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明細書 :ネオジム回収方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6052586号 (P6052586)
公開番号 特開2014-046295 (P2014-046295A)
登録日 平成28年12月9日(2016.12.9)
発行日 平成28年12月27日(2016.12.27)
公開日 平成26年3月17日(2014.3.17)
発明の名称または考案の名称 ネオジム回収方法
国際特許分類 B09B   3/00        (2006.01)
H01F  41/00        (2006.01)
H01F  41/02        (2006.01)
C22B  59/00        (2006.01)
C22B   7/00        (2006.01)
FI B09B 3/00 304J
H01F 41/00 ZABZ
H01F 41/02 G
B09B 3/00 Z
C22B 59/00
C22B 7/00 G
請求項の数または発明の数 1
全頁数 6
出願番号 特願2012-193017 (P2012-193017)
出願日 平成24年9月3日(2012.9.3)
審査請求日 平成27年7月24日(2015.7.24)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504155293
【氏名又は名称】国立大学法人島根大学
発明者または考案者 【氏名】笹井 亮
個別代理人の代理人 【識別番号】100116861、【弁理士】、【氏名又は名称】田邊 義博
審査官 【審査官】金 公彦
参考文献・文献 特開平09-217132(JP,A)
特開平09-157769(JP,A)
特開昭63-004028(JP,A)
特開2010-192575(JP,A)
特開2012-224938(JP,A)
特開2009-249674(JP,A)
特開平09-217133(JP,A)
特開平01-183415(JP,A)
米国特許第5129945(US,A)
調査した分野 B09B 1/00- 5/00
C22B 1/00-61/00
H01F 41/00
DWPI(Thomson Innovation)
特許請求の範囲 【請求項1】
脱磁したネオジム磁石を粗粉砕したのち、塩酸、硝酸または硫酸と、シュウ酸との混合溶液であって、シュウ酸濃度を0.1mol/dm~0.4mol/dmとした混合溶液を加え、所定時間室温で湿式ボールミルにて処理し、ネオジムをジカルボン酸化合物として沈殿分離することを特徴とするネオジム回収方法。

発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ネオジム磁石からネオジムを回収する方法に関し、特に、ネオジムを工業的に再利用可能な形態として低コストで回収する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ネオジム磁石は、NdFe14Bを主相とした強力な永久磁石であり、現在、家電、自家用車、PC,モバイル機器等に含まれるモータ等に多様に採用されている。希土類元素の一つであるネオジム(Nd)は、埋蔵量が多くなく、その安定確保・安定供給のためにはネオジム磁石廃材からネオジムを工業的に利用可能な形態で高効率かつ低コストで回収する技術が求められている。
【0003】
そのうちの一つとして、冶金技術を基盤として高温加熱により希土類を選択的に気化、回収する方法が知られている。また、粉砕製造技術を基盤としてネオジム磁石を微粉化してより低機能の磁石として利用する方法も知られている。
【0004】
しかしながら、従来の技術では以下の問題点があった。
希土類を選択的に気化、回収する方法は、エネルギーコストおよびメンテナンスコストが高くなるという問題点があり、実際に工業的には利用されていない。また、低機能磁石を得る方法は、低コストではあるものの、低機能磁石としてのカスケード利用のみが可能であって、ネオジムの安定確保・安定供給には寄与しないという問題点があった。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特願2010-209954号公報
【特許文献2】特願2010-182368号公報
【特許文献3】特開2010-192575号公報
【特許文献4】特開2002-348632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記に鑑みてなされたものであって、ネオジム磁石からネオジムを高効率かつ高純度で工業利用可能な形態として、低コストで回収する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載のネオジム回収方法は、脱磁したネオジム磁石を粗粉砕したのち、塩酸、硝酸または硫酸と、シュウ酸との混合溶液であって、シュウ酸濃度を0.1mol/dm~0.4mol/dmとした混合溶液を加え、所定時間室温で湿式ボールミルにて処理し、ネオジムをジカルボン酸化合物として沈殿分離することを特徴とする。
【0010】
これにより、シュウ酸ネオジムとしてネオジムが回収可能となる。特に、シュウ酸ネオジムは、工業的に利用可能な酸化物へ容易に転換でき、既存の処理設備を利用できる利点を有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ネオジム磁石からネオジムを高効率かつ高純度で工業利用可能な形態として、低コストで回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】塩酸濃度を変えて回収されたシュウ酸ネオジムのXRDパタンである。
【図2】シュウ酸ネオジムの回収率と塩酸濃度との関係を示した図である。
【図3】シュウ酸濃度を変えて回収されたシュウ酸ネオジムのXRDパタンである。
【図4】シュウ酸ネオジムの回収率とシュウ酸濃度との関係を示した図である。
【図5】湿式ボールミル処理をおこなった場合と単純浸漬の場合のシュウ酸ネオジムの回収率の時間依存性を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
まず、ネオジム磁石を脱磁した。脱磁に際しては、1時間または2時間、温度を100℃
単位で変え加熱処理した。用意したネオジム磁石試料については、300℃×1時間加熱すれば脱磁できることが確認できた。なお、ネオジム磁石はキュリー温度が約310℃であり、400℃×1時間の加熱でも当然に脱磁されることを確認したが、200℃×2時間の加熱では脱磁されなかった。

【0015】
次に、脱磁した試料をハンマーで粗く砕き、遊星型ボールミル(リッチュ社製:P-5/2)を用い適宜回転方向を反転させ、48時間粉砕処理し試料粉末を得た。得られた粉末は数十ミクロンの粒径であった。

【0016】
次に、この粉末に、溶解させるための塩酸(HCl)とネオジムを分離回収するためにシュウ酸((COOH))との混合液を加え、ボールミルを用いて処理した。用いたボールミルは、転動式ボールミル(UNIVERSAL BALL MILL MODEL013-32)であり、ボールは、ジルコニアボール(φ=5mm)を用いた。

【0017】
また、ここでは、シュウ酸濃度は0.5mol/dm,回転時間を24h,回転速度を120回/minに固定し、溶解度を調べるため、塩酸濃度を0.0125mol/dm~0.2mol/dmの間で変化させた。なお、処理は室温でおこなった。

【0018】
得られた沈殿物を、バキュームオーブンで乾燥させた後、XRD測定をおこなった。回収された物質のXRDパタンと塩酸濃度との関係を図1に示す。また、シュウ酸ネオジムの回収率と塩酸濃度との関係を図2に示す。

【0019】
図1から、沈殿物(回収物)はシュウ酸ネオジムであることが確認でき、また、図2からその回収率はHCl濃度にほぼ依存しないことが確認できた。

【0020】
次に、塩酸濃度を0.2mol/dmに固定して、シュウ酸濃度を0.005mol/dm~0.85mol/dmの間で変化させ、同上の装置を用いて室温で湿式ボールミル処理をおこない、シュウ酸ネオジムの回収率を測定した。図3にXRDパタンを示す。

【0021】
図から、シュウ酸濃度が所定濃度以上である場合に、シュウ酸ネオジムが回収されることが確認できた。また、回折パタンがシュウ酸ネオジムそのものと若干異なっているので、磁石中に含まれる他の希土類元素もネオジムと同様にシュウ酸化合物として回収されることが確認できた。

【0022】
回収率とシュウ酸濃度との関係を図4に示した。図から、シュウ酸濃度が0.1mol/dm~0.4mol/dmである場合に回収率が高まることが確認できる。好ましくは、0.175mol/dm~0.25mol/dmであり、このとき、回収率は90%を越えることを確認した。なお、シュウ酸濃度が高いところで回収率が低くなっているのは、ネオジムが液中へ再溶解しているものと考えられた。

【0023】
また、シュウ酸濃度を0.175mol/dmおよび0.25mol/dmとしたときの回収物を別途解析したところ、シュウ酸ネオジムは約80wt%であった。残余は他の希土類のシュウ酸化合物と推定された。

【0024】
最後に、塩酸0.2mol/dm、シュウ酸0.2mol/dmに固定して、湿式ボールミル処理をおこなった場合と、単に混合液に粉砕試料を浸漬した場合の、シュウ酸ネオジムの回収率の時間経過を測定した。図5に結果を示す。

【0025】
図から明らかなように、湿式ボールミル処理の場合は約24時間で95%以上の回収率を実現しているのに対し、単純浸漬の場合は、30%程度にとどまり時間に比例して回収率が高まらないことを確認した。

【0026】
以上説明したように、本発明によれば、室温下で脱磁済みのネオジム磁石粉末に塩酸および所定濃度範囲のシュウ酸の混合液を添加して湿式ボールミル処理をおこなうことによりシュウ酸ネオジムとしてネオジムを効率的に回収できる。

【0027】
なお、添加する酸は、塩酸の他、硝酸や硫酸を用いても良い。ただし、脱硫や脱窒処理といった環境負荷を考慮すると塩酸が好適である。また、シュウ酸以外でもネオジムを選択的に回収できれば、他のジカルボン酸を用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
ネオジム磁石中には他の希土類も微量含まれるので、上記方法で回収したものからネオジムを抽出し、残余物から他の希土類元素を回収することもできる。

図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
4