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明細書 :ラジオグラフィ装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6018760号 (P6018760)
公開番号 特開2013-160713 (P2013-160713A)
登録日 平成28年10月7日(2016.10.7)
発行日 平成28年11月2日(2016.11.2)
公開日 平成25年8月19日(2013.8.19)
発明の名称または考案の名称 ラジオグラフィ装置
国際特許分類 G21K   1/00        (2006.01)
G21K   5/02        (2006.01)
G21K   1/02        (2006.01)
G01T   1/29        (2006.01)
H05H   3/06        (2006.01)
FI G21K 1/00 N
G21K 5/02 N
G21K 1/02 R
G01T 1/29 D
H05H 3/06
請求項の数または発明の数 5
全頁数 12
出願番号 特願2012-025129 (P2012-025129)
出願日 平成24年2月8日(2012.2.8)
審査請求日 平成27年2月2日(2015.2.2)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】399030060
【氏名又は名称】学校法人 関西大学
発明者または考案者 【氏名】大西 正視
【氏名】増田 開
個別代理人の代理人 【識別番号】100074332、【弁理士】、【氏名又は名称】藤本 昇
審査官 【審査官】後藤 孝平
参考文献・文献 特開2003-315289(JP,A)
特開2008-096405(JP,A)
調査した分野 G21K 1/00
G21K 5/02
G01T 1/29
H05H 3/06
特許請求の範囲 【請求項1】
中性子を発生させる中性子発生源を有する中性子発生装置と、前記中性子発生源と間隔をあけて配置される撮像材料配置部であって、前記中性子発生源と対向するように撮像材料を配置可能な撮像材料配置部とを備えるラジオグラフィ装置において、前記中性子発生源及び前記撮像材料配置部を取り囲む筐体と、前記中性子を透過可能に構成される熱中性子変換部材であって、前記中性子を熱中性子に変換可能な熱中性子変換部材と、前記撮像材料における前記中性子発生源と対向する部分の反対側を覆う回込防止部材であって、前記熱中性子を透過不能な回込防止部材とを備え、
前記体は、前記中性子発生源を取り囲む箱状の筐体本体部であって、貫通穴が設けられる筐体本体部と、該筐体本体部の貫通穴を閉塞可能な蓋部とを有し、
前記撮像材料配置部は、前記回込防止部材を介して該蓋部における前記筐体本体部の貫通穴に対応する領域に配置され、
前記熱中性子変換部材は、前記中性子発生源から前記撮像材料に向かう中性子の移動経路上に配置されるラジオグラフィ装置。
【請求項2】
前記筐体は、前記中性子発生源を取り囲む内側筐体本体部と、該内側筐体本体部の外側に設けられる外側筐体本体部とを備え、前記内側筐体本体部は、衝突した前記熱中性子の少なくとも一部を反射可能に構成され、前記外側筐体本体部が電磁波を遮蔽可能に構成される請求項1に記載のラジオグラフィ装置。
【請求項3】
前記熱中性子変換部材は、前記中性子発生源を取り囲む第一熱中性子変換部材を備える請求項1又は2に記載のラジオグラフィ装置。
【請求項4】
前記熱中性子変換部材は、前記撮像材料と前記中性子発生源との間に配置される第二熱中性子変換部材を備える請求項1乃至3の何れか一項に記載のラジオグラフィ装置。
【請求項5】
前記中性子発生装置は、水素同位体ガスを供給するガス供給装置と、負電圧を印加する電圧印加装置とを備え、前記中性子発生源は、内部に空間を有する収容容器であって、接地された第一電極を有する収容容器と、該収容容器内に配置される第二電極とを備え、前記ガス供給装置は、前記収容容器内に水素同位体ガスを供給し、前記電圧印加装置は、前記第二電極に負電圧を印加する請求項1乃至4の何れか一項に記載のラジオグラフィ装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像材料に被写体を撮像するためのラジオグラフィ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、中性子を用いて撮像材料に被写体を撮像するためのラジオグラフィ装置が提供されている。
【0003】
かかるラジオグラフィ装置は、中性子を発生させる中性子発生源を有する中性子発生装置と、前記中性子発生源と間隔をあけて配置される撮像材料配置部であって、該中性子発生源と対向するように撮像材料を配置可能な撮像材料配置部と、中性子発生源と撮像材料配置部との間に配置されるコリメータであって、中性子発生源が発生する中性子のうち、中性子発生源と被写体とを結ぶ直線と同方向又は略同方向に進む中性子のみを撮像材料に導くためのコリメータとを備える。コリメータは、第一端と該第一端の反対側の第二端とを有する筒状に形成される。そして、コリメータの内周面には、中性子を吸収する中性子吸収部が設けられている。
【0004】
この種のラジオグラフィ装置では、撮像材料に被写体を撮像するにあたり、撮像材料が撮像材料配置部に配置され、被写体が中性子発生源と対向するように撮像材料上に配置される。そして、中性子発生源が発生した中性子は、コリメータを通過して撮像材料に直接又は被写体を透過した後に到達する。
【0005】
具体的に説明すると、この種のラジオグラフィ装置では、中性子発生源が中性子を発生すると、該中性子がコリメータの内部に進入する。コリメータの内部に進入した中性子のうち、コリメータの中心線が延びる方向(以下、中心線方向とする)と同方向又は略同方向に進む中性子(中性子発生源と被写体とを結ぶ直線と同方向又は略同方向に進む中性子)は、コリメータの内部で中性子吸収部に接触することなく(中性子吸収部に吸収されることなく)コリメータを通過する。
【0006】
このようにして、上記構成のラジオグラフィ装置では、中心線方向と同方向又は略同方向に進む中性子のみが撮像材料に到達する。そして、撮像材料における中性子を受けた部分に反応が起こり、該撮像材料に被写体が撮像される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特開2010-230328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、中性子発生源が発生する中性子は、様々な方向に進む。そのため、上記構成のラジオグラフィ装置では、中心線方向と同方向又は略同方向に進む中性子のみを撮像材料に到達させるために、コリメータの中心線方向の長さが長尺に設定されている。
【0009】
すなわち、上記構成のラジオグラフィ装置におけるコリメータは、中心線方向の長さが長尺に設定されることで、コリメータの第一端とコリメータの第二端とのコリメータの中心線を境として互いに対称となる部分同士を結ぶ直線(以下、対角線とする)とコリメータの中心線とのなす角度が小さくなるように構成されている。このようにすることで、従来のラジオグラフィ装置では、コリメータの内部に進入した中性子のうち、中心線方向と交差する方向に進む中性子(進行方向がコリメータの中心線に対して大きな角度をなす中性子)を中性子吸収部で吸収し、中心線方向と同方向及び中心線方向に近似する方向に進む中性子のみを撮像材料に到達させるようになっている。
【0010】
しかしながら、上記構成のラジオグラフィ装置では、コリメータの中性子吸収部に接触した中性子が当該中性子吸収部に吸収されるため、中性子発生源が発生する中性子の全量が撮像材料に到達しない。
【0011】
そのため、上記構成のラジオグラフィ装置では、中性子発生源が発生する中性子量に対して撮像材料に到達する中性子量が減少することを踏まえて、大量の中性子を発生させる原子炉や、加速器等の大型の中性子発生源が採用されている。
【0012】
ところで、上記構成のラジオグラフィ装置において、中性子発生源を小型化した上で、中性子発生源が発生する中性子量をより多く撮像材料に到達させるには、コリメータの中心線方向における長さを短く設定することが考えられる。
【0013】
しかしながら、上記構成のラジオグラフィ装置では、コリメータの中心線方向の長さが短くなるほど、コリメータの中心線に対して対角線がなす角度が大きくなり、中性子発生源が発生させた中性子が撮像材料よりも外側に進んでしまう。このような中性子は、撮像材料を回り込んで当該撮像材料における前記中性子発生源と対向する部分の反対側に到達することがある。そして、撮像材料における被写体が撮像される部分に対応する部分に中性子が到達すると、被写体が撮像される部分が必要以上に反応を起こして撮像材料に被写体が正確に撮像されない虞がある。
【0014】
そこで、本発明は、かかる実情に鑑み、中性子発生源と撮像材料との間隔を狭めても、撮像材料に被写体を撮像することのできるラジオグラフィ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係るラジオグラフィ装置は、中性子を発生させる中性子発生源を有する中性子発生装置と、前記中性子発生源と間隔をあけて配置される撮像材料配置部であって、前記中性子発生源と対向するように撮像材料を配置可能な撮像材料配置部とを備えるラジオグラフィ装置において、前記中性子発生源及び前記撮像材料配置部を取り囲む筐体と、前記中性子を透過可能に構成される熱中性子変換部材であって、前記中性子を熱中性子に変換可能な熱中性子変換部材と、前記撮像材料における前記中性子発生源と対向する部分の反対側を覆う回込防止部材であって、前記熱中性子を透過不能な回込防止部材とを備え、前記体は、前記中性子発生源を取り囲む箱状の筐体本体部であって、貫通穴が設けられる筐体本体部と、該筐体本体部の貫通穴を閉塞可能な蓋部とを有し、前記撮像材料配置部は、前記回込防止部材を介して該蓋部における前記筐体本体部の貫通穴に対応する領域に配置され、前記熱中性子変換部材は、前記中性子発生源から前記撮像材料に向かう中性子の移動経路上に配置される。
【0016】
上記構成のラジオグラフィ装置によれば、前記中性子発生源から前記撮像材料に向かう中性子の移動経路上に熱中性子変換部材が配置されるため、中性子発生源の発生した中性子が撮像材料に向かう途中で熱中性子変換部材を通過する。これに伴い、中性子は、熱中性子変換部材によって熱中性子に変換される。
【0017】
そして、中性子から変換された熱中性子は、撮像材料に向かって進むと、直接又は被写体を透過した後に撮像材料に到達する。また、中性子から変換された熱中性子は、撮像材料における中性子発生源と対向する部分の反対側に向かうことがある。しかしながら、上記構成のラジオグラフィ装置では、回込防止部材が撮像材料における前記中性子発生源と対向する部分の反対側を覆っているため、該回込防止部材が撮像材料における中性子発生源と対向する部分の反対側に向かう熱中性子を遮る。これにより、上記構成のラジオグラフィ装置では、撮像材料における被写体が撮像される部分が必要以上に反応を起こして撮像材料に被写体が正常に撮像されなくなることを防止できる。
【0018】
以上のように、上記構成のラジオグラフィ装置は、熱中性子が撮像材料における中性子発生源と対向する部分の反対側に回り込んだとしても、該熱中性子を遮る。従って、上記構成のラジオグラフィ装置は、中性子発生源と撮像材料との間隔を狭めても撮像材料に被写体を撮像できる。
【0019】
この場合、前記筐体は、前記中性子発生源を取り囲む内側筐体本体部と、該内側筐体本体部の外側に設けられる外側筐体本体部とを備え、前記内側筐体本体部は、衝突した前記熱中性子の少なくとも一部を反射可能に構成され、前記外側筐体本体部が電磁波を遮蔽可能に構成されていてもよい。
【0020】
このようにすれば、撮像材料とは異なる部分に向かって進む熱中性子の少なくとも一部を筐体の内部によって反射させることができる。そのため、上記構成のラジオグラフィ装置は、より多くの熱中性子を撮像材料に到達させることができる。従って、上記構成のラジオグラフィ装置では、より確実に撮像材料に被写体を撮像できる。
【0021】
また、上記構成のラジオグラフィ装置によれば、中性子発生源が中性子を発生させるに際し、電磁波を放射することがある。しかしながら、上記構成のラジオグラフィ装置では、前記外側筐体本体部が電磁波を遮蔽可能に構成されているため、中性子発生源から電磁波が発生しても、当該電磁波が筐体の外部に放射されることを防止できる。
【0022】
この場合、前記熱中性子変換部材は、前記中性子発生源を取り囲む第一熱中性子変換部材を備えるようにしてもよい。このようにすれば、中性子発生源で発生させた全ての中性子が第一熱中性子変換部材を通過する。そのため、上記構成のラジオグラフィ装置では、より多くの中性子を熱中性子に変換できる。従って、上記構成のラジオグラフィ装置では、より多くの熱中性子を撮像材料に到達させることができるため、より確実に撮像材料に被写体を撮像できる。
【0023】
この場合、前記熱中性子変換部材は、前記撮像材料と前記中性子発生源との間に配置される第二熱中性子変換部材を備えるようにしてもよい。このようにすれば、中性子発生源で発生させた中性子が熱中性子に変換されずに第一熱中性子変換部材を透過しても、該中性子を第二熱中性子変換部材によって熱中性子に変換できる。そのため、上記構成のラジオグラフィ装置では、より多くの中性子を熱中性子に変換できる。従って、上記構成のラジオグラフィ装置では、より多くの熱中性子を撮像材料に到達させることができるため、より確実に撮像材料に被写体を撮像できる。
【0024】
本発明に係るラジオグラフィ装置の一態様として、前記中性子発生装置は、水素同位体ガスを供給するガス供給装置と、負電圧を印加する電圧印加装置とを備え、前記中性子発生源は、内部に空間を有する収容容器であって、接地された第一電極を有する収容容器と、該収容容器内に配置される第二電極とを備え、前記ガス供給装置は、前記収容容器内に水素同位体ガスを供給し、前記電圧印加装置は、前記第二電極に負電圧を印加するようにしてもよい。
【0025】
上記構成のラジオグラフィ装置によれば、収容容器に水素同位体ガスが封入されている状態で電圧印加装置が第二電極に負電圧を印加すると、収容容器の内部で核融合反応が生じて中性子が発生する。従って、上記構成のラジオグラフィ装置によれば、収容容器の内部で発生した中性子から変換された熱中性子によって撮像材料に被写体を撮像できる。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、本発明に係るラジオグラフィ装置は、中性子発生源と撮像材料との間隔を狭めても撮像材料に被写体を撮像できるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るラジオグラフィ装置の概略構成図を示す。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に係るラジオグラフィ装置の概略構成図であって、撮像材料に被写体を撮像している状態の概略構成図を示す。なお、図2における中性子及び熱中性子は、概念的に図示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の一実施形態に係るラジオグラフィ装置について、図1を参照しつつ説明する。

【0029】
本実施形態に係るラジオグラフィ装置1は、中性子を発生させる中性子発生源20を有する中性子発生装置2と、前記中性子発生源20と間隔をあけて配置される撮像材料配置部3であって、前記中性子発生源20と対向するように撮像材料Fを配置可能な撮像材料配置部3と、前記中性子発生源20及び前記撮像材料配置部3を取り囲む筐体4と、前記中性子を透過可能に構成される熱中性子変換部材5であって、前記中性子を熱中性子に変換可能な熱中性子変換部材5と、前記撮像材料Fにおける前記中性子発生源20と対向する部分の反対側を覆う回込防止部材6であって、前記熱中性子を透過不能な回込防止部材6とを備えている。

【0030】
さらに、本実施形態に係るラジオグラフィ装置1は、撮像材料Fとしての熱中性子に強く反応するイメージングプレートを内部に収容可能な遮蔽部材7であって、電磁波を遮断可能な遮蔽部材7を備えている。

【0031】
前記中性子発生装置2は、水素同位体ガスを供給するガス供給装置21と、負電圧を印加する電圧印加装置22とを備えている。さらに、本実施形態に係る中性子発生装置2は、減圧を行う真空排気装置23を備えている。

【0032】
前記中性子発生装置2の中性子発生源20は、内部に空間を有する収容容器20aであって、接地された第一電極(採番しない)を有する収容容器20aと、該収容容器20a内に配置される第二電極20bとを備えている。

【0033】
本実施形態において、収容容器20aは、内部に空間を有する。本実施形態では、収容容器20aの外形が球状になっている。また、本実施形態に係る収容容器20aは、全体が金属材料によって構成されている。これに伴い、本実施形態に係る収容容器20aは、第一電極に兼用されている。

【0034】
第二電極20bは、複数の円環状の部材(図示しない)によって構成されている。円環部材のそれぞれの直径は、略同一に設定されている。そして、複数の円環部材のそれぞれは、互いの中心線が異なる方向に延びるように配置され、且つそれぞれの中心線が一点で交差するように配置されている。これにより、第二電極20bの内側の空間は、当該第二電極20bの外側に対して常に開放された状態になっている。

【0035】
ガス供給装置21は、収容容器内20a内に水素同位体ガスを供給する。より具体的に説明すると、ガス供給装置21は、管状のガス供給経路210を介して収容容器20aに接続されている。ガス供給経路210の内部は、収容容器20aの内部の空間と連通するように構成されている。これにより、ガス供給装置21は、ガス供給経路210を介して収容容器20aの内部に水素同位体ガスを供給できるようになっている。本実施形態では、ガス供給装置21が収容容器20aの内部に重水素を供給するようになっている。

【0036】
電圧印加装置22は、第二電極21bに負電圧を印加する。より具体的に説明すると、電圧印加装置22は、導線(本実施形態では、高圧ケーブル)220を介して中性子発生源20の第二電極20bに接続されている。これにより、電圧印加装置22は、第二電極20bに対して負電圧を印加できるようになっている。

【0037】
真空排気装置23は、収容容器20a内の減圧を行う。より具体的に説明すると、真空排気装置23は、管路230を介して収容容器20aに流体的に接続されている。すなわち、管路230の内部は、収容容器20aの内部の空間と連通するように構成されている。これにより、本実施形態に係る中性子発生装置2では、真空排気装置23によって、管路230を介して収容容器20aの内部の空間を減圧できるようになっている。なお、真空排気装置23としては、ロータリーポンプや、ターボ分子ポンプ等を採用できる。

【0038】
撮像材料配置部3は、筐体4の内面に沿って配置されている。本実施形態に係る撮像材料配置部3は、プレート状に形成されている。

【0039】
筐体4は、中性子発生源20を取り囲む筐体本体部40であって、貫通穴402が設けられる筐体本体部40と、該筐体本体部40の貫通穴402を閉塞可能な蓋部41とを備える。

【0040】
本実施形態に係る筐体本体部40は、複数の隔壁(採番しない)によって外形が直方体状となるように構成されている。筐体本体部40のそれぞれは、二層構造になっている。すなわち、本実施形態に係る筐体本体部40は、外形が直方体状の内側筐体本体部400と、該内側筐体本体部400の外側に設けられる外側筐体本体部401とを備えている。

【0041】
内側筐体本体部400は、衝突した熱中性子の少なくとも一部を反射可能に構成されている。本実施形態では、内側筐体本体部400が黒鉛で構成されている。これにより、本実施形態に係る内側筐体本体部400は、熱中性子が筐体4の外部に透過することを抑えることができるようになっている。さらに、本実施形態に係る内側筐体本体部400は、箱状に形成されている。

【0042】
外側筐体本体部401は、電磁波を遮蔽可能に構成されている。本実施形態では、外側筐体本体部401が鉛で構成されている。これにより、本実施形態に係る外側筐体本体部401は、電磁波が筐体4の外部に透過することを抑えることができるようになっている。また、本実施形態に係る外側筐体本体部401は、内側筐体本体部400における筐体4の外面を構成する部分に設けられている。

【0043】
本実施形態に係る筐体4の筐体本体部40には、筐体本体部40の中性子発生源20と対向する一面に貫通穴402が設けられている。貫通穴402は、筐体本体部40の外面から内側に向けて設けられる第一穴部402aと、該第一穴部402aと連続して設けられ、筐体本体部40の内部につながる第二穴部402bとで形成されている。第一穴部402aの軸線方向における穴径は、一定となるようになっている。第二穴部402bの軸線方向における穴径は、筐体本体部40の内側に向かうにつれて大きくなるようになっている。

【0044】
内側蓋部410は、衝突した熱中性子の少なくとも一部を反射可能に構成されている。本実施形態では、内側蓋部410が黒鉛で構成されている。これにより、本実施形態に係る内側蓋部410は、熱中性子が筐体4の外部に透過することを抑えることができるようになっている。そして、本実施形態に係る内側蓋部410は、筐体本体部40に対して着脱可能に構成されている。

【0045】
外側蓋部411は、電磁波を遮蔽可能に構成されている。本実施形態では、外側蓋部411が鉛で構成されている。これにより、本実施形態に係る外側蓋部411は、電磁波が筐体4の外部に透過することを抑えることができるようになっている。また、本実施形態に係る外側蓋部411は、内側蓋部410における筐体4の外面を構成する部分に設けられている。

【0046】
熱中性子変換部材5は、中性子発生源20から前記撮像材料Fに向かう中性子の移動経路上に配置される。具体的に説明すると、熱中性子変換部材5は、中性子発生源20を取り囲む第一熱中性子変換部材50と、中性子発生源20の収容容器20aと撮像材料Fとの間に配置される第二熱中性子変換部材51とを備える。

【0047】
第一熱中性子変換部材50は、中性子発生源20の収容容器20aを取り囲むように配置されている。本実施形態では、第一熱中性子変換部材50として水が用いられている。これに伴い、本実施形態に係るラジオグラフィ装置1は、収容容器20aを取り囲む外殻部材500を備えている。これにより、中性子発生源20の収容容器20aと外殻部材500との間には、空間が形成される。そして、第一熱中性子変換部材50は、中性子発生源20の収容容器20aと外殻部材500との間の空間に充填されている。本実施形態では、外殻部材500の外形が球状になっている。

【0048】
本実施形態に係る第二熱中性子変換部材51は、筐体4の第一穴部402aに配置されている。また、本実施形態に係る第二熱中性子変換部材51は、ポリエチレンによって構成されている。

【0049】
本実施形態に係る回込防止部材6は、筐体本体部40の貫通孔402を画定する部分を含む筐体4の内部に設けられている。具体的に説明すると、内側蓋部410における筐体本体部40の貫通孔402(第一穴部402a)に対応する部分に設けられる第一回込防止部材60と、回込防止部材6は、内側筐体本体部400の内部における貫通孔402(第一穴部402a、及び第二穴部402b)を画定する部分を含む部分に設けられる第二回込防止部材61とを備えている。本実施形態に係る第一回込60及び第二回込防止部材61は、カドミウムで構成されている。

【0050】
遮蔽部材7は、一面を開放可能な箱状に形成されている。本実施形態に係る遮蔽部材7は、一面が開放された箱状の第一遮蔽部材70と、該第一遮蔽部材70の開放された部分を閉塞可能な第二遮蔽部材71とを備えている。

【0051】
第一遮蔽部材70は、鉛によって構成されている。また、第一遮蔽部材70は、筐体4の外側に向けて一面が開放するように筐体4の第一穴部402a内に配置されている。

【0052】
第二遮蔽部材71は、鉛によって構成されている。本実施形態に係る第二遮蔽部材71は、回込防止部材6の第一回込防止部材60上に設けられている。すなわち、本実施形態に係る第二遮蔽部材71は、回込防止部材6の第一回込防止部材60を介して内側蓋部410に設けられている。これにより、本実施形態に係る遮蔽部材7は、筐体4の筐体本体部40に筐体4の蓋部41が取り付けられると、第二遮蔽部材71が第一遮蔽部材70の開放された面を閉塞するようになっている。

【0053】
また、本実施形態に係る第二遮蔽部材71は、撮像材料F及び被写体Tを固定できるようになっている。すなわち、本実施形態では、第二遮蔽部材71における一面が(遮蔽部材7の内面を構成する一面が)撮像材料配置部3を構成している。これに伴い、第二遮蔽部材71における一面(撮像材料配置部3)に固定された撮像材料Fは、回込防止部材6によって撮像材料Fにおける前記中性子発生源20と対向する部分の反対側が覆われた状態になる(本実施形態では第二遮蔽部材71を介して覆われた状態になる)。

【0054】
本実施形態に係るラジオグラフィ装置1は、以上の通りであり、続いて、該ラジオグラフィ装置1を用いて撮像材料Fに被写体Tを撮像する動作について図2を参照しつつ説明する。

【0055】
本実施形態に係るラジオグラフィ装置1では、撮像材料Fに被写体Tを撮像するにあたり、筐体4の蓋部41が筐体4の筐体本体部40から取り外される。そして、撮像材料配置部3に(内側蓋部410に設けられた第二遮蔽部材71上に)撮像材料F及び被写体Tが固定される。このような状態で、筐体4の蓋部41が筐体4の筐体本体部40に取り付けられることで、撮像材料F及び被写体Tが固定された撮像材料配置部3が筐体4の内部に沿って配置される。

【0056】
そして、収容容器20aの内部が真空排気装置23によって減圧される。さらに、収容容器20aの内部には、ガス供給装置21から水素同位体ガス(本実施形態では、重水素)が供給される。このような状態で電圧印加装置22が第二電極20bに負電圧を印加すると、収容容器(第一電極)20と第二電極20bとの間で放電が起こる。これに伴い、収容容器20aの内部には、第二電極20bに向かう重水素イオンが発生する。上述のように、第二電極20bの内部は、外部に対して開放された状態になっているため、重水素イオンが第二電極20bの中心部に向かって移動する。そして、第二電極20bの中心部に向かって進む重水素イオンが重水素に衝突して核融合反応が生じることによって、収容容器20aの内部から中性子N1が発生する。

【0057】
収容容器20aの内部から発生した中性子N1は、第一熱中性子変換部材50を通過する際に減速される。そして、第一熱中性子変換部材50によって十分に減速された中性子N1が熱中性子N2になる。

【0058】
第一熱中性子変換部材50で変換された熱中性子N2は、撮像材料Fに対して直接、又は被写体Tを透過した後に到達する。また、撮像材料Fとは異なる部分に向かって進む熱中性子N2の少なくとも一部は、筐体4の内部(内側筐体本体部400)によって反射される。そして、内側筐体本体部400に反射されずに内側筐体本体部400内を透過し、撮像材料Fにおける中性子発生源20と対向する部分の反対側に向かう熱中性子N2は、回込防止部材6(第一回込防止部材60、及び第二回込防止部材61)によって遮られる。

【0059】
さらに、中性子発生源20の収容容器20a内が発生する中性子N1のうち、第一熱中性子変換部材50によって十分に減速されなかった中性子N1は、熱中性子N2に変換されることなく筐体4の内部に放射される。筐体4の内部に放射された中性子N1は、第二熱中性子変換部材51を透過すると、該第二熱中性子変換部材51によって減速される。そのため、筐体4の内部に放射された中性子N1は、第二熱中性子変換部材51によって十分に減速されると、熱中性子N2になる。そして、第二熱中性子変換部材51によって中性子N1から変換された熱中性子N2についても、撮像材料Fに対して直接、又は被写体Tを透過した後に到達する。

【0060】
以上のようにして、本実施形態に係るラジオグラフィ装置1では、撮像材料Fにおける熱中性子N2が到達した部分が反応を起こし、該撮像材料Fに被写体Tが撮像される。従って、本実施形態に係るラジオグラフィ装置1は、中性子発生源20と撮像材料Fとの間隔を狭めても撮像材料Fに被写体Tを撮像できるという優れた効果を奏し得る。

【0061】
また、本実施形態に係るラジオグラフィ装置1は、回込防止部材6が撮像材料Fにおける前記中性子発生源20と対向する部分の反対側を覆っている。そのため、回込防止部材6が撮像材料Fにおける中性子発生源20と対向する部分の反対側に向かう熱中性子N2を遮る。これにより、本実施形態に係るラジオグラフィ装置1では、撮像材料Fにおける被写体Tが撮像される部分が過剰に反応を起こすことで、撮像材料Fに被写体Tが正常に撮像されなくなることを防止することもできる。

【0062】
尚、本発明のラジオグラフィ装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加え得ることは勿論である。

【0063】
上記実施形態において、撮像材料Fとしてイメージングプレートを用いていたが、これに限定されるものではなく、例えば、熱中性子N2に強く反応するものであれば、イメージングプレート以外のものを撮像材料Fとして用いることもできる。

【0064】
また、上記実施形態において、筐体4の外形は、直方体状となっていたが、これに限定されるものではなく、例えば、筐体4の外形は、球状となっていてもよい。

【0065】
また、上記実施形態において、第二電極20bは、複数の円環部材が互いの中心線が異なる方向に延びるように配置され、且つそれぞれの中心線が一点で交差するように配置されることで構成されていたが、これに限定されるものではなく、例えば、中空円筒や、中空多面体等の形状にすることもできる。

【0066】
また、上記実施形態において、ガス供給装置21は、収容容器20aの内部に重水素を供給していたが、これに限定されるものではなく、例えば、重水素と三重水素の混合ガス等を収容容器20aの内部に供給するようにしてもよい。

【0067】
また、上記実施形態において、内側筐体本体部400及び内側蓋部410は、黒鉛で構成されていたが、これに限定されるものではなく、例えば、内側筐体本体部400及び内側蓋部410をポリエチレン、コンクリート、パラフィン、水、重水等で構成することによって、衝突した熱中性子N2の少なくとも一部を反射可能に構成することもできる。

【0068】
また、上記実施形態において、外側筐体本体部401及び外側蓋部411は、鉛によって構成されていたが、これに限定されるものではなく、例えば、外側筐体本体部401及び外側蓋部411をSUS、鉄、鉛、カドミウム等の電磁波を遮ることのできるもので構成することもできる。

【0069】
また、上記実施形態において、筐体4の内部から筐体4の外部に電磁波が透過することを防止するために、筐体本体部40が外側筐体本体部401を備え、蓋部41が外側蓋部411を備えていたが、これに限定されるものではなく、例えば、筐体本体部40を内側筐体本体部400のみで構成することもできる。ただし、筐体本体部40が外側筐体本体部401を備えるようにする方が電磁波を防止する効果が向上することは言うまでもない。

【0070】
また、上記実施形態において、熱中性子変換部材5は、第一熱中性子変換部材50と第二熱中性子変換部材51とを備えていたが、これに限定されるものではなく、例えば、熱中性子変換部材5を第一熱中性子変換部材50のみ、又は第二熱中性子変換部材51のみで構成することもできる。

【0071】
また、上記実施形態において、第一熱中性子変換部材50は、水が用いられていたが、これに限定されるものではなく、例えば、第一熱中性子変換部材50として重水を収容容器20aと外殻部材500との間に収容してもよい。

【0072】
また、上記実施形態において、特に言及しなかったが、外殻部材500は、ポリエチレン等の中性子N1を熱中性子N2に変換可能な材料で構成してもよい。このようにすれば、より多くの中性子N1を熱中性子N2に変換できる。

【0073】
また、上記実施形態において、第二熱中性子変換部材51は、ポリエチレンで構成されていたが、これに限定されるものではなく、例えば、第二熱中性子変換部材51は、水、コンクリート等の中性子N1を減速させて熱中性子N2に変換可能なもので構成されていてもよい。

【0074】
また、上記実施形態において、第一回込防止部材60及び第二回込防止部材61は、カドミウムで構成されていたが、これに限定されるものではなく、例えば、第一回込防止部材60及び第二回込防止部材61は、ガドリニウム、LiF、BC、BN等の熱中性子N2を吸収可能なもので構成することもできる。
【符号の説明】
【0075】
1…ラジオグラフィ装置、2…中性子発生源、3…撮像材料配置部、4…筐体、5…熱中性子変換部材、6…回込防止部材、7…遮蔽部材、20…収容容器、21…第二電極、22…ガス供給装置、23…電圧印加装置、24…真空排気装置、40…筐体本体部、41…蓋部、50…第一熱中性子変換部材、51…第二熱中性子変換部材、60…第一回込防止部材、61…第二回込防止部材、70…第一遮蔽部材、71…第二遮蔽部材、220…ガス供給経路、240…管路、400…内側筐体本体部、401…外側筐体本体部、402…貫通穴、402a…第一穴部、402b…第二穴部、410…内側蓋部、411…外側蓋部、500…外殻部材、F…撮像材料、N1…中性子、N2…熱中性子、T…被写体
図面
【図1】
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【図2】
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