TOP > 国内特許検索 > トラス橋の崩壊防止構造 > 明細書

明細書 :トラス橋の崩壊防止構造

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-183351 (P2015-183351A)
公開日 平成27年10月22日(2015.10.22)
発明の名称または考案の名称 トラス橋の崩壊防止構造
国際特許分類 E01D  19/04        (2006.01)
E01D   6/00        (2006.01)
FI E01D 19/04 101
E01D 6/00
請求項の数または発明の数 2
出願形態 OL
全頁数 6
出願番号 特願2014-057520 (P2014-057520)
出願日 平成26年3月20日(2014.3.20)
発明者または考案者 【氏名】後藤 芳顯
出願人 【識別番号】304021277
【氏名又は名称】国立大学法人 名古屋工業大学
審査請求 未請求
テーマコード 2D059
Fターム 2D059AA13
2D059AA41
2D059BB33
2D059GG29
2D059GG55
2D059GG57
要約 【課題】極大地震時においてトラス橋上部構造の主部材損傷を起点とした崩壊を防止するためのトラス橋の崩壊防止構造を提供することを目的とする。
【解決手段】床版1とトラスの骨組み2からなる上部構造を下部構造3の上面に前記両構造の連結部である支承4を介して配置し、幅員方向の両サイドにはケーブル5を設置し、各サイドの当該ケーブルは、前記トラスの下弦材6の各格点下部に設置したケーブルガイド7に通して全長に渡って張り巡らせ、当該ケーブルの始端と終端を当該下部構造に固定させることを特徴とするトラス橋の崩壊防止構造。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
床版とトラスの骨組みからなる上部構造を下部構造の上面に前記両構造の連結部である支承を介して配置し、幅員方向の両サイドにはケーブルを設置し、各サイドの当該ケーブルは、前記トラスの下弦材の各格点下部に設置したケーブルガイドに通して全長に渡って張り巡らせ、当該ケーブルの始端と終端を当該下部構造に固定させることを特徴とするトラス橋の崩壊防止構造。
【請求項2】
床版とトラスの骨組みからなる上部構造を下部構造の上面に前記両構造の連結部である支承を介して配置し、上部構造の落橋を防止する落橋防止装置を備え、幅員方向の両サイドにはケーブルを設置し、各サイドの当該ケーブルは、前記トラスの下弦材の各格点下部、上弦材の各格点下部に設置したケーブルガイドに通して環状に張り巡らせ、当該ケーブルの始端と終端を結合させることを特徴とするトラス橋の崩壊防止構造。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、トラス橋の崩壊防止構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に桁橋やトラス橋などの橋梁は上部構造と下部構造によって形成され,双方の連結部には支承が設置される。この連結部の支承が東北太平洋沖地震クラスの極大地震動によって損壊すると上部構造と下部構造の結合条件は破綻し最終的に上部構造は下部構造から落下する。これを防止する目的で設置されるのが落橋防止装置である。落橋防止装置は上部構造が致命的な損傷に至っていない場合を想定しており,このような場合に限り有効に機能する。
当該落橋防止装置には、主に以下の2タイプが存在する(非特許文献1)。
・PCケーブル式の落橋防止装置(タイプ1)
上部構造端部と下部構造をPCケーブルによって連結することにより,支承損壊後の上部構造の移動をPCケーブルによって制限し落橋を防止する。
・チェーン式の落橋防止装置(タイプ2)
PCケーブル式と同様に,上部構造端部と下部構造を鋼製のチェーンによって連結し,上部構造の移動を制限することにより落橋を防止する。
【先行技術文献】
【0003】

【非特許文献1】鋼橋ネットサービス/橋梁付属物製品検索サービス/落橋防止装置http://www.e-bridge.jp/eb/introacs/index.php?page=-1&pro_select_class=300
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、非特許文献1で挙げられる従来技術は上部構造が致命的な損傷に至っていないことを前提としているため,想定を上まわる大地震によって上部構造に致命的な損傷が生じた場合においては本来の機能を発揮できない可能性がある。下部構造が損壊した場合においては,橋梁全体系の倒壊に即直結するのでそもそも落橋防止装置のようなもので崩壊を防止することは困難である。一方,上部構造については,以下の2ケースが考えられる。桁橋のように極大地震時においても上部構造の損傷が小さく問題とならないケースと,比較的大きな支間長に適用されるトラス橋のように極大地震時において主部材の損傷状態によって自重を支えきれず上部構造そのものが崩壊するケースである。後者のケースでは,上部構造そのものの崩壊による落橋であるので,従来の落橋防止装置で落橋を防止することはできない。本発明はこのような場合を想定したトラス橋の崩壊防止構造を提供することを目的とする。本発明はトラス橋上部構造の主部材の損傷を起点として生じる崩壊を防止するための構造であるが,従来の落橋防止装置としての機能も有するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、床版とトラスの骨組みからなる上部構造を下部構造の上面に前記両構造の連結部である支承を介して配置し、幅員方向の両サイドにはケーブルを設置し、各サイドの当該ケーブルは、前記トラスの下弦材格点の下部に設置したケーブルガイドに通して全長に渡って張り巡らせ、当該ケーブルの始端と終端を当該下部構造に固定させることを特徴とするトラス橋の崩壊防止構造にある。
ケーブル5をトラスの下限材格点下部に設置するケーブルガイド7を通してトラス橋に張り巡らせ,ケーブルの始端と終端を下部構造に定着させる理由を以下に述べる。地震や腐食などの要因によりトラス橋上部構造を構成する主部材やその連結部が損傷し破断した場合においては,周辺部材が過大な荷重を分担することで局所的に損傷が加速し,それを起点としてトラス橋上部構造が大きく変形して崩壊に至る。本発明の崩壊防止構造はトラス橋上部構造の部材破断時において,張り巡らせたケーブルにより下限材格点の下部を支持することでトラスの崩壊挙動を抑制し橋全体を支えるような役割を果たすのである。また,ケーブルはトラス橋上部構造の崩壊時や落橋時に機能するもので常時荷重や地震荷重作用時において力が作用しないようにある程度の弛みを持たせる。
請求項2に記載の発明は、床版とトラスの骨組みからなる上部構造を下部構造の上面に前記両構造の連結部である支承を介して配置し、幅員方向の両サイドにはケーブルを設置し、各サイドの当該ケーブルは、前記トラスの下弦材の格点下部及び上弦材の格点下部に設置したケーブルガイドに通して環状に張り巡らせ、当該ケーブルの始端と終端を結合させることを特徴とするトラス橋の崩壊防止構造にある。
請求項2の発明は、ケーブルを下部構造に固定させていない点で請求項1の発明と異なるが、当該ケーブルの果たす役割は、前記のトラス橋上部構造の崩壊挙動を抑制するものであり請求項1の発明と同様である。請求項1の発明と異なり、当該ケーブルによる崩壊防止構造が上部構造だけで完結しているため、落橋防止装置が別途必要になる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明の第1実施形態における上路式トラス橋の側面図であり第1実施形態の構造を模式的に示した図である。
【図2】図1においてIa方向から見た図である。
【図3】図1においてIb方向から見た場合の断面図である。
【図4】第1実施形態の動作を模式的に示した図である。
【図5】第2実施形態の構造を模式的に示した図である。
【図6】第3実施形態の構造を模式的に示した図である。
【図7】図6においてIc方向から見た場合の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(第1実施形態)
図1は上路式トラス橋の側面図であり,第1実施形態の構造を模式的に示した図である。上路式トラス橋は自動車や歩行者が通行する床版1がトラスの骨組み2の上側に配置される場合の形式である。床版1とトラスの骨組み2により上部構造を形成し,上部構造は下部構造3の上面に両者の連結部である支承4を介して配置される。 ケーブル5をトラスの下弦材6の下面の各格点に設置したケーブルガイド7に通して全長に渡って張り巡らせる。このケーブルガイド7はケーブル5のケーブル軸に対して直角方向の移動は制限するがケーブル軸方向の移動は制限しないものとする。ケーブル5の始端と終端は鋼製ブラケット8に固定し下部構造3に定着させる。このようにケーブル5を下部構造3と定着させることにより,トラス橋上部構造の主部材損傷を起点として生ずるトラス骨組みの崩壊をトラス格点に配置したケーブルガイド7においてケーブルで支えて防止するとともに,従来の落橋防止装置としての機能をさせる。落橋防止装置の機能は支承4が損壊し上部構造と下部構造の支承における結合が破壊した場合の上部構造の水平移動による落橋を抑止するものである。なお,ケーブル5には図1に示すように弛みを持たせて,常時荷重載荷時や地震荷重載荷時におけるトラス橋の応答特性に直接的影響を及ぼさないように配慮する。本発明のケーブルによる崩壊防止構造は従来の常時荷重下の設計や耐震設計の枠組みとは根本的に異なるものであり,本来保有しているトラス橋の耐荷性能や耐震性能に影響を及ぼさないように弛みをもたせている。

【0008】
図2は図1においてIa方向から見た場合の上面図であり,また,図3は図1においてIb方向から見た場合の断面図である。ケーブル5は鋼製ブラケット8によって下部構造3に定着し上部構造の下弦材6の下面に設置されるケーブルガイド7に通すのは先に述べた通りであるが,図2,3に示すようにケーブル5は橋の幅員方向の両サイドに設置しなければならない。

【0009】
図4は第1実施形態における動作を模式的に示した図であり,図1に示すトラス橋の斜材9の一部位10が損傷し部材破断した後の動作を示している。このときの部材破断の要因は地震による損傷でも腐食による断面欠損でもどちらでもよい。図4より破断した斜材9の周辺部材が損傷により大きく変形していることがわかるが,弛んでいたケーブル5が緊張することによって上部構造を支えていることがわかる。このとき上部構造はケーブルで支えられなければそのまま自重によって崩壊する。

【0010】
(第2実施形態)
図5は第1実施形態で述べた崩壊防止構造を下路式トラス橋に適用した事例である。下路式トラス橋は床版11がトラスの骨組み12の下側に配置される場合の形式である。第2実施形態おいても第1実施形態と同様にケーブル13をトラスの下弦材14の格点下部に設置したケーブルガイド15を介して全長に渡って張り巡らせ,鋼製ブラケット16により下部構造17に定着させる。この場合,ケーブルガイドは図1の上路式トラス橋のケーブルガイドの位置よりさらに下方に設置しケーブル両端の定着位置よりできるだけ下方にもっていく.これはケーブルによる支持効率を上げるためである.以上のように本発明はトラス橋の形式によらないものである。
(第3実施形態)
図6は第3実施形態の構造の模式的に示した図である。また図7は図6においてIc方向から見た場合の断面図である。第3実施形態は図6に示すようにケーブル18を下部構造19に定着させていない点で第1実施形態と異なる。崩壊防止のための措置が上部構造だけで完結しているのが第3実施形態の大きな特徴である。このため,支承20の損壊により上部構造と下部構造19の分離した際の上部構造の水平移動による落橋を防止する従来の落橋防止装置の機能を有さないので別途落橋防止装置が必要である。第3実施形態はすでに落橋防止装置が設けられている構造に適用する場合に有効である。トラス部材の部材破断による崩壊挙動はケーブルガイド21を介して各部材に張り巡らせているケーブル18の緊張によって抑止される。
【符号の説明】
【0011】
1 床版
2 トラスの骨組み
3 床版
4 支承
5 ケーブル
6 トラスの下弦材
7 ケーブルガイド
8 鋼製ブラケット
9 トラス橋の斜材
10 斜材9の一部位
11 床版
12 トラスの骨組み
13 ケーブル
14 トラスの下弦材
15 ケーブルガイド
16 鋼製ブラケット
17 下部構造
18 ケーブル
19 下部構造
20 支承
21 ケーブルガイド
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6