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明細書 :リチウムイオン二次電池およびこれを含む電気機器

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5930290号 (P5930290)
公開番号 特開2013-197055 (P2013-197055A)
登録日 平成28年5月13日(2016.5.13)
発行日 平成28年6月8日(2016.6.8)
公開日 平成25年9月30日(2013.9.30)
発明の名称または考案の名称 リチウムイオン二次電池およびこれを含む電気機器
国際特許分類 H01M  10/052       (2010.01)
H01M   4/62        (2006.01)
H01M  10/0568      (2010.01)
H01M   4/134       (2010.01)
FI H01M 10/052
H01M 4/62 Z
H01M 10/0568
H01M 4/134
請求項の数または発明の数 4
全頁数 17
出願番号 特願2012-066103 (P2012-066103)
出願日 平成24年3月22日(2012.3.22)
審査請求日 平成27年2月9日(2015.2.9)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】399030060
【氏名又は名称】学校法人 関西大学
【識別番号】000003506
【氏名又は名称】第一工業製薬株式会社
発明者または考案者 【氏名】山縣 雅紀
【氏名】石川 正司
【氏名】古賀 景子
【氏名】松井 由紀子
【氏名】菊田 学
【氏名】村上 賢志
個別代理人の代理人 【識別番号】110000338、【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
審査官 【審査官】瀧 恭子
参考文献・文献 特開2008-257963(JP,A)
特開2010-097696(JP,A)
特開2001-015114(JP,A)
特開2011-081934(JP,A)
KOVALENKO Igor, et al.,A Major Constituent of Brown Algae for Use in High-Capacity Li-Ion Batteries,Science ,2011年10月 7日,Vol.334 No.6052 ,Page.75-79
調査した分野 H01M 4/00-4/62、10/05-10/0587
特許請求の範囲 【請求項1】
正極および負極を備え、上記正極と負極との間に電解液を含むリチウムイオン二次電池において、
上記負極におけるバインダーはアルギン酸を含み、
上記電解液の溶媒が、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオンを含むイオン液体であることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
【請求項2】
上記負極は、負極活物質としてシリコンを含むことを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項3】
上記アルギン酸がアルギン酸塩であり、
上記アルギン酸塩は、アルギン酸塩の1%(w/v)水溶液の20℃における粘度が300mPa・s以上、2000mPa・s以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載のリチウムイオン二次電池を備える電気機器。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン二次電池およびこれを含む電気機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機器、電気自動車に搭載されるリチウムイオン二次電池の開発が進められている。リチウムイオン二次電池を構成する電極は、電気エネルギーの蓄電に直接係わる活物質、活物質間の導通パスを担う導電剤、バインダー、および集電体から構成される。リチウムイオン二次電池の特性は電極に大きく依存し、それぞれの材料自体の特性と材料の組み合わせ方に大きく影響を受ける。
【0003】
特にバインダーは、活物質、導電剤およびバインダーを含む合材から得られた電極内にて存在比率が少なく、電解液との親和性に優れ、電極の電気抵抗を最小限にできることが要求される。また、高電圧作動に耐える安定性も重要である。
【0004】
このバインダーは、大きく水系または非水系に分類される。水系バインダーとしては、スチレン-ブタジエンラバー(SBR)水分散液(特許文献1など)、カルボキシメチルセルロース(CMC)(特許文献2~4など)が挙げられる。また、これらのバインダーの併用についても従来技術として提案されている(特許文献3、5、6など)。これらの水系バインダーは、活物質および導電剤との密着性が比較的高いため、合材における含有量が少なくて済むという利点がある。
【0005】
非水系バインダーとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(特許文献7、8など)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)のN-メチル-2-ピロリドン(NMP)溶液(特許文献9、10など)が挙げられ、特に高圧作動型のデバイスには有利に働く点で利点がある。
【0006】
一方、リチウムイオン二次電池用電極用のバインダーとして、多糖類系天然高分子を用いることが開示されており、バインダーとして適用可能であること、および、このバインダーを用いたリチウムイオン二次電池用電極のサイクル耐久性が高いことが記載されている(特許文献11、非特許文献1)。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特許第3101775号明細書(2000年10月23日発行)
【特許文献2】特許第3968771号明細書(2007年8月29日発行)
【特許文献3】特許第4329169号明細書(2009年9月9日発行)
【特許文献4】特許第4244041号明細書(2009年3月25日発行)
【特許文献5】特許第3449679号明細書(2003年9月22日発行)
【特許文献6】特許第3958781号明細書(2007年8月15日発行)
【特許文献7】特許第3356021号明細書(2002年12月9日発行)
【特許文献8】特開平7-326357号公報(1995年12月12日公開)
【特許文献9】特許第3619711号明細書(2005年2月16日発行)
【特許文献10】特許第3619870号明細書(2005年2月16日発行)
【特許文献11】特許第3668579号明細書(2005年7月6日発行)<nplcit num="1"> <text>I. Kovalenko et al., Science, Vol.75, pp.75-79(2011)</text></nplcit>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来のバインダーは以下の問題点を有している。
【0009】
まず、水系バインダーであるSBRを用いた合材では、活物質および導電剤が不均一化し、均一性に欠けるため、リチウムイオン二次電池の性能再現性が低い傾向にある。また、CMCは、活物質および導電剤に対する接着力が乏しいため、電極におけるCMCの含有量を10重量%以上に増加させる必要があるが、その結果、活物質の含有率が低下してしまう。
【0010】
これらの欠点を解消するため、実用上、SBRとCMCとを併用する必要があるが、SBRは主鎖に二重結合を有するため、SBRを正極に使用した場合、デバイスの充放電に伴い酸化による劣化が生じる。さらに、SBRおよびCMCは、電解液と接触すると膨張するため、これにより集電体から活物質の剥離が生じ、脱落するため、SBRおよびCMCを併用したリチウムイオン二次電池では、サイクル耐久性および出力特性が低下するという問題がある。
【0011】
次に、非水系バインダーであるPTFE、PVdFなどのフッ素系ポリマーは、活物質に対する分子間力が低いため、十分な接着力を発現できない傾向がある。接着力不足を補填するため、バインダーの含有比を増加させることにより電極の強度を確保可能であるが、この場合、電極の電気抵抗が増加する結果となり、特に比表面積の大きな活性炭などの活物質は、その活性点が失われる。また、活物質の含有率が低下し、リチウムイオン二次電池の容量が低下する。さらには、PTFE、PVdFは、(1)活性炭などの炭素材料に対する親和性が低いため、得られる電極の再現性が低く、(2)炭素材料との均一な混合のために、分散剤が必要になるという問題がある。
【0012】
また、非特許文献1では、シリコン電極のバインダーとしてアルギン酸を用いている。このシリコン電極を備えるリチウムイオン二次電池は高いサイクル耐久性を有するものの、高出力化が達成されておらず、さらなる改良が必要である。
【0013】
本発明は、上記リチウムイオン二次電池の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、バインダーと電解液との組み合わせに着目し、サイクル耐久性および出力特性に優れたリチウムイオン二次電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のリチウムイオン二次電池は、上記課題を解決するために、正極および負極を備え、上記正極と負極との間に電解液を含むリチウムイオン二次電池において、上記負極におけるバインダーはアルギン酸を含み、上記電解液の溶媒が、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオンを含むイオン液体であることを特徴としている。
【0015】
上記リチウムイオン二次電池では、バインダーに含まれるアルギン酸は、負極における構成材料との親和性、具体的には負極活物質および導電剤との親和性が高く、負極が分解し難く、例えば、集電体から負極活物質および導電剤が剥離し難く、負極が劣化し難いため、当該リチウムイオン二次電池はサイクル耐久性に優れる。また、負極と、負極の構成材料間の界面抵抗が従来の電極よりも低い。よって、当該リチウムイオン二次電池は、出力特性も優れている。
【0016】
さらに、上記バインダーとビス(フルオロスルホニル)イミドアニオンを含むイオン液体とを用いることにより得られる、負極と電解液界面との抵抗減少の効果は高く、サイクル耐久性および出力特性をさらに高めることができ、高品質のリチウムイオン二次電池を提供できる。
【0017】
本発明のリチウムイオン二次電池は、上記負極は、負極活物質としてシリコンを含むことが好ましい。
【0018】
通常、シリコンを含む負極を備えるリチウムイオン二次電池は放電容量に優れるが、サイクル耐久性に劣る傾向にある。しかし、本発明のリチウムイオン二次電池は、アルギン酸を含むバインダーにより、負極の劣化が生じ難いため、負極にシリコンが含まれていてもサイクル耐久性に優れており、放電容量が高い。サイクル耐久性の効果は、充電容量を規制した場合に顕著に確認される。
【0019】
本発明の電気機器は、上記リチウムイオン二次電池を含むものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明のリチウムイオン二次電池は、正極および負極を備え、上記正極と負極との間に電解液を含むリチウムイオン二次電池において、上記負極におけるバインダーはアルギン酸を含み、上記電解液の溶媒が、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオンを含むイオン液体であるものである。
【0021】
上記発明によれば、バインダーに含まれるアルギン酸は、負極における構成材料との親和性が高く、負極が分解し難く、負極が劣化し難いため、当該リチウムイオン二次電池はサイクル耐久性に優れる。また、負極と、負極の構成材料間の界面抵抗が従来の電極よりも低い。よって、当該リチウムイオン二次電池は、出力特性も優れている。さらに、上記バインダーとビス(フルオロスルホニル)イミドアニオンを含むイオン液体とを用いることにより得られる、負極と電解液界面との抵抗減少の効果は高く、サイクル耐久性および出力特性をさらに高めることができ、高品質のリチウムイオン二次電池を提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施例1および比較例1での放電レート特性の測定結果を示すグラフである。
【図2】実施例1および比較例1でのサイクル耐久性の測定結果を示すグラフである。
【図3】実施例2および比較例2、3での、充電容量の規制を行わなかったサイクル耐久性を示すグラフである。
【図4】実施例2および比較例2での、充電容量の規制を行ったサイクル耐久性を示すグラフである。
【図5】実施例2および比較例2での交流インピーダンスの測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の一実施形態について説明すれば、以下の通りであるが、本発明は当該実施形態に限定されるものではない。

【0024】
[リチウムイオン二次電池]
本発明に係るリチウムイオン二次電池は、正極および負極を備え、上記正極と負極との間に電解液を含むリチウムイオン二次電池において、上記負極におけるバインダーはアルギン酸を含み、上記電解液の溶媒が、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオンをアニオン成分として含むイオン液体である。以下、リチウムイオン二次電池を構成する各部材について説明する。

【0025】
[正極]
本発明の正極は、正極活物質、導電剤、バインダーおよび集電体によって構成されている。

【0026】
上記正極活物質としては、リチウムイオンの挿入または脱離が可能であるものであれば、特に制限されることはない。たとえば、CuO、CuO、MnO、MoO、V、CrO、MoO、Fe、Ni、CoO等の遷移金属酸化物;LiCoO、LiNiO、LiMn、LiFePO等のリチウムと遷移金属とを含むリチウム複合酸化物;TiS、MoS、NbSe等の金属カルコゲン化物;ポリアセン、ポリパラフェニレン、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子化合物等が挙げられる。

【0027】
上記の中でも、一般に高電圧系と呼ばれる、コバルト、ニッケル、マンガン等の遷移金属から選ばれる1種以上とリチウムとの複合酸化物がリチウムイオンの放出性や、高電圧が得られ易い点で好ましい。コバルト、ニッケル、マンガンとリチウムとの複合酸化物の具体例としては、LiCoO、LiMnO、LiMn、LiNiO、LiNiCo(1-X)、LiMnNiCo2(a+b+c=1)などが挙げられる。

【0028】
また、これらのリチウム複合酸化物に、少量のフッ素、ホウ素、アルミニウム、クロム、ジルコニウム、モリブデン、鉄などの元素をドーブしたものや、リチウム複合酸化物の粒子表面を、炭素、MgO、Al、SiO等で表面処理したものも使用できる。

【0029】
上記正極活物質は単独で使用してもよいし、2種類以上を併用することも可能である。正極活物質の量はその用途等により異なり、特に限定されないが、通常、正極活物質、導電剤およびバインダーの総重量に対して、90重量%以上、100重量%以下である。

【0030】
導電剤としては、電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば使用することができる。通常、アセチレンブラック、ケッチンブラック等のカーボンブラックが使用されるが、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土状黒鉛など)、人造黒鉛、カーボンウイスカー、炭素繊維粉末、金属(銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金等)粉末、金属繊維、導電性セラミックス材料等の導電性材料を使用してもよい。これらは単独で用いてもよく、2種類以上の混合物として用いることができる。導電剤の添加量は正極活物質の重量に対して1重量%以上、20重量%以下であることが好ましく、2重量%以上、10重量%以下であることがより好ましい。

【0031】
正極に含まれるバインダーは、正極活物質と導電剤とを結着させるものであり、正極活物質と導電剤とを覆うように混合され、正極活物質に対して導電剤を固定する。

【0032】
正極のバインダーとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF);PVdFとヘキサフルオロプロピレン(HFP)との共重合体、パーフルオロメチルビニルエーテル(PFMV)とテトラフルオロエチレン(TFE)との共重合体などのPVdF共重合体樹脂;ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素ゴムなどのフッ素系樹脂;スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、エチレン-プロピレンゴム(EPDM)、スチレン-アクリロニトリル共重合体などのポリマーが挙げられ、カルボキシメチルセルロース(CMC)等の多糖類、ポリイミド樹脂等の熱可塑性樹脂などを併用することができるが、正極のバインダーはこれらの具体例に限定されるものではない。

【0033】
また、これらは単独で使用してもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。正極のバインダーの添加量は、正極活物質に対して1重量%以上、10重量%以下であることが好ましく、1重量%以上、5重量%以下であることがより好ましい。

【0034】
本発明で用いる正極は、上記正極活物質、導電剤、及びバインダー等からなる塗工液を正極用集電体に塗布することにより製造することができる。

【0035】
正極用集電体として、構成された電池において悪影響を及ぼさない電子伝導体を使用可能である。例えば、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼、ニッケル、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラス等を挙げることができる。接着性、導電性、耐酸化性などの向上の目的で、アルミニウム等の表面を、カーボン、ニッケル、チタンまたは銀等で処理した正極用集電体を用いてもよい。

【0036】
これらの正極用集電体の表面を酸化処理することも可能である。また、正極用集電体の形状については、フォイル状の他、フィルム状、シート状、ネット状、パンチ又はエキスパンドされた物、ラス体、多孔質体、発泡体等の成形体であってもよい。厚みは特に限定されないが、1μm以上、100μm以下のものが通常用いられる。

【0037】
[負極]
本発明の負極は、負極活物質、導電剤、バインダーおよび集電体によって構成されている。

【0038】
負極活物質としては、金属リチウムまたはリチウムイオンを挿入または脱離することができるものであれば特に制限されることはない。たとえば、天然黒鉛、人造黒鉛、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素などの炭素材料が挙げられる。また、金属リチウムや合金、スズ化合物などの金属材料;リチウム遷移金属窒化物;結晶性金属酸化物;非晶質金属酸化物;ケイ素材料;導電性ポリマー等も挙げられる。

【0039】
上記負極活物質は単独で使用してもよいし、2種類以上を併用することも可能である。負極活物質の量は、その用途等により異なり、特に限定されないが、通常、負極活物質、導電剤およびバインダーの総重量に対して、80重量%以上、100重量%以下である。

【0040】
本発明において、負極活物質として炭素材料を90重量%以上、100重量%以下含む負極を炭素負極と称し、負極活物質としてケイ素材料を40重量%以上で、ケイ素以外の活物質を含む負極をシリコン系複合負極と称する。

【0041】
炭素負極は汎用性が高いため、作製が容易である。また、シリコン系複合負極によれば、放電容量に優れるリチウムイオン二次電池を作製できるため好ましい。通常、シリコン系複合負極を備えるリチウムイオン二次電池は充放電容量に優れるが、サイクル耐久性に劣る傾向にある。しかし、本発明のリチウムイオン二次電池は、アルギン酸を含むバインダーにより、負極の劣化が生じ難いため、負極にシリコンが含まれていてもサイクル耐久性に優れている。アルギン酸を含むバインダーの利用によるサイクル耐久性の効果は、充電容量の規制の有無にかかわらず顕著に確認される。

【0042】
導電剤としては、電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば使用することができる。通常、アセチレンブラック、ケッチンブラック等のカーボンブラックが使用されるが、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土状黒鉛など)、人造黒鉛、カーボンウイスカー、炭素繊維粉末、金属(銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金等)粉末、金属繊維、導電性セラミックス材料等の導電性材料を使用してもよい。これらは単独で用いてもよく、2種類以上の混合物として用いることができる。導電剤の添加量は負極全重量に対して1重量%以上、20重量%以下であることが好ましく、2重量%以上、10重量%以下であることがより好ましい。

【0043】
負極に含まれるバインダーは、負極活物質と導電剤とを連結させるものであり、負極活物質と導電剤、集電体とを覆うように、あるいは連結させるように混合され、これらを固定する。本発明のバインダーはアルギン酸を含む。アルギン酸は、通常、コンブ、ワカメ、カジメなどの褐藻類植物由来のものである。

【0044】
アルギン酸は高分子であり、例えば、架橋されていないアルギン酸(以下、アルギン酸非架橋物ともいう)、架橋されたアルギン酸(以下、アルギン酸架橋物ともいう)が挙げられる。

【0045】
上記アルギン酸非架橋物としては、例えば、イオン化していない遊離アルギン酸、またはアルギン酸一価塩などが挙げられる。上記アルギン酸一価塩としては、アルギン酸リチウム塩、アルギン酸カリウム塩、アルギン酸ナトリウム塩などのアルギン酸アルカリ金属塩;アルギン酸アンモニウム塩等が挙げられる。

【0046】
上記アルギン酸架橋物としては、例えば、遊離アルギン酸またはアルギン酸一価塩と、二価以上の金属イオンとの塩であるアルギン酸多価塩、遊離アルギン酸またはアルギン酸一価塩などを硫酸により架橋したアルギン酸硫酸架橋物などが挙げられる。アルギン酸多価塩としては、例えば、アルギン酸カルシウム塩が挙げられる。

【0047】
また、バインダーとしての使用の便宜から、上記アルギン酸塩は、当該アルギン酸の1%(g/100ml)水溶液の20℃における粘度が300mPa・s以上、2000mPa・s以下であるものが好ましく、1000mPa・s以上、2000mPa・s以下であるものがより好ましい。なお、上記粘度は、回転式粘度計(ブルックフィールド社製)により、RV-1スピンドルを用いて、20℃で回転数60rpm、測定時間1分の条件で測定したときの値である。

【0048】
上記アルギン酸は、アルギン酸一価塩の水溶液を用いて調製されたものであることが好ましい。

【0049】
また、上記アルギン酸は、0.5重量%以上、5.0重量%以下のアルギン酸一価塩の水溶液を用いて調製されたものであることが好ましく、2.0重量%以上、3.0重量%以下のアルギン酸一価塩の水溶液を用いて調製されたものであることがより好ましい。アルギン酸が0.5重量%以上、5.0重量%以下、より好ましくは2.0重量%以上、3.0重量%以下のアルギン酸一価塩の水溶液を用いて調製されたものであることにより、負極活物質、導電剤およびバインダーの混合を容易に行うことができる。

【0050】
本発明に係るバインダーにおけるアルギン酸の含有率は、50重量%以上、100重量%以下であることが好ましく、70重量%、100重量%以下であることがより好ましく、90重量%以上、100重量%以下であることが特に好ましく、100重量%であることが最も好ましい。アルギン酸の含有率が100重量%未満の場合、アルギン酸以外のバインダー成分として、スチレン-ブタジエンラバー、カルボキシメチルセルロースなどが挙げられる。

【0051】
負極活物質、導電剤およびバインダーの配合比(重量%)は、特に限定されるものではないが、例えば、負極活物質:導電剤:バインダー=80~97:4~10:2~15とすることができる。負極活物質、導電剤およびバインダーの含有比の合計は100である。すなわち、負極におけるバインダーの配合率は、2重量%以上、15重量%以下であることが好ましい。また、より好ましくは、5重量%以上、10重量%以下である。2重量%未満の場合、負極活物質、導電剤およびバインダーが均一に混合された塗工液を作製することが困難となり、15重量%を超えるとバインダーの配合率が増加する結果、負極活物質の配合率の低下を招く。

【0052】
負極活物質および導電剤に対して、アルギン酸を水溶液の状態で配合してもよい。また、粘度調整のため、負極活物質、導電剤およびアルギン酸に水などを配合してもよい。バインダーであるアルギン酸は、負極活物質および導電剤の両方と親和性が高く、非常に均一な塗工液が得られる点が特徴であり、意匠的にも優れた負極が得られる。

【0053】
本発明で用いる負極は、上記負極活物質、導電剤、及びバインダー等からなる塗工液を負極用集電体に塗布することにより製造することができる。

【0054】
負極用集電体として、構成された電池において悪影響を及ぼさない電子伝導体を使用可能である。例えば、銅、ステンレス鋼、ニッケル、アルミニウム、チタン、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラス、Al-Cd合金等を挙げることができる。接着性、導電性、耐酸化性などの向上の目的で、銅等の表面をカーボン、ニッケル、チタンまたは銀等で処理した負極用集電体を用いてもよい。

【0055】
これらの負極用集電体の表面を酸化処理することも可能である。また、負極用集電体の形状については、フォイル状の他、フィルム状、シート状、ネット状、パンチ又はエキスパンドされた物、ラス体、多孔質体、発泡体等の成形体であってもよい。厚みは特に限定されないが、1μm以上、100μm以下のものが通常用いられる。

【0056】
[電極の作製方法]
正極および負極を得る一例を説明すると、正極用の塗工液は正極用集電体に、負極用の塗工液は負極用集電体にそれぞれ所望の厚さにて塗布される。塗布法として、集電体に塗工液を塗布し、ドクターブレードにより余分な塗工液を除去する方式、集電体に塗工液を塗布し、ローラにより塗工液を圧延する方式などの公知の塗布法が挙げられる。

【0057】
塗工液を乾燥する温度は特に限定されず、塗工液中の各材料の配合率により適宜変更すればよいが、通常、70℃以上、90℃以下である。また、得られた正極または負極の厚さは、リチウムイオン二次電池の用途により適宜変更すればよい。

【0058】
[電解液]
本発明の電解液は、溶媒がビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン(以下、「ビス(フルオロスルホニル)イミド」を適宜「FSI」と略す)を含むイオン液体である。このような電解液は、負極のバインダーに含まれるアルギン酸との相性が良く、サイクル耐久性および出力特性に優れたリチウムイオン二次電池を提供することが可能となる。また、本発明のリチウムイオン二次電池は、高率の充放電時においても高い性能を持ち、高エネルギー密度、高電圧で使用可能である。さらには、上記電解液は不燃性であるため、得られるリチウム二次電池は安全性に優れるものとなる。

【0059】
上記FSIアニオンを含むイオン液体の調製方法は特に限定されるものではないが、フルオロスルホン酸と尿素との反応など公知の方法を用いることができる。これらの方法によって得られたFSI化合物は一般的に純度が低いため、不純物10ppm以下の好ましいイオン液体を得るためには、水、有機溶媒などにより適正に精製すればよい。なお、不純物の確認は、プラズマ発光分析装置(ICP)を用いて分析することができる。

【0060】
また、本発明のイオン液体に含まれるアニオン成分は、本発明の目的を離れない範囲で、このFSIアニオン以外のアニオンを含んでいてもよい。その例としては、BF、PF、SbF、NO、CFSO、(CFSO(ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、以下TFSIと表記する)、(CSO、(CFSO、CFCO、CCO、CHCO、(CN)等が挙げられる。これらのアニオンは2種類以上を含んでいてもよい。

【0061】
イオン液体における総アニオンに対するFSIの含有率は、本発明の効果を十分に発揮させる観点から、50mol%以上、100mol%以下であることが好ましく、70mol%以上、100mol%以下であることがさらに好ましい。イオン液体におけるFSIの含有率は以下のように算出される。
イオン液体におけるFSIの含有率(%)=
イオン液体中のFSIのモル数/イオン液体中のアニオンの総モル数×100
本発明のイオン液体において、上記FSIアニオンと組み合わされるカチオンは、特に制限はないが、融点が50℃以下のイオン液体を形成するカチオンとの組み合わせが好ましい。融点が50℃を超えると電解液の粘度が上昇し、リチウムイオン二次電池のサイクル耐久性に問題が生じたり、放電容量が低下するおそれがあるため好ましくない。

【0062】
上記カチオンとしては、N、P、S、O、CもしくはSi、またはこれらの2種類以上の元素を構造中に含み、鎖状または5員環、6員環などの環状構造を骨格に有するカチオンが用いられる。

【0063】
5員環、6員環などの環状構造カチオンの具体例としては、フランカチオン、チオフェンカチオン、ピロールカチオン、ピリジニウムカチオン、オキサゾリウムカチオン、イソオキサゾリウムカチオン、チアゾリウムカチオン、イソチアゾリウムカチオン、フラザンカチオン、イミダゾリウムカチオン、ピラゾリウムカチオン、ピラジニウムカチオン、ピリミジニウムカチオン、ピリダジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオンなどの複素単環カチオン;ベンゾフランカチオン、イソベンゾフランカチオン、インドールカチオン、イソインドールカチオン、インドリジニウムカチオン、カルバゾールカチオンなどの縮合複素環カチオンが挙げられる。

【0064】
これらのカチオンの中でも、特に窒素元素を含む鎖状または環状の化合物が工業的に安価であること、および、化学的、電気化学的に安定である点で好ましい。

【0065】
窒素元素を含むカチオンの具体例としては、トリエチルアンモニウムカチオン、テトラアルキルアンモニウムカチオンなどのアルキルアンモニウムカチオン;1-プロピルピリジニウムカチオン、1-ブチルピリジニウムカチオン、1-エチル-3-(ヒドロキシメチル)ピリジニウムカチオン、1-エチル-3-メチルピリジニウムカチオンなどのピリジニウムカチオン;1-エチル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムカチオン、1-アリル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-アリル-3-エチルイミダゾリウムカチオン、1-アリル-3-ブチルイミダゾリウムカチオン、1,3-ジアリルイミダゾリウムカチオンなどのイミダゾリウムカチオン;1-メチル-1-プロピル-ピロリジニウムカチオンなどのピロリジニウムカチオン;メチルプロピルピペリジニウムカチオンなどのピペリジニウムカチオンが挙げられる。

【0066】
上記電解液の支持電解質として上記イオン液体に溶解されるリチウム塩としては、通常、非水電解液用電解質として使用されているリチウム塩であれば、特に限定されることなく使用することができる。そのようなリチウム塩の例としては、LiPF,LiBF,LiClO,LiAsF,LiCFSO,LiC(CFSO,LiN(CFSO(LiTFSI),LiN(FSO(LiFSI),LiBC、LiB(C4、LiSO3CHなどが挙げられる。中でも、LiFSI、LiTFSIが好ましい。これらのリチウム塩は、単独で使用してもよいし、2種類以上を混合して使用することができる。

【0067】
このようなリチウム塩は、通常、0.1mol/l(モル/リットル)以上、2.0mol/l以下、好ましくは0.3mol/l以上、1.5mol/l以下の濃度で、イオン液体中に含まれていることが望ましい。

【0068】
[セパレータ]
本発明のリチウムイオン二次電池では、正極と負極との短絡を防止するため、これらの間にセパレータが備えられる。セパレーターは公知のものを使用でき、特にされないが、具体的にはポリエチレンまたはポリプロピレン製フィルムの微多孔膜;多孔性のポリエチレンフィルムとポリプロピレンとの多層フィルム;ポリエステル繊維、アラミド繊維またはガラス繊維等からなる不織布が挙げられ、より好ましくは、それらの表面に、シリカ、アルミナ、チタニア等のセラミック微粒子を付着させたセパレーターが挙げられる。

【0069】
上記セパレータは空隙率が70%以上ものが好ましく、80%以上、95%以下であるものがより好ましい。また、ガーレー試験法によって得られる透気度が200秒/100cc以下であることが好ましい。

【0070】
上記のようなセパレータを備えるリチウムイオン二次電池に、上記FSIアニオンを含有するイオン液体を組み合わせることにより、イオン液体のセパレータへの液含浸性が従来のものと比較して顕著に向上する。それに伴い電池の内部抵抗が大幅に低減し、イオン液体を電解質に用いたリチウムイオン二次電池の出力特性及びサイクル耐久性が向上する。

【0071】
ここで、空隙率はセパレータの見掛け密度と構成材料の固形分の真密度から、次式により算出した値である。
空隙率(%)=100-(セパレータの見掛け密度/材料固形分の真密度)×100
また、ガーレー透気度とは、JIS P 8117に規定されたガーレー試験機法による透気抵抗度である。

【0072】
上記セパレータとしては、平均繊維径が1μm以下のガラス繊維を80重量%以上と、フィブリル化有機繊維を含む有機成分を20重量%未満とを含有し、ガラス繊維同士がフィブリル化有機繊維の絡み付きによって結合され、空隙率85%以上とされた湿式抄造シートが特に好適に用いられる。

【0073】
フィブリル化有機繊維は、繊維を離解する装置、例えばダブルディスクリファイナーを用いることによって、叩解等による剪断力の作用を受け、単繊維が繊維軸方向に非常に細かく解裂して形成された多数のフィブリルを有する繊維であって、少なくとも50重量%以上が繊維径1μm以下にフィブリル化されているものであることが好ましく、100重量%が繊維径1μm以下にフィブリル化されているものであればより好ましい。

【0074】
フィブリル化有機繊維としては、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアミド繊維、セルロース繊維、レーヨン繊維、アクリル繊維等を使用できる。

【0075】
[リチウムイオン二次電池の形状]
本発明のリチウム二次電池は、円筒型、コイン型、角型、その他任意の形状に形成することができ、電池の基本構成は形状によらず同じであり、目的に応じて設計変更して実施することができる。例えば、円筒型のリチウムイオン二次電池は、負極集電体に負極活物質を含む塗工液を塗布して作製した負極と、正極集電体に正極活物質を含む塗工液を塗布して作製した正極とを、セバレータを介して捲回した捲回体を電池缶に収納し、電解液を注入し上下に絶縁板を載置した状態で密封して得られる。また、コイン型のリチウムイオン二次電池を作製する場合、円盤状負極、セパレータ、円盤状正極、およびステンレスの板が積層された状態でこれらをコイン型電池缶に収納し、正極と負極との間に電解液が注入された後、コイン型電池缶は密封される。

【0076】
[電気機器]
本発明のリチウムイオン二次電池はサイクル耐久性および出力特性に優れており、各種電気機器に電源または蓄電デバイスとして備えられる。このため、上記リチウムイオン二次電池を備える電気機器の性能も優れており、従来の電気機器に比較して優位性がある。

【0077】
本発明の電気機器は、本発明のリチウムイオン二次電池を備えていればよく、特に限定されるものではない。例えば、携帯電話機器、ノートパソコン、携帯情報端末(PDA)、ビデオカメラ、デジタルカメラなどの小型電子機器;電動自転車、電動自動車、電車などの移動用機器(車両);火力発電、風力発電、水力発電、原子力発電、地熱発電などの発電用機器が挙げられる。

【0078】
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例】
【0079】
本発明について、実施例および比較例、並びに図1~図5に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。当業者は本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更、修正、および改変を行うことができる。実施例および比較例にて作製したリチウムイオン二次電池の各特性は以下のように測定した。
【実施例】
【0080】
〔放電レート特性(炭素電極)〕
実施例1および比較例1において作製した二極式ハーフセルに対して、1.0Cレート、1サイクル時の放電容量値を1とし、以下の条件にて、各Cレートで5サイクルずつ充放電を行い、放電容量保持率を測定した。以下の条件にて放電容量の保持率およびサイクル耐久性を測定した。
作動電圧範囲:0.005~1.5V VS.Li/Li
充電:定電流(0.1、1.0、2.0、3.0Cレート)+定電圧/放電:定電流(0.1、1.0、2.0、3.0Cレート)
〔サイクル耐久性(炭素電極)〕
実施例1および比較例1において作製した二極式ハーフセルに対して、以下の条件にて放電容量保持率を測定し、サイクル耐久性を評価した。
作動電圧範囲:0.005~1.5V vs.Li/Li
充電:定電流(1.0Cレート)+定電圧/放電:定電流(1.0Cレート)
〔サイクル耐久性(シリコン系複合負極)〕
(測定方法1:規制なし)
実施例2および比較例2、3において作製した二極式ハーフセルに対して、以下の条件にて放電容量保持率を測定し、サイクル耐久性を評価した。なお、初回サイクルのみ、充電および放電の電流を100mA g-1とした。
作動電圧範囲:0.005~1.5V vs.Li/Li
充電:定電流(500mAg-1)+定電圧/放電:定電流(500mA g-1
(測定方法2:規制あり)
実施例2および比較例2において作製した二極式ハーフセルに対して、以下の条件にて放電容量およびサイクル耐久性を測定した。なお、初回サイクルのみ、充電および放電の電流を350mA g-1とした。
充電:定電流(1000mAg-1)+定電圧かつ充電容量を1000mA g-1に規制
放電:定電流(1000mAg-1
〔交流インピーダンス〕
実施例2および比較例2において作製した二極式ハーフセルについて、開回路電圧にて、電位振幅10mV、交流周波数範囲20kHz~10mHzの条件において、交流インピーダンスを測定した。X軸に実数のインピーダンス(Z’)、Y軸に虚数のインピーダンス(Z”)をとったNyquistプロット(Cole-Coleプロット)で結果を示す。
【実施例】
【0081】
〔実施例1〕
以下の手法により、本発明のリチウムイオン二次電池に係る炭素負極評価用二極式ハーフセルを作製した。当該二極式ハーフセルは炭素電極を備えている。なお、二極式ハーフセルの材料としては、以下の材料を使用した。
【実施例】
【0082】
活物質 :天然黒鉛
導電剤 :鱗片状黒鉛
バインダー :アルギン酸ナトリウム(Alg)
電解液 :FSI系イオン液体(0.45mol dm-3:LiTFSI/EMImFSI)
セパレータ :ポリオレフィン系セパレーター
集電体 :エッチドアルミ箔
対極 :リチウム金属箔
LiTFSI =ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド
EMImFSI =1-エチル-3-メチルイミダゾリウム ビス(フルオロスルホニル)イミド
まず、3重量%のアルギン酸ナトリウム水溶液を調製した。次に、活物質、導電剤およびアルギン酸ナトリウム水溶液を乾燥後の組成比(電極における含有比)が85:5:10となるように混合し、スラリーの塗工液を作製した。この塗工液に純水を加えスラリー粘度を調整した後、ドクターブレードにより塗工液をエッチドアルミ箔に塗布し、ホットプレート上で塗工液を80℃で10分程度加熱した。その後、エッチドアルミ箔に塗布された塗工液を、80℃の温度雰囲気下、10-1Paの減圧下で24時間乾燥させ、目的物である炭素電極(本発明の負極に相当する構成を有する)を得た。この炭素電極および対極を両側に配置し、両電極間にセパレータを配置し、電解液を注入して直径が12mmの二極式ハーフセルを作製した。
【実施例】
【0083】
この二極式ハーフセルに対して、放電レートおよびサイクル耐久性を測定した。結果を図1、図2に示す。
【実施例】
【0084】
〔比較例1〕
電解液として、LiTFSI/EMImFSIに代えて以下の有機電解液、セパレーターとして、ポリオレフィン系セパレーターに代えて以下の有機電解液用セパレーターを用いた以外は、実施例1と同様に二極式ハーフセルを作製した。この二極式ハーフセルに対して、放電レートおよびサイクル耐久性を測定した。結果を図1、図2に示す。
【実施例】
【0085】
電解液 :有機電解液(1.0mol dm-3:LiPF6/EC+DMC)
セパレータ :セルロース系セパレーター
LiPF6 =六フッ化リン酸リチウム
EC+DMC =エチレンカーボネートおよびジメチルカーボネートの1:1混合液
〔実施例2〕
以下の手法により、本発明のリチウムイオン二次電池に係るシリコン系複合負極評価用二極式ハーフセルを作製した。当該二極式ハーフセルはシリコン系複合電極を備えている。なお、二極式ハーフセルの材料としては、以下の材料を使用した。
【実施例】
【0086】
活物質 :金属シリコン粉末、金属ニッケル粉末、天然黒鉛
導電剤 :鱗片状黒鉛
バインダー :アルギン酸ナトリウム(Alg)
電解液 :FSI系イオン液体(0.45mol dm-3:LiTFSI/EMImFSI)
セパレータ :ポリオレフィン系セパレーター
集電体 :エッチドアルミ箔
対極 :リチウム金属箔
まず、3重量%のアルギン酸ナトリウム水溶液を調製した。次に、アルゴン雰囲気下で、Siチップをアルミナ製メディアとともにアルミナ製密閉容器に封入し、遊星型ボールミル装置で、回転速度1000rpmでのボールミル処理を10分施した。得られたSi粉末とNi粉末とを重量比6:1に秤量し、タングステンカーバイド製粉砕ボールと共にタングステンカーバイド製密閉容器に封入し、遊星型ボールミル装置で、回転速度300rpmでのボールミル処理を行った。処理時間は10時間とした。上記により合成したNi-Si粉末と天然黒鉛とをアルゴン雰囲気下で重量比1:1に秤量し、遊星型ボールミル装置で、回転速度250rpmでのボールミル処理を行った。処理時間は30分間とした。
【実施例】
【0087】
活物質、導電剤およびアルギン酸ナトリウム水溶液を乾燥後の組成比(電極における含有比)が86:4:10となるように混合し、スラリーの塗工液を作製した。この塗工液に純水を加えスラリー粘度を調整した後、ドクターブレードにより塗工液をエッチドアルミ箔に塗布し、ホットプレート上で塗工液を80℃で10分程度加熱した。その後、エッチドアルミ箔に塗布された塗工液を、80℃の温度雰囲気下、10-1Paの減圧下で24時間乾燥させ、目的物であるシリコン系複合電極(本発明の負極に相当する構成を有する)を得た。
このシリコン系複合電極および対極を両側に配置し、両電極間にセパレータを配置し、電解液を注入しての二極式ハーフセルを作製した。
【実施例】
【0088】
この二極式ハーフセルに対して、規制あり、なしの2種類の測定方法によるサイクル耐久性、交流インピーダンスの測定をそれぞれ行った。結果を図3、図4、図5に示す。
【実施例】
【0089】
〔比較例2〕
電解液として、LiTFSI/EMImFSIに代えて以下の有機電解液、セパレーターとして、ポリオレフィン系セパレーターに代えて以下の有機電解液用セパレーターを用いた以外は、実施例2と同様に二極式ハーフセルを作製した。この二極式ハーフセルに対して、規制あり、なしの2種類の測定方法によるサイクル耐久性、交流インピーダンスの測定をそれぞれ行った。結果を図3、図4、図5に示す。
【実施例】
【0090】
電解液 :有機電解液(1.0mol dm-3:LiPF6/EC+DMC)
セパレータ :セルロース系セパレーター
〔比較例3〕
バインダーとして、アルギン酸ナトリウムに代えてポリフッ化ビニリデンを使用した以外は、実施例2と同様に二極式ハーフセルを作製した。この二極式ハーフセルに対して、規制を行わずにサイクル耐久性の測定を行った。結果を図3に示す。
【実施例】
【0091】
〔測定結果〕
図1は、実施例1および比較例1での放電レート特性の測定結果を示すグラフであり、●は実施例1に対応し、◇は比較例1に対応している。同図に示すように、実施例1、比較例1共にバインダーとしてアルギン酸ナトリウムを使用しているため、電極と電解液界面との間の抵抗が減少しており、高い容量保持率が示されている。しかし、実施例1では、アルギン酸ナトリウムと上記イオン液体とを用いていることにより、電極と電解液界面との抵抗減少の効果が高く、より高い容量保持率が示されており、放電レート特性がより高い結果となった。この結果から、実施例1の二極式ハーフセルは、出力特性に優れることがわかる。
【実施例】
【0092】
図2は、実施例1および比較例1でのサイクル耐久性の測定結果を示すグラフであり、●は実施例1に対応し、◇は比較例1に対応している。同図に示すように、比較例1に係る一般的な有機電解液系の場合、充放電サイクルを重ねるごとに容量保持率が低下するが、実施例1のイオン液体系の容量保持率は、約1.0で安定しており、ほとんど低下しない。これは、アルギン酸ナトリウムが本発明のイオン液体中では、より安定に存在し、また、電極での結着効果が失われないからであると考えられる。
【実施例】
【0093】
図3は、実施例2および比較例2、3での、充電容量規制を行わなかったサイクル耐久性を示すグラフであり、●は実施例2に、◇は比較例2に、○は比較例3に対応している。
【実施例】
【0094】
同図に示すように、まず、バインダーとしてアルギン酸ナトリウムを共通して使用し、電解液が異なる実施例2(●)と比較例2(◇)とを比較すると、実施例2の方が放電容量において大幅に上回っており、一方で比較例2では20サイクル付近で、放電容量が急激に減少している。つまり、実施例2の方が、充放電サイクルを重ねた際の放電容量も上回る結果となった。つまり、アルギン酸系バインダーは、FSI系イオン液体の存在下でより効果的に作用している。次に、実施例2(●)と比較例3(○)とを比較すると、実施例2の方が、全サイクルにおいて放電容量が高く、比較例3に比べて、よりサイクル耐久性に優れた結果が得られた。
【実施例】
【0095】
図4は、実施例2および比較例2での、規制を行ったサイクル耐久性を示すグラフであり、●は実施例2に、◇は比較例2に対応している。
【実施例】
【0096】
同図に示すように、充電時に充電容量を1000mA g-1に規制することにより、100サイクルまで実施例2の放電容量は1000mA g-1からほとんど低下せず、非常に優れたサイクル耐久性を達成することができた。一方、比較例2のように、電解液として有機系電解液を用いた場合、60サイクル付近から放電容量の低下が生じ、100サイクルでは放電容量が500mA g-1以下となり、サイクル特性の差が顕著に現れた。
【実施例】
【0097】
図5は、実施例2および比較例2での交流インピーダンスの測定結果を示すグラフであり、図4(a)は実施例2の測定結果を、図4(b)は比較例2の測定結果を示している。両図から、比較例2に比して、実施例2の二極式ハーフセルの抵抗値は低いことが分かる。これはアルギン酸のシリコン材料および炭素材料に対する高い親和性によるものであり、実施例2の二極式ハーフセルでは電極と電解液界面と間の抵抗減少が実現されていることを裏付けている。
【実施例】
【0098】
以上、実施例および比較例により本発明の効果を示したように、負極におけるバインダーがアルギン酸を含み、電解液の溶媒がビス(フルオロスルホニル)イミドアニオンを含むイオン液体であることにより、当該二極式ハーフセルはサイクル耐久性および出力特性に優れるものである。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明は、リチウムイオン二次電池に関するものであり、コンデンサ業界、自動車業界、電池業界、家電業界等にて利用可能である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4