TOP > 国内特許検索 > バイオフィルム形成抑制剤 > 明細書

明細書 :バイオフィルム形成抑制剤

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2014-227355 (P2014-227355A)
公開日 平成26年12月8日(2014.12.8)
発明の名称または考案の名称 バイオフィルム形成抑制剤
国際特許分類 A61K  35/74        (2006.01)
A61K  36/48        (2006.01)
A61P   1/02        (2006.01)
A61K   8/97        (2006.01)
A61Q  11/00        (2006.01)
A61P  31/04        (2006.01)
FI A61K 35/74 G
A61K 35/78 J
A61P 1/02
A61K 8/97
A61Q 11/00
A61P 31/04
A61K 35/74 A
請求項の数または発明の数 4
出願形態 OL
全頁数 10
出願番号 特願2013-106254 (P2013-106254)
出願日 平成25年5月20日(2013.5.20)
発明者または考案者 【氏名】成澤 直規
【氏名】竹永 章生
【氏名】鳥居 恭好
出願人 【識別番号】899000057
【氏名又は名称】学校法人日本大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000774、【氏名又は名称】特許業務法人 もえぎ特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4C083
4C087
4C088
Fターム 4C083AA031
4C083AA032
4C083AA111
4C083AA112
4C083CC41
4C083EE32
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC65
4C087CA09
4C087CA10
4C087MA57
4C087NA14
4C087ZA67
4C087ZB35
4C088AB61
4C088AC04
4C088CA25
4C088MA57
4C088NA14
4C088ZA67
4C088ZB35
要約 【課題】口腔常在菌に影響を及ぼさない、新たなう蝕予防剤の提供を課題とする。
【解決手段】納豆、納豆分離菌、または納豆分離菌培養濾液のいずれか一種以上を有効成分とするバイオフィルムの形成抑制剤により、口腔常在菌に影響を及ぼさない、新たなう蝕予防剤を提供する。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
納豆、納豆分離菌、及び納豆分離菌培養濾液からなる群から選ばれるいずれかひとつ以上を有効成分として含むバイオフィルム形成抑制剤。
【請求項2】
納豆分離菌培養濾液に含まれる10kDa未満の低分子画分を有効成分とする請求項1に記載のバイオフィルム形成抑制剤。
【請求項3】
う蝕原性菌によるバイオフィルムの形成を抑制する請求項1または2に記載のバイオフィルム形成抑制剤。
【請求項4】
う蝕原性菌がStreptococcus mutansまたはStreptococcus sobrinusである請求項3に記載のバイオフィルム形成抑制剤。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオフィルム形成抑制剤に関する。さらに詳しくは、納豆、納豆分離菌または納豆分離菌培養液を有効成分とするバイオフィルム形成抑制剤に関する。
【背景技術】
【0002】
う蝕(虫歯)はう蝕原性菌であるStreptococcus mutans(以下、S. mutansと示す場合がある)やStreptococcus sobrinus(以下、S.sobrinusと示す場合がある)が歯の表面に付着・増殖し、う蝕誘発性のバイオフィルムを形成することによって引き起こされる。
近年、高齢者等において誤嚥性肺炎等のう蝕を起因とする疾病が増加しており、う蝕の予防において有用な剤の提供が望まれている。
【0003】
う蝕予防剤として、従来、う蝕原性菌に対する殺菌剤や抗菌剤等が使用されてきた。しかし、これらの殺菌剤や抗菌剤は、日和見菌感染症等に対し免疫機能を示す、有用な口腔常在菌にも作用してしまうという問題があった。そこで、口腔常在菌に影響を及ぼさない、新たなう蝕予防剤の提供が望まれている。
【0004】
う蝕原性菌であるS.mutansに特異的に作用するものとして、例えば、特許文献1では、ササゲ、小豆、紫花豆、白花豆、クロインゲンマメ、キントキマメ等の豆類を粉砕し、水、親水性の有機溶媒等で抽出した豆類の抽出物が、S.mutansのクオラムセンシング(細菌密度依存的遺伝子発現制御系)を制御する物質として挙げられており、S.mutansによるバイオフィルム形成を抑制することが開示されている。
特許文献2では、ヒト口腔内及び漬物から単離した乳酸菌の菌株を、S.mutansの生育やバイオフィルム形成を抑制する口腔用組成物や口腔内バイオフィルム形成抑制剤等とすることが開示されている。
【0005】
また、特許文献3では、ナットウキナーゼに、ミュータンス菌(S.mutans)だけでなく、複数の口腔内病原菌種を含むバイオフィルムを除去し、口臭を改善する効果があること、このナットウキナーゼを含むナットウエキスと、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を必須の成分としてなる口腔用組成物は歯石除去効果および口臭改善効果が高いこと等が開示されている。
なお、特許文献4おいても豆類に納豆菌にて発酵させてできた納豆の粘質およびその成分がS.mutans(ミュータンス菌)の増殖、酸産生、産生した酸による歯の侵食、歯石形成能等を抑制することが記載されているが、この文献では、これらの具体的な効果は開示されていない。
【0006】
これらの文献に示されるように、様々な成分がう蝕原性菌であるS.mutansに特異的に作用するものとして開示されているが、より安全かつ効果的にう蝕の予防が可能な剤の提供が望まれている。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特開2012-67018号公報
【特許文献2】特開2007-117064号公報
【特許文献3】特開2011-126819号公報
【特許文献4】特開2010-124772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
口腔常在菌に影響を及ぼさない、新たなう蝕予防剤の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、納豆、納豆分離菌、または納豆分離菌培養濾液を作用させることで、う蝕原性菌によるバイオフィルムの形成を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。これにより、安全かつ効果的にう蝕、う蝕を起因とする疾病等の予防、治療が可能となる。
【0010】
すなわち、本発明は次の(1)~(4)のバイオフィルム形成抑制剤等に関する。
(1)納豆、納豆分離菌、及び納豆分離菌培養濾液からなる群から選ばれるいずれかひとつ以上を有効成分として含むバイオフィルム形成抑制剤。
(2)納豆分離菌培養濾液に含まれる10kDa未満の低分子画分を有効成分とする上記(1)に記載のバイオフィルム形成抑制剤。
(3)う蝕原性菌によるバイオフィルムの形成を抑制する上記(1)または(2)に記載のバイオフィルム形成抑制剤。
(4)う蝕原性菌がStreptococcus mutansまたはStreptococcus sobrinusである上記(3)に記載のバイオフィルム形成抑制剤。
【発明の効果】
【0011】
本発明によって、S.mutans等のう蝕原性菌に特異的に作用するバイオフィルム形成抑制剤を提供することにより、う蝕、う蝕を起因とする疾病等の予防、治療が可能となる。本発明のバイオフィルム形成抑制剤は、有効成分が食品を由来とするものであるため安全性が高く、安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】バイオフィルム形成抑制剤(納豆A~E)によるバイオフィルム形成抑制効果を示した図である(試験例1)。
【図2】バイオフィルム形成抑制剤(納豆分離菌a~e)によるバイオフィルム形成抑制効果を示した図である(試験例1)。
【図3】バイオフィルム形成抑制剤(培養濾液a~e)によるバイオフィルム形成抑制効果を示した図である(試験例1)。
【図4】バイオフィルム形成抑制剤(低分子画分e)によるバイオフィルム形成抑制効果を示した図である(試験例1)。
【図5】バイオフィルム形成抑制剤(培養濾液a~e)によるう蝕原性菌(S.mutans)の生育抑制効果を示した図である(試験例2)。
【図6】ナットウキナーゼによるバイオフィルムの形成抑制効果を示した図である(試験例3)。
【図7】ナットウキナーゼによるう蝕原性菌(S.mutans)の生育抑制効果を示した図である(試験例3)。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の「バイオフィルム形成抑制剤」とは、う蝕原性菌によって形成される、う蝕誘発性のバイオフィルムの形成を抑制する剤のことをいう。
ここで、う蝕原性菌にはS.mutans、S.sobrinus等が挙げられる。本発明の「バイオフィルム形成抑制剤」は、これらのう蝕原性菌や、う蝕原性菌を含む口腔内の細菌叢によるバイオフィルムの形成を抑制する剤であればよい。
本発明の「バイオフィルム形成抑制剤」は、このバイオフィルムの形成を抑制する剤であれば良いが、バイオフィルムの形成を抑制する効果とともにう蝕原性菌の成育を抑制する効果を有する剤であってもよい。

【0014】
本発明の「バイオフィルム形成抑制剤」は、納豆、納豆分離菌、納豆分離菌培養濾液から選ばれるいずれかひとつ以上を有効成分とする剤であればよく、これらの有効成分を二つ以上組み合わせて含む剤であってもよい。また、納豆分離菌培養濾液に含まれる10kDa未満の低分子画分を有効成分とする剤であってもよい。さらに、これらの有効成分以外に、ヒト等の動物が安全に摂取できるその他の成分、薬学的に許容される担体等を含むものであってもよい。

【0015】
このような本発明の「バイオフィルム形成抑制剤」は、そのまま食品、薬品等とすることもでき、食品、薬品等の有効成分とすることもできる。また、液状、粉状、ペースト状、液体、固体等、様々な形態で利用することができる。例えば歯磨剤、洗口剤、タブレット、口中清涼剤、チューインガム、飴等に調製することができ、歯磨剤とする場合も練歯磨剤、液状歯磨剤、粉歯磨剤等の様々な形態のものとできる。

【0016】
以下、実施例、試験例をあげて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0017】
バイオフィルム形成抑制剤の調製
1.納豆
市販の5種類(3社)の納豆A~Eをそれぞれ滅菌蒸留水に10w/v%となるように加え、ブレンダー(Waring社 Commercial Blendor(Model 31BL92))にて10分間撹拌し、それぞれバイオフィルム形成抑制剤とした。
【実施例】
【0018】
2.納豆分離菌
上記1.にて調製したバイオフィルム形成抑制剤(5種類)を滅菌蒸留水で適宜段階希釈し、BHI寒天培地(Brain Heart Infusion培地,BD社)へ塗布した。37℃、好気条件で2日間培養した後、生育したコロニーを釣菌し、BHI液体培地(Brain Heart Infusion培地,BD社)へ懸濁し、同条件で2日間培養した。その後、同様にBHI寒天培地へ塗布し、培養し、生育したコロニーを釣菌し、BHI液体培地で培養するという工程を2回繰り返して純化し、BHI液体培地に含まれた状態の各納豆分離菌(生菌)を、由来とする納豆の種類(納豆A~E)に合わせて納豆分離菌a~eとし、それぞれバイオフィルム形成抑制剤とした。
【実施例】
【0019】
3.培養濾液
上記2.にて調製した納豆分離菌a~eを、BHI液体培地(BRAIN HEART INFUSION培地,BD社)へ懸濁し、さらに37℃、5%CO2で1晩培養した後、遠心分離(6,000RPM,15MIN)し、上清部分を滅菌フィルター(ポアサイズ0.2MM)処理して菌体を完全に除去した。これを由来とする納豆の種類(納豆A~E)に合わせ培養濾液a~eとし、それぞれバイオフィルム形成抑制剤とした。
【実施例】
【0020】
4.低分子画分
上記3.にて調製した培養濾液a~e各12mlを、それぞれ限外濾過膜(Amicon ultra-15 Filter Unit 10,000NMWL,ミリポア社)に供し、遠心分離を行った。限外濾過後の10kDa未満の各画分を滅菌水にて12mlにメスアップしたものをそれぞれ低分子画分a~eとし、バイオフィルム形成抑制剤とした。
なお、限外濾過後の10kDa以上の各画分も滅菌水にて12mlにメスアップし、下記試験例における試料とした。
【実施例】
【0021】
[試験例1]
バイオフィルム形成抑制剤の効果の検討
上記実施例と同様に調製した各バイオフィルム形成抑制剤(納豆A~E、納豆分離菌a~e、培濾濾液a~e、低分子画分a~e)とう蝕原性菌(S.mutans)との共培養試験により、バイオフィルム形成抑制剤の効果を検討した。
【実施例】
【0022】
1.納豆、納豆分離菌との共培養試験
上記実施例と同様に調製した各バイオフィルム形成抑制剤(納豆A~Eまたは納豆分離菌a~eのいずれか一種)とう蝕原性菌(S.mutans)との共培養試験により、う蝕原性菌によるバイオフィルムの形成の有無を検討した。
実施例の1.、実施例の2.と同様の方法によって調製した各バイオフィルム形成抑制剤(納豆A~Eまたは納豆分離菌a~eのいずれか一種)を使用した。また、B.subtilisの培養液としてBHI液体培地、37℃、好気条件にて1晩培養した後の定常期細胞を含む、B.subtilisの培養液を使用した。
う蝕原性菌(S.mutans)は、BHI液体培地(BRAIN HEART INFUSION培地,BD社)にて5%CO2、37℃で1晩培養した後の定常期細胞を含む、S.mutans培養液を使用した。
共培養のための培地には、2倍量のTryptic soy broth without dextrose培地(BD社)にglucoseを0.5%添加したものを使用した。
共培養のための培地160μL、S.mutans培養液20μLと、バイオフィルム形成抑制剤(納豆A~Eまたは納豆分離菌a~eのいずれか一種)20μLを混合し、96ウェルプレートに分注し、37℃、5%CO2の条件で20時間共培養した。
なお、バイオフィルム形成抑制剤の代わりにB.subtilisの培養液、または滅菌蒸留水を使用したものをControlとした。
これを蒸留水150μLで2回洗浄し、サフラニン50μLで10分染色した。その後、蒸留水150μLでさらに2回洗浄し、70%EtOHで色素抽出を行った後、プレートリーダーで吸光度(492nm)を測定し、吸光度値によりバイオフィルム量を評価した。
【実施例】
【0023】
図1にバイオフィルム形成抑制剤(納豆A~E)と共培養した場合の、バイオフィルムの形成抑制効果を示した。また、図2にバイオフィルム形成抑制剤(納豆分離菌a~e)と共培養した場合の、バイオフィルムの形成抑制効果を示した。
その結果、図1、図2に示されるように、いずれのバイオフィルム形成抑制剤(納豆A~E、納豆分離菌a~e)も、う蝕原性菌(S.mutans)によるバイオフィルムの形成を有意に抑制することが確認できた。
【実施例】
【0024】
2.培養濾液、低分子画分との共培養試験
上記実施例と同様に調製した各バイオフィルム形成抑制剤(培養濾液a~eまたは低分子画分a~eのいずれか一種)とう蝕原性菌(S.mutans)との共培養試験により、う蝕原性菌によるバイオフィルムの形成の有無を検討した。
実施例の3.、実施例の4.と同様の方法によって調製した各バイオフィルム形成抑制剤(培養濾液a~eまたは低分子画分a~eのいずれか一種)を使用した。また、B.subtilisの培養液としてBHI液体培地、37℃、好気条件にて1晩培養した後の定常期細胞を含む、B.subtilisの培養液を使用した。
う蝕原性菌(S.mutans)は、BHI液体培地(BRAIN HEART INFUSION培地,BD社)にて5%CO2、37℃で1晩培養した後の定常期細胞を含む、S.mutans培養液を使用した。
共培養のための培地には、2倍量のTryptic soy broth without dextrose培地(BD社)にglucoseを0.5%添加したものを使用した。
共培養のための培地80μL、S.mutans培養液20μLと、バイオフィルム形成抑制剤(培養濾液a~eまたは低分子画分a~eのいずれか一種)100μLを混合し、96ウェルプレートに分注した後、37℃、5%CO2の条件で20時間共培養した。
なお、バイオフィルム形成抑制剤の代わりにB.subtilisの培養液、これを実施例の4.と同様の方法で限外濾過した10kDa未満の画分、10kDa以上の画分、または滅菌蒸留水を使用したものをControlとした。
これを蒸留水150μLで2回洗浄し、サフラニン50μLで10分染色した。その後、蒸留水150μLでさらに2回洗浄し、70%EtOHで色素抽出を行った後、プレートリーダーで吸光度(492nm)を測定し、吸光度値によりバイオフィルム量を評価した。
【実施例】
【0025】
図3にバイオフィルム形成抑制剤(培養濾液a~e)と共培養した場合の、バイオフィルムの形成抑制効果を示した。なお、比較として、培養濾液a~eを95度、15分で加熱したものを上記2.と同様に共培養した場合の結果(図3、Heat)も示した。
その結果、図3に示されるように、いずれのバイオフィルム形成抑制剤(培養濾液a~e)も、う蝕原性菌(S.mutans)によるバイオフィルムの形成を有意に抑制することが確認できた。一方、培養濾液a~eを95度、15分で加熱したものも、加熱しないバイオフィルム形成抑制剤(培養濾液a~e)と比べてバイオフィルムの形成抑制効果は低下するものの、コントロールと比べてバイオフィルムの形成抑制効果を示すことが確認できた。
【実施例】
【0026】
図4にバイオフィルム形成抑制剤(低分子画分a~e)のうち、バイオフィルム形成抑制剤(低分子画分e)と共培養した場合のバイオフィルムの形成抑制効果を示した。なお、比較としてバイオフィルム形成抑制剤である培養濾液e、培養濾液eから分画した10kDa以上の高分子画分を上記2.と同様に共培養した場合の結果も示した。
その結果、図4に示されるように、バイオフィルム形成抑制剤(低分子画分e)は、バイオフィルム形成抑制剤(培養濾液e)と同様にう蝕原性菌(S.mutans)によるバイオフィルムの形成を有意に抑制することが確認できた。一方、培養濾液eから分画した10kDa以上の高分子画分は、バイオフィルムの形成抑制効果を有しないことが確認できた。
なお、他のバイオフィルム形成抑制剤(低分子画分a~d)もバイオフィルム形成抑制剤(培養濾液e)と同様にう蝕原性菌(S.mutans)によるバイオフィルムの形成を有意に抑制することが確認できた。一方、培養濾液a~dから分画した10kDa以上の高分子画分はいずれもバイオフィルムの形成抑制効果を有しないことが確認できた。
【実施例】
【0027】
[試験例2]
バイオフィルム形成抑制剤によるう蝕原性菌生育抑制効果の検討
上記実施例と同様に調製した各バイオフィルム形成抑制剤(培養濾液a~e)とう蝕原性菌(S.mutans)との共培養試験により、う蝕原性菌の成育抑制効果を検討した。
実施例の3.と同様の方法によって調製した各バイオフィルム形成抑制剤(培養濾液a~e)を使用した。う蝕原性菌(S.mutans)は、BHI液体培地(BRAIN HEART INFUSION培地,BD社)にて5%CO2、37℃で1晩培養した後の定常期細胞を含む、S.mutans培養液を使用した。共培養のための生育測定用培地には、2倍量のTryptic soy broth without dextrose培地(BD社)にglucoseを0.5%添加したものを使用した。
生育測定用培地80μl、バイオフィルム抑制剤100μl、S.mutans培養液20μlを混合し、96ウェルプレートに分注し、37℃、5%CO2の条件で16時間培養した。培養後600nmでの吸光度値を測定することで生育量を評価した。バイオフィルム形成抑制剤の代わりに滅菌蒸留水を使用したものをControlとした。
【実施例】
【0028】
図5に示されるように、バイオフィルム形成抑制剤(培養濾液c)は、う蝕原性菌によるバイオフィルムの形成抑制に作用するのみならず、う蝕原性菌(S.mutans)の生育抑制にも作用することが確認できた。
一方、バイオフィルム形成抑制剤(培養濾液a、b、d、e)は、う蝕原性菌(S.mutans)の生育は抑制しないことから、う蝕原性菌の成育には作用せず、う蝕原性菌によるバイオフィルムの形成に特異的に作用する剤であることが確認できた。
【実施例】
【0029】
[試験例3]
ナットウキナーゼによるう蝕原性菌に対する作用の検討
試験例1、試験例2と同様の方法により、ナットウキナーゼにおける、う蝕原生菌に対するバイオフィルム形成抑制効果、またはう蝕原生菌の生育抑制効果の有無を検討した。ナットウキナーゼはWako純薬工業のものを使用した。
【実施例】
【0030】
図6にナットウキナーゼによるバイオフィルムの形成抑制効果を示した。
その結果、図6に示されるように、終濃度が2mg/ml、または200μg/mlとなるようにナットウキナーゼを添加した場合には、う蝕原性菌(S.mutans)によるバイオフィルムの形成を有意に抑制したが、20μg/ml等の低濃度では、バイオフィルムの形成を抑制できないことが確認できた。
また、図7にナットウキナーゼによるう蝕原性菌の成育抑制効果の検討を示したが、いずれの濃度においても、う蝕原性菌の成育は抑制しないことが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明のS.mutans等のう蝕原性菌に特異的に作用するバイオフィルム形成抑制剤を提供することにより、う蝕、う蝕を起因とする疾病等の予防、治療が可能となる。本発明のバイオフィルム形成抑制剤は、有効成分が食品由来とするものであるため安全性が高く、安価に提供することができる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6