzの発振信号を検出信号として出力している。選択回路134は、プリアンブル信号PREと、リングオシレータ131,132,133の各出力信号を順次的に選択して出力するものである。なお、図2(A)の例では、リングオシレータ132,133は、それぞれ、0Hzおよび5Hzの周波数を有する検出信号を出力しているが、各検出信号の周波数は、センサRS1,RS2の値に応じて0Hzまたは5Hzの何れかになる。

【0025】
図2(B)に示すように、選択回路134は、出力部が共通接続された四つのトライステートインバータ1341,1342,1343,1344から構成される。本実施形態では、トライステートインバータ1341,1342,1343,1344の出力は、選択信号SEL0,SEL1,SEL2,SEL3がローレベルの場合、ローインピーダンス状態となる。この場合、トライステートインバータ1341,1342,1343,1344は、入力IN0,IN1,IN2,IN3に応じた信号レベル(ハイレベルまたはローレベル)を出力する。これに対し、選択信号SEL0,SEL1,SEL2,SEL3がハイレベルの場合、各トライステートインバータの出力はハイインピーダンス状態となる。従って、選択信号SEL0,SEL1,SEL2,SEL3によりトライステートインバータ1341,1342,1343,1344のうちの一つの出力をローインピーダンス状態に制御し、残りのトライステートインバータの出力をハイインピーダンス状態に制御すれば、選択回路134に入力されるプリアンブル信号PREおよびリングオシレータ131,132,133の各発振信号のうちの何れか一つを選択して送信データ信号TXdataとして出力することができる。

【0026】
また、図2(C)に示すように、上述の選択回路134を構成する各トライステートインバータは、疑似CMOS構成を有しており、p型MOSトランジスタ11,12,13,14,15,16から構成される。この構成によれば、p型MOSトランジスタ14,15のゲートに印加される選択信号SEL(SEL0,SEL1,SEL2,SEL3)がローレベルの場合、入力INに応答して出力OUTがハイレベルまたはローレベルになる。選択信号SELがハイレベルであれば、出力OUTはハイインピーダンス状態となる。

【0027】
図3は、本発明の実施形態による状態検出システム1の信号生成部130が備えるリングオシレータ131の構成例を示す図である。図3(A)に示すように、リングオシレータ131は、従属接続された6段(偶数段)のインバータ21,22,23,24,25,26からなるインバータ回路と、p型MOSトランジスタ27と、コンデンサ28と、二つの電極P1,P2から構成される。

【0028】
ここで、p型MOSトランジスタ27の電流路は上記インバータ回路の入力部と電源電圧VDDの給電線との間に接続されている。具体的には、p型MOSトランジスタ27のソースには電源電圧VDDの給電線が接続され、そのドレインは、上記インバータ回路の入力部に接続されている。p型MOSトランジスタ27のゲート(制御電極)は、上記インバータ回路の出力部に接続されている。コンデンサ28は、上記インバータ回路の入力部とグランド(低電位ノード)との間に接続されている。電極P1は、上記インバータ回路の入力部に接続され、電極P2は、グランド(低電位ノード)に接続されている。本実施形態では、電極P1には、保護回路120を介して図1の電極111が接続され、電極P2には、図1の電極114が接続される。これにより、電極P1と電極P2との間には、検出対象の状態を検出するためのセンサRS1(抵抗体)が接続される。

【0029】
図3(A)の例では、p型MOSトランジスタ27と、コンデンサ28と、電極P1,P2間に接続されたセンサRS1(抵抗体)とにより、一種のインバータ(以下、疑似インバータと称す。)が形成される。この疑似インバータと上述の6段のインバータ21~26とにより、リングオシレータが形成される。このリングオシレータの発振周期(発振周波数)は、上記疑似インバータと6段のインバータ21~26との信号の伝搬遅延時間により定まる。ここで、上記疑似インバータの伝搬遅延時間は、センサRS1を構成する抵抗体の抵抗値とコンデンサ28の容量値に対する依存性を有している。

【0030】
本実施形態では、コンデンサ28の容量値は一定であり、上記疑似インバータの伝搬遅延時間は、センサRS1を構成する抵抗体の抵抗値に依存して変化する。具体的には、検出対象がウェット状態である場合、仮にセンサRS1の抵抗値が低下したとすれば、疑似インバータの信号遅延時間が増加する傾向を示す。また、検出対象がドライ状態である場合、仮にセンサRS1の抵抗値が上昇したとすれば、疑似インバータの信号遅延時間が減少する傾向を示す。このような疑似インバータの特性により、リングオシレータ131の発振周波数は、ウェット時に上昇し、ドライ時に低下する傾向を示す。ただし、本実施形態では、リングオシレータ131の発振周波数が一定の参照周波数(10Hz)となるように、リングオシレータ131には、一定の抵抗値を有する抵抗体がダミーセンサRS1として接続されると共に、各インバータの回路定数が設定されている。

【0031】
他のリングオシレータ132,133の構成についてもリングオシレータ131と基本的には同じであるが、電極P1,P2に接続されるセンサの値(抵抗体の抵抗値)に応じて、発振周波数が、0Hz(ドライ時)または5Hz(ウェット時)となるように、インバータの段数等の回路定数が設定されている。具体的には、リングオシレータ132に接続されたセンサRS2の取り付け部位がウェット状態になると、センサRS2の抵抗値が低下してリングオシレータ132の発振周波数が約5Hzになる。また、ドライ状態では、センサRS2の抵抗値が上昇してリングオシレータ132の発振周波数が約0Hzになる。同様に、リングオシレータ133に接続されたセンサRS3の取り付け部位がウェット状態になると、センサRS3の抵抗値が低下してリングオシレータ133の発振周波数が約5Hzになる。また、ドライ状態では、センサRS3の抵抗値が上昇してリングオシレータ133の発振周波数が約0Hzになる。

【0032】
ただし、リングオシレータの発振周波数は電源電圧(VDD)に対する依存性を有する。このため、本実施形態では、直流電圧VDDが信号生成部130の電源電圧仕様に適合する値である場合、即ち信号生成部130の電源電圧が目標値付近である場合、発振周波数が約10Hzとなるように、リングオシレータ131の回路定数が設定されている。同様に、信号生成部130の電源電圧が目標値付近である場合、ドライ状態およびウェット状態でのセンサRS2,RS3の各値に応じて、リングオシレータ132,133の各発振周波数が0Hzまたは5Hzとなるように、これらリングオシレータ132,133の回路定数が設定されている。0Hz、5Hzは一例であってこれに限定されない。本実施形態では、オシレータ131の発振周波数を10Hzに制御し、電源電圧(VDD)を目標値付近に維持することにより、オシレータ132,133の発振周波数の電源電圧依存性を顕在化させないようにしている。10Hzは一例であってこれに限定されない。

【0033】
図3(B)に示すように、上述のリングオシレータ131が備えるインバータ回路を構成する各インバータは、p型MOSトランジスタ31,32,33,34による疑似CMOS構成を有している。この例では、入力INがローレベルであれば、p型MOSトランジスタ33がオン状態となる。また、入力INは、p型MOSトランジスタ31,32から形成されたインバータにより反転されてp型MOSトランジスタ34のゲートに入力される。これによりp型MOSトランジスタ34がオフ状態になる。従ってこの場合、出力OUTはハイレベルになる。逆に、入力INがハイレベルであれば、p型MOSトランジスタ33がオフ状態となり、入力INの反転信号がゲートに入力されるp型MOSトランジスタ34がオン状態になる。従ってこの場合、出力OUTはローレベルになる。他のリングオシレータ132,133が備えるインバータ回路を構成するインバータについても同様である。

【0034】
図4は、本発明の実施形態による状態検出システムが備える検出装置100の適用例を示す図であり、78mm×53mmのシート状に形成された検出装置100の写真を示す。図4では、明確化のため、おむつの表面に検出装置100を取り付けているが、実際の適用例では、検出装置100は、おむつの素材(コットン)に埋め込まれている。検出装置100は、受動トランスポンダーとして構成され、読取装置200により給電されて作動し、上述の各センサの値を示すデータ信号を読取装置200に送信する。検出装置100では、12.5ミクロン厚の柔軟性を有するポリイミドフィルム上に形成された有機回路と40ミリメートル角のコイル(180)とが12.5ミクロン厚のフレキシブルプリント基板(PCB)上に積層されている。

【0035】
[動作の説明]
次に、本発明の実施形態による状態検出システム1の動作を説明する。
図5は、本発明の実施形態による状態検出システム1の検出装置100の動作を説明するための図である。
図1に示す読取装置200において、制御部210の制御の下、交流発生部220は、検出装置100に送電する電力として、周波数が13.56MHzの交流電力を発生させる。この交流電力の電圧V1は、コンデンサ230とコイル240とからなる直列共振回路に供給される。これにより、コンデンサ230とコイル240から構成される直列共振回路が共振状態となり、交流発生部220が発生させた交流電力がコイル240により電磁エネルギーに変換されて放射される。

【0036】
読取装置200から放射された電磁エネルギーは検出装置100のコンデンサ170とコイル180から構成される直列共振回路に電磁的作用を及ぼす。これにより、検出装置100のコンデンサ170とコイル180からなる直列共振回路と、読取装置200のコンデンサ230とコイル240からなる直列共振回路との間で磁界共鳴現象が発生する。この磁界共鳴現象により、検出装置100のコイル180に交流電力が誘起され、読取装置200のコイル240から放射された電磁エネルギーが、検出装置100のコイル180により、図5の上段に示す電圧V2の交流電力に変換される。図5の例では、電圧V2の振幅は例えば13Vである。コイル180により変換された交流電力は、コンデンサ170を介して整流部150に入力され、整流部150により整流されて直流電圧VDDに変換される。

【0037】
ここで、直流電圧VDDは、コイル180により変換された交流電力の電圧V2に依存し、このコイル180の電圧V2は、読取装置200の交流発生部220により発生される交流電力の電圧V1に依存する。本実施形態では、後述するように、直流電圧VDDが、信号生成回路130の電源電圧仕様に適合する一定値(目標値)となるように、制御部210が、交流発生部220により発生される交流電力の電圧V1(振幅)を制御する。本実施形態では、直流電圧VDDが信号生成部130の電源電圧仕様に適合する値であれば、即ち信号生成部130の電源電圧が目標値付近であれば、上述のリングオシレータ131の発振周波数が約10Hzとなる。

【0038】
信号生成部130は、整流部150から出力される直流電圧VDDを電源電圧として作動し、電極111,112,113に接続されたセンサRS1,RS2,RS3の各抵抗値と電源電圧(VDD)とに基づき検出信号を生成して送信データ信号TXdataとしてコイル180に供給する。具体的には、信号生成部130は、生成した検出信号によりp型MOSトランジスタ160を駆動することにより、読取装置200から検出装置100を見たときの負荷を変調する。これにより、検出信号として送信データ信号TXdataがコイル180により検出装置100から読取装置200に送信される。

【0039】
また、検出装置100の信号生成部130は、電源電圧(VDD)に基づき上記参照信号を生成してコイル180に供給する。具体的には、信号生成部130は、上記参照信号によりp型MOSトランジスタを駆動することにより、読取装置200から検出装置100を見たときの負荷を変調する。これにより、上記参照信号としての送信データ信号TXdataがコイル180により検出装置100から読取装置200に送信される。この送信データ信号TXdataに含まれる参照信号の周波数には電源電圧(VDD)が反映される。即ち、電源電圧(VDD)が目標値付近であれば、参照信号の周波数が約10Hzとなり、電源電圧(VVD)が目標値を下回れば、参照信号の周波数が10Hz未満となり、電源電圧(VDD)が目標値を上回れば、参照信号の周波数が10Hzを超える。従って、読取装置200において、受信データ信号RXdataに含まれる参照信号の周波数から、検出装置100における電源電圧(VDD)を把握することができる。

【0040】
図5の例では、送信データ信号TXdataが参照信号の参照周波数(10Hz)を表した状態を示している。図5から理解されるように、検出装置100から送信された送信データ信号TXdataの参照周波数(10Hz)は、読取装置200において受信データ信号RXdataとして問題なく復調されている。この例に示すように、受信データ信号RXdataに含まれる参照信号の周波数が約10Hzを示す場合、電源電圧(VDD)の変動の影響が抑制された状態にあり、受信データ信号RXdataに含まれる検出信号の周波数が有意となる。従って、この場合の検出信号の周波数から検出対象の状態(ドライ状態/ウェット状態)を正しく知ることができる。

【0041】
図6は、本発明の実施形態による状態検出システム1の選択回路134の動作を説明するための図である。
本実施形態では、信号生成部130の選択回路134は、所定のプリアンプル信号PREによって規定される信号区間に上記参照信号と検出信号とを配置して出力する。図6の例では、プリアンブル信号PREによって挟まれた信号区間に、参照信号であるリングオシレータ131の発振信号OSC1と、検出信号であるリングオシレータ132の発振信号OSC2またはリングオシレータ133の発振信号OSC3が配置されるように、選択回路134が、プリアンブル信号PREと発振信号OSC1と発振信号OSC2と発振信号OSC3を順次的に選択している。これにより、プリアンブル信号PREと発振信号OSC1とを挟んで、発振信号OSC2と発振信号OSC3とが交互に読み出されている。

【0042】
図6の例では、選択回路131の入力信号は、(PRE)→(OSC1)→(OSC2)→(PRE)→(OSC1)→(OSC3)→(PRE)→(OSC1)→(OSC2)→(PRE)…という順に選択されて出力されている。ここで、プリアンブル信号PREにより挟まれた信号区間に着目すれば、各信号区間には、参照信号として発振信号OSC1が含まれている。また、各信号区間には、検出信号としては発振信号OSC2,OSC3の何れか一つが含まれており、これら発振信号OSC2,OSC3は、複数の信号区間の時系列に着目すれば、各信号区間に交互に配置される。

【0043】
図7は、本発明の実施形態による状態検出システム1のリングオシレータの動作を説明するための図である。図7(A)は、上述のセンサRS2,RS3の抵抗値RMEAが3.3メガオームであるときのリングオシレータ132,133の各発振信号OSCの波形の一例を示し、図7(B)は、リングオシレータ132,133の発振周期(発振周波数)とセンサRS2,RS3の抵抗値RMESとの関係の一例を示す図である。図7(B)に示すように、センサの抵抗値RMESが増加すると、リングオシレータの発振周期が単調に増加する傾向を示す。従って、リングオシレータの発振周波数によりセンサの抵抗値RMESを表現することが可能となる。

【0044】
一方、読取装置200のコイル240は、検出装置100から送信された検出信号および参照信号を受信する。これにより、読取装置200のコイル240には、検出信号および参照信号に対応した電流成分が発生する。
抽出部250は、コイル240の電流成分から上記検出信号および参照信号を抽出する。抽出部250は、抽出した参照信号を受信データ信号RXdataとして制御部210に供給する。また、抽出部250は、抽出した検出信号を受信データ信号RXdataとして提示部260に供給する。図5の例では、受信データ信号RXdataの周波数は、参照信号の参照周波数(10Hz)と整合している。これにより、参照信号が検出装置100から読取装置200に伝送されていることが理解される。

【0045】
制御部210は、抽出部250から供給された参照信号の周波数と所定の参照周波数(所定値)との偏差を縮小するように、交流発生部220が発生させる交流電力の電圧振幅(即ち、電圧V1)を制御する。本実施形態では、上記所定値は10Hzである。従って、本実施形態では、検出装置100の信号生成部130において生成される参照信号の周波数が10Hzに収束するように読取装置200の交流発生部の交流電圧V1の電圧振幅がフィードバック制御される。この結果、検出装置100の直流電圧VDDは目標値付近に維持される。なお、上記直流電圧VDDの目標値は、所望の参照周波数を得ることができることを限度として、任意に設定し得る。

【0046】
提示部260は、抽出部250により抽出された検出信号の周波数から、検出対象の状態を判定し、その判定結果を提示する。例えば、提示部260は、検出信号の周波数が0Hzであれば、検出対象の状態が「ドライ」である旨、即ち、おむつに排泄物が無い旨の判定を行い、その判定結果を例えば表示手段により提示する。また、提示部260は、検出信号の周波数が5Hzであれば、検出対象の状態が「ウェット」である旨、即ちおむつに排泄物が捕捉されている旨の判定を行い、その判定結果を例えば表示手段により提示する。ただし、この例に限定されず、音声等により判定結果を提示してもよく、提示の手法は任意である。

【0047】
ここで、制御部210の制御の下、検出装置100の直流電圧VDDが目標値付近に維持され、参照信号の周波数が10Hz付近に維持されていれば、抽出部250により抽出される検出信号の周波数は、検出対象の状態を示すセンサの値に応じて、0Hzまたは5Hzの何れかの値を示すので、この検出信号の周波数から、提示部260が検出対象の状態を判定することが可能になる。
以上により、読取装置200から検出装置100に給電して検出装置100を作動させ、検出装置100から検出結果が読取装置200に送信される。

【0048】
本実施形態によれば、読取装置200において、検出装置100の電源電圧(VDD)を目標値付近に維持するために必要な最小限の交流電力(電圧V1)を発生させるので、無駄な電力の消費を抑制することができる。
また、本実施形態によれば、読取装置200から検出装置100に非接触方式により給電するので、検出装置100にバッテリ等の電源を備える必要がなくなる。また、参照信号の所定の参照周波数を得るための例えば水晶振動子等の部品を検出装置100に備える必要がない。このため、検出装置100のコストを抑制することができる。従って、おむつ等のような使い捨て用品に組み込む用途に適した検出装置を実現することができる。

【0049】
また、本実施形態によれば、磁界共鳴現象を利用してデータ伝送を実施するので、高周波の電磁波(電波)を利用する一般的な無線通信と比較して、検出装置100および読取装置200の各構成を簡略化することができ、コストを更に抑制することができる。
また、本実施形態によれば、磁界共鳴現象を利用してデータ伝送を実施するので、一般的な磁気結合を利用する場合に比較して、検出装置100と読取装置200との間の相対的位置関係がデータ伝送に与える影響を抑制することができ、安定したデータ伝送を実施することができる。

【0050】
また、本実施形態によれば、水分量に応じて変化するセンサの抵抗値から検出対象であるおむつの状態を検出するので、おむつに捕捉された排泄物の有無を検出することができる。この場合、本実施形態によれば、検出信号を発生させるための二つのリングオシレータ132,133を備え、それぞれにセンサを接続したので、おむつの2か所で排泄物の有無を検出することができる。従って排泄物の有無を精度よく安定的に検出することができる。

【0051】
なお、上述の実施形態では、検出装置100にセンサを接続し、センサと共に検出装置100をおむつに組み込むものとしたが、検出装置100とセンサとをコネクタ等により着脱可能に構成し、センサのみをおむつに埋め込み、検出装置100を例えばおむつの外表部に仮止めしてもよい。この構成によれば、センサのみをおむつと共に使い捨てとし、検出装置100を再利用することが可能になる。
また、上述の実施形態では、読取装置200において検出結果を提示するものとしたが、検出装置100側で例えばビープ音等により通知してもよい。

【0052】
以下では、上述した本発明の実施形態の基本概念を説明し直す。
おむつの排泄物を検出するために、有機トランジスタを用いた柔軟性を有する無線ウェットセンサシートを開発した。無線電力伝送のための柔軟性を有するコイルの屈曲に対処するためのAAC(Adaptive Amplitude Control)は、読取装置の振幅を92パーセントも低減させる。これにより、読取装置の電力消費を低減させる。CuPcを用いた有機ショットキーダイオードを備えたESD(Electro Static Dischaege)保護回路は2kVのESD耐圧を達成し、ESD保護は、生理医学の用途では不可欠である。

【0053】
水分の有無を検出するウェットセンサは、包帯の血液、下着の汗、おむつの排泄物の検出等のような、生理医学、看護、高齢者介護の用途では重要なツールである。ウェットセンサは、人間の肌に接するため、硬くて有線のウェットセンサで定常的にモニタすることは煩わしく、また、衛生上の見地からウェットセンサは使い捨てが望ましいことから、ウェットセンサは、薄いこと、機械的に柔軟性を有すること、広い面積を有すること、非接触で電力とデータ伝送機能を有する低コストなデバイスであることを必要とする。このような問題を解決するため、本願発明者は、おむつの排泄物を検出するためのセンサとして、13.56MHzの磁界共鳴現象を用いた、有機トランジスタベースの柔軟性を有するウェットセンサシート(FWSS; Flexible Wet Sensor Sheet)を開発した。

【0054】
上述の図4は、78mm×53mmのFWSSの写真を示す。図4では、明確化のため、おむつの表面にFWSSを取り付けているが、実際の適用例では、FWSSは、おむつのコットンに組み込まれている。FWSSは、受動トランスポンダーとして構成され、読取装置により給電されて作動し、センサデータを読取装置に送信する。FWSSでは、12.5ミクロン厚の柔軟性を有するポリイミドフィルム上に形成された有機回路と40ミリメートル角のコイル(180)とが12.5ミクロン厚のフレキシブルプリント基板(PCB)上に積層されている。

【0055】
上述の図1は、送信装置100と読取装置200の回路図を示す。読取装置200は、おむつの近傍に位置するようにパンツに取り付けられている。読取装置200は、例えば13.56MHzの磁界共鳴現象を用いてコイル(L1とL2)間で電力を無線伝送する。この例では、従来の磁気誘導に代えて、読取装置とFWSSとの間の距離を増加させるために磁界共鳴が用いられている。検出装置100の代表的な電源電圧(VDD)は2Vである。検出装置100では、水分の有無を検出するために、二つの電極間の抵抗値が測定される。実際には、ウェットセンサの抵抗値は、RCオシレータによりTXデータの周波数に変換される。そして、TXデータは、読取装置200において負荷変調を実施し、それを復調して得られる信号がRXデータである。上述の図5は、検出装置100における電圧V2および送信データ信号(TXdata)と、読取装置における受信データ信号(RXdata)を示している。送信データ信号の10Hzの周波数は、読取装置200において問題なく復調されている。

【0056】
検出装置100の設計課題は、1)コイル(L1とL2)間の距離の変化と同様に、柔軟性を有するコイル(L2)の屈曲による伝送効率の損失に対処するためには読取装置が最大電力を伝送しなければならないため、バッテリ動作の読取装置200の電力消費が大きいことと、2)電極が、湿った人間の皮膚と直接接触するため、FWSSにおけるESD保護は必須であることである。しかしながら、有機トランジスタは絶縁フィルム上に形成されているため、有機トランジスタのESD保護は困難である。このような課題を解決するため、本願では二つの提案を行う。即ち、1)適応的振幅制御(AAC)を用いて、振幅を92%低減させることにより、読取装置の電力消費を低減させることと、2)CuPc(Copper phthalocyanine)を用いた誘起ショットキーダイオードを有するESD保護回路により、2kVのESD耐圧を達成することを提案する。

【0057】
上述の図2には、4入力マルチプレクサ(選択回路134)と三つのRCオシレータ(リングオシレータ131,132,133)を備えたウェットセンサの回路図が示されている。4入力マルチプレクサの4つの入力は、読取装置200におけるデータ受信部(抽出部)のためのプリアンブル信号で切り替えられる。RCオシレータは、本提案に係るAAC(制御部210)において使用され、他の二つのRCオシレータはウェットセンサとして使用されている。上述の図1に示すように、AAC(制御部210)において、読取装置の振幅(V1)は、参照オシレータの周波数を目標値に維持するためにAAC(制御部210)により適応的に制御され、これにより検出装置100の電源電圧(VDD)が発生される。上述の図2(B)および(C)は、それぞれ、疑似CMOS構成の4入力マルチプレクサの回路構成例を示している。疑似CMOSは、pMOSトランジスタのみからなる有機トランジスタ回路において高ゲインを得るために使用されている。マルチプレクサの動作を示すため、上述の図6は、送信データ信号(TXdata)の測定波形と、RCオシレータ3および参照RCオシレータ1の出力波形を示している。この例では、参照RCオシレータ(シングオシレータ131)の周波数は10Hzであり、RCオシレータ(リングオシレータ132)(=センサ1)は、発振動作を行わず、このことは“ドライ(排泄なし)”を意味し、RCオシレータ(リングオシレータ133)(=センサ2)は、“ウェット(=排泄あり)”を意味する5Hzである。図6の波形は、マルチプレクサ(選択回路134)の切り替えが問題なく実施されていることを示している。

【0058】
上述の図3は、疑似CMOSインバータを用いたRCオシレータ(リングオシレータ)の回路図である。RCオシレータは、電極間のセンサの抵抗値(RMEA)をオシレータの周波数に変換する。上述の図7(A)は、オシレータの測定波形を示している。図7(B)は、センサの抵抗値RMEAに関して測定された発振周期の依存性を示している。この例では、生理食塩水に浸けられたコットンの抵抗値RMEAが2メガオームから10メガオームであることから、抵抗値RMEAの目標範囲は数メガオームに設定されている。発振周期は、オフセットと共に抵抗値RMEAに対し線形依存する。抵抗センサ(RMEA)の感度(sensitivity)は3.5パーセント/メガオームである。

【0059】
次に、コイル(L1とL2)との間の距離の変化と同様の柔軟性を有するコイル(L2)の屈曲による伝送効率の変動について述べると共に、AACの有効性を述べる。図8(A)は、読取装置200にける入力電圧(VIN)と、検出装置100における出力電圧(VOUT)との間の関係を調べるための測定条件を示している。柔軟性を有するコイル(L2)の屈曲量Bと、コイル(L1)とコイル(L2)との間の距離を変化させる。図8(B)は、コイル(L1)と、屈曲されたコイル(L2)を示している。図8(C)は、屈曲量Bを0mmおよび17mmとしたときのVIN/VOUTの距離Dに対する依存性の測定結果を示している。40mmなる距離Dは、コイル(L1とL2)の直径に等しい。検出装置100に必要なVOUTは一定である。従って、距離Dと屈曲量Bが増加するにつれてVINを増加させる必要がある。従来の設計では、D=40mm、B=17mmなるワーストケースでも検出装置100が正常に動作することを保証するために、ワーストケースを想定した一定値(例えば、9.7×VOUT)にVINが定常的に設定されていた。しかしながら、図8(C)に示されるように、殆どのケースでは、必要とされるVINは9.7×VOUTよりも小さいため、通常、一定のVINはエネルギーの浪費をもたらす。従って、制御部が備えるAACは、最小のVINを取得するために提案されたものであり、バッテリ駆動の読取装置200の電力消費を抑制する。制御部のAACによって、VINを最大92パーセント低減させることが可能である。VINに関する屈曲量Bに対する改善効果を明確にするため、図8(D)は、図8(C)から抽出され、B=17mmとしたときのVINと、B=0nmとしたときのVINの依存性の測定結果を示している。屈曲量Bを0mmから17mmに変化させると、VINは、距離Dが10mmよりも大きい場合の1.5倍を超える必要がある。従って、制御部のAACはコイルが屈曲する用途において、より効果的であることが理解される。

【0060】
図9(A)は、開発されたESD保護の回路図を示している。読取装置と同様のESDを得るためのダイオードとして、有機pMOSFETに代えて、縦型構造の有機ショットキーダイオードが用いられている。これは、ショットキーダイオードは、従来の有機MOSFETと比較して、大きな電流駆動能力を有すると共に優れた周波数特性を有するためである。図9(B)および(C)は、それぞれ、CuPcを用いた有機ショットキーダイオードの断面図と写真を示している。ESD耐圧の試験は、Thermo Fisher Scientific社製のMiniZap ESDシミュレータを用いて、ESD標準規格IEC61000-4-2に従って実施された。図9(D)は、測定ステップと測定結果を示している。ESD保護を用いない場合、ESD耐圧は0.5kVを下回る。これに対し、ESD保護を用いた場合、ESD耐圧は、2kVを超え、ESD標準規格IEC61000-4-2のレベル1を満足する。信号パッドにESD保護回路を付加することによる問題の一つは、信号パッドに入力される信号の帯域幅の劣化をもたらすことである。図9(E)は、ESD保護を用いた場合のソースフォロアのゲインの周波数依存性の測定結果を示している。ESD保護を付加することにより、-3dB帯域幅が、500Hzから300Hzに低下しているが、このことは、検出装置100では問題にならない。なぜならば、発振周波数は、図7(B)に示したように、4Hz未満であるためである。図10は、有機全波整流器およびRCオシレータの写真と、主要な特徴の要約を示している。

【0061】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、変形、置換、付加等が可能である。
例えば、上述の実施形態では、本発明による検出装置100をおむつに埋め込み、おむつの状態を検出するものとしたが、検出対象は任意である。
また、上述の実施形態では、検出対象の状態を検出するためのセンサとして水分を検出するセンサを用いたが、検出対象に応じて任意の種類のセンサを用いることができる。
また、上述の実施形態では、センサの抵抗値を検出するものとしたが、任意の物理量を検出するものとしてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1…状態検出システム
100…検出装置(FWSS)
111,112,113,114…電極
120…ESD保護回路
130…信号生成部
131,132,133…リングオシレータ
134…選択回路(マルチプレクサ)
140…コンデンサ
150…整流部
160…p型MOSトランジスタ
170…コンデンサ
180…コイル
200…読み取り装置
210…制御部(AAC)
220…交流発生部
230…コンデンサ
240…コイル
250…抽出部
260…提示部
図面
【図1】
0
【図3】
1
【図2】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9