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明細書 :同軸型DBDプラズマアクチュエータを用いた噴流制御装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6210615号 (P6210615)
公開番号 特開2013-131488 (P2013-131488A)
登録日 平成29年9月22日(2017.9.22)
発行日 平成29年10月11日(2017.10.11)
公開日 平成25年7月4日(2013.7.4)
発明の名称または考案の名称 同軸型DBDプラズマアクチュエータを用いた噴流制御装置
国際特許分類 H05H   1/54        (2006.01)
H05H   1/24        (2006.01)
F02M  51/06        (2006.01)
FI H05H 1/54
H05H 1/24
F02M 51/06 Z
請求項の数または発明の数 6
全頁数 15
出願番号 特願2012-248088 (P2012-248088)
出願日 平成24年11月12日(2012.11.12)
優先権出願番号 2011254919
優先日 平成23年11月22日(2011.11.22)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成27年11月9日(2015.11.9)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】899000057
【氏名又は名称】学校法人日本大学
発明者または考案者 【氏名】木村 元昭
【氏名】金 洪宇
【氏名】朝倉 洵
【氏名】大西 真澄
個別代理人の代理人 【識別番号】100110629、【弁理士】、【氏名又は名称】須藤 雄一
【識別番号】100166615、【弁理士】、【氏名又は名称】須藤 大輔
審査官 【審査官】藤本 加代子
参考文献・文献 特開2006-244938(JP,A)
特開2008-270110(JP,A)
米国特許出願公開第2008/0122252(US,A1)
特開2005-207316(JP,A)
特開2008-293925(JP,A)
特開2008-095685(JP,A)
特開2010-179829(JP,A)
特表2011-511615(JP,A)
調査した分野 H05H 1/24
H05H 1/54
F02M 51/06
特許請求の範囲 【請求項1】
同軸型DBDプラズマアクチュエータをノズルの噴流出口側に用いた噴流制御装置であって、
前記同軸型DBDプラズマアクチュエータは、円筒状の誘電体を挟んで同軸に各別に形成された内周面側の外電極及び外周面側の内電極を備え、
前記内周面側の外電極は、前記円筒状の誘電体の一端に設けられ、
前記外周面側の内電極は、前記円筒状の誘電体の軸方向に前記外電極から離間して設けられ、
前記外電極及び内電極への電圧の印加により発生するプラズマを利用して誘起流れを発生させ前記ノズルから噴出する噴流を拡散制御する、
ことを特徴とする同軸型DBDプラズマアクチュエータを用いた噴流制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の同軸型DBDプラズマアクチュエータを用いた噴流制御装置であって、
前記誘電体は、円筒部の一端にフランジ部を備え、
前記外電極は、前記フランジ部の内周面側に設けられ、
前記内電極は、前記円筒部の外周面側に設けられた、
ことを特徴とする同軸型DBDプラズマアクチュエータを用いた噴流制御装置。
【請求項3】
請求項2記載の同軸型DBDプラズマアクチュエータを用いた噴流制御装置であって、
前記フランジ部の端面内周縁側に、周回状の凹部を設け、
前記外電極は、前記凹部に内周部が設けられて内面が前記円筒部の内面と面一に形成された、
ことを特徴とする同軸型DBDプラズマアクチュエータを用いた噴流制御装置。
【請求項4】
請求項2又は3記載の同軸型DBDプラズマアクチュエータを用いた噴流制御装置であって、
前記内電極は、前記円筒部の外周面側全体に設けられた、
ことを特徴とする同軸型DBDプラズマアクチュエータを用いた噴流制御装置。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項記載の同軸型DBDプラズマアクチュエータを用いた噴流制御装置であって、
前記電圧又は周波数を制御する、
ことを特徴とする同軸型DBDプラズマアクチュエータを用いた噴流制御装置。
【請求項6】
請求項5記載の同軸型DBDプラズマアクチュエータを用いた噴流制御装置であって、
前記周波数の制御は、間欠的に行う、
ことを特徴とする同軸型DBDプラズマアクチュエータを用いた噴流制御装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、噴流など気体の流れを制御することができる同軸型DBDプラズマアクチュエータを用いた噴流制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大気圧放電により生成されるDBDプラズマを利用した流体制御技術 (DBDプラズマアクチュエータ)が大きな注目を集めている。噴流の初期領域においてプラズマを発生させ、その誘起流れを用いて速度変動を生じさせ、噴流の拡散制御等を試みている。
【0003】
図19は、DBDプラズマアクチュエータの作動原理を示す断面図である。
【0004】
このDBDプラズマアクチュエータ101は、ポリイミド等の誘電体103の表裏壁面上に薄い外電極105,内電極107を配置し,裏面には放電を抑えるための絶縁層109による処理を施している。
【0005】
高周波電圧を印加するとDBDプラズマ111が外電極105のエッジ近傍から起こり、外電極105から内電極107に向かう向きに外力による誘起流れ (ブローイング力)113が発生する。
【0006】
かかる原理を利用したものとして、特許文献1や非特許文献1等には、同軸方向に誘起流れを発生させるものが示されている。
【0007】
図20は、向心型DBDプラズマアクチュエータ及び噴流制御装置を示す概略図、図21は、電極を示す分解斜視図である。
【0008】
この向心型DBDプラズマアクチュエータ115は、誘電体116を挟んでリング状の表面電極117(外電極)とドーナツ型の裏面電極119(内電極)とが配置され、この表面電極117と裏面電極119とがノズル121の出口に取り付けられ、電極117、119に電源123が接続されて噴流制御装置124が構成されている。
【0009】
電源123により高周波電圧を印加すると表面電極117の内径側エッジ近傍にDBDプラズマが生成され、内径側エッジ全ての近傍から中心へ向かう誘起流れ125が形成される。この誘起流れ125は、ノズル121から噴出される主噴流127に衝突して向きを変えることになる。
【0010】
したがって、向心型DBDプラズマアクチュエータ115によりノズル121から噴出される主噴流127の拡散制御を行わせることができる。
【0011】
しかし、向心型DBDプラズマアクチュエータ115の場合は、ノズル121の出口に平面的に備えられるため、電極の設置にノズル121回りの面積を必要とし、複数並列ノズル等の場合には設置が困難であるか、全体が大型化するという問題があり、設計の自由度に制限があった。
【0012】
また、向心型では、中心へ向かうDBDプラズマにより、主にノズル121の周囲から主噴流127に衝突するように誘起流れ125が発生するため、主噴流127の拡散制御に関して自由度が得られないという問題もある。
【先行技術文献】
【0013】

【特許文献1】特開2008—2270110号公報
【0014】

【非特許文献1】瀬川武彦、吉田博夫、武川信也他、DBDプラズマアクチュエータによる同軸環状噴流、日本流体力学学会誌、ながれ27(2008)65-72
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
解決しようとする問題点は、設計の自由度に制限があると共に、噴流の拡散制御に関しては、自由度が得られない点である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の同軸型DBDプラズマアクチュエータを用いた噴流制御装置は、同軸型DBDプラズマアクチュエータをノズルの噴流出口側に用いた噴流制御装置であって、前記同軸型DBDプラズマアクチュエータは、円筒状の誘電体を挟んで同軸に各別に形成された内周面側の外電極及び外周面側の内電極を備え、前記内周面側の外電極は、前記円筒状の誘電体の一端に設けられ、前記外周面側の内電極は、前記円筒状の誘電体の軸方向に前記外電極から離間して設けられ、前記外電極及び内電極への電圧の印加により発生するプラズマを利用して誘起流れを発生させ前記ノズルから噴出する噴流を拡散制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の同軸型DBDプラズマアクチュエータは、上記構成であるから、プラズマの強さを変更するために電極の長さ等を変更しても外径の変化は抑制されるから、設計の自由度を得ることができる。
【0019】
本発明の噴流制御装置は、プラズマによる誘起流れを円筒状の誘電体の内面に沿って主噴流の流れ方向に形成することができ、電圧の大きさ、周波数制御によりプラズマによる誘起流れの強さを変更すると共に、周辺速度に対して中心平均速度を減速させるなど噴流の拡散制御の自由度を拡げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】同軸型DBDプラズマアクチュエータ及び噴流制御装置の概略図である。(実施例1)
【図2】同軸型DBDプラズマアクチュエータの寸法例を示す断面図である。(実施例1)
【図3】噴流制御装置の実験装置の概略図である。(実施例1)
【図4】測定座標の設定に係わる可視化画像の一例である。(実施例1)
【図5】電圧変化と噴流の拡散との関係の可視化画像である。(実施例1)
【図6】電圧の周波数変化と噴流の拡散との関係の可視化画像である。(実施例1)
【図7】電圧の周波数変化と噴流の速度分布との関係を示すグラフである。(実施例1)
【図8】内電極の長さを変更したもので、(A)は、内電極長さ6mm、(B)は、内電極長さ10mm、(C)は、内電極長さ20mmの同軸型DBDプラズマアクチュエータを示す断面図である。(実施例1)
【図9】内電極長さの相違と噴流の拡散との関係の可視化画像である。(実施例1)
【図10】内電極長さの相違に応じたPIV解析画像である。(実施例1)
【図11】(A)~(F)は、内電極長さの相違とx/d(=0.5、1.0、2.0、3.0、4.0、5.0)における速度分布との関係のグラフである。(実施例1)
【図12】内電極長さの相違とx/d=3における速度分布との関係のグラフである。(実施例1)
【図13】(A)は、通常制御時の入力周波数を示す波形図、(B)は、間欠制御時の入力周波数を示す波形図、(C)は、dutyを示す波形図である。(実施例2)
【図14】duty変化と噴流の拡散との関係の可視化画像である。(実施例2)
【図15】電源に与えるパルス周期とプリファード周波数と噴流の拡散との関係の可視化画像である。(実施例2)
【図16】duty変化による噴流の中心速度分布図である。(実施例2)
【図17】y/d=0でのduty変化による噴流の速度変動分布に係り、(A)、(B)、(C)は、duty=10、50、90を示すグラフである。(実施例2)
【図18】y/d=0.45でのduty変化による噴流の速度変動分布に係り、(A)、(B)、(C)は、duty=10、50、90を示すグラフである。(実施例2)
【図19】DBDプラズマアクチュエータの作動原理を示す断面図である。(従来例)
【図20】向心型DBDプラズマアクチュエータ及び噴流制御装置を示す概略図である。(従来例)
【図21】電極を示す分解斜視図である。(従来例)
【発明を実施するための形態】
【0021】
設計の自由度を得るという目的を、円筒状の誘電体を挟んで内外周面に各別に形成された外電極及び内電極に、電圧を印加することにより実現した。

【0022】
噴流の拡散制御に関し、自由度を得るという目的を、同軸型DBDプラズマアクチュエータを、ノズルの噴流出口側に接合させることにより実現した。
【実施例1】
【0023】
[同軸型DBDプラズマアクチュエータ及び噴流制御装置]
図1は本発明の実施例に係り、同軸型DBDプラズマアクチュエータ及び噴流制御装置の概略図である。
【実施例1】
【0024】
図1のように、同軸型DBDプラズマアクチュエータ1をノズル3の噴流出口側に取り付けて噴流制御装置5を構成している。
【実施例1】
【0025】
同軸型DBDプラズマアクチュエータ1は、円筒状の誘電体7を挟んで内外周面に各別に薄い外電極としての内周電極9及び内電極としての外周電極11が同軸に形成されている。この場合、円筒状の誘電体7の内周側の内周電極9を外電極とするのは、プラズマが発生する側を外とするためである。
【実施例1】
【0026】
誘電体7は、誘電体バリア放電 (DBD: dielectric barrier discharge)を発生させるために、テフロン(登録商標)、ポリイミド等により形成されている。この誘電体7は、円筒部13の一端に相対的に厚肉のフランジ部15を備えている。フランジ部15の端面内周縁側に、周回状の凹部17が設けられている。
【実施例1】
【0027】
内周電極9は、フランジ部15の内周面側から端面にかけて設けられ、内周部19側が凹部17に設けられて内面19aが円筒部13の内面13aと面一に形成されている。内周電極9には、遮熱コーティング層を形成することもできる。
【実施例1】
【0028】
外周電極11は、本実施例において、円筒部13の外周面側で外周面側全体に設けられている。
【実施例1】
【0029】
同軸型DBDプラズマアクチュエータ1の外面には、放電を抑えるために絶縁処理が施される。
【実施例1】
【0030】
内周電極9及び外周電極11には、電源21が接続されている。
【実施例1】
【0031】
ノズル3は、アクリル製軸対称速度均一ノズルである。このノズル3の噴流出口側に同軸型DBDプラズマアクチュエータ1のフランジ部15側が接合されている。
【実施例1】
【0032】
電源21により内周電極9及び外周電極11に電圧を印加すると、内周電極9のエッジ部近傍にDBDプラズマ23が生成される。
【実施例1】
【0033】
DBDプラズマ23により誘起流れ25が円筒状の誘電体7の円筒部13の内面13aに沿って主噴流27の流れ方向に形成される。
【実施例1】
【0034】
印加する電圧の大きさ、周波数制御によりDBDプラズマ23による誘起流れの強さを変更し、噴流の拡散の程度を自由に変えることができる。
【実施例1】
【0035】
[噴流制御装置の実験装置]
図2は、同軸型DBDプラズマアクチュエータの寸法例を示す断面図、図3は、噴流制御装置の実験装置の概略図である。
【実施例1】
【0036】
銅製の内周電極9、外周電極11の厚さは共に0.5mm、ポリイミド製の誘電体7の厚さは1.0mmである。この同軸型DBDプラズマアクチュエータ1を内径d=10mmのアクリル製軸対称速度均一ノズル3に取り付けた。
【実施例1】
【0037】
電源21(PSI製:PSI-PG1040F)より印加電圧2kV~6kV、周波数4kHz~15kHzの交流電圧を加えてプラズマを発生させ、ノズル3から噴出する噴流の拡散制御を試みた。
【実施例1】
【0038】
実験では空気を圧縮機29からノズル3に供給し、Re=1000(2.3m/s)の条件で実験を行った。噴流の可視化のためには、パーティクルジェネレータ30により1μm程度のシード粒子 (オンジナオイル)を空気に混入させている。このシード粒子混入空気をノズル3より大気中、鉛直上方に噴出し、Nd:YAGレーザ31(Omicron製:LA-D40-CW, λ=532 nm)を用いたレーザライトシート法により噴流軸中心上を可視化した。そして、ハイスピードカメラ33(Photron製: FASTCAMSA1.1)を用いて噴流の初期領域:x/d=6までの影響を撮影した。
【実施例1】
【0039】
ここで、図4は、測定座標の設定に係わる可視化画像の一例を示し、xは、ノズル3の中心軸上の出口から噴出方向の距離、yは、ノズル3中心から直径方向の距離を示す。速度分布の解析は、PIV解析により行った。
【実施例1】
【0040】
図5は、電圧変化と噴流の拡散との関係の可視化画像である。Re=1000のプラズマを発生させない場合(OFF)の可視化画像と周波数を4kHzに固定し電圧を変化させた場合の可視化画像を示す。OFFと電圧が3.38kVの場合とを比較すると拡散効果は見られない。電圧を4.75kV、5.59kVと高くするにつれ誘起流れが主噴流に渦輪を発生させ、x/d=4の位置で拡散している。これは電圧が高くなることでプラズマによって発生する誘起流れが増加し、主噴流に与える乱れが大きくなるからと考えられる。
【実施例1】
【0041】
図6は、電圧の周波数変化と噴流の拡散との関係の可視化画像である。図中の線は噴流が乱れ始める位置を示す。
【実施例1】
【0042】
図6のように、周波数が高くなるにつれ主噴流の拡散が大きくなり、乱れる位置が噴出口に近くなった。このことから周波数を高くすることで発生する誘起流れが電圧を変えた場合よりも速いため、主噴流に与える影響が強く表れているからだと考えられる。
【実施例1】
【0043】
図7は、電圧の周波数変化と噴流の速度分布との関係を示すグラフである。x/d=1の位置のプラズマを発生させない場合の速度分布図と5.5kV付近の電圧で周波数を変えた場合の速度分布図を示す。ここで、u0はプラズマを発生させない場合のx/d=1の中心平均速度を表す。
【実施例1】
【0044】
図7のように、プラズマを発生させない場合に比べて発生させている場合は周波数が高くなるにつれy/d=±0.4 付近の噴流の速度が速くなり、それに伴い中心平均速度が遅くなった。これはプラズマの発生によって生じた誘起流れによりy/d=±0.4付近の流れが加速したためである。また中心平均速度が減速したのは噴出させる流量が一定のため、y/d=±0.4付近の流れが加速した分だけ減速したからだと考えられる。
【実施例1】
【0045】
以上より、同軸型DBDプラズマアクチュエータ1を用いた噴流制御装置5により、次の結果を得ることができた。
【実施例1】
【0046】
周波数を固定し電圧を上げていくことで主噴流への拡散効果が大きくなった。
【実施例1】
【0047】
周波数を上げると主噴流への拡散効果が大きくなった。
【実施例1】
【0048】
周波数を上げることで主噴流の乱れる位置が噴出口に近くなった。
【実施例1】
【0049】
プラズマを発生させた場合、y/d=±0.4付近の流れの速度が速くなり、中心速度はプラズマを発生させていない場合より遅くなる速度分布図となった。
【実施例1】
【0050】
したがって、これらの知見を考慮して、主噴流の拡散制御を自由度を持って行わせることができる。
【実施例1】
【0051】
[各電極の寸法等の相違との関係]
図8は、内電極の長さを変更したもので、(A)は、内電極長さ6mm、(B)は、内電極長さ10mm、(C)は、内電極長さ20mmの同軸型DBDプラズマアクチュエータを示す断面図、図9は、内電極長さの相違と噴流の拡散との関係の可視化画像、図10は、内電極長さの相違に応じたPIV解析画像、図11(A)~(F)は、内電極長さの相違とx/d(=0.5、1.0、2.0、3.0、4.0、5.0)における速度分布との関係のグラフ、図12は、内電極長さの相違とx/d=3における速度分布との関係のグラフである。
【実施例1】
【0052】
図8のように、(A)の同軸型DBDプラズマアクチュエータ1Aは、内電極である外周電極11Aを、軸方向長さ6mmとし、端部をフランジ部15側に接するように配置した。(B)の同軸型DBDプラズマアクチュエータ1Bは、内電極である外周電極11Bを、軸方向長さ10mmとし、同様に端部をフランジ部15側に接するように配置した。(C)の同軸型DBDプラズマアクチュエータ1Cは、内電極である外周電極11Cを、軸方向長さ20mmとし、同様に端部をフランジ部15側に接するように配置した。その他の寸法は、図中に記載した。
【実施例1】
【0053】
これら同軸型DBDプラズマアクチュエータ1A,1B,1Cにおいて、前記同様に実験を行い、図9の可視化画像及び図10のPIV解析画像を得た。
【実施例1】
【0054】
図9のように、外周電極11A,11B,11Cの寸法の相違により噴流拡散の状況に相違がみられ、長さ6mmの外周電極11A、長さ20mmの外周電極11Cの場合に、長さ10mmの外周電極11Bの場合よりも、噴流拡散の程度が増した。
【実施例1】
【0055】
図10のように、どの電極においてもノズル出口付近の噴流せん断層(矢印)において誘起流れによる増速効果が確認できた。長さ6mmの外周電極11A、長さ20mmの外周電極11Cの場合には、特に増速効果が大きいことが確認できた。このことより、誘起流れに適した電極寸法の存在を確認することができた。
【実施例1】
【0056】
図11(A)~(F)のように、内電極長さの相違6mm、10mm、20mmと各x/d=0.5、1.0、2.0、3.0、4.0、5.0における速度分布との関係が得られた。このうち、特に図12のように、x/d=3に着目した。
【実施例1】
【0057】
中心速度では、プラズマを発生させない場合が一番速く、その次に長さ10mmの外周電極11Bの場合となり、長さ6mm、20mmの外周電極11A、11Cの場合が一番遅くほぼ同一の速度となった。
【実施例1】
【0058】
このことから、内電極(外周電極)が長いほど誘起流れが強くなるという訳ではなく、誘起流れの効果が適切に働く内電極(外周電極)の長さが存在することを確認した。
【実施例1】
【0059】
誘電体を厚くすることで高電圧、高周波数に共に耐えることができる。また、高電圧、高周波数にすることで誘起流れを強くすることができる。したがって、用途に応じ、誘電体の厚さを適宜選択することで、所望の制御を行わせ得る。この場合、電極の長さ寸法の選択と共に誘電体の厚さ寸法を選択することで、同軸型DBDプラズマアクチュエータ1,1A,1B,1Cの全体寸法の増大を抑制することができ、寸法的にも設計の自由度が増大する。
【実施例1】
【0060】
[作用効果]
本願発明実施例の同軸型DBDプラズマアクチュエータ1は、円筒状の誘電体7を挟んで内外周面に同軸に各別に形成された内周電極9及び外周電極11に、電圧を印加することにより内周電極9からDBDプラズマ23を発生させる。
【実施例1】
【0061】
したがって、DBDプラズマ23により誘起流れ25が円筒状の誘電体7の円筒部13の内面13aに沿って主噴流27の流れ方向に形成され、噴流の制御等に用いることができる。
【実施例1】
【0062】
内電極である外周電極11の長さ等を変更して噴流拡散の程度、速度分布を変えても、外径の変化は抑制されるから、設計の自由度を得ることができる。このため、ノズル3が複数同軸ノズルであっても、全体を大型化せずに無理なく設計変更を行わせることができる。
【実施例1】
【0063】
同軸型DBDプラズマアクチュエータ1を用いた噴流制御装置5であって、同軸型DBDプラズマアクチュエータ1のフランジ部15側を、ノズル3の噴流出口側に接合させた。
【実施例1】
【0064】
DBDプラズマによる誘起流れを円筒状の誘電体7の内面13aに沿って主噴流27の流れ方向に形成することができ、電圧の大きさ、周波数制御によりDBDプラズマ23による誘起流れの強さを変更して拡散効果を変えることができる。
【実施例1】
【0065】
また、周波数が高くなることに応じて、周辺速度に対して中心平均速度を減速させるなど噴流の拡散制御の自由度を拡げることができる。
【実施例1】
【0066】
[その他、]
ノズル3の出口形状は、円形に限らず、三角形、楕円など、他の形状であっても取り付けが可能であり、同様に実施することができる。
【実施例2】
【0067】
図13~図18は、実施例2に係り、図13(A)は、通常制御時の入力周波数を示す波形図、(B)は、間欠制御時の入力周波数を示す波形図、(C)は、dutyを示す波形図である。
【実施例2】
【0068】
本実施例2において、同軸型DBDプラズマアクチュエータ及び噴流制御装置の概略は、図1と同様であり、測定座標の設定は、図4と同様である。
【実施例2】
【0069】
実施例1では、その一例として図13(A)のような連続制御により、周波数を固定して電圧を上げ、或いは周波数を上げる制御を行った。このような制御により、誘起流れの強さを変更し、噴流の拡散の程度を自由に変えることができた。
【実施例2】
【0070】
これに対し、本実施例2では、図13(B)のように、印加電圧の周波数の制御を、間欠的に行った。
【実施例2】
【0071】
この場合、電源に与えるパルス周期はfdであり、1周期におけるパルス幅の割合を表すdutyはB/Aとなる。
【実施例2】
【0072】
この間欠制御を以下の条件で行った。
【実施例2】
【0073】
(1)電極
・印加電圧:約4.8kV
・周波数 :15kHz
・duty:10、50、90%
・fd :80、160、240、340Hz
(2)使用気体
・空気
(3)主噴流
・レイノルズ数:Re=2000(u=3.15m/s)
図14は、duty変化と噴流の拡散との関係の可視化画像である。
【実施例2】
【0074】
図14の可視化画像のように、Re=2000、周波数=15kHz、fd=320Hzでは、印加電圧=0(off)、4.91、4.88、4.86kVにおいて、duty=0、10、50、90%と大きくなるにつれて噴流が乱れ、ノズル出口に近づいた。duty=50、90%では、ほぼ同様の乱れ方になった。
【実施例2】
【0075】
図15は、電源に与えるパルス周期とプリファード周波数と噴流の拡散との関係の可視化画像である。
【実施例2】
【0076】
図15の可視化画像のように、Re=2000、周波数=15kHz、duty=50、fp=160Hzでは、fd/fp=0.5、1、1.5、2において、fd=80、160、240、320と大きくすることで渦輪の間隔が狭くなり拡散状態に変化が出た。
【実施例2】
【0077】
ここに、fpは、プリファード周波数であり、円形噴流のポテンシャルコア領域において安定した渦輪が通過する際、あるいは渦と渦とが合体する際の速度変動を周波数として捉えたものである。図15では、Re=2000でプラズマoff時のx/d=3のプリファード周波数fp=160Hzである。
【実施例2】
【0078】
図16は、duty変化による噴流の中心速度分布図である。
【実施例2】
【0079】
ノズル出口の速度分布を熱線流量計で測定すると、図16のようになった。この図16のように、ノズル出口の速度低下は、dutyが大きくなるにつれて遅くなる傾向になった。
【実施例2】
【0080】
図17は、y/d=0でのduty変化による噴流の速度変動分布に係り、(A)、(B)、(C)は、duty=10、50、90を示すグラフ、図18は、y/d=0.45でのduty変化による噴流の速度変動分布に係り、(A)、(B)、(C)は、duty=10、50、90を示すグラフである。
【実施例2】
【0081】
この実験は、図2の寸法設定のもので行った。
【実施例2】
【0082】
Re=2000、周波数=15kHz、印加電圧=約4.8kV、fd=320Hz、x/d=1の速度分布は、熱線流量計で速度変動を測定すると図17、図18のようになった。この図17、図18から明らかなように、dutyは、(A)Duty=10、(B)Duty=50、(C)Duty=90と大きくしており、これに応じてy/d=0、0.45の何れでも速度変動が大きくなった。
【実施例2】
【0083】
以上より、印加電圧の周波数制御を間欠的に行ない、dutyを選択することで、適切な誘起流れを形成することができる。その他、実施例1と同様の効果を奏することができる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本願の同軸型DBDプラズマアクチュエータ1及び同軸型プラズマアクチュエータ1を用いた噴流制御装置5は、バーナーの燃料混合促進、噴流を用いた気体の拡散混合に利用できる。MEMS技術を用いてマイクロチャンネル内の気体の拡散混合にも応用できる。
【0085】
ガスタービンにおける燃料混合比の制御装置、マイクロガスタービンを含む各種のガスタービンにおけるタービン翼列への燃焼ガス入射角の制御装置、熱交換器における流体の混合・拡散促進装置等として利用することもできる。
【0086】
吸気ポートを備える火花点火式エンジンやディーゼルエンジンなどの各種の内燃機関等にも利用することができる。
【符号の説明】
【0087】
1,1A,1B,1C 同軸型DBDプラズマアクチュエータ
3 ノズル
5 噴流制御装置
7 誘電体
9 内周電極(外電極)
11 外周電極(内電極)
13 円筒部
13a 内面
15 フランジ部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
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【図9】
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【図10】
9
【図11】
10
【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
20